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2008.05.25
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カテゴリ: フランス映画
FAUTEUILS D'ORCHESTRE

106min
(那覇・桜坂劇場にて)

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自分は単なる映画ファンで、映画評論家やライターではありません。でももし自分がそういう職業だとしたら、そして特にパリに住むフランス人だとしたら、この映画を酷評すると思います。内容があまりに皆無ですね。フランス語で言うところのいわゆる cliche(紋切り型)以外に何の表現もありません。でもまあ日本に住むフランス(特にパリ)好きの自分は、そこそこ楽しませてもらいました。

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この映画を見終わって、「これって何かに似てるな?!」って印象がありました。何だろうなと帰り道歩きながら思いあたったのは、テレビの連続ドラマの最終回です。1クール12回のドラマがあると、いちばんの山って11回目であることが多い。せいぜいが第12回最終回の前半でしょうか。その後は、ドラマ(劇的展開)は終了してしまっていて、脇に登場した人物たちも含めて、その後彼らはこうなりました(こうなります)よ~、ってのを親切に視聴者に教えてくれる。女主人公に振られたあのお人好しの男はどうなったの?って疑問に、結局あっちの女性とくっついて幸せにしています、みたいな感じの アレ です。わかっていただけますよね。

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この映画は群像劇で、何人かの人物が描かれるのだけれど、連続テレビドラマなら最初の11回で描かれることと、最終回ラストの後日談的ことを、106分に入れてしまったという感じです。最終回をメインに据えた総集編と言っても良いかも知れません。1人や1カップルの物語ならば良いけれど、ピアニスト夫妻、老蒐集家親子やその愛人、テレビドラマ女優、主人公と祖母、劇場の老係員等々、そんな10人もの人々を描こうとすれば、これはもう観客誰でも観る前から知り尽くしている人生の感慨とか、つまりは cliche(=紋切り型)に頼るしかない。

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監督のダニエル・トンプソンという人は脚本家としては有名・有能で、タケラ、ピノトー、ドレー、シェロー等有名監督とも仕事している女性で、『ラ・ブーム』なんかも書いてます。だからと言うのも妙だけれど、この映画の本も良く出来ている。地方都市マコンからパリに出て来た主人公ジェシカ(セシール・ド・フランス)を、彼女の祖母の語るかつての物語とダブらせておいて、彼女が働くことになるカフェ・デ・テアートルに集まる人々の人生を言わばジェシカを狂言回し役として描き、そして彼女をその中の1人物である蒐集家の息子とくっつける、その構成は本当にお見事。でもそれは構成についてであって、内容は既に書いたように希薄。

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しきたりではなく本当に音楽を聴いてくれる人のために演奏したいと思って病院で慰問演奏するピアニスト。彼はコンサートで突然ベートーベンの『皇帝』を中断して燕尾服を脱いでTシャツ姿で演奏を続ける。終わって大喝采の会場。おい、おい、おい、おい、安っぽ過ぎるだろう、この展開!!!!。(夫ピアニストのマネージャーをする奥さん役のローラ・モラントという人、美しかったな~、特に目が!)。

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『輝ける女たち』 にも似た作りかも知れない。

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この映画の中でも地方都市から出て来たジェシカが高級店のショーウインドー見て歩くシーンで、手袋550ユーロ(約9万円)なんて表示されていた。シャンゼリゼのロンポワンからこのモンテーニュ通りをアルマ広場に向かって下りて行くと、ちょうど中程フランソワ・プルミエ街を越えた辺りの左側にディオールのブティックがある。そこはある意味世界のファッションの中心と言ってもよい。そんな場所に「やむなく」一度だけ足を踏み入れたことがある。ディオール製品を置いている何軒かの店にはないもので、「それは Chez Dior に行かないと」と言われたのだ。店内は正に映画の世界。映画に出てくるようなホンモノのお金持ちの方々が御買い物。季節はちょうど春前でまだ寒かったのだけれど1千万は下らないだろうフォックスのコートをお召しの高級蓮っ葉お姉様、直径2cm近くあるから20カラットはあるだろうダイヤの指輪をされた奥様、制服を着た運転手さん運転の高級車で御来店のお客さま。そういう世界だ。

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そんなお金持ちの世界とは自分は無縁なのだけれど、それはそれとして、冒頭に書いたことだ。そんな駄作映画を何故に楽しむことが出来たか。平凡な、無内容の、 cliche(=紋切り型)ばかりの、名役者の存在自体に頼った映画であるからこそ、逆にフランス人の、あるいはパリの生活感のようなものが感じられるのだ。それが描かれているというのではなく、それを知っていると懐かしく思えるのだ。だから現在パリに住んでいないからこその郷愁だ。そういう意味で楽しませてもらった。主に外国人の描いた『パリ、ジュテーム』などより、もちろんデフォルメされていて本当にリアルな世界ではないけれど、パリが本当にパリらしかった。

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Last updated  2008.06.02 04:26:44
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