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昨日(10月6日)の続きです。少し変わった放射線の有効利用としては、害虫の駆除というのもあります。沖縄以南の亜熱帯から熱帯地方には、ウミリバエという昆虫がいるそうですが、この昆虫がゴーヤやカボチャなどの瓜科の植物に卵を産みつけてしまい、収穫に多大な悪影響を与えるのだそうです。このウミリバエの蛹(さなぎ)を大量に捕獲して、単に駆除してしまう代わりに、放射線を照射することによって、「不妊のオス・ウミリバエ」を作り上げるという方法をとるのだそうです。その後、自然に放たれた大量のこの「不妊オス・ウミリバエ」たちは、メスと交尾します。しかし、メスがいくら卵を産んでもその卵は「不妊オス・ウミリバエ」との交尾の結果の卵のため孵ることがありません。そのため、子どもウミリバエが生まれないということになります。その結果、だんだんウミリバエの数が減っていくことになり、最終的には種として絶滅に至るというわけです。即時的な効果が期待できるというものではなく、ある程度の時間的スパンが必要とのことですが、環境に悪影響を及ぼすことなく、害虫駆除が確実にできるということで注目を集めている方法なのだそうです。このように見てくると、放射線を照射することによって人は多くの利益を享受できるというわけですが、残念ながら事はそう簡単ではないようです。というのも、以下のような説に代表される反対論も多く存在するからです。電離放射線を食品にあてると、放射線のもつエネルギーによって食品の成分である物質の分子から電子が分離分解され(いわゆる活性化=フリーラジカル)、化学的に不安定になって、その後に放射線分解生成物という成分の異なった物質が生じる。そのなかには、毒性をもつものもあり得る。つまり照射によって、成分が変わることによる危険性が生じるのである。 この危険性については、すでに海外から報告されている。1998年、ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究センターが、食品への放射線照射により2ドデシルシクロブタノンができ、それをラットに与えたところ、細胞内の遺伝子(DNA)を傷つけるという報告を出した。日本で1967年から行われた照射ジャガイモ・タマネギなどをねずみに食べさせた実験でも、生殖器官である卵巣の重量低下、死亡率の増加、頸肋という奇形の発生などが発生していることが指摘されている。放射線が人体に危険であることはよく知られている。胸の集団レントゲン撮影も、リスクの方が大きいと、最近は行われなくなってきた。食品照射で微生物を殺菌するとすれば、胸のレントゲン撮影のゆうに1億倍を越える放射線量を食品に照射することになる。さらに、コバルト60のような放射性同位元素(放射性物質)を運搬し、照射施設で管理するのも大変なら、使用後に、放射線の出る能力の残る廃棄物をどうやって処理していくかも問題だ。 もう一つ大きな問題は、研究室ではともかくも、照射食品には実用的な検知法がないということだ。食品そのものから、残留農薬や食品添加物を分析する方法はある。ところが、照射された食品自体をとりあげて、それに放射線が当てられたかどうか(定性試験)、どのくらいの線量を照射したのか(定量試験)は、確立されていない。表示が正しいかどうかを検査したり、違法な照射食品がないかどうか、実地の検疫所や流通現場で検査する方法がないのである。 さらに問題なのは、このように、目にみえない形で殺菌が行われることそれ自体であろう。どんなに不衛生な扱いをされ菌が多いものでも、この照射施設を通りさえすれば菌は少なくなり、流通・検疫に適するものになる。しかも、生のようにみえる。照射により煮たり焼いたりした以上の成分的な変化を受けているにもかかわらず、何でもないようにみえるのだ。 スパイスの場合、93品目がスパイスの範疇に入れられることになると、ありとあらゆる加工食品に放射線照射したスパイスが入る可能性がある。食品衛生法により、放射線照射食品に表示の義務づけはあるが、今の解釈では加工食品に及ぶ食品すべてに表示の義務づけはない。食品照射の問題に対し、日本では1976年頃から反対運動が続けられてきた。1988年前後からは、貿易との関連も強調されている。私たち1人ひとりがこうした問題に注意を払っていきたいものだ。 スパイス云々のくだりに関しては、「2000年12月、全日本スパイス協会が、スパイスに放射線を照射することに対しての認可を厚生省に要請した」ことに対する危惧です。(前回述べたように、照射スパイスに関しては、既に多くの国々で商品化されているわけですが。)一方、最近さかんに話題にもなっている「活性化=フリーラジカル」と照射食品の安全性については、「照射食品推進派」側の反対意見もあります。放射線を照射すると、食品中で原子や分子から電子が除去され、電荷を帯びた粒子(フリーラジカル)が生成されます。フリーラジカルは、対になっていない電子をもつ原子あるいは分子で、不安定な構造になっているために一般に非常に反応性が高く、まわりの物質と反応して安定な状態になろうとします。フリーラジカルは食品照射によって生じますが、同じように加熱や光分解、粉砕、食品成分と酸素や過酸化物との反応などによっても生じます。したがって、パンのトーストや揚げ物などのような調理でも、フリーラジカルは生成されるのです。量的には、照射された乾燥食品よりも非照射のトーストのほうが、多くのフリーラジカルを含んでいると考えられています。フリーラジカルは、口のなかで唾液などと混ざり、たがいに反応して消滅していきます。したがって、フリーラジカルを含む照射食品を摂取しても、有害な影響を受けないということは、長期にわたる動物実験でも確かめられています。こうしてみてくると、今盛んに議論を呼んでいる「遺伝子組み換え食品」以前に、それに近い、あるいはある意味それ以上の問題となる食品が既にあったということになります。遺伝子組み換え食品にしても、放射線照射食品にしても、こうしてまったく正反対の意見があるということ自体、その是非、特に人体に対する影響に関しては、今現在誰にもよくわかっていないというのが実際のところのような気がします。その影響が人間や環境にどう出てくるのかよくわからないというのであれば、個人的にはあえてそうした食品を食べたいとは思わないのですが(こんなことに、自分や家族のからだを賭けるようなチャレンジ精神は、残念ながら持ち合わせていないものですから)、しかしことは日本国内だけの問題では収まらないという状況もあるようです。というのも、遺伝子組み換え食品、放射線照射食品、いずれの食品においても大きな影響力を持っているのはどうやらアメリカらしいからです。(前にも書きましたが、つくづくアメリカという国は不思議な国だと驚くことがあります。中国や日本などの輸入製品に対するチェック機能は、時として感心するくらいキッチリあるようなのに、こうした食品群はまったく抵抗ないかのように積極的に推進していくという国なわけです。食品に対する根本的な考え方が、日本人とは違っているのかもしれません。)そして日本はというと、残念ながらアメリカの圧力には抵抗できない国です。特に経済貿易がらみとなると、アメリカのごり押しに日本政府はすんなりと許可を出してしまうということが過去に幾度もありました。これにさらに、大手の力のあるメーカーや有力団体の圧力などが重なると決定的です。そうしてそのしわ寄せの行き着く先は、悲しいことに我々日本国民ということになってしまうというわけです。納得いかないものは、納得いかないとみんなで声高に叫ぶことも必要だということになりますが、食品に利用されている放射線は、実はこれだけではないのでした。次回こそ、今回のシリーズのメインテーマ、そして最終回になるはずです。
2007.10.07
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かなり長いブランクになってしまって、今まで長々と何の話をしてきたのかほとんど忘れてしまっているとは思いますが、9月15日以来の「放射線」の話の続きです。どうやら前回までに見てきたところによると、微量の放射線は、からだに危害を与えるものではなく、それどころか、からだにとっては有効な作用さえあるらしいということがわかりました。そして、このいわば「放射線は人類にとって有益なのだ」説の論拠となるものが、ひとつには人間が普通に生活している環境には、微量の放射線は常に溢れていて、だからといって危険なことは何もないという「自然被曝」の考え方であり、さらには世界各地にある放射能泉の温泉治療に代表される「ホルミシス効果」ということになるわけです。(しかし、こうした「放射線は安全かつ有効」であるという説を誇大にクローズアップして、実際は微量かつ自然ではない人為的に作られた原発などの高エネルギーの放射線までが、同じようにその安全性、有効性に関して主張される傾向があるようですが、これは如何なものでしょうか。)(原発の是非はともかくとして、それはちょっと違う議論なのではと思ってしまうのですが。)(高いリスクはあるが、今の日本には必要不可欠なエネルギー源だと、単純に主張してほしい気がします。)しかしとにかく、放射線は現在、前述のような医療分野での利用以外にも、工業分野や研究分野などでも幅広く利用されているといいます。有名なところでは、考古学や古生物学などの分野で使われている、放射性同位体の半減期を利用して古い年代を測定するというものがあります。つまり放射線は、一般にはあまり馴染みはないとはいえ、既に多方面で実用化され、利用されている科学技術だというわけです。こうした状況にある放射線ですから、食品分野においても既に利用されています。まず、食品と放射線と聞いてすぐ思い浮かぶのは、「放射線照射食品」です(舌をかみそうになりますが)。放射線照射食品とは、「コバルト60やセシウム137のような放射性物質から出るガンマ線や、電子加速装置からでる電子線を食品にあてることで、殺菌や殺虫、または作物から芽が出るのを止めたりして保存性を高めた食品」のことです。食品においては、ジャガイモの発芽防止に利用したのが最初といいます。「ジャガイモやタマネギなどの発芽組織の細胞は、放射線の影響を受けやすく、他の部分の細胞はあまり影響されないので、商品価値を落とさずに発芽を防止することができる」のだそうです。こうした食品照射に用いられる放射線は、世界的に権威のあるコーデックス委員会(FAO/WHOの合同食品規格委員会)などにおいて厳格に規定されているといいます。では、なぜ食品に放射線を照射するのか、その利点といわれるものをまとめてみます。・ 透過力が強いので、包装した最終製品に照射しても、殺菌、殺虫の効果がある。 ・ 照射による温度上昇は一般に2℃前後なので、冷凍食品の殺菌も可能となる。 ・ 栄養素の損失については、加熱の場合と同様に一部のビタミンが影響を受ける程度である。 ・ 連続処理が可能なので、大量に処理できる。 ・ 最終的には熱に変わって消失するので、残留の心配がない。 食品照射は、上述のように「野菜の発芽防止、殺虫、殺菌、果実の熟度抑制など広い範囲での応用が可能なため」、世界的には既に以下のような食品と利用目的で実用化されているそうです。 ・ ジャガイモ、サツマイモ、タマネギ、ニンニクなどの発芽防止 ・ バナナ、マンゴー、パパイヤなどの熱帯または亜熱帯産果実の熟度抑制 ・ イチゴの貯蔵期間延長(照射と冷蔵の併用) ・ 穀類や豆類、果実の害虫、肉などの寄生虫の殺虫 ・ 鮮魚、食肉、家きん肉(鶏など)の腐敗菌の殺菌による貯蔵期間延長 ・ サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどの殺菌による食中毒防止 ・ 香辛料などに多いかびや耐熱性芽胞菌の殺菌 放射線の食品照射は、従来の農薬などによる殺菌、殺虫や温度調整による貯蔵方法などに比べて、はるかに有効性が高く、応用範囲も広いというわけです。さらには、環境に対して悪影響を及ぼしたり、その残留性によって人間の健康への害が問題視されている農薬やポストハーベスト(収穫後の農産物に使用する殺菌剤、防かび剤)を使わなくてすむことにもなるというわけです。こうした利点ばかりのような照射食品ですが、日本での現状はどうなのでしょう。日本では、1972年に発芽防止のためのジャガイモへの放射線照射が、食品衛生法により認可されました。その後、ジャガイモ以外の食品への照射は認可されていません。ジャガイモの照射は北海道で行われており、士幌に照射施設があります。照射ジャガイモには、食品衛生法に基づく表示基準により、照射された旨の記載をしなければならないとされています。現在は照射ジャガイモのみとはいえ、実用化に向けた研究は次々行なわれているようです。タマネギの発芽防止、米および小麦の殺虫、ウインナーソーセージと水産練り製品の殺菌処理による貯蔵期間延長、ウンシュウミカンのかび防止について、原子力特定総合研究のプロジェクトとして、日本原子力研究所および国公立の研究機関や大学などがそれぞれ専門分野を担当した研究がすでに終了しており、食品としての健全性はどの品目も問題がないことが明らかにされています。世界各国の動向はというと、WHOやFAOが食品照射の実用化を各国に勧告しており、世界で食品照射を実用化している国は、2001年度のIAEAの資料によると、30ヶ国以上に達しています。このなかで、処理量が多いのは中国と米国です。また、許可品目としては、香辛料が圧倒的に多くなっています。主要実用国のなかで、近年特に食品照射の実用化を推進しているのが米国です。話が中途になりましたが、明日につづくです。
2007.10.06
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9月7日の続きです。人体が放射線にさらされることを「被曝(ひばく)」といいます。「被爆」とは字が若干違います。この被曝には「内部被曝」と「外部被曝」の2種類があるそうです。また、人体は常に「宇宙線」や地殻からの放射線によって自然に被曝しているそうで、これを特に自然被曝と呼んだりもするそうです。「内部被曝」と「外部被曝」の違いは、「放射線源」が体の外にあって、「放射線だけ」が体に照射された場合の被曝を「外部被曝」、「放射線源」自体を体の内部に取り込んでしまった場合の被曝を「内部被曝」ということで区別されます。放射線源を体内に取り込むことなどあるのかと驚いてしまうわけですが、その経路には以下のようなものがあるそうです。・汚染された飲食物を摂取するなどして、放射性物質を口から取り込んでしまう。 ・放射性物質が皮膚の傷口から血管に入ってしまう。 ・放射性物質のエアロゾル、または気体を肺で吸い込んでしまう。このような経緯から発生する内部被曝は、その汚染の除去が難しいために、結果として外部被曝よりも長い期間に渡って被曝し続けるという危険性があります。次は放射線被曝による障害についてです。これも2種類に大別されるようです。「急性(即時的)障害」と「慢性(遅延的)障害」です。具体的には、それぞれどのような症状が現れるのでしょうか。急性障害としては、全身に放射線を浴びた人にみられる「急性放射線症」というものがあります。急性放射線症はいくつかの段階を経て進行しますが、特に影響を受けた部位によって3つに分類されるそうです。「造血器症候群」は、主に血球の生成(造血)にかかわる骨髄や脾臓、リンパ節が放射線の影響を受けた場合に起こります。2グレイ以上の放射線を浴びると、2~12時間後に食欲不振、無気力、吐き気、嘔吐が現れます。被ばく後24~36時間以内にはこうした症状がいったん消失し、その後1週間程度は体の調子が良くなります。この間にも骨髄、脾臓、リンパ節にある造血細胞は消耗していきますが、新たにつくられることはなく、重度の白血球の欠乏が起こります。引き続いて血小板や赤血球も不足します。 白血球が欠乏すると重度の感染症が起こります。また血小板の不足によって出血が止まらなくなります。赤血球の不足(貧血)は疲労、脱力、血色不良を引き起こし、体を動かすと呼吸が苦しくなります。4~5週間後、患者がこの間に死に至らなかった場合には血球の生成が再開されますが、数カ月間は脱力感と疲労感が残ります。「胃腸症候群」は、放射線が消化管の内層の細胞に影響して起こります。4グレイ以上の放射線を浴びてから2~12時間後に重度の吐き気、嘔吐、下痢がみられ、結果として重度の脱水症状が起こります。しかし2日後にはこれらの症状はいったん消失し、その後4~5日間は体の調子も良くなります。しかしこの間に、通常は人体の保護壁として働いている消化管内層の細胞が死んではがれ落ちていきます。この期間を過ぎると、血の混じった重度の下痢を生じて再び脱水症状を起こします。また消化管から体内に細菌が侵入し、重い感染症を起こします。胃腸症候群の患者は造血器症候群も併発することが多く、出血と感染症により死に至るリスクが高くなります。「脳血管(大脳)症候群」は、放射線の総量が20~30グレイを超えたときに生じます。患者は錯乱、吐き気、嘔吐、血の混じった下痢、ショックを急速に起こします。数時間で血圧は低下し、けいれんが起こり、昏睡状態に陥ります。脳血管症候群は、ほとんどが死に至ります。短時間に過度の放射線を浴びると、血液、内臓、脳という人間にとって最も重要な部分に重篤な障害が及んでしまうようです。 (「東海村臨界事故の被曝者たち」に具体的症例が記述されています。)放射線障害には、このような即時的な影響ばかりではなく、何年、何十年も経ってから現れてくる障害もあるそうです。 放射線による慢性的な影響は、分裂増殖する細胞の「遺伝子への損傷」により生じます。これらの変化は細胞増殖の異常を起こし、「癌」などにつながります。また、放射線照射を大量に受けた動物では、生殖細胞の損傷から子孫の異常、「先天異常」が起こることが示唆されています。しかし、日本の原爆被害者の子孫では放射線照射による奇形は報告されていません。放射線被ばくがあるレベル(具体的な量は不明)を下回る場合は、先天異常を引き起こすような遺伝子の変化は生じないと考えられます。癌全般において、その原因がなんであったとしても、いきなり発現するということはないようですが、放射線の影響による癌の多くも被曝後10年以上経過してから発症したりするようです。(そうなると、その発症がはたして放射線被曝による影響なのかどうかは、実際のところ特定が難しいということになってしまいます。)見てきた結果からすると、やはり予想通り放射線を浴びることは、人体にとっていいことではないということのようです。検査や治療などの目的で放射線が使用される場合でも、被曝するデメリットを診断や治療によるメリットが上回ると判断されるからこそ使用されるわけです。(今回分かりましたが、検査とはいえPET検診は「内部被曝」ということになるようです。)しかし、「放射線=危険」、単純にそれだけだとしたら、いろいろな問題や素朴な疑問が出てきてしまいます。たとえば、前回その成り立ちを少しは理解できた(はずの)原子力発電所は本当に大丈夫なのかとか、放射能泉は体にいいどころか危険なのではないかといった疑問です。原子力発電については、すでに日本国内の消費電力の3分の1をまかなっているにもかかわらず、まだまだ即時中止などの反対意見が根強くあるようです。詳しく知らないのにいうのもなんではありますが、「原発は安全かつ効率的なものである」というのが原発を推進する側の言い分のようです。多くの人や農作物、家畜などに害を与えるような量の放射線は(少なくとも日本国内では)絶対に漏れることはなく、漏れるとしても、その量は人が常日頃、宇宙線や地殻などから受ける「自然被曝」と変わらない量でしかないのでまったく安心であり、資源のない日本には原子力が不可欠で、それは多少の危険性が発現してしまうというデメリットを大きく凌駕するほどのメリットがあるものである、簡単にいえば、こういった理由によってその安全性、正当性を主張しているようです。しかし現実に100%その通りだとしても、「核のゴミ」の問題は残ります。前回出てきたウラン238やプルトニウム239がMOX燃料としてリサイクルされたとしても、最終的には「高レベル放射性廃棄物」といわれる放射性物質が残るのだそうです。しかし、この「核のゴミ」を日本のどこに捨てるのか、場所はまだ決まっていません。この高レベル放射性廃棄物は、半減期が非常に長い物質です(数億年単位)。そのため、人間の時間感覚からするとほぼ永久に、その姿を二度と見ることがないように人間界から隔絶してしまわなければならないわけです。かといって、人間の知らないところで自然界に漏れ出してもいけません。核のゴミには、さらに「軍事転用の問題」もあります。原子力発電の燃料となる「濃縮ウラン」を作ったあとに残る「劣化ウラン」が、「劣化ウラン弾」という兵器となって戦争に使用されているというのです。もともと天然のウランなので放射能は弱いということですが、例えば、非戦闘員であるはずのイラクの子ども達までが、その微粉末を吸い込むことによって内部被曝し、悲惨な放射性障害を起こしているというのです。 ----------------------------------------------------------------鎌仲ひとみ監督の映画『ヒバクシャー世界の終わりに』は、我々があまりよく知らない核に関する情報があるようです。残念ながら、『六ヶ所村ラプソディー』も含めまだ未見です。予告編はこちら。『ヒバクシャー世界の終わりに』『六ヶ所村ラプソディー』鎌仲ひとみ監督のコメント----------------------------------------------------------------話を戻します。「ホルミシス効果」というものがあります。ホルミシス効果とは、「生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用」をいうそうです。放射能泉である玉川温泉や三朝温泉などは、ガンをはじめとした「不治の病」が治る温泉として有名なわけですが、この地域に生活する人たちのガンの発生率に関しても、全国平均よりも低いという報告があるそうです。さらには、「中国の陽江では、自然放射線量が日本平均の3倍もあるのにも関わらず、胃ガンの発生率は48%低い」とか、「ラジウム岩盤浴で血液がサラサラになる」という臨床報告などいろいろあるようです。一度に大量の放射線を浴びると危険である事は事実ですが、微量の放射線であればむしろ健康にとっては良好に作用するという、このような効果のことを「低線量(微量)放射線ホルミシス効果」と呼ぶのだそうです。これに対して、少しの放射線でも体に悪いという「直線閾値(しきいち)なし説」や、ある一定の閾値(しきいち)を越えると危険となるという説と放射線の人体に与える影響に関しては、今もって見解の分かれる部分があるというのが現状のようです。(従ってホルミシス効果に関しても、必ずしも再現性が得られないため、まだ確立されたものとはいえないそうです。)(というよりも、一部?あるいは多数派?の見解としては、かなり否定的なようです。)(しかし、巷には「ホルミシス効果グッズ」なるものが多数市販されているようです・・・・)(理屈はどうあれ、治れば、効けばいいわけですが・・・・)長くなってしまいましたが、次回で最後(のはず)です。
2007.09.15
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9月5日の続きです。前回では、放射性同位体という元素の原子核が、自然に崩壊していく過程で放出されるエネルギーを放射線ということが分かりました。このような分野の話題になってしまうとは予想外の展開なのですが、せっかくここまで来たのならと欲が出てきてしまいました。ということで、もう少し整理してみます。それは、原子力エネルギーってどうなっているかということです。結論を簡単にいってしまうと、どうやら「原子力」と名のつくものは、原子核に人工的(人為的)に「核分裂」というものを起こさせて、その時に出る莫大なエネルギーをたとえば発電や兵器として利用するということが原理となるようです。原子核では陽子や中性子が非常に強い力で結ばれています。原子核が分裂すると、陽子や中性子を強く結んでいた力が解き放なされるため、とても大きなエネルギーを放出します(「核分裂」と呼ばれます)。 また分裂するときに新たな中性子を放出します。この新しい中性子が別の原子核に当たってそれを分裂させ、そのとき出る中性子がまた別の原子核を分裂させるというように、エネルギーと中性子の放出が続きます(「連鎖反応」と呼ばれます)。ウランには通常、陽子と中性子の数の合計(質量数)が238個のもの(ウラン238)と、235個のもの(ウラン235)の2種類があります。軽いほうのウラン(ウラン235)の原子核は外から中性子を当てると、簡単に中性子を吸収して不安定な原子核となって、やがて分裂してしまう性質を持っています。このとき放出されたエネルギーは、分裂してできた破片(核分裂生成物と呼ばれます)を激しく運動させて、その周りにある他の原子との衝突を繰り返しながら、物質全体の温度を上げます。これが、原子力による熱が生み出される仕組みです。この熱を利用しやすいようにウランを固めて集めたものがウラン燃料で、その燃料の中で核分裂が安定して起こるようにコントロールし、そのときに出る熱を水など(冷却材と呼びます)に安全に伝えるようにした装置が原子炉です。ウラン燃料から取り出された熱で冷却材を暖めて、蒸気を作り、その蒸気を発電機に直結した羽根車(タービンという装置)に勢いよく当てて回転させ、発電機をまわして電気を起こします。これが原子力発電所です。上述のように、原子力発電の燃料はウラン、それもウラン235のほうです。放射能泉のほうはウラン238でした。ウラン235も238も地球物質として天然に存在すると前回述べましたが、実は、天然に存在するウランは、その大部分が「燃えにくい(核分裂しにくい)」ウラン238で、「燃える(核分裂しやすい)」ウラン235は全体の0.7%しか存在しないのだそうです。そのため、効率よく燃えるようにするために、原子力発電の燃料はウラン235の割合を約3~4%まで高めたものを利用します。これを「濃縮ウラン」と呼んでいます。(兵器として使われる場合は、ほぼ100%に近くなるまでウラン235の割合を高めますが、原子力発電の燃料とする場合は3~4%の濃縮でいいのだそうです。)ただし、ウラン235とウラン238とでは化学的な性質はまったく同じなので、ウラン235の濃縮はウラン238とのごくわずかな重さの違い(235と238の違い)だけを頼りに行う。ガス拡散法とか遠心分離法などがあるが、実際には非常に難しい技術で、かつ大量のエネルギーが必要である。軍事にも密接にからんでいるので、各国において重要な機密事項になっている。公開が原則の日本の核だが、このウランの濃縮工場は公開されていない。もっとも、日本の発電用濃縮ウランは、日本の工場だけでは各発電所に供給できるだけの量を生産できない。そこで、ふうつはまずウラン鉱石を諸外国から買い付け、それをアメリカに送って濃縮してもらい、その濃縮ウランを購入している。もともとウラン鉱石は日本では実質的にはとれない。(しかしなぜか、国の統計では「準国産エネルギー」となっている)。 2007年現在、日本のウラン濃縮工場(青森県六ヶ所村)の濃縮ウランの製造量は年間、100万kW級の軽水炉の燃料として、約5基分しかない。現在、日本には17ほどの原子力発電所があり、50基以上の原子炉が稼動しているようです。さて上述のように、原子力発電のエネルギーは、原子炉の中で燃料の(濃縮された)ウラン235に中性子を衝突させ、核分裂を起こしてエネルギーを発生させることで生まれるわけです。では、ウラン235よりもその割合の多いウラン238(というよりも、96~97%がウラン238なわけですから、実際はほとんどがウラン238といってもいいわけですが)は、一体どうなるのでしょうか。ウラン238では、衝突した中性子はほとんど核分裂を起こさずに吸収されてしまいます。中性子を吸収したウラン238は、ウラン239になります。このウラン239は、ベータ(β)線を放出しながらネプツニウム239、プルトニウム239へと変化していきます。プルトニウム239になるまでの2つの過程を「β崩壊」と呼びます。以上の過程は短い時間(ウラン239の半減期で23.5分、ネプツニウム239の半減期で2.35日)で進行するので、ふつうは、ウラン238が中性子を吸収してプルトニウム239になると説明されています。ウランを燃やすとプルトニウムができるというわけです。プルトニウムと聞いて、いいイメージはまったく湧かないのですがどういうものなのでしょうか(「恐怖のプルトニウム人間」というB級映画があった記憶があるのですが・・・すいません、調べたら「戦慄!プルトニウム人間」でした)。プルトニウムは自然界には存在しない元素なのだそうです。そしてやはり、危険性の高い物質のようでもあります。プルトニウム239は核分裂の連鎖反応を起こす。そして、その名前「地獄の神」(プルートー)のとおり大変な物質である。まず強い放射能を持っていること、化学的にも非常に毒性が強いこと、原子爆弾の材料にもなること、という3つの問題がある。プルトニウムはウランとは違う元素なので、化学的に分離・濃縮が可能である。つまり、原子炉さえあればどの国、どの組織でもプルトニウム239を材料とした原爆ならば製造できてしまう。※ 原爆原爆(原子爆弾)は、ウラン235やプルトニウム239を、臨界量より少し小さいブロックに分けておき、火薬の力で一瞬にして圧縮させ、臨界量を超えさせて爆発させるというものである。プルトニウムの生産は原子炉さえあればでき、濃縮も化学的に可能なので、プルトニウムを使った原爆は、技術的に難しいウラン235の濃縮が必要なウランを使った原爆より容易にできる。実際、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国以外の国の原爆は、すべてプルトニウムを使っているといわれている。ちなみに、日本に落とされた原爆は両方のタイプで、広島に落とされたもの(通称リトルボーイ)はウラン235を使ったもの、長崎に落とされたもの(通称ファットマン)はプルトニウム239を使ったものである。話を少し戻しますが、濃縮ウランをつくるということは、残りの天然ウラン中のウラン235の濃度はさらに低くなるということになります(自然界に0・7%あるウラン235が濃縮のために抽出されたあとに残るウランは、ほとんどウラン235がない=ほとんどウラン238ということになります)。この残りのウランのことを「劣化ウラン」(ウラン235の割合は0.25%程度)というそうです。天然ウラン160トンからできる濃縮ウランは25トン、残りの135トンは劣化ウランとなります(全体の約15%が濃縮ウラン、約85%が劣化ウランという割合になります)。つまり、原子力発電を稼動させることによって、ゴミともいえる放射性物質を2種類出してしまうというわけです。ひとつは核兵器にもなり得るやっかいなプルトニウムであり、もうひとつは大量に出てしまうウラン238です。これをどうにか有効利用できないかということで考え出されたものが、プルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」というものを、通常の原子力発電所(軽水炉=サーマルリアクター)で利用する「プルサーマル」というものです。エネルギー資源が有効に使えるということで、盛んにいわれているもののようです(「核燃料サイクル事業計画」)。原子力エネルギー関係の情報でよく耳にするキーワードが、今回ひととおり理解できたような気がするのですが、本題からは少しずれてしまいました。放射線についていちばんに知りたいことは、なんといっても「それって安全なの?」ということです。次回は放射線の安全性についてです。
2007.09.07
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少し間が開いてしまいましたが、前回の続きです。どうもいろんなところで放射線が「有効に」使われているようだ、というのが前回の最後でした。次の展開としては、この有効に使われているという「放射線」というのはそもそも何なのか?という話になるわけです。しかし、物理が不得手のものにとっては、残念ながらあまり望ましい話題とはいえず、うまくいくか心もとないのですが、なんとかがんばって、それもできるだけ簡略に整理したいと思います。前回出てきたPET検診やがんの治療に使用される放射線には、「エックス線」や「ガンマ線」と呼ばれるものが使われています。周知のように、光は波長により色が変わります。波長が長ければ赤、更に長くなると赤外線になります。逆に波長が短ければ、青、紫を示し、更に短くなると紫外線になります。紫外線より波長が短くなるとX(エックス)線と呼ばれます。ちなみに、X線とγ(ガンマ)線とは発生方法の違いで定義されているので、波長でX線とγ線を区別はできません。今更ですが、健康診断などで撮るレントゲン写真=X線です。X線とγ線は、「高いエネルギーを持った波長が短い電磁波」という放射線の定義のひとつとなります。しかし、これだけが放射線というわけではありません。例えば、がん治療の最先端で使用されている重粒子はこれらとは違います。それは、放射線のもうひとつの定義である「高速で動く粒子」のことであり、それも「加速器」という巨大で複雑な機械を使って「人工的に」放出させた放射線ということになります。「高速で動く粒子」には、「自然に」放出される放射線もあります。この「自然に」放出される放射線について、その仕組みが理解できると、放射線全般についておおよそのことが分かったような気になれるので、そのあたりを少し詳しく整理してみることにします。昔(私にとっては)、「元素の周期表」というものを覚えさせられた記憶があります。物理の教科書の表紙の見返しあたりに、「原子番号」順に、色付けされてきれいに並んでいた表、あれです。例えば水素とか、酸素とか、鉄という「元素」は「原子」から成り立っていて、その違いは「原子の数」だというわけです。(水素は1、酸素は8、鉄は26の原子から成り立っている。)話はくどい感じになってしまいますが、この原子はさらに、正の電荷を帯びた「原子核」と負の電荷を帯びた「電子」から構成されています。そしてさらに、原子核のほうは「陽子」と電気的に中性な「中性子」から構成されています。そして、この陽子と中性子の個数の合計を「質量数」と呼びます。つまり元素の重さは、原子の中の原子核にある、陽子と中性子の個数の合計で決まるというわけです。(ちなみに、原子番号=陽子の数だそうです。)元素は定義された時、永久に変わらないものだと思われていました。しかし、元素の中には、時間が経つと別のものに変わるものがあることがわかりました。詳しく調べてみると、同じ元素でも重さが違うものがあり、この重さの違いによってあるものは不変であったり、あるものは時間が経つと別の元素に変わってしまうことがわかりました。同じ原子番号の元素でも、原子核にある中性子が「決まった数よりも」多く含む元素というものがあるのだそうです。すると、「質量数」(陽子+中性子の個数の合計)が増えるので、元素の重さは若干ですが「普通の」元素よりも重くなるわけです。これを「同位体」(アイソトープ )と呼びます。元素は同じでも、原子核(の中の中性子の数)が違うものがあるというわけです。このような原子核の種類のことを「核種」といいます。「核種」の中性子の数の多少は元素の化学的性質にはまったく関与しなくて、元素周期表の中での位置は変わらないので「同位」なわけです。同位体を区別して表すときは、質量数を示して、たとえばカリウム同位体は、「39K」、「40K」、「41K」というように書きます。同じように、ほとんどの元素には数種の同位体が存在しています。こうした同位体には、原子核の構成が「安定なもの」と「不安定なもの」があるそうです。このうち不安定な同位体は、「自ら原子の構成をかえて、より安定な元素へ変化しようとする性質」(「壊変」、「崩壊」)があります。こうした性質のある元素を「放射性同位体 」(ラジオアイソトープ)、 または「放射性核種」と呼びます。この「壊変」=「崩壊」時に、原子外に放出される余った粒子やエネルギーのことを「放射線」と呼ぶわけです。放射線には、原子核粒子を放出するα(アルファ)線(=α崩壊)と電子を放出するβ(ベータ)線(=β崩壊)があります。どのようにして放射線が「自然に」放出されるのかというところまでは、何とかたどり着くことができたようです。自然界にはこのような放射性同位体がたくさんあるのだそうです。地球上(地球物質)に多い放射性同位体としては、ウラン238 (238U)、トリウム232 (232Th)、カリウム40 (40K)、ウラン235 (235U)、ルビジウム87 (87Rb) などがあります。これらはいずれも天然の鉱物中に、安定同位体とともにおおむね一定の量が含まれています。このうち普通の岩石にもわりとたくさん含まれていて、「温泉学的に」重要なのはウラン238(存在度99.2745%)とトリウム232(100%放射性核種)です。ということで、ここでいっきに「放射能泉」についても触れたいと思います。(自然のすごさを感じることができます。)長くなりますが、「温泉の科学」さんから引用させてもらいます。放射性同位体は最終的には安定な元素に変化していきますが、ウランやトリウム(Th)などの極度に重い元素はすぐには安定になれなくて、いくつもの段階を経て、長い時間かかってようやく鉛(Pb)になって安定します。この途中にはたくさんの中間的な元素がつくられますが、このような過程を「放射壊変系列」とよんでいます。放射性同位体が壊変してできる次の同位体を「娘核種」、もとの同位体を「親核種」といいます。このさいに壊変する速さは、親娘の同位体の種類ごとに一定になっていて、温度や圧力などの外的条件には左右されません、これを壊変定数といっています。壊変定数は同位体化学の研究には基礎となる重要な値ですが、やや取り扱いが難しいので、一般に壊変の速さを記述するには、「半減期」のほうがよく使われます。半減期は、壊変によって親核種の原子核の数が1/2になるまでの時間です。半減期の短い同位体は壊変がすばやくおこるので、比較的短時間でその存在がゼロに近くなってしまいます。半減期の長い同位体は、長い時間を経過しても存在し続けることができます。先にあげた、地球物質としての存在量が多い放射性同位体は、とくに長い半減期(数十億年)をもっているので、いまでも生き残って岩石中に存在できているわけです。それよりも半減期の短いものは、地球45億年の間にほとんどが壊変してしまって、存在量がごく僅かになっています。具体例として、ウラン238の崩壊系列(崩壊の過程)をみてみると、ウラン238の半減期は約44.9億年で、最終的には鉛 (206Pb) になって安定します。その間にできるおよそ11段階の放射性娘核種のなかでもっとも重要なのが、5段階目に出来る「ラジウム226 (226Ra)」 です。ラジウムは周期表でIIa族のアルカリ土類金属で、同じなかまにはMg(マグネシウム)やCa(カルシウム)があります。このふたつは温泉分析表でもおなじみな元素です。ラジウムも化学的にはMgやCaと似たような性質を示すので、温泉水中の化学的挙動をかんがえるときに参考になります。ラジウムは温泉水中にも含まれていますが、その量はたいへん僅かで、温泉法による療養泉の規定でもラジウム塩として一億分の1mg以上、鉱泉分析法の規定では一億分の10mg以上となっています。つまり普通の含有イオンの数億分の1くらいしか入ってないということです。普通の人が入浴や飲泉で含有量の多寡を体感できる濃度ではありません。こんな僅かでも、ラジウムは強力な放射線(おもにアルファ線)を出しているので、療養効果が期待できるわけです。ラジウムの次の壊変では、不活性の気体元素の「ラドン222 (222Rn)」 ができます。ラジウムの半減期は1622年なので、温泉水中にラジウムがあると我々の時間感覚では半永久的にラドンを生産するというわけです。ウラン238がどんどん崩壊していって、ラジウムへ、そしてさらにラドンになることがわかりました。では、トロンはどうでしょう。トリウム(232Th)は、その100%が放射性核種からなるという点で珍しい元素です。つまり地球内のトリウムは、いずれは全て壊変して無くなってしまうということです。とはいってもトリウムの半減期は約139億年もあるので、地球滅亡とどっちが先か、というようなずっと先の話です。トリウムの崩壊系列では、5段階目にできる気体のトロン(Tn)が重要です。しかし、トロンという元素は周期表のどこにものっていません。じつは化学記号で書くと、220Rn つまりその正体はラドンなのです。上のウラン238の崩壊でできるラドン(222Rn)よりも質量数が2だけ少ないですね、まぎらわしいので、特別にトロンという名前でよんでいるわけです。化学的な性質はもちろんラドンとまったく同じです。(「温泉の科学」より http://www.asahi-net.or.jp/~ue3t-cb/bbs/special/sience_of_hotspring/sience_of_hotspring_4-6.htm)放射性同位体が「自然に」崩壊していく過程で放出された放射線が、微量ながらも温泉に溶け込んでいるというのが「放射能泉」というわけです。また次回に続く、になってしまいました。
2007.09.05
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確かに、あまり関心のない方面のことでは、それが最低限知っていた方がいいのではないかということであったとしても、知らないことは山ほどあるのは重々承知のことです(残念ながら=恥ずかしながら)。しかし、それなりに関心を持っているあたりのことで、まったく知らない聞いたこともないというものに出くわすと、「えっ!どうして今まで知らなかったの?」という妙な驚きと共に、「これは誰かにいわなければ!」という思いにも駆られたりします。という理由で、今回は始まります。・いきなりまずは、癌(がん)の話になってしまいます。一般に現代医学でがんを治療する方法としては、3つあるといいます(実際にはほかにもいろいろありますが)。外科的手術、化学療法(抗がん剤=投薬)、放射線療法の「3大療法」といわれるものです。この内、がん化した部位が比較的小さく、かつほかに転移もしていないような初期のがんなどの場合は、外科的手術によって効果的にがんを除去できるといいます。しかし、外科手術の難しい部位にできたがんであったり、外科手術による患者の体力的負担を軽減したい場合などには、放射線療法というものが行なわれたりするようです。がん治療における放射線療法に関しては、現在目覚しく進歩していて、最先端のがんの治療方法として、「(重)粒子線治療」というものが限られた病院及びがんセンターにはなりますが、行なわれているようです(全国で6ヶ所、全世界でも19ヶ所)。この重粒子線治療の利点は、ピーポイントでがん部位に放射線を集中させることができるため、その効果が従来の放射線治療よりも格段に優れているにもかかわらず、皮膚の上層部などのがん化していない健康な細胞への悪影響(副作用)を、極力少なくできるというところにあるようです。(今のところ保険適用外の治療のため、実費で300万円ほどかかるようですが。)このように治療も進歩し、がんも治る病気のひとつになってきたといわれているわけですが、それにはやはり、がんの早期発見ということが重要になってきます。ということで、がん検診をする人も年々増えてきているようです。(なにせ、現代日本人の3人に1人はがんで亡くなる時代です。)(そして近い将来には、2人に1人はがんに罹るともいわれているようです。)そうした状況の中、数年前に画期的ながん検診の方法として、PET(ペット)検診(陽電子放射断層撮影)というものが登場しました。PET検診は、「がん細胞が正常細胞に比べて3~8倍のブドウ糖を取り込む、という性質を利用します。」このブドウ糖に、放射線を発する物質(FDG)をくっつけて体内に注射し、血管を通って体中に回ったところで、全身をPETで撮影します。もし、がん化している部位があるとFDGが多く集まって、それが断層撮影画面上に色の濃淡として表れ、確認できるというわけです。従来からあるCTやMRIよりも、初期の小さいがん細胞を見つけることができるということで、登場してきたものです。(このPET検診も保険が利かないため、実費で10数万円ほどかかるようですが、最近どうやら当初の期待ほど、がんが発見できないということがいわれてもいるようです。)・突然また話題はかわりますが、今度は「温泉」の話です。全国にはさまざまな特徴や効能を持った温泉があります。(温泉の特徴についてはこちらを。 いろいろあるものです。 http://www.ubuya.co.jp/10relax/01.html)そうした中でも特に、「万病に効く」ということで有名な温泉に、秋田の玉川温泉や鳥取の三朝温泉があります。玉川温泉は、「癒しの湯」といわれ、その場所にもかかわらず(スミマセン)、全国から多くの人が訪れているようです。「皮膚病、動脈硬化、神経痛、消化器疾患、リュウマチ、交通事故の後遺症などに著効がある他、人間が生まれながらにもつ自然治癒力を高め、全身の細胞の働きを活性化して心身を若返させる効果がある」といわれているからです。なぜか。玉川温泉のほかに類を見ない特徴とは、ひとつには「pH1.2の超強酸性で98℃というほとんど沸騰に近い熱水が、毎分9,000リットルという膨大な湯量で轟音とともに自噴する」こと。そしてもうひとつが、「『北投石』という、微量の放射線を持つ石を産出する温泉であること」です。「この北投石はラジウムなどの放射性元素を含む温泉水の成分が長い間に層を成して石化したもので、昭和27年に国の特別天然記念物に指定されました。」「日本では唯一玉川温泉だけで産出されるもので、世界中でもこれまで台湾の北投温泉、南米チリ、そして玉川温泉の3ヶ所でしか発見されていません。」三朝温泉(みささおんせん)は、鳥取県東伯郡三朝町にある温泉ですが、その泉質には、「ラジウムおよびラジウムがアルファ崩壊したラドンが含まれており、世界でも有数の放射能泉である」といいます。「また一部の旅館には高濃度のトロンを含む温泉もある」とのことです。ラジウム、ラドン、トロンとはすべて放射線を出す能力をもった元素です。三朝温泉は、「本格的な療養温泉でもあり、温泉医療のメッカとしても知られ、国立病院や大学病院、温泉研究所が至る所に見られる」というところだそうです。また一方では、「長期滞在者向けの旅館や自炊宿も見られ、観光と療養という両極性がこの温泉の特徴」だそうです。(国内の「放射能泉」については、こちらをどうぞ。 知りませんでしたがいろいろあります。 http://holmic.net/index2.html)こうした温泉は、もちろん日本だけの特徴ではありません。有名なところでは、オーストリアのバドガシュタインがあります。(さらには、イタリアのイスキア、ドイツのバーデン・バーデン、アメリカのボウルダー、さらに前述した台湾の北投温泉などが有名とのことです。)バドガシュタインはラドン温泉プール、ラドン温泉浴治療施設を設備しているほか、ホテルやペンションなど宿泊施設が多数整備された山あいの美しい町だそうです。ここでは、「ガシュタイン療養トンネル」という鉱山あとの坑道内の「ラドン数値の高い場所での岩盤浴によって、ガンやリウマチ、糖尿病など様々な疾病の治療を、医師の指導の元で行っている」そうです。そして、「痛みが取れる」「ガンが治る」という「噂」で、世界各国より多くの人が訪れるといいます。(ネットを見たら驚きました。)(バドガシュタインの石、楽天をはじめいろんなところで売っているんですね!)(これまた世間知らずが露呈しました。)(玉川温泉の北投石は、国の特別天然記念物なので持ち出せないことになっている、という話は聞いたことがありますが。)(その北投石もネットオークションにあったりするようです・・・)バドガシュタイン・ラジウム鉱石100g 長々と書いてきてしまいましたが、がんの検診、がんの治療、温泉療養、これらに共通するのは何かというと「放射線(放射能)」です。それもみてきた限りでは、我々にとって「有意義」に活用されているわけです。でも、放射線(放射能)です!※ちなみに、放射線と放射能についての混同―「放射能」とは「放射線を出す能力」をいい、「放射線を出す物」を「放射性物質」といいます。「放射能漏れ」や「放射能を浴びる」というのは、「放射性物質漏れ」や「放射線を浴びる」というのが正しいいい方だそうです。普通、ラドン温泉に行くなどと聞いても何の抵抗もないでしょうが(多分)、放射線(放射能)を浴びに行くと聞いたら「えっ」とならないでしょうか?でもこれが、「誰かにいわなければ!」と思ったびっくりしたことではありません。次回へつづく・・・
2007.08.31
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8月27日の続きです。・問題点4―責任の所在はどこに? 一体誰が責任者なの?こんなにコストがかかるペットボトルの樹脂原料リサイクルが、さも環境にいいかのように信じられているのはなぜでしょうか。その点に関しては、行政、飲料メーカー、消費者のそれぞれに責任があります。すなわち、第1には、そしてそもそもの元凶であるのは、国がコスト構造を無視して「容器包装リサイクル法」を施行してしまったという点です。第2には、この法律が経済原理に合わない不合理なものであるにもかかわらず、メーカーにとっては「免罪符」となって、ペットボトルは大量生産してもかまわないという状況をつくり出してしまったということです。第3には、行政やメーカーの意図なのか、あるいは消費者の勝手な思い込みなのか、とにかく結果として、「ペットボトルはリサイクルされやすい素材だから、大量に買って大量に捨ててももったいなくない」というイメージが消費者に定着してしまったということです。リサイクル費用の大部分は、実は私たちの支払う税金で賄われているにもかかわらずです。「リサイクル」という美名の下に、数ある問題点は無視され、なぜかあわてて先へ先へと進んで行ってしまったといった感じです。行政、メーカー、消費者の三つ巴で協力して行なっていかなければならないこうした事業は、往々にして管理や責任の所在が曖昧になってしまうという弱点があるようです。その結果、ペットボトルの回収率に関しては、市町村単位で詳細なデータがあるのに、回収されたペットボトルがどのようにリサイクルされているのか、どのくらいリサイクルされているのかという肝心のデータに関しては、行政もメーカーも業界団体も明らかにしないし(そもそも知らないのでできない?)、ゴミに出して手元からなくなってしまえば、消費者も気に留めないという状況を作り出してしまうわけです。常に現状を省みるチェック機能がないという、なんともお粗末な事業が国を挙げて行なわれているということになります。しかし、こうした状況が長く続くと、次のような疑惑やさらなる問題を生んでしまいます。すなわち、何のために分別回収してリサイクルしているのかという目的意識が希薄になり、誰か一個人やどこかの団体の利害やメンツのためにだけリサイクル(と称した活動が)されているのではないかという疑惑(事実かもしれません)が生まれる。ペットボトル・リサイクルには現在どういった課題があり、みんなでどうやって解決していかなければいけないのかということがまったく見えなくなってしまうという悪循環に陥ってしまう。当然のことながら、リサイクルは一個人や一団体の利害やメンツのためにすることではありません。少なくとも日本というレベル、ひいては人類、地球というレベルで考えて行かなければならない大きくて普遍的な問題のはずです(偉そうなことをついいってしまいましたが)。とにかくリサイクル(という名の活動)をしているのだから、それでいいではないかでは事は済まされません。では、使用済みのペットボトルはどうすればいいのでしょうか?武田氏の結論は簡単です。ペットボトルはリサイクルせずに可燃ゴミと一緒に燃やせばいい。廃棄物の焼却による熱回収は、一般の可燃ゴミを焼却処分するときにも行なわれています。わざわざコストをかけてペットボトルを分別回収する必要はまったくないはずです。今までのことがすべて事実とすると、確かにそうすることがいちばん理屈にあっていることになります。一度使ったボトルを洗浄してまた使うユリース(再利用)は、衛生観念の強い日本人にはなじまないでしょう。また、ペットボトルはガラスビンと違ってキズがつきやすく、キズのすき間に異物が入りやすいものでもあります。となると、やはり「燃やして熱回収」という選択になりますが、ペットボトルを燃やすというとダイオキシンの発生が心配だということになります。しかし、現在全国で使われている高温の焼却炉ならペットボトルを燃やしても問題はありません。武田氏によるとダイオキシンも大丈夫だそうです。そして現実に、サーマル・リサイクルとしてすでに焼却されてもいるわけです。水分の多くて燃えにくい可燃ゴミに、わざわざ灯油をかけて焼却しているケースもあるほどですから、石油からできているペットボトルを燃料代わりに一緒に燃やしたほうが、コストの面からも資源保護の観点からもずっと効率的です。目の前にあるペットボトルを「もったいないからといって安易にリサイクルすることは、結果的に無駄なエネルギーとお金を費やして、かえってもったいないことになる。本当に環境のことを考えるなら、経済原理にかなった処理方法を選ぶべきです。個人や一家庭でできるペットボトルの二次利用には限界があります(容器や小物入れ、鉢などとして利用する)。工夫次第ではさまざまな遊びのツールにもなるようですが(ペットボトルロケット、風車など)、最後はやはりゴミになります。そうしたことを考えると、一消費者としてまずすべきことは、ペットボトル容器はできるだけ買わないということになります。健康を思って、清涼飲料水の類を飲まなくなると、かなりペットボトルは減らせますが、清涼飲料水をミネラルウォーターに置き換えてしまうと、再びペットボトルの山になってしまいます。対処が必要です。ペットボトルに限らず、できるだけゴミを出さない工夫をすることが望ましいライフスタイルなわけですが、しかしそうはいっても、つい買ってしまったペットボトルはどうすべきか。分別回収せずに一般の可燃ゴミと一緒にゴミに出したほうがいい、いきなりそういわれても少しとまどってしまうというのが正直なところです。(それなりの年月の間分別していた習慣というものは、やはり侮れないものがあったりします。)(この行為になぜか、ほんの少しですが罪悪感を感じるのです。)しかし、そんな小心者の気持ちを打ち砕くかのように、武田氏はいいきります。日本ほど言論が自由で、報道があふれているのに、こんなことがあるのですから不思議なことです。でも、回収されたペットボトルの中には処分の途中でわざと「泥」をかけて「汚泥」として処理することもあるのです。国民に「リサイクルは大切だ」と言い、主婦はペットボトルを綺麗に洗って分別して出しているのに、それに「泥をかけて汚泥として処理する」というのですから、人の心を踏みにじるようなことが平気で行われる日本になったのだなとなにか少し哀しい感じがしている昨今です。汚れているペットボトルはリサイクルできないのだそうです。ですから「汚泥として処理する」というのは、焼却処分にまわすということです。これが事実なら、馬鹿正直に分別回収している一般消費者は、まるで茶番劇の登場人物のようです。昔見た『未来世紀ブラジル』という映画に確か、もはや誰にもその存在理由のわからない「意味のない仕事」を、そうとは知らず朝から晩まで一生懸命している主人公が出てきたはずですが、武田氏の記述を読んで、突然そんな映像が浮かんできました。世の中いろんなところに納得のいかないことがあったりするものですが、武田氏がいうこれらのことがおおよそのところで本当なら、ペットボトルのリサイクル問題もそういう納得のいかないもののひとつということになります。こうしたことは早いうちに、白黒ハッキリさせなければいけない問題なはずです。 ----------------------------------------------------------------------こんな腑に落ちないミステリーめいた話では後味が悪いので、心に不思議な感動が残る奇談(え~っ!ウソ~!!)を描いた、大好きな諸星大二郎の作品の紹介をして終わりにします。久しぶりに新しい作品を読みましたが、やはり諸星大二郎はいいです!画風といいストーリーといい、今回も独特の世界にドップリはまらさせてもらいました。 私家版魚類図譜 魔障ケ岳 人魚姫は感動ものです! これ奇談なり、 女の子や子どもの出てくる 諸星ワールド全開です!! 話が以外にもおもしろい!
2007.08.28
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わざわざ分別してゴミに出されているペットボトルのほとんどが、実はリサイクルされていない!リサイクルされている一部のペットボトルも無駄にコストがかかるだけで、実は普通の可燃ゴミと一緒に燃やしたほうがはるかに資源やエネルギーの節約になる!いきなり聞くとびっくりするようなことを主張しているのは、中部大学教授で工学博士の武田邦彦氏です。最近いろいろなメディアで露出度を上げているようです。武田氏の主張するところはおおよそ以下のようです。・問題の発端2005年時点のペットボトルの年間消費量は約50万トンです。消費量はここ10年間で、3倍以上に急増しました。その背景には、「容器包装リサイクル法」という法律の施行があります。1995年に施行されたこの「容器包装リサイクル法」とは、ペットボトルやビン、缶などを自治体が分別回収して、事業者がリサイクルすることを義務付けた法律です。実はそれまで日本では、飲料メーカーの自主規制によって、1L未満の飲料用ペットボトル(特に500mlペットボトル)は作られていませんでした。しかしこの法律を受けて、翌1996年、メーカー各社は「リサイクルするからいい」とばかりに、500mlペットボトル飲料の販売を解禁したのでした。それ以後は年々、ペットボトルの消費量は増加し、それに比例して分別回収されるペットボトルの量も急増し、2005年には30万トンにまでなっています。10年前まで、500mlのペットボトルが自主規制されていたとは知りませんでした。そういえばちょっと前まで、500mlのペットボトルはあまり見なかった気がします。そして次からが、えっ!と驚く「事実」の暴露編となります。・問題点1―リサイクルの現状の謎?わざわざ分別回収したペットボトル30万トンのうち、樹脂原料としてリサイクルされているのはたったの1割の3万トンだけです。のこりの9割は中国など海外に輸出されたり、「サーマル・リサイクル」(ゴミ焼却時に発生する熱を回収して、温水プール用の電力などに再利用するリサイクル)として焼却されています。とても変な話だと思わざるを得ないのですが、ペットボトルのリサイクルの現状には「対立するいくつかの説」というものがあるそうです。回収されたペットボトルのうち、60%~40%ほどは何らかの形で(繊維やシートなどとして)再利用されているという「説」と武田氏のいうように「ほとんどリサイクルされていない」(=10%程度)という「説」があるというのです!つまり、行政やリサイクルの業界団体の主張と武田氏の主張は真っ向から対立しているというわけです。 参考までに 「PETボトルリサイクル推進協議会」のホームページ http://www.petbottle-rec.gr.jp/about/index.html(こうした業界団体、至るところにありますが、なぜか自分たちの利益だけを守る排他的団体というイメージがあり、どうしても色メガネで見てしまいます。)とにかくどうやら、そして驚くべきことに、ペットボトルのリサイクルに関しては、「客観的データというものが公表されていない」というのが現状のようなのです!そのあたりの状況についても、武田氏が述べています。 「えっ!ペットボトルって、リサイクルされていないの!?」 あれだけ一所懸命、リサイクルしていたペットボトルが、現実にどのぐらい使われていたのかという「リサイクル率」や、リサイクルしたものを「何に使ったのか」ということが、まったく発表されていないことがわかってきたのです。地方の新聞社の中には購読者から「本を読んだらペットボトルはリサイクルしていないそうじゃないか! あなたの新聞はウソをついたのか!」という苦情が殺到し、やむを得ず「本当にリサイクルされているのか?」を取材するところも現れました。また「お上」を信用している人は早速、自治体やリサイクル協会に問い合わせをしたようです。その結果、「どうも、ペットボトルはリサイクルされているかどうかわからない」「自治体もリサイクル協会も逃げ回っている」ということになって風向きが変わったのです。この日本で、ペットボトルがリサイクルされていないというのは、まるで現代の怪談話のようです。これほどみんなが分別して、駅でも学校でもペットボトルのリサイクルの箱が設置されていて、お金も1年で600億円も使っています。それなのに、100本のペットボトルのうち、何とか用途があるリサイクル品は6本がせいぜいで、残りの94本は焼却されているか、それに近い形で処分されているのですから。・問題点2―ペットボトルの分別回収にどのくらいのコストがかかるのか?1リットルのペットボトルを分別回収するための人件費やリサイクル施設まで運ぶ際の輸送費、ラベルやキャップを外す作業コストは、一本当り26円になります。「そこまでコストをかけて分別回収したのなら、サーマル・リサイクルとして焼却してしまうのではなく、再利用するためにもっと樹脂リサイクルの割合を増やさないともったいない」と思う人もいるかもしれませんが、それだとますますコスト高になってしまいます。ペットボトルを樹脂原料にリサイクルするには、粉砕したり溶かしたりする工程が必要になりますが、そのコストは1本当りさらに7.6円かかります。 普通に可燃ゴミと一緒に焼却した場合のコスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.8円 分別回収し、サーマルリサイクルとして焼却した場合のコスト 26円+1.8円=27.8円 分別回収し、樹脂原料にリサイクルした場合のコスト・・・・・・・26円+7.6円=33.6円このコスト差にはびっくりしてしまいますが、現状がこうであるからといって、それだけでリサイクルを否定してしまうのは、少し短絡的すぎるかもしれません。例えば、人件費などは今後のやり方次第でどうにかしていけることかもしれませんし、もっとコストのかからない方法や技術が開発されるかもしれません。また、そもそも「資源が有効に使われるのであれば」、多少のコスト高はみんなが我慢していかなければいけない、そういう時代なのだとも思います。しかし次に見るように、樹脂原料へのリサイクルには決定的な問題があるようなのです。・問題点3―エネルギー効率が悪い!樹脂原料へのリサイクルは、それに必要なエネルギーの面でも無駄が生じます。石油量に換算すると、ペットボトルを樹脂原料にリサイクルするには、ペットボトルを新たに1本つくるために必要な石油の約3.5倍もの石油を必要とします。1リットルサイズのペットボトルをつくるのに必要な石油は約40gですから、それをリサイクルすると、新たに約150gもの石油を消費する計算になります。これはどう考えても問題です。作ってしまった1本のペットボトルを生かすのに、3本以上のペットボトルを作れる石油が新たに必要だというのでは、まさに本末転倒な話になってしまいます。問題点はまだあります。次回へ続く。
2007.08.27
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8月15日の続きです。<シャンプー/リンス等の使い方の「コツ」>・最初はお湯だけで、頭皮に届くように、指でマッサージするように洗います。・たっぷりの泡で、髪の生え際から頭頂部にむかって洗います。・石けんカスが残らないように、お湯で十分洗い流します。・きしむ感じがするなら、「クエン酸または酢」を洗面器に適量入れたものに浸し、時間を置いてなじませた後、湯で十分にすすぎます。髪の洗い方まであるとは、なにやらおせっかいな気もしますが、石けんは性質上アルカリ性が強いため、本来弱酸性の髪の毛が石けんで洗うことでアルカリ性に傾いてしまいます。すると、髪の表皮にあたる組織である「キューティクル」が開いてしまい、髪がきしむということになるのだそうです。キューティクルは髪の表皮にあたる組織で、魚のウロコのようなカタチをしています。髪が柔軟に曲がるのはこの形状のためです。キューティクルが密で、ととのっている状態の毛髪が健康な姿なのです。なお、キューティクルは、健康毛でもひとりひとり違うため、指紋と同様に1本の髪から誰のものであるかを判定できます。また、キューティクルには髪の水分を保持する役目があります。キューティクルが壊れると髪は水分を保持できなくなって光沢と柔軟性を失います。一旦壊れたキューティクルは再生できません。 シャンプー用の石けんは普通の石けんに比べると、刺激はより少なく、皮膚や髪にせっけんカスが残らないように配慮されているといいます。しかし、それでもいくらかは石けんカスが残ってしまい、(人によっては)髪がきしむことにもなるのだそうです。そういう場合などに、酸性である「酢やクエン酸」で洗うことで、髪の毛のpHバランスを整えることができ(本来の弱酸性に戻すことができて)、きしみがなくなるというわけです。「石けんシャンプー用のリンス」は、まさにこの理屈を利用してトリートメントするのだそうです。ですから、合成洗剤のリンスやコンディショナーとは成分が全く違います。なので、石けんシャンプーのあとに合成洗剤のリンスを使ったり、合成洗剤のシャンプーのあとに石けんシャンプー用のリンスを使ったりしても、本来の効果は得られないということになります。純石鹸で髪を洗うという行為、なにやら昔臭い気がすることはします。それも、「浴用固形石鹸+酢」の組み合わせだと確かにそうです。しかし、それなりの年の男として、多分普通の長さの髪(硬い髪ですが)の私としては、この組み合わせがとても気に入ってしまいました。シンプルで、安全で、なおかつ安くも済むわけなので、気分的にも爽快です。小さい頃から、髪を洗うのは市販の(合成洗剤の)シャンプーと、何ら疑うことなく使ってきたわけですが、その「固定観念のようなもの」を、あっさり取り払ってもらえたという点でも、何か感動すら覚えるところです。しかし女性、それも髪が長い人たちにとっては、この方法では厳しいのでしょうか(イメージとしては確かにそんな感じですが)。(それでも実際には、イメージに反して、合成洗剤のシャンプー、リンスを使用するよりは、髪にも健康にも環境にも、ずっといいはずですが。)普段あまり関心のない者が、市場をざっと見渡して、その種類の多さにびっくりしてしまうということは、シャンプーでは、みんなそれぞれ思うところがあり、それぞれに試行錯誤を繰り返しているということになるのでしょう。シャンプー関係はまったくの素人なので、ごく限られた情報しか持ち合わせていませんが、そんな中でたまたまある大手の健康食品店で知った、「アミノ酸100%シャンプー」の「ミフォニーシャンプー」という製品、なかなか優れもののようなのですがどうなのでしょう。(ネットではあまり情報がないようなのですが。) 無香料・無着色・ 天然オレンジオイル配合 アミノ酸100%のシャンプー オレンジシャンプー270ml ボナミノシャンプー500ml固形石けんにしても、「たかが石けん」などといっていられません。「より健康に」という欲求から、「より美しく」という欲求へと進んでいくと、その求める製品や情報は、(いい意味でも悪い意味でも)限りなく奥が深くなっていくようです。しかし個人的には、そんなこだわりはまったくありません。とにかく、より健康でいるために、できるだけ安く(「妥当な値段」という意味で)、かつ、簡単に手に入れられる製品を見つけていきたいと思っている次第です。 独特の匂いですが 太陽油脂の いい石鹸ですね マルセイユ石けん アレッポの石けん・アレッポの石鹸ホームページより <迷ったときの石鹸リスト> <こうなったら、自分で石けんを作る・・・>廃油で作る石けんからオリーブオイルを使ったマルセイユ石けんなど、自分で作る石鹸レシピもいろいろあるようです。一度は挑戦してみたいものです。最後に、さわりだけになってしまいますが、<髪を洗うのも、体を洗うのも、洗濯をするのも「水」が大事!>飲み水としての水道水は健康によくない、といわれます。であれば当然、生活水としての水道水も健康によくないということになります。シャンプーや洗剤を変えても、水を変えないと根本的な問題解決にはならないということです。特に、シャワーから吹き出る塩素は髪へのダメージだけでなく、体全般に悪影響を及ぼすといいます。水に関しては飲み水も含めて、次回以降で整理したいと思います。追伸。こうして見ると現代は、エネルギーだけなく、本当の意味で「石油にどっぷりつかってしまっている石油文明」なんだとつくづく思ってしまいます。その中でも日本は、石油を全く産出しないというのに、この状況です。大丈夫でしょうか。やはりキーワードは「脱あぶら」のようです。食生活の面から健康を考えると、「脱脂(あぶら)」(肉や食用油などを控える)という結論に達したわけですが、生活全般にわたっても、「脱あぶら」(石油製品を控える)ということが健康には不可欠なことのようです。
2007.08.16
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8月3日のつづきです。長年に渡って、合成洗剤を使い慣れていると、「純石鹸」に切り替えるにあたって、当初はいろいろ戸惑うことがあります。そんな中でも特に、「値段」と「使い方(=コツ)」の2つに関しては、少なからず違和感、抵抗感を覚えるところかもしれません。値段に関しては、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムからなる無添加の純石鹸は、合成洗剤に比べると一般的なものでも、洗濯洗剤で2倍から5倍、台所用洗剤で2倍から4倍、シャンプーでも2倍以上は高くなるようです。スーパーやドラッグストアで特売される合成洗剤であれば、その価格差はより一層開いてしまいます。原価が安く大量生産できる石油製品とは違って、純石鹸は材料も安くはなく、製造にも手間隙がかかるため、合成洗剤のようには安く作れないようです。というよりも、合成洗剤=洗剤と思っているので、それを基準にしてしまい、それより高いと何かとても高いように感じてしまうようです。合成洗剤=洗剤ではあっても、決して、洗剤≠合成洗剤です。合成洗剤=合成洗剤です。そして、「本当の洗剤」=純石鹸です。つまり、洗剤と合成洗剤は別物だと思えば、気持ちが切り替えやすくなります。「アル添酒」と純米酒、「みりん風調味料」と本味醂、白砂糖と本物の黒砂糖、精製塩と自然塩、化学調味料と鰹節の違いのように、「似て非なるもの」なわけです。とはいえ、毎日使うものだから少しでも体にいいものをと思えるか、毎日使うものだから少しでも安いものをと思ってしまうか、心の葛藤が起きるのも事実です。抜け毛やアトピー、手あれなど体に何らかの深刻な症状があったりすれば、その原因を追究することと共に、進んで純石鹸などに切り替えようとするのでしょうが、幸いにしてそんなこともない場合などは、どうしても腰が重くなってしまいがちです。なぜかこうした日用品類は、毎日食べる食品ほどには神経質にならない気がします。しかし健康にとって、日用品類は食品以上に危険性があるということを自覚して、こうした「値段の壁」は克服していくようにしなければいけません。値段のほかに、それぞれの用途の洗剤で使い方のコツというものがあるようです。今まで使ってきた合成洗剤と同じようには、いかないところが少なからずあるようなのです。・汚れの大半は水の力で落ちるといいます。なので、汚れのひどいものは水で予洗いする、というひと手間をかけるといいそうです。・粉石けんを使う場合は、洗濯機の「節水コース」より「念入りコース」、また「水量を高く設定するコース」を選びます。洗濯物の量はメーカー表示の80%が適量。つまり、たっぷりの水でていねいに洗うことが重要(詰め込みすぎはいけません。)・粉石けんは先に溶かしてから、洗濯物を入れます。溶けにくい場合は、他の容器で溶かしてから入れるなどします。・たっぷりの水で十分すすぎます。すすぎの最後にクエン酸か酢を入れるとふんわり洗い上がり、石けんカスや黄ばみ、ニオイの防止になります。・洗ったらなるべく早く干します。日光には、殺菌、漂白作用があるので、できるだけ外に(日光が当たるようなところに)干すようにします。純石鹸できれいに洗うためには、こうしたちょっとした手間がかけられるかどうかが大事なようです。 しゃぼん玉せっけん ミヨシ石鹸 石けんの街2kg 粉石けんスノール 無添加 洗たく用せっけん 廃食油から作られた石鹸 同じことは、台所用やシャンプーなどにもいえるようです。<台所用洗剤の使い方の「コツ」>今までは食べたあと、油などが付いたままでもそのまま食器を重ね、水を張った桶に入れて置き、あとでまとめて洗うということがほとんどだったのですが、石けんで洗う場合、それではあまり具合がよくないようです。合成洗剤に慣れてしまっているせいか、その使用感、汚れ落ちや洗い上がりの「ぬるぬる感」も、最初何かと気になります。そこでまずは、・油などで汚れた食器と、そうでない食器を分けます。油で汚れた食器の積み重ねは、汚れが食器の裏にまで付着するのを避けるためです。そしてひと手間、・油汚れのひどい食器は、ぼろ布や使い古しの紙などで油を拭き取ってから洗います。・石けんは十分泡立てて、包み込むようにして洗います。せっけんは洗う時ヌルヌルしますが、これはせっけんの持つ自然な作用。大きく重いお皿などを洗う時は特に注意して、落とさないようにしなければいけません。そこで、スポンジではなくネットで洗うことをおすすめします。ネットなら、洗いつつ両手で持っているような状態が可能。洗剤とスポンジでお皿をなでるのではなく、せっけんとネットでキュッキュッと磨きましょう。ネットはスポンジと違い、細かい部分やスミにもよく届くので、とても使いやすいという利点もあります。市販のネットもありますが、塩ビを使用しているものもあるため、できれば自分で手作りを。ナイロンやポリエステル製のボディタオルを4等分して、ちょっと面倒ですが端を縫います。タオルは綿が入ってると汚れやすいので必ず繊維の表示を確かめて。一度に4つできて経済的ですし、汚れや水分を含まずすぐ乾くので、たいへん衛生的です。ネットが古くなったら最後は掃除用におろして使いましょう。このネットはいいようです(切ったり縫ったりが面倒なようなら、台所の生ゴミ入れ用の小さな青いネット、これでも代用できます)。ネットだと泡立ちもよくなり、洗剤の使用量も少なくてすむという利点もあります。 台所用石けん ミヨシ石鹸 パックス 200番 800ml なの花台所用せっけん(450ml)さらに、つづく。今年の夏は暑いですね!
2007.08.15
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8月2日の続きです。―界面活性剤の用途・・・近年、この危険な合成界面活性剤の用途が広がっているといいます。洗濯用や台所用洗剤、シャンプー、リンス、歯磨き剤は周知のことですが、それ以外にも、農薬の中にも薬剤が進入しやすいようにと用いられています。化粧品にも乳化剤、溶化剤などとして、必ず用いられます。食品にも乳化剤という形でチョコレートをはじめとした菓子類、缶飲料、マヨネーズ、ドレッシング類などに用いられています。―洗濯洗剤には界面活性剤以外にもいろいろ・・・合成洗剤には、界面活性剤以外にも危険な成分がいろいろ入っているようです。「輝く白さ」、このうたい文句の正体は蛍光増白剤(蛍光剤)です。これは、ほとんどの洗濯用合成洗剤に含まれており、洗濯物に「付着」し、白く見せる働きをしています。決して汚れ、黄ばみを落とし、衣類本来の白さを引き出しているわけではありません。これを称して、船瀬俊介氏は「合成洗剤」ではなく、「合成染剤」だといっています。この蛍光増白剤には毒性があるため、食品衛生法では、食品・包材・紙コップ・台所用ふきん・食器など食品が直接触れたりするものに使用することが禁止されています。また、薬事法では、生理用品・紙おむつ・トイレットペーパーなど、薬局法の規格では、ガーゼ・脱脂綿・マスクなど肌に直接触れたりするものに使用することが禁止されています。船瀬氏は、「布きんや下着を合成洗剤で洗えば、法律違反の有毒布きん、有毒下着の出来上がり」と声高に叫びます。※ 漂白剤と蛍光増白剤の違い漂白剤の働きは汚れを分解すること、蛍光増白剤の働きは汚れの上を白く染めることです。一度蛍光増白剤で染められると、なかなか取れません。洗剤メーカーは、手を変え品を変え、消費者の購買意欲をそそるキャッチフレーズ、さわやかなCMを作り続けています。「新素材」、「新開発」、「抗菌作用」、「バイオの力」、「特許申請中」、「経済的」、「酵素配合」、「植物性」・・・柔軟材の「ふんわり柔らか」もそのひとつ。なぜ「ふわふわにする」必要があるのか。合成洗剤で洗うと「ゴワゴワする」からです。しかし、この柔軟材は「家庭用品品質表示法」(下記参照)の品目に入っていないため(洗剤ではないということ)、その成分表示はメーカー独自(表示義務なし!)。何がどのくらい含まれているのか、実際のところはわかりません。(都合の悪いものを使っていても、表示する必要がないということです。)このように、次から次と魅力的なキャッチフレーズを並べても、所詮は石油製品、その危険性に何ら変わりはないということです。―シャンプー、リンスのいろいろ・・・市販のシャンプー、リンスも界面活性剤で成り立っています。しかし、洗濯用洗剤や台所用洗剤の成分表示のように、「界面活性剤~%」という表示がされていません。これは、経済産業省管轄の「家庭用品品質表示法」によって、「合成洗剤、洗濯用又は台所用の石けん及び住宅用又は家具用の洗浄剤」については、含有される界面活性剤の種類と含有率を表示するように定められているためだそうです。一方シャンプー、リンスの多くもその成分から見ると、合成洗剤に分類されて当然なのですが、商品区分としては化粧品類に属するそうです。そのため、上記の「家庭用品品質表示法」には従う必要がなく(厚生労働省管轄の「薬事法」になる)、洗濯用洗剤や台所用洗剤のような「界面活性剤~%」という表示義務がありません。ですから、シャンプー、リンス、歯磨き剤などの成分表には、虫めがねを使わなければ読めないような細かい文字で難しいカタカナの羅列が書いてあるだけということになります。しかし、シャンプーには、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩やラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤が通常、30~50%も入っているといいます。界面活性剤そのものの強さの違いはあるのでしょうが、レンジ洗いやトイレ洗い用の洗剤に含まれている界面活性剤よりも、その濃度は何倍も濃いものとなっています。実際、シャンプーでお風呂やトイレを洗うととてもきれいになります(いい香りも)。その他にも、プロピレングリコール(PG)や殺菌剤のパラベン、○色○号などのタール系色素、石油系香料、金属封鎖剤、PH調整剤など、めまいがしてくるほどに石油系化学物質が多数使われています。リンスの主成分も界面活性剤です。油分、金属封鎖剤、防腐剤、タール系色素、香料などが使われ、シャンプー同様に有害な化学物質のかたまりです。「合成界面活性剤のほとんどが陰イオン系(マイナスの静電気)ですから、中和をするために仕上げ剤として陽イオン系(プラスの静電気)の柔軟仕上げ剤やリンスが使われます。陽イオンが残留すると防水効果を持ってしまい、汗などをすいにくくなるので肌のトラブルの原因になります。 陽イオン系界面活性剤は活性剤の中でも急性毒性がもっとも強く、陰イオン系の5~7倍とされています。」という説もあります。シャンプー以上に危険度が高いかもしれないというのがリンスというわけです。(シャンプーと違って、あまりすすがないとすれば、危険度はさらにアップすることになるかもしれません。)(匂いはいいですが、実際のところは「石油べたべた頭」になっているわけです。)―なぜ、私たちはこんな危険な洗剤類を使い続けているのか・・・「石けんを駆逐して」合成洗剤が使用量を増大させてきたのは、前述のようにメーカーの宣伝効果に負うところが大きいようです。洗濯用洗剤にしても、歯磨き剤にしても、シャンプーにしてもそのテレビCMを見ない日はないように思います。そしてそのCMは、一流のタレントさんを使ったさわやかで、購買意欲をそそる魅力のあるものがほとんどです。メーカーは宣伝広告に膨大な費用をかけています。マーケティング戦略、理論、調査などにも、時間とお金をたっぷりかけています。ドラッグストアやスーパーなども連日のように、特売の目玉商品にしています。売り場のコーナーもきれいで、スペースも大きく取られています。何も知らない無防備な消費者は、一網打尽、あっという間にその網にかかってしまいます。例えば、今いちばん売れているシャンプー、S堂の「TSU※※KI」の宣伝広告費はなんと50億円!(日本の普通の映画なら、何本作れるのでしょうか。)でも確かに、魅力的で何回見てもあきない、いいCMです。(CM見たい方は、こちら。)女性なら、一度は使ってみたいという気にさせるCMなのでしょう(売れているのだから、絶対そうです。)しかし残念ながら、このシャンプーの主成分も界面活性剤などの石油がほとんどです。TSU※※KIも少し入っているようですが。(詳細については、livedoorニュース 「日本の女性に、ごめんなさい。」~ http://news.livedoor.com/article/detail/2764821/?rd へ)果たして、このCMに出演した多数の美しい(髪の)女優陣方は、ホントにこのシャンプーを使っているのでしょうか。これもまた、ホントかウソかよくわからないのに、そうかもしれないと妙に納得してしまうことですが・・・こうしたシャンプーや洗剤を開発している研究者、販売しているメーカーの幹部の人たちは、自社の製品は決して使わないという話、よく聞きます。―では、どうするべきか・・・自分のためにも、家族のためにも、環境のためにも、あらゆる界面活性剤、合成洗剤は使わないようにする!これです。CMに踊らされてはいけません。いいCMでも、見るだけにしましょう。そして代わりに、「純石けん(本物の石けん)」を使うというのが、まずはすぐにも始められる安全安心な選択ということになります。次へつづく。暑い日がつづいているので、少しでも涼しげな風景を
2007.08.03
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・今の若い女性には、子宮筋腫や子宮頸がん、乳がんなどの女性疾患になる人が多い。・今の若い男性には、精子の数が極端に少ない人が多い。・子どもをはじめとして、アトピーの人がどんどん増えている。・原因の特定できない病気や症状がどんどん増えている。さらには、・出産の時、羊水からシャンプーのニオイがする、・手術で取り除いた子宮筋腫からせっけんのニオイがする、と話す産科医が増えている。・今日本は世界一奇形児の出生数(流産等も含めて)の多い国である。以上は、最近いろいろなところでよく耳にしたりする話です。客観的なデータがあるもの、ないもの、あるいは、単なる噂、憶測もあるのかもしれません。しかし、こうした話を聞いて、そうかもしれないと妙に納得してしまうところに、一抹の不安を感じてしまいます。2005年の日本の奇形児出産頻度1.95%、2000年は1.42%、年々その率は上昇傾向にあると読めるデータはあるようです。(「先天異常データベース」より)「野良里蔵狸さん」のブログも興味深いです。 http://tanukur.blog8.fc2.com/blog-entry-255.htmlブームにもなった経皮毒(食べ物のように口から体内に吸収されるのではなく、皮膚を通して体内に吸収されるもののうち、体にとって悪影響を及ぼす物質)には、さまざまなものがあります。そうしたものの中で、ほとんどの人が毎日のように使っている、接しているという点では、いちばん最初にその功罪が問われるもののひとつではないかと思われるものに、界面活性剤があります。石けん、合成洗剤、合成界面活性剤、よく聞く名前ですが、その違いがどこにあるのか、以前「歯磨き粉の項」でも整理しましたが、もう一度簡単に整理してみます。その昔(といっても、日本では明治時代まで)は「洗剤」として、木やワラの灰や動物の糞、うどんやそばのゆで汁などの自然素材が用いられていました。その「洗剤」の世界を大きく変えたのが石けんの登場でした。最初の頃の石けんは、動物や植物の油脂と木の灰を一緒に煮て作っていました。灰汁(アク)には苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)が含まれ、これが繊維を白くするのに役立ったのです。石けんは最初に作られた人工合成した界面活性剤であり、合成洗剤です。しかし、合成洗剤ではあるものの、分解性がよいことに加えて有害な物質を作り出さないため、今では、単に石けんと呼ばれていて、合成界面活性剤や合成洗剤といった場合、その仲間には加えません。合成洗剤と呼ばれている洗剤は、ごくわずかな例外を除くと、石油から造られる合成界面活性剤に、さまざまな補助の役割を果たす助剤(ビルダー)が加えられて造られる洗剤のことを指します。―合成洗剤=界面活性効果!界面活性剤とは、「親油性基」と「親水性基」をもつ物質のことをいうそうです。親油性基とは、油に溶ける部分のことで、親水性基とは水に溶ける部分のことです。この両者の性質を合わせ持つことで、油と水の界面を変化、流動化させることができるようになるというわけです。そしてこの界面活性力で、汚れの原因の油を水に溶かし出すわけです。界面活性剤には、水に溶けた時にイオン化するものとしないものがあります。イオン系界面活性剤と非イオン系界面活性剤です。さらに、イオン系界面活性剤には、陰イオン系、陽イオン系、両性イオン系があります。<陰イオン系界面活性剤の例>・純石けん分(脂肪酸ナトリウム)、純石けん分(脂肪酸カリウム)・アルファスルホ脂肪酸エステル塩(α-SFE)―洗濯用洗剤・アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)―洗濯用洗剤,台所用洗剤,住居用洗剤・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)―同上・高級アルコール硫酸エステル塩(AS)―シャンプー,洗濯用洗剤,歯磨き・アルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)―シャンプー,洗濯用洗剤,台所用洗剤・アルキル硫酸トリエタノールアミン―シャンプー・ラウリル硫酸ナトリウム―歯磨き粉、シャンプー、髭剃りクリーム、泡風呂<陽イオン系界面活性剤の例>・アルキルトリメチルアンモニウム塩―リンス,帯電防止剤・ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド―柔軟剤<両性イオン系界面活性剤の例>・アルキルカルボキシベタイン[ベタイン系]―台所用洗剤やシャンプーの洗浄力増強剤,増泡剤,工場用<非イオン系界面活性剤の例>・脂肪酸ジエタノールアミド―シャンプーの洗浄力・起泡力増強剤・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)―洗濯用洗剤,住居用洗剤,乳化剤・ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)―乳化剤,洗濯用洗剤石けんも合成洗剤も、界面活性剤効果によって汚れを落としています。しかし前述したように、石けんが通常動植物の油脂から作られるのに対して、合成洗剤は石油からの化学合成によって造られるため、その性質は大きく異なります。石けんは汚れ物質を変化させながら、自らも変化し分解されていきます。石けんは1日で水と二酸化炭素に分解されます。石けんカスは微生物の栄養源に、そして最終的には魚のエサになります。それに対して、合成洗剤は汚れ物質を分解することはなく、自らも8割まで分解されるのに3週間くらいかかり、しかも、10年以上に渡って完全には分解されません。そしてその間、毒として人間をはじめさまざまな生物、環境に悪影響を与え続けます。自然界に存在しない化学物質は、分解するにもさまざまな条件が必要なのであり、完全に分解してしまわない限り、自然界の生態系に組み込まれることはありません。―よく「無リン」とうたわれているのは、なぜ?合成洗剤には多くの助剤(ビルダー)が加えられていますが、かつてよく用いられていたのがリン酸塩でした。今でも外資系の一部の洗剤には含まれていたりします。このリン酸塩は、ABSやLASなどの陰イオン系界面活性剤の働きを助ける(汚れ落ちをよくする)ために用いられているそうです。ところが、これが川や湖などに流れ込むと植物性プランクトンや藻などの異常発生の原因となる「富栄養化」を引き起こし、魚介類に大きなダメージをもたらしました。合成洗剤の使用量が増加の一途を辿るに伴い、日本中の川や湖でなどで問題となり、無リン化が進められるようにたったというわけです。1979年以降、日本で造られるほとんどの合成洗剤が、このリン酸塩を加えない「無リン」になりました。しかし、合成洗剤自体の毒性は変わってはいないようです。それどころか、汚れ落ちをよくするため、あるいは、環境への毒性が急激に発現しないようにするために、次々に開発されてきた界面活性剤は、むしろどんどんその毒性を強めているといいます。 ・主要な界面活性剤の変遷 ABS→LAS→AS→ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE・非イオン系) 毒性はどんどん強くなっている残念ながら日本は、合成洗剤の単位面積あたり使用量が世界一だといいます。その2へ、つづく。
2007.08.02
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「ガムの主成分は、石油からできている」!のっけから過激な文章で始まってしまいましたが、今回はガムです。一般に市販されている大手メーカーのガムには、そのイメージやうたい文句とは裏腹に、「多くの食品添加物や疑惑の人工甘味料」が使われているという実態を知ってから、ほとんど食べることはなくなっていました。それでも食後などに、口の中をスッキリさせたくて、「食品添加物や疑惑の人工甘味料」が使われていない「こだわりのガム」を買って、時々口にしていました。(ガムは結構好きなんです。)しかし問題は、「単に味付け」だけにあるのではなく、ガムの元(ガムベース)自体にもあることを知るに及んで、ガムに対して根底から考え方を変えざるを得なくなりました。今更ですが、「ガム」とは、「チューイング(噛むこと)・ガム(ゴム)」の略で、噛むことによって味が出る菓子のことです。ガムは、最後まで口の中に残るそれ自体は何の味も匂いもない「ガムベース」と呼ばれるものと、そのガムベースに後から「味付け」、「色付け」、「匂い付け」をしたものからできています。ということは、「味付け」、「色付け」、「匂い付け」するものだけにこだわってもダメということになります。まさにベース(基本)が大事というです。それはつまり、ガムの主原料であるガムベースは何かという問題になるわけです。ガムの起源は以外に古く、中米マヤ文明の頃まで遡るといわれているようです(古代ギリシアの頃からという説もあるようです)。一度は行きたいワンダーランド、マヤ遺跡!ですから本来ガムは、「全て天然素材」でできていたわけです。その天然素材とは、熱帯地方に生息する「サポジラ(サポディラ)」という木です。この木の樹液を煮つめることで、「チクル」と呼ばれる天然樹脂を作りガムのベースにした、これが本来のガムだったそうです。(参照 http://www.geocities.co.jp/nettaikaju/sapodilla.html)熱帯の果実、サボジラこのサポジラ、日本でも沖縄あたりにはあるようですが、天然樹脂「チクル」として製造しているのは、ほとんど中南米や東南アジアの国々だそうです。ところが、このチクルの生産量が熱帯雨林の伐採問題(環境問題)と共に減少の一途をたどっているというのです。このため、当然のことながらサポジラやチクルは稀少なものとなり、値段が高くなっているわけです。また、そもそも自然のものであるがために、生産量も天候などに左右されてしまいます。そうした理由が重なれば、大量生産、大量消費の現代では歓迎されないのは当然です。よって今日では、安定供給でき、値段も安く、噛み心地の加工調整などもしやすい「酢酸ビニル樹脂(ポリ酢酸ビニル)」や「ポリイソブチレン」というものが使われているのだそうです。では、この「酢酸ビニル樹脂(ポリ酢酸ビニル)」や「ポリイソブチレン」が何かということになります。「酢酸ビニルは他の化学物質をつくる原料として使用されている化学物質。」「酢酸ビニルからつくられた化学物質は、ビニロン繊維、接着剤、洗濯糊、人工芝、木工用ボンド、チューインガムなどのさまざまな製品の原料になる。」ポリイソブチレンは、「接着剤の成分として樹脂を接着する働きをする。」 信じられないことですが、酢酸ビニル樹脂もポリイソブチレンも接着剤などの主成分のようなのです。接着剤の成分と同じものを口の中に入れて、ずっと噛んでいるというのはいかがなものでしょうか。まさかという感じですが、「現在市販されているガムのガムベースは、この酢酸ビニル樹脂に、植物性樹脂のチクルをちょっと混ぜ合わせたもの」が全てだというのです!では、この酢酸ビニル樹脂は一体どのようにして作られるものなのでしょう。接着剤だからといって、からだに悪いとは限らないかもしれません。―酢酸ビニル樹脂の作り方―「まず石油を精製してナフサ、灯油、軽油などに分ける。そのうちのナフサを分解精製し、エチレンを作る。エチレンを酸素と酢酸に反応させると酢酸ビニル(モノマー=単量体⇔ポリマー)ができる。そして、この酢酸ビニルをつなぎ合わせると、ガムベースの原料である酢酸ビニル樹脂ができる。」つまり、「石油から合成された柔らかくて伸縮性のあるプラスチック」、それが酢酸ビニル樹脂であり、ガムベースであるということです!ちなみに、「つなぎ合わせる前の酢酸ビニル(モノマー)は、皮膚や粘膜、そして目に刺激を与える有害物質」であり、「1996年には、労働省(当時)によって発がん性も認められた。また、労働安全衛生法では、工場などで扱う際に、労働者の暴露時間を短縮することなどが求められている」、そんな物質だそうです。さらには、「酢酸ビニル樹脂自体にも、動物実験で発がん性が示唆されている」という情報もあるといいます。やはり、どう考えても安心安全な「食材」とはいいがたいようです。そして、繰り返しにもなることで、一番残念なことでもありますが、「現在市販されているガムで、チクル100%などの植物性樹脂だけを使用したものはない」というのです。「どのガムにも、多かれ少なかれ、酢酸ビニル樹脂が使われている」というのです。その中でも特に、「風船ガムのガムベースは、100%酢酸ビニル樹脂」なのだそうです!(酢酸ビニル樹脂はよく伸びるそうです。)以上のことをすべて鵜呑みにすると、ガムなどとても噛む気にはならなくなります。ガムは、噛まなければ生きていけないという代物ではないわけですからなおさらです。ということもあって、個人的にはガムを噛むことはやめにしました。もちろん、これらのことが全て正しいと思ったからではありません。・ガムは所詮嗜好品であって、必需品ではありません(安くて手頃な嗜好品ではありますが)。・それにもかかわらず、このガムベースの問題や人工甘味料(例えばアスパルテーム)、添加物の問題とガムにはいろいろ「疑惑」がありすぎます。・そして、これがやめる一番大きい理由になったのですが、口の中に常に食べ物が入っている状況を作ることは、虫歯になりやすい状況を作ってしまうことになるからです。(虫歯にならないといわれる甘味料を使っていてもその状況は変わりません。キシリトールのみのガムはないからです。)そうした状況を作るのはガムに限ったことではありません(間食するもの全てです)が、ガムは簡単に噛むことができるので、どうしてもクセになり易いということがあるように思います。こうしたものを、子どもには食べて欲しくない、そう思ってしまったというわけです。当然ながら、反対意見(ガムは無害、有効など)はあります。それを述べる前に、ひとつ、ふたつ。・某大手ガムメーカーのホームページをのぞくと、日本におけるガムの歴史が載っていました。その中では、このメーカーが日本で初めて天然チクルを使ってガムを製造したくだりがあります。これだけを読むと、このメーカーはあたかも天然樹脂チクル100%でガムベースを作っているように勘違いしてしまいますが、残念ながらそうではないようです。どうやら、酢酸ビニル樹脂、エステルガム、ポリイソブチレン、炭酸カルシウムなどと共に天然樹脂チクルも使っている、ということのようです。(「ガムベース」って、なんだ? http://www.excite.co.jp/News/bit/00091121845868.html)・「食品添加物や疑惑の人工甘味料」が使われていない「こだわりのガム」を作っている某健康食品メーカーも、問い合わせてみたところ、ガムベースの原材料は、「酢酸ビニル樹脂、エステルガム、タルクなどです」との回答でした。噛み心地が普通のガムとは違うので、ひょっとしたら天然樹脂使用のためかと少し期待したのですが、無謀な期待だったようです。ちなみに「タルク」とは、「滑石(かっせき)という鉱石を微粉砕した無機粉末で、白色及び灰色をした滑らかでしかも脂肪感に富んだ素材」で、安定した物質であることから、配合充填材(フィルター)として「 医薬品(錠剤の賦形剤)、化粧品(ファンデーション、パウダー、アイシャドウ、口紅)」などに幅広く使われているもののようです。 噛み心地が違っていたのは、この「タルク」配合のためかもしれません。「市販されているガムで、チクル100%などの植物性樹脂だけを使用したものはない」というのは、どうやら本当かもしれません。では、ガムは安全という意見を――ガムの原料について―・酢酸ビニル樹脂1912年にドイツで開発された無色透明、水に溶けない、無味無臭の樹脂です。チューインガムに使用されている酢酸ビニル樹脂は、食品衛生法の厳しい規格基準にもとづき製造されています。この樹脂は、軟化して快い噛み心地をもつガムベースの原料となり、また安全性は、各種の試験により確認されています。・エステルガム噛み心地をよくするために使用されます。各種の試験により、その安全性は確認されています。・ポリイソブチレンガムベースに弾力性をだすために使用されます。共に各種の試験で安全性は確認されています。・炭酸カルシウムチューインガムのカルシウム強化と長くかんだ場合のたれを防止するため使用されます。―安全性は歴史が証明しているという意見―「酢酸ビニルはガムとして過去100年噛まれてきた物質で、プラスティックだからといっても危険性は少ないと思います。」(風船ガムは1880年代にはすでに存在したそうです。 )「ガムを飲み込んだ場合、体内では消化されずに排便されます。また、酢酸ビニルは脂溶性の特徴があるため、チョコレートなどといっしょに食べると溶けます。この場合も体内ではほとんど吸収されずに排出されると考えられますが、一部吸収されても有機化合物が分解されたものはC(炭素)やO(酸素)などが大半なので危険性は低いと考えられます。」「実際、飲み込んだガムや溶けてしまったガムによるトラブル事例は多くないようです。」―そして、(ガムを)噛むことの効用について―(危険性よりも有効性が大いに勝る)・歯と歯茎(はぐき)、あごの骨を強くする ・脳内血流、脳血流の増加、促進を促す ・唾液(だえき)の分泌 →細菌に抵抗する・リラックス効果をもたらす・眠気を防ぐ、集中力をあげる・消化を助ける個人的には、以上のことを知っても、ガムをやめる気持ちに変化は起きないのですが、皆さんはいかがなものでしょうか。・日本チューインガム協会 http://www.chewing-gum.org/ (参考までに)・今のところかなりいいガムといえるのでしょうか、でもガムベースはやはり・・・マスティックガムのホームページ
2007.07.25
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7/14の続き。こうした揚げもの類には、今話題の「トランス脂肪酸」の問題もあります。「トランス脂肪酸」、別名「プラスチック食品」とか「狂った油」などといわれています。植物油などの天然の不飽和脂肪酸は本来「シス型」です。しかし、この液体状の不飽和脂肪酸からラードのような固体状の飽和脂肪酸を製造するために水素を添加し「水素化」させると、分子構造が変化し、不飽和脂肪酸のシス型結合の一部が「トランス型」に変化して、「トランス脂肪酸」が形成されるのだそうです。なぜそんな込み入ったことをしなければいけないのかというと、植物油からマーガリンなどを作るためなのだそうです。その当時(19世紀末)、高価で一般庶民がなかなか買うことのできなかったバターの代わりとして研究開発され、その結果安価な植物油から作ることができるようになった、それがマーガリンの誕生というわけです。今では、「動物性脂肪からできているバターよりも、植物性脂肪から作られるマーガリンの方がより健康的である」といったフレーズが定着したこともあって、一般的にバターよりも多く使用されているようです。しかし、この「トランス脂肪酸」は上述したような製造過程上必然的に、マーガリン類には高濃度で含まれることになります。マーガリン類とは、マーガリンのほかに、ファットスプレッド(マーガリンよりも水分が多く柔らかいため塗りやすい、市販されているマーガリンも表示をよく見るとファットスプレッドと書いているものが多い)、ショートニング(マーガリンから水分と添加物を除いて純度の高い油脂にしたもの、パンや焼き菓子、フライドポテトなどを製造する業務用として主に使われる)、などがあります。そしてその影響は、それらを使って作られる加工食品にも及びます。「トランス脂肪酸」は、多量に摂取するとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させ心臓疾患のリスクを高めるといわれ、2003年以降使用を規制する国が増えています。アメリカでは、2006年から食品中のトランス脂肪酸の含有量の表示を義務付けました。ニューヨークでは2008年半ばまでに、外食産業でのトランス脂肪酸の全面使用禁止を義務づけました(いろいろ物議を醸しているようですが)。規制の進んでいるデンマークでは、「動物性油脂に含まれる天然に存在する物は規制外として、全ての食品に含まれる脂肪中、トランス脂肪酸は2%以下」としているそうです。残念ながら日本での「トランス脂肪酸」に関する規制は今のところ、官民共に全く眼中にないようです。(あえて問題にしないようにしているというべきでしょうか、やはり「いろいろある」のでしょう。)(「アクリルアミド」に対する対応とは明らかに違うようです。)いずれにしても、現在のところ「トランス脂肪酸」に関しては、先進諸外国との規制の差は歴然です。よって、日本では「トランス脂肪酸」が高濃度に含有された食品が普通に出回っているわけです。「食品と暮らしの安全基金」の調査によると、大手企業のマーガリン類のトランス脂肪酸含有率は以下の通りだったそうです。 ・明治コーンソフト 9.04% ・ラーマ バターの風味 8.10% ・雪印ネオソフト 4.18% ・小岩井マーガリン 1.47% ・雪印北海道バター 1.74% ・日清のショートニング 14.70%この調査によると、やはりマーガリン、ショートニングには高濃度でトランス脂肪酸が含有しているということがわかります。しかしそんな中で、デンマークの基準をもクリアしているマーガリンがこの日本にもあったというのは、うれしい驚きです。小岩井マーガリンです。 (健康を考えて)パンに塗るなら、マーガリンよりバターの方がいいようですし、マーガリンにしたいのなら、小岩井マーガリンを選んだ方がいいようです。以下にある「英国食品基準庁(FSA)のQ&A」にあるように、あまり神経質になることはないのかもしれません。(そうはいってもこの「FSAのQ&A」、どうしても事なかれ主義的な気が強くしてしまいますが。)しかし、少なくともポテトチップスやフライドポテト、スナック菓子類は、「アクリルアミド」のリスクの点からも「トランス脂肪酸」のリスクの点からも極力食べないようにした方がいい食品なのだと思います。また、ショートニングの使用をはじめ、原材料のことや添加物のことなどいろいろ考えてしまうと、どうしてもファーストフード店など多くの外食産業と呼ばれるお店での飲食は、できるだけ控えたほうがいいといわざるを得ないように思います。特に、子どもたちのことを考えるとなおさらです。話は突然でなんですが、トランス脂肪酸含有率が1%以下だというバーガリンという有名なマーガリンがあります。 日本人のシェフが作ったという、こだわりの一品のようです。 ※ 「バーガリンのススメ」ホームページ http://www.burgarine.com/ (業界をはじめマスコミなどの「トランス脂肪酸」に対する反応もわかります。)以前に整理したのですが、「質のよくない脂質、バランスを崩す脂質」はできるだけ摂らないという観点からみると(脂質・脂肪酸1の項、2の項参照)、そもそも揚げ物類の多くは避けるべき食べ物だといえます。また、バターにしてもマーガリンにしても、できるだけ使わないにこしたことはないものでしょう。ですから、「アクリルアミド」も「トランス脂肪酸」も、「質のよくない脂質、バランスを崩す脂質」をできるだけ避けるということによって、ある程度自動的に回避できる問題だといえると思います。※「食品のハザード」については、「食品科学広報センター代表 正木英子氏」の講演内容を参考にさせていただきました。 ―参考― ○ 英国食品基準庁(FSA)のQ&A(一部仮訳)Q1: アクリルアミドとその健康へのリスクについてどのようなことが分かっていますか。 A1: 動物実験データやその生理学的な影響から、アクリルアミドは人におそらく発がん性を示すと評価されています。 職業上アクリルアミドに暴露された人に対して神経障害を引き起こすことや、雄の動物を用いた実験で、繁殖障害を示すことが 確認されています。 最近、アクリルアミドが食品中から検出されることがわかりましたが、人が経口摂取した際の影響については解明されていません。FSAはアクリルアミドのようなDNAを損傷させる発がん性物質への暴露は合理的に達成しうる限り低くするべきと考えています。 Q2: アクリルアミドは新たなリスクですか。 A2: いいえ、アクリルアミドは、通常の調理方法によって食品中に生成されると考えられており、従来から摂取されていたと考えられます。 Q3: アクリルアミドは直ちに現れるリスクですか。 A3: いいえ。食品中のアクリルアミドについて可能性のあるリスクは長期間摂取されることによってもたらされると考えられます。 Q4: 食品中のアクリルアミドの摂取を少なくするために、調理時間を短くするべきですか。 A4: いいえ、すべての食品、特に肉は食中毒細菌を死滅させるため適切に調理すべきです。 Q5: 食品中のアクリルアミドの摂取はどのようにして避けることができますか。 A5: アクリルアミド摂取をゼロにすることは困難であり、十分な果実や野菜を含む健康的なバランスある食生活が、がんから健康を守るのに役立つでしょう。 Q6: ポテトチップスやフレンチフライを食べてもよいのでしょうか。 A6: FSAは、この試験でアクリルアミドが検出された食品を食べるのをやめることを指導しているわけではありません。 しかしながら、ポテトチップスやフライドポテトのような揚げ物や脂肪食ばかりを食べるのではなくバランスのとれた食事をすることを勧めているのです。 Q8: 煮た食品ではアクリルアミドは生成されますか。 A8: 限られた調査ではありますが、食品を煮てもアクリルアミドの生成は促進されないようです。 Q9: この発見により、食生活を変えるべきですか。 A9: いいえ、消費者に食生活を変えるようアドバイスをしているわけではありません。 アクリルアミドはありふれた多くの食品に存在し、リスクの全くないバランスある食生活を実現することは困難です。 しかし、毎日少なくとも5種類の果実や野菜を含む健康的でバランスのとれた食生活をおくることは相当効果があると考えられます。
2007.07.15
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少し硬い話題な気がします。「ハザード(hazard)」ということばがあります。最近けっこう耳にするような気がしますが、「危険の原因、危険物、障害物などを意味する」和製英語だそうです。例えば、ゴルフをする人ならば、バンカーや池などコースの障害物になるものをハザードということは周知のことです。特に、池などは「ウォーターハザード」といったりします。また、自動車を停車させる時に点滅させるランプを「ハザードランプ」といいます。「モラルハザード」ということばもよく聞きます(その本来の意味については、こちらを)。ゲームソフトからハリウッド映画にまでなった『バイオハザード』というのもありました。 この「ハザード」という単語、「食の安全」を考える上でもキーワードのひとつになるのだそうです。では、「食の安全」の中で使用される「ハザード」の意味(定義)とはどういうことかというと、「健康に悪影響をもたらす可能性のある食品中の有害微生物や寄生虫、自然毒、カドミウム、残留農薬などの化学物質、またはそれらを含有する食品の状態。」それが、食品中の「ハザード」ということです。このハザードと対になる単語が「リスク」です。食品におけるリスクとは、「食品中にハザードが存在する結果として、健康への悪影響が起こる可能性とその程度」のことであり、「その程度」とは、「ハザード×暴露量(摂取量)」です。何のことかちんぷんかんぷんになってしまいますが、具体例を上げると分かりやすくなります。「ふぐ」には「テトロドトキシン」という自然毒があるといわれます。人に対して、シアン化カリウム(青酸カリ)の300から400倍の毒性を示す猛毒で、300℃の加熱でも分解しません。人が、経口的にこのテトロドトキシンを摂取した場合の致死量は、2~3mgといわれています。日本人は経験的にこのふぐ毒を除去することを覚え、そうすることでおいしいふぐ料理を食べる知恵を獲得しました(現在では、ふぐ調理師免許をもった人しか調理できないことになっています)。ふぐは少なくとも日本人にはれっきとした(というよりも上等の)食べ物です。ですから、この「ふぐ毒」あるいは「ふぐ自体」に「ハザード」があるということになります。ふぐには「ハザード」が存在します。ふぐを食べるということは(きちんとした店で免許を持った調理師が調理する場合、ほぼ100%その可能性はないとはいえ)、健康への悪影響が起こる可能性(程度如何によっては死ぬこともある)があるわけです。つまり、ふぐを食べることは「リスク」があるということになります。(話は少し別になりますが、同じふぐでも天然物でなく「養殖ふぐ」を食べる場合には、「ふぐ毒」のリスクの代わりに、「ホルマリン」というリスクが出てくる場合もあるようです。)(国内では今やほとんど使用されていないようですが、寄生虫駆除のため輸入物にはいまだに「ホルマリン」が使われているそうです。)(「ホルマリン」は発がん性のある劇物です。)(その一方で、「養殖ふぐ」には「ふぐ毒」が発生しないともいわれているそうです。)ちなみに、「テトロドトキシンを経口摂取したときの致死量は、2mg~3mg」というように、「健康にどの程度の悪影響が起こるかを科学的に評価すること」を「リスク評価」というそうです。同じことは、「毒きのこ」にもいえます。「毒きのこ」には「ハザード」があります。「毒きのこ」の場合、普通は「毒きのこ」を意識的に食べるわけではなく、「食べられるきのこ」だと「間違って」食べてしまうわけです。ですから、「リスク」は「きのこを食べること」にあるといえます(「見分けのつく人」にとってはそのリスクは0%になりますが)。ワラビの灰汁(あく)もそうです(まずくなるだけでなく、発がん性もあるそうです)。ワラビには「ハザード」があります。「アク抜き」をすればほぼ問題ありませんが、ワラビを食べることは「リスク」があることになります。総じて、私たちが食べる食物には程度の差こそあれ「ハザード」が存在します。しかし多くの場合、私たちは経験上から学んだ「適切な処理」をすることで、その「リスク」を「極力低くする=害がない」ことに成功しているわけです。しかし、さまざま状況下で次々と新たな食品が誕生している現在では、今までになかった(想定していなかった)「ハザード」がいくつも発生している(発見されている)ようです。そうしたものの中のひとつに「アクリルアミド」というものがあります。新種の家庭用殺虫剤ではありません。アクリルアミドは、「主に紙力増強剤、合成樹脂、合成繊維、排水中等の沈殿物凝集剤、土壌改良剤、接着剤、塗料、土壌安定剤などの原料」として用いられる一方、「毒物及び劇物取締法上の劇物に指定されており、神経毒性、肝毒性を有し皮膚からも吸収されるため取扱いには注意を必要とする有機化合物の一種」です。そして、「作業者等がアクリルアミドにさらされた場合にでてくる影響」として、短期暴露影響の場合、「眼、皮膚、気道を刺激する。中枢神経系に影響を与える。」長期又は反復暴露影響の場合、「神経系に影響を与え、末梢神経を損傷する。人でおそらく発がん性を示す。人で遺伝性の遺伝子損傷を引き起こすことがある。」こんなものが普通の生活をしている私たちに何の関係が?と思ってしまうのですが、2002年に驚くような報告がなされました。「スウェーデン政府はイモ類を高温で焼いた、あるいは揚げた食品中にアクリルアミドが含有されていることを発表した。」「その後の研究で量の多少はあるが焼いたり揚げたりした食品には、アクリルアミドが含有されていることが明らかとなった。」「このアクリルアミドはアスパラギンと糖類のメイラード反応(加熱した時などに見られる、褐色物質を生み出す反応のこと)によって生成していると推定されている。」「現在、食品中のアクリルアミドのリスク評価が国際的に進められている。」 「2005年には、FAOとWHOからなる合同委員会が『食品中のアクリルアミドは健康に害を与える恐れがあり、含有量を減らすべき』という勧告を発した。」これらの報告を受けて、日本の厚生労働省も「異例のすばやさ」で調査を開始しているようです。いずれにしても「アクリルアミド」は、私たちの食生活に密接に関係する「ハザード」であり、場合によっては「リスク」にもなるというのです。では、アクリルアミドを多く含む(発生する)とされる食品とはどんなものでしょうか。実際10種類以上の食品が上げられているわけですが、その根拠となった数値にはただし書きがあります。すなわち、同じ製品名のものでも使用原料や加工条件の違いなどにより、アクリルアミドの含有量にはかなりのばらつきがあったりして、今のところその数値には絶対的な意味合いは求められない。また、昔から伝統的に摂取され続けてきた食品も多く含まれているため、実際のところどの程度人体への悪影響があるのかも、今の段階では不明な点が多い。前書きはこれくらいにして、気になる食品はというと以下のものたちです。 ・ポテトチップ ・フライドポテト ・ほうじ茶 ・麦茶 ・中国茶 ・ココア ・コーヒー ・かりんとう ・アーモンド ・ビスケット ・クッキー ・クラッカー ・芋けんぴ ・カレー粉 ・インスタントラーメンやはり高温で焼いたり、揚げたりする食品に「アクリルアミド」が多いという傾向は見て取れます。お茶やコーヒーが該当するのは、焙煎(乾煎り)するからだと思われます。芋けんぴは、サツマイモを細長く切って油で揚げたお菓子です。ココアとカレー粉が該当するのはなぜでしょうか。(詳細な「食品中のアクリルアミド分析結果」はこちら。)この分析表を見ると、ポテトチップ 、フライドポテト、コーンスナック(そして、ほうじ茶)の数値が特に高いのがわかります。後編に続く。
2007.07.14
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7/10の続きです。一端発生してしまったダイオキシンは、自然界の中ではなかなか消滅しません。農薬や排気ガス、工場、焼却場などで発生したダイオキシンは、空気中に分散し、一部は雨とともに川へ流れ海に向かいます。また、土壌中に蓄積されたダイオキシンも徐々に流れ出し、結局は海に向かいます。分解消滅しないために、その行き着く先は海になるというわけです。海に溶け込んだダイオキシンは、プランクトンなどの微生物の体に取り込まれ、次にはそれをエサとする小型の魚へ、さらにはその小型の魚を食べる大型の魚へと、順次濃縮されて蓄積されていきます。そして最終的には、食物連鎖の頂点に立つ人間へと集積されていくわけです。ダイオキシン類を摂取してしまう原因の一番が魚貝類からというわけは、以上のことによるようです。人間が地球上にばら撒いたダイオキシンを、満遍なくかき集めて、ひとつ残らず人間に返してくれる、それが海と海の生物というわけです。それが自然のシステムということかもしれません。しかし考えてみると、このシステムは悪いことばかりではないことがわかります。つまり、人間にとって大事な栄養素も、海と海の生き物は満遍なくかき集めて、ひとつ残らず人間に与えてくれるということになるはずだからです。自然界を汚し自分たちの体を蝕ませるのも、自然界をきれいにして自分たちの体を健康に保つのも、結局は人間自身の責任というわけです。残念ながら最近では、東京湾のアナゴ、日本海のカニの内臓、地中海のマグロなど各地の海の魚介類から相当濃度のダイオキシン類が検出されているそうです。特にダイオキシンは脂肪に蓄積しやすいために、魚でも脂の部分にダイオキシン類が多く含まれます。東京湾のマガレイの脂分やサメの油から高濃度のダイオキシン類が検出されたというデータが集計されてもいるようです。いきなりですが、ここで、「食品と暮らしの安全基金」による魚のダイオキシン濃度ランキングの発表です。【ダイオキシン高濃度ワースト10】・スズキ・クロマグロ・コハダ・アナゴ・カジキ・タチウオ・キンメダイ・メバル・キハダマグロ・ブリ【ダイオキシン汚染度が低いベスト10】・ニベ・タカサゴ・トビウオ・スケトウダラ・マダラ・フグ・アカイカ・シロザケ・シラス・グチこれは別々に発表された、水産庁の調査結果と厚生労働省の調査結果を、「食品と暮らしの安全基金」が独自に比較検討した結果だそうです。大規模な調査ではなかったため、調査された個体数も少なく、海域も限定されているなどで、汚染の実態を正確に表しているとはいえないということです(なので、この名前の魚「すべて」が危険、あるいは安全ということにはならないようです)が、以下のような傾向は見てとれるとのことです。・沿岸ものより外洋ものが汚染度は低い(特に、東京湾や大阪湾のような湾内の魚は危険)。・国内産より外国産の方が汚染度は低い。・食物連鎖の上位にある大型魚よりも小型のものが汚染度は低い。・脂肪が少なく、寿命が短いものの方が汚染されていない。そのほかの点としては、・比較的大型でも、カツオやビンナガマグロはそれほど汚染度は高くない。・すり身の原料のスケトウダラや、高級かまぼこの原料のグチ、ニベの汚染度が低いので、かまぼこのダイオキシンも少ないといえる。・イカ類は脂肪が少なく、汚染の度合いも低いが、内臓の汚染度は高い。ちなみにこれが鶏などのエサに用いられたりするので、ダイオキシン濃度が高くなる卵もあるはずである。・サンマは寿命が1年ちょっとと短いので汚染度は低い。・マイワシは寿命が7~8年と長いので汚染度も高まるが、小さめのものを食べればリスクは小さくなる。そして結論として、「食品と暮らしの安全基金」おすすめの魚はというと―・イカ(身のみ)・サンマ・シロザケ・タラ・カツオ・(小さめの)イワシなどのようです。 サンマとサケは人類を救うかも?!「食品と暮らしの安全基金」推薦の産地直送魚介類。・産直グループ http://www.nnet.ne.jp/~santyoku/追伸。今盛んに、スーパーなどのレジ袋の有料化が叫ばれています。ゴミを出しすぎの日本ですから、これで少しでもゴミが減るのはいいことです。ちなみに、スーパーのレジ袋、おしぼり袋、ゴミ袋などに使用されているのはポリエチレンです。パンやお菓子の袋、クリーニングの袋などがポリプロピレン。このポリエチレンとポリプロピレンをあわせて「ポリオレフィン」と呼ぶそうです。このポリオレフィンは塩素系ではないので、燃やしてもダイオキシンは発生しないのだそうです。一方、昔から普通ビニールと呼んでいたものの元祖はポリ塩化ビニールです。こちらは、燃やすとダイオキシンが発生するといわれています(発生しないという意見もあります)。混同しがちですが、厳密には違うものだそうです。多くの人がスーパーのレジ袋などを、「ビニール袋」と呼びますが、正式には「ポリ袋」と呼ぶべきなのだそうです。ちなみに、ポリエチレンは炭素(C)と水素(H)からできています(C2H4)。そのためポリ袋は焼却しても水と炭酸ガスになります。塩化水素などの有害なガスを発生することがないため、燃焼してもダイオキシンが発生しないわけです。また、ポリ袋はリサイクル出来ます。加熱して別の形状に再加工が可能なのだそうです。身近なものでは黒いゴミ袋です。これは、工場で出るスクラップなどを再利用しているそうです。
2007.07.11
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以前述べたように(食肉、食肉2の項)、肉食は健康を考えると基本的、根本的にいろいろなマイナス要素があるようです。では、魚はヘルシーなのかというと、これまで見てきたように(「魚介類も危ないシリーズ」、その他)、魚にも残念ながらそうともいえない問題があることもわかりました。こんな状況も、「パーフェルト・ベジタリアン」なら、肉も魚も食べないということで簡単に決着する話で、下手にいろいろ考えたり悩んだりすることもないはずです。しかし、「にわかセミ・ベジタリアン」の状況にある我が身としては今のところ、肉食はNOといえても、魚までは簡単にNOといえないというのが現状です。逆に、肉を食べなくなった分、魚を食べる機会が以前よりも多くなってきています。(魚だけでなく、野菜や海藻類や豆類も多くなりましたが。)ですから、魚の中でもなるべく安全度が高く、お手頃なものを手に入れたいと思うわけです。しかしそんな中、魚は全般に危ないという話があります。それは、ダイオキシンの問題です。ある研究によると、「ダイオキシン類」の摂取は98%が食べ物からで、1.5%が大気からといいます。そして、食べ物による摂取のうち、なんと60%が魚からだというのです!でも、なぜ魚にダイオキシンが含有されるのでしょうか。そもそもダイオキシンとは何でしょうか。名前はよく知っていますが、実体が今ひとつよくわからないダイオキシンについて、この際少し整理することにします。・ダイオキシン―ダイオキシンとは、「塩素を含む化学物質」を作ったり、高熱で燃やしたりする時に発生する有害な化学物質で、正確には「ポリ塩化ジベンゾダイオキシン」というそうです。しかし、一般にダイオキシンという場合はもっと広い意味をさしています。日本では、「ポリ塩化ジベンゾダイオキシン」に「ポリ塩化ジベンソフラン」という特徴のよく似た化学物質をいっしょにして、「ダイオキシン類」と呼んでいます。日本以外の先進国では、これに「コプラナーPCB」という物質を加えて、「ダイオキシン類」と呼んでいるそうです。つまり、一般に「ダイオキシン」という時はひとつの化学物質のことをいっているのではなく、「ダイオキシン類」というある化学物質群のことをいっているわけです。この「ダイオキシン類」は、結合している塩素の数など化学構造の違いによって200以上の種類があるそうです。ダイオキシンは、元来自然界にもごく微量ですが存在するものだそうです。木を燃やす人間活動によってや、森林の火災や火山の噴火など自然活動によってできるダイオキシンです。しかしこれらは、「汚染」として考える場合には、全く問題にならないほど微量なのだそうです。ダイオキシンが加速度的に増え始めたのは、人間が除草剤や殺虫剤などの農薬やプラスチックを大量に使用し始めた頃からだそうです。これらの副産物として生成されたり、その廃棄物が焼却される過程で大量のダイオキシンが生成されていったのです。といっても、この時点ではまだダイオキシンという存在自体も、その悪影響も全くわかってはいませんでした。ダイオキシンの環境への拡散と蓄積に拍車をかけたのが、「PCB(ポリ塩化ビフェニール)」の登場です。PCBは化学的に安定していて、電気絶縁性にも優れているということで、工場などで熱媒体として幅広く使用されることになります。その使用量が増大していくとPCBは、世界各地の環境や生物を汚染していることが分かってきて、1970年代初めに世界的に製造が禁止されます。しかし現実には、「カネミ油症事件」などが起きてしまい、多数の人が被害にあってしまいます。(※ 1968年に主として福岡県を中心とした西日本一帯の健康被害事件。米ぬか油を加熱脱臭する過程で、工業用オイルとして使用していたPCBが混入、熱によって変性し、米ぬか油の中にポリクロロジベンゾフラン、コプラナーPCBが生成され、それを摂取した人々に、肌の異常、頭痛、肝機能障害などを引き起こした。また、妊娠中にこの油を摂取した患者からは、皮膚に色素が沈着した状態の赤ちゃんが生まれた。母乳を通じて皮膚が黒くなったケースもある。この「黒い赤ちゃん」は全国に衝撃を与え、事件の象徴となった。2002年に厚生労働大臣が、「カネミ油症の原因物質はPCBよりもダイオキシン類の一種であるPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の可能性が強い」と認めた。現在、原因物質はPCDF及びコプラナーPCBであると確定しており、発症因子としての役割は前者が85%、後者が15%とされている。40年近くたった今年4月、被害者とその遺家族を救済するための最終的な法案が成立した。)ダイオキシンは最強の毒性を持つといわれます。モルモットを使った実験では、その毒性は、サリンの約2倍、青酸カリの約1000倍ともいわれ、一説では、1gで1万人もの人間を殺すことができるといわれています。ダイオキシンの毒性には、急性毒性と慢性毒性があり、急性毒性には遅延性致死毒性という特徴があるといいます。遅延性致死毒性というのは、大量に投与しても1日や2日では死なず、徐々に時間をかけて死に至らしむという毒性なのだそうです。そのほか、肝臓や腎臓障害、生殖障害、精神錯乱作用、自律神経失調症、心臓機能の低下、先天性奇形、死産流産などをもたらします。またダイオキシンは、蓄積性が強く体外に排出されにくいので、がんや免疫抑制などの慢性毒性としての影響も懸念されます。しかし、ダイオキシンの名前を一躍有名にしたのはベトナム戦争なのだそうです。アメリカ軍がゲリラ対策に使用した「枯れ葉剤」に副生成物としてダイオキシンが含まれていました。ベトちゃんドクちゃんのような子供や、先天性異常がみられる子供が多く産まれるなどのほか、散布地域の住民や帰還兵に深刻な健康被害をもたらしました。(※ 沖縄の米軍基地の敷地内にこの「枯れ葉剤」が保管されていてたという事実が明るみにされました(中国新聞7/9付)。その地域は沖縄の水がめといわれる地域だそうで、沖縄県民の飲料水への影響なども心配されるということです。戦争の後遺症というものはいつまでも尾を引くものです。)しかし一方では、こんな情報もあります。(―枯葉剤の中に含まれていたダイオキシンの量は少なく、1997年の日本の水田で使用されていた農薬に含まれていた量はベトナムに散布されたダイオキシンの量の8倍であった。しかも、日本の水田への農薬散布によるダイオキシン散布量が最大であった1970年の値だと日本の水田に散布されたダイオキシンの量はなんとベトナム戦争時の約60倍という値である。このお米を食べていたであろう日本人が絶滅していない事実、また、ダイオキシンは普通にものを燃やすだけでも発生する物質であることからも、ダイオキシンのみの毒性は低いと考えられている。)さらに、(―ダイオキシン類の中でも最も毒性が強いとされる2、3、7,8-塩化ダイオキシンについて、世界保健機構 (WHO) の付属機関である国際がん研究機関 (IARC) は、高濃度に曝露した際において、ヒトに対する発ガン性がある(Group1)と評価している。ただし、ダイオキシン類自体が直接遺伝子に作用して発ガンを引き起こすものではなく、他の発ガン物質による発ガン作用を促進する作用(プロモーション作用)であるとされている。 なお、2、3、7,8-塩化ダイオキシン以外のダイオキシン類は疫学調査Group3(発ガン性有無について分類できない)としている。)(―高濃度暴露の動物実験では、急性毒の面を見ると動物の種類および系統により大差があり、もっとも敏感なモルモットに対する半数致死量とハムスターに対する半数致死量は8,000倍も異なっている。そのため人間に対しどの程度の急性毒性があるのかの推定は文献によってさまざまで現在研究中である。)(―慢性毒の面としては催奇性の他、発がん性・肝毒性・免疫毒性・生殖機能の異常などが引き起こされた。これらの毒性の多くは細胞内に存在する特異的受容体(ダイオキシン受容体と呼ばれる)を介して引き起こされると考えられている。また、環境中に低濃度に存在する場合、自然には分解されにくく、生物濃縮により脂肪に蓄積され代謝などによる排出がされにくいことから監視が必要と考えられている。低濃度での慢性毒性については、2005年現在研究中である。しかし、ヒトに対する疫学調査からはクロルアクネ(ダイオキシン暴露により発生する特異なニキビ)以外はどのような健康被害があるか、2、3、7,8-塩化ダイオキシンの発ガン性を除いては何もわかっていない。)非常に恐い化学物質なのか、それ自体はそれほどでもないものなのか、いまだよく分かっていないというのが現状のようです。しかし、分かった時にはすでに手遅れというのが世の常です。危険性が考えられるものは、その端緒でできるだけ排除していくというのが常套手段といえます。こうした中、日本では1997年、「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行されダイオキシン類の発生量は大幅に減少したといわれます。しかし、過去に排出されたダイオキシン類は、蓄積されたままです。さらに、発生量が大幅に減少したといわれる一方で、未だ日本は世界一のダイオキシン汚染国ともいわれているようです。日本の都市部の大気中のおけるダイオキシン濃度は、最も毒性の高い「2、3、7,8-塩化ダイオキシン」の毒性に換算して、1立方メートル当り1.02pgTEQ。ドイツでは0.12pgTEQ、アメリカでは0.09pgTEQということですから、日本の大気中のダイオキシン汚染度は、欧米の約10倍となるわけです。なぜそうなのでしょう。それは、他の先進国に比べて日本は、ゴミの焼却量が多い上にダイオキシン対策が遅れている(規制も緩い)からだそうです。日本国内では年間約5.3kgのダイオキシンが発生し、その8割がゴミ焼却場からのものであると推測されています。日本は世界的に見て異常なほど、ゴミを焼却処理している国なのだそうです。それは数字でも明らかです。日本ではゴミ処理の74%が焼却であるのに対して、ドイツでは25%、アメリカでは16%、カナダでは5%にすぎません。焼却場の数を比べても、日本の現状の特異性がわかります。1993年時点のデータですが、日本にはゴミ焼却場が1、854ヵ所あるそうです(平均すると、各県に40ヶ所弱あることになります)。一方、あの広いアメリカには184ヶ所、ドイツでは53ヶ所しかないそうです。そしてこれらの数字からすると、なんと世界の焼却場の3分の2は日本にあることになるといいます。この違いは、欧米ではゴミ処理は埋め立てが中心となっていることにあるようです。世界的には、ゴミ処理は焼却から脱しつつあるのだそうです。(しかし、日本の狭い国土を考えると、単純に焼却をやめて埋め立てにというわけにもいかないでしょう。現に埋め立て処理によって、さまざまなトラブルや問題も出ています。ゴミ処理は、その根本から、つまりゴミを出さない、出したゴミはリサイクルさせるという点から考えていかなければいけないようです。)後編へ続く。
2007.07.10
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土用の丑の日も近くなってきて、「うなぎの蒲焼き」が食べたくなってきた今日この頃ですが、ウナギにもやっぱりいろいろ事情があるらしく、それを知ってしまうと、今までのように簡単に(値段と肉付きを見て)買うことはできなくなってしまうのでした。2002年の国内養殖ウナギの生産量は、約21,000トン。これに対して、活ウナギや蒲焼などとして輸入されているウナギは、約80,000トン。つまり、市場の約8割を輸入品が占めているのが現実で、かつ、その輸入の大部分は「中国産」になるのだそうです。「国産天然ウナギ」はどうなっているのだろうと気になりますが、国産天然ウナギの漁獲量は、ただでさえ少ない国内産ウナギの3%程度しかないため、一般に流通することはほとんどないのだそうです。従って、私たちがスーパーなどで見かけるウナギは全て「養殖もの」といって間違いないようです(自分で釣ったり、地場で獲れたものを地場で買ったりする以外は)。そして、それがお手頃価格ということになれば輸入物、それも「中国産」ということになります。今、何かと話題の「中国産(製)」ということです。一般に、ウナギは沼底にいるため、天然ものといえども、生育地域の汚染状況によっては品質に問題が生じることもあるといいます。養殖過程で投薬された薬なども他の養殖魚にも増して、残留しやすい傾向があるようです。現にこれまで、中国産ウナギから残留抗生物質や抗菌剤は当然としても(!)、水銀や砒素が検出されたり(生育地近くの工場などからの廃液が原因か)、さらにはDDTやHCH、ディルドリン、アルドリンなどの「有機塩素系農薬」(現在日本では農作物への使用が禁止されている)が検出されたという報告まであるそうです。知らない間は食べていたとはいえ(確かに食べていました!)、知ってしまった今となってはやはり買う気がしません。中国産ウナギをはじめ、台湾産などの外国産ウナギは、一番最初に選択肢から除外することにします。残る選択肢は市場の2割弱を占める「国産養殖ウナギ」です。この国産養殖ウナギが大丈夫ならばまずはひと安心というところです。しかし、国産養殖ウナギについても、病気予防のために薬物を投与するという養殖方法が行なわれているために、程度の差こそあれ薬物が残留するという問題は残ります。安心安全で、健康滋養にいいウナギとは、いい自然環境で育った天然ウナギか、薬を投与しないで育てられたウナギということになるようです。そんなウナギがあるのでしょうか。あったとしても、そこそこの値段で買るのでしょうか。買えないほど高いのであれば、残念ながらウナギは諦めるしかありません。前述のように、いい自然環境で育った天然ウナギは、あったとしても、一般消費者が口にすることはまずなさそうです。では、「無投薬養殖されたウナギ」というものはあるのでしょうか。うれしいことにあるのです。それも「そこそこの値段」でです。鹿児島にある「山田水産」というところで出荷しているのだそうです。ここでは、良質で豊富な地下水を生かし、「ウナギの名店が驚くほどのすばらしい味のウナギを出荷している」といいます。―山田水産は、1997年に、最新の養殖場を作った。現在、約7万平方メートルの養殖施設で、年間650トンの生産をしている。この養鰻場を管理しているのは20人、平均年齢20代という若さである。若い彼らは全くの素人、技術に優れた先輩養鰻業者の職人技を謙虚に学び、コンピュータ管理の最新施設を動かし、日々奮闘している。養殖施設では、池ごとに朝夕2回の水質検査(PH値、亜硝酸濃度など)を行い、水質と飼育効率との関連を記録、保存し次の飼育に役立てている。稚魚から出荷するまで30~40日ごとに選別し、サイズをそろえて池に入れる。ウナギの数や大きさを正確に把握し、エサの量を調節し、食べ過ぎないように、またエサが残らないようにすることで、無投薬で、健康なウナギを育てている。ウナギはすべて、同じ敷地内にある工場で加工し、蒲焼にしてから出荷される。このウナギ蒲焼は、第三者機関から「無投薬水産食品」の認証も受けている―このウナギが、ジャスコなどのイオン系列のスーパーで、安全を重視した独自ブランド「グリーンアイ」の商品として販売されています。 中国産などの輸入ものに比べれば値段は少々高めですが、国産ウナギとしては普通の値段だと思います。そして、ウナギ自体の安全性のほかにもうれしいことには、この蒲焼に使われている「たれ」には、化学調味料や添加物が一切使われていないのです。まさに、こだわりの一品というわけです。家族みんなでそれなりに食べるとなると、やはりお手頃とはいいがたい値段になるので、残念ながら頻繁にとはいきませんが、家でウナギを食べようというときには、ぜひとも「山田水産のウナギ蒲焼」にしたいと思います。今年の夏のキーワードが2つになりました。「除虫菊蚊取り線香」と「山田水産のウナギ蒲焼」です。追伸。ウナギには、謎が多いらしく、その生態はまだまだ明らかにされていないのだそうです。ですからウナギの場合、養殖といっても卵からの育成も実現してはいません。日本ウナギの卵は、遠くフィリピンに近い亜熱帯太平洋の海底で孵化し、黒潮に乗ってやってきて、日本や中国の河川に遡上するといいます。この河川に上る前の稚魚である「シラス」を捕獲し、6~12ヶ月かけて成魚にまでするのがウナギ養殖であり、このシラスが獲れないと養殖生産が減って値が跳ね上がるという仕組みになっているのだそうです。中国で加工されたウナギの蒲焼が国産の半値以下で売られているのは、このシラスの入手先を変えたことにあるそうです。高騰する日本種を避けてフランス種のシラスにしたというわけです。つまり、スーパーに並んでいる安価なウナギの蒲焼は、フランス生まれの中国育ちというわけです。しかし、そのフランス種のシラスにも今後規制がかかろうとしています。「国内で消費するウナギの半数以上を占める欧州産ウナギ(ヨーロッパウナギ)の輸出入が、野生生物の保護を目的としたワシントン条約の対象種として、大幅に制限される見通しとなった・・・」(詳しくはここを)さらには、「ニホンウナギの稚魚を日本に年間約5トン輸出している台湾でも、漁獲量減少のため、対日輸出を制限する方針・・・」気軽にウナギを食べることができなくなる日もそう遠くない、といった状況です。ウナギに限らず、日本人が好きなものがどんどん食べにくくなっていくようです。近い将来、今私たちが普通に食べている「和食」といわれるものも簡単には食べられなくなってしまう、そんな事態もあるのかもしれません。その理由はいろいろあるのでしょうが、やはり考えられる大きな要因としては、自国だけで完結させるという自給自足の原則をないがしろにしてきた結果だということです。それは、いつでも、誰でも、いくらでも、安く手に入れられるものが一番という経済効率性を追求してきた結果であったり、作るよりもどこからか買ってきた方が安上がりだといった、何のビジョンもない短絡的で安直な考え方、価値観の積み重ねであったりするのかもしれません。今からでも何とかして、食糧自給率を上げて、先進国中一番の自給率を誇る国にしていきたいものです。(食糧自給率について。)
2007.07.04
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個人的にはそんなに好物ではないので実感はないですが、一般に日本人はエビ好きだといわれています。それは、世界中で輸出されているエビのおよそ30%が日本に来ているという数字からもわかります。この数字、どこかで見たことがあると思いきや、世界における日本のマグロ消費量と同じでした(マグロの項参照)。日本人はマグロと同じくらいエビが好物ということのようです。ですからダントツに、世界一のエビ輸入国です。しかし、実際に我々日本人が食べているエビのほとんど(90%)は輸入物です。漁業生産 27,000トン養 殖 2,000トン 輸 入 280,000トン 合 計 310,000トン (日本でのエビの消費量) そして、輸入物のほとんどが冷凍されたブラックタイガー(クルマエビの仲間、和名ウシエビ)です。 ブラックタイガーを中心とする養殖エビは現在、中国、インド、フィリピンなどの東南アジアの国々から大量に輸入されているそうです。それらのエビがどのようにして養殖されているのか、その結果としてどのような問題が起きているのかということを知っておくのは、エビ好きの日本人としては必要なことのように思います。エビ養殖は普通、大量生産を目指す「集約型養殖法」という方法で行なわれているそうです。集約型養殖法とは、「生産コストを低くする目的で狭い池にたくさんのエビを飼い(1平方メートル当り60~100尾)、人工飼料によって短期間に大きくしようという養殖法」だそうです。しかしこの方法では、前回まで何度か取り上げた養殖魚全般における問題点と同じことが起こってしまいます。すなわち、過密な環境のためエビが過度のストレスを受けること、与える人工飼料の食べ残しによる水の汚染が進むこと、しかし閉鎖的な環境のため水の循環があまり行なわれないことなどでエビに病気が発生しやすいという問題です。そして、それに対する対処方法もやはり他の養殖魚と同様なことが行なわれています。病気予防のために、抗生物質や抗菌剤などの薬剤がふんだんに使用されるということです。こうして育てられ、日本に輸入され、市場に出回っているエビたちに、時としてこれらの薬剤が残留していることが公的機関の検査でも明らかになっています。なぜ、養殖されている魚介類に抗生物質などの薬剤を多用することが危険なのか、もう一度簡単におさらいしてみます。生産性向上のため過密な生簀で育てる → 養殖魚介類にストレスが溜まる、水が汚染する → 病気になりやすくなる → 予防のため抗生物質、抗菌剤を多用する → その薬剤が効かなくなる=耐性菌ができてしまう → その耐性菌を持った魚介類を人間が触る、食べる → 人へ感染する → 抗生物質が効かない耐性菌キャリアとなる → 体が弱っている時、病気にかかった時など免疫力が低下した状態になった場合 → 薬(抗生物質、抗菌剤)を飲む → 薬が効かない → いつまでも病気が治らない → どんどん悪くなる → 最悪の場合、死に至るという事態を引き起こします。大地を守る会 http://www.daichi.or.jp/らでいっしゅぼーや http://www.radishbo-ya.co.jp/生協のグリーンコープ、生活クラブ http://www.seikatsuclub.coop/で買うことのできるオルター・トレード・ジャパン http://www.altertrade.co.jp/index-j.html の「エコシュリンプ」という「粗放型養殖法」で育てられた、抗生物質とは無縁のエビというのがあるそうです。このエビを食べると、「今まで食べてきたブラックタイガーがいかに臭かったかに気づく」といいます。では「粗放型養殖法」とはどういうものでしょうか。例えば、この「エコシュリンプ(=環境エビ)」を育てている粗放型養殖法は、インドネシアで数百年続いている自然を活かしたエビの養殖法だそうです。そこではエビは、海水と淡水が混じり合う「汽水域」と呼ばれる、自然の潮の満ち引きによって海水が循環するような(場合によっては一部ポンプで循環する)広い池に、1平方メートル当り3~4尾の密度で放されています。この池には、ミルクフィッシュという魚も(他にもいろいろな生物が)棲んでいます。ミルクフィッシュは、よく泳ぎ動くので池にたくさんの酸素が取り込まれます。乾季には池を干し、日光消毒し、それから水を入れて水草を繁茂させます。その後、一度水を抜くと、水草が醗酵し、堆肥となります。そこへ再び水を入れると、エサとなる大量のプランクトンが自然に発生するのです。このような養殖法では人工飼料を使う必要も、病気が広がることもないので抗生物質を使う必要も出てきません。自然をそのまま活かした養殖法です。一方の「集約型養殖法」では、抗生物質だけではなく、漂白剤やホルマリンなども使われるため、これらの薬剤が養殖池から川や海に流れ込むことで起きる環境汚染も、現地ではたいへんな問題になっているとのことです。さらに、東南アジアではエビを養殖するために、マングローブの木を切り倒してしまうのだそうです。マングローブの根の間はさまざまな生物の住み処になっているため、これを切り倒すことによる生態系への悪影響は計り知れないものがあるといいます。日本人がこのまま大好物のエビを食べ続けていくということは、どんどん抗生物質の効かない菌を蔓延させていくということであり、また地球規模で自然環境を破壊していくということでもあるわけです。自分の身をどんどん危険にさらしていくことになるわけです。もうひとつあります。それは、収穫された後の加工の段階、エビの冷凍/解凍の仕方です。これによって、味も大きく変わるのだそうです。「エコシュリンプ」は、現地の冷凍加工工場で、サイズごとに「一尾ずつバラ冷凍」するそうです。この「バラ冷凍」によって、えびの旨みが逃げないのだそうです。では普通は「バラ冷凍」ではないのかというと、そうではないのです。エビは普通、2kg前後に「ブロック冷凍」されて輸入されるのだそうです。そのため、市販のトレーに小分けするためには、一旦「全てを解凍」しなければならないわけです。この冷凍、解凍を繰り返す過程で旨み成分が抜けて、食感も悪くなるのだそうです。「エコシュリンプ」は旨みを逃がさないように、途中で解凍、再冷凍されることなく、バラ冷凍でそのまま消費者に届くのだそうです(「シングルフローズン」)。変色を防止する亜硫酸も一切使用していないとのことです。こういったことがわかってくると、エビを食べるのも少し考えるようになります。まず、食べるとしたら甘エビや芝エビなどの小型の天然エビを(漁業生産27,000トンの中から)選びます。そして少しボリュームが欲しい時は、抗生物質を使わない粗放型養殖法で育てられた、「エコシュリンプ」のようなエビをどうにかして手に入れたいと思います。(しかし、少しめんどくさい気もするので、結局エビは食べなくなってしまいそうですが。)ちなみに、楽天市場でも「エコシュリンプ」ありました。 エコシュリンプ殻付(M)
2007.06.27
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先日、環境団体のグリーンピースが発行している『トゥルーフード・ガイド』という小冊子を入手しました。今のところグリーンピースさんと個人的なつながりは何もないのですが、興味深い冊子だったので紹介してみます。ここでいう「トゥルーフード」とは、「遺伝子組み換え原料」を使用していない食品のことです。つまり、遺伝子組み換え原料を使用していない食品のガイドブックというわけです。そして小さいにもかかわらずすごいと思えるのは、食品項目別に具体的なメーカーのブランド名を挙げて、「グリーン」(OK)、「レッド」(OUT)と明確に白黒評価をしているところです。なぜこのような冊子を発行し、ひとつひとつの商品を評価しなければいけないのか、その理由が冒頭に述べられています。「現在の日本の法律では、遺伝子組み換え原料を使用した商品への表示義務が非常にゆるく設定されている」から。ゆるい設定とは具体的にはどういうものか。・原材料の上位3番目までしか表示義務がない(4番目以降は表示しなくてもいい)。・遺伝子組み換え原料が使われていても、表示する必要のないものもある(油、醤油などの食品や家畜への飼料)。・法的基準があっても含まれる量が5%以上でない限り表示をしなくてもよいものがある(大豆、トウモロコシ、ナタネを原料とした食品)。ですから例えば、5%未満の基準を満たしていれば「遺伝子組み換えではありません」と表示することが可能なため、表示に頼って買い物をしても、遺伝子組み換え食品を避けることができないのが現状である、ということになるのだそうです(!)。「この日本のゆるい法規制が、多くの食品に遺伝子組み換え原料の使用を許してしまっている」元凶なのだそうです。こうした現状を憂い、一般消費者のよりどころのひとつになればということで発行されたのがこの小冊子というわけです。幸いにも現在、日本では商業的な遺伝子組み換え作物の栽培は行われていません。しかし、アメリカやカナダなどでは広範囲に遺伝子組み換え作物が栽培されていて、それらがどんどん日本へ輸入されています。そもそも日本の食糧自給率は40%。世界でも有数の、そして先進国の中でも1番の食糧輸入国です。財務省の「貿易統計」によると、2004年度の日本の農産物の輸入額の割合は、国別で、第1位 アメリカ(31.6%)第2位 中国(12.4%)第3位 オーストラリア(10.2%)第4位 カナダ(6.4%)となっているそうです。そして例えば、我々がほぼ毎日食べる(私は毎日3食必ずですが)、味噌や醤油などの主原料の大豆は、96%(517万トン)を輸入に頼っています(2003年)。つまり、国内自給率はたったの4%しかないということです(どうしてこうなってしまったのでしょう!)そこで問題になることは、その75%の386万トンがアメリカから輸入されているということです。つまり、アメリカでは遺伝子組み換えダイズの栽培が盛んに行われているので、必然的に日本に輸入される大豆の多くが遺伝子組み換えダイズを含んでいることになるというわけです。アメリカにとって日本は絶好のターゲット、文句も言わず何でも買ってくれる「上顧客」らしいのです。一方EU(欧州連合)はというと、「すべての食品や飼料、さらに添加物までを対象に、遺伝子組み換えの表示基準を0.9%と厳しくしている」そうです。そのため、日本で「遺伝子組み換えではありません」と表示された商品が、EU諸国に輸出されると「遺伝子組み換えです」のシールを貼られて販売される(!)ことがあるくらい、その基準には開きがあるのだそうです。独自のポリシー、判断基準を持つということがあまりない国、アメリカのいいなりの国、ある程度の被害者が出てからでなければ動こうとしない国、残念ながらそれが日本の現状のようです。具体的な商品の判定についてはこの小冊子をご覧いただきたいのですが、大雑把にいうと大手食品メーカーのものに「レッド」(OUT)が多いようです(もちろんそうでない大手メーカーやおなじメーカーで「グリーン」(OK)と「レッド」(OUT)の両方を市販しているところもあります)。そうした中でひとつ気になったのは、「原材料表示の欄に、植物油脂、乳化剤、でんぷん、植物性たん白、デキストリン、たん白加水分解物、異性化糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、ぶどう糖、水あめ、『原材料の一部に大豆を含む』などが記載されていたら、遺伝組み換え作物由来の原料を使っている可能性があります」という「ひとくちメモ」コーナーの記載です。これらはナタネやトウモロコシ、ダイズを主原料とする食品たちで、現在多くの加工食品中で使われています。特別の表示(「国産大豆使用」など)がない限り、これらはアメリカ、カナダからの安価な輸入原料を使用して作られるのが一般的でしょうから、やはり「遺伝組み換え作物由来の原料」ということでほぼ間違いない気がします。しかし、前述の理由で「遺伝子組み換え原料」の表示はしなくてもいいというわけです。後述するように、遺伝子組み換え食品が人間に与える影響の是非に関しては、まだ結論が出ていません。ひょっとしたら、何の害もないのかもしれません。だったら、もっとはっきり表示をするようにして欲しいものです。(害がないだろうから表示する必要はない、という理屈も成り立ちますが。)どちらにしても、消費者が自身の自由と責任において、遺伝子組み換え食品を選択するというのなら、今はまだそれを国や他人がどうこういう段階ではないのかもしれません。しかし、自ら選んだのではなく、知らないうちに食べていた(食べさせられていた)というのでは、「まあいいか」で済まされるほど、それは軽い問題ではなさそうです。ではなぜ、「遺伝子組み換え食品」がこうも危険視されるのでしょう。大きな理由が2つあるようです。ひとつは、「環境を脅かす」ということ、もうひとつは、「我々の健康を脅かす」ということです。遺伝子組み換え作物が従来の品種改良などと決定的に違うのは、種の壁を越えて遺伝子を操作するという点にあるようです。バクテリア、ウイルス、動物などから取り出された遺伝子が、大豆、米、パパイヤ、トウモロコシ、ナタネ、綿などの作物の遺伝子に組み込まれます。こうすることで、特定の害虫に強い性質(害虫殺虫性)を持つ作物や、特定の除草剤の影響を受けない性質(除草剤耐性)を持つ作物ができるというわけです。こういう作物になってくれれば、作り手側としては手間もコストもかからなくなり、とても助かるというわけです。しかしそうして造られた作物は、もう自然界に存在する生命体ではありません。これまで地球上に存在しなかったこのような生命体が自然界に放たれた場合、既存の生態系にどのような変化をもたらすのか、今のところまったく予想できていません。(当然、肯定論者は問題ないといっています。)ひとつはっきりしていることとしては、害虫殺虫性にしても除草剤耐性にしても、害虫や雑草はすぐ「慣れて」しまうために、さらなる「強い性質」が必要になるという「いたちごっこ」を繰り返すということです。そうして作られていく遺伝子組み換え作物は、ますます自然界から乖離(かいり)したものへと変貌を遂げていくということになります。(家畜に与える抗生物質によって発生する「耐性菌問題」を連想してしまいます。)そして、そういった作物から作られた遺伝子組み換え食品を食べた場合についても、今のところその影響については定かではありません。ですから現段階でいえるのは、こういった危険性が考えられるというに留まってしまいます。・遺伝子組み換え食品にはこれまでの食品になかった毒素やたんぱく質(バクテリア、ウイルス、動物などの遺伝子としての)が含まれているので、それによってアレルギーなどを引き起こす恐れがある。・除草剤に強い遺伝子が組み込まれている場合、大量に使用された除草剤(農薬)が作物に残留し、我々の体に取り込まれてしまう恐れがある。いずれにしても遺伝子組み換え作物が商業的に栽培されてからまだ10年余りしかたっていません。ですから、この技術が長期的には地球の環境や我々の健康に対して、どのような影響を与えるのか、本当のところは誰にもわからないというのが今現在の状況というわけです。一部の営利目的の企業にとってというのではなく、「今の人類にとって」遺伝子組み換え作物は本当に必要なものなのか。気づいたときにはもう手遅れということにならないように、「疑わしいものは許可しない」という「予防原則」の考え方が必要なのではないかと『トゥルーフード・ガイド』では締めくくっています。(食品添加物の問題よりもその実態はつかみにくいというわけです。)『トゥルーフード・ガイド』(無料)の申し込み先http://www.greenpeace.or.jp/campaign/gm/truefood/
2007.06.20
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北国でもよいよ蚊取り線香が活躍する季節となってきました。あの匂いをかぐと夏だ!と実感できて、個人的にはとても好きなのですが、しかしそんな蚊取り線香にも問題点があったのでした。・除虫菊 和名 シロバナムシヨケギク(白花虫除菊、除虫菊)。キク科の多年草。聞いたことはありますが、どんなものなのかよくわかりません。―除虫菊の原産地は地中海、中央アジア。クロアチア(旧ユーゴスラビア)のダルマチア地方で発見された。その殺虫効果の源は、花の子房に含まれる天然成分であるピレトリン。この天然のピレトリンは、人間などの哺乳類には毒性が無いこともあって、各地で古くから虫除けとして使用されていた―残念ながら今はほとんど違いますが、もともとの蚊取り線香はこの除虫菊から作られたのでした。その名前からして、日本でも昔から使われていたのだろうと思いきや、日本に除虫菊が入ってきたのは明治19年だといいますから驚きです。あの「金鳥」(会社名は「大日本除虫菊株式会社」、知りませんでした!)の創始者 上山英一郎氏がアメリカ人から物々交換で手に入れたのがそもそもの始まりだとか。ですからそれ以前には、除虫菊も蚊取り線香も日本にはなかったということになります。ではそれまでの日本では、どうしていたのでしょうか。蚊に刺されるがままだったのでしょうか。今より人間がおおらかであっただろうから、蚊ぐらい気にしなかったのではと思ったのですが、さすがにそんなことはなく、きちんとそれなりの対処はしていたようです。除虫菊が普及する以前の日本では、「蚊遣火(かやりび)」を焚き、「蚊帳(かや)」を吊るすという方法がとられていたのです。蚊遣火(かやりび)とは、松や杉などのおが屑やカヤとかクスの小枝、ヨモギなど匂いの強いものを焚き、いぶすことで蚊を追い払うというものだそうです(ひとつ利口になりました)。ちなみに、蚊遣火(かやりび)は夏の季語になっています(なんか風流です、効果のほどは別として)。明治19年、除虫菊が国内で栽培されると、それは瞬く間に全国に普及し、昭和30年代までなんと日本は、世界最大の除虫菊及びその関連製品の生産国だったそうです!(これも知りませんでした。)かつて国内の各栽培地では、開花時期には大地がその美しい白い花で埋まり、まるで雪が積もったようだったといいます。しかし戦後、その天然殺虫成分であるピレトリンに類似する合成ピレスロイドが次々と開発されると、それらを主成分とする安価で便利な合成殺虫剤や合成農薬が普及するようになります。するとそれと反比例して、除虫菊を主原料とするいろいろな製品はあっという間に市場から姿を消してしまい、当然の結果として国内での除虫菊の栽培も、一部の観光農園を除き行われなくなってしまったのでした・・・・日本の高度成長の波に飲み込まれてしまった、「日本産除虫菊」の70年余りに渡る物語です。天然のピレトリンは―「光、酸素、アルカリに不安定で、環境中に揮発した後は速やかに分解、失活する、短時間作用型の防虫剤」である(これを短所と見るか、長所と見るか)、「除虫菊を原料とするので大量生産は困難」である、「国内の農産物であるため生産コストが高くなる」、など工業的に造られる合成ピレスロイド系農薬に比べると弱点があります。そんなこともあってか現在では、合成ピレスロイド系殺虫剤が主流になっているというわけです。・合成ピレスロイド上述のように、現在は、合成ピレスロイド系の農薬であるアレスリンを主成分とし、それに木粉などを加えてでんぷんで固め、緑色の染料で着色されているのものが一般に販売されている蚊取り線香です。ピレスロイドとは、除虫菊に含まれる天然のピレトリンを真似て化学合成した物質のことです。アレスリンのほか、ペリメトリン、シペルメトリン、エムペンスリンなどがあります。ピレスロイド系殺虫剤は昆虫に対して神経毒として作用します。しかし天然のピレトリンと違い、これらを人間が多量に吸い込むと、嘔吐、下痢、悪心、頭痛、耳鳴りなどの症状が現れ、重症の場合、呼吸障害や振せん(ふるえ)を起こすといいます。さらにペリメトリンとシペルメトリンには発ガン性もあるとのことです。一般に、家庭の蚊取り線香から出るアレスリンの量は微量です。したがって、すぐに人間に障害が出るとは考えにくいとのことです(まずは一安心)。しかし、アレスリンはサルモネラ菌を突然変異させ、動物細胞に対しては染色体異常を引き起こします。これは遺伝子に障害をもたらすということになります。また人によっては、皮膚過敏症、気管支ぜんそく、鼻炎、結膜炎などのアレルギー、目のかすみ、眼精疲労、頭痛、イライラなどの症状を呈する、今いろいろと問題にもなっている化学物質過敏症を引き起こします。今や添加物から、経皮毒、電磁波などに至るまで、いろいろな領域で「安全性」が問い直されている時代です。「あらゆる分野で高度に発展してきた日本」であるにもかかわらず、「あらゆるもの」が何の疑いもなく、口に入れたり使ったりできる状況ではないことに多くの人が気づき始めています。単に効率や低コスト、見た目のカッコよさだけを重視する時代ではもうありません。自身の体と環境にやさしいものが必要とされる時代です。そうした意味からすると、除虫菊をもう一度見直してみるというのは大事なことのように思います。※参考 天の恵み除虫菊の復権を目指す!NPO法人「除虫菊フォーラム」 http://www.jvs.co.jp/pyrethrum/(除虫菊及び除虫菊製品を普及させようという活動をしているようなのですが、そこにはなにやら邪魔立てしようとする圧力があったりするようで・・・、「添加物問題」では往々にしてあるようですが。)(ひょっとしたら「除虫菊問題」は環境や農薬などの大きな問題を含んでいるのかも、と勝手に想像を逞しくしてしまいました。)それはそれとして、まずは自分と家族のためにも今年の夏は、本物の「除虫菊蚊取り線香」を使おうと思います。・除虫菊蚊取り線香 ―ALLナチュラル素材(天然除虫菊)使用、化学物質ゼロ配合だから安心です。使用後には速やかに環境中などで分解されることが知られている除虫菊は、お線香だけではなく、農業用途などの幅広い害虫防除用途としての利用が期待される天然植物資源の一つです。国際的にも、除虫菊は厳格な国際的評議機構の一つに数えられる国際有機農業連盟(IFOAM)において、有機農業資材として認められています。日本では忘れられた存在の除虫菊なのですが、化学合成農薬が健康や環境に与える影響が指摘されている今、この除虫菊を使った製品はどんどん見直されていってほしいものです。もちろん、合成着色料や防腐剤などの化学物質も一切使用しておりません。除虫菊の花から1%だけ抽出される有効成分は、昆虫類、両生類、魚類、甲殻類等に強い毒性を示しますが、哺乳類、鳥類にはまったく影響はございません。小さなお子様のいらっしゃるご家庭をはじめ、すべての方々に安心してご使用いただけるかとり線香です。 「かえる印のナチュラルかとり線香」 「菊花せんこう」 「白菊の線香」 ※ 「除虫菊の種」 http://www.rakuten.co.jp/gardensk/430279/437981/449809/ 驚いたことに最大手、「金鳥」でも除虫菊の蚊取り線香を出しています。 「天然除虫菊 金鳥の渦巻」 追伸。除虫菊は今、中国やケニアなどから輸入されているようです。国産の除虫菊の復活を期待します。缶に入っている蚊取り線香に付いている線香皿には、昔はともかく今は「グラスウール」や「ロックウール」という安全性の高い素材が使用されていて、「アスベスト」は使われていないそうです。液体電気蚊取りは、長期間効果が持続する別のピレスロイドが使われているそうです(プラレトリン、フラメトリンなど。)急性毒性の強さは、プラレトリン、アレスリン、フラメトリンの順だそうです。
2007.06.16
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マグロに関するキーワードは次の3つのようです。1.蓄養2.乱獲3.汚染そして、基本にあるのは「日本人のトロ嗜好」、これです。1.蓄養聞き慣れない言葉ですが、マグロを語る上では今やなくてはならない単語のようです。これは外国の海で捕獲された成魚のマグロを、数ヶ月ほどそのまま現地の生簀の中で飼い、その間大量のエサを与え、十分に太らせてから出荷するという方法のことで、いわばマグロの「半養殖」、「部分養殖」のことなのだそうです。なぜこのような面倒なことをするのかというと、本当に脂ののったおいしい天然マグロは、なかなか捕れるものではないからだそうです。しかし、たいていの日本人は脂ののったトロが大好きです。できれば、安く大量に食べたいわけです。売る側としても、それだけの需要があるわけですから、安定供給したいと考えます。そんな状況下、絶好の供給源があったというわけです。クロマグロ(本マグロ)の好魚場といわれる地中海では、春から夏にかけて脂の抜け落ちた俗に「やせマグロ」と呼ばれるマグロがたくさん回遊するのだそうです。この「やせマグロ」、ツナ缶(シーチキン)の材料になるくらいが関の山であったそうです。しかし、この「やせマグロ」にエサをやり、大いに太らせてから出荷させたら、と考えた頭のいい人間がいたというわけです。このようにして「蓄養」して出荷されたマグロは、ほんの数ヶ月の間に、当初の価格の20倍以上の価値になるのだそうです。マグロの獲れる各国がこの「蓄養」を始めるのは当然です。そして、それを喜んで輸入する国が日本というわけです。おかげで私たち日本の庶民も、安い値段で、いつでもトロやマグロを食べることができるようになったし、一方蓄養している国々の方は、経済的に潤うようになったというわけです。ちなみに、スペイン、マルタ、イタリア、トルコ、クロアチア、キプロスなどの地中海沿岸諸国ではクロマグロ(本マグロ)を、オーストラリアではミナミマグロを、メキシコではクロマグロやキハダマグロを蓄養しているそうです。そして例えば、2003年に日本に輸入されたクロマグロうち9割がこの蓄養マグロなのだそうです。 スーパーなどでの表示上は、天然の場合は「天然本まぐろ」(任意表記)、蓄養の場合は、「養殖インドマグロ」などと表記されるということです。というのも、日本農林規格(JAS)法では、エサを与えて育てた水産物はすべて「養殖」と表記をするように義務付けられているからだそうです。ですから、「養殖」のマグロも「蓄養」のマグロも、同じ「養殖マグロ」という表記になるとのこと。では「完全養殖」のマグロがあるのかというと、世界の中でも日本国内でだけ成功しているということですが、その数はまだ少ないようです。それはともかく、「蓄養マグロ」の問題点です。「養殖魚」の項でもすでに述べましたが、エサをたっぷり与えられ、狭い生簀の中に閉じ込められた魚は、人間でいえば生活習慣病状態です。普通、マグロのトロの部分というのは1頭中、天然なら1~2割くらいなのに、蓄養なら6~7割取れるのだそうです。つまり蓄養マグロは、ほぼ全身トロという「肥満体マグロ」になっているというわけです。今のところこの蓄養マグロに、他の養殖魚のような抗生物質が使われているという「証拠」はないとのことで、その点については一応安心できますが、6~7割がトロ状態というのはいかにも不自然です。ちなみに身が100%トロというマグロも「開発」されたとか。理想のマグロと見るべきなのか、異常と見るべきなのか、人間の欲望は恐るべしです。まずは冷静になって考えてみると、この不自然な「トロ過多マグロ」は、マグロ自身はいうに及ばず、人間にとっても健康な食べ物とはいいがたいという気がします。一般に蓄養マグロに限らず、トロの部分というのは脂質がとても多いので、いくら魚の脂(不飽和脂肪酸)とはいえ、食べ過ぎれば脂質の過剰摂取ということになり、太る原因や代謝異常の原因になるので注意が必要となります。2.乱獲この蓄養マグロを育てるためのエサの問題もあります。ひとつは、多くの蓄養マグロをりっぱに育てようとして、エサとなるイワシやイカなどが乱獲され、激減してしまうという問題です。もう一つは、肉の項でもありました(「牛肉1キロを得るためには、エサになるトウモロコシが8キロ必要」)が、エサとなるイワシやイカなどを直接食べたほうが、育てられたマグロを食べるより、はるかに効率もいいし健康な食糧になるという問題です。そして、マグロそのものの乱獲も今や国際的な環境、資源、生物保護などの問題になってきています。(世界的な日本食ブーム、寿司ブーム、健康志向、BSEの影響などで、マグロの需要が急激に増加している影響もあるとのことです。)しかしその元凶は、やはり日本にあるようです。世界の人口の1.8%ほどしか占めない日本人が、世界のマグロ漁獲量の30%以上を消費しているといいます。ヨーロッパやオーストラリアなどの国々は、いわば日本人のためにマグロを蓄養しているといってもいいくらいです。日本が非難されるのも仕方のないところです。(最近のニュースではウナギも問題になっています。)3.汚染ショッキングなことにマグロは、ダイオキシン、水銀に汚染されているといいます。水産庁の調査では、クロマグロやキハダマグロが高濃度に汚染されていたといいます。特に、蓄養マグロの濃度は高いのだそうです。なぜならダイオキシンは脂に蓄積しやすいからです。そしてさらに、メチル水銀汚染の心配もあるのだそうです。「海洋の食物連鎖の頂点に存在し、世界各地の海を回遊するマグロは水銀などの有害物質を蓄積しやすいという指摘がなされ、アメリカのFDAは2003年に、妊婦のマグロ摂取量制限の勧告を行っている」のだそうです。 「日本でも厚生労働省(旧厚生省)による見解が2003年と2005年に示されており、2005年の発表では妊婦の摂取に関して言及」しています。つまり、「妊婦は食べ過ぎないように」と、具体的な摂取量まで発表したわけです。メチル水銀といえば、水俣病の原因になった物質で、神経症状を引き起こし、わずかな量でも、胎児の神経発達に悪影響を及ぼす危険性が指摘されているものです。その水銀濃度が高い魚の中に、クロマグロ、メバチマグロ、ミナミマグロも含まれていたわけです。以上のことを考え合わせると、どうやらマグロを食べることは極力控えたほうがよさそうだという結論に至ってしまいます。刺身で食べられるおいしい魚なのですが。そして食べる場合でも、できるだけ天然のマグロで、無理をしてトロを選ばずに、赤身を少しいただくという程度にしておくのが、自分の身と環境を守ることになるようです。余談ですが、一般に、魚は冷凍よりも生がいいと考えるのが普通ですし、実際生の方が値段も高かったりします。しかし最近は、急速冷凍技術のおかげで、冷凍の方が生よりも品質のよい場合もあるのだそうです。そして、マグロは冷凍に品質のよいものが多い魚の代表のひとつなのだそうです。特に日本のマグロ漁船の冷凍設備は優れていて、船上処理の手際のよさもあり、鮮度は抜群なのだとか。ですから、天然の高価格なマグロのほうが冷凍、安い輸入蓄養マグロのほうが生、ということも多いのだそうです。生マグロ=新鮮=高品質=高価という図式は必ずしも当てはまらないということで、こんなところにも注意が必要なようです。最後にマグロの主な種類を列記しておきます。・クロマグロ別名 本マグロ。マグロとしてはもっとも大型の種類で、最大で3m 、重さ400kgを超える。最も美味い、最高級品とされる。日本近海をはじめ世界各地に分布。太平洋に分布するクロマグロと大西洋に分布するクロマグロを別種とする考え方があり、この場合、日本を含む太平洋に分布するクロマグロはThunnus orientalisと呼ばれる。絶滅危惧種に指定されている。幼魚をヨコワ、若魚をヨコ、メジと呼ぶ。地方によっては成魚をシビ、クロシビと呼ぶ。体長1m ほどのものを「ひっさげ」と呼ぶこともある。またその魚体の色と希少価値から「黒いダイヤ」とも呼ばれる。・ミナミマグロ別名 インドマグロ。2~3mになる。南半球の低温海域に生息する。身の脂が豊富で、寿司ねたに好んで用いられる。・メバチマグロ2m程になる中型種。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。マグロの中でもっとも漁獲量の多い種類。他のマグロより深海に生息するため、大きな目を持つ。「メバチ」はその大きな目玉から。幼魚を「ダルマ」とも呼ぶ。・キハダマグロ別名 キワダ。1~1.5mの小型種で、マグロの中でも特に細い体型を持つ。「キハダ」(木肌の意)の称は表皮が黄色みを帯びることから。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。トロに当たる部分がない。稚魚は「キメジ」(木目地から)。 ・ビンナガマグロ別名 ビンチョウ。漢字では鬢長~。体長1m程で、マグロ属の中では小型。「ビンナガ」の称は胸ビレが極端に大きく長いことから。これをトンボの翅に見立て、「とんぼ」とも俗称される。赤道から南北に緯度35度の範囲に多く生息する。身が淡赤色のため、缶詰などの加工食品にされることが多い。近年では生食の需要も高まっている。身質はやや水っぽく、酸味がある。一部すし屋では「ビントロ」という名前で販売されている。 しかし、日本人の食の贅沢、嗜好は、どうしてこうも脂ののった食べ物へと向かうのでしょうか?不思議です。牛肉にしても、トロにしても、たまに食べ、その贅沢を実感するくらいが自然で、ちょうどいいことなのかもしれません。
2007.06.14
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「養殖魚」が基本的に危ないのはわかりました。では次に、それぞれ個別の魚についてみていきたいと思います。ひとつめは、「サケ、マス」です。まずは基礎知識を。分類からいきたいと思います(恥ずかしながらサケとマスの違いもよくわかりません・・・)。マス(鱒)とは、サケ目サケ科に属し名前に「マス」がつく魚。日本では一般に、サケ類(ベニザケ、シロザケ、キングサーモン等)と呼ばれる以外のサケ科をまとめた総称。サケとマスの境界が厳密でないため、国により区分方法が異なる。マスは淡水の川や湖に生息し、北アメリカ、北アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドに分布している。一般にマスといえばサクラマス、サツキマス、ニジマスなどをいう。 シロザケ ニジマス う~ん、わかったような、わかんないような。ということで、分類表も載せます。 イワナも仲間なんですね。それはともかく、サケとマスは種的に近い魚だというのはわかりました。別名もいろいろあるようです。(シロ)サケに関しては、シャケ、アキアジ、イヌマス、メジカ、トキシラズ、鼻曲り、ブナなど。「アキアジ」とは、秋にとれるサケが格別おいしいのでそう呼ばれるのだそうです。鯵(アジ)に馴染みの少ない北海道では、「秋鯵」と書いたり、秋の味覚の代表という親しみを込め「秋味」と書く人もいるとのことです。それに対して、初夏に捕れるサケは「トキシラズ(時不知)」と呼んだりするそうです。そのほか各地域によって、いろいろに呼ばれているようです。というのも、縄文の昔から日本人にとって「サケ、マス」は身近で特別な存在であったことによるようです。本来は全くといっていいほど捨てる部位が無く、その全てが人間にとって有効に利用されることから、アイヌでは「神がくれた魚」として崇められてきたそうです。しかしその生態に関しては、まだ謎の部分が多いとのこと。「一般にサケの子どもは、川で生まれるとすぐ海に出て、北太平洋のあたりを夏は北の方へ、冬は南の方へと広範囲に回遊しながら、オキアミ、小魚、イカなどを食べて成長します。」「少ないもので1回、多いもので6回くらいの冬を海で過ごした後、7月頃にたまごを生むために生まれた川に向かいます。たまごを生む時期は9月から12月頃です。」「生まれた子どもが、川の水で生活できる期間が、数日から2ヶ月くらいと短いため、海に近い中流から下流のあたりの、地下から水のわき出るところに穴をほってたまごを生み付けます。」「サケが、なぜ北太平洋のような遠いところから生まれた川にもどってくることができるのかについては、いろいろな説がありますが、まだ完全には分っていません。日本の近くまでくると、川のにおいで生まれた川が分るといわれています。」「たまごを生むために川に上ってくる時期には、オスの上あごがかぎのように曲がるので、『鼻曲がり』とよばれたりします。」 サケ、マスは味覚だけでなく、栄養価的にも抜群なようです。「ビタミン群が豊富でとりわけビタミンDが多く、100g(約1切れ)中に130IUも含んでおりカルシウムの吸収に役立ちます。」「まとめて摂ったほうが有効であるビタミンB群(B1・B2・ナイアシンなど)は成長促進、消化を助ける、胃腸障害をやわらげる、血液循環をよくするなどの効果があげられますが、サケはそのビタミン群をすべて含んでいます。」「さらには良質なたんぱく質を100g中20gも含んでいます。」「血行をよくして肩こりを解消したり、胃腸を温めたり、脳細胞を活性化するビタミンEやDHAも多く含んでいるので、デスクワークで疲れやすい人におすすめの魚です。」「また、サケは加工しても栄養が損なわれません。粕漬け、くんせいなど加工食品もたくさんあります。」ただし唯一の欠点は、体内にアニサキスという寄生虫がいることが多いため、生食するのは危険だということです。アニサキスはサケの身を加熱するか、「ルイベ」のように一旦冷凍することで死滅します。また、サケの身は赤いですが、生物学的には赤身魚ではなく、白身魚に分類されるのだそうです。というは、サケの赤色は酸素結合性タンパク質「ミオグロビン」(=一般に動物の筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する)によるものではなく、餌として摂取した甲殻類の外殻に含まれる「アスタキサンチン」(=今話題の抗酸化物質のひとつ)という成分によるからだそうです。サケ、マスについてのある程度の基礎知識がついたところで、問題の「天然/養殖」について整理してみます。せっかくのおいしくて栄養分の多い魚です。食べるならちゃんとしたものを選択しなくてはいけません。その前に、養殖魚全般についての問題点のほかに、養殖サケで特に指摘されている問題点をひとつあげておきます。それは何かというと、「養殖サケは、天然のサケの5倍以上もPCB(ポリ塩化ビフェニル)類が高濃度で含まれるという研究報告がある」というものです。「PCBの濃度をダイオキシンに置き換えて計算し、日本の1日耐用摂取量と比較すると、子どもならサケ一切れ(170g)で超えてしまう」のだそうです。よくあるように、それを否定する、養殖サケは安全という報告もまたあるようです。確かに輸入養殖サーモンの中でも、ノルウェーサーモンなどは生産履歴の記録が整えられていて、抗生物質の使用も極力避ける取り組みをしているといいます。しかし、養殖サーモンには脂質が多い(脂がのっている)点、そして、PCB、ダイオキシン類を始め、毒物全般は脂に蓄積しやすいことを考えると、やはり危険性は高くなるといえるようです。(ちなみに、養殖サケは天然サケに比べると、脂質が3~4倍あり、反対にたんぱく質は少ないのだそうです。)○ ここからがエクササイズです(「これであなたもサケ・マス通!」)。サケは種類によって、天然、養殖がある程度判断できるとのこと。ならば、その種類を覚えてしまいましょう!普通は、養殖なら養殖と表記されているのでそれを見ればわかります。しかしそんな種類でもないので、この際覚えてしまって、安心安全でおいしいサケ、マスを食べるようにしましょう!(姿形だけ見て判断せよというわけではないので。)<天然サケ・マス>・「シロザケ」(上述のように地域によって別名もあり)。日本で獲れる天然サケ。手に入りやすく、値段もあまり高くないのでオススメ。サケといえばシロザケ、これが基本になるようです。 ・「ベニザケ」もほぼ天然。味がよいと評判が高いが、値段もそれなりに高い。アラスカ、ロシア、カナダからの輸入が多い。日本では獲れないから、北海道産の表示があるものは、ロシア沖で獲って、北海道の港で陸揚げしたもの。 ・「カラフトマス」もほぼ天然。日本のサケ缶のほとんどはこれ。・「キングサーモン」「マスノスケ」とも呼ばれる天然ものは、稀少であまりお目にかからない。最近は、養殖もされているので注意が必要(ニュージーランドキングサーモン社など)。・「サクラマス」もほぼ天然。別名「本マス」「ママス」とも。春を告げる魚ともいわれる。国産のものはそれなりに値段もはるようです。<養殖サケ・マス>・「ギンザケ」・「アトランティックサーモン」・「トラウトサーモン」スモークサーモン、パック寿司、回転寿司、レストランで出る生のサケは、ほとんどがこの3種類のどれか。天然なら強調して表示されていたり、値段がとても高いのですぐわかる。どれも日本には分布していないが、ギンザケは日本でも養殖されている。ちなみに、養殖サケには寄生虫のアニスキスがほとんどいないために、刺身の生サケ(サーモン)が普及したのだそうです(おいしいんですが、残念です)。・「ニジマス」国内各地で盛んに養殖されている。釣堀などでもおなじみ。外国産ではトラウトという名で流通しているものもある。養殖サケが、世界市場でこれだけ増えているのは、日本の消費者が脂たっぷりのサケを好むからだそうです(確かに)。南米チリからは、約10万トンのサケ、マス類が日本に輸出されていて、これはチリのサケ、マス養殖量の半分に当たるそうです。また、ノルウェーの養殖魚の95%はアトランティックサーモンで、日本への輸出もどんどん増えているとのこと。さらには今後の問題として心配されることに、遺伝子操作した魚の実用化ということもあるそうです。そして、その先頭を走っているのがサケであり、例えばニュージーランドのキングサーモン社は、通常の5倍の大きさになる組み換えサーモンを開発したとか(SF映画のようです!)。そんな先のことよりも、もっと身近に今日本で懸念されることもあります。それは、安い輸入養殖サケ、マスの人気が高いため、国産天然サケ、マスが売れなくなって、結果として、それを求める人の手になかなか行き届かなくなるという、猶予すべき悪循環が発生しているということです。自分たちの健康を考える上でも、日本人が古来から親しんできた国産天然サケ、マスを見直し積極的に食べるようにしたいものです。結局、国産天然となると一番手に入りやすいのは、シロザケということのようです。今まで本当はどこの何という名のサケ、マスを食べていたのか気にもしていませんでした。とりあえず養殖と書かれているものは除外するとして、果たして近隣のスーパーに養殖以外のサケ、マスがあるかどうか、またシロザケはあるかどうか、値段とともにちょっと気になります。サケは身近で安価なおいしい魚だと思っていたのですが(日本の朝食の定番ですよね)。
2007.06.08
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お肉とともに魚介類も危ないのでした。トップバッターは「養殖魚」です。今日本で養殖されている魚の種類は、数十種類にも及ぶそうです。現在の技術でできる魚はすべて養殖されているのだろうと思います。こんな魚もと思うものも養殖されていたりします。ハマチ、カンパチ、マダイはわかりますが、イシダイ、アジ、カワハギ、クロダイ、スズキ、クロマグロなども養殖されているそうです。 その知名度は地域差なんかもあって、当たり前のところは当たり前なのでしょうが、ちょっと驚く魚もあったりします。はた目に見てても漁業はたいへんです。確実に取れるかどうかわからないのに、体を張ってお金をかけて捕獲に行くというのは、今の時代にあっては確かに合理的なことではないのかもしれません(魚資源もだんだん少なくなっています)。ですから、それをどうにかしたいという発想、願望は十分に理解できます。そのひとつの手段として、養殖というものがあるのもうなづけます。しかし、自然ではないことをするがためにいろいろな問題も出てきてしまうようです。それがどのくらいなら許容されるのか、どこまでなら人間の手が加わっていいのかということになるのでしょうか。例えば、稚魚を育てて放流するというのは自然なことではないですが、取り組むべきことといえるのでしょうか。養殖魚がなぜこうもいろいろ取り沙汰されるのか。問題はおよそ次の3点にあるようです。1.エサの問題2.狭い生け簀の問題3.薬の投与の問題1.エサの問題養殖魚の配合飼料にはいろいろなものが含まれるようです。そのひとつには、MP=モイストペレット(水分を含んだ固形飼料)というものがあるそうです。魚粉、魚油、オキアミミールなどの「成分としては」天然魚でも食べているものから、天然の魚なら普通食べることのない脱脂粉乳、鶏卵、小麦粉、米ぬか、大豆油粕、ビール酵母、大豆レシチン、植物油などまで配合されているそうです。さらにこれらに添加物として、各種ビタミン、ミネラルから酸化防止剤、防カビ剤、増粘剤、乳化剤、PH調整剤、色素まで加えられるようです。(酸化防止剤、防カビ剤以降は論外としても、一見これらの配合飼料はサプリメントのようで健康的に思えます、質の問題は別としてですが。)BSE(狂牛病)が大きな問題として浮上するまでは、牛の肉骨粉も飼料として使われていたといいます。この肉骨粉に関して気になるのは、魚にどういった影響を与え、さらにはそれを食べた人間にどんな影響が出るのか、あるいは全く影響はないのかという臨床的で実際的な問題は別にするとしても、「魚類はBSEに感染しないので食べても安全」と平然といってのける漁業関係者がいたということです。飼料に配合される添加物一覧については、「ウォールドくんのお魚大百科-養殖魚について知ろう!」の中に掲載されています。http://www.yoshoku.or.jp/2.狭い生け簀の問題魚は広い海を泳いで生きているわけですから、人工的に囲いを設けるということは、それがどんなに大きくても魚にとってはストレスでしょう。(犬猫、家畜、金魚とは違う気がします。ということは動物園の動物たちもストレスを抱えているはずですね。話は飛びますが、動物園って本当に必要なのでしょうか?)さらに悪いことに、その囲いの中では普通、超過密状態で養殖されているといいます(生産性を考えれば当然です)。そのため運動量が減り、魚は脂肪たっぷりの成人病状態になっているのだそうです(食べるほうにしてみれば、脂がのっていておいしいということになりますが)。見た感じ不健康そうだという以外の(人間の体だとそういうことになるわけですが)脂肪過多の問題点は、エサと一緒に入れられている添加物や抗生物質などがこの脂肪部分に溜まりやすいということにあるようです。そして、人間でもそうですが、ストレスをかかえた魚は病気にも罹りやすくなります。一匹でも病気になれば、この超過密状態の中ではあっという間に感染してしまうことは想像できます。そのために、あらかじめ薬を投与するということになります。3.薬の投与の問題養殖の魚介類の病気の治療や予防に使用される医薬品を「水産用医薬品」と呼ぶそうです。細菌感染用の抗生物質、寄生虫用の駆除剤、病気の予防用のワクチンなどがあります。水産用医薬品の詳細についても、http://www.yoshoku.or.jp/を。公的機関では残留検査をしています。つまり、ある一定の基準値以内はOK、それを超えればOUTという判定をしているというわけです。しかし実際に検査されているのは、膨大な流通量のほんの一部だそうですが、それでもOUTはあるそうです。つまり、検査に引っ掛からないで販売されている「OUT魚」がそれなりにあるということになります。そして「OK魚」の中でも、基準値以下ではあってもそれなりに薬品が残留している「OK残留魚」がたくさんあるというのです。ということは、養殖魚のほとんどは「OK残留魚」と「OUT魚」ということになります(残念ながら「OK魚」は少ないようです、ましてや「薬ゼロ魚」は皆無?)。魚に薬品が残留しないようにするには、使用基準を遵守しなければいけないわけですが、養殖魚業界では獣医師のような専門家の関与が少ないのが現状だそうです。そのため、薬品の使用を計画的に管理していくということが難しいようなのです。薬剤の残留した魚を食べるということは、病気でもないのに常に薬を飲んでいるということになります。薬は一方では毒でもあり、副作用があるものです。それを知らず知らずのうちに摂取しているということになるわけです。肉の項でも出てきた「耐性菌」の問題もあります。抗生物質が乱用されることで、抗生物質の効かない菌が生まれてくるというわけです。現に、養殖魚から人間と関係の深い耐性菌MRS(メチシリン耐性ブドウ球菌)が5.6%の率で検出されていて、人への悪影響が心配されている状況があるそうです。<食品と暮らしの安全基金推薦の養殖魚>養殖魚に関しては、実は厳しい意見が述べられています。「抗生物質を使用した養殖魚を食べないようにすることが、私たちの命を守ることにつながる。」「同じ名前でも、天然魚と養殖魚は全く別のものと考えるべきだ。栄養成分も異なる。」そして、それでもあえて「養殖魚を選ぶなら産地、生産者、養殖法を知った上で選ぶ」、という徹底振りです。そんな中ひとつだけ取り上げられていたのが、・抗生物質の使用を大幅削減、生産履歴も徹底管理「東(あずま)町漁業協同組合の養殖ブリ」です。ホームページ http://www.azuma.or.jp/この東町漁業協同組合では、魚の病気の防止や薬剤使用管理のプロである魚類防疫士と薬剤師を職員として配置し、さらには彼らのいる営魚指導部門を独立した課にしているという徹底ぶりだそうです。ちなみに全国のスーパーでも扱っているそうです。
2007.06.07
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6月5日の続き、食肉についてです。『早く肉をやめないか?』(三五館)と船瀬俊介氏もいっています。この本の中のエピローグで船瀬氏は、我々には「7つの選択肢」があるといっています(実は狂牛病対策としてですが)。生き方としてみても、おもしろいので拾ってみました。1.ベスト選択(パーフェクト・ベジタリアン)動物性の食事すべて、肉類はもちろん魚も食べない。日本的には「玄米正食」、今風には「マクロビオティック」といわれる食事が基本となる。2.ベター選択(ハーフ・ベジタリアン)肉は食べないが魚は食べる。ややゆるやかなベジタリアン。3.グッド選択(セミ・ベジタリアン)肉及び肉加工品は、できるだけ食べないよう意識している。魚介類は食べるが、自ら肉料理の献立をつくることはない。ただし、付き合いなどで出された肉料理は、断らず口にすることはある。4.ノーマル選択(伝統和食中心)伝統的な和食を中心にしている。お肉はごくたまに楽しむ程度に食べる。5.バッド選択(洋食中心スタイル)現代の日本人は、ほとんどがこのパターン。魚よりも肉が食卓を占める。高カロリー、高脂肪、高たんぱくで生活習慣病の大きな原因となる。6.ワースト選択(肉モリモリ派スタイル)「食卓に肉がないと文句をいう」タイプ。「肉はパワーの源、活力源」と信じ込んでいる。1.と比べて大腸がんや糖尿病で死ぬリスクは4倍に、心臓病死の危険は8倍となる。7.ワースト選択(加工食品大好き派)カップ麺、コンビニ弁当が命綱。飲むのは缶コーヒーかコーラ類。さらに牛丼屋の常連。安売りハンバーガーで食事をすませることも多い。金が入ると食べ放題の焼肉屋にくりこむ。野菜は大嫌い。どうでしょう。ちなみに、私は5と6の間くらいから、3と4の間くらいに変わったことがわかりました。個人的には、まずは4と5の間の溝を超えられるかがけっこう重要な気がします。それによって、食べる肉の量をかなり減らすことができると思うからです。でも無理はいけません。無理するとストレスになり、かえって健康を害します。長続きもしません。気軽に自然に、肉を食べる回数を少しずつ減らしてみるのがいいようです。また、ひとりで生活していない場合や付き合いが多い場合など、自分の意思や趣向とは別に、家族や周りの状況も考慮しなければいけないということもあるでしょう。固執するあまり人間関係がギクシャクするのもいただけません。そのあたりはスマートにカッコよく振舞いたいものです。いずれにしても、肉を食べる回数が減ると、必然的に食用油の使用量も減ります。調理方法、調理器具にもよりますが、一般に肉料理は結構食用油を使います。高カロリー、高脂肪なため代謝にも悪影響を及ぼし、酸化しやすくて活性酸素の発生しやすい2大摂取物を同時にカットできるというわけです。でも肉が食べたくなった時は我慢せず、薬やホルモン剤漬けでない、自然にのびのび育てられた家畜のお肉を、感謝して食べるようにしたいものです。その点に関しても親切なことに、『新・食べるな、危険!』にきちんと掲載されています。・輸入牛肉の選び方オーストラリア産がよい。イオン系列のスーパーのタスマニアビーフは、すばらしい自然環境の中でより安全な飼料で飼育している。・国産牛肉の選び方緑色の草をたっぷり食べて育つ牛がいる。そういう牛の赤み肉が最も健康的である。熊本の「くまもとあか牛」、南部牛を改良した「短角牛」、黒毛の「アンガス牛」である。生協などの共同購入やインターネットで販売されている。・豚肉の選び方より健康的な飼育をしている生産者の豚肉を買うようにしたい。抗生物質を使わずに育てた豚肉が買えるスーパーも出始めている。表示で確認しよう。・鶏肉の選び方表示を見て、「抗生物質、合成抗菌剤を一切使わず育てています」、「抗生物質を与えず育てています」と記載してある鶏肉を選ぼう。・卵の選び方「平飼い」と表示のある卵が探す目安になる。さらには、「食品と暮らしの安全基金」推薦の会社名(生産者名)やブランド名も載っています。・化学肥料も農薬も使わない牧草を食べている、「興農ファーム」の牛肉と豚肉。ホームページ http://www.kohno-farm.jp/index.htm楽天市場上にもいろいろ種類があるようです。 ・抗生物質を子豚にも使用しない飼育の先駆者「江原養豚」の「えばらハーブ豚 未来」ホームページ http://www.ebarayohton.co.jp/楽天市場には「燻製 生ベーコン 」だけあるようです。・イモや大豆を煮たエサを食べ日光を浴びながらゆっくり育つ「鹿児島渡辺バークシャー牧場」の黒豚月刊 養豚情報 http://www.keiran-niku.co.jp/youton-br2004.html・いい微生物だらけにして健康に育てる「米沢郷牧場」の鶏肉ホームページ http://www.farmersnet.net/user/yonezawa/・ノーブランドなのに抗生物質不使用でおいしいブロイラー「十文字チキンカンパニー」の鶏肉ホームページ http://www.chicken.co.jp/・薬剤の残留の心配がない安全でおいしい銘柄鶏「アマタケ」の鶏肉ホームページ http://www.amatake.co.jp/・安全なエサと水で健康に育った鶏の卵はコクが違う「トキワ養鶏」の卵と豚肉記事 http://tabetsuku.jpn.org/repo_13.html・安全性を追求し食べてもアレルギーが起きないという声も「花兄園」の卵ホームページ http://kakeien.com/index_pc.htmなどなど・・・。こんなところからも、時代は確実に変わりつつあることを実感できます。(世の中悪いことばかりではありません)。まじめに一生懸命「本物」を作っている人たちがたくさんいます。最後になりますが、「抗生物質の区分別使用量」という表が載っていました。それによると、家畜や魚への抗生物質の投与は人への投与の2倍以上になるそうです。家 畜養殖魚作 物人(ひと)動物用医薬品動物用医薬品農 薬医薬品830t/年230t/年400t/年520t/年飼料添加物 230t/年 ヤバイのは肉だけではない・・・。
2007.06.06
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以前も話したように我が家では、肉中心の食生活から「脱油(脂)生活」へと変貌を遂げ、肉類や植物油を摂ることがかなり減りました。食肉については以前、一度整理しました。1.動物は人間の体温よりも高いため、その肉を食べると体温差によって血液がドロドロになる。その脂は酸化もしやすい。2.肉は酸性食品のため、体内が酸性化し「脱灰作用」が起きる。3.食物繊維を含まないため、腸にも悪影響を及ぼす。4.家畜を育てることはとても効率が悪いため、世界規模での食糧不足を引き起こす。つまり、肉食することは病気と貧困の原因を作るということです。今回、さらに食肉の問題点を知って、もう肉を見てもほとんど食欲がわかなくなりました。メイン情報は『新・食べるな、危険!』(食品と暮らしの安全基金)です。<アメリカ産牛肉の問題点>・BSE(狂牛病)発生の可能性―牛を原料とした飼料は、日本では、牛はもちろん、豚、鶏にも禁止されているが、アメリカでは、豚、鶏の飼料に使える。それによって、牛、豚、鶏のエサがひとつの工場で生産されると、牛のエサにあの「肉骨粉」が混じる可能性が高くなる。現に2005年にテキサス州の牧場からアメリカで2頭目のBSE(狂牛病)が確認された。しかしアメリカではいまだに、「肉骨粉」を飼料として使用している。世界各国では対策が進んでいるのに、今のままではアメリカがBSEの震源地になってしまう危険性がある。そんな状況にもかかわらず、アメリカ国内のBSEの検査体制はずさんである。全頭、二重検査体制(今の日本)には遠く及ばない、おざなりの検査である。そんな牛肉をアメリカは日本に輸出しようと躍起になっている。日本もアメリカの仰せには危険が予測できていても逆らえない(過去の例に漏れず)。日本に来る牛肉の「特定危険部位(BSEの病原体が溜まりやすい危険部位)」の除去にしても、抜き打ち検査で何度も危険部位の混入が発見されるというお粗末さである。・女性ホルモン剤(成長ホルモン剤)の使用―アメリカでは効率よく太るとして、牛の飼育用に女性ホルモン(成長ホルモン剤)が使われている。小さなペレットにして、若い牛の外耳の皮下に埋め込み吸収させる。女性ホルモンには天然系と合成型があるが、「EUでは、天然型か合成型かを問わず、成長促進剤としてのホルモンの使用を禁止」している。よって、EUはアメリカからの牛肉を原則輸入禁止にしている。ホルモン剤は、体外から摂取すると、たとえごく微量でも危険性があるといわれている。特に妊娠中の女性は気をつけないと、胎児の体内ホルモンのバランスを崩す恐れがある。ちなみに成長ホルモン剤に関して、日本では国内外問わず検査が義務付けられていない。BSEよりもこの成長ホルモン剤のほうが危険度が高いと指摘するむきもある。<霜降り牛肉の問題点>・不自然な飼育法―「とろけるような美味しさ」と、多くの日本人が喜ぶ「サシ」。サシの入りやすい黒毛和種を飼育技術を駆使して育て上げる。だから外国産牛では作れない。トウモロコシ、大麦、大豆カスなどの穀類は与えるが、「緑色の草」は脂肪に黄色味をつけてしまうから与えないなどの飼育方法をとる。さらに日本人の好みである柔らかい肉にするために、オス牛を生後3~5ヶ月で去勢し、女性ホルモン剤を使用することもある。こうした不自然な育て方を経て、あの高価なサシ入り肉や柔らかい肉が出来上がる。食肉用として利用するのは筋肉の部分である。考えてみれば、筋肉が「箸で切れる」ほど柔らかいというのは異常である。ちなみに、筋肉に入った脂肪を大事にするのは世界で日本だけである。・にせもの「成形肉」―工場やスーパーで作られる「お手頃サシ入り肉」というものもある。肉切れと脂身に、接着剤として食品添加物を加え混ぜるのである。これを冷凍し固めて切れば、霜降り牛肉のサイコロステーキになる。さらには偽装事件にもなった、牛脂などの添加物を注入加工したステーキ用牛肉なるものもある。・脂肪の取りすぎは不健康のもと―国産牛はBSEに関しては安心だが、この不自然な霜降り牛肉を堪能しすぎると、大腸内に発ガン促進物質が増えるというリスクだけでなく、血中コレステロールを上昇させることにもなる(血液ドロドロに)。<豚肉の問題点>・病的で抗生物質漬けになっている豚―日本の豚の6割以上から病気が発見される。それでも、と場で病変部が廃棄され、残りが食肉になっている。豚に病気が多いわけは、経済効率だけを追求して飼育しているからである。日本では、畳一枚の広さに豚二頭というのが一般的な飼育である。出荷前ともなると体重は110kgほどになり、豚同士が体を触れることなしには過ごせない。豚は繊細な神経を持った生き物なのに、それを無視して狭い豚舎に詰め込むため、ストレスで胃潰瘍やその他の病気になってしまうのである。さらに、床に排泄される膨大な糞尿は、強烈なアンモニア臭を放つ。そこで生きる豚にはたまったものではない。呼吸器の粘膜がただれて肺炎になる。もちろん、肉に悪臭がしみ込むから味もまずくなる。生産者としても病気になられては困るので、以上のような慢性的にかかるさまざまな病気の治療や予防として、細菌感染症の薬である抗生物質や合成抗菌剤を大量に使う。病気になる豚がいると、その豚だけでなく、通常、群れのすべてに抗生物質が使われる。炎症性の疾病は、抗生物質が効けば簡単に治るはずだが、現実はなかなか治らない。それは、慢性的に抗生物質を投与することによる弊害で、抗生物質が効かなくなってしまった「耐性菌」が生まれているからである。豚の飼育現場ではこのように、膨大な量の抗生物質が使用され、次々と耐性菌が生まれているのである。・人間にも害を及ぼす「多剤耐性菌」―こうして、家畜の飼育現場で生まれ、飼育環境から広がる耐性菌は、複数の抗生物質が効かない多剤耐性菌を誕生させ、人の治療を困難にしている。現に日本でも多くの死者を出している。そしてついに、2002年には、「最後の切り札」といわれていた抗生物質、バンコマイシンが効かない「VRSA」という非常に恐い黄色ブドウ球菌が、アメリカで発見されるに至っている。<鶏肉&鶏卵の問題点>・耐性菌汚染率ワースト1―2002~03年、東京都は都内のスーパー5店舗の鶏肉210品を調査した。すると、70%の肉から食中毒を起こすカンピロバクター菌が検出され、そのうち59%が抗生物質耐性菌だった。このような菌で食中毒を起こし重症になっても、抗生物質が効かないことになる(治す薬がないということに)。耐性菌が鶏肉に付いているのは、ブロイラー(食肉専用種の若鶏)の飼育に、大量の抗生物質が使われているからである。ブロイラーは一般に、畳一枚のスペースに、30~50羽近くを押し込む超過密で飼育されている。豚舎と同じ経済効率追求の結果である。このような超過密の飼育では、一度病気が発生すると大きな被害となってしまう。だから、抗生物質や合成抗菌剤をエサに混ぜて飼育せざるを得ない。ブロイラーはエサと一緒に常時、数種類の抗生物質を食べさせられているので、おなかの中にいる菌は多剤耐性菌になっている。抗生物質は、糞と一緒に排出される。そして、糞が乾燥するにしたがって抗生物質は濃度が濃くなっていく。だから、生き残った菌は濃い濃度に耐えられる耐性菌になっている。多剤耐性菌が生まれると今までの抗生物質はすべて効かなくなるから、途中で薬の種類を変える。鶏は床の上にある糞をついばむので、再びおなかに入った菌は、途中で種類を変えられた抗生物質に出会い、その抗生物質にも耐性を持って、さらに強力な多剤耐性菌になっていく。このようにブロイラーの腸の中は、強力な耐性菌の製造工場になっている。それらの耐性菌は、出荷前の休薬期間があっても簡単にはいなくならない。鶏肉が危ないのは、日本だけではない。VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)という、抗生物質が効かない細菌が、1998年にはフランス産の鶏肉から50%、タイ産から21%、ブラジル産から9%検出されている。その後中国産からも検出された。今やヨーロッパやアメリカを始め、、世界の多くの国々で、鶏肉からVREが検出されている。畜産で使われる大量の抗生物質によって、強力な多剤耐性菌が生まれているが、耐性菌の汚染率が一番高いのはブロイラーである。・鳥インフルエンザの問題も―大規模農場では、鶏卵もブロイラーと同じように、窓をなくした「ウインドレス鶏舎」を取り入れている。外部と遮断し、照明、換気、室温の調整で早く太るようにしたり、多くの卵を産むようにしているのである。そんな中に、檻を積み上げ、鶏を過密に詰め込むのである。これでは、鶏は弱くなってしまい病気にもなりやすくなる。鳥インフルエンザの発生原因や人への感染経路については、まだ不明な点が多いが、病気になりやすい弱った鶏では、当然鳥インフルエンザの感染を防ぐことは難しい。以上の事柄に共通するのは、経済効率だけを優先し、生き物を商品としか見ない人間の身勝手さであり、現在発生している家畜たちのさまざまな病気や、人間を襲う耐性菌、ウイルスはそのしっぺ返しであるといって間違いない気がします。「と殺」の問題を考えるまでもなく、「肉はもういらないな」という気になってしまいました。その2に続く。
2007.06.05
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それなりに書きたいことはあるのですが、なかなか時間が取れなくて日記の更新ができずにいます。そんな中、今回は食べ物関係の話ではなく、本の話です。本も好きなのですが、買ってもなかなか読めずにいるという現状で(手元に集めるという行為自体で結構満足してしまう傾向が・・・)、多くを語るというほどのこともないのですが、少しだけ書いてみたいと思います。大人になって、まあ普通に働きながら日々暮らしていると、歳とともに「涙を流すような感動」というものから、知らず知らずのうちに疎遠になっていることにある日急に気づくことがあったりします。そうした感動や刺激が欲しくなると、手っ取り早くは映画(レンタルDVDですが)を見たりするわけですが、本から受ける感動というものはまた格別なものがあります。メディアはともかく、最低でも週に一回は「感動して涙を流したい!」と思っているのですが、そんなことすらなかなかできないのが現状です。個人的には「感動して涙を流す」と、とてもスッキリして世界が広く感じられるようになるので、好きな感覚のひとつなんですが。前書きが長くなりましたが、そんな感動した本の中に、かなり前の出版のものですが(最近BOOK OFFの100円均一の本ばかり買っているので・・・)、『地球と人間の関係そして真実』(同朋舎)という本があります。かたぐるしい題名になっていますが、いたって読みやすい内容です。というのも、8人の方々のショートエッセイといった構成になっているので、以外に気楽に読めるからです。その中にあったんです。「感動して涙を流す」話が!それぞれその分野のスペシャリストの方々なので、すべて興味をそそられる話ばかりなのですが、特に「Part2の龍村仁氏」、「Part4の沖縄の一男性」の話には涙がとまりませんでした。いやあ、感動するっていいですね。感動の個人差というものはあるでしょうが、いい話(実話)だと思います。無責任ですが内容その他については、今回は触れません。ぜひ読んでみてください、といったものの、ひょっとしたら品切れ絶版でしょうか。よくわかりませんが、たぶんBOOK OFFの100円コーナーとか古本屋さんにはあると思います。探してみてください。
2007.06.02
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大げさですが、究極の3択です?!1.普通に市販されている冷たい「炭酸入り清涼飲料水」2.普通に市販されている冷たい「(ホモジナイズされた超高温殺菌の)牛乳」3.普通の冷たい「(蛇口から出てくるカルキ臭のある)水道水」極限まで(?)のどが渇いていて、今すぐ水分を取りたい! という状況の時、手元にあるのがこの3つだけだったら、どれを選べばいちばん無難なのでしょうか?特に気にしていない人にとってはどれでもいいことでしょうが、それなりに健康を考えている者にとっては悩むところです。う~ん。多分、自分なら3の水道水にすると思います。この中で、飲んだ後、いちばんのどが渇きづらいのは水道水だろうという理由なだけなのですが。いい回答がありましたら、お教えください。どうも最近、へんなことを考えることが多くなってきました。
2007.05.23
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ここ3ヶ月くらいの間に、我が家の食生活、食べるものは本当に大きくかわりました。そのことについては、当の本人たち(妻と私)が一番驚いています。その頻度を数字でイメージ化するときっとこんな感じです。肉料理 80%以上→10%以下食用油 100%→10%添加物 100%→5%以下化学調味料100%→ほぼ0%水道水 100%→0%魚料理 10%→40%豆類 20%→70% 野菜 30%→90% 海藻類 20%→100% バランスや質を考えると、まだまだ端緒についたばかりといったところですが、それでも当人たちにとっては大激変です(特に肉と油については自分でもすごいと思います)。いろいろな情報を頼りに、こういう形になったわけですが、もっと簡単に食べればいい食品を選択できる便利な食事法があることがわかりました。山田豊文先生の推奨する「マゴワヤサシイ」という食事法です。これは、「理想の食材の名前を語呂合わせしたもの」だそうです。以下、山田先生の本から抜粋します。・マ=豆類、納豆、豆腐、味噌などの大豆加工品。マグネシウム、亜鉛、ビタミンB群のほか、良質のタンパク質と食物繊維を多く含みます。特に納豆や味噌はさまざまな種類の酵素をもっています。豆類には、ファイトケミカル(抗酸化物質)のひとつである「イソフラボン」も豊富です。さらに大豆製品には、脳にいい適量の不飽和脂肪酸とレシチンが含まれます。 ・ゴ=ゴマやナッツなどの種実類。カルシウム、マグネシウム、鉄や亜鉛などのミネラルをバランスよく含み、抗酸化作用にすぐれているビタミンEが豊富に含まれています。なかでもゴマには「セサミン」など多くの有効成分が含まれており、肝機能の強化や動脈硬化の予防に役立つと注目されています。・ワ=ワカメやコンブなどの海藻類。発育や新陳代謝の維持に欠かせない甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素、解毒能力を高める亜鉛を摂取できます。カルシウムやカリウム、マグネシウム、鉄、α-リノレン酸、ビタミンB群や食物繊維も比較的豊富に含まれています。・ヤ=野菜類。各種ビタミンやミネラルの補給源として欠かせない食材です。さらに、食物繊維やカリウムの豊富な根菜もあります。野菜類にはカロリー栄養素はほとんど含まれていませんが、体をきれいにしたり、免疫力を高める物質が豊富に含まれています。・サ=魚類、特に小型の青背魚。魚介類は良質なたんぱく質源です。亜鉛、セレン、鉄を主としたミネラルのほか、アミノ酸の一種である「タウリン」が豊富です。タウリンは高血圧の改善作用のほか解毒作用があり、コレステロールや中性脂肪を減らしたり、肝機能を強くしたりする作用があります。イワシやサバ、アジなどの青背魚には、特にDHA、EPAなどのオメガ3が豊富に含まれています。・シ=シイタケなどのキノコ類。カリウムを豊富に含むことに加え、ビタミンB群やD、食物繊維なども多いのが特徴です。このほかキノコ類はファイトケミカルのひとつである「β-グルカン」などの多糖類が多く含まれています。これらは、免疫を高めたり、ガン細胞の増殖を制御する働きがあります。・イ=イモ類。カリウムの含有量が高く、カルシウム、マグネシウムやビタミンC、食物繊維も豊富に含まれます。サトイモやナガイモにはビタミン類のほか、胃潰瘍や風邪の予防に役立つといわれる「ムチン」が含まれています。サツマイモには、便を柔らかくする作用があるといわれる「ヤラピン」など、さまざまな成分が含まれています。当然、以上のような名のつく食材であれば質的にはなんでもいいとうわけではありませんが、とにかく基本はこれらの食材を油や食品添加物を使わずに調理するということのようです。要は、昔ながらの日本の食事ということですネ。何だかんだといっても結局、昔の日本人は賢かったということのようです。確かアメリカの「マクガバン・レポート」というものには、理想の食事は「日本の元禄時代の食事である」と書かれているという話もあったはずです。再び山田先生―「『マゴワヤサシイ』のほとんどの食材はアルカリ性食品であることが特徴です。このなかには牛乳、乳製品、肉は含まれていません。これらに卵や砂糖を含めた酸性食品は体内のミネラルバランスを悪化させ、さまざまな病気を引き起こす元凶となるからです。」「また、酸性食品は脂肪やたんぱく質を多く含んでいるため、消化に負担がかかることも問題です。この点、アルカリ性食品は消化がすみやかで体に負担をかけないのも利点です。」食物を摂るにあたって、山田先生は特に「酸性食品」の「消化吸収」と「ミネラルバランス」という問題点を強調していらっしゃるようです。「たんぱく質は脂肪と違い、多めに摂っても問題ないと思っている人が多いかもしれません。ところが、過剰摂取の弊害については近年少しずつ明らかになってきているのです。」「まず、たんぱく質の摂りすぎは肝臓と腎臓に大きな負担となります。これは、たんぱく質には窒素が含まれているため、代謝の過程でアンモニアが発生するからです。アンモニアは非常に毒性が強いので、肝臓で毒性の低い尿素にされます。」「このプロセスで肝臓に負担がかかるのです。」「さらに、血中に入った尿素はそのままでは尿として排泄できないため、さらに腎臓でろ過されます。ここで腎臓にも負担がかかるのです。」「この尿素のろ過がスムーズに行われないと尿酸になります。尿酸が蓄積されると高尿酸血症になり、場合によっては痛風を発症することになるのです。」胃が食べ物を消化してくれたり、肝臓、腎臓が血液をきれいにしてくれたりすることは、当然の営みだと思っていたのですが、どうやらこれらの行為は、私たちの体にとってはかなりの負担になっているということのようです。さらに、肉に代表される「酸性食品」の過剰摂取は、骨からカルシウムなどのミネラルを溶かしだす「脱灰」を促進させてしまうというのです。「脱灰」とは、歯科関係でよく使われる用語のようですが、あの新谷弘美先生も述べていることです。「普段、弱酸性に保たれている血液が酸性食品を多く食べることによって酸性に傾きます。すると体はこれをなんとか中和しようとして、骨や歯にあるカルシウムを溶かして血液中に送り込みます。」このメカニズムのことを「脱灰(だっかい)」というそうです。用の済んだカルシウムは再び骨や歯に戻されます。そしてこれを「再石灰化」というのだそうです。普通はこの脱灰と再石灰化のバランスがうまく保たれているのだそうです。動物性たんぱく質を多く含んだ酸性食品をたくさん食べていると、先ほど述べたようにたんぱく質代謝の過程で生じる尿酸や硫酸のために、血液を大きく酸性に傾けてしまいます。するとやはり体はこれを何とか中和させようとして、「脱灰」を促進させるのですが、それがあまりに進み過ぎると体の中のミネラルバランスを崩し、免疫機能を狂わせてしまうのだそうです。そのくらいのことと軽く考えてしまいますが、これがたとえば、「さまざさなガンをはじめ、アレルギーやリウマチなどの自己免疫疾患、めまいやてんかん、注意失陥多動性障害(ADHD)、自閉症、うつや不眠症、神経系の異常や脱毛症、前立腺肥大、子宮内膜症などの内分泌系の異常、アルツハイマー病や糖尿病、動脈硬化、腎臓結石、白内障などを引き起こす」原因になるというのですからたいへんです。「過剰な脱灰は非常に危険なことなのです。」そして、脱灰を促進する原因が酸性食品(たんぱく質、脂質、糖質=三大栄養素!)の過剰摂取のほかにもうひとつあるそうです。「それはマグネシウムの不足です。」「体内のカルシウムとマグネシウムのバランスは非常に重要なポイントです。私たちの体は一定の割合でカルシウムとマグネシウムのバランスをとっています。」マグネシウムはカルシウムを体内に吸収するときも必要だといわれています。カルシウムを多く摂っても、マグネシウムがなければカルシウムは体内に吸収されないというメカニズムがあるためです。脱灰のメカニズムの中でもマグネシウムが不足していると、再石灰化がなされなくなり、結果として脱灰が過度に促進されてしまい、ミネラルバランスが崩れていくことになるというわけです。よくいわれることに、カルシウムとマグネシウムのバランスが崩れると、カルシウムが体内に吸収されないために、骨がもろくなり骨折しやすくなるということがあります。しかし、カルシウムとマグネシウムのバランス崩壊には、もっと重大な命に関わる問題もあるのだそうです。それは、「カルシウムがいくら多くてもマグネシウムの摂取が少なければ少ないほど、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクが高まる」ということです。若い人などのスポーツ中の突然死の原因も実は、この「マグネシウムを中心とした、いくつかのミネラルの不足やミネラル同士のアンバランスにある」といわれているのだそうです。外食やコンビニ食、甘いお菓子やスナック菓子を毎日のように食べる、あるいは清涼飲料水やアルコールを大量に飲むなどしていると、マグネシウムはどんどん消耗されてしまうのだそうです。さらに激しい運動やストレスによってもさらにマグネシウムは消耗されてしまいます。「マゴハヤサシイ」の食事法は消化吸収に負担をかけない食材です。また、体をあまり酸性にしない食材でもあります。さらには、ビタミン、ミネラルを多く摂れる食材でもあるわけです。健康の基礎、基本のひとつとして、まずはここから始めていくのがベストだと思います。追伸。「マゴハヤサシイ」の反対言葉的なものに「オカアサンヤスメ」というものがあるそうです。オムレツ、カレーライス、サンドイッチ、焼きそば、スパゲッティ、目玉焼き、という普通子供が喜ぶ(子供だけではないでしょうけど)料理というわけです。一般にこれらの料理には、脂肪や炭水化物、たんぱく質などのカロリーが多く、食塩や添加物も多く含まれています。そして反対に、ビタミンやミネラルがあまり含まれていません。できるだけ食べない方がいいというわけです(当然、材料や調理法を工夫すれば健康にいただくこともできます)。
2007.05.22
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最近、添加物や甘味料、油などが気になって、ほとんどお菓子類や珍味類を食べなくなりました。でももらったりすると、「ゲ、保存料が入ってる」とか「青色1号だ~」といいながらも、結構食べたりするのですが(この自虐的行為がなかなか快感だったりもして)、それでも食べる機会、量は以前に比べればかなり少なくなったはずです。ポテトチップスも、ケーキも、団子も、さきイカも、サラミも、食べていませんね~、好きだったんですが。でもやはり、ときどき口寂しくなったりするわけです。そういう時などは、できるだけ味付けが複雑でないものをということで、昔ながらのせんべいなどを食べたりすることもあります。それも、シンプルなごませんべいとか、ピーナッツ入りせんべいとかです。ごませんべいはホントに素朴な味で、どうも物足りなさを感じてしまったりもするのですが、そんなせんべいにもひとつ気になることがありました。シンプルな原料表示の中にたいてい「膨張剤」と書かれているからです。いわゆる添加物の「一括表示」の中のひとつです。やはりよくない添加物なのでしょうか。カタカナ名でないと、なぜか安心してしまうところもあったりして、詳しく知ろうとしなかったのですが、頻繁に食べるようになると気になってきます。膨張剤―「和菓子、洋菓子を問わず使われ、ふんわりとしたやわらかい食感にするために、少量ながらかなり大切な役割を担っている」、それが膨張剤だそうです。「膨張剤は、熱が加わるとガスを発生させます。生地の中で発生したガスが、気泡となり生地を押し上げふくらみます。」「生地に空間ができることにより、火通りをよくさせるという働きにも役立っています。そして、小麦粉のα化を助長させる働きもあります。」(α化とは、小麦粉が熱と水によって膨張し、糊状に変化することだそうです。)膨張剤には、酸性のものとアルカリ性のものがあるそうです。「特徴としては、酸性のものは小麦粉中のフラボノイドを無色にする働きがあり、仕上がりを白くすることができます。アルカリ性のものは、小麦粉中のフラボノイドを黄色にする働きがあります。」よく使われる膨張剤の主なもの―<イスパタ>イーストパウダーの略。アンモニア系合成膨張剤。成分は、重曹と塩化アンモニウムを混ぜたもの。重曹に対し、塩化アンモニウム20%~30%。酸性なので、生地が白くなる。白くしたいお菓子に使う。紅白饅頭の白など。発生するガスにはアンモニア臭があるので、臭いが抜け切らないと苦味と臭いが残る。アルカリ性の膨張剤よりも、菓子の硬化がやや早い。使用量は、小麦粉に対し2~3%。粉と一緒にふるって使う。<ベーキングパウダー(ふくらし粉)>アルカリ系合成膨張剤。重曹と酸性剤を混ぜたもの。酸性剤には、酒石酸などが使われる。効果が強烈なので、たいていはコーンスターチなどが混ぜられ緩慢に働くようにしている。アンモニア系のものが入らないのが特徴なので、臭いや苦味が残らない。ベーキングパウダーには色々な種類があり、酸性の強いものやアルカリ性の強いものなどある。効果も、速効性のもの、遅効性のものなどがある。使用量は、蒸し物なら2~3%、焼き物なら2.5~3.5%。粉と一緒にふるって使う。<重曹>アルカリ性の膨張剤。重炭酸ソーダ、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどとも呼ばれる。膨張力が強く、グルテン(小麦中の約 85% を占めているタンパク質)を柔らかくする働きもある。出来上がりの弾力性も富む。アルカリ性のため、生地が淡い茶色になる。茶色くなっても良い「利久饅頭」(黒糖まんじゅう)などに使うと良い。使用量は、小麦粉に対し1~1.5%。ガス発生後は、独特の臭いがする。酸性剤を加え中和させるとその欠点はなくなり、茶色くなるのも防げる。う~ん。もう少し詳しく。・イスパタに使われている「塩化アンモニウム」について。「毒性としては犬に5~6g投与すると1時間以内に死亡し、人間が多量に摂取すると吐き気や嘔吐を起こす。熱で分解されるがアンモニアと塩素を発生させる。」という報告あるそうです。逆に、そんなことはない(=安全)という見解もあるようですが、「発生するガスにはアンモニア臭がある」というのはいかがなものでしょう。とりあえず食べ物ですから。 ・ベーキングパウダーに使われている「酸性剤、酒石酸など」について。酸性剤といわれるものはいろいろあるそうですが、たとえばd-酒石酸水素カリウム、第一リン酸カルシウム、焼きミョウバン、グリセリン脂肪酸エステルといったものが代表的なようです。d-酒石酸水素カリウムについて。天然にはブドウの汁に多量に含まれていて、一般に人体には無害であるといわれています。しかし、「マウス(ハツカネズミ)の経口LD50(半数致死用量)は約4g/kg。犬に毎日、体重1kg当たり約1g与え続けたところ、90~114日で尿に異常」という報告もあるそうです。第一リン酸カルシウムについて。天然の鉱物などに含まれているものだそうです。こめ、小麦、味噌などに主にカルシウム強化の目的で使われたりするそうです。毒性は炭酸水素ナトリウム(重曹)と同程度で低いと考えられているそうです。焼きミョウバンについて。漬物の色をよくするために昔から使われているもので、正しくは「硫酸アルミニウムカリウム」というそうです。「人間が大量に飲みこむと、下痢、嘔吐、さらに消化管の炎症を起こし、きわめて大量のものを服用したり、誤飲すると、消化管刺激、チョコレート色粘液物質の吐出、血尿、その他腎刺激の徴候を見ます。」「大量」とは、数十グラムらしいです。グリセリン脂肪酸エステルについて。安全性はかなり高いようで、実際に適用しうる量では急性毒性は現われないそうです。「また飼料に15%及び20%という沢山の量を加えて、ラットに三世代にわたって与えても、各世代の初期体重増加の異常は見られず、生殖及び乳汁分泌器官も正常でした。」う~ん。これに輸入物のコーンスターチ(遺伝子組み換えとうもろこし原料)が加わるわけです。ちょっと遠慮したいという感じです。・「重曹」について。昔から世界中で用いられているものです。「ワラビなどの山菜のアク抜き、松の実などの臭み取り、冷凍エビの食感改善などにも使う」そうです。最近では日本でも家庭の掃除や洗濯、歯磨きなどにも使用されることが多くなりました。また制酸剤として胃腸薬にも使われています。「ラット(実験用シロネズミ)に対するLD50は経口で4.3g/kg(体重1kg当たり4.3g)。人間の推定致死量は200~300gであり、毒性は弱い」ということになるそうです。う~ん。重曹=炭酸水素ナトリウムに関しては、どうやらある程度安心できるようです。しかし膨張剤以前に、せんべいの本体である小麦粉はどうなのという問題があります。今の日本で小麦粉はほとんど輸入物です。輸入小麦の実体(危険性)―「日本は小麦の90%をアメリカ、カナダ、オーストラリアから輸入しています。」「小麦が輸入されるまでクン蒸(有毒ガスで害虫を駆除すること)が3回行われている可能性があります。」1.輸出国での保管中2.輸出時(船積み時)3.日本到着時に害虫が見つかれば行う使われるクン蒸剤(防虫・防カビ)・リン化アルミ…急性毒性が強い・臭化メチル…発ガン性の危険性がある使われる接触殺虫剤(有機リン系農薬)・マラチオン…殺虫剤、アブラムシなどに適用、ハエ・カなどの駆除の為ゴミ埋立地で使用される・スミチオン…殺虫剤、防疫用薬剤、家庭用殺虫剤、防虫畳などにも使用される・クロルピルホスメチル…稲のニカメイチュウや野菜の害虫に使用上記のような農薬類が使用され、「その結果市販パン、学校給食のパン、即席麺などからも農薬が検出されているのが実体」なのだそうです。小麦粉は、「ポストハーベスト・フルーツ」とは違い細かい粉です。そこに防カビ剤や防虫剤が振りかけられたら、もはや人間の目では区別もつきません。う~ん。素朴に見えるお煎餅ひとつ食べるのもたいへんな時代ですが、しかしそうなるともはや、せんべいを云々といっている場合ではなくなります。小麦粉から作られるもの、例えば、天ぷら粉、から揚げ粉、お好み焼き粉、チヂミ粉、たこ焼き粉、ホットケーキミックス、ナンミックス、パン、パン粉、パスタ、中華麺(ラーメン)、うどん、クッキー、ビスケット、そば類、餃子、饅頭、もんじゃ焼き、トルティーヤ、カステラ、ケーキ、及びそれらの加工品等々のほとんどが危険ということになります。国産の小麦の生産量は10%しかないそうですから、市販の小麦粉製品のほとんどは輸入物になるはずです。う、う~ん。結論。今回は、せんべいだけの結論です。・小麦粉が原料なら国産をうたっているものにする。・でなければ、もち米や玄米などを原料にしているものにする(それも有機をうたっているものならもっといい)。・膨張剤も重曹(炭酸水素ナトリウム)くらいまで、それ以外の膨張剤使用のものは避ける(普通は膨張剤としか表記されないことが多い)。・無添加をうたっているせんべいは、材料や製法にこだわって作られているものが多いようなので安心です。~岩手県産小麦粉を使用して、昔ながらの製法で作った手作り無添加せんべい~~北海道産の小麦粉を使用して、○○の無添加味噌を練りこみ、重曹を使わずに作りました~う~ん。最近めっきり、この「昔ながらの製法」というフレーズに弱くなってしまいました。 小樽素采亭 お蔵の南部せんべい・しかし、あるいは開き直って(?)、「普通のせんべい」でも一般の菓子類に比べたらかなり添加物は少ないので、それはそれで妥協して食べる。(あまり神経質になってもねえ~、毎日食べるものでもないですし。)わかればわかったで、食べづらくなるものです。
2007.05.19
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5月17日(ハミガキ粉)の続きです。・薬用成分:モノフルオロリン酸Na(フッ素)、酢酸トコフェロール(ビタミンE)―「フッ素は歯質の強化には何の役にもたたない。」「かえって、エナメル質の結晶を破壊するだけだ。」「水道水のフッ素化をめぐる欧米の情勢―水道水フッ化物添加とは、フッ素の化合物(フッ化物)を上水道中に添加し、多数の住民を対象として虫歯を予防する手法。北アメリカとオーストラリアでは、多くの自治体が安価な費用で効果を期待できるとの考えにより、水道水へのフッ化物添加を実施している。」「2007年現在、アメリカ合衆国住民の66%が、フッ化物を添加された上水道を供されている。」なんかアメリカという国は不思議な国だと感じてしまいますが、ともかく、「フッ素論争」は現在も続いていて、ある効果(虫歯予防)が期待できるといわれる半面、人体に与える毒性も多く指摘されているようです。合成ビタミンEについては、以前触れました。フッ素、合成ビタミンEを「薬用成分」とうたっていますが、その実はいかがなものでしょう。・PH調整剤:無水リン酸三Na―PH調整剤とは、「食品のPHを適切な範囲に調整し、食品の変質や変色を防いで品質を安定させたり、他の食品添加物の効果を向上させるために使用する添加物」だそうです。例えば、「市販のおにぎりやお弁当の場合は、主にPH調整剤を添加して食品のPHを4~5くらいの酸性に保ち、菌の増殖を抑えて食品の腐敗を防ぎ、日持ちを良くする目的で使われています。」「PH調整剤という表記は特定の物質を指すものではなく、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸などを一括表示したものです。」「これらをPH調整剤の目的で使用する場合、単独での使用は少なく、2~3種類を組み合わせて使うことが多く、法律上も一括表示が認められています。」全部で14種類ある添加物の一括表示のひとつです。ちなみにリン酸類には、「骨からカルシウムを奪い、骨を弱くする作用がある」そうです。・防腐剤:パラペン、メチルパラベンNa―パラベンとは、「正式名称パラオキシン安息香酸エステル類といい、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルパラベン等があり、主に化粧品の殺菌防腐剤として用いられています。」「パラベンは、人によって、接触皮膚炎・アレルギー湿疹を起こす原因になります。」・着色剤:青色204号―別名カルバレンスブルーという、タール系色素です。タール系色素についても以前整理しました。石油(ナフサ)から分離して合成されたもので、その多くは皮膚障害の原因、中には発ガン性の報告があるものもあるという、サッカリンと共に是が非でも避けたい添加物のひとつです。・その他:ミリスチン酸イソプロピル―「粘性の低いエステルであり、化粧品や医薬品などに広く使われている」そうです。「危険物の規制に関する政令では、危険物 第四類 第三石油類に分類される」、石油系合成化学物質ということです。化粧品の油性基剤やエモリエント剤(皮膚をやわらかくする作用)として使用される油性成分。皮膚への浸透性がよく、使用感はさっぱりしており油っぽくならないのだそうです。もうたいへんです。多くの石油系化学物質、超危険といわれている添加物、さらには合成界面活性剤・・・あの小さな入れ物の中に、「現代科学の粋を極めたような技術」がこれでもかというくらい入っているわけです。では次に、石けんハミガキ粉の成分です。<ある石けんハミガキ粉の表示成分>・研磨剤:炭酸カルシウム、シリカ―炭酸カルシウムは、「カルシウムイオンと炭酸イオンとからなる無機鉱物。石灰岩、大理石、鍾乳石、白亜(チョーク)の主成分。」「化粧品原料、食品添加物としても使用が認められている。」「多少吸い込んでも、肺の中に蓄積しない。血液の中には二酸化炭素があり炭酸カルシウムは炭酸水素カルシウムに変化して溶解するからである。」シリカは上の無水ケイ酸を参照。・基剤:精製水―精製水とは、「日本薬局方で規定され、ろ過、蒸留、イオン交換を経て得られた不純物が非常に少ない水である。」・湿潤剤:ソルビトール―上のソルビット液を参照。・粘結剤:セルロースガム、ベントナイト―セルロースガムとは、「セルロース(パルプ=木材、草、藁、竹葉)を原料に作った粘度調整のための素材である。」「セルロースガムは、一般に安全な食品添加物であると米国FDA(食品衛生局)にも認められている。」「日本でも食品衛生法の規格に適合しており、乳酸菌飲料、アイスクリーム、醤油、ジャム、ケチャップ、漬け物など食品に添加されている。」「炭酸カルシウムとソルビトールなどを結合させ、ペースト状態を作り安定させ、歯磨き用のベースに使われている。」ベントナイトとは、「米国州ワイオミング東部の白亜紀フォート・ベントン層中に産する粘土に対して命名された名。」「この地方に産するワイオミングベントナイトは、火山灰起源で層状鉱床をなしており、黄緑色、青灰色などの可塑性の強い粘土。」「水を吸うと自らの体積の10倍以上に膨張し、さらに多量の水と混合すると強力な粘性を発揮する。」・発泡剤:石ケン素地―界面活性剤のうち、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムを「石けん」と呼ぶといいましたが、薬事法改正により、脂肪酸ナトリウム(石けん)については「石ケン素地」と表示するように決められているのだそうです。「良質の天然油脂を原料にした、純石けん分99%の無添加石けん」だそうです。・香味剤:香料(ペパーミント)―ペパーミントは、シソ科ハッカ属の多年草。「ハーブの一種であり、独特のメントール臭がする。葉を摘み取って、乾燥させたものを使用する。菓子に広く使われ、またハーブティーにも用いられる。ガムに良く使われている。」「抗菌作用がある。」石と木と水と砂糖と石けんにペパーミントを少々加えて混ぜ合わせた、それが石けんハミガキ粉の成分ということになるようです。どうやら、原料自体に石油系化学物質は存在しないようです。それでも、いくつか問題は提起されています。例えば、研磨剤は歯を傷つけるだけであるとか、ソルビトールは本当に安全なのかとかいったことです。本来、ハミガキ粉は使わなくてもいいものなのかもしれません(あるいは、天然塩を使用するとかでも)。また、さまざまな効用、特徴をうたったたくさんの種類のハミガキ粉も市販されています。その中にはきっと優れたハミガキ粉もあるでしょう。でも今のところ、うちでは、石けん歯磨きです。 シャボン玉 石けんハミガキ パックス石けんハミガキ 最初は何か物足りなさを感じたものですが、慣れてしまうと市販のハミガキ粉には戻れないことが今回わかりました。
2007.05.18
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今朝、「石けんハミガキ粉」が切れてしまいました。そろそろ無くなるのはわかっていたのですが、ついそのままにしていました。ハミガキ粉なしというのもなんなので、以前使っていて中途の状態で残っていた大手メーカーのハミガキ粉を使いました。し、しかし、口に入れた途端、直観的にこれはヤバイ、と感じました(おおげさではなくてです)。味覚的にもとてもマズくて、早く口から出してしまいたいという衝動にかられました(最後まで使用しましたが、はは)。確かほんの半年前までは、毎日普通に使っていた(いや、このハミガキ粉は結構気に入っていた)はずなのですが。そして、新ためてハミガキ粉の裏の原材料表示を見ると、何が何やらよくわからないながらも、体に悪そうな成分のオンパレードです。<某大手メーカーのあるハミガキ粉の表示成分>潤滑剤:ソルビット液清掃剤:無水ケイ酸可溶化剤:OEG-8,PG香味剤:AMカプセル(ハーブカプセル)、香料(ミントタイプ)、サッカリンNa収れん剤:硫酸マグネシウム発泡剤:ラウリル硫酸Na薬用成分:モノフルオロリン酸Na(フッ素)、酢酸トコフェロール(ビタミンE)PH調整剤:無水リン酸三Na防腐剤:パラペン、メチルパラベンNa着色剤:青色204号その他:ミリスチン酸イソプロピルそんなこともあって今更ですが、それぞれについて可能な限りで調べてみました。・潤滑剤:ソルビット液―糖質系甘味料のソルビトールです。糖質の項でも触れました。食品添加物として食品の保湿性向上、品質改良の目的で広く利用されているものです。ハミガキ粉や、化粧品などで使われる場合もこの保湿性を利用しています。ハミガキ粉が硬くならないようにするためです。爽やかな甘味を有していることも使われる理由のひとつだそうです。ソルビトールは自然界にも存在し、梨、りんご、プラムなどの果実類に含まれている化合物ですが、工業的には(=食品添加物としては)、とうもろこしから抽出されたでんぷんを原料にしたブドウ糖から化学合成されます。甘味料として用いても、口腔内で細菌、酵素による有機酸の生成がほとんど無いので虫歯の発生原因にはならないという利点があるといわれています。「国連の食料農業機構(FAO)および世界保健機構(WHO)、合同食品添加物専門家会議(JECFA)では極めて毒性の低い物質」といわれています(何か奥歯にものがはさまったようないいかたですが)。ここではソルビット液ということなので、ソルビトールに水分を加えているのではないかと思います。(その他の成分の中に水分表示が見当たらないので。)・清掃剤:無水ケイ酸―清掃剤=研磨剤のことのようです。多分本来、これがハミガキ粉の主成分ではないかと思います。無水ケイ酸とは、鉱物の石英の成分で、二酸化ケイ素、シリカともいうそうです。非常に細かい石で歯を磨いているというわけです。「多孔質構造を持ち表面積が広いシリカゲルは、吸着性が高いという性質があるため、乾燥剤や触媒の担体として利用されている」そうです。安全性に関しては、「シリカには毒性はなく、米国FDAに食品添加物として認可」されているそうです。・可溶化剤:OEG-8,PG―OEG-8についてはよくわかりませんでした。PGはプロピレングリコールのことです。別名1,2-プロパンジオール・1,2-ジヒドロキシプロパンともいわれるそうです。ハミガキ粉の他、シャンプー、化粧品、洗剤、育毛剤などの保湿剤として幅広く使われています。ハミガキ粉の場合、ソルビトールと同じように製品を固まらないようにするために使われているものだそうです。さらに防腐作用、乳化作用もあるため、ウェットティッシュ、赤ちゃんのお尻拭き、さらにはコンビニのおにぎり、ゆでうどんやそばなどいろいろなものにも使われているそうです。しかし、もともと何のために作られたものかというと、エンジンオイル、作業油の不凍液、産業用凍結防止剤などとして使われていたものだというのです。可燃性の石油化学物質というわけです。そのため種々の毒性が確認されています。穏やかないいかたとしては、「デメリットとして、油も溶かす性質があるため、多量に用いたり長期間使い続けると、個人差もあるが皮脂に影響を与え、肌荒れを起こす人もいる」というもの。あるいは、「毒性が非常に低く、人体に殆ど無害です」というもの。批判的ないいかたとしては、「主に接触性皮膚炎を起こす、飲むと肝臓、腎臓、心臓、脳への障害を招くことがある、溶血作用がある、吸い込むと中枢神経抑制を起こす、染色体異常を起すとの報告がある」というもの。「発ガン性、アレルギー(アトピーや花粉症)に大きな関連性がある」というもの。「ドイツなどでは、日用品への使用が禁止されている発がん性物質です」というものなどです。毒性の程度はともかくとしても、PGは界面活性作用と分子量が小さいため、簡単に角質層をくぐり抜け、皮膚細胞に浸透しやすいという特徴があり、あっという間に血管まで入り込んでしまうというのは確かなようです。先ほどもいったようにPGは、赤ちゃんのお尻拭きにも使用されています。「これは、角質層が未発達で無防備な赤ちゃんの皮膚に、容易に有害物質を浸入させているということですから、大変危険」だということになります(うちでも使っていたような気がします)。さらにPGには、「カビの成長や発酵を阻止する働き」があり、その効果によって、ウェットテッシュがいつでもしっとりと濡れている状態でもカビが生えないだそうです(カビ=生物を殺す成分があるということです。)後述のラウリル硫酸Naと共に、危険な化学物質といえます。・香味剤:AMカプセル(ハーブカプセル)、香料(ミントタイプ)、サッカリンNa―AMカプセルについてはよくわかりませんでした。(合成の)香料の原料としては、「石油より得られるエチレンやアセチレンなどのほかに、精油より分離されるテルペン化合物や油脂より得られる脂肪酸などが用いられ、これを化学反応させることにより合成香料を得る」のだそうです。そうして造られた数百種類の香料を、さらに複雑にブレンドして目的の味、香りにするのだそうです。これも石油化学物質というわけです。サッカリンNa(サッカリン)はソルビトールと同様に以前糖質の項で述べました。非糖質系の新甘味料です。1973年に発がん性を疑われて一時禁止されましたが、すぐに再認可され現在に至っているといういわく付きの代物です。サッカリンは砂糖の600倍の甘味がありますが、その元は石油(トルエン)です。なぜかアメリカ人は、このしびれるような甘さが好きなようです。・収れん剤:硫酸マグネシウム―化粧品としては、皮膚を引き締め、発汗や皮脂分泌を抑える目的などに使われるものだそうです。医薬品としては主に、下剤として使用されるものだそうです。市販されている多くの入浴剤の有効成分ひとつでもあるそうです。・発泡剤:ラウリル硫酸Na―ラウリル硫酸ナトリウムとは、「陰イオン性界面活性剤の1つ。ドデシル硫酸ナトリウムとも呼ばれる。」「乳化剤や発泡剤、洗浄剤として、日用品では歯磨き粉、シャンプー、髭剃りクリーム、泡風呂など、工業用としてはガレージのフロア用洗剤、エンジンの油落とし洗剤、洗車用洗剤などの多く用途に使用されている合成化学物質である。」よいよ、今一部で盛んに騒がれている界面活性剤の登場というわけです。石油から造られる合成化学物質なので、おおよそ体によくないというのは想像できますが、実際なにがどうよくないのでしょうか。「界面活性剤とは、簡単にいうと水と油を混ぜるものです。」「各種の洗浄剤は、界面活性剤のこのような性質を利用して、油を含む汚れでも水で洗い流せるようにしているわけです。化粧品については、乳化剤としてクリームや乳液などに幅広く使用されています。」「界面活性剤のうち、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムを石けんと呼び、それ以外は合成界面活性剤と呼びます。」「いわゆる合成洗剤とは、合成界面活性剤を使った洗剤のことです。」「ここで注意が必要なのは、一般的に市販されている固形の『せっけん』の多くは、いろいろな化学添加物が含まれており、それらはほとんどが合成洗剤の一種であるということです。」「これに対し、本当のせっけんを区別するために『純せっけん』という言葉があります。純せっけんとは、純せっけん成分(脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム)が 97 %以上のせっけんを指します。」「合成界面活性剤は、非常に有害であるにもかかわらず、前述のような日用品のほとんどに使用されています。」「その理由としては、(1) 製品の原価を極めて安くすることができること(2) たとえ有害でも現行の国の基準では、合法的に製品化できることなどが挙げられます。」「現在、使用が許可されている合成界面活性剤の種類は 200種類を超えています。」「その成分をおおざっぱに説明すると、石油を分解して生成したアルキルベンゼンや高級アルコールなどに硫酸化剤を加え、水酸化ナトリウムで中和したようなものです。」合成界面活性剤には「たんぱく変性作用」と呼ばれる性質があり、体のたんぱく質を破壊する働きを持っているのだそうです。「動物実験では受精卵障害や成長障害が報告されている」そうです。つまり、皮膚組織を破壊された上に、その有害物質がどんどん体内に吸収されていき、さまざまな病気、症状の原因のひとつになるというわけです。「皮膚から異物が侵入すると、肌荒れ、湿疹、アトピー、かゆみなどの症状が起こります。」「単に肌荒れや湿疹というと大したことはないようにも聞こえますが、これは本来の体の防護機能が弱まっていることを示しており、人体にはかなり危険な状態なのです。」「つまり、外からのばい菌や毒素が体に入りやすくなっているわけですから、この状態が長く続けば体に毒素が溜まり、内臓その他にも悪影響を及ぼすことは容易に想像できます。」「したがって、慢性的な肌荒れといっても、単に肌だけの問題では済まされないのです。」市販されているハミガキ粉のほとんどに、主成分としてこの合成界面活性剤が2~4%入っているそうです。そして、「口の中の粘膜は皮膚の13倍の吸収力があるので、合成界面活性剤などの化学物質がやすやすと通って体内に入っていく」のだそうです。「ネズミの実験では、舌の表面の細胞が破壊されていることもわかっている」そうです。歯を磨いた後、食べ物の味が違うのは、舌にある味を感じる味蕾(みらい)という細胞が、ハミガキ剤に含まれているラウリル硫酸ナトリウムなどの合成界面活性剤によって損傷を受けている」からだそうです。さらに厄介なのは、一旦皮膚などから吸収された有害物質は、なかなか体外に排出されないのだそうです。紙面の都合で、パート2へ続く。
2007.05.17
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5月12日の項で種類までわかりました。次にはその摂取バランス(摂取量)です。まずは、飽和脂肪酸について―現代の日本に、さまざまな病気(生活習慣病など)が急増した第一の理由は、「動物性脂肪」の摂りすぎにあるといわれます。「そもそも動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸は、脂肪というかたちで摂らなくても体内で合成できるため、不足を心配する必要はないのです。」と山田豊文先生もおっしゃっています。飽和脂肪酸つまり、肉や乳製品、バター、ラードなどはできるだけ摂らないほうが体にはいいというわけです。次に、不飽和脂肪酸の中のn-6系、オメガ6について―「ベニバナ油やコーン油、ゴマ油、大豆油、サラダ油などの植物油に多く含まれるリノール酸の摂りすぎによる弊害もあります。調理油として使われる以外に、植物油脂などの名前でさまざまな加工品や菓子類に入っており、知らず知らずのうちに過剰に摂取しているのです。」リノール酸は本来、人間の体内で合成できないために、食品から取り入れなくてはならない「必須脂肪酸」といわれるもののひとつだそうです。(同じオメガ6のアラキドン酸もです。ちなみにリノール酸は体内で主にアラキドン酸に合成されるそうです。)そうしたこともあって、国を挙げて動物性脂肪の代替としてこのリノール酸を積極的に摂取することを奨励してきたという経緯があったのだそうです(今だに大手メーカーでは、リノール酸を健康にいい油といって販売しているようです)。その結果、日本人は過度にリノール酸を摂取するようになり(摂取量はあのアメリカよりも多いそうです)、「昔はなかったアトピーなどを代表とするアレルギー性疾患や循環器系疾患を増やした」、最近の研究結果ではこういわれているそうです。「リノール酸を多く含む植物油をすすんで摂る必要はありません。むしろ、いかに削減するかを考えるべきです。」「オメガ6」類、特にリノール酸もできるだけ摂らないほうが体にはいいということです。それはつまり、市販されている大半の食用油ということになります。不飽和脂肪酸の中の一価不飽和脂肪酸でもあるn-9系、オメガ9はどうでしょうか―n-9系のオレイン酸は、他の脂肪酸に比べて酸化しにくいため、長期の保存が可能だそうです。また、加熱による酸化の心配もないという長所があります。オレイン酸を最も多く含む代表的な油はオリーブ油です。オリーブ油は植物油の中でも消化吸収がよく、天然のビタミンA,E、K、ポリフェノールを含んでいるのだそうです。市販されているオリーブ油は大きく3種類に分けられるそうです。バージンオイルといわれるものは、オリーブの果実を丸搾りした「一番搾り」で酸度が1%以下のものをいうそうです。独特の風味や香りがあります。オリーブ油のなかでも最高級品は、エキストラバージンオリーブオイルというそうです。精製オリーブオイルは、その残りを化学薬品処理や加熱処理をして精製したものだそうです。ピュアオリーブオイルは、バージンオイルと精製オリーブオイルをブレンドしたものだそうです。オリーブ油の歴史は西洋の歴史と同じくらい古いといわれます。何千年も使用されてきたという、いわば臨床データ(健康にいいという経験知)があることは大きいはずです。しかし、山田先生は、「もし調理に油を使うのであれば、リノール酸含有量の少ないオリーブ油などを、なるべく少なく使用してください。」というに留めていて推奨はしていません。必須脂肪酸ではないからかもしれません。オリーブオイルの世界も奥が深いのは確かです、が今回は深入りしません。参考にということでこちら。 ピエトロ・コリチェッリ社 エキストラバージン オリーブオイル「オメガ9」、オレイン酸は加熱料理に適量だけ使用するということです。あまり使わないのですから、本物のオリーブオイル、エキストラ・バージンオイルを使います。私たちの体で合成できない必須脂肪酸にはもうひとつあります。それがオメガ3、α-リノレン酸です―オメガ3には、サバやイワシなどの青背魚に多いエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)も含まれます。α-リノレン酸は体内で代謝され、EPAやDHAに変換するのだそうです。EPAは基礎研究の結果、脂肪代謝や血液凝固異常の改善、つまり血液をサラサラにして血液の粘度を低下させ、血液を固まりにくくして動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中、高血圧といった生活習慣病を防ぐことが判明したそうです。また、アレルギー症状の予防と改善、慢性関節炎など炎症性の症状、うつ病などにも効果を発揮するのだそうです。DHAは、「脳の栄養素」といわれているそうです。脳をはじめとする神経組織に多く含まれ、脳や神経の発育や機能維持に重要な役割を果たすのだそうです。また、細胞を活性化させ、認知症を予防するとの研究報告もあるそうです。さらに、眼の機能回復にも効果的だそうです。EPAと同様、血液をサラサラにして生活習慣病を防ぐことはもちろんです。カプサイシンやカフェインと同じように脂肪を分解する(燃やす)酵素のリパーゼの働きを高めて、脂肪燃焼を促進する作用もあるそうです。オメガ3が不足するとどうなるのか。アメリカの子供たちを調査した結果もあるそうです。「オメガ3が低い子供は、そうでない子供に比べて算数能力が4.7倍低く、総合学習能力が4.9倍低い、さらに学習障害が8.2倍高いということがわかったのです。」「さらにオメガ3が低いと、注意力散漫で感情的で、ひどいかんしゃくを起こしやすく、寝つきや寝起きが悪く、頻尿、乾燥肌などが目立つという結果も出ています。」オメガ3は子供には特に必要なようです。同じような油なのに、こうも違うというのは本当に不思議です。では、オメガ3にはいいことばかりで、その他の脂質にはいいところがないのかということになりますが、先ほど述べたようにリノール酸も必須脂肪酸、人間の体内では合成できない大事な脂質です。要は、そのバランスが重要ということのようです。 「この2つ(オメガ3とオメガ6)の脂肪酸が体内でうまく働くためには互いのバランスが大事であることがわかってきました。オメガ3とオメガ6には拮抗作用があるためです。」「このバランスが崩れてしまうと、免疫や神経、血管などさまざまな生理作用にトラブルが生じることになります。」「オメガ3とオメガ6は、1対4程度の比率で摂ることが望ましいとされています。しかし私は、1対4ではなく1対2、できれば1対1の比率で摂るべきだと考えています。」「残念ながら現代人は、リノール酸に代表されるオメガ6の摂取量が過剰でオメガ3は不足気味です。多くの人は、比率でいうと1対10から1対40になっています。」オメガ3は積極的に摂っていく必要があるということです。EPAやDHAが豊富なイワシ、サバ、サンマ、アジなどの青背の魚を食べることです。幸いにもEPAやDHAは、酸化はしやすいですが熱には強いので、調理しても大丈夫です。そしてうれしいことに、これらの魚は手頃な値段です。α-リノレン酸が豊富に含有するのは、フラックスオイル(亜麻仁油)やえごま油(しそ油)だそうです。こちらは酸化もしやすく、かつ熱にも弱いので、そのまま飲むかドレッシングとして使用することになるようです。ただし、値段は安くありません。特にフラックスオイルは高いものでは、高級ブランディー並(このたとえがいいのかどうか)に値が張ります。 食用亜麻仁油237ml もう少しお手頃価格のものもありますが、全般的に見ても簡単に買ってみたいと思う値段ではないようです。(できるだけお金をかけずに健康生活がテーマですから。)先日思い切って、少し安かったえごま油を買いました。2合ビンくらいの大きさでしたが、封をあけたら冷蔵庫に保管し、6週間以内にお召し上がりください、と書かれていました。いったん封を切ったら時限爆弾のようだと思いました。それだけ酸化しやすいということのようです(酸化してしまうと逆に危険な油になってしまいます)。ですから、オメガ3の油を製造するのは大変なようです。一般に市販されている食用油は、石油系の溶剤ヘキサンで抽出するものがほとんどのようです(その過程はかなり複雑です)。つまり、脂肪の質(種類)もよくない上に、その作り方もよくない油になっているというわけです。さらに、原料に遺伝子組み換え作物を使うとなるとトリプルパンチです。オメガ3の油は有機栽培された作物を、昔ながらの圧搾法で搾り、その一番搾りを低温で、空気や日光に触れないようにして製造するなど細心の注意を払っているようです。さらには、その容器にも気を配っているものも多いようです。ですから、値が張るのは当然のことなのでしょう。とはいえ、やはりなかなか手が出ません。どうしても食用油だと思ってしまうからでしょうか。まとめます。・肉類はできるだけ食べない。(またひとつ肉を食べない理由ができました。ほかの理由はこちら。)・食用油やバターもできるだけ使わない。(そうした調理をする。)・使う時は一番搾りのオリーブオイルか、一番搾りのオレイン酸が多く含まれている食用油にする。あまり使わなくなるわけなので、少し品質のいいものにする(間違っても、あるいはもらってしまっても特価品の安い油は使わない)。・揚げ物や、糖類を多く含んだ菓子類など加工品はできるだけ食べない(添加物もいっぱいです)。・青背の魚を積極的に食べる(毎日のように食べよう!)。・たまには、フラックスオイルやえごま油をかけて野菜サラダや冷奴などを食べる。追伸。「脱油生活」を始めて2ヶ月あまり。若い時から辛かった慢性の肩こりがなくなりました(これ本当です)。
2007.05.13
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3大栄養素のひとつ、脂質について整理したいと思います。健康な生活を考える上で、脂質(脂肪)は大きな問題だと思います。山田豊文先生という方が書いた『病気になりたくない人が読む本』というのがあります。 残念ながら発売時期の関係から、あの新谷先生の本の二番煎じっぽい感は否定できないのですが、その本の中に次のようなことが書かれています。―よい脂肪は健康のために必要不可欠 私は「フラックスオイル(亜麻仁油)」という油を毎日スプーン2杯ずつ飲んでいます。こう話すと、たいていの人は大変驚きます。「油=体に悪いもの」と思い込んでいるのでしょう。 一般に常温で液体のものを油、固体のものを脂と書きます。これらを脂肪分として摂取しますが、この脂肪は生きていくには欠かせないものです。ですから、いいものをバランスよく摂りさえすれば、体は非常に健康になるのです。・・・私たちのまわりには健康を害する油がたくさんあります。そして、こうした油は私たちが口にする食品に多く含まれています。ですから、よほど注意していないと、知らないうちに体に悪い油を大量に摂取していることになります。 では、私たちの体のなかで脂肪がどのような働きをしているか・・・脂肪は体を動かす大事なエネルギー源です。さらに、細胞膜や胆汁酸、ホルモンなどを構成する大切な原料でもあります。ですから、脂肪が不足すると体にさまざまな障害が起こります。 とはいえ、摂取する脂肪はどんなものでもいいというわけではありません。体を最高の状態に働かせるためには、脂肪の種類を知った上で、バランスよく摂る必要があります。というわけで、脂肪(脂質)の種類をよく知り、さらにそのバランスを理解したいと思います。そもそも脂肪(脂質)とは何かということになります。「生化学的定義」ではなにやら難しい言い回しをするようですが、簡単にいうと(当たり前のことですが)、「生物の構成成分のうちで水に溶けない物質の総称」ということになるようです。では次に、水に溶けない脂質(脂肪)はどのようにして人間の体内に取り込まれていくのでしょうか。―食事によって人間の体内に入った脂肪(脂質)は、まず唾液の中に含まれる脂肪を分解するリパーゼという酵素で一部加水分解されてから、胃の中で攪拌され乳化されます。―その後、脂肪の大半は小腸で吸収された後、今度は胆汁や腸液、膵液に含まれるリパーゼの作用で、脂肪酸とグリセリンに加水分解されて肝臓へ送られ、さらに血液に乗って脂肪細胞に運ばれ、中性脂肪(トリグリセライド)の形で体内に取り込まれます。―エネルギーが必要になると、脂肪細胞に蓄えられたこの中性脂肪は、再度脂肪酸とグリセリンに分解され、脂肪酸だけがエネルギーとして使われます。―脂肪は1gで9kcalのエネルギーを発生するので、糖質(1gで4kcal)より効率のよいエネルギー源となります。エネルギーとして使われるのが脂肪酸だということからもわかるように、脂質の主成分は脂肪酸といわれるものだそうです。脂質の種類という場合、この脂肪酸の種類をいうことになるわけです。ここですぐ脂肪酸の種類を整理する前に、少し複雑な脂質についても触れておきます。「細胞膜や胆汁酸、ホルモンなどを構成する大切な原料」となる脂質についてです。それらには、細胞膜を構成する「リン脂質」(レシチンなど)、脳神経組織を構成する「糖脂質」、さらに種々のステロイドホルモン、胆汁酸などを合成する「コレステロール」があります。コレステロールというと悪いイメージしかありませんが、人間にはなくてはならない成分で、上述の他にもリン脂質と同じように細胞膜の重要な構成成分でもあるそうです。また先ほど、リパーゼによって分解された脂肪は血液に乗って各細胞へ運ばれると述べましたが、本来水に溶けず、よって血液ともなじまない脂肪がどのようにして運ばれるのかというと、それはコレステロールやリン脂質がたんぱく質とくっついて「リポたんぱく」という水になじみやすい形になることによって、血液中を流れていき各細胞へたどり着くのだそうです。そのうち、「LDL(低比重リポたんぱく)」と呼ばれるものは、肝臓から動脈や各臓器の細胞に新しいコレステロールを届ける役割であり、「HDL(高比重リポたんぱく)」と呼ばれるものは反対に、動脈や細胞に余分に溜まっているコレステロールを肝臓に運ぶ役割を持っているそうです。一般にLDLが悪玉コレステロール、HDLが善玉コレステロールといわれるのは、簡単にいえばLDLは脂肪を増やし、HDLは脂肪を減らすといえるからです。特に、血液中に脂肪が多くなっている場合には、LDLの働きは迷惑なものとなり、HDLの働きはありがたいものとなります。血液中に脂肪が多くなると、血管にコレステロールが沈着しやすくなり、血管のしなやかさが失われたり、血管の一部が細くなって血液がスムーズに流れなくなったりします。こうして動脈硬化といわれる生活習慣病の元ができてしまうというわけです。しかし最近では、LDLそものもは悪玉ではないともいわれているようです。真の悪玉はなにかというと活性酸素だというのです。血液中に脂肪が多い状態が続くと、そこに活性酸素が働きかけるというのです。少し長くなりますが、板倉弘重先生という方の本から抜粋します。―(活性酸素が働きかけると)LDLコレステロールは酸化され、酸化LDLになります。酸化LDLは体にとっては異物であり、周囲のものを傷つける邪魔な存在でしかない。生命体の仕組みは実に精巧にできていて、邪魔者である酸化LDLができると、その異物を取り除く「掃除隊」が派遣される。この「掃除隊」がマクロファージである。マクロファージは白血球の一種で、体内の異物をどんどん食べてしまい、異物から体を守る働きをしているものだ。マクロファージは別名「大食細胞」と呼ばれるくらい、どんどんと異物を食べていくが、それでもその処理能力には限界がある。ついに、限界以上に異物を食べたマクロファージは、容量以上にゴミを詰め込んだゴミ袋が裂けてしまうように壊れて、死滅して血管壁にその残骸がたまっていく。動脈硬化を引き起こす原因は、じつはこのマクロファージの残骸なのである。―もちろん、余分なLDLコレステロールがなければ活性酸素が働きかけ、酸化LDLができることもないわけで、コレステロール値を正常範囲にコントロールすることは、動脈硬化を予防する上で、大切な条件であることは変わりない。だが、LDLコレステロールを真の危険因子である酸化LDLに変えてしまうのは、活性酸素であり、活性酸素が働かなければ動脈硬化には発展することはないのである。ちなみに、人間の体内での適正なコレステロール量は、血清1dl当り220mg以下とされているそうです。この量を超えて、必要以上にコレステロールが血液中に溢れるようになると活性酸素の餌食になるわけです。 まだ途中ですが、とりあえず2つの結論がでました。必要以上の脂肪は取ってはいけないということと、活性酸素を発生させてはいけないということです。活性酸素については以前簡単ですが整理しました。最低限の脂肪を効率よく摂るために、ここでやっと、脂質(脂肪)=脂肪酸の種類について整理することになります。脂肪酸の種類は大きく3つに分けられるそうです。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸です。脂肪酸は炭素、水素、酸素から出来ているそうですが、基本的な形は、炭素の鎖に水素が結合し、両端に酸素がついているというものだそうです。そのうち飽和脂肪酸は炭素鎖が水素で飽和されたもの、不飽和脂肪酸は水素と結びつかずに、炭素同士が二重結合している構造を持っているものという違いがあるのだそうです(そういわれてもよくわかりませんが)。さらに不飽和脂肪酸はその炭素の二重結合の数によって、一価不飽和脂肪酸(結合が1個)と多価不飽和脂肪酸(結合が2個以上)に分けられるのだそうです。さらにさらに複雑なことには、「不飽和脂肪酸は、n個結びついている炭素の終わりから何番目が二重結合かによって、nー9系(終わりから9番目が初の二重結合、オメガ9とも)、nー6系(終わりから6番目が初の二重結合、オメガ6とも)、nー3系(終わりから3番目が初の二重結合、オメガ3とも)の3系列に分けられます。」表にするとこうなります。 紙面の都合で、その2に続く。
2007.05.12
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依然として高い関心が持たれているもののひとつに「酢」があります。個人的にはどうもあの酸っぱさが苦手で、あまり気乗りのしない食品(調味料&健康補助食品)なのですが、よく知れば愛着も湧いてくるのではないかということで、今さらですが簡単に整理することにしました。「酢」が健康にいいといわれる理論的根拠は、「クエン酸サイクル(クレブスサイクル、クエン酸回路とも)」というものにあるそうです。これは、この理論でノーベル賞を受賞したイギリスのクレプス博士という人が発見したものだそうです。「クエン酸サイクル」とは、食事から摂った糖質(炭水化物)を分解し、エネルギーに変換するサイクルで、人間の「基礎代謝=生命を維持するのに必要な最小のエネルギー代謝」に深く関わっているものなのだそうです。周知のように、基礎代謝は普通子供の頃は高いのですが、年齢とともにだんだんと低下してきます。そしてそれと比例するように、身体や内臓に脂肪がついたり、疲れがなかなかとれないという状態になってきます。クレブス博士は、このクエン酸サイクルがうまく廻りさえすれば、歳をとっても健康でいられるはずだ、と発表したのだそうです。「下の図は、私たちが食べ物から取り込んだ糖質が分解される経路を示したものです。」 では、クエン酸サイクルがスムーズに廻っている場合と、廻っていない場合とではどのような違いがでるというのでしょうか。・ クエン酸サイクルがスムーズに廻っている場合―「食べ物から取り込まれた糖質は、消化器系や肝臓で全てグルコース(ブドウ糖)に変換され、血流に乗って全身に行きわたり、グリコーゲンに合成され各臓器細胞に取り込まれます。」 ↓ 「血液中のグルコースは肝臓や筋肉組織への貯蔵量がある程度決まっているので、この時にグリコーゲン合成に使い切れなかった余分なグルコースは、それぞれの細胞に送られます。」 ↓「細胞内でグルコースが代謝され、ピルビン酸になります。」 ↓「ピルビン酸は酸素を取り込んで(好気性分解)、脱炭酸されてアセチルCoAという物質になり、次のクエン酸サイクルへと進みます。」 ↓「アセチルCoAはオキザロ酢酸と結びついてクエン酸を生成し、クエン酸サイクルへと入ります。」 ↓「そしてアミノ酸やビタミンの助けを借りながら変化を続け、CO2とH2Oを生成して完全に酸化されて多量のATPというエネルギーをつくります。(クエン酸サイクル一周廻る毎に12個のATPがつくられます)」つまり、血液中にあった余分な糖質は、細胞内で代謝されてクエン酸サイクルに入ってしまうと、全て身体のエネルギーとなるということです。・クエン酸サイクルが廻っていない場合―「クエン酸サイクルがストップするとエネルギー源が流れることができなくなり、中間物質であるピルビン酸やアセチルCoAがどんどんたまっていきます。」 ↓「ピルビン酸は前に進むことができなくなると、今度は無酸素の状態で分解(嫌気性分解)をはじめ、乳酸を生成します。」 ↓「また、クエン酸サイクルに入れなかったアセチルCoAは脂肪合成へと進んでいきます。」 つまりこの理論の結論としては、クエン酸サイクルがうまく廻っていると、エネルギーに満ち健康でいることができる一方で、クエン酸サイクルがうまく廻らなくなると、体脂肪は増え、疲労の原因だといわれる乳酸も増えるため疲れやすくなったり、疲れが取れにくくなったりと健康状態が悪くなるというのです。また若干違った言い回しでは、次のようなのもあります。「私たちの血液、尿、臭液は常に、中性あるいは微アルカリ性ですが、疲れると血液は酸性になります。」「これは、体内に乳酸が出来た証拠で、この乳酸は、体内の蛋白質と結合して乳酸蛋白となります。これが疲労した時の肩こりや、疲労感であります。」「また血管壁で乳酸蛋白質が出来た時には、動脈硬化となって高血圧や痛風の原因となります。」「ところが体内にオキザロ酢酸があるときは、ビタビンB1と一緒になり、乳酸にならず炭酸ガスと水と酢酸になり、炭酸ガスは呼吸になって水は汗や、尿となってそれぞれ体外に排出されます。」病気の原因となる酸性に傾いた血液をアルカリ性にしてくれるということです。(薬として現にある「クエン酸ナトリウム・クエン酸カリウム合剤(商品名:ウラリット)は、尿をアルカリ化させ尿酸の排泄を促進することから、痛風に代表される高尿酸血症の治療薬として処方されて」います。)とりあえず上述の理屈に納得したとすると、「健康でいるため=クエン酸サイクルをうまく廻す」ためにはどうすればいいかということになりますが、それはもう当然、「クエン酸を摂取すればいい」ということになるわけです。では、クエン酸とは何かということになります。クエン酸とは有機酸の一種で、より身近なものでいうと、「日常食べる梅干し(1個約0.35g のクエン酸)やレモン(1個に約1.5~4gのクエン酸)に含まれている酸味のもと」だそうです。今では、サプリメントの成分として多用されているようですが、そのほとんどは工業的にデンプン、あるいは糖を発酵させて作っているということです。その昔は、クエン酸というものは、天然のレモンや夏蜜柑の果汁から分離して造るしかなく、よって高価なものであったそうです。「しかし、科学の進歩で現在は安く生産できるようになりました。」「今ではジュースやサイダー、化粧品、また、医学の分野にもなくてはならぬ成分として使用されています。」「クエン酸は、他の酢の仲間とは違って,白色の粉末ですから、保存や携帯に便利です。」ということで、今やクエン酸は手軽に摂取することができるわけです。また、上述のように疲労回復に効果が大ということで、プロのスポーツ選手も積極的に摂取するのだそうです。クエン酸が健康にいいのはわかったのですが、少し引っかかるのは、やはり「工業的に製造される」というところでしょうか。このフレーズは、添加物やビタミンの項で散々出てきました。クエン酸を普及させる方々(?)も、そのあたりを意識しているようで、「果実中に含まれておりますクエン酸と全く同じものです」とか、「食品添加規格で製造されておりますので、果実中に含まれるクエン酸と比べ安全性につきましても問題ございません」とか、ジャガイモなどのでんぷんから作られるもので、石油などから造られるものではありませんなどその安全性を必要に強調しているようです。その是非についてはよくわかりませんが、より自然な形でこのクエン酸を摂取したいと思ったらどうすればいいかというと、「酢」として摂取するということになるわけです。「私達がよく料理に利用する食酢には、主成分として4~5%の酢酸が含まれています。」「この酢酸は、体内に入るとクエン酸になって働いています。」では、酢とはなんでしょうということになります。「酢は塩に次ぐ古い調味料で、紀元前5000年のバビロニアの古文書にも見られるそうです。」 「お酒をそのまま置いておくと酢になるわけですが」、造り方としては、「基本的にはアルコールを酢酸菌によって酢酸発酵させて作ります。」例えば、「米から作る米酢の場合には、 蒸米に麹カビを付けてでんぷんを糖分に分解し、酵母(イースト)の力でそれをアルコールに変えてまず酒を作ります(アルコール発酵)。」「 その後に酢酸菌を加えて30度で1~2ヶ月ほど酢酸発酵させ、熟成、酸度の調整(水で薄める)、 火入れという工程を経て出荷されるのが一般的です。」「麹カビ、酵母、酢酸菌という3種類の微生物の力を借りていることになります。」「 食酢はアルコールを酢酸発酵させて作った醸造酢と、酢酸の原液を薄めて調味料を加えた合成酢に分けられますが、現在では風味の劣る合成酢はほとんど作られておらず、 流通している99%が醸造酢になっています。」「主成分は酢酸、その他に乳酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸類やさまざまなアミノ酸、エステル類、アルコール類などを含む」のだそうです。分類としては、「穀物酢」と「果実酢」に分けられます。「穀物酢」には―・主に米を原料にした米酢。米のみで作られた場合は純米酢という。 おだやかな酸味でコクのある旨みと複雑な香りがあり、寿司や酢の物のように酢の味を主役とする和食にむいている。・主に玄米を原料にした玄米酢。香り、コクとも米酢よりも強い。・壷酢ともいう、鹿児島県福山の特産品の黒酢。蒸米、水、麹、種酢を壷に入れて一年間太陽の下に放置し、 糖化・アルコール発酵・酢酸発酵を同時に行う複合発酵で作られる。アミノ酸が多くコクがある。 麹カビの作用でアミノ酸が茶色になるため黒っぽい色が付く(最近やたらと「黒酢」と名の付くお酢が多いようですが、本来はこれのこと)。ちなみに、中国の黒酢(鎮江香醋=チンコウコウズ)は、もち米とモミガラをカメに入れて何度も発酵と熟成を繰り返すという別のもの。日本の酢とは、風味も味も違う。ただしクエン酸は豊富。・酒粕を3年間熟成させて作る三河の伝統的なお酢の赤酢。ツーンと鼻をつくストレートな酢の香りが特徴で、メリハリのある味が好まれた江戸で普及した。 現在でも一部のお寿司屋などで使われている。・上記以外の穀物酢。酒粕、麦、コーンなどの穀物から作る。複数の原料を合わせて作るのでクセがなく使いやすい。 和洋中の様々な料理に使える。普通、酢といえばこれ、安い。「果実酢」には―・ドレッシングに最適なりんご酢。・酸味が強いが、さわやかな香りがあるブドウ酢。・イタリア、モデナ地方の伝統製法によるバルサミコ酢。甘いブドウの濃縮果汁から作り、 毎年異なる材料の樽に詰め替えて長期間熟成させる。さらには―・沖縄原産の黒麹菌(泡盛菌)でつくられた、クエン酸、アミノ酸が豊富なもろみ酢。・さとうきびを原料にしたきび酢。など、その種類はすごいものがあります。上述のように食酢は今ほとんど、天然の植物を醗酵させて造る醸造酢なので、そういう意味では酢には醤油や味噌のような「健康に悪いニセモノ」はないようですが(すみません、化学調味料入りのがありました)、酢の世界も他と同様価格を見るとピンキリです。やはり、そこにはそれなりの理由があるわけで、それが例えば原料の違いだったり、製造方法の違いだったりするようです。結論。クエン酸はどうやら、からだによさそうです。でも摂るならやっぱり自然丸ごとということで、お酢で摂りたい。お酢もできれば、アルコール添加などをしていない、天然原料からアルコール発酵させ、さらに酢酸発酵させたものにしたい(二度醗酵している優れもの!)。(しかしこだわるときりがないし続かないので、価格も手頃なところでトップバリューの米酢などが妥当でしょうか。)今は、たまたま安く手に入れた、「兵庫丹波の無農薬の米」を用い、「杜氏が造った本格的なもろみ」を、1年がかりで醗酵、熟成させる「静置醗酵」で造られた「純米酢」を使っていますが、普通に買うと値段も値段なので次回はないでしょう。それはともかく、酢は健康のために調味料として、どんどん使っていきたいと思います(あまり酸っぱく感じない工夫の仕方もいろいろとあるようなので)。「はやり」としてはむしろ飲む酢なのでしょうが、残念ながらこちらはまだその予定はありません。
2007.05.01
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4月24日の続きです。・酸化防止剤としてのビタミンE―ビタミンEは、ビタミンCなどと同じように自身が酸化されることで、酸化防止剤としての役目をします。ところで、酸化防止剤として使用されるビタミンEは、ビタミンCと同じようにコスト的なことなどを考えると、天然のものではないと思われます。確かに合成のビタミンEは、サプリメントとしての効果は天然のものに比べると半分しかないようですが、人体に対する悪影響は他のビタミンに比べると比較的少ない(ない)といわれてもいるようです。仮にそれが真実だとするとどうなるでしょうか。無添加の煮干しとビタミンEを添加している煮干し。煮干しは自然に酸化するものです。ですから無添加の煮干しも、少しずつでも酸化していくことになります。一方、ビタミンE添加の煮干しは添加した段階で酸化が抑制されるはずです。しかし代わりにビタミンE自身が「酸化した物」となってしまいます。結局、どちらにしても酸化は避けられないことになります。 となると、次にこう考えてしまうのは無理があるでしょうか。無添加の煮干しを作ろうとした場合、できるだけ酸化しないようにしなければ商品にならないので、きっと原料や製法にこだわるのではないか、そしてそれはひょっとしたら昔ながらの手間のかかるやり方でやるしかないのではないか、ということです。逆に、酸化防止剤添加にすると、心の弱い人間のサガとして安易な方向、例えばより利潤を得るために、あるいは楽をするために、あまり質のよくない原料を使用したり、本来的なやり方ではなく簡単な製法を取るなどということになるのではないか、ということです。かなり無責任に想像してしまいました。本当はそんなことはないのかもしれません。ですが少なくとも、ビタミンCの時と同じく、ビタミンEと明記されていることが健康にいいものがあえて添加されているというわけではないということはいえると思います。そして、他の食品の例からしても、そんなに値段の差がないものならば自然に近い、昔からのやり方で作られた無添加のものを選ぶ方が妥当ではないかと思います。・BHAについて―どこの添加物関係の情報でも「特に危険」、あるいは「危険」という区分にあって、もう十分有名になっている添加物です。西岡一博士のいう「禁止されない4大発がん物質」の中のひとつでもあります。 しかし、BHAとは「食品、医薬品、化粧品に添加することが許可されている物質」です。「正確にはブチルヒドロキシアニソールといいます。」「p-ヒドロキシアニソールにtert-ブタノールを反応させて製造されます。」「ヒドロキシアニソール とはグアヤコールの別名で、歯科で虫歯の穴に浸潤させ、消毒と歯髄神経を麻痺させることに使われている劇薬です。」要は麻酔薬ということです。「これは『正露丸』という大衆薬の最大成分」でもあるそうです。「これにブチル基がついたものがBHAです。 この物質はブチル基がついているため、油脂に溶けます。」ブタノールは、「日本では消防法により危険物第4類(可燃性液体)アルコール類に指定されている」アルコールです。「抗酸化剤としての効果があり、最初はエンジンオイルなどの工業用油脂に添加されていたのが、食用の油脂にも応用が拡大されたものです。」兄弟物質としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)があります。これも食品添加物として認可されています。 「p-クレゾール(原料はコールタール)とイソブチレン(麻薬作用がある=麻薬剤)から化学的合成により製造されます 。」ちょっと聞いただけでも、何やら危ない化学物質からできているという感じのものです。それが食品というわけですから驚きです。そして現実に動物実験によって発がん性が認められ、一度は国も使用禁止にしたのですが、日本に輸出をしている諸外国の圧力により(と一般にいわれているようです)、禁止が解除となり現在に至っているということです。BHA、BHTは、ほんの少しの量で劇的な効果があるということで、酸化防止剤としてまだまださまざさな食品、製品に添加されているようです。魚介冷凍品(生食用冷凍鮮魚介類および生食用冷凍かきを除く)、鯨冷凍品(生食用冷凍鯨肉を除く)、油脂、バター、魚介乾製品、魚介塩蔵品、ガム、ペットフード、プラスチック容器、カップ麺の容器、哺乳ビン用乳首、児童用プラスチック製水筒などなど。しかしメーカーも最近、このBHA、BHTが問題になってきたことを受け、自主的にビタミンEなどを酸化防止剤として使用するようになってきているようです。「それなのに政府はまだBHAなどを禁止しようとしない。メーカーが加工の現場で使わなくしても、原料の段階でそれらを使っている場合がかなりある。その場合はキャリーオーバーとして表示義務がない。」「したがって、私たちは政府がこのBHAなどを許可している限り、これらの物質からのがれることはできそうもない。」結論。キャリーオーバーの問題は難しいことですが、普通は表示しているのでBHA、BHT添加の食品は絶対買わないようにします。煮干しもそうです(できれば無添加)。また、油脂(食用油)、バター、ガム、カップ麺などは他の点からも健康によくないものですから、極力食べないようにするということでかなり防げます。プラスチック容器もガラス容器に代えるなどしてできるだけ使わないようにします。以上のようにして完璧にとはいきませんが、意識することで少しでも安全なものを食べるということができるはずです。 なにやら神経質で、せせこましい気がしますが、こうした「努力」(?)は、「はまってしまうと」けっこうおもしろいものです。(ほんと最近スーパーに行くのが楽しいです、ほとんど買うことはないのですが。有意義な時間つぶしになります。)
2007.04.25
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健康にいいと思って摂取していたものが、実はよくないものだといわれたり、健康にいいといわれるものでも、「ホンモノ」と「ニセモノ」があって、「ニセモノ」は健康によくないものであったりと、なかなか難しい世の中になってきています。そうした中、我が家でも例の「牛乳性悪説事件」(勝手に事件にしてしまいました)の影響で牛乳に代わるカルシウム源として、また添加物たっぷりの甘いお菓子や珍味の代わりに、あるいは化学調味料をやめて本物の「だし」を取るためなどに、「煮干し」を使う(食べる)ことが多くなりました。では、この「煮干し」は大丈夫なのかということになりますが、そうでもないところがあるようなので少し整理してみたいと思います。―「だし」四天王のひとつ煮干しとは―「小魚を煮て干したもので、主に出汁をとる材料として使われる。」「カタクチイワシで作ったものが最も一般的だが、マイワシ、ウルメイワシ、キビナゴ、アジ、サバ、トビウオ(あご)などを原料としたものもある。」「イリコ(炒り子)、じゃこ(雑魚)、だしじゃこ(出汁雑魚)など多くの別名がある。」その原料の製造過程は―1.洗浄「水揚げされた原料(例えばイワシ)は、その鮮度を保つために、砕氷にとともに煮干し加工場まで運ばれ、真水で洗浄されます。この段階ではイワシの70%程度は水分です。」2.煮熟「洗浄されたイワシを90℃から95℃に熱せられた約3%の塩水で煮ます。煮ることにより、イワシがもっている酵素の働きをとめて腐敗を防ぎ、タンパク質を凝固させます。」3.乾燥「煮熟されたイワシは乾燥され、水分が15%から18%になれば出来上がりです。」「昔は天日で乾燥させていたのですが、現在では温風乾燥機や冷風乾燥機も使用されています。」「昔ながらの 天日乾燥が煮干しにとって必ずしも最良の方法ではありません。4月から9月の直射日光は紫外線が強すぎるので、煮干しに悪影響を及ぼします。」「秋の彼岸から春の彼岸までの日差しは煮干しにとってちょうど良いとされています。また、冷風乾燥の方が温風乾燥より煮干しの酸化の程度が低く仕上がります。」「煮干し」の弱点―ここでやっとキーワードが出てきました。煮干し作りと「酸化」は切り離せない問題のようなのです。煮干しの原料となるイワシなど青背の魚には、今話題のEPAやDHAというからだにいいといわれる「n-3系」の脂肪酸がたくさん含まれていますが、「それらの物質は高度不飽和脂肪酸と呼ばれる酸化しやすい」脂なのだそうです。「煮干しの酸化が進行するとEPAやDHAの機能は失われ、生臭みが出てくる等、風味も損なわれてしまいます。」さらに機能や風味が失われるだけでなく、からだに悪い「過酸化脂質」(さびた油)にもなってしまいます。残念ながら、「煮干しはイワシを煮て乾燥させるだけで製造されるので、製造工程の乾燥中に酸化が相当進みます(ちなみに鰹節は 煮て燻しをかけながら乾燥させるので、鰹節の表面にタール分が付着し酸化を防ぎます)。」さらに、「温風乾燥機を使用すると 酸化は促進します。冷風乾燥機を使用すれば酸化が緩慢なのですが、乾燥時間とコストがかかります。」そして、「酸化が相当進行すると油焼けと呼ばれる現象が見られます。具体的には煮干の表面が黄ばみだし赤くなっていきます。この状態になって、酸化の度合いが目で確認できるようになります。」こうなってしまっては当然売り物になりません。そこで、この酸化を防ぐために酸化防止剤を添加するわけです。「天産品(天然物)なので全て無添加と思いがちですが、添加物を使用したものがあります。」「全国煮干協会では、酸化防止剤としての『抽出ビタミンE』の使用を認めております。」「流通量は、無添加品と半々くらいでしょうか?」酸化を防ぐために「抽出ビタミンE」の他にも、「BHA」というものも使用するようです。「全国煮干協会では、この種の添加物使用品の流通をさせないよう話し合いがなされていますが、会員の中にも使用したものを好む業者もあります。煮干し類の酸化を遅らせるのにとても有効だからです。」BHAは、ほんの少しの量で劇的な効果があるのだそうです。「食品衛生法で禁止されていない物質ですので、規制するわけにはいきませんが、消費者のイメージを確保するためにも」協会としては、使用しないようにと謳っているということです。酸化防止剤のほかに、中には「着色料」が使用されているものもあるそうです。「必要ないと思うのですが、使われているものがあります。煮沸した魚の目は白いはずなのに青くなっていたりするので分かりやすいです。」また、量販店で販売される製品の多くは、密閉容器に脱酸素剤と伴に封入され、酸化を防ぐ工夫が施されているのだそうです。「低温で保管されていると、煮干しの酸化とそれに伴う油焼けの進行は緩慢になります。」ということで、家で煮干しを保管する場合は、密閉容器に脱酸素剤と一緒に入れておくか、冷蔵庫、冷凍庫に入れて置くのがいいのだそうです。煮干しについては以上です。煮干しにも「3種類ある」ということがわかりました(着色料添加は論外です)。「無添加」のもの、「抽出ビタミンEが添加」されたもの、「BHAが添加」されたものです。 無添加煮干 では次に、添加されているものについて整理していきたいと思います。―ビタミンEについて―ビタミンCと違い、脂溶性のビタミン。酸や熱に強い。ビタミンEもビタミンCと同じようにとても優れた特性があり、人間には不可欠な物質です。酸化を防ぐ働きは、人間のからだの中でもやってくれるので、その機能、特徴は以下のようなものになります。・体内の過酸化脂質の生成を防ぎ、細胞の老化を防ぐ働き。・血液中にあるコレステロールの酸化を防ぐ作用があり、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病を予防する効果あり。・末梢神経を広げて血行を促進し、自律神経を整える。・血流がよくなるので、冷え性や肩こり、腰痛などが改善される。・全身の血行がよくなることで新陳代謝が活発になり、肌にハリが出る。・紫外線に対する抵抗力を上げる特性もあるので、シミやそばかすにも効果的。・女性ホルモンや男性ホルモンの代謝にも関与しているので、生理痛や生理不順を改善、最近では、女性の不妊症や更年期障害の治療に使用されている。男性の場合は、精子の数を増やしたり、活性化させるなど精力を高める効果がある。脂溶性ビタミンということで、油で炒めるなどの調理をすると、吸収効率がよくなる。また、ビタミンCといっしょに取ると、相乗効果で抗酸化パワーがアップする。ビタミンEは化学名をトコフェロールといいますが、1つだけあるのではないそうです。「ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールがあり、それぞれα、β、γ、δの4種類、計8種類あります。」工学異性体というのだそうです。そのうち、上述のような人間の体内での働きに優れているのはα-トコフェロールだそうです。そこで、このα-トコフェロールを工業的に造ろうということになるわけです。その方が安く、大量に、安定して販売できるからです。「安価に日本で販売されるビタミンEの多くが、人工的に作られたα-トコフェロールだけを含む商品です。」「人工という意味のdl-という表示が付いているかを確認してみてください。天然のトコフェロールはd-という表示になります。」合成のビタミンEの原料は、「トリメチルヒドロキノン」と「イソフィトール」というものだそうです。残念ながら、これが素人にわかりやすくいうと何なのかはよくわかりませんでした。とにかくこれに、さまざまな化学物質を反応させてα-トコフェロールを作るようです。ちなみに「ヒドロキノン(皮膚薬の場合はハイドロキノンと呼ばれることのほうが多い)は、その強力な漂白作用を利用して、美白剤として皮膚科などで処方されるほか、薬局などでヒドロキノン配合の軟膏・クリーム等が市販されている」ということです。全般的にビタミンは、人工的に合成されたものよりも天然のものの方が効果があるといわれていますが、その中でも特にビタミンEは、天然のものの方がいいとされているようです。「ビタミンEは天然と同じものは作れない為に、合成ビタミンEは天然ビタミンEにくらべて生理活性が劣ります。」「生理活性が高いのは天然のトコフェロールです。最近の研究により天然と合成では生体内の利用性が1:0.5程度とされています。」「天然素材から抽出したトコフェロールには、分離しきれない4種類のトコフェロールが含まれます。抗酸化作用は、これらの4種類のトコフェロールが入っているビタミンEが最も強いといわれています。」「4種類のトコフェロールとは、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールです。」「合成ビタミンや、天然素材からビタミンを抽出し合成した物は、成分表に書いてある、ビタミンや栄養素しか入っていません。」「しかし、天然素材を無精製でサプリメントにした物は、食物が持っている、カロチン群やフラボノイド、ファイトケミカルなども含んでおり、それらの物も同時に摂取できます。」「こういった物質は、ビタミンの働きを助けたり活性酸素を除去したり、人に有用な作用を示すことが知られています。」 「フィンランドショック」という言葉があるそうです。1994年にフィンランドで合成β-カロチンとプラセボを投与して喫煙者が肺がんになる確率を調べたというものです。結果は、合成β-カロチンを与えたグループの方が、プラセボのグループよりも肺ガンになる人が多いという以外な結果がでたのだそうです。β-カロチンは体内でビタミンAに変わり、そのビタミンAはビタミンEと同じように抗酸化作用があるといわれているものです。にもかかわらず、試験の結果は逆になったわけです。ここで導き出された結論。「ガン予防はβ-カロチンだけが働いているのではなく、野菜や果物が持っている、α-カロチンなどのカロチン群や様々な機能性成分が相互的に複合して働いているという事です。」「そして試験中の喫煙者においては、合成的につくられたβ-カロチンでは、ガン予防どころか逆にガンを誘発する」結果になったということです。ビタミンCの項でもありましたが、ビタミン類はその由来を見て選択することがとても大事だということがわかります。酸化防止剤としてのビタミンEについては続きで。
2007.04.24
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安部司さんの『食品の裏側』にも出てきて、すっかり有名になった(はずの)「コーヒーフレッシュ」ですが、安部司さんはこれを「フェイク食品」と呼んでいました。この「コーヒーフレッシュ」、教えてもらわなければ疑うことすらせずに使っていたことでしょう。考えてみると、このコーヒーフレッシュを自分で買ったという記憶がありません。家で使うことはないからです。買っていれば、ひょっとしたら袋の裏の表示を見て、乳製品ではないことに気づいたかもしれません。 使うのはたいてい、ファミレスとか喫茶店とかファーストフード店などでです。コーヒーを頼むとサービスで付いてきたり、テーブルに置いてあったりするからです。果たして、ファミレスとか喫茶店とかファーストフード店の人たちは、知ってて出しているのでしょうか、知らずにミルクと思って出しているのでしょうか、それを知りたくなりました。「これは本物ではありません、本物に似せて作った人工の○○ですので、お間違えのないように」といった但し書きが大きく表示されていれば、それはそれでいいのでしょうが、こういった「人の常識」をうまく利用するような「ずるさ」があるものは、確かに問題な気がします。それが例えば、「かにかま(かに風味かまぼこ)」のように、すでに一般の認知度が高くて、もはや誰もそれに本物の蟹が入っているとは思っていないようなものは、特に問題視されるようなことはないのかもしれません。しかし、この「かにかま」にしても、アメリカで市販されているものを買ったり、食べたりしているアメリカ人の多くは本物の蟹だと思っているといいますから、やはりなにかすっきりしない気がします。そしてより問題となるのが、それらがどんなもので作られているのかという点です。単に安くて容易に手に入る食材とか、似たような姿、味、食感の食材に変えただけだというならば、表示さえしっかりしてくれればさほど問題はないかもしれません。しかし残念なことに、そうしたいわば「純粋な代替食品」よりも、さまざまに「工夫」が施された「ニセモノ」食品の方が多いようなのです。ということはつまり、こういった食品を食べるということが、「知らないうちに予期しない変なもの」を食べてしまうということになるわけです。それらは一般に「コピー食品」、あるいは「イミテーション食品」と呼ばれるそうです。コピー食品とは、「他の食材に似せて、別の食材を用いて作った加工食品」のこと。「天然の食材が高価で稀少な場合にしばしば製造されるが、病気などによって食物制限がある場合に、代用食として用いられる場合もある。また、意外性、意匠性を目的に作られる場合もある。」必要に迫られて作られている「コピー食品」もあるようで、一概に非難(?)はできないようです。そして、その歴史も結構古いのだそうです。たとえば、お寺などで出される「精進料理」も「コピー食品」といえるのだそうです。そもそもは宗教的理由から肉類を食べなかった僧たちが、工夫をしていった料理が精進料理なのだそうです。また、おでんの具である「がんもどき」も、もともとは精進料理のひとつであり、肉の代用品として作られたのだそうです。さらに、当時高価なものだったバターの代替として作られたマーガリン、ハムの代替として作られた魚肉ソーセージも「コピー食品」といえます。そして現在では、「食品の加工技術の進歩により、様々な分野で多量に製造、利用されだしている」のだそうです。以下、コピー食品といわれるものたちの一覧を、予想以上にたくさんあったので一部コピーさせてもらいました。1.海 産 物 ・カニ足(かにかま)、ホタテ、イカリング → スケソウダラのすり身をベースに加工(風味かまぼこ) ・イクラ<本来はサケの卵をほぐす> → 人造(多糖類+ガム類+植物油) ・キャビア<本来はチョウザメの卵> → ランプフィッシュ(ぼうぼうの仲間)やトビウオの卵を黒く着色 ・カズノコ<本来はニシンの卵> → カペリン(北欧産シシャモ?)の卵をベースに成型 ・カラスミ<本来はボラの卵巣> → サメやタラの卵をベースに成型 ・シシャモ<北海道の川で産卵> → カラフトシシャモ(海で産卵)、北欧産のカペリン使用 ・カワハギ → ほとんどがウマズラハギを使用 ・ワカサギ → ワカサギより大きく味の劣るチカを使用 ・のりの佃煮 → 大部分がヒトエグサを原料とする ・サケの缶詰 → 原料はカラフトマスが多い(刻印PS)。(サケはCS) ・赤貝の缶詰 → 原料はサルボウ(モガイともいう)がほとんど 2.畜肉製品 ・魚肉ハム、魚肉ソーセージ、マリンビーフ → 魚肉を使用して畜肉製品に似せる ・ハム類<本来は豚肉製品> → 羊肉、馬肉、鶏肉、兎肉、魚肉、植物蛋白、でんぷんを混ぜて増量 ・ビーフジャーキー、コンビーフ、そぼろ、ハンバーグ、ミートボール、ミートソース、 コロッケ、ギョウザ、肉まん、など多数 → 人造肉のみを使用するか人造肉を増量に使用 ※植物蛋白質(大豆や小麦から抽出)や魚肉(マリンビーフ化)を特殊成型化する ・成型肉(ステーキ類) → ばら肉(くず肉や内臓肉も)と脂身を接着成型して製造 3.乳 製 品 ・マーガリン ※乳蛋白質(カゼイン)の代わりに植物性蛋白質を使用 ・チーズ ※乳脂肪の代わりに硬化油やパーム油・やし油を使用 ・ミルク(コーヒー用など) 硬化油は植物油を水素添加して製造 → 植物油ではなくなる ・豆 乳 やし油やパーム油の脂肪酸組成は動物性脂肪以上に飽和が多い ・アイスクリーム → 乳固型分と乳脂肪分の量で分類。 アイスクリーム>アイスミルク>ラクトアイス>氷菓 4.そ の 他 ・ロングエッグ → 黄身と白身を分離し、同心円状の筒型に成型し直す。成型に添加物 使用 ・わさび(粉&練り)→ わさび大根(西洋わさび)+着色料。(+洋がらし)(+でんぷん)物も ・漬 物 → 保存料や着色料を添加。人工甘味料を添加。混合調味液で味付け ・しめじ → 大部分はヒラタケである ・チョコレート → カカオ脂の代わりに硬化油を添加 など。見てのとおり、ほとんどが身近な商品ばかりです。そして、練り物(かまぼこ、ソーセージ)、成形肉、ハム、マーガリン、アイスクリーム、チョコレートなど、すでにいろいろな問題を指摘されているものが少なくないようです。よって、結論としてはもう明らかです。「コピー食品」といわれるもの、特に加工し、味付けをしているものは買わない、食べないということです。自然のものを別の自然のものに変えるだけならいいのでしょうが、自然のものを「人工的に」作り出そうとしたとたん、無理が出てきます。無理はどこかにしわ寄せが来ます。結論は決まっているのですが、上記の中からひとつだけ取り上げたい食品があります。それは、イクラ→人工イクラ、です。イクラとは、「筋子の卵巣膜(卵を包む薄い膜)を取り除き、産卵前の熟した卵を1粒ずつに分けた物。」そして、「筋子(すじこ)とは、サケ科魚類の卵巣のこと」 です。そのイクラですが、本物はけっこう高価で鮮度維持が難しいということから、人工イクラが開発されたのだそうです。人工イクラは、「安価で粒も揃っていて、扱いが容易」だからです。現在、日本のコピー食品技術は世界的にも高水準にあるそうで、そんな中でも特に人工イクラは、味や匂いでニセモノと見抜くのはとても難しいといわれるほど、本物そっくりなのだそうです。ましてや一見しただけでは全くわからないのだとか。唯一の見分け方は、「お湯をかけると白く濁る方が本物、という方法」だそうです。しかしこれでは、まず買わなければならないし、どこでもできるというわけでもありません。さらに驚いたことに、そこまで完璧な人工イクラは無理としても、見た目がそれなりのものは、誰でも結構簡単に作れるのだそうです。 「最近では学校の理科の実験課題としても使われている」そうです(へえ~!)。実はこの「人工イクラ」も安部司さんに教えていただきました。あるテレビ番組の特集の中で、白い粉や何かの液体を手際よく調合して作っていました。使ったのは、サラダ油、着色料、増粘剤、アルギン酸ナトリウム、塩化カルシウムなのだそうです。これらをうまい具合に調合すると、あっという間にあのイクラの粒々が出来上がります(味はともかくとして)。しかし、これらの原料の中で我々が普通に食べるものといえるのは、アルギン酸ナトリウム(こんぶのヌメヌメ成分)くらいです。あとは普通、家で食べるものではありません。調理としては使いますが、サラダ油も普通食べません(健康にいい油もありますが)。増粘剤も何かと指摘されることの多い添加物です。これらを食べるということは、コーヒーフレッシュと同じで添加物入りのサラダ油を食べるということです。さらに、「塩化カルシウム」は、豆腐用の凝固剤としても使用されている食品添加物らしいのですが、より一般的には、除湿剤や融雪剤として使用されている化学物質です。図で見ると、人工イクラの構造はこのようになっています。 一番外側の膜としてアルギン酸ナトリウム、、 その内側の内容物としてカラギーナン,ゼラチン,ペクチンなどの増粘剤の混合物、 一番内側の目玉(本当に目玉になるわけではありません)の部分としてサラダ油(赤色は着色料)。ですから、塩化カルシウムを直接食べるというわけではないようですが、しかし、それに触れることで出来上がる食品だということです。ちなみに、融雪剤として撒布された塩化カルシウムは、撒かれた周辺の植生にとって有害となる、あるいは、鉄筋コンクリートに対しても悪影響がある、さらに、自動車の車体や車輪に付着して早期腐食や早期劣化の原因となる、素手で塩化カルシウムを撒くと皮膚炎の原因となる、といった害があるようです。繰り返しになりますが、知っていた上で、買って食べるのは個人の自由だと思うのですが、知らされずに買ってしまったり、あるいは知らないで食べさせられたりするというのはいかがなものでしょう。考えてみると、同じコピー食品でも、キャビアやカラスミは、かなり高価だという認識がある上に、一般にはあまり馴染みがない(わたしだけ?)ということもあって、うまく住み分けができるのかもしれません。しかし、イクラはそうはいかない気がします。「回転寿司や駅弁、スーパーの惣菜など安い商品のほとんどが人工イクラを使用」している。「一度は廉価な鮨ネタにも普及したが、その後不幸にもロシア産のイクラ価格が暴落、現在では市場を天然輸入物に奪われて姿を消した。」スーパーでは見かけたことはないように思いますが、実際のところはどうなのでしょうか。
2007.04.20
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(「酸化防止剤」、「酸化」については、4月5日の項にあります。)4月16日の続きです。・酸化を防ぐ「ビタミンC(L-アスコルビン酸)」について―ビタミンCの特性については以前(4月5日の項)で簡単に整理しました。今回は、「天然のビタミンC」と「合成のビタミンC」の違いについて整理したいと思います。健康のためにと思って、いざビタミンCを購入しようとすると、その価格差に思わず悩んでしまいます。数百円のものから数千円のものまで、さまざまにあるからです。買う側とすれば安いにこしたことはないですが、安いものは「それなりの理由」があるはずです。調べてみると、やっぱり「それなりの理由」はあるのでした。以下、長々と引用してしまいます。「体内で作られることがなく、水に溶けやすく、火にも弱い性質のビタミンC。こんな難しい性質のビタミンCですので、自然のものから抽出するとなると、かなり難しくコストもそれなりにかかってしまいます。」「普通」は、結構高いものらしいのです。で、考えるのが人間です、なんとか安くできないものかと。そこで、価格的にも安くて大量生産ができ、天然のビタミンCと「同じような働きをする」ものを「人工的に」造ったわけです。それが「合成のビタミンC」というわけです。「もちろん、『合成のビタミンC』などと表示する義務などなく、私達は合成されたビタミンCがあることなど知らずに毎日を送っています。」そうです。あるいは、人類はついに天然と同じものを人工的に造れるようになったのだ、と思ったりします。これだけ進んだ世の中なのですから。でも、現実はそうではないようです。合成のビタミンCは、日夜、工場で大量生産されています。原料は主にジャガイモやトウモロコシ(その品質にも問題があったりするようです)。それらのデンプンからブドウ糖を造り、さらにそのブドウ糖から合成されるのだそうです。ブドウ糖からビタミンCがなぜ造れるのか不思議です。ちなみに、本来ビタミンCは無味無臭なのだそうです。「この時に製造過程でいろいろな薬品を使います。さらに、凝固剤や増粘剤を加えたり、合成着色料や合成香料も使ったりします。そして、それらの薬品のほとんどは石油由来のものです。」合成ビタミンCの全てがこうしたものではないかもしれませんが、これではまるで添加物入りの加工食品と同じです。「こんなものを毎日食べ続けたとしたら・・・からだに良いはずのビタミンCが逆にからだに悪影響を及ぼしかねません。」確かにそう思います。「合成ビタミン剤はあなたの懐を痛めない代わりに、あなたの胃を痛めるかもしれない」「これはアメリカの有名な薬学博士が、合成のビタミン剤と天然のビタミン剤はどう違うか聞かれたときの答えだそうです。」う~ん、名言でしょうか。ただし字義通り、胃が痛くなるだけならいいのですが。「天然のビタミンCは抽出が難しく、高価なものです。一方、人工的に大量生産された、合成のビタミンCは手ごろな価格で販売されています。」「しかし、合成ビタミンCは大量に取ると体内でデヒドロアスコルビン酸という、からだに悪い影響を与える物質に変わることが分かり、大量摂取に疑問の声も上がっています。」4月5日の項でも触れましたが、ビタミンCは酸化還元をしていく過程でさまざまに変化し、その時からだに害のある活性酸素を発生させるというものでした。そのあたりをもう少し整理すると、「アスコルビン酸(ビタミンC)は抗酸化作用の結果、酸化されモノデヒドロアスコルビン酸ラジカル(MDA)を生じ、さらに安定なデヒドロアスコルビン酸へと変わります。このMDAは、種々の酵素や細胞に傷害を与えることが知られています。」今までこのMDAは、その毒性は低いといわれてきたそうですが、ここにきて、「さらに詳しい研究が望まれる」状況が出てきているようなのです。ちなみに、MDAは、「MDA還元酵素によって再びビタミンCへと変わることが可能」だそうです。では、買おうとしているビタミンCが、そんな危ない「合成ビタミンC」なのかどうかの見分け方はあるのでしょうか。 XAFFA サファ VCカプセル ベストカムカムあるのです。それも結構簡単な見分け方です。1.原材料表示の欄に「ビタミンC」と書いてある。天然の原料、例えば、レモン、ライム、タンジェリン、グレープフルーツなどの柑橘系の果実や、ローズヒップ、アセロラ、クランベリー、オレンジ果皮、ピーマンなどと記載されずに、ただ「ビタミンC」と書かれているものだそうです。つまり、原料となっている天然由来の食物が記載されていない=デンプンから合成されたもの、というわけです。2.粒が小さめである。 「現在、1g当たりに100mg以上の天然ビタミンCを入れることは大変困難なこと」なのだそうです。「例えば、『1粒で1000mgのビタミンC』なんて書いてあるものは、本来、天然ビタミンCで作ると1粒が小さなカップのゼリーくらいの大きさのものになってしまいます。」「小さな粒状に天然のビタミンCを入れるのは、技術・コスト共に今現在は大変難しいこと」なのだそうです。3.粒の色が白い。 「天然のビタミンCは原材料そのものの色なので、基本的に白色にはなりません。」新谷博士ではないですが、白い食べ物はからだに悪い、というところでしょうか。白いビタミンC=化学的なものなのだそうです。以上の項目に1つでも当てはまったなら、そのビタミンCは天然ではない可能性が大きいということです。「特に1.の場合、ほぼ間違いなく合成ビタミンC」だそうです。これを参考に、本物のビタミンCを摂取したいと思いますが、本物はやはり値段がそれなりにします(そこが、残された問題のひとつです)。次に、ビタミンCの摂り方についてです。「ビタミンCは水溶性で、必要量以外は水分となって身体の外に出て行ってしまいますので、一度に多量に摂ってもムダになってしまいます。」「一日一回で必要量を摂るよりも、数回に分けて摂るのが効果的です。」さらに、「一度に500mgを超えて摂取しても、体内吸収に大幅な増加は見られない」のだそうです。しかも、「空腹時よりも食後に摂取すると、ビタミンCの吸収が持続するので、毎食後に摂るのが一番理想的」なのだそうです。知りませんでした。 アマゾンカムカム果汁100% バイタルケアーズビタミンC 結論。せっかく健康を考えて摂取するビタミンCなら、やはり本物の「天然由来」のビタミンCにするべきです。天然由来には、ビタミンCのほかにもいろいろな有効成分が自然な形で含有しているといいます。ひょっとしたら、ここが大事な点なのかもしれません。そしてできれば、無農薬などのいい原料を使い、製造工程もしっかりしたところで作り、そして原料にあまり他の添加物が加えられていないものがいいのでしょう。人工的なものはいくらまねをしても、自然のものとはどこかが違っているというのは、他の食品添加物、例えば、化学調味料などをみれば一目瞭然です。化学調味料は、単にニセモノであるというだけでなく、健康に悪影響を及ぼす最悪の食品です。合成のビタミンCも、天然のものに比べて、少し効果が劣るだけというレベルのものなら特に問題はないのですが、本当のところはどうなのでしょうか。また、ビタミンCは、強力な「抗酸化物質」であると同時に、「酸化防止剤」としても使用されています。上述の理屈からすると、「酸化防止剤」として使用されるビタミンCは、ほぼ間違いなく「合成」だと思われます(コストや手間を考えると)。ということは、やはり清涼飲料水などに添加されているビタミンCは、人工的に薬品で造られた上に、酸化してしまっている、体によくないビタミンCということになります。お茶などの清涼飲料水以外にも、酸化防止剤としてビタミンCが使われている加工品には、果実加工品、漬物、惣菜、パンなどがあるようです。最近は、「安全な酸化防止剤」として、使用頻度も高くなっているようなのですが。
2007.04.17
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昔の人たちは、腐敗や酸化による劣化から食べ物を守るために、さまざまな工夫をしてきました。低温での保存、乾燥させた食品、発酵食品、塩漬け、燻製、びん詰め、缶詰め、などなど。その英知には、本当に驚きと敬意を感じてしまいます。しかし現在は、もっと安上がりで、効率よく、簡単に、かつ大量に、あらゆる劣化から食品を守る手段が取られています。それは化学物質(=食品添加物)に頼るという方法です。そうした劣化のうちのひとつである酸化から食品を守るということも、添加物でできるというわけです。そして、その食品添加物は「酸化防止剤」と呼ばれています。また、今盛んに話題になっているものに、体のさびを取ってくれる、あるいは、病気や老化の原因である「活性酸素」から体を守ってくれるといわれている「抗酸化物質」というものがあります。今回は、これら酸化を防いでくれるものたちについて、一挙にまとめて整理できればと思います。まずは手っ取り早く、簡単な一覧表にしてみます。(一部に抗酸化作用のないものも、便宜上含んでしまいますが。)《主な酸化防止剤の種類》・L-アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)・トコフェロール(ビタミンE、V.E)・エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)・コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)・緑茶抽出物(カテキン)・ローズマリー抽出物 ・ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)・ブチルヒドロキシアニソール(BHA)・亜硫酸ナトリウム・二酸化硫黄《主な抗酸化物質の種類》<体内抗酸化酵素 >・SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)・カタラーゼ・グルタチオンペルオキシターゼ <ビタミン/ミネラル> ・ビタミンC ・ビタミンE ・セレン <植物由来の抗酸化物資(SOD様物質)> ―植物の含流化合物「イオウ化合物」類―・アリシン・アリイン・アホエン・イソチオシアネート・アリルメチルトリスフィド・ギアリルスルフィド―植物の脂溶性色素である「カロチノイド 」類―(カロテン類)・αカロチン ・βカロチン ・γカロチン ・リコピン (キサントフィル類)・ルティン・ゼアキサンチン・カプサイシン・アスタキサンチン・クリプトキサンチン ―植物の花や葉、樹皮、茎などに含まれる「ポリフェノール」類―・フラボノイド ・カテキン ・大豆サポニン・タンニン ・カカオマスポリフェノール・アントシアニン ・クルクミン・イソフラボン ・ショウガオール・ケルセチン・海岸松樹皮(ピクノジェノール)それぞれの詳細については、つづく・・・ということで。
2007.04.16
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前々回に登場した「活性酸素」といわれるものの中に、「過酸化水素」というものがありました。当然、この「過酸化水素」も危険な物質で、現に発がん性が認められているという代物なのですが、なんと驚くことに食品添加物として認められているものでもあるのです。「過酸化水素は、化学式 H2O2 で表される化合物。酸化剤・殺菌剤・漂白剤として利用される。」「濃度30%の過酸化水素水として市販されており、また、濃度3%の過酸化水素水はオキシドール、オキシフルという商品名で殺菌や消毒用として販売されている。」「衣類用酸素系漂白剤としても市販されている。」また、髪の脱色に使用されたり、コンタクトレンズの洗浄剤としても使用されているそうです。さらに、「全体の使用量では、製紙の際の漂白や半導体の洗浄など、工業的な利用が大部分を占める。」特に、古新聞などの古紙の漂白や繊維の漂白に使用されるのだそうです。というのも、「塩素系の漂白剤が多量の廃棄物を生じるのに対し、過酸化水素は最終的には無害な水と酸素に分解するため、工業利用するには環境にやさしい物質である」からだそうです。以上のように過酸化水素は、さまざまな用途に安全、環境にやさしい物質として、昔から現在に至るまで使われてきているというわけです。しかし、食品分野での過酸化水素は現在、業界の自主規制によりほとんど使用されていないといわれています。というのも、1980年に厚生省が突然「発ガン性が認められたので使用しないように」と通達を出したからです。それまで過酸化水素は食品分野でも、ゆで麺やかまぼこ、はんぺんなどの殺菌、漂白に広く使われていたので、関係業界は混乱し、一般国民も驚きました。しかしさらに驚いたことに、翌年の「1981年4月に食品衛生調査会毒性部会は、数の子を過酸化水素で漂白、殺菌した後、それを除去する新しい技術が得られたという理由から、再び過酸化水素の使用を許可する意見を出したのです。」「新しい技術とは、過酸化水素を分解酵素(カタラーゼ)によって分解し、さらに亜硫酸で中和するという方法です。」つまり、製造過程で使用しても、完成した製品に「残存していなければOK」ということになったわけです。そしてそれは、そのまま現在に至っているというわけです。はたして現在、過酸化水素を取り巻く状況はどうなっているのでしょうか?・食品分野で殺菌、漂白する時に過酸化水素は使用されているのでしょうか。・使用されている場合、残存はしていないのでしょうか。・食品以外で使用されている過酸化水素は害がないのでしょうか。・特にじかに肌に触れる消毒液のオキシドールやコンタクトレンズの洗浄液、衣類用酸素系漂白剤は大丈夫なのでしょうか。そのあたりを整理したいと思います。・食品の殺菌、漂白に関して―数の子に関しては、どうやら過酸化水素で漂白しているのが一般的なようです。というのも、上述の国の意見書によれば、過酸化水素が残存しない方法が開発されたということだったにもかかわらず、その効果はあまりないのか、使用していること自体がマイナスイメージなためなのか、あるいは過酸化水素以外の残存してしまう添加物で漂白しているためなのかわかりませんが、販売市場では「無漂白の数の子」というネーミングが「セールスポイント」となっているからです。 「無漂白 数の子」 「無漂白 数の子」 とにかく「普通の」数の子は、「残存してしまう、よくない添加物」で漂白、殺菌されている可能性が高いということのようです。よって、安くもないものですし、なければ困るというものでもないので(個人的にはです)、この際基本的に、数の子を食べるのはやめます(今までもあまり食べることはなかったですが。あ!味の付いた数の子入りの加工品は食べていました)。正月などにどうしてもという場合は、無漂白、無添加の数の子を選びたいと思います(高くなるんでしょうか)。今では過酸化水素は自主的に使用していないという練り物関係、はんぺん、かまぼこ、ちくわなどに関しては、いろいろな添加物が豊富に使用されているというのが現状です。その点からしてすでにアウトですから、過酸化水素を使っていないとしても食べられません。どうしてもという場合は、やはり無添加のものを選びます。ゆで麺に関しても、乾麺にするなどして食べないようにするか、無添加をうたっているものにします。というのも、過酸化水素は、製造過程で使用したとしても、残存しないことが前提で使用しているため(現実に100%残存しないから、ということではなくです)、原材料表示の義務はない(!)ということだからです。・食品以外のものに関して―消毒剤オキシドールに関しては、一般にいわれている副作用はどれも、高濃度の場合に皮膚や粘膜などが「やけど」の状態になる(ので注意が必要)くらいで、特に重篤な症状は述べられていません。高濃度の過酸化水素を普通は、飲んだり、目にさしたり、吸入したりすることはないわけですから、低濃度での使用に関してはほとんど問題ないというところでしょうか。ところで、オキシドール(過酸化水素)の殺菌剤としての作用はどういうものかというと―例えば、転んで怪我をした時に傷口をオキシドールで洗うと泡がたってきます。この反応は、組織や血液の「カタラーゼ」によって過酸化水素が分解され、酸素が発生するためであり、この時に生じた酸素を殺菌に利用しているのだそうです。100%過酸化水素が分解されるのか、一抹の不安は感じます。100%分解されない場合は、「経皮毒」となるわけです。また、コンタクトレンズの洗浄剤として過酸化水素が使用されている場合は、洗浄後、中和剤(カタラーゼなどを含有)で十分に中和し、よく洗い流さなければいけないのだそうです(使っていないので知りませんでした)。衣類用酸素系漂白剤は、「過炭酸ナトリウム」と過酸化水素の2つの成分があるそうです。どちらも塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)のように、強力な漂白作用ではありませんが、人体や環境への悪影響が少ない殺菌、漂白剤ということで使われているようです。過炭酸ナトリウムは、「水に溶けると過酸化水素と炭酸ソーダに解離し、過酸化水素は水中や空気中で水と酸素に分解するため、洗濯物に残留することも、水を汚すこともありません。漂白や殺菌の効果は過酸化水素からでる酸素によって得られます。」ということで、過炭酸ナトリウムも結局、過酸化水素の作用で漂白していることになります。そしてどうやら、この酸素系漂白剤では洗い物(衣類や食器)に過酸化水素が残留することはないようなので安全だといえるようです。 「酸素系漂白剤」 「酸素系漂白剤」病気の原因となる活性酸素のひとつである過酸化水素ですが、その殺菌、漂白作用は優れていて、かつ他の物質、例えば塩素系の殺菌、漂白剤に比べると非常に安全であるといえます。問題は残留しているかどうか、使われた過酸化水素のほとんどが無害な水と酸素に分解しているかどうかが重要な点となるようです。「過酸化水素は少量を経口投与しても、体内のカタラーゼによって急速に分解されるので毒性は現れないが、投与量を増やせばいろいろな障害が発生する」という動物実験の結果があるそうです。ある閾値(臨界点)を超えない限りは大丈夫ということでしょうか。カタラーゼは偉い! 大事にしなければいけません。もう一度整理すると、・いろいろ調べた結果からすると、そんなに神経質になる必要もないかもしれませんが、まずは過酸化水素を使用しているような食品は摂取しない。食べるなら無添加、無漂白と表示しているものを選ぶ。・オキシドールもむやみに使わない(当たり前ですネ)。・髪を脱色するのもいいとはいえないようです。・コンタクトレンズの洗浄に使う時は、必ず中和してよくすすぐ。・酸素系漂白剤も、塩素系と違って安全だと過信せず、よくすすぐ。という結論になりました。追伸。過酸化水素はあらゆる食品に(天然のものでも)「自然に」含有しているものだというデータもあるようです。一方で、過酸化水素は、いろいろな容器の殺菌に使われているといます。例えば、コーヒーに入れる「コーヒーフレッシュ」というクリーム(実はクリームなどではなく、主体はサラダ油だということが暴露されていますが)の容器の滅菌に過酸化水素が使われているそうです。過酸化水素の液に浸けて滅菌した後、液から引き上げて熱風乾燥して過酸化水素を蒸発させて、クリーム(サラダ油)を充填するのだそうです。容器への残留具合が気にかかります。塩素消毒よりはかなりまし、と考えた方がいいのでしょうか。
2007.04.13
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先日、近くのスーパーで本物のわさび、「本わさび」を買いました!以前「チューブ入りわさび」の項で、「いつかは本物のわさびを・・・」といっていたのですが、意外に早く手に入れることができたというわけです。というのも、定価598円のものが期限切迫品?ということで、なんと200円で売られていたからです。それでも、値段は「缶入りわさび」よりも高いわけだし、使える量も缶入りに比べればはるかに少ないので、かなり割り高となります。 「畑でもできるわさび!」大きさ形はこんな感じの、ただし清流で育った「静岡産本わさび」、思い切って買ったわけです(1本です)。いい年をしていうのもなんですが、値段はともあれ、何事も初めてのものを買うというのは、それなりに緊張し興奮するものです(ちょっと大げさでしょうか)。わさびを買ったら、刺身も買わなければいけません。ということで、本県自慢の地場産「活ほたて」を買い、いざ自宅へと戻り、早速試食ということになりました。ところが、わさびのおろし方がよくわかりません。ということで、ネットにお伺いを立てました。「わさびは一般的に上の方(茎や葉のついている方)が下の方(先端部)に比べ辛味が強いと言われ、『上の方からするのが通!』と聞きますが、辛味成分の分析の結果、上の方と下の方で差は見られませんでした。」「ただし、わさびは上へ上へ(茎や葉のついている方)と育っていく植物ですので、下の方(先端部)が細胞が古く上の方が若く新鮮です。言いかえれば上の方が柔らかく、香り、粘りも強く緑色もきれいなため、使い方としては上の方からおろすことをおすすめします。」「わさびのすりおろし方は、わさびについている茎を外側から1本1本取り除き、タワシなどで全体の泥をきれいに落とし(もし黒い部分があったら先の尖った物でえくるように取る)、よく水洗いした後、目の細かいおろし板でゆっくりと練るように(『の』の字を描くように)おろします。この方法が「わさび」の辛味細胞を最も効率的に壊す、すなわち辛味を引き出すコツと言えます。」「また、おろしたわさびの辛味、風味が弱いときは、おろしたわさびをまな板にのせ包丁の背で叩くと粘り、辛味、風味が増します。」「なお、わさびのおろす部分に、ほんの少々の砂糖をつけてすりおろすと辛味が増します。」なるほど、そうだったのか(ちょっと失敗しました)。保存の仕方は、「1.わさびを水に濡らした布、新聞紙などで包みラップして冷蔵庫(野菜室)へ保管 (注意点:わさびが乾かないようにする)」 「2.コップに水を入れ、中にわさびを立て冷蔵庫(野菜室)へ保管(注意点:こまめに毎日水を換えること)などがあり、このような方法で1ヶ月ほどの保存は可能です。」なるほど(早速そうしなければ)。残念ながら家には鮫皮のおろし器がないので、普通のおろし器ですりおろしました。目が粗いので、どうしても細かくはならなかったのですが、匂いからもう「にせもののわさび」とは比べ物になりません。あのツンとくる香りが、何ともいえないやさしさと柔らかさを持っているのです(表現がへたです、料理紹介番組のようにはいえないものですネ)。さらに、味はというと、この味を覚えてしまったら「にせもの」を使うことはもうできなくなりそうなくらい、おいしい。風味があるというのでしょうか、辛いのは辛いのですが、おいしいのです。もう、ほたてがメインなのか、わさびがメインなのか分からなくなるほどです(おいしいということを表現するのは難しいです。)次の日の朝は、長芋のとろろにもこのわさびを入れました。これまたおいしい。主張しているのに、ちゃんと主役を引き立てているといった感じでしょうか。もう我が家では大人気となりました(大人だけですが)。しかしそんなわさびも残りあとわずか。いくらおいしいとはいえ、早々簡単に買える代物ではありません。せめて「しょうが」くらいの値段であれば、もっとひんぱんに買えるのにと思っても仕方のないことです。やはり「本物は違う」ということを感じさせてもらった数日でした。(どうにかして、もっと安くこの本わさびを流通させることはできないものでしょうか。) 「目からウロコ間違いなし!生わさび」 「徳川家康を唸らせた!極上本わさび」 「伊豆 真妻本わさび 特大」簡単にわさびについて。「アブラナ科ワサビ属の植物。日本原産。食用。独特の強い刺激性のある香味を持ち、日本を代表する香辛料として世界的にも認知度が高い。」「本州、九州、四国の山間部の水のきれいな冷涼地で栽培または自生。」「栽培の方法は大別して、水の中で育てる水ワサビ(沢ワサビ)と、畑で育てる畑ワサビ(陸ワサビ)がある。」「畑ワサビは、主に葉や茎を加工して、酒粕と合わせ『わさび漬け』にする。」「ワサビ田で栽培された水ワサビは生食用として利用される。 水ワサビは冷涼・豊富で綺麗な水と砂地などの透水性が良い土壌が必要だが、それさえあれば肥料等は必要なく水を汚染しない上に生育の手間も殆ど要らないため、山間の水路や沢などを利用して小規模に栽培されることもある。」「種類は赤茎種、と緑茎種の二種類がある。」「日本の主要な産地は静岡県、長野県、島根県、山梨県、岩手県等である。また、台湾、ニュージーランド、中国などでも栽培されている。」「ワサビの辛味成分であるアリルイソチオシアネートには殺菌効果があるため、生ものと一緒に食べるとよいとされている。」「酸素と触れなければ辛味が出てこないため、細胞を細かく摩砕できるサメの皮で作られたおろし器が良いとされている。ワサビは金気を嫌うので金おろしはお勧めできない。」 「鮫皮の本わさびおろし(中)」 「伊豆河童わさび館」わさびの「歴史」やわさびの「段々畑」などについては、こちら。
2007.04.12
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もう何度も清涼飲料水は飲まないといってきているにもかかわらず、しつこいですがまた清涼飲料水の話からになってしまいます。お茶などの清涼飲料水には、今たいていビタミンCが入っています。もう周知のことなのでしょうが、これは「健康にいいからビタミンCもいっしょに摂取しましょう」ということで入れてあるわけではありません。ではなぜ入れているのか。それは、製品の飲料が「酸化」しないために添加されているというのです。「酸化」とはなんでしょう。そのあたりを少し整理していきたいと思います。「酸化とは、対象とする物質が電子を失う化学反応のこと。具体的には、物質に酸素が化合する反応、あるいは、物質が水素を奪われる反応などが相当する。」「例えば、鉄(Fe)がさびて酸化鉄(FeO2)になる場合、鉄の電子は酸素(O2)に移動しており、鉄は酸化されていることが分かる。一方、酸素は鉄から電子を奪っているため、還元されている。このように、酸化還元反応はかならず対になって生起する。」化学は得意ではないのでさっと流しますが、時間の経過と共に、細菌や微生物によって食べ物などが劣化していくことを「腐敗」というように、空気中の酸素によって劣化(変化)していくことを「酸化」というのだそうです。そして、一方が「酸化」すれば、もう一方はかならず「還元」するというギブアンドテイクの関係があるということのようです。実際、多くの食品は空気にさらされていると、どんどん「酸化」していき、色や味が変わってしまいます。見た目も味も悪くなってしまうというわけです。我々のところに届くまで時間のかかることの多い現在の食品ではなおさらです。そこで、こうした酸化による食品の品質低下を防止するために使われているのが酸化防止剤ということになります。「酸化防止剤は、食品成分に代わって自身が酸化されることによって、食品の酸化を防ぐ作用を示します。」お茶などの清涼飲料水に入れられているビタミンCは、自身が「身代わりになって」酸化されることで、お茶の質を保っているということになるわけです。「ビタミンCはえらい!」ということでことが終わるのであれば問題はないのですが、実はここにちょっとした問題があるというのです。まずビタミンCには「還元型」と「酸化型」の2種類があるそうです。一般に健康にいいといわれるビタミンCは「還元型」のことで、上述のように酸化防止剤などで使われてしまった(酸化してしまった)ビタミンCは「酸化型」ということになるのだそうです。この「酸化型ビタミンC」が、酸化されて有効な作用を失ってしまった「空のビタミンC」というだけなら、体にとってプラスにはならないというだけで、とりたててなんの問題もないといえるのですが、この酸化したビタミンCの摂取は、体にとっていい作用を及ぼさないというのです。なぜよくないのかの前に、ビタミンCについて簡単に整理してみます。《ビタミンC》「ビタミンCは、水溶性(水に溶ける)ビタミンの1種。生体の活動においてさまざまな局面で重要な役割を果たしている。化学的にはアスコルビン酸のL体のみをさす(L-アスコルビン酸)。」「人間はアスコルビン酸を体内で合成できないため、必要量をすべて食事などによって外部から摂取する必要がある。他の多くの動物にとっては、アスコルビン酸は生体内で生合成できる物質であるため、必ずしも外界から摂取する必要は無い。体内でアスコルビン酸を合成できないのは、モルモットや人間を含む霊長類の一部だけである。」「工業的には、L-アルコルビン酸はグルコース(ブドウ糖)を原料として合成されている。」以下、ビタミンCの有効な働きを列挙します。・細胞の結合を強くし、皮膚や骨、血管を丈夫に保つ働きのある「コラーゲン」の生成に不可欠な栄養素である。・シミのもとであるメラニン色素の生成を防ぐ働きがある。・強い抗酸化力を持つので、「過酸化脂質(酸化した脂=錆びた脂)」の生成を抑制して、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを予防する。・体内に侵入したウイルスを攻撃する白血球を助け、自らもウイルスと闘って「免疫力」を強化する作用がある。・細胞に強力な「コラーゲン」のバリアを作り、がんを抑制する効果がある。・人間の体はストレスにさらされると、アドレナリンを分泌して、血圧を上げ、血中の糖分を増やすなどして防衛体制に入るが、このアドレナリン生成には、大量のビタミンCが消費される。よって、ビタミンCが不足すると、ストレスに弱くなり、心身の不調を引き起こす原因になる。ストレスとは、不安やプレッシャー、緊張といった精神的なものだけを指すのではなく、寒さ、暑さ、睡眠不足、騒音、飲酒、喫煙など肉体的なストレスもいう。・ビタミンCが不足すると、疲れやすくなったり、風邪などの感染症にかかりやすくなる。これがさらに進むと、血管がもろくなり、皮下や歯ぐきから出血する壊血病の症状があらわれる。・子供の場合は、骨の発育に支障をきたす。などなど、とても大切な栄養素だということがわかりますが、そんなビタミンCにも弱点があります。それは、水に溶けやすい、熱に弱い、アルカリや酸素によってすぐ破壊されてしまうという点です。このために、ビタミンCが豊富な野菜も、新鮮なうちに、できるだけ調理せずに食べた方がいいといわれるわけです。以上のように優れた効用があるビタミンCですが、酸化防止剤などに使用され、酸素によって破壊された「酸化型ビタミンC」は、体にとっては逆によくないものになるというのです。それは、「還元型のビタミンCが酸化型に変わるときに、『活性酸素』が発生するから」だそうです。「実際に、清涼飲料水などを調べると、わずかながら活性酸素が検出されます。量的には、0.1ppm以下と非常にわずかで、健康に影響するような量ではありません。」(西岡一博士)「しかし、現代の環境では活性酸素が発生しやすい状況にある」ため、少しでもそうした状況を避けようと努力することが必要となるというのです。どうしてそうしなければいけないのか、最近話題のこの「活性酸素」についても簡単に整理しなければいけません。《活性酸素》活性酸素とは、「酸素が化学的に活性になったもので、非常に不安定で強い酸化力を持つ」ものなのだそうです。「本来、活性酸素のみならず、酸素は生物にとって極めて有毒であった。酸素があると生存できない嫌気性単細胞生物が存在するのはこのためである。」「これを進化の過程で、ミトコンドリアやその他反応回路で酸素のエネルギーを取り出し、副産物である活性酸素を酵素で分解することができる、好気性生物が出現した。」「酸素はそれまでに比べて遥かに高いエネルギー効率を有していたため好気性生物は活発に動き回り、劇的に進化をとげ、果てには人類にまで進化したといわれている。」ちょっと遠大な話になってきましたが、そもそも酸素は生物にとって毒だったというのは驚きです。凡人の常識では、酸素は人間にとってはなくてはならないもの、体にいいものとばかり思っていたのですが、それは上述の生物の進化過程を理解するとわかりやすくなります。つまり生物(人間も)は、本来毒だったものを、エネルギー効率のいいものとして取り込むことに成功したのですが、どうしても副産物として活性酸素というものができてしまう。それはそのままではもとの酸素と同じで、自身にとって命取りとなる毒です。しかしここに酵素というものが出現し、その力を借りて無害化することに成功し、毒だったものを無事に体外に排出するというシステムが出来上がり、飛躍的に生物は進化したというわけです。自動車の排気ガス(エコカー)のようなイメージでしょうか。実際には、「活性酸素は激しいスポーツをする、煙草を吸う、紫外線、大気汚染、加齢、ストレス等、日常生活のさまざまな場面で体内で発生しているといわれている」そうです。しかしそもそも「あらゆる好気性生物は呼吸によって酸素を消費する際に活性酸素を発生させており、それを酵素により無毒化している」わけです。そして人間の細胞は、好気性生物だということですから、生きているということ=活性酸素を発生させていることになるというわけです。活性酸素はがんや生活習慣病、老化等、さまざまな病気の原因であるといわれていますが、システム的には酵素が働いて「無毒化」してくれているはずです。ではなぜ、活性酸素がこうも取りざたされるのかということです。それは、1つには、酵素が無毒化できないほどの大量の活性酸素が発生する状況があるということ、2つめには、酵素自体の力が弱くなっていたり、数が少なくなっていて活性酸素をうまく処理できなくなっているということ、3つめには、その両方が同時に起こっているということのようです。<活性酸素の種類> 1: 酸素分子 O2(基底三重項、普通の状態) 2: 一重項酸素 1O2 3: スーパーオキシドアニオンラジカル O2-(フリーラジカルとも呼ばれる) 4: 過酸化水素 H2O2 5: ヒドロキシルラジカル HO(フリーラジカルとも呼ばれる)さらに広い意味でいえば、これらから作られる酸化物、例えば過酸化脂質も活性酸素ということになるそうです。人間が酸素を取り入れると、その2%くらいが活性酸素になるのだそうです。通常であれば、これらの活性酸素はカタラーゼなどの酵素(スカベンジャーと呼ぶそうです)によって無害な水に変えられるわけです。しかし今の我々の生活環境では、例えば、さまざまな食品添加物、農薬、環境ホルモン、過剰なストレス、電磁波などで大量の活性酸素がなだれ式に発生しているというのです。そうして消去しきれずに体内に発生したままになった活性酸素は、上図のように、電子が足りない状態のためとても不安定なのだそうです。そのため、安定しようとして他の電子を求め、体内をさまよい歩きます。その時に遺伝子(DNA)やたんぱく質、脂質などを見つけてはそれらと反応しようとして、傷をつけてしまうのだそうです。傷をつけられた遺伝子や、傷ついたたんぱく質、脂質を取り込んだ細胞には異変が起きます。このほんの小さな異変が、さまざまな病気の原因になるというのです。そしてこのことをもって、活性酸素=毒=病気の原因といわれる理由だというのです。ですから、活性酸素が発生する、発生している、その疑いがあるものたちは極力体に取り込まないように努力しなくてはいけません。そういう意味では、糖分や添加物は入っていなくても、酸化防止剤としてビタミンCが添加されている清涼飲料水も飲まないほうがいいといえるかもしれません。また、「工業的に造られている」アスコルビン酸自体にもいろいろな「疑惑」があったりもするようです。次回以降で、そのあたりのことや、他のもっと危険な酸化防止剤や、ビタミンC以外の活性酸素に立ち向かう抗酸化物質についても整理していきたいと思います。
2007.04.05
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糖質の最後を締めくくる「非糖質系甘味料」の登場です。非糖質系とは、原料が炭水化物=糖質から作られていない甘味料ということのようです。共通した特徴は、ほぼカロリーがゼロで甘味が強いということです。以下で簡単に整理していきたいと思います。<非糖質系甘味料>・ステビオサイド(ステビア)パラグアイ原産のキク科の多年草ステビアの抽出物。「南米原産でペルーの先住民は避妊に使用したとされるがその後の研究で避妊効果は否定された。 ブラジル及びパラグアイの先住民が単に甘味料として用いるだけでなく、医療用として、心臓病、高血圧、胸焼け、尿酸値を低くするなどの目的で使用してきた。」「日本には1971年に導入された。ステビオサイドは砂糖の200~300倍の甘味度を持つが、4kal/g(砂糖と同等)という低カロリーであるため、ダイエット用食品や糖尿病患者用メニューなどに砂糖の代わりとして用いられている。」「ハーブ(葉)としては、糖尿病や高血圧の治療や健胃剤、二日酔い症、精神的疲労の強壮剤として利用されている。」「宮崎県のミカン栽培農家が堆肥として用い、有効であったことから、「ステビア農法」なる有機栽培農法も生まれている。」「ステビアには、選択的殺菌作用(有用菌を殺さず、悪い菌を選択的に殺菌する作用)と有機リン系・有機塩素系殺虫剤を時間経過と共に分解する作用」があるためだそうです。「ただし、ステビアの抽出物が食品添加物として認可されているのは日本、ブラジル、韓国などであり、アメリカやEU諸国、シンガポール、香港などでは認められていない。」理由は、発ガン性や妊娠障害、生殖器への影響などの恐れがあるからだというのです。日本ではさまざまな動物実験の結果、それらの影響は全く認められない安全な添加物として、すでに多くの食品、化粧品、医薬品、健康食品に使われています。しかし、EUで許可にならないというのはひとつ気になるところです。よって、現状ではなんとも判断の使用がないような気がします。なぜなら過去の経緯から学ぶとすれば、同じ日本人として情けなくなりますが、日本のこうした判断基準、許可基準は全面的には信用できないところがあるからです。そこには国民の健康よりも、企業の利益が優先されているようなところがみえるからです。中南米で昔から薬としても使用されてきたとすれば、ある程度の安全性はあると考えられますが、逆に薬なのだとすれば何がしかの「副作用」もあるわけです。今のところは深くかかわらずにいましょう、という感じです。あえて甘いものを「意識して頻繁に取る」必要はありません。 ・グリチルリチンマメ科の多年草の甘草の根に含まれる有効成分。砂糖の140倍の甘味だが、特徴的な甘草の味があるため、砂糖の代用としてそのまま使用するには不適当。味噌やしょうゆなどの調味料に添加されている。「アメリカ合衆国においては安全性の認められた調味料ではあるが、甘味料としてではなくキャンディーや薬、タバコの味付けに用いられる。」「日本では、1970年代に人工甘味料の安全性への懸念から、植物由来のグリチルリチンが代用甘味料として、同様に植物由来のステビアと共に一般的に使用されるようになった。」「消化性潰瘍や炎症に効くという薬効もある反面、取りすぎるとステロイドホルモン代謝をかく乱する作用(具体的には高血圧や浮腫)があるため1日の摂取量が200ミリグラムに制限されている。」 グリチルリチン=甘草も漢方薬のような古来からの「薬」だということです。取りすぎれば当然副作用がでるということです。これももちろん、「意識して頻繁に取る」必要はありません。次の2つが今日のメインです。危険添加物としてはすでに有名になっています。・サッカリン「消防法による危険物(第四類 引火性液体、第一石油類)に指定されており、一定量以上の貯蔵には消防署への届出が必要である。」「人体に対しては高濃度の存在下では麻酔作用がある他、毒性が強く、日本では毒劇法により医薬用外劇物に指定されている。」という「トルエン」などから合成される。「サッカリン含有の水溶液はショ糖の500~700倍という驚異的な甘味をもち、しびれるような刺激の後味を持つ。ただし高濃度では苦味を感じる。」「サッカリン自体はほとんど水に溶けないためチューインガムにのみ使われ、通常は水溶性のナトリウム塩(サッカリンナトリウム)としていろいろな加工食品に用いられる。」「1960年代に行われた動物実験で雄ラットに膀胱癌の発生が見られた(雌では見られず)ため、サッカリンには弱い発癌性があると考えられ、一度は使用禁止になった。」「しかし、その後サルも含めて様々な動物で試験が行われ、他の動物では発癌性は示されなかったため、現在では発癌性物質リストから削除されている。」「ただし、安全性維持のため、食品衛生法により各食品への使用量が制限されており、外装にその旨と使用量が記載されている。」「世界100カ国で使用され、特にアメリカなどでは、現在も大量に使用されている。」タール色素と同じように、サッカリンも石油から合成されているわけです。何も好き好んで、数ある甘味料の中から、サッカリンを選択しなければならない必然的理由はありません。「しびれるような甘さ」が好きなら別ですが。疑いが事実かどうかの決着を待つまでもなく、摂取するのはやめます。・アスパルテーム天然アミノ酸の一種の「フェニルアラニン」と「アスパラギン酸」とが結合したもの。とうもろこしから合成される。砂糖の200倍という甘さを示すが、カロリーはゼロ。フェニルケトン症(遺伝的な酵素欠陥のため,フェニルアラニンが分解できず、放っておくと脳の成長が阻害されて知恵遅れになる病気)の人のために、フェニルアラニンを含むことを示すため、「アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物」とも表記される。天然成分由来にもかかわらず、安全性議論は依然として続いています。一方は、自然のアミノ酸から作られている化合物であり、フェニルアラニンにしてもアスパラギン酸にしても、他の食物からも摂取しているわけだから、アスパルテームだけを危険物質ということは理屈に合わない、といった内容のことをいい、動物実験で裏付けられた「安全性を示すデータ」を持ち出します。一方では、過激なまでに(少しでも摂取したら病気になってしまう的なイメージで)、「危険物質」であることを「さまざまなデータや学者の見解」から主張しています。指摘されている危険性についての詳細は割愛します(ネット検索ですぐわかるので)。ひとついえるのは、指摘されていることにいくらかでも真実があるのではと思ってしまったら、もうアスパルテームを使っている食品を食べることや、飲むことはできなくなるはずだということです(幸いなことにアスパルテームを使っている食品にはほぼ全て、他にも食品添加物が使われているので、迷うことなく摂取しませんが)。人はどうしてこんなにも甘いものが好きなのか、不思議です。カロリーゼロで、血糖値も上がらず、体にいっさい悪い影響を与えない(できれば体にいい作用がある)、そして安くておいしい、そういう甘味料があれば一番いいのでしょうが、そう甘い話はないというところでしょうか。「カロリーゼロ」、「ダイエット飲料」などの名称の甘い食品にも釣られないことです。カロリー以上にダメージを受けることになるかもしれません。甘味料は全般に「酸性食品」のようです。「酸性食品」はからだに負担をかけるといわれています。よって、どんな甘味料にしても「基本として甘いものは極力取らない」、「常習はしない」ということ、これを結論にしたいと思います。最後に、食することはほとんどないはずですが、追加で2つの新甘味料を上げておきます。・アセスルファムカリウム(アセサルフェーム)アスパルテームに次ぐ、第4の新甘味料。砂糖の約200倍の甘さがあり、甘味質が柔らかで後に残らないという甘味料に適した性質を持つ(当然カロリーゼロ)。安全性にも「特に問題なし」とのこと。・スクラロース(スプレンダ)正式名はトリクロロガラクトスクロース。サッカリンやアスパルテームなどと違い、天然の糖をベースとしているのが特徴。砂糖の約600倍と、甘味度ではアスパルテームを凌ぐ。やや後を引くものの砂糖に近い味質が特徴で、ダイエットコーラから焼き菓子まで使える汎用性の高さがウリ。FDAやEU食品化学委員会などで安全性が確認されている。現在59カ国で認可されており、日本でも1999年に認可が下りている。ただし、140℃以上で長時間処理すると塩化水素ガスが発生するとの報告がある。米国ではアメリカではスプレンダ(Splenda)という商標で、卓上用のダイエット用甘味料として販売されている。国内では、現在一般消費者向け販売は行っていない。
2007.04.02
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砂糖の「害」が指摘されて(高カロリーで肥満になる、糖尿病などの生活習慣病になる、虫歯の原因になるなど)、ここ数年で砂糖に代わる甘味料が次々と登場してきました。それらを総称して、「新甘味料」あるいは「人工甘味料」というそうです。これらの甘味料は一応に、小腸から体内への吸収が悪くカロリーになりにくいため、肥満予防になり、甘味はありますが、ミュータンス菌によって代謝されないので、虫歯になりにくいという利点があるということです。新甘味料は大きく分けると、「糖質系」と「非糖質系」があるそうです。また糖質系甘味料は、「糖アルコール」とも呼ばれるそうです。糖質系甘味料には、「ソルビトール」、「マルチトール」、「キシリトール」、「パラチノース」などがあり、その多くが天然に含まれる食材(でんぷん、麦芽糖、砂糖など)から作られているそうです。「血液中には完全に吸収されないので『普通の』砂糖と比べ血糖値の上昇が小さい。この性質のため糖尿病や低炭水化物ダイエットを行っている人たちに好んで利用される。しかし、他の完全に消化されない物質(食物繊維など)と同様に、小腸で吸収されないため、糖アルコールを過剰に摂取すると鼓腸や下痢の原因となる」ということです。非糖質系甘味料には、「ステビオサイド」、「グリチルリチン」、「サッカリン」、「アスパルテーム」などがあり、ほぼカロリーゼロで、甘味が強いという特徴があるそうです。しかし、これらの甘味料は食品添加物ということになるのだそうです。以下で、それぞれについて、簡単に整理していきたいと思います。<糖質系甘味料(糖アルコール)>・ソルビトール「ソルビット」または「グルシトール」 ともいう。甘味があり(砂糖の約60%の甘味度)、食品添加物として食品の保湿性向上、品質改良の目的で広く利用されている。使用される主だった食品としては、佃煮、煮豆、漬物といった惣菜、ハム、ソーセージ類、甘納豆やカステラなどのお菓子類。これらは、加熱しても焼けない、色が褐色に変わらない=非褐変性の特長と、いつまでもしっとりさせる=保湿性の特長を利用している。他の用途では、歯磨き粉や、化粧品など。これらも保湿性を利用してる。歯磨きチューブがすぐ硬くなってしまっては使いにくい。もちろん爽やかな甘味を有していることも使われる理由のひとつ。その理由は、水に溶解する際に「吸熱反応」を起こすため。このために口の中でひんやりとした感触がすることから、最近ではあめ、ガム、スナック菓子等に清涼剤としても利用されている。医薬品としても各種内服薬、各種注射薬、糖尿病患者用甘味料などに使われている。自然界にも存在し、梨、りんご、プラムなどの果実類に含まれている化合物。「蜜入りりんご」は熟度がすすんで、ソルビトールが果肉に蓄積された状態のことをいっている。しかし工業的には(=食品添加物としては)、とうもろこしから抽出されたでんぷんを原料にしたブドウ糖から合成される。甘味料として用いても、口腔内で細菌、酵素による有機酸の生成がほとんど無いので虫歯の発生原因にはならないといわれている。「国連の食料農業機構(FAO)および世界保健機構(WHO)、合同食品添加物専門家会議(JECFA)では極めて毒性の低い物質」といわれている。ただし前述のように、取りすぎると下痢を起こすことがある。・マルチトール麦芽糖(マルトース)を原料にして作られる。低エネルギーの砂糖に代わる甘味料としては最も古く、商品の種類も一番多いといえる。甘さは砂糖の約半分。甘味は砂糖に近く、すっきりとした後味が特徴。商品としては、単独のもの、マルチトールをべ一スにステビア甘味料などの非糖質系甘味料をブレンドしたものなどが液状、粉末、顆粒、錠剤などの形で売られている。・キシリトール新甘味料の中でも、もはや名前を知らない人はいないだろうくらい有名になったと思われる糖アルコールの一種。工業的にはシラカバや樫などの樹木から得られるキシラン(キシロース)を還元して製造される。カロリーは砂糖よりも25%低く、甘味は同等。ソルビトールと同じく「吸熱反応」があるため、独特の清涼感がある。しかし、キシリトールが有名になったのは「虫歯にならない」、さらには「虫歯の予防になる」と宣伝されて販売されているガムやキャンディーでしょう。前述のように、キシリトールに限らず、糖アルコールは全て虫歯菌であるミュータンス菌によって代謝なれないので、虫歯にはなりにくい糖といえるようです。逆にいうと、キシリトールだけが他の糖アルコールに比べて、特に虫歯に対する効果が強いとというわけではないということです(それぞれ側のデータがあるようですが)。CMなどで流されている情報に、フィンランドの子供たちはキシリトールガムによって虫歯にならない、というものがあったりしますが、これも一概にはいえないようです(フッ素入り歯磨きの使用など)。ここでキシリトールやその他の糖アルコールが、本当に虫歯予防になるのかどうかはひとまずおいて置くとして、それよりも問題となることがあるようなのです。それは、これら市販されている「キシリトール入り」のガムやキャンディーなどの菓子類には、普通に麦芽糖や水あめなどの糖アルコールではない糖分も使われているということです。これでは、いくらキシリトールやその他の糖アルコールが虫歯にならない糖であっても、ほとんど意味がないことになってしまいます。さらにいえば、市販のガムはかなりの種類の添加物が使われている食品の代表格のひとつでもあるということです。そこには砂糖を毛嫌いするあまり、もっと悪い方向へ行ってしまっている状況があるようです。虫歯云々、キシリトール云々といっているよりも、もっと重大な問題があるということです(重大な問題は非糖質系甘味料の項で)。キシリトールも今のところ重大な有害性は指摘されていないようです。ただし、「犬に対してはインシュリン過剰分泌を引き起こし、肝障害や低血糖発作を引き起こすことが知られている」のだそうです。犬にキシリトール入りお菓子を与えてはいけないようです。最後にその他の主な糖アルコールを列記しておきます。・マンニトール 原料 ブドウ糖 甘さ ショ糖の50%・パラチノース 原料 砂糖 甘さ ショ糖の45%・エリスリトール 原料 ブドウ糖 甘さ ショ糖の80%・ラクチトール 原料 乳糖 甘さ ショ糖の30%
2007.03.28
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「人間を対象とする栄養学において、栄養素のうち、細胞の主要構成物質であるタンパク質、炭水化物、脂質を三大栄養素という。三大栄養素にビタミン、ミネラル(両者を微量栄養素という)を加えたものを五大栄養素という。」いきなりの硬い文章で恐縮ですが、今回は三大栄養素のひとつ「炭水化物」について整理してみたいと思います。炭水化物とは、「単糖を構成成分とする有機化合物の総称であり、その多くは分子式が CmH2On で表される。Cm(H2O)n と表すと炭素(C)に水(H2O)が結合した物質のように見えるため炭水化物」というのだそうです。しかし、分子式がCm(H2O)nでない炭水化物や、Cm(H2O)n型でも炭水化物でないものがあるため、現在では「炭水化物」という名称よりも、「糖質」と呼ばれることが多いそうです。もっと簡単にいうと、米や小麦粉、イモ類などのように「糖質」と「植物繊維」が一体となったものを「炭水化物」といいます。逆にいうと、「炭水化物」は「糖質」と「植物繊維」に分けられるわけです。人間の細胞を構成しているのは、植物繊維のほうではなく糖質のほうなので、今では三大栄養素という場合、タンパク質、糖質、脂質というようになっているのだそうです。その糖質は、炭素、水素、酸素からできている化合物の総称です。そして、糖質はその構造から以下の3つに分類されるそうです。《単糖》最小単位の糖で、「ブドウ糖」、「果糖」、「ガラクトース」がある。《少糖》単糖が2個あるいは数個結合したもので、「ショ糖」、「麦芽糖」、「乳糖」がある。《多糖》単糖が数千、数百万と結合した糖類で、「でんぷん」、「グリコーゲン」などがある。糖質は体内に入ると、最小単位の単糖まで分解されて小腸で吸収されます。吸収された単糖は、肝臓でブドウ糖に変えられ、血管を通って各細胞に運ばれ、「エネルギー源」や「からだの構成要素」となるのだそうです。《糖質の種類》・単糖類 ― ― ブドウ糖(グルコース) ― 果糖(フルクトース) ― ガラクトース・少糖類 ― 二糖類 ― 麦芽糖(マルトース) ― ショ糖(スクロース) ― 乳糖(ラクトース) ― ― ― オリゴ糖・多糖類 ― ― でんぷん(スターチ) ― グリコーゲン簡単に特徴を整理すると、<ブドウ糖(グルコース)>デキストロースともいう。代表的な単糖のひとつで、甘みは砂糖の70%ほど。穀物やくだものに多く含まれる。ブドウ糖は腸で吸収されて血液に入り、血糖として血液中に一定濃度で含まれる(80~100ml/dl)。ブドウ糖は脳やからだを動かすエネルギー源で、特に脳の唯一のエネルギー源。しかし過剰に摂取すると、糖尿病の危険の他にも(異性化糖の項)、肝臓にグリコーゲンとして蓄えられてしまうために、中性脂肪が合成され脂肪肝を起こしやすくなる。ブドウ糖は、オリゴ糖や多糖の構成要素となる。<果糖(フルクトース)>果糖は、くだものや蜂蜜に多く含まれ、ショ糖の構成成分としても存在している。果糖は最も小さな単糖なので消化吸収が早く、すばやくエネルギーに変えることができる。くだものに含まれる果糖は、直接的には血糖値を上げないが、肝臓で中性脂肪に合成されるので、過剰に取ると肥満につながる。<ガラクトース>乳糖の構成成分で乳汁に含まれる。<麦芽糖(マルトース)>ブドウ糖が2分子結合した二糖類。甘味は砂糖よりも劣るが、旨みが強いのが特徴。<ショ糖(スクロース)>ブドウ糖と果糖が結合した二糖類。砂糖の主成分であるが、虫歯の原因になる、カロリーが高く肥満の原因なるなどといわれている。<乳糖(ラクトース)>乳糖は乳汁のみに含まれるもので、ブドウ糖とガラクトースが結合した二糖類。乳糖は小腸で「ラクターゼ」という消化酵素によって単糖に分解されてから吸収される。「ラクターゼ活性」は成長すると低下することがあり、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人はこのタイプで、「乳糖不耐症」という。ヨーグルトやナチュラルチーズは「乳酸菌」によって乳糖の一部が分解されるため、乳糖不耐症の症状は起こらないとされている。<でんぷん(スターチ)>多数のブドウ糖が結合した植物性の貯蔵多糖類で、穀物やイモ類に多く含まれる。唾液中の消化酵素によって分解され、さらに小腸でブドウ糖に分解され吸収される。<グリコーゲン>グリコーゲンは、多数のブドウ糖が結合した動物性のでんぷん多糖類。肝臓と筋肉で合成され、貯蔵される。レバーや貝類、えびなどに含まれる。そして最後に、本日の主役の登場です。<オリゴ糖>オリゴ糖はブドウ糖や果糖などの単糖が結合したもの。オリゴ糖の中には、消化酵素で分解されないものがあり、これらは腸内で「ビフィズス菌」などの「善玉菌」の栄養源になり、腸内環境を整える。また、植物繊維と同様に、腸内の余分なコレステロールや胆汁酸を吸収して排泄する作用があるので、血中のコレステロールを減少させ、動脈硬化を予防する働きがある。血糖値を正常にする作用もあり、ほとんど吸収もされないので、カロリーを気にする人や糖尿病の人に適した糖質といえる。さらに、オリゴ糖は糖分であるにもかかわらず、虫歯の原因である「ミュータンス菌」の栄養分としてほとんど利用することができないため、虫歯の原因になりにくい甘味料としても注目されている。糖質の中にあっては異例の、いいことずくめというのがオリゴ糖のようです。<オリゴ糖のいいところ>・腸内環境を整えてくれる。・血中のコレステロールを減少させる。・血糖値を正常にする作用がある。・カロリーを気にしなくていい。・虫歯の原因になりにくい甘味料である。・あまり甘くないので使いやすい。<唯一の悪いところ>・過剰に摂取すると、お腹がゆるくなる。このように利点がたくさんある甘味料なので、現在さまざまな研究開発により、機能性を持たせた「合成オリゴ糖」が作られているそうです。厚生労働省によって健康効果が認められたオリゴ糖食品は、特定保健用食品(トクホ)として販売されています。<合成オリゴ糖のいろいろ>・フラクトオリゴ糖「ショ糖を原料とし、健康食品などでは酵素を用いて合成されている。自然界ではタマネギ、ゴボウ、にんにく、アスパラガス、ねぎ、大豆などの野菜に含まれている。砂糖に近い甘味があるのにカロリーは砂糖の2分の1(2kcal/g)程度。消化酵素で消化されずに大腸まで届くので、お腹の調子を整える食品としてトクホの有効成分にも認定されている。その他にも、ミネラルの吸収を助ける食品、骨の健康が気になる方の食品としてもトクホの有効成分になっており、活用の幅が広い。」・ガラクトオリゴ糖「母乳に多く含まれているオリゴ糖。健康食品などでは乳糖(ラクトース)を原料に生産される。甘味はあまりなく、カロリーも砂糖の半分程度。たんぱく質の消化吸収をサポートし、脂質代謝の改善、ミネラルの吸収を促進する働きがある。」・イソマルトオリゴ糖「ブドウ糖で構成されているオリゴ糖で、熱や酸に強く、食品に旨みやこくをあたえる。防腐作用があるので、保存食にも適している。自然界では味噌、しょうゆ、日本酒、ハチミツなどに含まれている。健康食品などではトウモロコシのデンプンを原料として生産されているものがほとんど。そのため、原料が安く、商品も手頃なものが多いのが魅力。しかし、少し味にくせがある。カロリーは砂糖と同じ4kcal/g。」・大豆オリゴ糖「その名の通り大豆から水で抽出した時に含まれるオリゴ糖で、ラフィノースとスタキオースという単糖で構成されている。大豆から油脂やタンパク質を取り除いたものを原料として、そこから精製されて作られている。砂糖に近い甘味があるが、カロリーは2分の1程度。他のオリゴ糖よりも少量で、腸内環境を改善する作用がある。老化予防の効果もある。・乳果オリゴ糖「別名をラクトシュクロースともいう。ショ糖と乳糖を原料とし、健康食品などでは酵素の作用によって合成されている。自然界では発酵ヨーグルトなどに微量に含まれている。オリゴ糖の中では一番甘く、砂糖のような甘味があるのにカロリーは砂糖の2分の1程度。・キシロオリゴ糖「タケノコなどにごく少量含まれているオリゴ糖。健康食品などではトウモロコシの芯などに含まれる食物繊維キシランを原料として酵素などの作用によって生産されてる。さわやかな甘味があり、カロリーも砂糖の半分程度。」すでに述べたように、これら全てのオリゴ糖は基本的に、善玉菌を増やして腸内環境の改善をする、血中のコレステロールを減少させる、血糖値を正常にする作用がある、あまりカロリーを気にしなくていい、虫歯の原因になりにくい、あまり甘くないので使いやすいというメリットがあります。オリゴ糖は、使いやすい甘味料というだけでなく、すでに健康補助食品としての不動の地位を得ているすぐれものということになります。ひとつだけ気にかかることといえば、それらのものはほとんど「自然の形のまま存在するもの」ではなく、人間の都合で意図的に、人工的に作られているものだという点でしょうか。結局健康食品といわれるものは、どういう形であれ「人工的」なわけなので、一概によくないとはいえないわけですが(結局品質の差ということになるのでしょうか)、ただ後々になって、実はあーだった、こーだったということにだけはなってほしくないということです。次のことばには一理あると思います。「砂糖に代わる甘味料は本当に必要か」「砂糖のマイナスを補うのを目的に作り出された砂糖に代わる甘味料ですが、そのマイナスは、砂糖そのもののせいではなく、摂取量、使い方の問題です。調味料、甘味料としての砂糖の優秀さは、これまでもたくさんの栄養学者や料理家から評価されてきました。 要は、砂糖の『害』を必要以上に気にして、砂糖よりはるかに値段の高い砂糖に代わる甘味料に走るより、砂糖を害にしない上手なとり方、使い方を身につけることが、かしこい消費者になる早道というものです。」
2007.03.27
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清涼飲料水、なんとさわやかな名前でしょう。少し前まで、ジュース類には砂糖で甘みをつけていましたが、砂糖の甘みは「重い」ので、子供たちは嫌うのだそうです。そんなこともあって今では、「ブドウ糖果糖液糖」というものを使うようになったそうです。これは「さわやかな甘み」なので子供たちの好む味とのこと。では、「さわやかな甘み」でみんなに好かれる「ブドウ糖果糖液糖」とは、いったいどういうものなのでしょうか。 ブドウ糖果糖液糖は、「『異性化糖(いせいかとう)』のひとつで、ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖、原料はトウモロコシやジャガイモ、あるいはサツマイモなどのデンプンである。」「異性化糖」とは聞きなれない名前ですが、「異性化糖製品」は「日本農林規格 (JAS)」 で以下のように制定されているそうです。「ブドウ糖果糖液糖」 果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50% 未満のもの。 「果糖ブドウ糖液糖」 果糖含有率が 50% 以上 90% 未満のもの。 「高果糖液糖」 果糖含有率が 90% 以上のもの。 「砂糖混合異性化液糖 」上記の液糖に 10% 以上の砂糖を加えたもの(その液糖がブドウ糖果糖液糖なら砂糖混合ブドウ糖果糖液糖)。 ようは果糖の含有率でいろいろ呼び名が違っているようです。甘さはどうかというと、「砂糖の甘味度(甘みの強さ)を 100 とすると、ブドウ糖の甘味度は65~80、果糖は120~170で、甘味度の強さは 果糖 > 砂糖 > ブドウ糖 の順である。」そして特徴は、・「砂糖より甘みが口中に残りにくく、低温下で甘味度を増すので、清涼飲料や冷菓などに多く使われている。また、異性化糖は価格も安いので(果糖分 55% の果糖ブドウ糖液糖は砂糖の7割程度)、他に缶詰、パン、みりん風調味料などにも使われている。」・「低温での利用に向いている半面、熱に弱く、加熱すると着色してしまう。」・「粘性が少ないため、取り扱いやすく、大量に運送したり、保存したりすることが容易である。」・「液状のため、固形化や粉末化するのが難しく、一般消費者向けにはほとんど販売されていない。」・「異性化糖はブドウ糖と果糖が1個ずつ結合している砂糖と異なり、始めからブドウ糖と果糖とに分離しているため体内に吸収されやすい。」すなわち、メーカーにとっては加工しやすく、輸送も容易、保存も効き、値段も安く、なおかつ子供受けもいい、まったく申し分のない食品ということになります。 しかし、いいことずくめというわけにはいきません。それら全ての利点を帳消しにして、さらに余りある重大な問題点があるのです。それは、血糖値を急激に上げてしまうということです。「砂糖の項」で述べたように、砂糖もかなり急速に血糖値を上げますが、それでも砂糖は体内でブドウ糖と果糖の2つに分解されてから吸収されます。しかし「ブドウ糖果糖液糖」は、最初からブドウ糖と果糖に分かれている液体のため、あっという間に吸収されて、血糖値がハネ上がってしまうというのです。《食べ物が栄養素に変わるまで》 <口> <胃> <十二指腸> <小腸>・ごはん、パン → でんぷん → デキストリン → 麦芽糖 → ブドウ糖 、いもなど (炭水化物/糖質)・砂糖 → 糖分 → → → ブドウ糖、果糖・ブドウ糖果糖液糖 → → → → (そのまま)要は、「点滴」と同じです。点滴には、栄養分としてブドウ糖が入っています。ブドウ糖は人間のエネルギー源なので、病気などで体が弱った時に補給すると最適なわけです。その点滴中のブドウ糖の濃度は、全体量の5%未満です。一方、清涼飲料水500mlボトル中に入っているブドウ糖果糖液糖は60ml、つまり10%以上が糖分なのです。粉末にしてみると30~40g以上も入っていることになるそうです。お皿にもったら「山盛り」になる量です。直接血管に入れるのと飲むのは違うだろうともいえるので、単純な比較はできない気もしますが、しかし、点滴は1時間~2時間以上かけて一定の量を、非常にゆっくり体内に入れていくものです。一方、清涼飲料水をそんなにゆっくり飲むことはまずないはずです。というよりもむしろ、のどが乾いた時などに飲むのが普通ですから、多くの場合結構いっきに飲んでしまうことの方が多いはずです。空腹時に、こんな糖分濃度の高いものをいっきに飲んだら、血糖値が急激に上がってしまうというのは想像できることです。最近では、小学生、中学生でも糖尿病になる子供が増えているといいます(「若年性糖尿病」、「小児性糖尿病」という病名が)。ブドウ糖の取りすぎで、インシュリンがおかしくなっているのです。清涼飲料水、缶コーヒー、ラムネ、アイスクリーム、キャンディ、グミ・・・。子供の好むお菓子には、ほとんどといっていいほど「ブドウ糖果糖液糖」が大量に使われています。 当然子供だけの問題ではありません。大人も然りです。「昔から日本人は米やいもなどからブドウ糖を摂取してきました。米のでんぷんは体内でゆっくりと分解されてブドウ糖に変わり、エネルギー源になります。それならば、血糖値が急上昇することもありません。」「最初からブドウ糖に(あるいは果糖に)分解されたものをいっきに摂取するなどということは、日本の長い歴史の中でこれまで一度も経験したことのないこと」なのです。 「ブドウ糖果糖液糖」あるいは「果糖ブドウ糖液糖」などの「異性化糖」は、いわゆる「食品添加物」というものではありません。しかし、今まで述べてきたことを考え合わせると、それらは「食品添加物」に匹敵する、あるいはそれ以上に悪影響の出やすい食品のひとつであるといえます。厳重に注意していかなければいけない食品のひとつです。結論。もう飲まないと決めていますが、あらためて清涼飲料水は飲まない(飲むものではない)。アイスクリームも食べない(本物のアイスクリームは違います)。ほとんどの甘いお菓子類、ケーキも食べない。つまり「異性化糖」類は、できるだけ取らない。特に、親として、大人として、子供には極力食べさせたくないもののひとつです。
2007.03.25
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甘いお菓子やジュースばかりを取っていると骨が溶けるとか、砂糖、特に白砂糖は体によくないといわれていますが、なぜなのかよくわからないところもあるので、少しそのあたりを整理したいと思います。 なぜ砂糖、特に白砂糖は体によくないといわれるのか。ずばりそれは、「白砂糖が酸性の食品」だからだそうです。「最もシンプルな製法で作られた黒砂糖は、弱アルカリ性の食品ですが、精製過程でビタミンやミネラルなどの微量栄養素を失った砂糖は酸性を示す」のだそうです。人間の体内は、基本的に弱アルカリ性。「そのため、酸性の食品が大量に体内に入ると、中和するために体内のミネラル分が使われます。このとき最も多く消費されるのがカルシウムなのです。白砂糖の場合、カルシウムが砂糖自身にほとんど含まれていないので、中和に必要なカルシウムは体内の骨や歯を溶かして供給されます。」これが「甘いものを取ると虫歯になったり、骨が弱くなったりするメカニズム」なのだそうです。さらに、「人間の体内におけるカルシウムとリンのバランスは、1対1が理想なのですが、体内環境の中和にカルシウムが使われると、このバランスが大きく崩れます。」「人間の体の中には、体重の約2%のカルシウムがありますが、その99%は骨や歯の中にあります。残りの1%が血液や細胞内にあるのですが、それがほんの少し(1%の1%ほど)でも不足すると、人間はイライラしたり心の均衡を崩してしまうのです。」酸性の食品は白砂糖だけではないので(例えばお肉)、白砂糖を酸性食品の代表のようにして悪者扱いするのは少しかわいそうな気もしますが、問題点はまだあるようです。「白砂糖は糖分の吸収がとても速いので、血糖値が急激に上昇します。そのためインシュリンが大量に分泌され、ホメオスタシスの機能(体を一定に保とうとする機能)が充分でない子供などは、逆に低血糖を引き起こしやすくなります。」「低血糖が続くと、今度は血糖値を上昇させようとしてアドレナリンが放出されます。アドレナリンは神経伝達物質の1つで、興奮した時に大量に血液中に放出されるホルモンです。エネルギー代謝を高めるなどよい効果もあるのですが、出すぎると脳のコントロールが効かなくなり、“キレる”原因となってしまいます。」アルミニウムの項でも出てきましたが、子供たちが日常的に清涼飲料水を飲み続けることは、彼らに計り知れない悪影響を及ぼすようです。まだあります。「糖類は体内で分解される時に、ビタミンB1を消費しますが、白砂糖にはビタミンがほとんど含まれていません。そのため、他の食物からの摂取量が少ないと欠乏症を起こし、過労やめまい、貧血、うつ、短気、記憶障害といった、さまざまなトラブルも招いてしまいます。」ビタミンの欠乏も砂糖だけの問題ではないのでしょうが(ごはんやいもなどの炭水化物も最終的には糖になる)、一般に甘いものというのは、それだけで(単品で)、簡単に、かつ、けっこう大量に摂取しすぎる傾向があるために上記のような問題点が強調されるのかもしれません(チョコやケーキを食べる時には、同時に大量の野菜や海藻類を食べればいいということになります、難しいですが)。まとめると、《短所》・酸性のため体のバランスが崩れ、カルシウムを失う=骨、歯がもろくなる。・酸性のため体のバランスが崩れ、イライラしたり心の均衡を崩す。・糖分の吸収が速いため体のバランスが崩れ、キレやすくなる。・ビタミンを含まないため体のバランスが崩れ、過労やめまい、貧血、うつ、短気、記憶障害などを起こす。・特に白砂糖はミネラル、ビタミンがないので体にはよくない。・糖分の吸収が速いため肥満になりやすい、というのも上げておきます。では、長所はないのかというと、当然あります。砂糖はブドウ糖と果糖からできていますが、このブドウ糖は脳のエネルギー源になるそうです。「ブドウ糖の供給によって、人間の記憶力は増加・持続するといわれています。」「人間がコップ1杯のブドウ糖液を飲んだ場合、または動物にブドウ糖を注射した場合に記憶の向上があること、血液中の適度な糖濃度が注意力や忍耐力を維持するのに必要であること、またブドウ糖の供給が増加するとアセチルコリン(興奮伝達物質)の生成が高まりこれが記憶の調節に重要な役割をはたすことなども判明しています。」コップ1杯もブドウ糖液を飲むことが「適度な濃度」になるのかどうか少し疑問は感じます。ちなみに、健康的な食事における1日の砂糖の摂取量の目安は20gだそうです。さらにちなみに、500mlペットボトルのジュースや炭酸飲料1本に含まれる砂糖の量は、約30gだそうです。これ1本で1日の摂取量をオーバーしてしまいます。次の長所、「脳のエネルギー源となるブドウ糖は、ごはんやパンなどの炭水化物でも摂取できます。ところが、ごはん(でんぷん)の場合だと、ブドウ糖に分解吸収されるまで時間がかかります。一方、お砂糖は、からだの中で消化吸収が速く、すぐに失われたエネルギーを回復させることができます。仕事や勉強など集中力と持続性が欲しいとき、より速くエネルギーを供給してくれるのはお砂糖です。」といった具合です。《長所》・ブドウ糖からできているため、脳のエネルギー源になる。・適度に摂取した場合、注意力、忍耐力、記憶力を高める。・吸収が速いため、脳により早くエネルギーを供給し、集中力と持続力がつく。・そして、甘くておいしい。他にも、・味を調える(コーヒーの苦味、魚のくさみなど取る)。・でんぷんの老化を遅らせる(だんごなど日持ちがよくなる)。・ジャム化する。・パンの醗酵を助ける。・長期保存が可能になる。・食品に照りを与える。・ケーキに焼き色をつける。などいずれも、直接人間の体に作用する事柄ではないですが、食品の味や日持ちや見た目などをよくする力が砂糖にはいろいろあります。そもそも砂糖はその生成過程でいくつかに分類されるのだそうです。・「含蜜糖」-「黒砂糖」、「白下糖」・「分蜜糖」―「粗糖」―「精製糖」―「ザラメ糖」―「白双糖」 「ザラメ糖」―「中双糖」 「ザラメ糖」―「グラニュー糖」 ―「車 糖」 ―「上白糖」 ―「車 糖」 ―「三温糖」 ―「加工糖」 ―「角砂糖」 ―「加工糖」 ―「氷砂糖」 ―「加工糖」 ―「粉砂糖」 ―「液 糖」・「その他の―「和三盆」 砂糖」 ―「蜂蜜」 ―「メープルシロップ」製造方法を簡単にいうと、原料のサトウキビを搾って不純物を石灰などで沈殿させ、上澄み液を取り出し加熱しただけのものが「黒砂糖」。 それをさらに、煮詰めてできた結晶と結晶にならなかった溶液(糖蜜)の混合物を遠心分離機にかけて「粗糖」を作る。さらに、粗糖の表面を糖蜜で洗った後、再度遠心分離機にかけて、結晶と糖蜜を分ける。その結晶を温水に溶かし、不純物を取り除き、糖液にする。それを煮詰めて結晶を生じさせ、真空状態のもとで糖液を濃縮する。結晶を成長させた後、再び遠心分離機にかけて、現れた結晶が砂糖となる。といった工程で何度も(6回くらいも)精製し、結晶の純度を高めたものが「精製糖」で、その中に「上白糖」や「三温糖」があります。「上白糖と三温糖の差は、黒砂糖との違いのように、ミネラルが多いとか少ないとかをいっているわけではありません。」「精製の過程で最初に作られるのが上白糖であり、その残りをさらに乾燥させ、一部カラメル化したものを含むために茶色くなっているのが、三温糖になります。」「三温糖は一部だけが着色していると、製品としてのばらつきになってしまうため、一般にはカラメルを添加し、均質な色になるように着色しています。」白砂糖と三温糖はほとんど同じものなのだそうです!ですから、特に白砂糖が体に悪くて、三温糖だけは体にいいということにはならないというのです。塩の項でもありましたが、小麦色=自然の色=健康にいいというイメージを、ある意味悪用しているような商品があったら、気をつけなければいけません。かなり整理がつきました。砂糖類は基本的になるべく取らないようにする。糖分は、普通に食べている食べ物からでも十分に取れます(甘いものはおいしいから食べるのであって、糖分を取るためではないでしょうけれど)。料理などに使う砂糖は、やはりミネラルやビタミンが入っている黒砂糖、色が気になるなど少し抵抗があるようだったら、それに近い粗糖、あるいは本物の蜂蜜やメープルシロップを使う(少し高くつきますが)。市販の甘いもの(ケーキやお菓子類)も極力取らないようにする(たいてい添加物もいっぱい使われています)。特に、糖分の入っている清涼飲料水は絶対に飲まない。今のところこれでいきたいと思います。 ミネラルも豊富な喜界島の粗糖喜界島黒糖のホームページ。健康な砂糖のホームページ。
2007.03.22
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塩分を取りすぎると体に悪い、特に高血圧症になるといわれ、ずっとそれを信じていました。健康と塩の関係からいうと、塩は人間が生きて行く必要最低限の摂取量で十分であり、できる限りあまり取らない方がいいものと思っていました。しかし日本の塩の歴史、特に直近100年ぐらいに起きた出来事を知るに及んで、驚きと共に憤りさえ感じないわけにはいかなくなりました。 現在は廃止されましたが、つい10年ほど前まで(1997年)、日本の塩は「日本専売公社(現JT)」によって独占されていました(懐かしい)。一般の人が自由に塩を作ったり、売ったりすることが長い間できなかったわけです。塩が専売制になったのは1905年(明治38年)、それ以前の塩は各地の塩田などで作られていて、ほぼ全てが自然海塩で、塩化ナトリウムの含有量が80%を超える塩というのは、わずか20%しかなかったそうです。それが専売公社(国家=政府)の主導により、各地で独自に造られていた伝統ある昔ながらの塩作りというスタイルから、最新の技術を使った工業化製品へと、徐々に移行を強いられたのでした。それは必ずしも全民同意のものとはいい難かったようです。そうした過程の中で、塩自身もより「塩化ナトリウム」の純度が高いものへと変貌していくようになったのです。その結果、1947年(昭和22年)には塩化ナトリウムの含有量が90%を超える塩が全体の50%を超えるようになりました。日本人が深刻な高血圧症に悩まされるようになったのは、実はこの頃からだというのです(こんなに前からだったんです)。そのため、「現在の日本人の高血圧体質は、専売公社が作ったのだ」という人たちがいるほどです。工業的につくられた「精製塩」が体に悪い最大の理由は、塩化ナトリウム以外の微量なミネラル分を全て切り捨ててしまったことにあるそうです。「どうせこんな少しばかりの成分は、たいした役に立っていないだろう、そんな人間の傲慢さがそこには感じられる。」と述べる方もいらっしゃいます。良く解釈すれば、不純物(!)を取り去り、細菌なども除去した安心安全な塩を作りたかったということになるのでしょう。が、ひょっとしたらもっと単純な話で、そのなことまで考えていなかったというだけのことかもしれません。より短絡的な思考、すなわち、塩=塩辛さ=塩化ナトリウム、よって、より純度を上げて、それを大量生産する仕組みを作る=より安く、国民全てに供給できる、という具合です。実はこの図式は、現在のほとんどの加工食品を成り立たせている考え方に近いように思います。違いがあるとすれば、そこにさらに利潤(お金儲け=欲)が絡むということです(より安く、国民全てに供給できる=儲かる)。「自然は完璧です。自然な状態で存在している成分は、全て必要だからこそそこに存在しているのです。」本当にそう思います。人間はもっと謙虚に自然から学ぶことが必要なのでしょう。さらには、古来からの人間の智恵も決してないがしろにしてはいけないのだ、ということも強く感じてしまいます。そうした反動からか、最近はちょっとした「塩ブーム」なのだそうで、スーパーやデパート、インターネットでもさまざまな塩や塩の情報を見ることができます。 塩は、大きく4つの種類に分けることができるそうです。・精製塩海水から電気と膜を使って塩化ナトリウムだけを取り出したもの。上述したように塩化ナトリウムの純度が高く(99.5%)、それ以外の成分はほとんど除去されている。今まで一般的に使われてきた高血圧症になる塩、食塩。・輸入塩いわゆる岩塩や天日塩。一部海塩もあり。メキシコやオーストラリア、中国製が多い。・再生加工塩メキシコやオーストラリアなどから輸入された岩塩や天日塩などを、一度海水で溶かし、塩化マグネシウムなどを加えて再加工したもの。・自然海塩海から直接くみ上げ、水分を蒸発させた塩。日本古来の塩の作り方で、成分を全く調整しない伝統的な塩。「自然海塩」と書かれている。 アンデスの塩 シチリアの塩 ヒマラヤの塩 塩の「うまみ」は、しょうゆと同じで雑味から来るもの。海のミネラル成分がどれだけ含まれているかで決まるのだそうです。ミネラルが十分に含まれている塩は、甘くておいしい。こういう本物の塩は血圧を上げるどころか、むしろ血圧を下げる体にいいものなのだそうです(当然、適度な量の摂取で)。塩=高血圧症になるというのは全くの濡れ衣だったということです。犯人は精製塩、人間の傲慢さから生まれたものだったわけです。上の4つのうち、最もミネラルが豊富なのが「自然海塩」。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛など海の複雑なミネラルがそのまま凝縮されているそうです。精製塩の他にも問題になる塩があるようです。それは「再生加工塩」、「○○の塩」などの名称で販売されていたりするものです。これらはまず、メキシコなどの外国から安い岩塩や自然結晶の天日塩を買ってきて、海水の中で溶かし、それを煮詰めて結晶化するのだそうです。ところが、岩塩にしても、天日塩にしても、ミネラルはほとんど入っていないというのです。塩を自然結晶させると、微量ミネラルを押し出してしまい、精製塩のような塩分の純度の高い塩になってしまうというのです。そのままでは売り物にならないので、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどを、後から添加するというのです。つまり、その土地の海で実際に取れた塩ではないのに、いかにもその土地の海水から取ったミネラルたっぷりの塩であると謳われているものも、中にはあるということなのです。それらしく見せかけるために、鉄さび(鉄アンモニウム塩)で茶色に着色しているものもあるそうです!それは、玄米や三温糖と同じように考えて、「茶色=自然の色=健康にいい」というイメージを逆手にとって販売している人たちがいるためだそうです。(ひどい!)冒頭で述べたように、塩はその製造、販売、輸入が自由化されたのがつい最近(2002年)のことでもあり、業界をあげての情報の開示や表示方式の統一化などはまだまだ十分になされていないというのが現実なのだとか。そう言われると、精製塩はやめて、自然海塩や輸入塩にするとしても、具体的にどうやって選んでいけばいいのか、何を(誰を)信用して選べばいいのか、不安になってしまいます。しかし、このあたりは値段とも相談しながら、ある意味楽しんで、試行錯誤をしていってもいいのかなあとも思います。上述したように今や塩に関する情報は山ほどあります。そうした中で、信頼できる人からの情報をもとに買ったり、信頼できる自然食品店で聞いて買ったり、ネットで調べて納得したものを買ったりして、少しずつ自分のお気に入りの塩を見つけるようにしていってもいいのではないでしょうか。塩も健康にいいとわかれば、少しぐらいはお金を掛ける気にもなるというものです。もしかして、ミネラル・サプリメントをわざわざ買ってるくらいなら、いい塩を買って料理に使った方がいいといえるのかもしれません。塩の世界は、そういう意味ではけっこうおもしろい世界なのかもしれません(塩のウンチクを語る人たちもけこういるようですし)。 雪塩 雪塩(ギネスが認めた世界一の塩)のホームページ。世界のお塩.com塩なび.comある塩のホームページ。
2007.03.20
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最近、まだぼける年齢でもない人が、アルツハイマー症になる例が多いといいます。それを題材にしたような映画も結構あります。この病気は、「神経の繊維化」が原因で起こると考えられているようです。神経が硬くなったり、特殊なたんぱく質ができて症状を起こしたり、神経細胞が異常になったりということでおこるようですが、その本当の原因についてはまだはっきりしていないようです。こうした中、その危険因子として疑われているのがアルミニウムだというのはよく聞く話です。ではその理由はというと、アルツハイマー症に罹った人の脳を調べると、脳の中に異常にアルミニウムが溜まっているのが確認できるからだというのです。仮にアルミニウムが原因だとすると、なぜそんなにもアルミニウムが体の中に入って来たのでしょうか。・調理器具第一に挙げられるのが、鍋やフライパン、ポットなどのアルミニウム製調理器具です。ある研究では、アルミ製の鍋に水を入れ、酢を少したらして沸騰させると、かなりの量のアルミニウムが溶け出してきたといいます。大量のアルミニウムはアルツハイマー症の他にも、脳血栓の原因や消化器障害、ビタミンAを破壊するという専門家もいるそうです。 調理器具をはじめ、食べ物を入れる器などは全てアルミ製でないもの、ステンレスやスチール製、陶器やガラス、木製にしたいものです。・ビールや清涼飲料水の缶これらも今やほとんどアルミ製です。これら飲料水に含まれるような化学構造のアルミニウム化合物は、長い期間には体内に蓄積されて、脳の中で「老人班(シミ)」を作り、アルツハイマー症の引き金になっているという説があるそうです。また、非行に走る少年たちの毛髪には、普通の子供たちの毛髪に比べて、アルミニウムの量が多いことが報告されているそうです。清涼飲料水や「ジャンクフード」に使われている「レーキ色素」(後述)の影響が考えられるそうです。・おにぎりなどを包むアルミホイルもアルミ製 ・胃潰瘍の薬(スクラルファート)、胃腸の薬の制酸剤にも・練り磨き粉、ふくらし粉、化粧品の制汗剤にも・水道水にももともとアルミニウムは、土壌中に大量に存在している金属ですが、近年の酸性雨の影響で、土壌中で安定であったアルミニウムが水道水の原水中へ溶け出し、その濃度も年々増加しているという指摘もあるそうです。さらには、土壌中で栽培野菜などにも取り込まれる可能性もあるそうです。・そして最も気になるのが、食品添加物アルミニウムが含まれた食品添加物があるのです。合成着色料の中でもレーキ型というものです。これは、石油から作られるタール色素(!)にアルミニウムをくっつけて水に溶けにくくしてあるものです。赤色2、3、40号、黄4,5号、緑色3号、青色1,2号。この8品目の着色料には、いずれもレーキ型が使われているそうです。そもそもタール色素とはなんでしょう。 タール色素は、「合成着色料の一種。食品、医薬品、口紅などの化粧品、衣服などの工業製品などの着色料、食品添加物として」幅広く使用されているものです。「もともとはコールタールから得られるベンゼンやナフタレン、フェノールやアニリンといった芳香族化合物を原料として合成されたためこの名がある。現在ではこれらの芳香族化合物は主に石油精製の際に得られるナフサを原料として生産されており、コールタールを原料とすることはほとんどなくなっている。」ではナフサとは、「原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね35-180℃程度のものである。粗製ガソリン、直留ガソリンなどとも呼ばれる。」つまりは、ガソリンということです!日本においては特に「○色○号」と呼ばれる法定色素を総称した呼び名として用いられます。「着色の際、タール色素を単体で使用することよりも複数の種類を混ぜて使用することが多く、それによって微妙な色加減を調整することが容易であり、様々な色合いを作り出すことができる。」これがタール色素、着色料です。そもそもが大問題です。ガソリンを食べていることになるわけですから。そしてさらに問題を増やしているのが、アルミニウムを添加したレーキ型というわけです。ガソリンとアルミニウムを一緒に食べているわけです。問題点が2つになったので、それぞれにまとめてみます。《アルミニウム》腎臓の働きが正常であれば大部分が排泄されるので、アルミニウム製の調理器具等の影響はさほど心配しなくともよいという説もありますが、今や調理器具だけではなく、上に述べたように多くのものからアルミニウムを摂取する可能性が高いので、極力それらは食べない、飲まない、使わないようにすべきです。《タール色素》・赤色2号(アマランス)菓子、清涼飲料水、洋酒、アイスなどに他の食用色素と併用されている。1975年、FDA(米国食品医薬局)のラット、及びウサギを使った実験結果で、発がん性の疑いが生じたため、1976年使用禁止の措置が取られる。日本では発がん性はないとして引き続き使用、現在に至っている。上述したように、アルミニウムレーキ型タール色素。・赤色3号(エリスロシン)菓子類、桜桃、かまぼこ、福神漬けなどの各種農水産加工品に使用されている。実験でラットの赤血球が減少、ヘモグロビン値が低下。変異原性があり、発がん性も疑われている。上述したように、アルミニウムレーキ型タール色素。 ・赤色40号(アルーラレッド)1991年に新指定された菓子、キャンディー、ゼリー、アイス、清涼飲料水などの着色料として使用されている。腎臓疾患を引き起こす疑いあり。発がん性と先天異常については、マウス、ラット、ウサギなどのテストで、微妙な結果で陰性。アレルギー性あり。これも上述したように、アルミニウムレーキ型タール色素。上述のように、腎臓疾患とアルミニウムはまずい関係です。 ・赤色102号(ニューコクシン)漬け物、たらこ、たこ、ソーセージ、ジャム、つくだ煮などの農水畜産加工品、菓子、清涼飲料水などに使用されている。全食用色素の13%と盛んに使われている色素。タール色素の中では、今のところ毒性は比較的低いとされている。・赤色104号(フロキシン)かまぼこ、ソーセージ、などの農水産加工品、醗酵食品、焼き菓子などに使用。大腸菌などの微生物に作用させると遺伝子損傷性、変異原性を示す。また、光の存在でこれらの作用が著しく強められる(光力学作用)。諸外国では発がん性の疑いのため禁止になっているが、日本のみが安全として使用している。・赤色105号(ローズベンガル)桜桃、かまぼこ、ナルト、ソーセージなどの農水産加工品、和洋菓子、焼き菓子、発酵食品などに使用。缶詰の桜桃などには赤色3号と配合して使用されている。赤色104号と同様の作用、変異原性あり。発がん性の疑いが強いので、諸外国では一切使用されていないが、日本のみが使用している。・赤色106号(アシドレッド)福神漬け、さくらえび、ハム、ソーセージのどの農水産加工品、和洋菓子などに使用。動物実験で成長抑制、甲状腺重量低下の傾向あり。微生物に対して遺伝子損傷、変異原性あり。発がん性のため諸外国では禁止だが、日本のみが使用を継続している。・黄色4号(タートラジン)漬け物、練りうに、つくだ煮など農水産加工品、ドロップ、あめ、和菓子、焼き菓子、清涼飲料水、アイスなどに使用される。食用色素中、最も多量に使用され、全食用色素使用量の40%を占める。ラットの実験で、明らかな食欲の減退が見られ、体重減少を起こす。上述のように、アルミニウムレーキ型タール色素。・黄色5号(サンセットイエローFCF)菓子、清涼飲料水、農水産加工品などや医薬品に使用。ラット実験で乳腺腫瘍が増加。上述のように、アルミニウムレーキ型タール色素。・緑色3号(ファストグリーン(FCF)菓子、清涼飲料水などに使用。ラットで発がん性の報告あり。ヨーロッパ諸国では禁止。上述のように、アルミニウムレーキ型タール色素。・青色1号(ブリリアントブルーFCF)菓子、清涼飲料水などの食品や医薬品、化粧品などにも使用される。ラットで発がん性の報告あり。英国を除くヨーロッパ諸国で使用禁止。上述のように、アルミニウムレーキ型タール色素。・青色2号(インジゴカルミン)和菓子、焼き菓子、あん類、アイスなどに使用。ラットで発がん性を認めたとの報告あり。上述のように、アルミニウムレーキ型タール色素。・食用色素アルミニウムレーキ上述のようにタール色素に吸着して使用されるが、食用品の他には食品容器包装、ナプキンなどの印刷インクの原料としても使用される。今回はアルミニウムから始まった話ですが、アルミニウムももちろん怖いですが、もっと身近で怖いのは着色料、タール色素ということがわかりました。動物実験とはいえ(当然人間で実験することはできませんから)、さまざまなデータが出ていて、かつ諸外国で使用禁止になっているものもあるというのに、日本ではあらゆる加工食品に平然と使われているという現実に唖然としてしまいます。たとえ疑わしいだけだとしても、断固摂取は拒否します。特に子供には食べさせたくはありません。鮮やかな色(不自然な色)の加工食品は注意しましょう!裏の表示もよく見ましょう!
2007.03.19
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