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それぞれ犬を連れた、ふたりの初老の男性が、いつものように公園のグラウンドに入ろうとして、足を止めた。入り口横に立て看板があった。そこには、自信がないのか遠慮しているのか、小さな字で、以下のように書かれてあった。『おねがい 市では、公園内での犬の散歩は、 ご遠慮を願っているところでございます。 ところで、また、当野球場において、犬の鎖を外し、 走らせることは、野球場利用者の迷惑となって おりますので、行なわないでください。 平成二十二年一月二十九日 **市公園管理者 電話 0***(**)****』「‘犬の散歩’じゃなくて、正確にいうと‘犬を連れての散歩’ですな」右側の男性が言った。ちっとも反省していない。「…………」左側の男性は、眉間にしわを寄せて看板をじっとみている。「おや、どうされました」「今年は平成二十二年か。二十一年かとおもってた」そっちかよ。-------------------------------------------------<ほっと一句>記念写真 チーズのズゥで おちょぼぐち
2010年01月31日
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いずれ自分もそうされたいがために、偉ぶってる空っぽ人間を崇め敬う人種。----------------------------------<ほっと一句>健康と 本とラジオと サムマネー
2010年01月30日
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スーパーの駐車場のすみに、ひとりで‘あっちむいてホイ’をやっている男がいた。クリーム色のコートの40歳ぐらいのおっさん。「じゃんけんポイ! あっちむいてホイ! ……」声を出して、真剣に、かなりのスピードでやっている。正面に立ってみる。男はあっちむいてホイをやめない。わたしを無視しているようだ。一瞬、目が合った。たちまちわたしの闘争心に火が付いた。右手が自然に動き出す。「じゃんけんポイ! あっちむいてホイ! ……」負けるもんか。(1行目にもどる)。---------------------------------<ほっと一句>階下より 父のため息 きこえくる
2010年01月29日
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(その1)【歌】秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつゝ (あきのたの かりほのいほ(いお)の とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ)【詠み人】天智天皇(てんぢ(じ)てんのう) 626~671 第38代天皇(幼名は中大兄皇子) 蘇我氏討滅、大化の改新などに貢献。【現代語訳】 秋の田のほとりの 刈り入れの為の 仮の小屋は、 ほんの間に合わせに苫(とま:すげ、ススキなど)で 粗く葺(ふ)いた粗末なものだから、 その小屋で番をしている私の袖は、 ふけゆく夜露にしっとりと濡れてゆくことよ。 (天皇が、農民の辛苦を思いやられた)。【参考資料】 「百人一首(角川文庫)」訳注:島津忠夫 「まんが版小倉百人一首(小学館)」原作:浅野拓/漫画:堀田あきお-------------------------------------------------【ショートショート】秋の夜。空には三日月がかかっている。静かだ。虫も鳴き疲れて寝ついたようだ。田んぼのほとりに苫で葺いた仮小屋があった。なかで、ゴン太が夜の番をしている。秋の実りが鳥獣の害にあわないように見張っているのだ。「うひゃあ」なにかが脳天を濡らした。屋根に溜まった夜露が滴り落ちてきたのか。それにしては温かい。あたまに手をやる。泡立っているような気がする。その手を鼻に持っていく。「こ、この臭いは……」ゆっくり見上げる。「なんだおまえ、そんなとこで」「あ、とうちゃん。ごめん。寝小便しちゃった」-------------------------------------------------<ほっと一句>おひさまが くものむこうで かくれんぼ
2010年01月28日
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墓場で高鬼(たかおに)をやったことがある。一度だけ。小学校1、2年生だったかな。社宅の子5人で。さいしょ墓地の外のすすきの原であそんでいた。だれかが、寺んなかいってみんべって言った。で、入った。墓だらけで走り回れなかったので高鬼をすることになった。けっこう広い墓地で、墓石は500から800基くらいあった。高さは、30センチくらいの無縁仏みたいなものから2メートル強の○○海軍大将のりっぱなものまで、いろいろあった。ひょいひょい、ひょいひょい、跳んだ。おもしろかった。灯ろうや墓誌にものった。そのうち高鬼をやめて、地面に足を着けずにどれだけ長い距離を移動できるかの競争になった。敷地のすみっこにあった小さい墓石を、あら、あらららららって、5,6基将棋倒しにした。だんだんエスカレートしていった。いつのまにか墓石の裏っかわにある卒塔婆を引っこ抜いて、それでチャンバラをはじめた。地面に足をつけない空中チャンバラだ。卒塔婆はぼくたち子供には長すぎるので、墓石の角にぶつけて折って、半分くらいした。侍がいれば忍者も必要だ。花立てのなかのドライフラワーみたいになっている花をばらまいて、「忍法木の葉隠れ!」と言ってちちんぷいぷいのポーズをとった。あそびはじめて30分くらい経ったかなあ。本堂のほうで誰かが怒鳴る声がした。よく覚えていないが、こらあ!、とか、わああ、とか言ってたとおもう。たぶん住職だろう。ぼくたちはすばやく逃げた。おとなたちが知らない、小川沿いの秘密の道を通って。あ、ちょっと調子に乗って書きすぎた。いくら無邪気で非常識な子供だからといって、ここまでひどいことはしませんよ。3割くらいは創作です。------------------------------------<ほっと一句>すなのおうち ままごとあそびの きのみやいし
2010年01月27日
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奴隷のムハドが、ガレー船の底で力尽き、櫂をにぎったままくたばると──静かな湖面に浮かぶボート上で、オールをにぎっていた。正面にフィアンセ。はれて自由の身──??? さあ、どうでしょう。-------------------------------------<ほっと一句>家の中 ミニミニかみなりさまがいる(静電気です)。
2010年01月26日
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自分の先が見えたことに失望するとともに安心をもする人種。----------------------------------------<ほっと一句>しんこきゅう けさのくうきは ミルクあじ
2010年01月25日
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学生の頃、知り合いの親戚の家に下宿していたことがある。2階の8畳ひと間。台所、トイレ付き。大家さん夫婦は1階に住んでいた。2階の隣にはもうひと間あって、そこのうちの長男の部屋だと教えられたが、住み始めて半年経っても会ったことはなかった。ときどき、くしゃみや窓をあける音などが聞こえてくることはあった。ある休日の夜、こたつに入ってテレビを観ていた。CM中になにげなく首をめぐらすと、テレビよこの柱のキズが目に入った。近寄って見入った。キズじゃなくてボールペンで引いた線だった。わたしの腿ぐらいの高さに1本。そのよこに「3才」とうすい字。おへそのあたりに1本。よこに「4才」。わたしの頭の中を歌が流れ出した。♪柱の傷は おととしの 五月五日の 背比べ ちまき食べ食べ にいさんが ……このキズはここのうちの子の成長の軌跡だ。立ったわたしの胸のあたりに1本。よこに「5才」。ずいぶん早熟だなあ。目線の位置に1本。よこに「6才」。見上げたところに1本。「7才」。180センチ以上だ。長押(なげし)の上に1本。「8才」。天井をみると、手形がひとつ付いていた。お相撲さんのように大きい手のひらだ。わたしは背筋が寒くなった。そういえば、隣の部屋の真下の1階の部屋は、いつも鍵がかかっていて、あかずの間になっている。食事どきになると奥さんがトレイにご飯を載せて運んでいく。ひょっとしたら、あの1階は2階の天井まで吹き抜けになってるんじゃないのか。さらに、裏庭があやしい。ときどき地響きがして植木鉢がたおれる。地下をえぐってあるんじゃないのか。そんなことを考え出したらどんどん怖くなっていった。1ヶ月後、わたしはそこを引き払った。-------------------------------------<ほっと一句>・キャピギャルに 欽ちゃん走りを 笑われる毎朝、公園のグラウンドの外を歩いたり走ったりしている。体中のあらゆる関節や筋肉をほぐし、鍛えるために、いろいろな動きをする。もも上げ歩き・走り、ねじり歩き、平泳ぎ歩き、つま先立ち歩き、スキップ、バンザイ走り、後ろ向き走り、くるくる走り、首振り走り、ふにゃふにゃ走り、ごきごき走り、しゅっぽしゅっぽ走り、などなど。うでブラ横走り(欽ちゃん走り)をしていると、図書館の入り口に並んでいたキャピキャピ(古っ)したギャル(古っ)たちに笑われた。なんでそう~なるの!
2010年01月24日
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「あと一箇所だよ」と言ってから半日ちかく、父が見入っている、新聞の日曜版の間違いさがしの二つの絵の一方には、もうすでに八箇所全部に赤ペンで丸くチェックが入っていた。---------------------------------------<ほっと一句>池に浮く おもちゃみたいな マガモの子
2010年01月23日
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ふたりの兵隊がひとつの塹壕に逃げ込んだ。恐怖を紛らすためにひそひそ話しをはじめた。「な。おれよ、脈拍でモールス信号打てんだぜ」「うそつけ」「ほんとだって。み──」おとこは目を見開いたまま沈黙した。頚動脈に赤いぽっちができていた。ぴゅうぴょっぴょっ……。吹き出した血がSOSを告げていた。-------------------------------------<ほっと一句>ぴゅうぴょうと 春ゼロ番が 吹いている
2010年01月22日
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アメリカの医療チームがおこなった最新の医療研究によると、アルツハイマーになりやすいように改良したネズミに、携帯電話と同じ電波を長期間当て続けると、アルツハイマーになりにくいことが、明らかになりました。人間については、現時点では解明できていません。それでは、ケータイ歴30年のAさんにご登場願いましょう。Aさん、どうぞ!「エヘ。あけまして、おめこんにちは! わて、健康健康健康でーすいすい。 うちの孫もなにげにさりげに健康でーすいすい。 むすめもむこもままちょい健康ですわいはは。キョホホ。 まじウケる。カッコ笑いカッコ閉じ。バンバン。 やっぱ、いいねえっすい、健康ってえい。エイエイ。 健康って、よくね? デホ。ブフフ。ビロリ~ン。 ちょべりば! え、古い? だよねえ! うざってえ。きしょい。ガハ! ウハ! ウフフ。ゲロゲロ。 ではでは!」失礼しました。アルツハイマー以前の問題でした。参考:ラジオ番組「吉田健康~あなたのドクターたかよしです」 (文化放送、朝8時)---------------------------------- <ほっと一句>ゴミの日をねらう廃品回収車
2010年01月21日
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♪ちゅーるぅ ちゅるちゅちゅ なっつっのー おじょうさん ビギニがとっても 似合うよ 刺激的さー くらくらしちゃう~ ちゅーるぅ ちゅるちゅちゅって、元アイドルのボインボイン榊原郁恵ちゃんの「夏のお嬢さん」って曲です。この歌が流行っていた頃、ボインボイン榊原郁恵ちゃんが、地元の公民館でコンサートをしました。私はべつにファンではありませんでしたが、友だちのつきあいで観にいきました。座席は最前列の右のほうでした。「いっくえちゃあ~~~~~ん」友だちにつられて、私も声援をおくりました。紙テープもいっぱい投げました。幕あいに、小堺一幾さんと浜っこ吉村さんの銀座NOWコンビが、コントをするために舞台にあらわれました。そして言いました。「あのね、みなさん、お願いがあるんです。 紙テープは真ん中の芯を取ってから投げてください。 バックで踊ってるスクールメイツの女の子たちが、 『あぶなくってやってらんない』って言ってます」ああ、ごめんなさい。芯を取らずに紙テープを投げたの、私です。いなかもんなので、知らなかったのです。以降、私は、気をつけようと決意しました。もっとも、もうアイドルのコンサートに行くことはありませんでしたが。------------------------------------<そっとひにっ句>・小春日に 原色ババア 声おどる・小春日に ねこのさかりか 原色ババア(説明) 昨日今日といい陽気です。 暖かくなると、むかいの原色ババアの、庭でのひとりごとや 井戸端会議などの野外活動が活発になります。 まことにかしましいです。耳がキンキンします。 あの、あたまのてっぺんから発せられる黄色い声のトーンは、 気温に比例するようです。 (原色ババアについては過去日記ご参照)。 ---------- 「小春日」「小春日和」とも冬の季語。 意味は、小春(陰暦十月の異称)の頃のうららかな日。 この時季(一月)ではないようですが、許してちょんまげ(←古っ)。
2010年01月20日
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中学生の頃、自転車通学をしていた。3キロほどの道のりだ。2年生になってヘルメットを着用するようになった。いまでこそあたりまえになっているが、当時そんなことをするのは市内では私の通っていた中学校だけだった。モデル校として試しにやってみて、具合が良かったら他校でも採用する方針だったのだろう。センスのわるいヘルメットだった。色は白。形はバイクの女性用ヘルメットのよう。このヘルメット着用は本当にいやだった。道行く人が、大人も子供も、ものめずらしげに指をさして笑う。「ぶはっ!」「おい、みろよあれ」「おもしれえ!」傷つきやすい年頃の青少年にとって、それは拷問だった。であるから、私をふくめ生徒たちは、ふだんはヘルメットを着用せず、学校の近辺だけで着用していた。6月だった。放課後、ヘルメットを着用し校門を出た。そろそろヘルメットを脱ごうかなとおもったとき、ぽつぽつと雨が降ってきた。雨ガッパに着替えるのはめんどうだった。蒸れるのもいやだった。せめてあたまを濡らさないように、ヘルメットはかぶったままにした。幹線道路からはずれた細い道を走っていた。雨は小降り。だんだん激しくなっていく。ゆるい左カーブにさしかかったとき、前方から乗用車がきた。ぶつかりそうだったので左によけた。道の両側は幅・深さとも50センチほどの側溝で、市の怠慢でフタがなかった。ずこっ!前輪が落ちた。あああっとおもった次の瞬間、目に火花が散った。側溝上部をよこに走っているコンクリートの梁に脳天をぶつけたのだ。気がついたら、ひざから下が水の中だった。ほんの1,2秒気絶したらしい。もっと長かったら座りこんでいただろう。からだはどこも痛くない。顔をあげてさっきのクルマをさがしたが見当たらない。あのまま行ってしまったようだ。自転車を持ち上げて道路にだし、自分もでた。自転車を立てるとハンドルが30度ぐらい曲がっていたので、まえにいってタイヤを両足ではさみ、両手でぐいっとなおした。そして自転車に乗り、家路に着いた。びしょぬれの足でペダルをこぎながら、ヘルメットしてなかったら死んでたかも、とおもった。それからしばらく首筋がちょっと痛かったが、病院にはいかなかった。30年ほど経った寒い冬、からだの左上半身──肩・背中・腕・指先がしびれるようになった。大学病院でレントゲン検査してもらったら、首の骨が変形していて、それが神経を圧迫している、とのことだった。そのときは首にギプスをしたら1ヶ月ほどして治った。それ以来、ときどき左上半身がしびれる。医者のアドバイス通り、なるべく下をむかないようにして生活している。-------------------------------------------<ほっと一句>ありがたや スーツのポッケに 二千円
2010年01月19日
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うわっ、冷蔵庫あけたらモヤシが逃げてった。--------------------------------------<ほっと一句>・ぬりかべと いったんもめんの 影ゆれる (障子に映った洗濯物の影です)。
2010年01月18日
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──司令部、司令部! こちらソマリス星第一衛星基地ディクラ。──こちらソマリス星防衛省司令部。どうした?──一大事です! 現在、とてつもなく巨大な隕石がこちらにむかって突進中。 ものすごいスピードです。──きみ、寝ぼけとるのか。それとも冗談か。 エイプリルフールはまだまだ先だぞ。──なに悠長なこと言ってんすか。冗談じゃないっす。 このままだと8時間以内にソマリス星に衝突します。 ──ほんとに本当かあ!?──間違いありません。──なぜいままでレーダーにひっかからなかった。──わかりません。現時点でも視認のみが可能な状態です。 天体望遠鏡でも確認できません。──どのくらいの大きさだ。──ソマリス第二衛星リリカほど、つまりソマリス星の八分の一ほどです。 ──お、いまこちらからも確認できたぞ。でかいな。しかもほぼ球体だ。──はやく、はやく対策を打たないと手遅れになります。──よし。核ミサイルの使用を認める。準備完了次第ただちに発射せよ!──了解!──司令部、司令部! 核ミサイル、ただいま発射しました。──よし。着弾までどのくらいだ?──約55秒です。 …… 司令部、司令部! 核ミサイルが効きません!──なんだと! どういうことだ。ちゃんと着弾したのか。──ど真ん中に命中しましたが、まるで吸い込まれるように消えていきました。──では超水素爆弾搭載ミサイルを発射せよ!──そ、そんなことをしたら我々衛星基地ごと木っ端微塵に……──わかっとる。命令だ。家族の面倒はみる.。──りょ、了解! …… 司令部、司令部。超水素爆弾搭載ミサイルも効果なしです。 隕石はまっしぐらに──わ、わっ、わあああぁぁぁぁぁ……──おい、どうした。応答しろ、応答し──わ、わっ、わあああぁぁぁぁぁ……──司令部、司令部。こちらソマリス星第一衛星基地。──お、こちら司令部。無事か?──はい、無事です。そちらもご無事ですか?──無事だ。──隕石はどうなりました?──オアロジア大陸に衝突したかとおもったら、そのまま吸い込まれるように 地中に消えた。そして2分後に裏側のサドリア海から出てきた。 ──で、現在は?──あの速度を維持したまま空の彼方に消えた。──いったいなんだったのでしょう。──それがな、つい今さっき、星連科学省から連絡があった。 正体が判明したぞ。知りたいか?──はい。教えてください。──どうしようかなあ。──もったいぶらずに。──あれはな、銀河系の隅で三千年ほど前に消滅した地球の幽霊だ。---------------------------------------<ほっと一句>ボランティア やらぬ善より やる偽善
2010年01月17日
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ハイ、マギーです。本日は、美男美女の結婚披露宴にお招きいただき、まことにありがとうございます。では、さっそく手品します。これ、コップね。なかに、水と金魚が一匹入ってんの、見えっけ?うんぐぐっと。飲んじゃったあ。さっきの金魚、メスだったのよ。これをお腹んなかでオスにしてから吐き出します。よっ、よっ、よよよっと。オエッ。はい、出ましたあ。オスになってます。みなさま、あたたかい拍手、ありがとうございます。そんじゃ、つぎ。これ、新郎新婦おふたかたのエンゲージリングね。あらかじめお借りしました。ウン十万のプラチナリングだそうです。これをですね、うんぐぐっと。飲んじゃったあ。いいかい、よく見ててよ。さっきのリング、お腹んなかでつなげてみっかんね。よっ、よっ、よよよっと。ハイつながりましたあ。みなさま、微妙にあたたかい拍手、ありがとうございます。では、このお腹んなかでつながってるリングを、もとにもどしてから、吐き出します。う、う、ううう、オエ、オエ、オエオエ……。あれれ、出ないなあ。オエ、オエ、オエオエオエオエオエ……。ちょっと待ってて。オエ~、オエ~、オエオエオエ~……。出なくなっちゃったあ。ごめんね。でもだいじょうぶ。あしたの朝、ちゃんと返すかんね、運をつけて。----------------------------------------<ほっと一句>・楽しみだ 鏡開き後 揚げた餅むかし、よく、鏡開きした餅を油で揚げて食べてました。 いまもそういう風習あるのかなあ。最近の鏡餅はパックになってますね。
2010年01月16日
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アジアの島国日本の国会議事堂は弁論大会の会場らしい。与組と野組にわかれ、相手をこき下ろすことに熱中している。こちらの言葉でいうところの‘足の引っぱり合い’だ。観客はいいかげんうんざりしている。以上。----------------------------------------<ほっと一句>・Google ってなんだ?と聞く父 しかとする茶の間でテレビのニュースを観ながら、「グーグルって最近話題になってるけど、なんだ?」と聞いてきた父。分かるように説明するのが面倒なので無視した私。‘しかと’は下品な言葉かなと思い、広辞苑で調べると、『(花札の紅葉の札の鹿がうしろを向き 知らん顔しているように見えることからという) 相手を無視すること。』とのこと。意外と由緒正しい言葉でした。
2010年01月15日
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国王チャコロビニャ・ペドロコフ三世は暴君だ。その圧政はとどまるところを知らない。国民男性は十五歳で徴兵にとられ、三分の二は五年以内に戦死する。女性は十二歳で宮廷にひっぱりこまれ、国王のお伽を強制され、ほぼ全員が発狂する。税率は一律で、収入の七割だ。国民は毎日泣いている。靴屋のバンスが税金を払えず、宮廷に足を運んで王様に直談判した。「王様、聞いてくだせえ。うちには子供が六人もおりまして。 上から二番目の娘が腸チフスで入院してまして、 一番下のぼうずがインフルエンザでふせっております。 おまけにつれあいのお腹んなかに双子がはいっていて、 来月生まれます」ペドロコフ三世はじれったくなって怒鳴った。「だからなんじゃというんじゃあ!」「はいはい王様。じゃからして、税金はびた一文払えません」「なんじゃとお!」「あ、王様。おこらねえでくだせえ」バンスはくるっとまわれ右をし、王様に背中をむけた。「これで許してくだせえ」ズボンとパンツをすばやく下ろし、尻をつきだした。「体で払いますだあ。これがほんとのケツ税」ペドロコフ三世には男色の趣味があった。-----------------------------------<ほっと一句>・自転車を このごろひとりで 押す老婆朝、よく、老夫婦を見かけます。1台の自転車にふたりしてもたれかかるようにして、ゆっくり押し歩きしています。ふたりとも80歳くらい。散歩というより、身なりからすると仕事場にむかうようです。このごろ、お婆さんひとりで自転車を押しています。
2010年01月14日
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・「しょうゆ切らしたから買ってきて」と、 110番するやからと五十歩百歩の人種。---------------------------------------<ほっと一句>霧がはれ ああああっぱれ にほんばれ
2010年01月13日
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小学5年生のとき、「科学」か「学習」かどちらの付録だったか忘れたが、「古銭製作キット」というものがあった。内容は、白い石膏の粉のようなものと、プラスチックの古銭型、表面と裏面の2枚。型は、たぶんすべて江戸時代のもので、チューインガムの三分の一くらいの四角い一分銀や銭形平次が投げてた寛永通宝(?)など、7,8種類あった。作り方は、まず、白い粉を水で溶いてどろどろにする。つぎにそれをA面型に山盛りに盛り付け、そこにB面型をピタっと合わせる。1日置いて型をはがし、片面についてる半製品をとりだす。白いラムネ菓子みたいだ。まわりにバリがあるので、爪切りのヤスリの部分できれいに削り取る。仕上げは市販の銀色マメラッカー。1日置いて2度塗りする。乾いたらハイ完成。1年下にコイン収集マニアがいて、わたしはその子と手持ちの古銭を1枚ずつ交換した。わたしのは四角い一分銀、彼のは明治時代の一銭銅貨。もちろんわたしのは偽物(よくいえばレプリカ)で、彼のは本物。彼には、「この一分銀はめったに手に入らないんだぞ」と言っておいた。詐欺である。放課後に校門で交換した。交換するなり、わたしはいちもくさんに駆け出した、というより逃げた。しばらく行ってからふりむくと、彼はポカンと突っ立っていた。もう30年以上むかしのことだ。時効である。ちなみに彼のうちは当時よろずやで、いまはコンビニをやっている。ときどき店長として店にでている。いまだにコイン収集を続けているようで、暇さえあればおつりのコインの年代を丹念に調べている。あの一分銀、偽物だってばれてるだろうな。もういい大人だもんな。---------------------------------------------<ほっと一句>赤い花 くわえた小鳥 お化粧か
2010年01月12日
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・流行り言葉の型に自分からはまって個性をなくす人種。----------------------------------------<ほっと一句>・ジャンプして カラスをつかもうとする子犬お婆さんが連れている幼犬と成犬は対照的でおもしろい。幼犬は頭上をゆくカラスを捕まえようと何回も飛び跳ねるが、成犬は「無理に決まってんだろ」といった感じでおすわりしている。人間も動物も小さい頃は好奇心旺盛だ。いつまでもそうありたいものだなあ。
2010年01月11日
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まったくもうカンベンしてくれ、といいたくなるものは世の中にいくつもある。業界の内輪ネタ、電話での勧誘、寄付の強請、町内の運動会、ポストの中のビラ、しつけの悪い近所のガキ、公園内の犬の糞、……。なかでもいちばんうんざりするのは、家族写真の年賀状だ。今年もきた。あいつから。学生時代の友達だ。中央で笑っている中年太りのおっさん。左右にはべる奥さんと子供2人。左下には愛犬。場所は、近所の公園の原っぱらしい。そういえばこいつ、3、4年前の写真年賀状は自宅の庭で撮ったやつで、『新築しました』って書いてあったなあ。そこそこの建売住宅をバックにしてたっけ。毎年しあわせいっぱいって感じだ。わたしはその年賀状をちらりとみただけで、ハガキ受けに差し込もうとした。たまたまハガキ受けのいちばんおもてに去年のあいつからの年賀状があった。それをみて、わたしの手はとまった。去年のやつをひっぱりだして今年のとみくらべる。唖然とする。家族が別人だ。奥さんと子供2人の顔がまったく違う。年齢も今年のほうが若い。左下に記した名前も違っている。ひょっとしてあいつ、離婚して、再婚したのか。この子供は奥さんの連れ子か?念のため一昨年の年賀状も奥のほうからみつけだして、くらべる。これも違ってる。家族がぜんぶ別人だ。2年連続で離婚、再婚をしているのか?そんなバカな。押入れから過去十数年の年賀状をひっぱりだして、ならべる。うそだろおい!あいつの家族、毎年別人じゃないか!どうなってんだよ。とるものもとりあえず、あいつに電話する。「もしもし、おれ」「ワン!」「はぁ?」「あ、わりい」「おい、ふざけんなよ」「年賀状のことか?」「そうだよ。どうなってんだよ」「おまえ気づくのおそいよ。冗談にきまってんだろ」「なんだよ、やっぱりそうか。おどろくじゃないか」「へへ。ちょっとからかっただけだよ。ほかのやつら、まだ気づいてないよ」「え、そうなのか」「そんなもんだよ、年賀状なんて」「ふ~ん。で、おまえ、いま元気か?」「元気だよ。おまえは?」「ああ、元気だ。じゃあな」「あ、ちょっとまて、言い忘れた」「なんだよ」「おれ、7年前に離婚して、いまバツいち。独身」「そういえばおまえ、その年にやった同窓会でそう言ってたな」「あ、言ったかもな」「またそのうち同窓会やろうぜ」「おう、やろうやろう」「じゃあな」「じゃ、あっ、ちょっとまった!」「なんだよこんどは」「おれ、犬になった」「ああ?」「ほら、年賀状のひだりはしの柴犬。それおれだ。毎年写ってんだろ」「おまえ、へんな冗談やめろよ」「うそじゃないって。5年前、脳を移植したんだ。 で、真ん中の太ったおっさん。それ、もとおれ。いま、犬」「おいおい、つきあいきれないなあ。切るぞ」「ま、信じるものは救われる~! じゃあな! ワン!」どこまで本気なんだ。むかしっから変わったやつだった。---------------------------------------<ほっと一句>ニカ笑い 消え入りそうな 昼の月
2010年01月10日
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暗くて寒くて静かで。無音のテレビがチカチカしてて。ビデオの早送りのようで。よく観るとなつかしい景色や場面で。ときどき自分が家族が友だちが。長いようで短くて。短いようで長くって。夜空と窓とアスファルトがぐるぐるまわって。テレビが消えて。 ◇「とびおりだとびおりぃ」「う、ひでえ」--------------(落下中のパノラマ視現象です)。-----------------------------------------<ほっと一句>・加速する 早朝寝床の 1時間尿意を催し、起きると4時半。トイレからもどり、再び床に入る。ああ、あと1時間も眠れる。うれしいなあ。その1時間があっというま。アインシュタインもまっ青。
2010年01月09日
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ぼく、生まれたばかり。で、街に出るの、今日が初めて。なんだか怖い。みんながぼくのこと、にらんでるみたい。やさしい顔つきのも、いるけどね。わっ、目が光った。威嚇してんのか。おいおい、なかよくしてくれよ。たのむぜ。あ、まえのカノジョ、ウインクしてる。むかって左の目。なんどもなんども。ぼくに惚れたのかな。オレに惚れるなよ。あーばよ。なーんてな。うわあっ! 急ブレーキ。「あったく、あっぶねーなあ。直進車が優先だろ」ご主人様がぼやく。ふぅ、もうすこしでごっつんこするとこだった。---------------------------------------<そっとひにっ句>・天官と 派け鍋族がいるニッポン説明: 天官(あまかん)……天下り官僚。 派け鍋族(はけなべぞく)……派遣村の炊き出し鍋の列に並ぶ人々。 訳:天下り官僚もいれば、仕事も住む場所もない人 もいる。 そんなニッポンって、ああ、なんて変な国なんだろう。
2010年01月08日
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50年前の高校生:歴代天皇の号を空で言えた。現在の高校生:全てのポケモンの名前を空で言える。50年前の主婦:家の中では物音を立てないようにした。現在の主婦:家の中も居酒屋も繁華街もかんけーねえー!50年前の幼児:屈託がなかった。現在の幼児:しまりがない。130年前の政治家:政治のために身銭を切った。現在の政治家:税金泥棒。50年前のマスメディア:国民のほうを向いていた。現在のマスメディア:スポンサーの奴隷。50年前の卓上ゲーム:脳トレになった。現在のテレビゲーム:脳溶けになる。--------------------------------------<ほっと一句>・居酒屋の 前の路上に 七草粥(ゲロです。きたなくてごめんなさい)。
2010年01月07日
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びゃふん、びゃふん、と、断続的に湿った突風がゆきすぎます。どうやら木枯しさん、風邪をひいたもよう。(木枯しは晩秋から初冬にかけて吹く冷たい強風のこと。 ちょっと時季外れでした)。--------------------------------------<ほっと一句>テレパスか 同時に飛び立つ 鳩のつがい
2010年01月06日
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公園のベンチにすわって雲を見ていた。雲は好きだ。何時間でもながめていられる。とつぜん男が前に立った。上下ねず色のシルクのパジャマ。60歳前後。細身。腕を組み、充血した目でわたしを見下ろしている。口の周りには、皇族のなんとかの宮のように髭をはやしている。男はしばらくわたしをにらんでいた。そして、ふんっと鼻を鳴らしてから怒鳴った。「おい、おまえ、そこどけ! このくそやろう!」なんだこいつ。わたしはおもわず立ち上がった。男は意外に小さかった。おでこがわたしのあごのあたりにあった。わたしは男を見下ろした。男はおどおどした目でこちらを見上げ、やがて柔和な顔つきになって、言った。「あ、旦那ぁ。失礼しました」いつのまにか揉み手をしている。あきんどの御用聞きみたいだ。この急変ぶりはなんなんだ? わたしをからかっているのか。わたしは男の顔をにらみつけながら、ゆっくりベンチに腰をおろした。すると、不思議なことがおこった。わたしの顔が下に移動するのにしたがって、男の顔が大魔神のように変貌したのだ。いまや男は鬼の形相でわたしを見下ろしている。「どけっつってんだよ、この下司やろう! ぶっ殺されてえんかあ!」なんだあ?!わたしは再び立ち上がり、男を見下ろした。すると、「へい、旦那ぁ。いい陽気でがすねえ。よっ、色男!」にわとりみたいにあたまをへこへこさせている。まるで宴会の太鼓持ちだ。わたしは薄気味悪くなった。その場から逃れようと、すこしずつよこに移動していった。「あ、あそこ。いたいた」男のずっとうしろで声がした。白衣の男がふたり。遠めにも大がらなのがわかる。駆け寄ってきて、髭の男を挟むようにして両腕をがっちりつかんだ。「わあ痛い痛い。ごめんなさい。もう逃げないから、ゆるしてよう」髭の男は宙に浮いた両足をばたばたさせた。「放してよう。もうどこにもいかないよう。おとなしくしているよう」髭の男は泣き出した。「どうもご迷惑をおかけしました。申しわけありません」白衣の年配のほうがわたしにあたまを下げた。そして髭の男を抱えあげるようにして去っていった。あとで公園のそうじのおっちゃんに聞いたところによると、髭の男は近くの精神病院の患者で、以前は企業の専務だったそうだ。病名は「自己愛性なんとかかんとか(失念)パーソナル障害」らしい。その症状がちょっと変わっている。前にいる人の目線が自分より上だと卑屈になり、下だと尊大になるのだそうだ。現代病の一種かな。--------------------------------------<ほっと一句>・初ゴミ出し カラスがおせちに 舌つづみ・‘あけおめ’と 甥っ子からきた 年賀状
2010年01月05日
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・年賀状は出しても香典は出さない人種。---------------------------------<ほっと一句>・本年も 闇に願いを 初月の出説明:初月の出……「はつきので」と読む。 年の初めに昇る月。一般に元日の夕方以降。 夜間勤務者や妖怪(トラック野郎、月光仮面、 セーラームーン、狼男、ダンディ坂野「ゲッツ!」 など)が拝む。 ----------------------------------<早口言葉>・お外でお屠蘇(おそとでおとそ) 5秒以内に8回言ってみ。
2010年01月04日
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都会派と田舎派が反目していた。超高層ビル群とわらぶき屋根群、と言い換えてもいい。二つの間を建設途上の高速道路がむすんでいた。道路は田舎派の村落の手前でスパッと切られたように、工事が滞っていた。都会派は田舎派に立ち退きをせまった。田舎派は頑張っていすわった。ある日、田舎派の村落に大きな足あとが1つ発見された。長さ5メートル、幅2メートル。右足のものとおもわれる。体長3、40メートルの巨人に相当する。前日には無かったので、突然出来たとしか考えられない。翌朝、こんどはその10メートル先に左の足あとが出現した。足あとだけだ。巨人も恐竜も見たものはいない。それは1日に1つ現れ、足の大きさに比べると小さい歩幅で、家屋を次々に押しつぶして、高速道路へとむかっていた。都会派は「やーいやーい、神罰だあ」と田舎派を罵った。田舎派は「これはやつらの陰謀だ」と都会派を非難した。田舎派はやむを得ず住み慣れた故郷を去っていった。「バンザーイ、バンザーイ」と都会派はよろこんだ。足あとは工事半ばの高速道路の手前で止まったかのようだった。ごろん、ごろごろ、ごろろん。その夜、高速道路が雷のように鳴り響いた。翌朝、都会派の超高層ビル群が、きれいに倒れていた。まるでボウリングのピンが球(たま)に弾き飛ばされたかのように。-------------------------------------<そっとひにっ句>お正月 凧がひとつも 揚がってないお正月 独楽がひとつも 回ってないお正月 羽根つく音が 聞こえないお正月 カルタはちょっと かったるいお正月 福笑いって 豆まきかお正月 二人羽織は どうやんのお正月 着物のおなご 見当たらないお正月 コンビニおせち おいしいなお正月 手書きの年賀 なつかしいお正月 ちゃりんと鳴らない お年玉お正月 季語になってる 初笑いお正月 スポーツだけが 風物詩
2010年01月03日
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ういっ、いっけねえ。臓器とまちがって雑煮移殖しちゃった。-------------------------------------<そっとひにっ句>・プロなみに 外人枠がある箱伝・祝日は 公園自体が ゴミ箱に
2010年01月02日
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大晦日。そろそろ寝ようかな、と、あくびをしながらバンザイしたら、左の手のひらがパチンと鳴った。「落とすなよ」といずこからか声があり、反射的に手をむすんだ。みると、バトンを握っていた。たちまちわたしは走りだした。止まりたくっても止まれない。足が勝手に動く。両腕も軽快に、おいっちに、おいっちに、と振っている。以来わたしは走り続けている。選ばれしものの宿命だ。もちろん、走りだしてすぐにバトンを右手に持ち替えた。バトンリレーの基本だ。今年1年、この大役をりっぱに果たしてみせるぞ。けっして手を抜かないぞ。365日間全力疾走だ。2010年の地球上のすべてのいとなみは、このわたしの双肩にかかっているのだから。-----------------------------------<ほっと一句>本年も 自宅で拝む ハピ日の出
2010年01月01日
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