TEN MINUTES OLDER ~The Trumpet~ LIFELINE(ライフライン) Victor Erice TEN THOUSAND YEARS OLDER(失われた一万年) Werner Herzog (所有DVD)
LIFELINE(ライフライン) Victor Erice
これは白黒作品。スペインのエリセ監督作品。「La Nueva Espana」という新聞が出てくることから、スペインの田舎が舞台だと思います。時代は新聞の記事に合わせて考えると1940年でしょうか。このオムニバス映画の全体のテーマは時間。ゆっくりとしたリズムの静かな映像、あるいは時間の止まったような昼下がりとでも言った気分、その背後に時計の音がカチコチ カチコチと聞こえている。あるいは洗面台にポチポチと一滴ずつ水滴が落ちる。何があってもなくても、時間は刻々と刻まれている。女がベッドで昼寝をしている。近くに置かれたベビーベッドには新生児。女は昼寝ではなく産後の休息なのかも知れない。山間の村の様子に変わったことはない。静かに日常が流れているようでもある。しかし白い新生児の服に一点の黒いシミ。どんどん大きく広がる黒いシミ。赤ん坊は出血しているらしい。母親は寝ていて気付かない。その不安な気分が作品の雰囲気を構成する。写される新聞記事。写真に鈎十字のナチ・ドイツの旗。国境検問所にナチの旗あがる。1940年6月28日。何の日付かはわからないが、ナチの進出の何かだろうというおおよその見当(後で調べたらソ連とドイツとの密約をもとにソ連がルーマニアのベッサラビアを割譲させた日付)。決して楽しい作品ではないが、白黒の映像も美しく、時は否応なく刻まれ、ナチの台頭が迫る不気味な気分が、赤ん坊の生命の危機の不安感と重なり合った、珠玉の短編だ。