PR
Keyword Search
Calendar
Category
Comments
朝食の用意をしようとガスバーナーをセットしていたら、クロスカブさんが焚き火をしようと言うので、リクエストにお応えし、残り火に薪を足してマルチグリドルで卵とハムを焼く。焼き終わったらキッチンペーパーで軽く拭いて湯を沸かしコーヒーを淹れる。フランスパンを半分に切って切り目を入れ、ハムと卵を挟んで朝食の出来上がりである。クロスカブさんは天神峡で作ったハムエッグサンドが忘れられないらしく、この調理が大好きなようだ。今日はオマケにケチャップ付きだ。
ゆっくりと片付けを終え、今日の予定を話し合う。クロスカブさんはこのまま帰って仕事をするとの事なので、私はGPS25000で探しておいたオフロードであろう道が3㎞ほど続く白賀渓谷に行って、帰りにクロスカブさんの事務所に寄り、カブ2台で昨年行った滝に再挑戦して帰途につく予定を確認した。
サイトを綺麗に掃除し、管理棟の姉ちゃんに帰る旨を報告してカブに跨がる。涼しい県道65号を快調に南下して行くと、何だか見覚えの無い道を走っていることに気づいた。カブを止めてGPS25000で確かめてみると、このまま南下すると久世に行ってしまう事が発覚。白賀渓谷に行くには県道56号に左折しなければならなかったのをそのまま直進してしまったようだ。昨日は目木川と余川の合流地点を大津神社方面に分岐したが、反対側に分岐するとこの県道65号となり、こちらの方が早いと昨夜クロスカブさんに教えて貰っていた。なるほど、地図をみても県道65号経由の方が近道だった。
折角下って来た道を引き返し、県道56号へ右折すると見覚えのある風景となった。白賀渓谷は布施神社の参道脇の白賀川に沿って山に入って行くと「白鹿発祥の地白賀渓谷」の標識が現れる。ここからの道は木々に覆われ、沢を流れる水の音と相俟って実に涼やかである。途中にヤマメの釣り堀もあり、天然の釣り場として白賀川にも放流しているようだ。更に進むと開けた草原が現れ、トイレや休憩所、炭焼き小屋が建てられた場所に着く。クルマで来た人はここから渓谷をハイキングしたり、ヤマメ釣りを楽しむ起点となっているようだが、今日は誰もいない。完全ぼっちだ。
渓谷へ分け入る道はさらに奥へと続いており、入口に熊出没注意の看板が出ていたので、念のためにリアボックスから熊撃退スプレーを取り出し、腰のベルトにセットして進むと、アスファルトが途絶え予想通り荒れたオフロードになった。今回は電動空気入れは持って来ていないので、空気圧は落とさず、熊との遭遇も考慮して低速で前進する。渓谷を登って行くに従って沢や渕の名所が次々と現れ目を楽しませてくれる。秋には紅葉がさぞかし美しいであろう事が想像出来る。
オフロードを1㎞ほど走ると突然鉄製の扉が行く手を遮っており、これより先に進む事が出来なくなっていた。恐らくクルマやバイクが通ると、その音でヤマメが逃げてしまい釣りの妨げになるのではと思われる。GPS25000で位置情報をみると、林道はまだ1㎞ほど奥に延びているようだが、潔くここは引き返す事にした。この川の上流には天然ヤマメもいるようで、釣りをするには白賀川専用の遊漁券が必要のようだ。
帰りのオフロードで車体が激しく揺れた為かどうかは分からないが、途中からニュートラルランプが点灯しなくなり、合わせて燃料計が残量0のまま動かなくなった。配線のギボシが外れたのかも知れないが、2箇所同時に壊れるものだろうか。帰ってから総点検が必要だろうと考えながら、白賀渓谷を後にした。
県道56号に復帰すると向かいの富総合福祉センターの敷地に1700年代に建てられた旧森江家の住宅が移設展示されているとの事なので、見学した。茅葺きで頭が当たりそうなほど軒が低い建て方は、古代の家の特徴で吹屋ふるさと村の家屋と良く似ている。しかし、この家屋は三方が全て厚い大壁で覆われ、厳しい寒さからの対策が取られいるのが特徴的であるが、三方が窓の無い壁だと中は暗いだろうと想像できる。
ゆっくりしていたら、もう11時を回っているので、残り少なくなったガソリンを補充すべく、この辺りで唯一のGSで給油。今回は0.7L入り予備ボトルにガソリンを入れてフロントキャリアに取り付けているので、ガス欠の心配はない。
11時30分、クロスカブさんの事務所に到着。このまま滝へ行ってみる事となり、カブ2台で滝に向かう。昨年は途中の空き地にカブを駐めて汗をかきながら歩いて登ったのだが、クロスカブさんは今回はカブで滝壺まで登ろうと言う。前回の記憶では空き地から滝壺までは全て急勾配のオフロードなので、セローかTLR200なら行けそうだがカブではパワー不足だと思った事が思い出されたが、登り切れなかったらその時に考える事として挑戦に同意した。
クロスカブが先頭で急坂にアタックする。クロスカブは排気量が110ccと私のカブより20cc余裕があるが、車重を勘案すると同じようなものだろう。クロスカブが途中で止まった時の事を考え、10メートルほど車間を開けて急坂に挑む。勿論1速でフルスロットルだ。
前を行くクロスカブは両足をばたつかせながらも何とか登っている。こちらのカブもフルスロットルなのに、負荷が掛かり過ぎてエンジンの回転が上がらないので、両足で車体を支えながらエンストと後輪の空転に注意を払い登って行く。もう後戻りは出来ない。前に進むのみだ。難所だらけの急坂を両足を使って登って行くとやっとゴールの滝が見えた。エンジンの負荷は相当なものと推察され、青息吐息で今にも止まりそうだ。
焼き付きを起こさないかとヒヤヒヤしていると、滝壺まで後数メートルという所でクロスカブが止まった。その瞬間車体諸ともクロスカブさんがずり落ちて来て大転倒。こんな事もあろうかと距離を取っていたので、共倒れする事は免れたが、この急勾配でストップすると、前後のブレーキを掛けてもタイヤがロックしてそのままクロスカブさん同様ずり落ちて転倒する事は目に見えているので、咄嗟にフロントタイヤを大きな石の間に入れて車体を支えてフルブレーキでバイクを止めた。ギアは1速に入れたままでエンジンを切って、クロスカブさんを助けに行こうとして、何故かハンドルからスマホを外して一大スクープを撮ろうとした薄情者の自分が情けない。
写真を撮る時間も無く、転倒で動転したのか素早い動作でクロスカブを起こして再び、跨がったのは良いが、急坂のため同じ事が起こった。つまり前後のブレーキを掛けてもタイヤがロックしてそのまま後へずり落ちて再び大転倒。今度は撮影どころではない。クロスカブさんの足がバイクの下敷きになったように見えたのだが、何とか無事だったので一安心。クロスカブを二人掛かりで起こし、ずり落ちない安全な場所まで運んだ。
クロスカブさんは作務衣の上下が泥まみれになったが、2度の転倒にも拘わらず奇跡的に怪我は無かった。これも滝神様のお蔭だろう。折角苦労して登って来たのだから、滝神様に御礼の報告に出向いて、滝壺の水で涼をとって心が安まるまで暫し休憩。
帰りは急勾配でカブに跨がり転倒に気をつけながら何度も切り返しをして、少しずつ車体を反転させてターン。クロスカブさんが亀のようなスピードで急坂を下って滝壺アタックは終了した。事務所に戻るとクロスカブさんはあの滝にはもうクロスカブでは行かないと言っていた。私も行かない。何故あと数メートルまで来で止まったのかと聞いてみたら、滝壺の回りは狭いので途中で止めておこうと思ったらしいが、あの急勾配では絶対止まったらアカンと説明しておいた。
すると首と頭の間の辺りに大きなコブが出来ていると言い出して、頭を打ったせいで滝に向かった記憶が無いと言う。冷えた麦茶を飲みながら、話しをしていてもおかしな言動はなく、大丈夫と判断したので、クロスカブさんに見送られながら事務所を後にした。
奥津湖の湖畔を南下し、中国道のガードを潜ってR181を横切りR429に出たので、後はこの道を真っ直ぐ帰れば足守に出るのだが、遠くの山の中腹に草原のように見える景色が目に止まったので、時間もある事だし行ってみて何であるかを確かめることにした。
アプローチする山に登る入口であろうと思われる脇道にバイクを止めてGPS25000で道を探すと、分岐したこの脇道が正解で、山を越えればR429に復帰できる事が分かったので、登坂に移る。
舗装路ではあるが道は細く急坂が続くので、1速と2速で登って行く。見晴らしの良い峠付近まで登ったらあの草原のような正体が判明した。杉の植林だった。まだ若木なので遠くから見ると草原のように見えたのだ。
峠の標高は426m。結構高い山だ。峠を過ぎると木々に覆われ昼間でもライトが必要なほど暗い道になり、3軒の廃屋や小さな墓地がもの悲しく建っている。誰も通る事のない暗い道を枯れ枝を避けながらカブで慎重に走って行く。かなり長いクネクネ道を下ると大垪和の棚田へ向かう分岐点に出た。
ここからは知った道なので、ダム湖の道を落合方面に引き返し、R429に合流。快適快走路なのでノンストップで足守まで帰って来た。足守に入ると急に気温が上がり、風が熱波に変わっていた。やはり県南は暑い。また、あの暑い家に帰るのは嫌だが仕方がない事である。今回も色々とハプニングはあったが、充実した2日間のキャンプツーリングであった。
それにしても、スーパーカブ90の機動力には舌を巻く。たった90ccのエンジンで普通に走るクルマには付いて行けるし、急坂は苦手だが、スピードに目を瞑れば登れないような坂道はない。良く計算されたギヤ比なので3速でも十分走れる。シートのクッション性も良いので長距離運転でも苦にならないし、リアに大きなボックスを取り付ける事も出来、積載能力はピカイチである。エンジンが秀逸でトラブルも無く意外とパワフルなので一般道を利用した長距離ツーリングもこなせるし、燃費も素晴らしい。今回は途中で1回満タン給油でガソリン代が503円とリーズナブルでもある。正にキャンプツーリングの最適アイテムと言えよう。年を取って最後に残るバイクはこのスーパーカブ90かも知れない。
のとろキャンプ場で荷支度が終わったカブ2台
渓谷の入口にある白賀渓谷の標識
道路脇を流れる白賀川
クルマも駐車できる草原があり起点と思われる広場
熊出没注意の看板/この先からオフロードに変わる
オフロードの林道檜山線
渓谷を流れる水は透明感抜群
旭川源流の碑
ゲートで止められた林道
林道脇の巨岩
国重文の旧森江家住宅
クロスカブの転倒現場
有名な山口の獺祭米を栽培している田
大崩山付近の林道
鷺の巣温泉と高間キャンプ場ツーリング 2025.10.23
天空の林道の筈が道後山にてキャンプ 2025.09.05 コメント(2)
予想外の剣山スーパー林道と矢筈峠で帰還… 2025.09.02 コメント(1)