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患者様から非常に良く聞かれる質問に、 目薬をこぼれる程点すと、気持ちいいし良く効く気がするのですが? というものがあります。 そしてその後に、 目薬が全然足りないのでもっとたくさん下さい。 と続くのがゴールデンパターンです。(笑) これは以前から当ブログで何度も書いているのですが、 目薬はこぼれる程点しては駄目 です。 その理由は、1. 目薬は1滴で十分効く様にそもそも設計されている。具体的に言うと、目薬は1滴が50マイクロリットルなのですが、目の中の目薬が入る部分である結膜嚢(けつまくのう)の容積は30マイクロリットルとなっている。つまり、目薬は1滴で目に対して十分過ぎるくらいの量がある。2. 目薬をこぼれる程に点すと、目の周りが目薬の成分や含まれている防腐剤の影響で荒れる。酷い場合には皮膚炎を起こすこともある。 からです。 こぼれていいのは居酒屋で注いでもらう日本酒くらいのもの で、目薬をこぼれる程点すのは百害あって一利なし、ということなのです。 覚えて置いてくださいね。
2019.06.21
毎日の外来で患者様からよく聞く訴えのひとつに上記の 車を運転すると物凄く目が疲れるのですが ? というものがあります。 それでは何故車を運転すると目が疲れるのでしょうか? それは、人間は集中して目を使うと、瞬き(まばたき)が減るからです。運転中は速いスピードの中でたくさんの情報を瞬時に処理しなくてはならないので、目にかかる負担が大きくなりどうしても瞬きの回数が少なくなります。 そしてそのせいで黒目(角膜)が乾いてドライアイの状態になります。私たちの黒目は「常に潤っていないと力の出ないレンズ」なので、カリカリに乾いてしまうと動体視力・実用視力が落ちてしまいます。そして「脳が疲れて」しまい、結果として目も疲れを感じるわけです。 それではこの運転中の目の疲れを改善するにはどうしたらいいでしょうか? まず一番単純で効果的な方法は、 意識して瞬きを増やす ことです。これで黒目に涙が供給されるので一気に目が楽になりますし、運転もより安全になります。 もう一つは、 運転の前後や休憩中にドライアイ用の目薬を点す ことです。これで涙の量を増やしたり状態を安定させることが出来るので、より快適に運転できるようになります。 是非覚えて置いてくださいね。
2019.06.11
さて毎日の診療では患者様からの様々な多種多様な訴えを傾聴している訳ですが、その中で非常に良くあるのに、 朝起きたら、目やにが出ているのですが。 というものがあります。そして、 気になるので良く効く目やに止めの目薬を下さい。(キッパリ) と言うところまでが1セットです。(笑) ところでこの「朝の目やに」なのですが、 ほとんどが寝ている間に溜まった目のウンチ(老廃物) です。目やにが大量だったり色が濃い黄色だったりした場合には病気の場合もありますが、少量で色が白っぽい場合は正常範囲と考えて頂いて良いと思いますし、目やに止めの目薬も必要ありません。 逆にこのくらいの状態で抗菌点眼薬を使うと、 目の中に住んでいる常在菌が凶暴化&耐性化して、ほんとの目の病気になったときに効かなくなってしまう と言う問題点もあります。目が「オオカミ少年」になってしまうんですね。 なので、 朝だけのちょっとした目やにならば、特に治療の必要はない ということになりますね。
2019.06.06

シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界。」今日も緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬を見ていきましょう。 5回目となる今回はレスキュラ点眼液(一般名 イソプロピルウノプロストン)です。 このお薬は以前はプロスタグランジン関連薬に分類されていたのですが、現在はイオンチャネル開口薬という別の系統のお薬に分類されています。ただざっくりといえば同じ系統なので、ここで紹介します。 さてこのレスキュラは1994年に緑内障・高眼圧症の治療薬として発売され、発売後数年はベストセラー薬として一世を風靡したこともあったのですが、「点眼時に非常にしみる」、「角膜(黒目)の上皮障害を高率に起こす」、「眼圧下降効果が弱い」などの弱点があり、1999年に同系統で更に効果が強く副作用の少ない キサラタン点眼液 が発売されると、緑内障点眼薬としての命運をほぼ絶たれ忘れ去られた存在となってしまいました。 ところがこの レスキュラは、「網膜色素変性症(進行性の病気で、最初は「薄暗い所で見えにくい」などの症状ですが、徐々にその夜盲・視野狭窄が進み、末期には高度の視力低下あるいは失明に至る)」という難病に対しての進行予防・視機能改善効果がある という論文が複数出ており、現在では「緑内障を合併した網膜色素変性症の患者様」に対して処方されるケースは割と多くあるのではないかと思います。薬の効果というのは、本当に不思議で意外性に満ちていることが多いんですね。
2019.06.03
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