ザビ神父の証言

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2021.04.24
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カテゴリ: 国際政治
イラン核合意

4月11日に、イランの最重要な核施設のひとつナタンズで、イスラエルのテロによる電源システムの爆破という大きな事件がありました。それを受けてイランは、イスラエルの核テロに対する報復だとして、4月16日に今まで20%に抑えてきたウランの濃縮度を60%に引き上げました。 核合意への復帰をチラつかせながらも、一向に前向きのサインを送ってこない米国が、イスラエルのテロの背後にいるのではないかと疑ったからです。

このイランの行動に対し、バイデン米大統領は、「核合意に反する行為だ」と非難しながらも、「一方でイランが核協議を続けるとしたことは歓迎すべきことだ」とも述べ、欧州諸国を仲介役としたウィーンでの間接的核協議を米国から打ち切ることはしないし、協議を継続する意思を明確にしました。

その後、米国とイラン双方の意向の伝達厄を続ける欧州連合の担当者から、「合意までにはまだ時間がかかるが、進展があった。」とのコメントが出され、協議に参加しているロシアの代表者からも、「目標に向けた具体的なステップについての話し合いに移行している。」との発言があり、協議の進展がうかがわれたのです。

18日、米国のサリバン大統領補佐官(安全保障問題担当)が「新たな共通理解が生まれている」とのコメントを出し、イランの報道官も、まったく同じ表現を使って、交渉の進展を伝えており、イラン・米国の双方が、交渉の進展を評価していることがうかがえました。

その上、イランのロウハニ大統領は「進捗率は60~70%だ」と述べ、「米国側が誠実に対応するのであれば、短期間に結果を出すことも可能だ」と述べ、交渉の進展をはっきりと認めたのです。21日には、「核合意の全面復活まで、米・イ両国がとる具体的なステップの順序を協議する専門部会の設置が発表されました。

核合意を一方的に破棄した米国が、全ての制裁を解除するのが先決だと主張し続けてきたイランが、そういう要求を「非現実的だ」と主張し続けてきた米国と、共通理解を持つようになり、イランも実際には、極めて現実的な話し合いに応じている様子が分かります。

バイデン大統領は、14日にアフガン駐留軍の全面撤退を正式に発表。イエメン紛争のためのサウジへの軍事支援も大きく縮小しました。

こうしてみると、中国との本格的対決に備えて、中東やアフリカなどを含め、中国との対決に全ての資源を集中するため、西アジアから中東、アフリカの地域紛争からは手を引く意向であることが読み取れます。そのため、「イランが核合意を順守することが分かれば、こちらも核合意に復帰し、合意を順守する」意向を示しているのです。



問題は、核合意絶対反対のイスラエルとその支持者が、どんな妨害工作に出るかにあうように思われます。





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最終更新日  2021.04.24 22:02:44
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