あぁ~ライフラインは、良かったです。
時間はゆっくりと流れているかのようなのに、
ものすごく不安に駆られる作品でした。

失われた一万年・・なんか、切なかったです。
(2008.03.27 23:12:12)

ラッコの映画生活

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2008.03.26
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カテゴリ: ヨーロッパ映画
TEN MINUTES OLDER ~The Trumpet~
LIFELINE(ライフライン)
Victor Erice
TEN THOUSAND YEARS OLDER(失われた一万年)
Werner Herzog
(所有DVD)


LIFELINE(ライフライン)
Victor Erice


10-2-1.jpg10-2-2.jpg

これは白黒作品。スペインのエリセ監督作品。「La Nueva Espana」という新聞が出てくることから、スペインの田舎が舞台だと思います。時代は新聞の記事に合わせて考えると1940年でしょうか。このオムニバス映画の全体のテーマは時間。ゆっくりとしたリズムの静かな映像、あるいは時間の止まったような昼下がりとでも言った気分、その背後に時計の音がカチコチ カチコチと聞こえている。あるいは洗面台にポチポチと一滴ずつ水滴が落ちる。何があってもなくても、時間は刻々と刻まれている。女がベッドで昼寝をしている。近くに置かれたベビーベッドには新生児。女は昼寝ではなく産後の休息なのかも知れない。山間の村の様子に変わったことはない。静かに日常が流れているようでもある。しかし白い新生児の服に一点の黒いシミ。どんどん大きく広がる黒いシミ。赤ん坊は出血しているらしい。母親は寝ていて気付かない。その不安な気分が作品の雰囲気を構成する。写される新聞記事。写真に鈎十字のナチ・ドイツの旗。国境検問所にナチの旗あがる。1940年6月28日。何の日付かはわからないが、ナチの進出の何かだろうというおおよその見当(後で調べたらソ連とドイツとの密約をもとにソ連がルーマニアのベッサラビアを割譲させた日付)。決して楽しい作品ではないが、白黒の映像も美しく、時は否応なく刻まれ、ナチの台頭が迫る不気味な気分が、赤ん坊の生命の危機の不安感と重なり合った、珠玉の短編だ。

10-2-3.jpg10-2-4.jpg


TEN THOUSAND YEARS OLDER(失われた一万年)
Werner Herzog


10-3-1.jpg10-3-2.jpg

カラー、白黒ときて、この3話はまたカラーです(引用画像は白黒ですが)。監督はヘルツォーク。詳しい事実関係はわからないけれど、ドキュメンタリーなのでしょう。TEN MINUTES OLDERのTEN(10)をTEN THOUSAND(1万)、MINUTESをYEARSにしてしまっています。つまりは1000×60×24×365=約5億倍の長い時間を10分に込めてしまっています。1万年前と言えば旧石器時代の終わりか新石器時代の頃。ブラジルのジャングルの奥地で金属器を持たない未開の部族ウルイウ・ワウワウ族が現代の文明に触れずに生きていた。そんな20年前1981年のフィルムと、この映画の2002年頃の彼らの映像を並べて、文明化の意味・功罪を示した作品。20年前には彼らは裸族で、外部から文明人が近付こうとすると毒矢を放って威嚇した。しかし今は洋服を着ているし、飛行機に乗って病院に行ったこともあると言う。摩擦で火を起こしていた彼らは、かつてライターでいとも簡単に火がつくことに驚かされた。文明人を追い払うとかいった、戦いの勝利を劇化した踊りを今の彼らが裸ではなく洋服を着て踊るが、その姿には生彩がない。文明と触れ合ってからの生活に彼らは対応しているようだが、心性はかつてを懐かしんでいるのかも知れない。今の老人がテレビが白黒だった頃や携帯電話のなかった頃を懐かしむのとは数字のオーダーが違う。それはたかだか数十年の昔だ。ウルイウ・ワウワウ族にとっては時間的には20年前だけれど、内容的には1万年の昔なのだ。はたして文明との接触は彼らを幸福にしたのだろうか。しかし逆戻りは出来ない。息子の世代は新しい文明の中で生きる方を望んでいる。


10 MINUTES OLDER 第1話『結婚は10分で決める』(カウリスマキ)
10 MINUTES OLDER 第2話『ライフライン』(エリセ)
10 MINUTES OLDER 第3話『失われた一万年』(ヘルツォーク)
10 MINUTES OLDER 第4話『女優のブレイクタイム』(ジャームッシュ)
10 MINUTES OLDER 第5話『トローナからの12マイル』(ヴェンダース)
10 MINUTES OLDER 第6話『ゴアvsブッシュ』(リー)
10 MINUTES OLDER 第7話『夢幻百花』(陳凱歌 チェン・カイコー)




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Last updated  2008.04.02 17:29:31
コメント(4) | コメントを書く


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2作とも・・・・印象深い作品ですね。  

Nobubuさん  
racquo  さん
ビクトル・エリセの方は、
あの不安感の持続は10分だから良いのでしょう。
2時間続けられたらたまりません(笑)。
作る方も2時間の持続の物語はなかなか構想できないだろうし。
前のカウリスマキのところでちょっと触れた
カンヌ・ショート5の『プレイ・ウィズ・ミー』も
嫌~な気分が13分持続する名作でした。
こういうある種の気分の持続は、
ショートならではなのかも知れません。

ヴェルナー・ヘルツォークの方は、
映画の作り自体よりも、発想が良かった。
古い世代も洋服着て現代に適応し、
新しい息子世代は文明化を求める。
変化の先に進んでしまった者は決して後戻りできない。
そういう意味で全体のテーマ「時」をしっかり表現しています。


(2008.03.28 04:12:50)

「Lifeline」の設定について  
あかかぶと さん
どの程度創作なのか私には分からないのですが、
エリセ監督は1940年6月28日生まれですね。 (2008.11.12 04:24:21)

間違えました(笑)  
あかかぶと さん
↑6月30日でした。 (2008.11.12 04:28:18)

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