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夏!夏といえば海! 夏休みになって亜美の別荘へ行くことになった竜児や大河たち5人。これを機会になんとか互いに実乃梨や北村と近づきたいところ。そこで二人は、共倒れを防ぐために協力体制で臨むことにしたのだった・・・ すっかり積んでしまっていた『とらドラ4!』。せっかくなのでちょうどよい季節に読みました。 これ一冊だけを読むと単なる夏の小旅行なのだけれど、ラブコメとしては今までのコメ路線からラブ路線に軸足を移した印象が強い作品です。 竜児と大河で必死に策を練って怖がりの実乃梨を脅かそうとする件もおもしろいですが、竜児と実乃梨が2人だけでしっとりと話すシーンがなんとも印象的。彼女にはこんな一面もあったのですね。急接近とまではいかないけれど、確実に物語は進んでいます。やはりみのりんは太陽なのでした。 もちろん、コメディーとしても小ネタが盛りだくさん。こっち方面でがんばっていたのは北村ですね。相変わらず小ネタはちょっと古くて、ツボをはずさないセンスはさすがです。 夏休みが終わったので、次は二学期ですね。今度は大河の番でしょうか? 関連作:『とらドラ!』『とらドラ2!』『とらドラ3!』2007年8月27日読了
2007.08.29
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吉原の小見世・山田屋の遊女・朝霧は、不器量ながらもあと少しで年季を終え、吉原を出て行くはずだった。だが、朝霧は出会ってしまった。自分の運命を変えてしまう若者・半次郎に。(「花宵道中」) 第5回女による女のためのR-18文学賞大賞、読者賞を受賞した表題作を含む連作集。訪れる男たちに身を捧げ続ける遊女たちの叶わぬ恋の儚さ、切なさが巧みに表現されています。●「花宵道中」 朝霧と半次郎、出会ってしまった二人の間には一人の男がいた・・・あっさりと書かれた壮絶な結末に心揺さぶられます。●「薄羽蜉蝣」 初見世を二ヵ月後に控えていた茜は「好いた男がいる」と三津に告げた・・・何度名を呼ぼうとも恋しい人へ思いは届かない、この切なさ。●「青花牡丹」 母を亡くし父に捨てられた京都島原の遊女・霧里。弟の身を案じつつ江戸へ下るが・・・「花宵道中」の裏側にある物語。記される真相に驚愕するとともに、その執念に感服。●「十六夜時雨」 惚れる弱さなんて捨てたつもりだった八津だが、新たにやってきた髪結い・三弥吉のことが気になりだして・・・恋の形は人それぞれだけれども、八津が選んだそれはあまりにも切なく、そして前向きでした。●「雪紐観音」 看板女郎桂山の下で期待される緑。彼女は桂山以外と口がきけなかった・・・短いながらも遊女たちの生活と思いが巧みに表現された一篇。こういう恋もありですよね。 各篇は所々でかさなり合っていて、同じ場面を表から、あるいは裏からと語られる箇所がいくつか見受けられます。こういった場面に出くわす度に、より吉原へ、山田屋の姉さんたちの中へぐっと引き寄せられていくような感覚がしました。構成の妙でしょうか。 R-18という名のとおり、子供には読ませられない作品集。それは官能的な表現がされているからではなく、ここに記されているのが子供ではきっと理解できない大人の恋だから。傑作。収録作:「花宵道中」「薄羽蜉蝣」「青花牡丹」「十六夜時雨」「雪紐観音」2007年8月23日読了
2007.08.24
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恋多き母と暮らす三浦凪は高校二年生。同じクラスの雪絵から買物に誘われ彼女の服を見繕ったのだが、数日後に彼女は書き置きを残して消えてしまった。雪絵の母親から半ば疑われるかのように連絡を受けた凪は、なりゆきから雪絵の捜索を始めることになった・・・ 理論社ミステリーYA!の1冊。 ヤングアダルト向けということで主人公も17歳の高校二年生という設定なのですが、他人と群れることや甘えることを好まない凪のキャラクターとハードボイルド風味が上手くかみ合って、非常に楽しめる作品でした。 しかし、見どころはそういったハードボイルド的な面ではなく、凪の成長にあるのではないでしょうか。 その生い立ちや家庭環境からか、人と群れたり、人に甘えるということをしない凪。言動やファッションにも大人びたところがあり、一匹狼で人を寄せ付けません。友達もできないというよりは必要としないような人物なのです。 ですが、彼女も17歳、雪絵の行方を捜すうちにどうしても一人ではいかんともしがたい場面が出てきます。そこで初めて人と関わることの大切さ、自分がどれだけ多くの人々に支えられ、助けられて生きているのかということに気付くのです。一人で立っていられるなんてことはないのです。ラストシーンは凪にとって今回の事件による最大の収穫でしょう。実体験から女友達の良さをよく知っている永井さんだからこその作品かもしれません。 読みやすく、理解しやすく、そして何より続きが気になり読み続けてしまう作品でした。多少展開に都合のよさが顔を出すこともあったけれど、あまり気になりません。続編があればぜひ読みたいですね。2007年8月21日読了
2007.08.22
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名門お嬢様学校・聖マリアナ学園に綿々と続く「読書クラブ」。西の官邸と呼ばれる生徒会と東の宮殿と呼ばれる演劇部という二大勢力の間で、ひたすら静かに見つからぬように崩れかけたビルに集う学園の異端者たち。それは、学園の正史から抹殺された黒歴史とも言うべき数々の珍事件を記録し、後世に伝えていく集団であった・・・ 時代の異なる5つの物語で聖マリアナ学園の100年にわたる歴史を綴った連作形式の作品。学園創立の裏話を絡めた「聖女マリアナ消失事件」はともかく、他の4作はいずれも毎年選ばれる王子など女性社会における英雄の存在を中心に、閉ざされた社会での熱病のような熱狂ぶりが描かれています。 ただし、桜庭一樹という常に少女を書き続けてきた作家にとって、本領を発揮できるのはこうした熱狂する少女ではなく、そこから一歩退いて遠い目で熱狂ぶりを眺めている少女、あるいは否応なしに渦の中心に押し込まれてしまう少女のような気がします。 本書における主人公は、「読書クラブ」で息を潜めるかのように本を読んでいるような少女たちです。であれば、桜庭さんにとっては当然得意な分野。おもしろくならない訳はありません。そして実際おもしろいのです。 しかし、読んでいて物語に乗りきれず、物足りなさを感じたのも事実。聖マリアナ学園の100年の歴史という観点から、『赤朽葉家の伝説』のような作品を想像していたので、ちょっとイメージとは違ったからでしょうか。あるいは、桜庭さんに対する期待が大きすぎたのでしょうか。おもしろいけれど、桜庭さんならもっとおもしろくできたはず、というように。収録作:「烏丸紅子恋愛事件」「聖女マリアナ失踪事件」「奇妙な旅人」「一番星」「ハピトゥス&プラティーク」2007年8月15日読了
2007.08.20
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マンモス校・木ノ花学園に入学した城崎修は、理事長の木ノ花あざみから学園内の事件を調査する「本格推理委員会」に入ることを強要される。拒みつつも委員会と行動を共にし、小学部での幽霊事件の解決にカメラを担いで文字通り力を貸す城崎だったが・・・ 第1回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。ライトノベルとミステリの融合体として、なかなか興味深くおもしろい作品でした。 人物や状況の設定にライトノベルの風味が強く出されているけれど、決してそれだけではなく、『本格推理委員会』というタイトルが示すように真正面から本格推理に挑もうとしているようで、そこには非常に好感を持ちました。 ただ、ライトノベルとミステリのどちらが主でどちらが従だったのかわかりませんが、ミステリ側から考えると、ライトノベル風味の味付けが濃く、ミステリとしての要素は薄く感じられてしまいます。 また、これほど多くの人物を登場させる必要があったのか、疑問に思う部分もあります。これがシリーズものとしてつづいていくのならともかく、第2作が発表されていない現状ではそれも期待薄か。いや、まあ登場人物を増やすことに意味があるという考え方もあるかもしれないですけど。 もっとも、それぞれのキャラが立っており、会話もテンポよく進むのであまりそういったことを欠点のように強く感じずに済むのも利点でしょうか。 まだまだ若い書き手ですし、のびしろも十分にありそうなので第2作を書いてほしいところです。2007年8月10日読了
2007.08.20
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元ヤンでホストをしているヤマト。彼の元に現れた男の子は、突然こう言ったのだ。「はじめまして、お父さん」と。男の子は進といい、どうやら遠い昔に別れた由希子の子どもらしい。とりあえず進を預かることにしたヤマトだったが、進を店に連れて行ったその日にささいな事件を起こして店をクビになってしまって・・・ 宅配便でおこる様々な日常の謎をホストから転身した大和と突然現れた息子の進が鮮やかに解決する連作短編集・・・かと思いきや、ミステリ成分はないに等しい純情親子のひと夏の物語でした。 ミステリを期待していたので肩透かしにあった気分ですが、これがなかなかおもしろいのです。とにかく登場人物たちがいいのです。 特によかったのが息子の進のキャラクター。小学五年生でありながら家事には一家言持つうるさい存在。「おかあさん」というあだ名のとおり料理、洗濯、掃除と家事は何でも大人以上にこなすしっかり者。だけど、作中にもあったとおり、こういう男の子って本当にもてないですよね。女の子にもしっかりしすぎてうるさいとか、おもしろみがないとか思われるのでしょうか。大和の行動をすっかり読みきっていたりする反面、大和にもてる秘訣を教えてもらったりするような子供らしさも持っていて、なかなかかわいらしいですね。 一方で父親の大和は、元ヤンのホストから宅配便に転身、しかもリヤカーで配達するというこのギャップに驚きます。リヤカーを勝手にカスタマイズしてしまったりするあたりはいかにもという感じですが、進に影響されて父親らしさを身につけていくのは読んでいてほほえましいです。 そのほかにもジャスミンや雪夜、ナナ、ボスなど様々な特徴的な登場人物たちが揃っていますが、みんないい人ばかり。ちょっと前だと坂木さんの作品はいい人ばかりでちょっと抵抗があったのですが、今回はそういうことは全く感じませんでした。 早く冬休みにならないだろうか、進が大和の元に戻ってこないだろうかと楽しみでなりません。2007年8月3日読了
2007.08.07
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