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第一弾から第八弾の銘柄紹介を読んで頂いていない読者は、先にそちらを順に読んで下さい。(お手数おかけして申し訳ありません)過去に紹介した内容を理解されていることを前提として、今回の銘柄紹介を始めます。銘柄紹介 第一弾 7509アイエー銘柄紹介 第二弾 9866マルキョウ銘柄紹介 第三弾 6060こころネット銘柄紹介 第四弾 7865ピープル銘柄紹介 第五弾 9994やまや銘柄紹介 第六弾 7820ニホンフラッシュ銘柄紹介 第七弾 4769インフォメーションクリエーティブ銘柄紹介 第八弾 2337いちごHD※皆さんご存知の通りですが、この銘柄紹介は買いを推奨しているものではありません。 それぞれ毎回テーマがあり、そのテーマに適した銘柄を紹介しています。 今回のテーマは自己株式取得です。企業はどのような時に自己株式取得をするべきなのでしょうか。よく自己株式取得そのものが良い材料だと勘違いしている人が居ます。株式売買の需給に変動があるということで短期的な投資家の思惑に影響することがあり、結果として株価が上昇することもあるからです。しかし自己株式取得は経営方針であって、それ自体が良い・悪い、というものではありません。企業が企業活動で得た資金を投資や内部留保に回さず、自己株式を購入するという使い方をするということです。企業活動の一環であり、方針でもあります。この方針により、企業がどのような未来を描いているのかを推し量る事が出来ます。逆が新株発行による増資です。ただ何も考えずに新株発行などの増資には批判的で、自己株式取得・償却には好意的、ではいけません。 情報企画は2015年に自己株式を取得しています。2015年の自己株式取得による自己資本低下、の影響をみてみましょう。発行済み株式数4,049,926株→3,349,926株B/S面では平成26年9月期→平成27年9月期現金及び預金1,773,511千円→1,023,200千円流動資産合計2,255,898千円→1,601,539千円資産合計3,526,340千円→3,228,347千円P/L面では売上高 1,829百万円→2,340百万円経常利益 479百万円→627百万円売上高純利益率 34.5%→38.2%で結果自己資本比率 75.0%→68.4%1株あたりの利益 70.29円→106.60円1株あたりの純資産 652.99円→659.24円ちなみに企業活動を通じた別の株主還元としては配当 25円/株→38円/株配当性向 35.6%→35.6%銘柄紹介シリーズを全部読んでいるという前提ですので、上記の変動に対する説明は省きます。それほど難しいことではありません。しかし、この株式取得による影響は結構大きいものですね。この利益成長があったからこその大幅自社株買いをしつつの配当性向維持とみるべきでしょう。しかし単純に考えるのは早計です。将来の企業運営の為の手元流動資金のかなり多くを使用しているのです。足元の業績だけが重要なのではありません。中期的な視野だけでなく、長期的な視点がかならず反映されているからです。実際に大規模な自社株買いをするという事を発表して、その後殆ど設定枠を使わなかった企業は枚挙に暇がありません。その企業は予定していた枠の自社株買いを何故しなかったのか。思ったほどの株価水準ではなかったのか別の思惑があったのかは分かりませんが、実行するかどうかで企業の腰の据わり方が分かります。市場で買うのかどうかに限らず、本気で取り組まないと大規模な自社株買いなど出来ません。企業が自ら発行している株式を株主から買い取るというのは、その規模が大きければ大きいほど、企業側に強い意思が必要になります。その意思はどのようなものかを読み解くことが重要です。株式発行数の変動としては、他にも株式分割があります。この会社は発行株式数を減らす前に株式分割で発行株式を急増させています。(平成25年10月に1株を100株にする株式分割を実施)発行株式数だけに着目すると、一気に100倍に急増したものがその後16%程度減少した、という事になります。しかし、この株式の急増と減少では本質的に違います。株式取得・償却が自己資本の変動を伴うのに対し、株式分割は伴いません。(※厳密には伴いますが説明をわかりやすくするため割愛します)株式分割による影響は1株あたりの数値のみです。例えば、1株あたりの純資産、1株あたりの利益、1株あたりの配当、など。それ以外は全く影響ありません。同じ発行株式数を変動させるものでも、株式の分割による影響と株式取得による影響、この2つは本質的に違います。自己株式取得→償却、は株主が保有する株式の価値を変動させます。大抵の場合は一株あたりの利益を増加させ、一株あたりの資産を減少させます。敢えて乱暴に言うと、企業運営に回さないで企業活動で得た利益を株主還元するという意味で本質的には配当と同じです。ただし配当は一時的な影響、自社株買いは長期的な影響、という違いがあります。(※2016/2/1追記 コメント欄に説明あり)かかる税金の影響がない分だけ自己株式取得の方がコストが少なくて済みます。上の例のように配当性向が同じで自己株式取得を行った場合、実際には増配していると言えます。合計が利益の額を超えている場合、考え方によってはいわゆる蛸足配当と似たものであると言えるでしょう。蛸足配当が悪いものだと考えているのにその期に得た利益以上の額の自己株式の取得は悪いものだと考えていない投資家が多いですが、両方とも本質的に同じでROEの増加に繋がるものです。その影響が一時的なもの(その時の株主が利益を受ける)か長期的なもの(それ以降の株主が利益を受ける)かの違いです。不要な自己資本(非効率な自己資本)を減らすことによる企業経営の有効化です。バリュー投資家には、備えあれば憂いなし、と使い道のない資本を溜め込み続ける企業を善しとしている投資家が多いので、この点は強調しておきたいと思います。もっとも、赤字企業や資本の有効化の見込みが立っていない企業が利益以上の配当や自己株式の取得をしてはいけません。ROEを増加させる経営は企業経営に自信がある場合にのみ行うべきで、またそうである為に強烈な投資家へのアピールになるべき行為です。 話を情報企画に戻します。この業種は人材不足に悩まされ続けています。今後労働人口が減少していく中、優秀な人材確保が今以上に困難な状況になっていきます。その中において、どのように人材を確保するのかが問われる社会が日本に必ず来るでしょう。情報企画の社員は2007年104人→現在121人。会社目標は『売上高営業利益率30%』と『従業員一人当たり売上高20百万円以上』ですので、優秀な人材を確保しないと企業の売上成長はありません。この企業は急激な成長をすることはないでしょう。緩やかな成長を続けていく。それがノウハウとなり暗黙知となり地力となります。緩やかな成長には良い面もあれば悪い面もあります。一つ間違えば、退屈な万年割安株です。低PER低PBR低ROE。そうならない為にはどうすれば良いか。一つの手段が配当による株主還元策であり、もう一つの手段が自社株買いによる株主還元策です。 急激な成長をしない企業が得た利益をどのように使うのか、この企業は一つの答えを出しています。過去に第四弾で紹介したピープルも同様。日本企業では珍しいですが、ROEを低下させない努力というのは資本主義社会の企業として当たり前のことです。
2016.01.31
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自分より市場の方が正しい評価をしている。当たり前だ。株価は常に適正価格なのだから。理屈をこねて自分の正当性を幾ら叫んでみても、他人から見れば馬鹿丸出し。市場より自分のほうが正しい評価をしているというのなら、それは貴方が現状を正確に見抜くことが出来ていない証拠だ。
2016.01.28
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今年に入ってからの暴落相場でオロオロしている投資家が多いが、一体彼らは何をやっているのだろうか。振り回される側、烏合の衆の一人でしかない。投資家たるもの、常に孤独なのです。周りの意見を参考にしようとしているから、周りがオロオロするとどうして良いか判らず心配になる。肝っ玉の小さい投資家になると、周りがオロオロしているのを見て、自分だけじゃないと安心する。自分が安心したいが為に、周りの投資家のオロオロしている姿を探そうとする。馬鹿じゃないか、と言いたい。 投資歴が長い人でも同様に、下落する株価が気になって気になって仕方がない様子。下落中に株を買い、それをブログで公表する。さも自分が勇気を持って買い下がっているというように。昨日の大幅上昇した後で、自分の取引は結果的に成功だった、良い所で買えた、などとのたまう。本当に馬鹿みたいだ。 一昨日の時点でも、日経平均は年初来から15%程度下落しただけ。たった15%の下落で、資産が大きく減少した、これ以上は気持ち的に余裕がない、などと言う。投資初心者が言うのではなく、何年も投資を経験して暴落相場を何度も経験している人がそう言うので驚く。アベノミクス相場でどれだけ儲けたのだ、どれだけ資産を増加させたのだ。15%程度なんて、誤差みたいなもんだろう。自分が保有している株式の評価額は自分のものだ、誰にも渡したくない、という欲が強すぎる。執着心が強すぎる。アベノミクス相場を通じて資産が増加しているので絶対額が増えて、その資産に対する執着心が増えたのだろう。執着心を捨てられないのならその資産を守る投資をすれば良い。暴落相場を何度も経験しながらも資産に対する執着心を持ち、それでいてリスクの高い成長株を買っているくせに暴落時にオロオロと右往左往するのは笑い話だ。なんで日本の個人投資家のメンタルはこんなにも弱くなってしまったんだろうかね。やれやれ。
2016.01.23
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参考記事http://plaza.rakuten.co.jp/meaning1/diary/201312310000/http://plaza.rakuten.co.jp/meaning1/diary/201508010000/ 今年の相場は下落続きですが、全体的に同じように下落しているのではなく、個々の銘柄によって下落率がかなり異なります。全面安の暴落相場ではありません。去年の前半まで続いていた全面高相場ではリスクを取れば取るほど上昇するという状況で、成長する銘柄を買って放置すれば良いという馬鹿みたいな浅い考えで儲かる相場でした。それまで大幅に株価が上昇していてもなお、ROEが持続して高い銘柄、利益成長率が高い銘柄、長期的に売り上げが上昇している銘柄、そういう銘柄を買っておけば儲かるという物足りない相場でした。逆張り投資家としてはテンションが上がりませんでした。実体経済は期待されているほどには良くならず、薄れ行く高揚感の中で堅調な株価に辟易していました。 僕は2010年、2011年、2012年、2013年と異常なほど儲かりました。この期間、本格的な分散投資家で信用取引をせずに僕より資産増加率の高い人が居るのかどうか。勿論何処かにいるんでしょうが、僕は知りません。2008年にマイナスから再スタートした僕でしたが予想に反して絶好調、2011年の大震災を経ても相変わらず日本株に強気だった僕はリスクの高い銘柄を買い漁りました。引き続き2014年と2015年も出来過ぎなくらい儲かりました。現物株投資だけで資産は過去最高を更新。正に順風満帆。ただ、増え続ける資産に反比例して株式投資に面白味がなくなってきたなぁと感じ、徐々にバリュー投資家寄りのスタンスを取るようになりました。 そして今年は下落続き。ダウの大幅下落を受けて月曜日も日経平均は大幅下落となる可能性が高いです。 このところずっと全面高の上昇相場が続きましたからまだ十二分に余裕がある投資家ばかりでしょうが、これからは楽観悲観が入り交える、普通の株式相場になるでしょう。国内外にはまだ一般には十分知られていないような悪材料は沢山あります。年初から随分下落した株価ですが、この水準が低いかどうかは全く分かりません。 株価は常に適正価格。自分が買った値段など何の価値もありません。含み益がなくなった、含み損が膨らんだ、そんなのは全く何の意味もないのです。僕たちが持っている株式の価値は、株式に応じた会社の保有権利なのです。市況に応じて会社の業績は変動するので保有する株式の価値も変動するでしょう。しかし、買値は何の意味も成しません。(利益確定時に支払う税金が影響する程度です) 相対的に割安な所へ資金を集中させる。個々の値動きが独自性を帯びているのであれば、割安投資家が本領発揮できる相場です。資産の評価額が増えるかどうかは二の次。保有している資産の価値が増えるかどうかの方が大切。そして、今のような相場は保有する価値を増やす絶好のチャンス。 分かってない人が多いですね。ここ数年、ぬるま湯に浸かりきって呆けているんでしょう。
2016.01.16
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「この企業を見てみろ。PERが4.7倍だ。分かるか?前々期よりも前期、前期よりも今期の方が業績が良い。年々業績が伸びて成長している企業ということだ。その企業のPERが4.7倍だ。現金もたっぷりある。負債も少ない。自己資本比率は70%を超えている。殆ど無借金だ。それでPBRは0.6倍。いいか、この企業の株価は下がらない。まぁ、ちょっとくらい下がるかもしれないが、大きくは下がらない。もしこの企業の株価が大きく下がるようなら、市場全体が大暴落をしているだろう。」相変わらず広場ではピエロが下らない事をのたまっている。聴衆は聞く耳を持たない。なぜだろうか。
2016.01.12
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「決算書を読みこなす事典」この本は決算書を全く読んだ事がない初心者向けですが、基礎的なことは大抵書かれています。株式投資において最も重要なのは基礎なのです。後は、自分で色々やって慣れていくしかない。別にどんな本でも良いですし、別に本からではなくインターネットからでも良いので、基礎的な本に書いてある内容程度はしっかりと理解しておく必要があります。決算書を読むための会計知識を学ぶに当たり、肝心な点があります。それは一番最初に全体を網羅しておくということです。重要なところだけのつまみ食いではなく、自分にとって必要ないと思う部分についても一通り理解する。インターネットのみで調べようとすると大切な部分だけのつまみ食いで全体を理解した気になるので注意が必要です。この本を読めば決算書を読む上で必要になる基礎的な知識が網羅できます。この本を通読すれば、基礎的なことについては他の本を読む必要はないでしょう。逆に言うと、決算書を読む際にはこの本に書いてあること程度は全て理解していなければなりません。ただしこの本はもう10年以上も前の本なので、今の会計方式と違う箇所があります。ご注意下さい。現在の会計ルールに則って書かれている基礎的な本を紹介出来ればいいのですが、僕は知らないのでこの本を紹介します。知っているつもりになって知らないこと、忘れていることはよくあることです。例えば、○損益分岐点の算出方法は?○自己資本がマイナスでも倒産しない理由は?○労働分配率が上がるというのはどういうこと?○子会社から親会社への配当は、決算書上ではどのような処理をされる?○損益計算書の中の、少数株主損益とはどのような意味?○連結企業は親会社の税引き前利益を連結内の子会社の赤字と相殺できる?○暖簾代は無形固定資産に含まれる?○期末仕掛品の評価(算出)方法は?○キャッシュフロー計算方法の直接式と間接式の違いは?基礎的なことはどれも全て大切なことです。大切だから基礎なのです。財務諸表は最初のうちはじっくり一つ一つの項目を時間をかけて吟味していても、慣れてくるとパッとみてパッと判断するようになります。その時、知らないことを知らないままにしていると、分析したつもりになって表面的なことしか見ていなかったという事になりかねません。表面的で大枠の分析はとても重要ですが、それだけやって終わりというのであれば子供でも出来ます。子供でも出来る程度のことしかやらずに財務諸表の分析をしたというのであれば、それは単なる自己満足に過ぎないでしょう。実際に掘り下げて分析するかどうかはその時々で変わるにしろ、知ろうと思った時に分かるかどうかの違いは大きいものです。この本はアマゾンなどで二束三文で叩き売られています。決算書に関する本をまだ持っていない人は、買ってみることをオススメします。2004年発行の古い本ですのでIFRSには対応していません。IFRS自体はそれほど難しいことではありませんので、基礎を学んだ後で改めて勉強することをオススメします。
2016.01.03
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