ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

May 25, 2007
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「Wの悲劇」

 今日のトリオの練習では、まず初見で弾けそうな曲でウォームアップをということになり、モーツァルトの譜集の最初にあるK254が選ばれた。

 彼のトリオのなかで一番簡単に違いない、そう思って気軽に臨んだら、これが大間違い。
 ベートーベンのトリオ作品1のような弾きにくさがある。音域が低めに書かれていてバイオリンらしさを出しにくいというのもあるし。音楽が自然に鳴ってくれない。曲が助けてくれないぶん、裏の裏まで計算して音を発しなきゃいけない。

 1楽章を中途ハンパなテンポで弾いたのがいけなかったのかもしれない。弓のコントロールに終始翻弄されてしまったし、そもそも感情移入できなかった。こういう8ビートって、すごく苦手。しかも三拍子だし。

254

 2楽章はあまりに遅すぎる。拍を勘定するのに精一杯。

 強いて言えば終楽章(3楽章)が楽しめたような気がする。だまってても音楽が流れてくれた。

 ちなみにピアノ弾き(セス)はこの曲を絶賛なさってた。1楽章も2楽章も素晴らしいとのこと。チェロ弾き(ポール)は、ひたすら脇役に廻されてあんまり面白くなさそう。彼は開き直ってしまい、投げやり状態(笑)。

 ポールとは初対面だったし、しょっぱなから恥をかきたくなかったけど、バイオリンの自分としては見事に完敗。



 それにしてもモーツァルトのトリオを甘く見てた自分が情けない。 モーヲタ の自負もあったし、彼のトリオは一応全曲(軽く)把握してたつもりだったけど、この曲だけは見逃してた。ディベルティメントと呼ばれてるから、正式な三重奏曲として数えてなかった(←言い訳)。

 ふと過去の出来事を思い出した。
 この曲、実を言うと二十歳ぐらいの頃に一度弾いたことがある。ピアノを専攻してる友だちの招きで音大に遊びに行き、練習室に忍び込んでは、音大生と合わせてみたのがこの曲。結局、自分(バイオリン)のせいで途中で崩壊。譜読みが全然できてなかったし、もうグチャグチャ。

 彼らが僕の練習に付き合ってくれることはその後二度となかった……(笑)。そのときのピアニストは今や世界を股にかけ活躍してる!

 この曲は自分にとってはトラウマ。今後一生悪いイメージがつきまとうと思う。大人げないとは思いつつ、このK254、二度と弾きたくない……。

 神童ウォルフィーをなめたらあかん、ってことか。





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最終更新日  May 27, 2007 09:46:19 PM
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