笏取り虫

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Comments

聖書預言@ Re:バッテリーケースとリアブレーキスイッチの修理(11/16) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
GREY@ Re:リアサス(06/25) 自分は、ノーマルスプリングに組み換えて…
turu 164@ Re:天空の林道の筈が道後山にてキャンプ(09/05) 道後山懐かしかったです。グリフイス さん…
グリフイス@ Re:天空の林道の筈が道後山にてキャンプ(09/05) おー。道後山にきんさったかね。広島弁。…
グリフイス@ Re:予想外の剣山スーパー林道と矢筈峠で帰還の危機に見舞われた2日目(09/02) またまた、凄い所に行きましたね。今度は…
2025.08.31
XML
今年の夏は剣山スーパー林道をSUZUKIジムニーで走る計画を立てていた。何年も前からトリッキーな道が好きなジムニーさんが一度走ってみたいと言っていたので、3型のJB23 のジムニー(以下JB23)で8月28日~29日にかけて決行した。
ジムニーさんは四国の林道は全く走った事がないので、ルートは全てこちらで計画し、今回はナビゲーション役に徹することにした。28日、迎えのJB23にキャンプ道具を積み込み午前8時過ぎに出発。
瀬戸中央道を75キロで走っていると、小さな段差があり、通り過ぎたとたんに前輪の横揺れが始まり、もの凄い音と共に車体が揺れて、ハンドルが暴れ出した。ハザードを点けて減速するもなかなか収まらない。40キロ程に落として暫く走ると段々と収まって来て、普通に走れるようになったが、ビックラこいた。
話しには聞いていたが、この現象は凄まじい。何でも時速80キロで走行すると前輪から共振が起こるようだが、80キロに届かなくても段差があるとそれを切っ掛けに共振する事もあるようだ。昨年はこのJB23で北海道に1ヶ月ほど釣りとキャンプ旅行に出掛けたが、共振するので北海道では1度も高速を使わなかったそうである。80キロ以下で普通の道を走るには何の問題も無いので、坂出ICが待ち遠しい。
この共振現象は古いジムニーの持病で、よく出る現象で、酷い車体に当たると新車の時から出るものもあるらしい。ディーラーに持ち込んでも完全に直るという解決方法は無く、専門店の腕に賭けるしか無いとの事。特に足廻りを改造をしたり、タイヤがすり減ったりすると出やすいようである。
共振の話しで盛り上がり、瀬戸大橋を大型トラックに抜かれながらも坂出ICで何とか恐怖の高速から脱出して、R11からR438へ分岐する。この国道は美馬ICのあるつるぎ町まで続きR192に繋がる。R192は吉野川沿いを徳島に向けて走る道路で、山川町でスーパー林道に向かうR193に繋がる。
坂出からは快調であったが、2速から3速のギア比が離れているので、坂道で一旦エンジン回転を落とすと登らなくなる。特にエアコンの負荷が大きくONにすると忽ちパワーを奪われるので、ターボが付いているとは言え登り坂は相当キツい。登り坂と高速走行は苦手だが、26万キロ走ったエンジンは今でも絶好調で異音も一切ない。サスはスプリングとダンパーを4本供交換しており、少しのリフトアップがなされ、タイヤはすり減っているとは言え、1インチ大きなオープンカントリーを履いている。
午前11時、山川町のマルナカに到着。本日の夕食と明日の朝、昼食の買い出しを行い、少し早いが近くの「らーめん福福」で昼食とした。味はまずまずだったが開店直後の1番乗りだったので、エアコンをつけたばかりの店内は蒸し風呂状態だ。さっさと食べて退散だ。
ここからはR193を神山方面に向けて南進する。峠越えで標高も上がって来たので、エアコンを切ってパワーを稼ぐ。スーパー林道の起点は上勝町なのだが、旭丸峠まではコンクリート舗装が施工されていて面白くないので、オフロードの南山林道を抜けて起点と旭丸峠の中間地点付近のスーパー林道東コースに出て、旭丸峠からR193を通り、雲早トンネルを抜けて岳人の森キャンプ場でキャンプをする予定であったが、盆の振替休日で29日まで休みとの事なので、南に下りスーパー林道西コースに分岐して、8キロほど走りファガスの森でキャンプをする予定である。

林道はいきなり高度を上げて行くが、舗装路なので安心だ。かなり登り、神山の町が見下ろせる開けた所からはオフロードに変わり、更に登って行くと山の中に突然悲願寺が現れる。こんな山奥にお寺があるのが信じがたい。確かに地図にも載っている。この辺りは分岐が多くGPSが頼りだ。悲願寺を回り込み更に進むと、石があちこちに散らばる様相を呈してきた。軈て野間川林道と思われる分岐に来たので、地図を確認しながら更に登って行く。野間川林道は若い頃ニッサンテラノで走った事があるが急坂の酷いガレ場だった事を思い出す。
この辺りからGPS25000のポイントが地図の道から大きく逸れ始め、軈て反応しなくなった。山が深いので木々に阻まれGPSの電波が届かないのであろう。小雨も降り出し、落石や倒木も増えて来だした。クルマから降りて前方を塞ぐ倒木を持参したナタとノコギリで除去しながら、クルマを進める。大きな石は力技で脇に退ける。クルマに乗っては降りの繰り返しだ。
かなり登って、やっと開けた所に来たので助手席に乗って、前方を見ていると右から杉の枝が大きく張りだしているのが見えた。JB23のギアは4WDのLowレンジに入れてゆっくりと走っているので何も問題無いように思えた。杉の手前まで来ると路面はシダに覆われおり、枝を避けるべくハンドルを左に切って避けようとしたその瞬間、一瞬何か茶色い物が見えた気がしたとたんに激しい衝撃が起こった。何がなんだか分からない内に今度はフロントが浮き上がり、ゆっくりとスローモーションのように車体が左に傾いて来た。ジムニーさんが見上げるような所にいる。このまま左に横転するのだろうと思いながらも何もする事が出来ない。すると傾きが何とか止まって車体が静止した。エンジンは掛かったままで高回転で回っていたので、先ずはエンジンを切って貰い。脱出を試みる。
ジムニーさんが重いドアを開けて外に出るが私は自力では這い出せないので、手を握って引っ張って貰って何とか脱出。一体何が起こったのか確認してみると、
杉の枝の先は運悪く、水が流れて崖が崩落して深さ1mほどの大きな穴になっていた。その穴に左のフロントタイヤが落ちて、アクセルを踏んでいたものだから、左のリアタイヤが踏ん張ってフロントを持ち上げたが脱出するには穴が深すぎたのでそのままスタック。右のリアタイヤが辛うじて路面に残っていたので車体が左に傾いたが、横転寸前で左のリアタイヤが支えとなって停止したという顛末だ。
全輪とも穴に落ちていたら穴の下に生えている杉に当たって止まるか、運が悪かったら杉を支点に回転して、バックで崖に落ちてしまうところだったかも知れないので、この状態は最悪ではないと思われた。
転落時はいきなりだったのでビックリしたが、以外と恐怖感はなく、クルマが回収出来るのかという不安の方が強かった。先ず最初にした事は2人してこのビッグスクープの写真を撮る事だった。バシャ、バシャと何枚も撮って、現状確認を行う。路面に設置しているのは左前輪と右後輪、右前輪は1mほど浮き上がり、左後輪は穴の中だ。試しに宙に浮いた右前輪に乗って体重を掛けてみたがびくともしないが、幸いな事に両前輪は穴から出ているので、前に引っ張れば脱出は出来そうである。しかし、生憎ロープもウインチも積載していないので、自力で引き揚げる事は不可能である。
JAFを呼ぶにもこんな山奥のオフロードに来てくれるとも思えない。第一普通のレッカー車は入れないだろう。当然圏外なので電話も通じないので、歩いて繋がる場所まで移動して、取り敢えずJAFに電話してダメなら、明日ハンドウインチとワイヤロープを手配して貰って、フレンディーのレスキューを頼もうと思いながら、2Lの水を持って林道を下ったのが午後2時頃だった。JAFがダメならキャンプ道具と食料はあるので、クルマの脇で野宿を覚悟していた。
500mほど歩いて下ったら、電話の電波が1本辛うじて立ったので、JAFに電話して車体の状態を伝えるとレスキュー可能との朗報が届いた。GoogleMapで現在の緯度、経度を調べて連絡をしてくれとの指示に従い、東経134.3434780、北緯33.94260330の情報を伝え、クルマは林道の登りに向いているので、旭丸峠側から入って来て欲しいと付け加える。これから出動するので、1時間30分ほど掛かるとの事で一安心した。


地元のJAFなので、道は熟知しており、旭丸峠からはアクセス出来ないと判断したのだろう。何とか光明が差してきた矢先、妻から突然シンクの配水管が詰まって水が抜けないとの電話。U字パイプの外し方を教えて一件落着。何時もこうしたものだ。
悲願寺の下辺りにいるとの電話から暫く待つも一向にレスキューのエンジン音が聞こえない。道を間違えたかと少し不安になったが、更に待つと電話が掛かり今、野間川林道と思われる分岐点まで来たと言うので、分岐の指示をしたのだが、移動スピードが余りにも遅い。時刻は既に4時30分を回っているが大丈夫だろうか?こんなに遅いとなるとやはり小型のレッカー車で来ているのだろうか?しかし2WDでは無理な気もする。仕方が無いので更に待つと私には聞こえないが、ジムニーさんがエンジン音が聞こえるという。やっと助けが来てくれたかと今か今かと待つが、車影は一向に見えない。暫くすると黄色のフォグランプが見えて来た。
やって来たレスキュー車は古いJB23一台だ。しかも、ウインチも装着しておらず、タイヤはノーマル。オートマ。若い兄ちゃんが1人で運転して来た。大丈夫かえ?レスキュー車を先に行かせ付いて歩くが、歩くよりも遅い。なるほどこの速度なら時間は掛かるわ。
現場に到着して脱落車の横を通り抜け、牽引ロープを掛けてゆっくりと引っ張るとフロントが少し下がったところで、ジムニーさんが乗り込み、エンジンを掛ける。そのままジワジワ引っ張ると左の後輪が路面に着地。何と呆気ない事か。時間にして10分足らずのレスキューであった。
あれほど派手に穴に嵌まったにも拘わらず、引き揚げられたJB23を調べてみるも、左のサイドガーニッシュに引っ掻き傷が僅かにあるだけで他の傷は皆無であり、下回りを打った形跡もない。エンジン、ミッション、ブレーキ全て異常なし。やっぱりラダーフレームのジムニーは凄い。頑丈である。
レスキューの兄ちゃんはJAFの下請けの自動車会社の従業員で、「たまたまアドベンチャーが好きな自分がいたからレスキューに来た。他の者は誰も来ないでしょう。地元だが、こんな山があるのは知らなかったし、初めて来た。このレスキュー車で引き揚げ出来なかったら、人だけ麓に乗せて帰るつもりだった。何かの修行ですか。」などなど話して我々が先に山を下った。振り向いてみるもレスキュー車はもう見えない。あのスピードで走るなら帰る頃には真っ暗になってしまうだろうと思いながらも、神山町に向かって下って行く。
R193に乗る頃には薄暗くなって来たので、ライトとフォグランプを点けて、山を登り岳人の森の前を通り、夜のスーパー林道を激走して、ファガスの森に到着したのが、午後8時前。誰もいない真っ暗な道路脇の草地にテントを張って、焚き火を始めたのが、9時を回っていた。今日は注意不足のために大惨事に見舞われたが、JAFの兄ちゃんのお蔭で最悪な事は免れ、時間はずれたが予定通りの行程を完結する事が出来た事は有りがたい事である。
無事生還を祝し、ピータン豆腐をアテに冷えたビールを飲み干し、エビのアヒージョで3合飲んで寝た。標高1,200mはクーラーも何もいりません。12時には明日のスーパー林道と難所の矢筈峠と京柱峠の走破を夢見ながら眠りについた。

らーめん福福

オフロードになった南山林道

林道から望む神山の町

薄暗い林道

落石を避けながら走るJB23

段々と倒木や障害木が増えて来る林道最深部

崩落の凹みに嵌まったJB23

運転席からは空が見える角度

首の皮1枚で転倒を免れている車体

大きく宙を舞うフロントタイヤ

ジムニーで牽引されるJB23

剣山スーパー林道東コース入口

焚き火をしても暑くないファガスの森

絶品のピータン豆腐






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.08.31 19:16:53
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: