ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Sep 8, 2006
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「疑問」

 今日はルース(チェロ)とセス(ピアノ)とともにトリオの練習をした。一曲めは例によってモーツァルト。

 まず、冒頭、ピアノの長い独奏で始まるのには驚かされる(序奏ではなく独奏)。
 全体的に決して弾きやすい曲ではない。1楽章の後半なんて、上昇音階の大合戦。ピアノの左手 vs チェロ、そして、ピアノの右手 vs バイオリンの一本勝負。しかも臨時記号の嵐。
 バイオリンとチェロ同士が絡むとこすらあまりなくて、三度でハモるとこが2楽章にかろうじてある。
 3楽章(終楽章)の変奏曲は、全曲のなかでは一番楽しいかもしれないけど、ルースやセスが絶賛するほどには僕は好きになれなかった。強いて挙げれば、第四変奏、短調かつ単調な四分音符の羅列で、ちょっと切ないチェロのソロがいい。

 言い訳させてもらうと、このK496、どうもモーツァルトのトリオにしては、「らしく」ないと思う。
 三人の共同作業の部分がないわけではないけど、編曲モノのような印象を受けるのだ。ピアノ協奏曲みたいなところもあるし、オペラのアリアに出てくるような木管楽器のちょっとした「合いの手」っぽいとこもあるし。
 勝手な疑問ではあるけど、この曲はほんとうにモーツァルトのオリジナル作品なのだろうか? ちょっと不完全燃焼のまま演奏を終えてしまった。





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最終更新日  Sep 13, 2006 10:52:28 AM
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Re:モーツァルト: ピアノ三重奏曲 G K496(09/08)  
ともも1115  さん
楽譜見てみました~。本当に元はピアノソナタだったんじゃないかと言う印象ですね。
作曲された時に何かこうなってしまう事情があったのでしょうか。ピアノの生徒の練習用に書いたとか?? (Sep 15, 2006 10:28:35 PM)

ピアノの生徒の練習用?  
ともも1115さん
ピアノの生徒の練習用とは鋭いご推測ですね。さすがです……。
絶対原曲は何か別のような気がして、後日いろいろと文献をあさってみたのですが、やはりオリジナルのピアノトリオとして書かれたようです。僕の勘は外れてしまいましたが、自分にとってはやっぱり変な感覚のする曲です。 (Sep 20, 2006 08:29:35 AM)

Re:モーツァルト: ピアノ三重奏曲 G K496(09/08)  
ともも1115  さん
先日、BSで放送されている”毎日モーツァルト”と言う番組でこの曲が採上げられました。で、判明したことをご報告致します。
この曲は、当時交友のあったオランダ人の植物学者ジャカン家の為に書かれたそうです。
弦楽器(だったかな)を嗜む家主ジャカンはウィーンで植物学の教授をしており、その邸宅は現在ウィーン大学の植物学科の校舎となっているとのこと。
ジャカンの息子はバス歌手でモーツァルトとは親友で、娘はピアノが上手でその娘のために長い序奏が書かれたみたいです。
ピカルディーさんのお陰でまた新たなモーツァルトの一面を見ることが出来ました! (Oct 2, 2006 12:17:27 PM)

ありがとうございます!  
ともも1115さん
コメントありがとうございます! 実は、この曲については自分なりに文献を漁って調べてはみたのですが、何の情報も得られずに諦めてたとこでした。
てっきり何かの編曲かと思ってましたが、とももさんご推測どおり、特定の若いピアノ弾きのために書かれてたわけですね。お見事です! (Oct 10, 2006 07:35:04 AM)

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