主執筆者の米テキサス大学サウスウエスタン医学センター(University of Texas Southwestern Medical Center)のジャレット・ベリー(Jarett Berry)准教授(内科)は、「若年期と中年期に獲得したリスク要因が、心臓病の生涯リスクを決定する。短期間のリスクだけに注目する現在の心臓病予防は、特に40代と50代に誤った安心感を与えてしまう」と述べている。
■データで明らかになった生涯リスク
米国立心肺血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute、NHLBI)が出資した今回の研究では、リスク要因を測定する「Cardiovascular Lifetime Risk Pooling Project(心臓血管の生涯リスクデータ蓄積プロジェクト)」に参加した全米の45歳、55歳、65歳、75歳の白人および黒人の男女25万4000人のデータを精査した。
調査を主導したノースウエスタン大学フェインバーグ医学部(Northwestern University Feinberg School of Medicine)のドナルド・ロイドジョーンズ(Donald Lloyd-Jones)准教授(予防医学)によると、長期的に見た場合、「リスク要因が1つだけでも、生涯に重大な心血管系症状を発症して死に至るか、生活の質や健康を大きく損なう結果を招く確率が非常に高くなる」という。