ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Aug 9, 2007
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 先日、ピアノの譜めくり師としてニューヨークの音楽界に華々しくデビューしてしまったワタクシ。改めて譜めくりの難しさを痛感しました。

去年観た映画「楽譜をめくる女(ひと)La Tourneuse de pages」 にも描かれてましたが、譜めくり役はどうやらピアニストにとっては好き嫌いや相性があるらしく、単なる「便利なお手伝いさん」ではすまないようであります。下手な譜めくりさんだったら、なにもわざわざ頼まずに自分でめくったほうがマシというか。

 譜めくり道は意外に奥深いのです。一朝一夕に身に付けられる簡単な技術じゃない。譜めくり三年、柿八年、場数を踏んで究めていくしかありません。

 そして単に楽譜が読めるだけじゃなく、実際にピアノが弾ける人のほうがやっぱりいい。というのも、楽譜をどの程度先まで読みながら弾いてるかを感じ取る必要があるから。
 ピアニストって、常に何拍も先の音符まで見ながら弾いてるようなのです。単音だけ追えばすむ楽器の人より一歩先を読んでます。音符の数も多いわけだし。

 今回僕が譜めくりを担当したピアノ弾きさんも、例えばアンダンテぐらいの曲で二小節近くも残ってるのに、Turn now!(=「さっさとめくれぇ、このボケぇ!」)という合図を送ってくるので驚きました。僕が思ってたよりずーっと早い。

 めくるスピードも大事。音を立てずに一瞬で。ページ右上の端をつかみ、45度ほど軽く折って、一気にサーッとめくる。つかむ、折る、めくる。いち、にの、さんっ、のリズムであります。

「早く、かつ速く」が譜めくりすとの心得の筆頭に挙げられませう。



 でも、今回のリサイタルで意外に悩んだのは、舞台上での立ち振る舞い。
 舞台に出るタイミングだとか降りるタイミングとか。主演ではない僕が絶対に目立ってはいけません。三歩下がって氏の影踏まず。

 演奏の前や後に奏者がお辞儀して拍手をもらってる間はどうしていればいいのでしょうか。自分だけ座ってるのもナンだけど、一緒にお辞儀して拍手をもらうわけにもいかないし(笑)。





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最終更新日  Aug 10, 2007 04:26:36 PM
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