「さて、皆さん、頑張りましょう。とっても、とってもキツイですけど」
ワイロさんはガッツポーズで言うけれど、貴方も、カワイちゃんも入らないのでしょう?
今日は午後から三大ピラミッドのひとつの内部にも入るのだ。
同じ入口、出口が一緒で皆と合流できるなら、赤のピラミッド内部はパスするつもり。
だって、中にはなーんにもなくて、謎のアンモニアの匂いが立ち込めていると言う。
1日2つのピラミッド制覇はそれはそれは足腰にダメージを与えるらしく、翌日動けなくなる方もいるとか。
鉄人の母は健脚自慢だけれど、私は1日目で倒れるわけにはいかない。
体力温存、温存。
皆様は素直にささーっと赤のピラミッドに挑まれた。
傾斜がきついので、この間の円覚寺の階段より凄まじい。(手摺なしだし)
背後に見える白い制服はツーリストポリスの方々。(勿論、銃携帯)
皆様の姿が消えた後、ツーリストポリスがラクダと写真を撮ってあげると言う。
お言葉に甘えて。
ラクダは綺麗に手入れされていて、思ったよりも毛が柔らかかった。
黒眼が大きくて、まつ毛もあって可愛い。
ポリス3人が私にラクダに乗れ、乗れと言う。
ちょっと、興味あるけど、自分の頭よりかなり高いし、ポリスと相乗りだと思いっきり抱きかかえられる格好になるから、ちょっとなぁ。
迷ったけれど、英語がわからなさそうなので、「戻ってほしい」「降ろしてほしい」が通じなければ怖いから止めておく。
なんで乗らない? みたいな不満気なご様子。
ちょっと居づらい感じになったので、階段をちょっと登りだした。
母は入口まで行って覗いて来ると言う。
よくあんなとこまで登ろうと思うなー。
私は半分くらいで止めて、待っていた。
この風景にラクダはよく似合う。
ワイロさんがやってきて、「行かなかった?」
(はい、後からクフ王のピラミッドもあるから)
「みんな、バテて出てくる。ここはとてもキツイから。でも日本人はせっかく来たからってお年寄りでも行く」
(あ、カップルの子、出てきたんじゃない?)
一番先に姿を現したのは大学生のカップルだったが、体格のいい彼でさえ、朝とはまるで別人のようになって戻ってきた。
「きつかったー、はあはあ」
地面に倒れこんで、水をガバーっと飲んでいた。
それから皆様、パラパラと戻ってこられたわけだけれど、ここはマラソンのゴール地点ですかって光景ですごかった。
「あなた、行かなくて正解よー。中は何もなくて臭いのよ」
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