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さて前回お伝えした通り、 日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼剤となる、 アジマイシン点眼液 がいよいよ近日中(9月11日発売予定)に登場します。 今日は、このアジマイシン点眼液が実際にどのようなお薬なのかを見てみましょう。 まず特徴的なのが、その使用方法です。結膜炎の場合だと、1日2回を2日間、その後、1日1回5日間。そして眼瞼炎や麦粒腫に対しては、1日2回を2日間、その後、1日1回12日間となっています。ちょっと変わっていますね。ただ非常に少ない点眼回数で効くわけであり、それが何よりもこのアジマイシン点眼液のポテンシャルの高さを示しています。 それではいよいよ実際に点眼してみましょう。 ね、粘い。!!! まるで「水あめ」の様な粘りけです。そして目に入ると、しばらくの間目がぼんやりとして見えなくなります。なるほど、これは目薬にするのに苦労したんでしょうね。こういう風にしないと、「どうしても溶けなかった。良く効く目薬に出来なかった。」ということだと思います。ただ、点し心地はそれほど悪くありません。薬の抜群の効き目を考えれば、これは十分に許容範囲だと思いますね。 さて実はこのアジマイシン点眼液、アメリカでは既に2007年に結膜炎の治療薬として発売されていました。そして我々日本の眼科専門医にとっては長年「喉から手が出るほどに欲しい」目薬だったのです。そして未確認情報では既に2010年頃には某製薬会社が日本での発売に向けて動き出していたのですが、実際には日の目を見る事はなく頓挫し、結局アメリカでの発売から12年も遅れてようやく日本でも使えることとなりました。 これは恐らく、「抗菌点眼剤の世界ではニューキノロン系が圧倒的なシェアを占めていて、元々他の系統の薬の売り上げは思わしくないし、更に悪いことにアジマイシンは点し心地が悪いので、日本では多分売れない。」と判断されたためではないか?と思うのですが、私たち第一線の眼科臨床医にとってはずっと待ち望んでいた薬であり、また前述の通り私が体を張って試した感じでもそこまで悪い点眼感触でもなかったので、個人的にはこれは売れると思います。 売れるか売れないか、恐らく大議論があったであろうこのアジマイシン点眼液を日本発売に漕ぎつけてくれた製造販売元の千寿製薬の英断に感謝します。きっと、以前の アイファガン点眼液 の時の様な、ロングセラーの、多くの患者様に愛される名薬になると確信しています。ちなみに、 緑内障点眼薬界の奇跡 とも称される、アイファガンが巻き起こした魔法については下記記事を合わせてご覧下さい。 アイファガン点眼液が、売り上げ1位のベストセラー緑内障薬となりました アイファガン点眼液が起こした奇跡 さてこのアジマイシン点眼液、待望の日本発売は現時点では9月11日予定となっています。今から登場が楽しみですね。
2019.08.30

さて前回の記事 抗菌点眼薬の大問題 では、日本の現在の抗生物質点眼剤のラインナップが非常に貧弱で、心細くて嘆かわしい状況であることを説明致しました。 でも、実はもうすぐこの現状を打破してくれる、革命的な大型新薬が登場します。 それが、日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬となる、 アジマイシン点眼液 です。 それでは早速実物を見てみましょう。 うーん、クールな外観でいかにも効きそうですね。♬ そして実際の臨床効果も凄いです。 中でも特筆すべきなのが、眼瞼炎(目の分泌腺の炎症で目の周りがただれている状態)に抜群に良く効くということです。今の第一選択薬であるニューキノロン系よりも圧倒的なパワーを発揮してくれるんですね。! ちなみにこのアジマイシン点眼液の眼瞼炎への効果については、LIME研究会の 眼瞼炎について という記事が抜群に分かりやすいので、是非こちらもご覧下さい。 まさに、日本の眼科抗菌剤治療の新たなる救世主。 それでは次回はこの超大型新薬、アジマイシン点眼液の使い方、点し心地のリアル、ぶっちゃけ薬としての総合評価はどうなのか? などを詳細に見ていきましょう。(続く)
2019.08.15
結膜炎や麦粒腫(ばくりゅうしゅ)、眼瞼炎(がんけんえん:目のマイボーム腺という分泌腺の炎症)などの治療には、抗生物質の点眼薬を用います。 ニューキノロン系のクラビット、ガチフロ、ベガモックスなどの点眼薬が有名で、皆様も眼科で処方されたことがきっとあると思います。 このニューキノロン系の点眼薬は非常に良く効きますし、ほとんどの方はすぐに症状が改善するのですが、あまりにも広く使われているために最近ではこの系統のお薬が効かない「耐性化」症例が急激に増えてきています。 そしてニューキノロン系で効果が不十分であれば他の系統の目薬を使うことになるのですが、実はその「ニューキノロン以外」の抗菌点眼剤のラインナップが非常に少ない、セイフティネットが少ないのが「現在の眼科医療の大問題」なのです。 これが何故かというと、抗生物質と言うのは「溶けにくくて目薬にしにくい」という欠点があり、それで目薬にしやすいニューキノロン系以外は急に「貧弱なメニュー」になってしまうのです。 勿論違う系統の目薬もあるにはあります。でもそれらの多くには同時に「大きな欠点」が存在します。 具体的に言うと、ニューキノロン系が効かなかった、もしくは効果不十分だった場合の多くには、第2選択剤としてセフェム系のベストロン点眼液が使われます。これは抗菌スペクトル・作用機序が異なっていてニューキノロン系が効かないばい菌に対して効果があり非常にいいお薬ではあるのですが、安定性に乏しくて「1瓶が1週間しか持たない」という短所があります。そのため治療が長期にわたる場合には毎週毎週新しい目薬に変えなくてはなりません。 それ以外だと、アミノグリコシド系のトブラシン点眼薬などもありますが、点眼時の刺激が強く、また点眼後に高率にかゆみや充血を起こしてくる気難しい目薬であり、眼科専門医としての観点から見ると、「リスクとリターンのバランスが非常に悪い。いいお薬では全くない。」という評価となります。 以上をまとめると、 抗菌点眼剤の世界には大きな問題がある。ニューキノロン系の目薬は王様的な存在で良く効くけど、耐性化で効かない症例も急激に増えてきているし、万一の場合の、王様の控え・セイフティネットとなる有力な点眼薬が極端に乏しい ということになります。これほどまでに医学が進歩しているのに、2019年8月現在の日本の眼科点眼治療の現状は、実はこういう残念な有様である、ということなんですね。(続く)
2019.08.08

暑い毎日が続きますね。 さてクリニックの方では以前からお知らせしていますが、 8月9日(金)の午後から8月15日(木)まではお盆休みとさせて頂きます。尚、8月16日(木)からは通常通りの診療・手術を行います。 ちなみにお盆休みについては開院以来色々なパターンを試しました。最初の頃にはあまりお休みを頂かずに頑張って開けていたこともあったのですが、なんとその時に、「開院来で最小の外来患者様数」を記録しました。(笑) そしてこの時の経験から、「なるほど、お盆と言うのはやっぱり休みべき時期なんだ。そもそも患者様からの需要もあんまりないんだ。」と深く体感&納得致しました。 その後患者様にも色々とお伺いしていると、「お盆は子供や孫が都会から帰って来るから、病院なんかに行ってる場合じゃない。準備することがたくさんあるし、何だったら1年で1番忙しい。」との意見が大多数でした。 そういうこともあり、この数年は当クリニックも「長めのお盆休み」を取らせて頂くようにしています。ちなみに、街に「お盆休みに医療の需要が乏しい」ことの当然の反動として、お盆前の外来は例年大変な混雑となります。スタッフ一同全力で頑張りますが、少しお時間の余裕を持って受診して頂けると幸いです。
2019.08.04
毎日の外来で患者様からたまに聞く質問のひとつに上記の コンタクトレンズが目の裏側に入り込んでしまわないか、心配なのですが ? というものがあります。 これは素晴らしい質問です。確かにコンタクトレンズが目の裏側の中心部の方に入り込んでしまったら、取れなくなりますし、それはとても大変ですね。 でも実は、 目の中は結膜嚢(けつまくのう)という袋状の組織になっていて、コンタクトレンズが入り込むスペースには限界がある のです。 なので、決して「目の裏側」まではコンタクトレンズは回り込んだりしません。ご安心くださいね。
2019.08.01
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