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‗ PBR はバランスシートに表れる有形資産価値に対する評価と思われがちですが、実は有形資産よりもバランスシートに表れない無形資産に対する評価の影響の方が大きいです。 ネット上などに無数にあるPBR の説明のほとんど全てで有形資産と無形資産のPBRに対する捉え方の説明をしていませんが、投資家たるものPBRは「純資産」ではなく「有形資産」・「無形資産」と結び付けて理解する必要があります。 PBRとは何でしょうか。PBR は「株価」が「1 株当たりの純資産」の何倍かを示している指標です。つまり「時価総額」が「純資産」の何倍かを示しているということになります。「純資産」に対してお買い得かどうかを表す指標、ということになります。だからPBRは低い方が良いということになるのです。しかし、本当にそうでしょうか。 PER編に引き続き、PBR編でも常識を疑ってみましょう。 当然、PERの値が同じであれば、PBRの値が低ければ低いほど、純資産の算出元である有形資産に対する投資家の評価が低いことになります。 しかし資産には有形資産のほかに無形資産もあります。無形資産は純資産に含まれないためPBR算出に無視されがちですが、PBRが低いという事は、有形資産だけでなく、バランスシートに表れない無形資産に対する投資家の評価も低いことを表します。 有形資産と価格との差は暖簾代と呼ばれます。暖簾代は、ブランド価値や企業ノウハウなどの収益力や企業統治能力や、その他諸々が、買収価格から有形資産を引いた金額になるという考えです。企業を買収した時などに生じるバランスシート上の差を「暖簾代」と称して計上し、損失として減損処理しようという会計の考え方です。※逆に買収価格よりも資産が大きくバランスシートが膨れ上がる場合は、「逆暖簾代(負の暖簾代)」と称して利益扱いとして処理されます。 この暖簾代に付いて、視点を変えれば、有形資産に対して買収価格が高ければ高いほど無形資産価値の【評価】が高いという事になります。この有形資産に対する買収価格は、株式投資ではPBRと同義です。PBRが低い時に有形資産を、PBRが高い時に無形資産を、投資家は【評価】して投資をしていることになります。言い換えれば、低PBR銘柄への投資にしろ高PBR銘柄への投資にしろ、他の投資家の評価の変動による株価変動によって鞘を抜こう(キャピタルゲインを得よう)というのであれば、この着目点の違いを考える必要があります。 さて、低PBR銘柄と高PBR銘柄とでは、その銘柄に投資をしている投資家の着眼点が違う事が分かりました。次にいきます。 それでは PBRが低い銘柄の無形資産には価値がないのでしょうか? 勿論違います。PBRの低い銘柄は無形資産の評価が低いだけで、価値が低いかどうかは全く別問題です。PBRの低い銘柄の多くには長期間にわたって低PER水準で推移している銘柄がありますが、いつも PERが低いというのはいつもしっかりと利益を上げているということです。それにはバランスシート上に記載されない無形資産の影響が当然ある訳です。 利益や資産に対していつも投資家の評価が低いのが万年割安株と呼ばれる銘柄です。 成長余力が低かったり、衰退産業であったり、株主還元政策に消極的だったりして、資産に対する評価が低いのです。言い換えるとROEがいつも低い事になります。万年低ROEということです。資本効率の低い企業となります。 PERとPBRを論じれば、PERとROEを論じている事になります。その為前回の『PER編』 と今回の『PBR編』をしっかり読んで頂ければ、『ROE編』を読んだことと同じになりま す。PBRとROEは表裏一体です。しかしこの理解が浅いと、「PBRは低い方がパフォーマンスが良いので同じPERならROEは低い方が良い」という浅い理解になります。 PBRは過去指標、ROEは未来指標です。 言い換えれば、PBRは過去の経営を評価する指標、ROEは未来の経営を評価する指標、となります。 PBRは資産の評価ですが、その資産は過去の経営によって積み重ねられたものです。PBRが低いほど有形資産・無形資産の評価が低く、(その資産を運用することで)今後の経営を通じて株主に多くを還元することを期待されていないという事です。 繰り返しになりますが、同じPERなら、低PBRであるほど低ROEになります。魅力のない銘柄という烙印を押されている銘柄、とも言えます。 しかし、その魅力のない銘柄も、今までずっと魅力が無かった訳ではありません。資産を築き上げるまで、少なくない期間成長もしたでしょう。その期間はROEも高かったに違いありません。恐らくPERも高かったことでしょう。いつからか高PER高PBR高ROEの成長銘柄が、低PER低PBR低ROEの万年割安銘柄になったのです。 万年割安株は昔は高PBR高ROEの成長銘柄であった、という事実はよく考えた方が良いです。今高 PBR高ROEの成長銘柄は、成長が鈍化して、株主還元政策に消 極的であれば、投資家の評価が低くなりPBRが低くなります。PERも低くなります。PERとPBRが低くなったのなら、ROEはかなり低下しているという事です。※仮にPER水準が変わらなかったとしても、PBRが低くなればROEが低くなります。 PER・PBR・ROEは結果で過程を表すものではありません。経費がどのていどあり、利益率がどの程度あるか、労働分配率はどうか、ブランド価値はどれくらいあるか、ノウハウはどうか、といった有形無形の様々な重要なパラメータは全て無視して、結果を数値化しただけです。 その為、PER・PBR・ROEの数字を参考にして投資するかどうかを考えるのであれば、上の投資家の評価の変動をよく考えて行動する必要があります。 PERとPBR を考えることはPERとROEを考えることなのです。 ※ PBRとROEを考えることは、PERとPBR、または PERとROEを考えることと同じです。これがストンと理解できないのであれば、基礎的なファンダメンタルの理解をしていないことになります。利益に対する値段、資産に対する値段、資産に対する利益、このうち2つを考えれば、後の一つは(考えた事になるので)考えなくても良い。しっかり理解していないと、PERは低い方がお買い得、PBRも低い方がお買い得、ROEは余り注目しなくていい、となるのです。そういう説明をしているブログは山のようにありますが、根本的なところをしっかり理解していないだけです。PER・PBR・ROEはバランスなのです。 どのような企業経営をしているかによって重視するべき指標が変わります。 しつこいですが、PERとPBRを考えるという事はROEも考えているという事なのです。それを理解していないのであれば、PERとPBRを理解していないということです。有形資産と無形資産の考え方なしに PBR を捉えているからそのような事になるのです。 PBRの説明は、有形資産・無形資産の説明とセットでするべきなのです。株価と有形資産を元にしたバランスシートの捉え方、結局はこれがPBRなのです。当然、暖簾代の説明が出てくるはずなのです。 無形資産価値とは、企業の人材であったり、ノウハウであったり、実績であったり、ブランドであったりします。それらのパラメータが複雑に絡まって、参入障壁を形成しています。PBRの説明は投資家のバランスシートに対する評価という考えを持たなければなりません。そしてそれはROEの考え方とも重なるとことがあります。 ROEは投資家の評価によって変動しません。その代わり損益計算書とバランスシートです。PERは損益計算書と投資家の評価です。 上の説明は細かい所で致命的に違いますが全体としては概ね正しく、PERとPBRとROEの関係を捉えるためにはこれ以上ない位分かり易いと思っています。しかしこの説明をしている文章を僕は見たことありません。何故でしょうかね。 ここまでを考えると、単に「PBRは低い方が良い」というのは間違いだという事になります。 「PBR が低い銘柄群のパフォーマンスが良い」という事実はそこに至るまでの思考回路が大切なのです。「PBRを取るかROEを取るか」ではないのです。「バランスシートに表れている資産の評価をどのように行うか」なのです。そして、その説明を行う為には有形資産と無形資産の評価をどのように行うかが重要で、言い換えれば「無形資産に対する評価をどのように行うか」という事なのです。 無形資産の評価をどのように行うか。それには複数年度の長期的なP/Lが必要になります。長期的なP/Lを見ずして無形資産は評価できません。ただし、長期的なP/Lを見ても無形資産の価値を正しく評価することはできません。その為、未来の企業利益がどれだけ得られるか(将来の利益に結び付く無形資産の価値がどれだけあるか)を考慮しないで、ただ単純に有形資産の評価額が低い低PBRへの投資を行った方が確実性がある、という事です。 無形資産の価値がどれだけあるかは無視して、将来の利益がどれだけ増加するかは考慮しない。それであれば、PBRは低い方が良いでしょう。 PBRは過去指標、PERは現在指標、ROEは未来指標、と言うのはこういう事です。 以上
2024.01.27
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〇おまけこから先の文章は、僕の株式ブログバリュー投資に騙されるなhttps://plaza.rakuten.co.jp/meaning1/に投稿されている文章です。今回、おまけとして載せます。●蛇足① 常識を疑おう基礎編『PER』 PER は低い方が良いのか? これはきほんのきであり、最も大切な部分です。 PERとは『何年で元が取れるか?』の数値です。 PERが10倍なら投下資金は10年で元が取れます。 会社の利益は株主の利益、EPSは1株あたりの株主の利益なのです。 勘違いしないでほしいのですが、配当として還元される事で初めて株主の利益になるのではありません。 会社の利益として純資産を積み重ねることが、会社の利益=株主の利益、です。 しかし、PERは取らぬ狸の皮算用。机上の空論です。『何年で元が取れるか?』という本来の意味では役に立ちません。 何故なら、会社の利益は年々変動するからです。 成長企業では利益は年々増加しますし、衰退企業では利益は年々減少します。景気によって利益が大きく変動する企業も多いです。 そのような利益の変動において、PERは有効性を失います。 その為、PERが本来の意味合いで最も役に立つのは、将来にわたって利益が変動しない、安定した利益を上げられる企業という事になります。 利益が変動しなければ、PERは役に立ちます。 PERが10倍なら10年で元が取れるのです。 PERが100倍なら100年、PERが3倍なら3年です。 これは定義なので、反論は一切受け付けません。 会社は株主みんなのものです。株式に応じて個々の株主に所有権があります。 会社の利益が株主の利益。これは株主資本主義のルールです。 このルールが永続するのであれば、『会社の利益が毎年変動しない場合に』『株価購入代金として支払ったお金は何年で元が取れるか』がPERの意味です。 いつの時代にも万年割安株という、いつまでたっても低PERで放置されている企業があります。 いつまで経っても利益成長しない。材料もないので注目されない。景気が良くなっても、 景気が悪くなっても同じような株価のまま。 いつまで経っても低PERのまま、という認識が当たり前になっています。 しかし万年割安株ほどその低いPERの意味合いを持つ事になります。 利益変動がなければ、その低いPER値の年数を保有していれば、元が取れる訳です。 一応、註釈を入れると、業績が大きく変動する景気循環株のPERが低いのは別の問題です。 景気循環株は幾ら長い間PERが低くても、万年割安株とは違います。 景気循環株は景気が悪くなった時にはPERが急上昇します。株価を大きく下げながら、PER値が急上昇します。 株価が上がらないから万年割安株、ではありません。PERが低いから万年割安株、ではありません。 景気に関わらず低PERだから、万年割安株なのです。 急激な業績悪化によるPER値の急上昇がないため、そしてその逆もないため、結果として、利益変動の小さい銘柄が万年割安株になります。 低PERには理由があります。万年割安株には理由があります。 しかし、低PERの万年割安株にこそ、PERがその真価を発揮できるのです。 利益は有効活用されないでバランスシートを意味なく肥大化させるだけかもしれません。 しかし、そのバランスシートの肥大化が純資産の増加を伴います。ひいては株主の利益が増加したという事になります。 とここまで読んで、なんだ当たり前の事を言っているだけじゃないか、と思われたかもしれません。 全くその通りで申し訳ありません。きほんのき、当たり前の事を書きました。 しかしここで重要な点があります。 万年割安株のPERは低いのが当たり前というのであれば、PERが本来の意味を成す企業ではPERが低くなる、ということです。 低PERが注目されるのは、PERが単体での有効性を示さない場合が多いということ です。 PERが有効性を示さない場合というのは、利益が毎年変動する企業です。 その為、言い換えると低PERが注目されるのは、(PERが本来の真価を発揮できないような)利益が変動する企業であるということです。 利益が変動する企業とは、万年割安株以外になります。 成長企業然り、衰退企業然り、景気循環株然り、です。 業績変動が大きい企業です。 利益変動に伴い現在の株価で算出するPERが年々変動する企業は、PER変動により妥当と評価される株価水準が変わり、その株価変動を期待して低PERが注目される、ということです。 単体として意味を成す珍しい指標であるPERですが、このPERが注目されるには業績変動が必要です。 何故なら、資本主義社会(≒株主資本主義社会)では長期的に経済が成長することが前提だからです。 名目GDPは短期的な変動はありますが、長期的には右肩上がりになります。これは資本主義社会の必要条件です。 そのため企業は得た利益を企業活動にまわして利益成長を目論まなくてはいけないのです。 内部留保していてもその資産価値は年々減少していきます。 それは、資本主義社会(≒株主資本主義社会)ではインフレを前提としているからです。 日本は長期デフレに陥りましたが、これは例外中の例外です。 デフレ化では健全な資本主義は成り立たず、資本主義社会を成り立たせるためにはインフレが必要条件となります。 何故なら、資本主義社会では必ず金利が発生するからです。アニマルスピリッツを潤滑油にして名目GDPを成長させるためには、時間と共にお金が増殖する必要があります。 お金がお金を生み、同額のお金の価値は年々下がり続ける必要があります。 利益成長を促さない株主資本は、経営が失敗したときなどの緊急時のリスク低減にしか役立ちません。(市場からの自己防衛などの理由もありますが) 景気悪化の際に倒産や悪条件での資金調達に迫られる状況を回避する役には立つでしょう。 利益が出ていない時にも企業経営の幅が狭まりません。利益以上の設備投資を行う事が出来るでしょう。業績の悪い時にリスクを取ることができます。 しかし多くの場合、企業は業績を向上させなければいけません。 業績向上が健全な資本主義社会での企業命題なのです。 それでは、利益が大きく変動する場合でもPERは低い方が良いのでしょうか。 その問いに対する答えを導くには幾つか考え方がありますが、少なくてもそうではないパターンがある、というのが模範解答でしょう。 成長企業。これは年々利益が成長する企業です。その成長が確実視されているのであれ ば、投資家からの評価は高くなっています。成長の度合いが高ければ高いほど、確実であればあるほど、そして情報が周知徹底されていればいるほど、PERは高いでしょう。 成長企業が高PERになるには、投資家に評価されるまでのタイムラグが生じます。 成長企業が高PERになる前、投資家に評価される前の低PERの段階で買うことが出来るなら、それは最もリターンの大きい投資になるでしょう。会社が強気の業績予想を出す前、四季報が強気の予想をする前、そしてその企業にとって好ましい材料が出る前です。その時点では低PERでの投資も可能でしょう。しかし、PER 算出の元となるパラメータであるEPS予想も低くなります。その為、矛盾してきます。その矛盾を解決する為には、EPS予想を他の投資家と変える必要があります。自ら算出したEPS予想となります。PERが低い時に成長銘柄を買うのは周知されていないデータや思惑が必要になります。 景気循環企業。これは業績が大きく変動します。大赤字にもなります。景気転換点では 業績修正が多くなります。投資家は景気動向に敏感になります。株価は業績の先回りをし ます。上場企業の中で最も早く暴騰し、最も早く暴落します。業績変動はその変動に追いつきません。上方修正前に株価は暴騰します。下方修正前に株価は暴落します。PER算出の元となるパラメータであるEPS が修正される前に、株価は劇的に変動します。その為、 高PERの時に株価は底を打ち、低PERの時に株価は天井を打ちます。低PERの時に 景気循環企業の株を買うのはリスクが高い投資になります。 衰退企業。年々利益を低下させている企業です。場合によっては赤字が続きます。衰退がいつまで続くのかの見極めが重要になります。業績を反転させるのが先か、倒産や100%減資されるのが先か、それとも悪条件下で大規模増資するのか。座して死を待つ企業はありませんから、企業側も必死です。業績を見事V字回復させることが出来れば 再生銘柄となります。再生銘柄は業績急上昇に伴い、株価も急上昇します。多くの場合は 業績V字回復見込みを会社が発表してから、株価が急上昇します。この時期が、最も低PERになります。しかしその後業績が会社の思惑通りV字回復するかどうかは分かりません。財務諸表から判断するのは非常に困難です。業績が回復する前の財務諸表はとても見れたものではありません。場合によっては債務超過であったりします。あらゆる指標は見れたものではありません。目を覆うばかりです。バランスシートに載らない無形資産が業績回復の鍵を握っている事が多いです。そのような状況下での殆ど唯一の買い材料が、会社の業績回復見込予想の利益を基に算出したPERです。この低PERの時には思うようなファンダメンタル分析が出来ず、結果としてリスクが高い投資になります。 さてどうでしょうか。 「PER は低い方が良いのか?」という問いにはこれらを考慮した上で答えなければいけません。 きっと投資歴の長い人であれば、 「PER が低い方が良い場合も、そうでない場合もある」 と言うでしょう。 そして、それが何の面白みもないですが模範解答です。 以上で常識を疑えシリーズ第一回『PER』を終わります。 ここから先は余談ですので聞き流して下さい。 PERは低い方が良いです。 そうでない場合がある事を確り分かっていれば、それ以外の時についてはPERが低い事が良いのです。 そして、それはぶれてはいけません。 先の事は分からないのです。明日の株価は分からないのです。 そうであるなら、リスクを減らすべきです。 PERが効力を発揮しない場合を避けて投資をすればいいのです。 以上
2024.01.20
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さて、長い長い電子書籍内容の転載もこれで一区切りになります。あとはおまけです。このブログの読者なら読まなくて良い内容になります。僕が電子書籍の内容を転載している間、日本株は急上昇。バブル崩壊後の最高値を日々更新し、いつの間にか日経平均は3万5577円。これは1990年2月と同水準で、日経平均の鋭角になった頂点が1989年12月ですから、もう最高値水準と言っても過言ではありません。僕たちのバブル時に踊りに踊って浮かれていた僕たちの親世代やもっと上の世代がすっ高値で日本の大型株を買ってしまい、懲りに懲りた当時。失敗した、株なんてやるんじゃなかった、もう絶対株なんてやらない、と言いながら、長い長い間塩漬けして、34年。やっと今では殆ど全ての人が含み益に転じた、という事になります。勿論全ての銘柄が当時の高値を回復したわけではありませんが、指数で言うとそういう事です。過去のバブル期に日本の大型株へ投資をしたほぼ全ての人が、今は含み益になっている、ということです。指数の上では。平成以降、相対的な日本国力は急低下しましたが、今では企業業績は急上昇し、純資産も肥大化。日本を、政府・企業・家計、に分けると、政府が負債を増やし続け、企業が負債を減らし続けました。安い日本。安い日本の労働力。拡大する格差。増加する貧困層。そんな中での全世界高インフレによるコストアップで、販売価格上昇、デフレ脱却。デフレ脱却ですら、外的要因によってしか行われなかった。本当に情けない。デフレを続ける為に行われたと判断せざるを得ない、日本政府の異常な主要政策の数々。政府が頑なに推し進めたのは、累進課税の減税と、逆進性の強い税の増税。消費税増税、法人税減税。これらをやらなければ、間違いなく確実にもっともっと早くにデフレを脱却できた。失われた10年の間に不良債権処理で多くの犠牲を払ったが、それ以降は負債を減らすべきではなく、投資を増やすべきだった。健全な欲望、アニマルスピリッツの欠如。主な原因は間違いなくデフレだった。長年徹底した財政政策の減少が、金融政策の緩和を無駄にした。無駄にしたどころか、将来の選択肢を狭めた。デフレ脱却した今もなお、金融緩和したままだ。これから世界中で金利低下局面を迎える。そんな中で取れる選択肢は少ない。日米欧の金融緩和が続いた後に、コロナショックが起きた。コロナショックの経済の影響を緩和させるために、大規模な金融緩和が行われた。そこら中でお金が余っている。今の所、信用収縮は起こっていない。何が起きるかは明白だ。お金の価値の低下だ。ブロック経済化が進む中での悪性インフレ。投資行動を起こさない人はどんどん資産価値が減少する。こんなことを言うyoutube動画があった。「資本主義がバグっていると感じる、資産無限増殖バグだ」「一度ある程度まで資産を増やせば、後は勝手に増えていく」「この仕組みに気が付いた人が、どんどん資産を増やしていく」「私のような人でも、資産がどんどん増えている」「バグはそのうち修正されると思うが、修正されないうちは利用しよう」https://www.youtube.com/watch?v=NQ0SSkYPTJEこの主張は概ね正しい。5000万円まで資産を増やせば、あとは悠々自適だ。今の資本主義は、この主張が正しいくらいにバグっている。誰でも簡単に資産を増やせるバグが発生している。いつかはこのバグは修正されるだろうが、バグが修正されない限り、稼げるだけ稼いでさっさと上がった方が良い。こんなに簡単に資産が増加するなんて、イージーモードで詰まらない。株式市場ってのはこんなに生温いもんじゃない筈だ、こんなのじゃ鉄火場じゃない。アホみたいなお遊戯会は止めて、正常な株式市場に戻って欲しい。そう思っていたのがアベノミクス相場。その株価は、今ではすっかり下の方に位置していて、もう見えなくなってしまった。上手に踊れば幾らでもお金が手に入る。リスクを取れば、資産の桁がどんどん増えていく。もうこれからの株式市場はこんなもんなんじゃないか、真剣に全力で向き合わないとすぐに資産が減る鉄火場はもう戻ってこないんじゃないか、適当にやってもどんどん資産が増えていくんじゃないか、と今では達観している。
2024.01.13
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☆ 昨今、グロース株優位とかバリュー株優位とか、そんな話が話題に上ることが多くなりました。ここ暫くは10年以上に渡り、全体としてグロース株の方がバリュー株よりもパフォーマンスが高かったです。その為、今度は相対的に投資妙味があるバリュー株に資金 が集まるのではないか、金利上昇局面ではグロース株に厳しい相場環境になるのではないか、という考えの人も多いです。その考えに異論はないですが、一つだけどうしても述べたいことがあります。 株価は常に適正価格なのです。 高い、安い、というのは個々の投資家の判断であって、高いには高い理由があり、安いには安い理由があります。短期投資家、中期投資家、長期投資家、全ての視点が合わさって形成されているのが現在の株価です。現在の株価が安い、何れ上昇するはずだ、というバリュー投資家の意見には過剰に同調してはいけません。バリュー銘柄の多くが上昇す ると、バリュー投資家が自信満々に、この銘柄が安い、あの銘柄が安い、何故ならこのような理由があるからだ、というようになるでしょう。しかし、その企業の株価に価値があるかどうかはバリュー投資家が決めるのではありません。市場参加者みんなが決めるのです。 株価には絶対的な尺度などない、ということを留意して下さい。中長期的に必ずこの会社 の株価は水準訂正されるはずだ、というのはグロース株が想定通りに成長した場合に言え る事であって、低成長のバリュー銘柄に言えることではありません。株価が安いかどうかはバリュー投資家が決める事ではありません。株価は常に適正価格なのです。 ただし、ここで重要な注釈が入ります。株価は常に適正価格ですが、今日の株価と明日の株価は一致しないのです。明日の適正価格が上昇することを期待して、投資をするというのは正しい投資行動です。最初にも述べましたが、健全な欲望を基にして、将来の利益 を目的に投資を行う活動が、経済成長に繋がります。投資家それぞれで考え方が異なります。自分の考えに沿って、明日の、半年後の、或いは5年後の適正価格が今日の適正価格より高いと思うのであれば、その考えに基づいて投資行動を起こすべきです。 株価は常に短期中期長期の視点を盛り込んだ適正価格。 でも、今日の適正価格と明日の適正価格は一致しないのです。
2024.01.13
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× 多くの投資家は、株価が上がっている時に強気になり、株価が下がると弱気になるものです。株価が上がるときには上がる理由があるのと同様、下がるときは下がる理由があるものです。株価が下がってから自分が必要以上にリスクを取っていたことに気が付く、というのは良くある話です。 大切なのは、株価が好調な時でも、自分がどのようなリスクを取っているのかをしっかりと把握することです。株価が下落する前に、自分がどのような投資行動をとっているのかを把握する、これは投資家として非常に大切なことです。そして、投資環境が変わる時に自分がどのような投資行動を取るべきか、を考えておく必要があります。 株価が下落しないで上昇を続けている間は問題ありません。しかし、株価が暴落してから慌てることがないように、投資環境が大きく変わった時にどのような投資行動をとるかを考えておくことは大切です。結果としてそうならなかったからと言って、備えていたことが無駄になる訳ではありません。 備えていたことで、パフォーマンスが低下するかもしれません。しかし、自分がどのような投資を行っているのかを把握し、そうなった時にどうするか、そうならなかった時にどうするか、常にどのような投資行動を取るべきかを考え続けることは大切です。 下落する株価が元に戻るように、祈るような気持ちで毎日何もせず放置する、というの は恥ずべき行為です。 2020年2月下旬から3月中旬にかけて、コロナショックで全世界株が大暴落しました。これは約1ヵ月で日経平均が30%も下落する記録的な大暴落でしたが、僕の金融資産の減少はそこまで大きくありませんでした。2021年の終わり頃からは、金融緩和の縮小及び世界的なインフレ、そしてロシアのウクライナ侵攻があり、全世界で株価は大暴落しています。日経平均も2021年の高値から20%近くも下落しましたが、僕の金融資産の減少は1割程度で済みました。暴落に備えていたからです。 ここには含めていませんが、コロナショック時はワラントプットでリスクヘッジをしていました。このワラントプットによる利益を加えると、コロナショック時の大底ではトータルで若干のプラスでした。 (ちなみにその後の株価上昇が続いた最中でもワラントプットを断続的に買っていたため、ワラントプットの損失額が増え、最終的に300万円の損失となっています。2021年にSBI証券がワラント債の取り扱いを取りやめてからワラント債の売買は行っていません。ワラントプットを持続して買っていましたので、ワラント債の売買が行われていれば、株価が暴落した現時点の金融資産は今よりずっと大きかったと思うと少し残念です) ただし、暴落に備えていたというのはコロナショックで下落した時だけではありません。コロナショックから株価が回復し、上昇を続けてコロナショック前を大きく超過した時も、備え続けていました。保有銘柄は保守的なものが中心となり、株価上昇による恩恵をあまり受けていません。その為、2020年以降のパフォーマンスは日経平均と同程度になっています。この日経平均と同程度のパフォーマンスは、それまでのパフォーマンスと比べて見劣りします。日銀が日経ETFを持続して購入したことで日経平均を押し上げたことも理由として挙げられますが、僕の保有銘柄が株価変動の小さい銘柄ばかりとなっていたことが要因です。コロナショック前まで購入したことがなく、購入を検討したことすらない、純金上場信託(証券コード1540)や金先物ダブルブル(証券コード2036)もかなり購入したことも大きく影響しています。 純金上場信託のチャートを下記に示します。 コロナショック後に暴騰してからずっと金価格は低迷していましたが、やっと日経平均やTOPIXを上回ってきました。 大切なのは、少しでも良いパフォーマンスを追い求める事ではありません。上昇相場で良いパフォーマンスを出すことよりも、暴落相場でパフォーマンスの低下を抑え込む方がずっと大切です。 資本主義社会では、お金はお金を生みます。長期的には、時間の経過とともに投資資本は増加します。過剰なリスクを取って大きな失敗をしてしまうと、挽回するのにかなり長期間を要します。リスクの高い相場環境であるなら、なるべく資産変動を小さなものにするよう努める必要があります。 ただし、現金の割合を増やすことはオススメしません。何故なら、資本主義社会では長い目で見て一番報われないのが現金です。デフレ下が長く続いた日本ではあまり感じないかもしれませんが、普通の健全な経済環境ではインフレになります。投資しないでいると、資産は減少し続けます。長期的な視点からは、投資をすることが危険なのではなく、投資をしないことが危険なのです。これは腹の底から理解しなければいけません。 中期投資家として、いま何に投資をするべきかをもし僕が聞かれるなら、個別銘柄ではなく、純金上場信託(証券コード1540)或いは金先物ダブルブル(証券コード2036)、 または純銀上場信託(証券コード1542)をポートフォリオに入れることをオススメすると思います。 実際、現在の僕のポートフォリオは下記になっています。 特定の銘柄、業種に集中投資をしない僕が、ポートフォリオの半分を金ETFや銀ETFに投資をしています。これは今までなかったことです。 もっとも、これはコロナショック以降ずっと続いており、これが2020年4月以降の上昇相場で僕のパフォーマンスを大きく下げた主要因となっています。逆に、2022年の下落相場で僕のパフォーマンスの低下を和らげてくれた主要因でもあります。
2024.01.07
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〇 純利益を純資産で割った数値がROEです。この数値が高いほど、少ない純資産で多くの純利益を出していることになります。高いほど効率的な経営をしていることになるので良いのですが、高いROE水準を維持できる企業はとても少ないです。特に日本では、長期的に高ROEを維持している企業は極めて少ないです。そのような銘柄は、長期的に株価が上昇し、指数関数グラフのようなチャートを描くことになります。しかし、投資家の期待 しているような増収増益にならないような状況になると思われると、一転して株価は大暴落します。それまでの上昇が大きいほど、大きな暴落になります。 例えば、エムスリー(証券コード2413)などがあげられます。下のようなチャートです。 ソネット・エムスリーという名前で上場したエムスリーは、上場前からとても大きな期待がかけられていました。高PER高PBR高ROEの高成長銘柄です。何年先の利益成長を織り込んでいるのか分からないが、いくら何でも高過ぎる、いつ暴落するか分からないので僕のような投資家はとても買えない、そんな銘柄でした。 しかし、エムスリーは投資家の期待通りに、長期的に高ROEを維持したのです。高PER高PBRもずっと高いまま、利益成長している分だけ株価が上昇しました。上のチャートでは2020年の株価上昇が特別大きくてそれまでの株価上昇は小さなものに思えるかもしれませんが、実際はそうではありません。上場以来、物凄い株価上昇率を続けたのです。 このような万年高ROE銘柄を見つけられれば、資産を急増させることは容易です。投資をして放ってくだけで億万長者です。しかし、このような銘柄は特に日本では稀有です。 高過ぎるROEはいずれ低くなり、株価は急落します。その為、高ROE銘柄への投資は リスクが高くなりがちです。 それなら逆に低ROE銘柄への投資が良いのではないかと思われるかもしれません。しかし、特に日本では、長期間にわたり低ROEを続けている企業が実に多いです。5年後も低ROE、10年後も低ROEの万年低ROE銘柄です。低ROEが続く限り、株価の大きな上昇はあまり期待できません。いずれ何かの拍子で株価が暴騰することがあるかもしれませんが、上昇相場でそのような銘柄を多く保有することで、相対的なパフォーマンスが大きく見劣りするでしょう。 例を挙げればきりがありませんが、例えばサンコー(証券コード6964)などがあります。 下のチャートです。 2016年から2017年にかけて大きく上昇していますが、それ以外は低迷続きで、トー タルリターンも指数以下で決して良いとは言えません。 その為、ROE水準が上昇していく銘柄を探すのです。大きな利益を上げた銘柄として紹介した、ワールドホールディングス、G-7HD、SBSHD、JBCC HD、などはROE水準を上げた期間に株価が大きく上昇を続けました。 低ROE企業はPERやPBRが低いことが多いですが、これらが見直されて中くらいの水準になるだけで、株価は大きく上昇します。元となる利益が高くなること、投資家の評価が高くなること、の相乗効果が生まれるからです。 投資家の評価が高くなる銘柄を探す目的として、四季報も利用します。四季報の業績予想は信頼するに足るものではないと僕は考えていますが、多くの個人投資家が四季報を参考にしています。特に出来高の小さい小型株などでは、株価にかなりの影響力があることが多いです。 その為、会社の出す業績予想が四季報の業績予想よりも高い場合に、ポジティブサプライズとして株価が上がることが多々あります。そうである以上、四季報の外し方を予測して銘柄選定をした方が良い、という事になります。四季報の業績予想は四季報発売直後に株価に織り込まれますので、四季報の業績予想と違う業績予想を会社が出すと考える銘柄に投資をすれば良いのです。四季報は業績予想値を参考にするのではなく、外し方を利用する、という感じです。四季報を参考にしている投資家が多いので、そのような投資家を先回りする、という目論見です。 僕は四季報の業績予想は全く信用していません。しかし、四季報の業績予想を見て投資先を決める、四季報が外れるなら仕方ない、という単純な投資家が日本人には相変わらず多い印象を強く持っています。四季報の業績予想の外し方を予測するのは、小型株投資では特に押さえておきたいポイントです。 今、中期投資家として、ROE推移の上昇による株価上昇を狙うためにどのような企業に投資をするべきかと問われたなら、分かりません、株価は常に適正価格です、と答えます。 それでもMEANING さんならどのような企業に投資をしますか、と問われれば、しぶしぶINPEX(証券コード1605)だと答えます。乱高下しながらも、石油価格の上昇或いは高止まりは中期的に続くと考えているからです。原油先物価格の上昇によりINPEX の業績は大きく上昇し、ROE水準は大きく上昇するでしょう。それを株価はある程度織り込んでいますが、原油価格の高騰が一時的なものに終わる可能性も、まだある程度織り込ま れているように感じます。仮に、今の水準がずっと続くのであれば、INPEXの株価は投資妙味があります。 銅価格に影響しますが、日鉄鉱業(証券コード1515)も今の株価水準は投資妙味があるように思います。 ただし、両銘柄とも、長期投資はご法度です。あくまで中期投資の話です。
2024.01.04
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