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■A House Is Not A Home / Burt Bacharach9月にはいろいろな人が亡くなったな。ウォーレン・ジヴォン、ロバート・パーマー…死ぬ最後まで若い女性と一緒だったというところが、いかにもパーマー。ジヴォンは末期がんでもう長くはないという事は聴いていたが、アルバム発表の直後、午後の仮眠からそのまま帰って来ず、安らかな眠りについたらしい。最後のアルバムはゲスト陣も豪華な顔ぶれが揃っていて結構楽しめる。今日もレコード店をいつも通り巡回してきたのだが、その中であやしいものがあった。Bill Evansの『Symbiosis』というLPなのだが、ジャケに彼の名前のサインが入っている。…これ本物?12,000円と、相場よりもかなり高めの設定になっているがサインに保証は何もない。とりあえず、隅っこに隠してきたので、もう少し考えよう♪(買うかも)今日はエヴァンスもサイドで参加している、Lee Konitzの『You And Lee』を買ったのでこれで満足♪これのレビューはまた今度書いてゆこう。今日はちょっと聴き比べをば。同じ曲でアーティストが変わるとどうかなあと、比べてみた。A House Is Not A Homeで私が持っている音源はLuther VandrossMavis StaplesBill Evans TrioMel TormeDionne WarwickBurt BacharachTamyra Grayといったアーティストで当然エヴァンスはヴォーカルなし。バカラック名義では3テイクあった。まあ、バカラックの作曲だから当然か。映画『オースティンパワーズ2』でも使われていた。ってか、これは元々『禁じられた家』という映画の主題歌だったものだ。まあ、悲しい内容の映画かな…ある女性の物語だったはず。映画の公開後、ブルック・ベントンとディオンヌ・ワーウィックがほぼ同時に発表。ベントンのものもあったはずなのだが、見当たらない。ロリンズもやってたはず。”家は家庭ではない”まあ、当然のことなんだが(笑)この曲は完成された形をもっているようで、エヴァンスもそれほどアレンジを加えてない。唯一、ヴァンドロスが例によっての長回しで7分間を超えてるくらいだ。バンドロスはマライアとのデュエットなどが有名だけど、絶対ソロのほうがいい。マライヤはオクターブしかウリがないしな。バンドロス、5月に脳卒中で意識不明の状態になったと言う情報は入ってきたがそれ以降、回復したのだろうか…。まだまだ、これからもいい曲を聞かせてもらいたいのだが。メイヴィス・ステイプルズってーと、ヒップホップがメインのアーティストかな。エヴァンスのはファンタジーレコードでの最終作『I Will Say Goodye』のラストに収録されている。アルバム名もこの曲がラストに来るという事も、どちらもなんだか意味深。タミラのは以前、自分でチャットルームを開いてた時のエンディングに多用していたなあ。これは結構スキ。あ、いかんいかん、1時回ってる…寝なくては…
2003/09/28
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■Wild Child / Valerie Carter(1978)おとついのセミナー講師でしゃべり過ぎたので、喉がガラガラになってたのがようやく復活♪自分のペースで進められたから、調子に乗ってしゃべりすぎた。最近MP3の整理にかかっているんだが、なかなか進まない。CDでも全部MP3にはしてないんだけど、それでも10,000曲を超えている。ビットレート320kbpsにしてるとHDDもすぐにいっぱいになる。メディプレなんかの音質と違い、CARRY ONは音もいいので、低ビットレートではもったいない気がするし、まあいいか。スピーカーも十分ならしが出来たからか、よくなってきた気がする。秋の冴え冴えと光る月光に照らされ、心地よい音楽に酔う…月は、持って生まれた、原初からの悲しみの感情を呼び覚ます。その悲しみを音楽で埋めようか。久しぶりにJAZZからそれてみよう。先日、ある人から聞かせてもらった、マンハッタンズの追憶がよかったので、昨日今日はいろいろと聴いてみた。その中でマイナーなところを1つ。ヴァレリーはアルバムを発表して活動していたのが70年代後半、今日では半分忘れられた存在かもしれない。80年代に入ってもクリストファー・クロス、アル・クーパー、エディ・マネーといったアーティストのバックで活動していたけど、そのアーティスト自体が今日ではもうマイナーだしなあ…竹内まりやトリビュートという”過去に一流だった人たちを安く集めてアルバムを作って儲けよう企画”にも参加してたっけ。このアルバム、LPでも持ってたけど、ほぼ実物大の顔が凄く印象に残っている。ハウディームーンで活動したあとを受けてのソロ2連作。バックは豪華にグレイドン、ポーカロ、ハンゲイトと前作『愛はすぐそばに』とはまた違うメンバーが揃っている。(前作はローウェル・ジョージ、モーリス・ホワイト等ソウル色が強かった)メンバーを見てわかるようにAOR色が強い。恋愛に戸惑う女性の歌、『Crazy』。ギターソロが印象的だな。これはグレイドンかレイ・パーカーJrか?アップテンポな曲から一転、『Da Doo Rendezvous』。ソロを取るレイ・パーカーJr、サイドに控える、ルカサー、フレッド・タケットと凄いな…ジェームス・ニュートン・ハワードのエレピがいい『Taking The Long Way Home』。乾いたサックスが都会的。ただ、私はこーいうサックスはあまり好きではないんだな…前作に近い感じの『The Story Of Love』。このブラスは当時の流行りものかな。どうしてもサイドのメンバーに耳が行ってしまうのだが『The Blue Side』は深みのある、ヴァレリーの声の特徴がよく出ている。バックミュージシャンとしてハーモニーにその声を生かす仕事が多いが、ソロでも生きている。最後はタイトル作『Wild Child』。大人の恋を静かに歌い上げてゆく…この後、彼女はハウディームーンとして1枚発表したが、あとはバックボーカルとしての活動が長い。何度か来日しているが、ぜ~んぶ誰かのバック(笑)また、ソロを出さないかなあと願っている。需要は少ないだろうけど、彼女の声、結構いいんだよなあ…1.Crazy2.Da Doo Rendezvous3.What’s Become Of Us4.Taking The Long Way Home5.Lady In The Dark6.The Story Of Love7.The Blue Side8.Change In Luck9.Trying To Get To You10.Wild Child
2003/09/23
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今日、9月15日はビル・エヴァンスの23回目の命日だ。最後までJAZZを追いつづけたその姿、今も色あせることない。JAZZとの出会いはロリンズからだったが、自分がここまで音楽にのめりこむきっかけとなったのは、やはりエヴァンスだ。彼の音楽に出会ってJAZZを目指し、そして彼の音楽の素晴らしさにJAZZをあきらめた。自分にはこんなフレーズは紡ぎだせないと。彼がその時に、何を、どう表現したかったのかが私の最大の関心事だ。自分を構成するかなりの部分に影響を与えている。純粋に音を追求しつづけた彼は、死をも恐れず、演奏活動に打ち込んだ。残された時間がわずかであることを、自覚していたのだろうか…日付も変わってずいぶん経つ。今日、この日の最後は、ラファロへのレクイエムともいえる、ラファロ事故死直後のDanny Boyをエヴァンスへの鎮魂歌として送ろう。
2003/09/15
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■The Last Waltz / Bill Evans(1980)さて、これが現存するエヴァンスの最後の音源だ。キーストンコーナーの最終日、その演奏についてはもういいだろう。マネージャーのヘレン・キーン曰く「ビルはそこに出演している間中、自分の演奏に不満足で、録音されていることも聞かされてなかった。その音源の発売は絶対に許可しなかったでしょう」とのこと。確かに通してみると、エヴァンスとしてはクオリティは低いかもしれない。伝記を書いたピーター・ペッティンガーは「インスピレーションが下がってゆく過程を明らかにしている。最終日の日曜(この時点で、この月曜の演奏は発見されてなかった)には閃きの大部分がなくなってしまっているようだが、演奏はプロとしてのレベルの最下層以下には決してならない」と評していた。この演奏を手放しで"素晴らしい"と誉めるほど楽天的ではないつもりだが、どうしてもこの演奏は冷静な判断で聞けてない。浪花節、カツオブシの臭いがプンプン匂うようできらいなんだが、どうしても冷静になれていないと感じる。テクニックを超越したところで弾く彼のピアノが琴線に響いてくる。エヴァンスは自分自身の演奏に対しては厳しかった。そんな彼がこの演奏をどう思っていたか…ヘレンの言うとおり、本人としては公開して欲しくはない、レベルの低い演奏だったかもしれない。「テクニックの80%はどこかに行ってしまった。」と本人が語るこの演奏。常に技術を高めようとしていたエヴァンスがそれを失って、表現者としての最後の執念のみで演奏を行っている。精神状態はいいようで、体調の悪さをそれがカバーしてるとも言える。これは辛酸を嘗め尽くした者だけが表現を許される孤高の世界というのだろうか。友を失い妻を、そして兄までも…ボロボロになりきってもその演奏には聞くものに訴える力がある。テクニックだけの演奏には感動はない。そしてここにはテクニックを超えた感動的な演奏がある。それで、いいと思う。いや、それだけで。The Last WaltzSeptember 8,1980(Monday)1.Letter To Evan2.My Man’s Gone Now3.34 Skidoo4.Spring Is Here5.Autumn Leaves6.Knit For Mary F.7.Nardis
2003/09/08
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■The Last Waltz / Consecration / Bill Evans(1980)昼間にスピノザの『エチカ』を読んで頭がウニになってます。CDやMP3ファイルの整理をしてたら、1日が終わってしまった…MP3にしてあるファイルを見て、貸したまま帰ってきてないのを思い出したCDが数枚…誰に貸したっけ。このキーストンコーナーの前の週にエヴァンスがインタビューを受けていた時の発言だが、トリオという形態に強く惹かれるのはなぜかとの問いに「私が音楽全体をコントロールできるという事が大きい。音楽を形作るのも、テーマを掲示するのも、演奏の流れをキープするのも、全て私だ。それに、とリオだと言葉を交わす必要がない。音楽を通して自然にお互いの考えが伝わる。グループにとって、そしてオーディエンスにとっても、純粋に音楽的な体験を得られるんだ」と答えていた。ソロ、オーケストラとの共演、カルテットといろんなフォーマットでの演奏のあるエヴァンスだが、最後の1年間はトリオ以外のフォーマットでは記録に残っていない。最後の”トリオ以外”のフォーマットは実兄ハリーへの追悼盤「We Will Meet Again(August、1979)」だ。兄に送ったその言葉は1年後現実のものとなる。全てが現実として存在する今、結果論としていう事はたやすいが、自分がもう長くはないと悟ったエヴァンスはその最後の力を振り絞ってトリオの追求にかけたのだろうか…それは彼しか知りえないことだが。「Consecration」の発売された当初は、今日9月7日がこのキーストンコーナーでの最後とされていた。その発売の11年後、2000年に「The Last Waltz」が発売されて、最後にもう1日存在することがわかったのだが。エヴァンスはかなりの部分で消耗し尽くしている。"精神が肉体に先行してる"とは誰の評だったか…『Emily』も全盛期の演奏と比べるとリズムは同じだが、音数を増やしてつじつまをあわしているように思えるところがある。ジョンソンの役割は更に重みを増しているといえるだろう。『Polka Dots And Moonbeams』で体が温まったのか少し軌道修正(笑)息切れのようなフレーズはあるが。エヴァンスのプレイを確かめてそこにジョンソン、ラバーバラがあわしてきているように感じる『Days Of Wine And Roses』。ジョンソンのソロがすばらしい。客席からも思わず拍手が。ラバーバラのほとばしる情熱。エヴァンスのピアノもあわせてヒートする。セットの終わりは『My Romance』で。メロディを分解する手法は変わらない。セカンドセットへ。『My Foolish Heart』愚かなりし、わが心から…『Nardis』を2曲目に持ってくるとは珍しい。この曲を演奏することで自分を奮い立たせようとしてるかのようだ。『Mother Of Earl』は普段のレパートリーにはない曲だ。自分の持つ音源でも、あわせて4回しか演奏してない。『Waltz For Debby』のこの変わり様…『Five』で、この日の演奏も終わり。ダイナミックレンジがかな~り広い。ConsecrationSeptember 7,1980(Sunday)1.Emily2.Polka Dots And Moonbeams3.Like Someone In Love4.Your Story5.Days Of Wine And Roses6.Knit For Mary F.7.Who Can I Turn To(When Nobody Needs Me)8.I Do It For Your Love9.My RomanceThe Last WaltzSeptember 7,1980(Sunday)1.My Foolish Heart2.Nardis3.Mother Of Earl4.If You Could See Me Now5.My Man’s Gone Now6.Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me)7.Waltz For Debby8.Spring Is Here9.Fiveさて、あと1枚。それがエヴァンスの現存する最後の音源だ。一番最後の仕事、途中で倒れたファットチューズデイの音源は今後永遠に出てこないのだろうか。それともどこかに残されているのだろうか…残されているならば是非聞いてみたい。
2003/09/07
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■Consecration / Bill Evans(1980)今日も仕事で疲れましたですです…PC起動しなくなって、リカバリで無駄な時間をつぶしました…自分だけで使ってるPCは大丈夫なんだけど、何人かで共用で使っているものはどうも皆、使い方が荒い。最後のドラマも7日目…ラストトリオまでのエヴァンスは、あくまでも内に向かっている音楽だったが、このキーストンコーナーでの演奏は少し違う。彼をエヴァンスたらしめた音は減退し、性急に走る。これを無条件に傑作だと褒め上げることはしてないつもりだが、その音の中身を理解するにつれ、その壮絶さに言葉をなくす。「The Last Waltz」のほうは昨日聞いた、Disc5に収録されていて、今日の分としてのディスクはない。冒頭で、エヴァンスのみを紹介してるけど、あとの2人のはないな(笑)キーストンコーナーも前半日程では普段あまりやらない曲もあったが、消耗して新しいことをすることが困難になってきたからか、レパートリーは固定化されてきている。…まあ、聞き手の方も仕事の疲れがどんどんたまってきているから丁度よいか(笑)ダイナミックさが荒っぽさにかなり移行してきているな、と感じる。それでも一定のクオリティは保っている。しかも、並よりも高いレベルで。演奏はかなり走ってるな…でも『Laurie』はいつものように美しい。…『Bill’s Hit Tune』はペダルを多用しすぎか。『Days Of Wine And Roses』でのくどいまでの反復、これがこの時点での彼に出来る全てだったのだろう。粘りつくかのようなピアノ…他の2人もそれに応じて激しさを増す。転調する度にヒートしてゆくような…ConsecrationSeptember 6,1980(Saturday)1.Re:Person I Knew2.Laurie3.Bill’s Hit Tune4.The Two Lonely People5.Song From M・A・S・H6.My Foolish Heart7.Days Of Wine And Roses8.But Beautiful…打ちかけのまま寝てしまった…
2003/09/06
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■The Last Waltz / Consecration / Bill Evans(1980)週の前半と比べると、過ごしやすくなったな…なんだかんだで日記続いてるなあ。エヴァンスはその死後に評価の上がった、たぐい稀なる例と言えるのではないだろいうか。少しくらいなら評価が上がることはあるが、ここまで上がる例は他にはないと思う。死後に音楽が熟成されるなんてことはない。それは聞き手のスタンスが変わったというか、意識が深化したといえるだろう。たとえばこれら晩年の録音はどれも荒っぽさがあり、かつての演奏と比べると完成度は低い。でもそこにある音にこもっている、気迫のようなものが素晴らしい。耽美的な面ばかりが評価されがちだが、それだけがエヴァンスではない。『Re:Person I Knew』はハバードのいた「Interplay」の時のバージョンで流れてゆく。まあ、今回はトリオだけど。演奏が進んでいくにしたがって、ミスタッチが散見される。でもそれを恐れている風でもなし。パリコンサートで再び生への執着をよみがえらせた彼は、感情的に無防備になることをも恐れていないようだ。『Emily』から『Laurie』にいたる流れの、なんと美しいことよ。「The Last Waltz」へ。『Up With The Lark』『My Foolish Heart』『Nardis』は翌6日の演奏からだ。『Emily』でのジョンソンのベースは素晴らしい。エヴァンスの意図するところを理解して高度な演奏で応じる。そしてそして、私が一番好きな曲の一番好きな演奏、『Days Of Wine And Roses』ちなみに原曲は「酒と薔薇の日々は遊んでいる子供のように笑いながら走り去る。Never More(もう決して)とかかれたドア。寂しい夜の始まり。そよ風が思い出を運んでくれる…」というような歌詞だ。やはりジョンソンはいい。この疾走感が好きだ。もうこれ以上アップテンポには出来ないというくらいに、前のめりになっている。短3度に上がるところも尋常ならざる気迫が見えるような気がする。この躍動感…この情熱はどこへ向かうものなのだろうか…消え行こうとしているイマジネーションの最後の一滴までしぼり尽くそうとするかのような、演奏だ。ConsecrationSeptember 5,1980(Friday)1.Re:Person I Knew2.Tifany3.Knit For Mary F.4.My Foolish Heart5.Who Can I Turn To(When Nobody Needs Me)6.Emily7.Laurie8.You And The Night And The MusicThe Last WaltzSeptember 5&6,1980(Friday&Saturday)1.Mornin’ Glory2.Emily3.Knit For Mary F.4.Days Of Wine And Roses5.Up With The Lark6.My Foolish Heart7.Nardis8.But Beautifulさて、明日も書けるかな…仕事、早めに終わるか(* ̄m ̄)m ̄)m ̄)m ̄)プッ
2003/09/05
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■The Last Waltz / Consecration / Bill Evans(1980)今日はすこーし過ごしやすかったな♪秋という季節はエヴァンスを連想させる。ラストレコーディングの聞き比べ、5日目に突入してしまった…私にとってのベストはやはりこのラストトリオだ。ラファロ、モチアンのトリオもいいと認めた上でこのトリオを押す。そこには音楽以外の要素も入っているかもしれない。ラストレコーディングという言葉のもつ重みは否定しようがない。そーいった、2次的なものを含めて、このトリオが一番好きだ。生涯変わらぬエヴァンスの美学。それは声高に語るものでもなく、本人がそれと決めて、わかる人にだけわかればいい。残念だが、わからない人には伝えようとは思わない。「芸術一般に関する私の信条は、それが魂を豊かにするものでなければならないという事だ。一人の人間にそれがなかったら発見できないようなその人自身のある部分を見せることによって、精神的に教化するものでなければならないということだ。」とは彼のセリフだが、私は彼のこの音楽によって、心豊かになりもし、新たなものを発見しもする。亡くなった表現者の数だけ、ラストレコーディングは存在するわけだが、その中でも記憶に残るものは少ない。言葉の重みが、オーディエンスに影響を与えはするものの、それが全てではないという事だろう。内容や表現者の技量が伴なってこそのものだ。加齢や病から来るものが、その成功に大きな影響を与えているが、この作品はそれらを克服した、数少ない価値ある作品だと思う。3人の紹介を終えたあと、『Up With The Lark』は静かに回転してゆく。永久に回りつづけると錯覚するかのようなピアノ…しかし当然のことながら、物事にはいつかは終焉がやってくる。愛演曲の1つ、『Mornin’ Glory』高音域から綺麗にメロディをつむぎだしてゆく。そのままの流れで『Polka Dots And Moonbeams』へ。62年の原曲と比べると、かなーり自由になったと感じる。内声2度の使い方がなんともいえない。上手いというか、これは自然に出てくるフレーズなんだろう。この和音の美しさは自分には出せないな。『Emiry』のテーマから入ってゆく…旋律を分解しながら同時に再構築している。よくこんな芸当が出来るものだ。ファーストセットのトリは終生の愛演曲、『My Romance』変則リズムを多用するテーマはこの時期よく使った手法だ。彼がその生涯の一番最後に演奏した曲だ。その最後の演奏は、マーク・ジョンソン曰く、「もう言葉では言い尽くせないほど胸に迫る演奏だった。終わってしばらくは涙が止まらなかった…」とのことだ。セカンドセットに入る。オリン・キープニュースにささげられた、『Re:Person I Knew』アナグラム遊びだ(笑)エヴァンスの3拍子には名演が多い。この『Tifany』もそんな名演を生み出し続けてきた曲の1つだ。変則的なアクセントのコンピングを多用しながらフレージングで演奏を作り上げてゆく。ちなみに曲名はジョー・ラバーバラの娘の名前からだ。『Polka Dots And Moonbeams』『Like Someone In Love』『Your Story』『My Romance』と、この日2度目の演奏の曲が並ぶのは疲れからか。『Someday My Prince Will Come』の右手の動きの速さ…生き急いでいた彼の姿にダブって見える。このテンポアップは極限かな。ジョンソンもそれによく応じている。『But Beautiful』で最後はクールダウン。ミスタッチ、ディスコード…それらは恐れるべきものではないと、彼は語っているのか。確かにそれらは演奏の素晴らしさに対して、大勢に影響は与えない。綺麗にクロージングが決まっている。ConsecrationSeptember 4,1980(Thursday)1.Up With The Lark2.Mornin’ Glory3.Polka Dots And Moonbeams4.Like Someone In Love5.Turn Out The Stars6.Your Story7.Emiry8.I Do It For Your Love9.My RomanceThe Last WaltzSeptember 4,1980(Thursday)1.Re:Person I Knew2.Tifany3.Polka Dots And Moonbeams4.Like Someone In Love5.Your Story6.Someday My Prince Will Come7.Letter To Evan8.My Romance9.But Beautifulさて、誤字脱字が結構あるという指摘を受けたけど、今日はどうかな…まあ、気が向いたら訂正するかも(書き逃げ)
2003/09/04
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■The Last Waltz / Consecration / Bill Evans(1980)今日も暑かった…(/////∇/////)カァァ毎日聴きつづけているが、私にとってエヴァンスの演奏は飽きる暇がない。演奏の完成度としては、この作品は彼のクオリティとしては並以下かもしれない。だがそんなことはどうでもいいと思える。なんと壮絶な演奏だことよ。マーク・ジョンソン曰く、「死ぬ2週間前のキーストン・コーナーはまさに特別な心に染み入る演奏だった。客席は取り付かれたように静まり返って聴き入っていた。テープに残して置けなかったのは残念だ。」と語っていた。晩年のエヴァンスの演奏は、技術面では衰えを見せていたのかもしれない。全盛期の演奏と比べると、何かが内面から変わっている。技法的にいうと、ダイナミックレンジが広くなった、メロディとリズムとの置き換えの多用等々…それはこのトリオに出会ったがゆえに寄るものか。高木宏真氏のいうところの"エヴァンスが病魔に負けてドキュメンタリー"は進行してゆく。テクニックを超えた感動的な演奏でもあり、それが素晴らしいかどうかは他人が決めるものではないのかな。この日のファーストセットも定番『Re:Person I Knew』から。何か目立つものがあるというのでもないが、気持ちがかな~り技術に先行していっているような…『Tifany』は相変わらず美しい。途中、ジョンソンが上手く引っ張ってゆく。深い叙情をたたえた演奏だ。『Your Story』が表現する世界は日を追うごとに幅広くなってゆく。悲しみも喜びも全て含有したいい演奏だ。あとは喜びしか残ってないというところまで悲しみを表現している…この日の『My Romance』は少し、抽象的な方向に振っているか。夜の部に入る。これまであまりレパートリーに入っていなかった曲が並んでいる。もともとエヴァンスは曲についてはそれほど思い入れ等があるわけではなく、よい演奏を引き出すための材料でしかないという面も強いが…このセットはあまりにも消耗しすぎていたのか、いつものような過度の繰り返しが見られないように思う。『The Two Lonely People』の演奏は昼との対比が興味深い。昼には決まらなかったコードの置き換えが綺麗に決まっているような…体調とは裏腹に精神力が充実していることの証明か。『A Sleepin’ Bee』『haunted Heart』はこの頃にはあまり演奏されなかった珍しい曲だ。『Five』でこの夜は終わる。ConsecrationSeptember 3,1980(Wednesday)1.Re:Person I Knew2.Tifany3.Polka Dots And Moonbeams4.Song From M・A・S・H5.Your Story6.Like Someone In Love7.Knit For Mary F.8.The Two Lonely People9.My RomanceThe Last WaltzSeptember 3,1980(Wednesday)1.Yet Ne’er Broken2.Spring Is Here3.Who Can I Turn To(When Nobody Needs Me)4.Letter To Evan5.If You Could See Me Now6.The Two Lonely People7.A Sleepin’ Bee8.haunted Heart9.Five半分まで聴き終わったけど、さて後半分書けるかな…
2003/09/03
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■The Last Waltz / Consecration / Bill Evans(1980)今日の京都はこの夏一番の暑さだったらしい。キーストンコーナーでの演奏も3日目に入る。こういう聞き方だとその音の変化は捉えにくいけど、確実にエヴァンスは死に近づいていってる。その姿は、決して穏やかなものではなく、しいていうなら"死への情熱"とでも呼ぶべきものだろうか。だからこそ、その壮絶な情熱が聞き手にもエネルギーを要求する。何度も繰り返しの言葉になるが、この演奏は壮絶だ。この日エヴァンスは少し遅刻したらしい。くすりをやりすぎていたからかな…(笑)『Re:Person I Knew』からマチネーは始まる。これもこの頃のパターン化された順番だ。ただ、この日の演奏は少し急いでいるように感じる。…遅刻のせい?(笑)ハーモニーでメロディを埋めてゆく『Tifany』の手法は好きだな…ジョンソンとラバーバラの2人も流れをさえぎることなく、ピアノと一体になってゆく。ずいぶんと急いでいるなと感じる。少し音を埋める傾向にあるようだ。強烈な推進力といえるのだろうか…『Knit For Mary F.』では少し息切れが聴こえるように思う。『Your Story』は内面を深く掘り進んでゆく…このコードチェンジは見事だとしかいいようがない。左手のトレモロが素晴らしい。あんなにまで浮腫みあがった手でここまでよく弾けるものだ。なんと感情的に無防備なことよ…生々しい彼の感情が見えてくるようだ。苦しみ、悲しみ、そして平穏…毎日の様に演奏されている『My Romance』だが、その役割は毎日違うようで、その形態もそれぞれ違う。その前の曲からの流れをいかしたまま、この曲に入ることを彼は好んでいたようだ。この日はコードの置き換えによる展開がめまぐるしいと感じる。「The Last Waltz」のセットははスティーブ・スワローの曲、『Peau Douce』から。非常に軽快なピアノ♪次も今まであまり取り上げたことのなかった曲が続く。自らの肉体が朽ちて行くのを感じていたはずだが、彼は音楽的にはまだまだ新しいことを試そうとしているのだ…これが表現者としての執念か。少しディスタッチが見られる、『My Foolish Heart』でも、それが全体のレベルを下げているかというと、そうではない。この日2回目の『I Do It For Your Love』は採譜されて今日まで残っている。そこには、ショパン、リストなどの難解な演奏が散見される。非常に印象的なコードの使い方をしているなぁ。昼の部よりも美しく深い。疲れは増しているはずなのに、イマジネーションはまだ消えない。ミスを恐れず、自分の信念の下に進んでゆく。そして、15分と前々日よりはすこーし短くなった『Nardis』(笑)いつものように究極の形態だ。この曲だけ9月3日の演奏だ。ラストは『Noelle’s Theme/I Loves You, Porgy』で終わる。まだまだ、ソロが生きている。ConsecrationSeptember 2,1980(Tuesday)1.Re:Person I Knew2.Tifany3.Knit For Mary F.4.Like Someone In Love5.Your Story6.Someday My Prince Will Come7.I Do It For Your Love8.My RomanceThe Last WaltzSeptember 2&3,1980(Tuesday&Wednesday)1.Peau Douce2.Yet Ne’er Broken3.My Foolish Heart4.Up With The Lark5.Turn Out The Stars6.I Do It For Your Love7.Nardis8.Noelle’s Theme/I Loves You, Porgyさて、明日も続くのだろうか…(笑)
2003/09/02
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■The Last Waltz / Consecration / Bill Evans(1980)ウーファーのベースが心地よくて必要以上にレベル上げたくなるなあ(笑)今日は1980年9月1日の2枚を聴いてみるかな…現存する最後の音源…この演奏が世に発表された時は驚きだった。最初に『Consecration』の8枚が89年に発売になった。最後のパフォーマンスという事で話題になってたな…そして突如11年後の2000年に『The Last Waltz』が発売になった。当初は”ダブリ音源もある”との情報だったのがが、発売になってみると、一切ダブりはない完全な未発表音源だった。しかも前作では9月7日までといわれていたこの録音が8日までの9デイズであったことも判明。私の中では結構重大ニュースだった(笑)このキーストンコーナーのパフォーマンスにはまだ音源が眠っているのだろうか…オーナーのトッド・バルカンのみぞ知るか。『Consecration』は97年に再度ピッチ調整を受けて、最近では2002年に綺麗なBOXSETで発売されている。”現存する”である理由は前にも書いたとおり、その後の倒れるまでもライブハウス・ファットチューズデイに出演していたのだが、音源としては現時点では発見されてないからだ。この音源が出てくることがあれば、聴いてみたい。是非。更に消耗し尽くし、執念も消えたエヴァンスの音がそこにはあるだけかもしれないが、それでも何を伝えようとしたのか、何が彼をそこまでこのトリオに執着させたのかを、聴いて全身で感じたい。表現者としての彼がそこに何を残したかを。先ずは『Tifany』のソロから。メロディとハーモニーの絶妙なアンサンブル…ただ、美しい。『Polka Dots And Moonbeams』は更に進化したと感じる。このゆっくりとした展開が彼の音の生命線だったともいえるだろう。彼が高音部を押さえるとき、音が輝くようだ。この夜もわが息子のことを思いながら『Letter To Evan』を演奏したのだろうか。9月13日に6歳の誕生日を迎える、愛息のことを…その誕生日には、もう演奏が出来ないまでになっていようとは…大好きな『Days Of Wine And Roses』。音の洪水のようなイントロの森を抜けテーマが開ける。これが命の焔が消えようとしている男の演奏だとは信じられない…この曲のセカンドコーラスでの"短3度あげ"はこの曲のスタンダードな演奏の仕方になっている。トリオというフォーマットが彼の演奏を許している。頻繁なキーチェンジ、派手なクレッシェンド、それらが全てプラスに感じることができるのは、このフォーマットの、そしてインタープレイのなせるわざか。『I Do It For Your Love』はこのトリオになって真に美しくなった。『My Romance』の綺麗なバース…2枚目の「The Last Waltz」に入る。『Yet Ne’er Broken』でのマーク・ジョンソンの力強いウォーキングベースがいい。『Knit For Mary F.』のオープニングで彼は同じ音の繰り返しをメロディとして成立させている。この曲はネブラスカ州に住む、メアリー・フランクセンに捧げられたもので、彼女はエヴァンスの家族のために幾つもの手編みのニットを贈ってくれたらしい。まあ、なんとわかりやすい題なことか(笑)『The Touch Of Your Lips』で、何か新しいことを試そうとしているように感じる。それも、もう確かめるすべはないのだが…『Your Story』は力強さと、輝かしい美しさが交互に訪れる。時間が止まったかと錯覚するまで音を溜め、そして一気に展開させる。アルバムのトリを勤める『Nardis』は、まだ広がりつづけている…17分に拡大(笑)ConsecrationSeptember 1,1980(Monday)1.Tifany2.Polka Dots And Moonbeams3.Like Someone In Love4.Letter To Evan5.Gary’s Theme6.Days Of Wine And Roses7.I Do It For Your Love8.My RomanceThe Last WaltzSeptember 1,1980(Monday)1.Yet Ne’er Broken2.Knit For Mary F.3.The Touch Of Your Lips4.My Man’s Gone Now5.Turn Out The Stars6.Your Story7.Nardisさて、このまま何日続くかな…明日はきついかも…
2003/09/01
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