ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 19, 2006
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「汚れっちまった悲しみに」

 今日はカルテットの練習日。はじめにベートーベンの1番を通した。(第1バイオリン:僕、第2:マックス、ビオラ:マリリー、チェロ:マーディ)

 偶然、別の団体でこの数ヶ月間取り組んでいた曲で、 つい先週もレッスンしてもらったばかり 。合わせるのは通算七回めになるわけだから、いいかげんにそろそろ曲の感じをつかめてきてもいいはず。だけど、メンバーが違うと勝手が違うし、そもそもベートーベンはそんなには甘くはなかった。結局今回もがむしゃらに弾いてしまい、自己嫌悪……。

 この作品は隠れた名曲と言っていい。レパートリーにしてる人も多いかもしれないけど、四人の奏者がパッと集まって、勘と感性でサッと 弾き逃げ できるような曲では決してないのが特徴か。

 例えば1楽章冒頭、最初の二小節をどう弾くべきかでまず途方に暮れる。弓づかいにしても、アップで始めるかダウンで始めるかで必ず四人の意見が対立する。
 終楽章のテンポにしてもしかり、超高速を好む人と、地に足の付く程度の速さで弾きたい人とに分かれてしまう。
 3楽章のトリオにいたっては、意見の対立というよりも、自分の音色や音程が他人と溶け合ってないようが気がして焦る。



 やっぱり2楽章アダージョは、重すぎて暗すぎて切なくて、哀しくなる。汚れっちまった悲しみに、今日も小雪の降りかかるイメージ。白黒またはセピアの冬景色。

 この曲、真夏に弾いてたら違う感想を持ってたかもしれない。





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最終更新日  Dec 22, 2006 10:31:52 AM
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