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自動車通勤をしているので、仕事帰りに立ち寄る書店は何ヶ所かあります。ところが、そのうちの1つが来月中に閉店するらしく、大きなショック。どうやら道路の拡幅工事の関係だとか。 実は、同じ通り沿いで1kmも離れていないところの書店も移転のためここ1ヶ月ほどで閉店したばかり。もっとも、移転先は10kmぐらい離れているのですが・・・ 僕が知る限りでは、この近所は3~4年の間に2ヶ所が閉店していて、どこもそれなりの規模のチェーン店。それぞれにそれなりの事情があるのでしょうが、客としてはさびしい話です。 出版不況とかいって大都市の大型書店が閉店したり、出版社が倒産したりしても他人事のようでしたが、こうやって身近に影響が来るとやっぱり不安になったりしますね。 がんばれ、本屋さん!
2007.09.28
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国際会議を控えた沖縄で、羽田行の琉球航空便が離陸直前にハイジャックされた。それぞれ乳幼児を人質にした3人の犯人達の要求は、沖縄県警に誘拐犯として逮捕された男を時間までに空港へ「連れてくる」ことだった。だが、予想もしていない事態が起こる。人質となった子どもの母親が機内のトイレで不自然な死体で発見されたのだ。ハイジャック犯は機内にいた座間味島土産のTシャツを着た男に、事件の真相究明を指示した。 ハイジャックという冒険小説的な要素と不可能状況での死という本格ミステリ的要素を融合させることに成功した作品。この緊迫した状況下で行われる推理が非常におもしろいものでした。部外者に近い座間味くんにとって新たな事実が明らかになるたびに変化していく推理。下手な推理合戦よりも楽しめます。特に、ハイジャックされた飛行機の中という状況設定が、現場への立ち入りや死に至らしめた道具の持込などに影響し、十分に生かされているのがよかったです。 ただ、作品の土台となるキャンプの「師匠」石嶺が全く魅力的に見えないのが残念。カリスマカリスマと警察側に持ち上げさせるのが、余計に白々しく思えてしまいました。そのためか、キャンプ関係者の行動や心情に論理的な理解はできても、心理的に納得がいかないという感じです。もっとも、石嶺のような特殊な人物は深く掘り下げて書こうとすればするほど、嘘臭くなってしまうものかもしれません。2007年9月23日読了
2007.09.24
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高塔市で起こった3つの事件。それは見事な赤毛の持ち主ばかりが狙われる事件だった。しかも、犯人は現場から消失し、そればかりか死体までもが消失したのだ。著書『都市と探偵』で一躍有名になった新寺仁は、私立探偵開業後の初仕事としてこの事件に取り掛からざるを得なくなり・・・ 犯人や死体ばかりでなく、作者までもが消失してしまったことで一部では幻の本とまで言われた本書をやっと読みました。講談社ノベルス25周年記念企画「綾辻・有栖川 復刊セレクション」で遂に復刊されることもあり、「ぜひその前に読もう」ということで。 詳細をあまり書かない方がよい作品だと思うので完結にしますが、「まんまとしてやられた」というところでしょうか。読者を欺くためにすべてを捧げたような作品。まあ、最後の1つはちょっといらないかなとも思いましたが。 しかし、視点や舞台の移り変わりが激しいためか、あるいは文体のためか、少し作品に入り込めなかった印象があります。残念。探偵新寺にもあまり魅力を感じませんでした。 本格スピリットにあふれた本作も、もう17年も前の作品。これを機会に復帰していただけるとありがたいところです。2007年9月18日読了
2007.09.21
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自転車との事故で頭を打ち、記憶に障害を負った荒井冬彦。親友の静馬に頼まれ、真魚とともに水上音楽堂での卒業コンサートの準備を手伝った。だが、冬彦の記憶の件が発端になって、静馬と後輩の水江が喧嘩をしてしまう。そして翌朝、水江が遺体で発見された。容疑者は静馬。冬彦と真魚は静馬を救うために乗り出した。事件の鍵を握るのは、冬彦の記憶だった・・・ もう15年ほど以前に刊行された若竹さんの第3作。表紙からして爽やかな学園ミステリを想起させるのですが・・・見事に騙された感じです。 この初期の段階ですでに人間の悪意であるとか暗い部分に焦点を当てていたということは、前作にあたる『心のなかの冷たい何か』を読んだときにもわかっていました。この作品では主要な登場人物であろうが容赦なく表と裏を書き切っている点が残酷で特に心に残りました。 とにかくビターです。後味の悪さはなかなかのものです。ファンはそれを承知で読むのですから苦にはならないかもしれませんが、軽いトラウマになるかも。 繰り返される4文字の言葉が文庫化を阻んでいるとも言われていますが、そうであれば全面的に改稿してでも文庫化してほしい作品。いや、その方が新作を読んだようなお得な気分になれるかも。2007年9月13日読了
2007.09.17
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修学旅行に行くはずが、謎の空間に閉じ込められた2年2組。彼らはゲームでの敗北によりカードの配給も受けられなくなり、ただぼんやりと時間を送っていた。そこへソフィアから提示されたのは、バーチャル空間でのサバイバルゲーム。銃と弾丸のゲームが始まった・・・ 今回の主人公は2組の中山美鈴。彼女は人より少し知恵が回るようで必死にリーダーシップを取りクラスメイト達をまとめようとするのですが、哀れに思えるほどうまくいきません。いざという時に彼女を助けるのは同じフットサルチーム”ホーネット”のメンバーだけ。悲しいほどに彼女の読みははずれるのです。空回り。 サバイバルゲーム自体はスリリングでたいへんおもしろかったのですが、これをバーチャル空間でやるということにあまり意味を見出せませんでした。閉鎖空間という舞台設定だから、リアルではできない話かもしれませんが、何かしらもっとバーチャル空間を生かせなかったでしょうか。 また、終盤は駆け足で、このゲームの結末としてもシリーズの結末としても不満が残りました。きっと打ち切りなのでしょうね。8組まであるのですからそれなりの長いシリーズになるかと思ったのですが、残念です。もし続編があるのなら、もっと違った書き方になったのかもしれません。関連作:『扉の外』『扉の外2』2007年9月12日読了
2007.09.14
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深夜のファミリーレストランで、客の男が突然燃え上がるという事件が起きた。男の死因は焼死。しかし、男の脚には動物に咬まれた傷があった。機動捜査隊の音道貴子はベテランの滝沢とのコンビで捜査にあたるが、同じような動物による咬殺事件が相次いだ。 第115回直木三十五賞受賞作。さすがに楽しく読みました。 警察組織という男の世界。そこで貴子は機動捜査隊に所属しています。当然のように貴子は女性としてある時は疎まれ、またある時は蔑まれ、負けるものかと必死で抵抗するのですが、不思議なことにそれをくどいとは感じませんでした。幾度となくそういった記述が繰り返し見受けられるのにもかかわらず、です。これが作家の巧さか、力量かと痛感しました。凡庸な作家であればきっとそのくどさが際立ったのではないかと。 また、男性社会における女性の抵抗を描くのと同時に、男性社会で女性を扱うことの難しさにも触れていて、なかなか考えさせられます。 ミステリとしては、「新潮ミステリー倶楽部」の1冊として刊行されたわりには、若干ご都合主義的に感じる部分もあり残念でした。特に後半部分はかけあしだったようにも思われます。ただ、それを補って余りある筆力で、作品にのめりこみました。これはいい作家さん、いいシリーズにめぐり会ったのかも知れません。2007年9月9日読了
2007.09.12
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高校生の頃、学校でいじめにあったことからひきこもりになってしまった鏡田小夏。家から一歩も出ず、母親の代わりに家事をする小夏に、親友の宮前秋はいつも不思議な出来事や謎を持ってきてくれる。爽快な青春ミステリ。 6編を収録した連作短編集。部屋に閉じこもってしまった小夏と、快活な秋との対比が印象的です。ミステリとしては薄味で少々残念ですが、小夏の成長物語として引き込まれてしまいます。●「ひまわりの誘惑」 秋をナンパした男は、ひまわりを嫌悪していた。本物のひまわりはもちろん、ひまわり柄のものまで・・・まさに執念、恐ろしい世界です。●「黒い傘、白い傘」 晴れた日にベランダに出ると、公園を黒い傘が横切った。しかも、夜には白い傘が走り去った・・・真相までの持っていき方がちょっと強引で引っかかってしまいました。●「さくら、さくら」 どうやら母に恋人ができたらしい。二人が会っているところに偶然居合わせた秋に尾行を依頼するが・・・短絡的な発想から行動するところがなんとも言えずおもしろく、微笑ましかったです。●「朝顔はまだ咲かない」 「その朝顔は咲かないよ」それもそのはず、朝顔はいつの間にかアイビーに変わっていたのだから・・・運命の悪戯を感じざるを得ません。●「見えない人」 小夏は見てしまった。公園で保存されている電車の中で。噂になっているという幽霊を・・・幽霊が出るから近づくな、そんな悪戯のような噂話がずっと続けばいいのに。心温まる話でした。●「窓を閉めて」 古いスタジャンのポケットからから出てきた指輪。それは小夏にとって忘れられないものだった・・・忘れることができる側の人とできない側の人。運命は残酷で、そして時の流は光を与えてくれました。 全体的に秋のキャラクターが効いているようで、爽やかでさっぱりとした印象を持ちました。小夏のことを心配しながらも言いたいこと、言わなきゃならないことは言う姿がいいですね。 また現状を打開しようと悩んだり調べたりしている小夏の健気な姿には好感が持て、一歩ずつ前進していく姿には拍手を送りたくなります。 新学期が始まってしまい難しいかもしれませんが、続編でまた小夏と秋に会いたいです。収録作:「ひまわりの誘惑」「黒い傘、白い傘」「さくら、さくら」「朝顔はまだ咲かない」「見えない人」「窓を閉めて」2007年9月8日読了
2007.09.11
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父親の転勤で東京から北九州の社宅にやってきた小学5年生の森(シン)。そこで出会ったのはココちゃん、あや、竹本五兄弟、そしてパックという個性豊かな子どもたち。彼らは東京では問題児として扱われてきた転校生のシンをあっさりと受け入れたのだった。 ミステリーランド第13回配本作品。 どちらかと言えば「かつて子どもだったあなた」よりも「少年少女」に向けて書かれた作品でなのしょうか。子どもの世界の論理を前面に押し立て、それでいて強烈なサプライズもしっかりと効いています。 また、社宅という仲間意識、身内意識があると思われる空間を舞台に使ったことで、子どもたちのネットワークだとか、あるいはパックのような子どもの存在を表現するのにより効果をあげていると感じました。 子どもたちの身近にある日常の謎を解くだけでなく、ちょっとした冒険めいたことをさせたり、爽やかで楽しい小説です。無論それだけではなく、大人のいやな面もちゃんと見せてくれるのですが。 ただし、大小のいくつかの謎を用いたことから核となる謎(=サプライズ)に対する注意を集めることがあまりなく、結果として盛り上がりをを欠いていたように思われました。そして、子どもたちや社宅の雰囲気にはどこかノスタルジックなものを感じていたのですが、所々に非常に現代的な記述を見つけ、若干ちぐはぐな印象を受けました。もっとも、これは「かつて子どもだった」者から見た印象ですので、「少年少女」にとってはノスタルジーなんてなく、現代そのものなのかもしれません。 どちらにせよ、「かつて子どもだったあなた」でも今の「少年少女」でも楽しめる作品でしょう。この子どもたちが活躍する続編も期待したいです。2007年9月3日読了
2007.09.03
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数年前に女子校から共学になったカレン坂高校。全国大会で毎年入賞する実力を持つ放送部は代々女性がパーソナリティを務め、3年生の南美星空から潮崎なちるへと引き継がれていた。後継者を早く探さなければならない2年生のなちるたちだったが、肝試しの日、とんでもない事件がおきる・・・ あの『マリア様がみてる』のイラストを担当しているひびき玲音さんが原案という放送部を舞台とした学園もの。 学園青春もののほんわかとした雰囲気を味わいつつ、なちるとみひろの友情バカップルを楽しむ作品で、放送部の後継者探しはさながらスール探しのように長引いていくのか、あるいは徹と愁也という2人の男子との関係で引っ張るのか、それとも・・・なんて考えていたのですが。 中盤からの展開にもう驚愕です。それまでのほんわかとした雰囲気はどこへやら。すっかり話が変わってしまって。まるでなだらかな坂道を登っていたジェットコースターが突如垂直落下したみたい。 そこそこには楽しめたので良しとしますが、ラストがまたあまりにブチッと切られていて、続きが気になって仕方ありません。いや、こんなところで切るなよという不満かも。 どちらにいくのか全く先が読めないだけに、続きが気になっているのは真実。放送部を舞台にした特性もまだまだ生かされていないように思いますし、ここまでは様子見でしょうか。2007年8月7日読了
2007.09.01
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ある日、突然戦争が始まることが告げられた。相手はとなり町。「広報まいさか」でそれを知らされた僕だったが、実際戦争が始まっても、銃声が鳴るわけでもなく、流血を目にすることもない。ただ、「広報まいさか」に掲載される戦死者の数だけが増え続けた。しかし、開戦から1ヶ月が過ぎるころ、戦争は僕に近付いてきた。 第17回小説すばる新人賞受賞作。第133回直木三十五賞、第18回三島由紀夫賞候補作。 巷では評価が高いことは十分に承知しているけれど、残念なことに僕には合わなかったようです。 自治体が戦争を公共事業の一環として取り組むこの世界において、ごく一般的な町民であるはずの「僕(北原修路)」が、この世界の戦争を読者が考える戦争と同じようにとらえているという設定が、あまりにおかしいのではないでしょうか。「僕」は異世界からやってきたとか、タイムスリップしてきたとかいう設定ではないのですから。 またリアリティが中途半端にありそうでなさそうで、奇妙なところでぼかされ、はぐらかされているようで、曖昧で後味が悪いのです。読者の想像に任せる、というよりは投げっぱなしのように感じました。 ただし、公共事業としてのとなり町との戦争という着想は大変ユニークで魅力的なものでしたし、おもしろくないと言いたいわけではありません。ただ、僕とはちょっと合わなかったのです。いっそリアリティを投げ捨てて、SFに徹していればと残念に思います。2007年8月31日読了
2007.09.01
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