全7件 (7件中 1-7件目)
1

獣害を防止するためにも田を起こそう。対策が功を奏して減少しつつある鳥獣による農作物被害。農水省発表によるその被害額は こちら ↓。■ 鳥獣による平成29年度の農作物被害 被害金額が約164億円で前年度に比べ約8億円減少(対前年5%減)、 被害面積は約5万3千haで前年度に比べ約1万2千ha減少(対前年 18%減)、被害量が約47万4千tで前年に比べ約1万3千t減少(対 前年3%減)しています。 主要な獣種別の被害金額については、シカが約55億円で前年度に 比べ約1億円減少(対前年2%減)、イノシシが約48億円で前年度 に比べ約3億円減少(対前年6%減)、サルが約9億円で前年度に 比べ約1億3千万円減少(対前年12%減)しています。減りつつあるとはいっても、まだまだ大きな被害。動物たちとの良い関係を保つためにも、獣害はなるべく減らしてていったほうがよい。そんな獣害の原因ですが・・・ 鳥や獣などの動物を呼び寄せている一番の原因は、 ひこばえ にある と、10年ほど前から いわれはじめました。ひこばえとは収穫後の作物の切り株や根元から生えてくるイネの若芽のこと。とくにイネ刈り後の水田に残っている切り株から生えてくるヒコバエが要注意です。栽培しているお米や野菜とちがって、放置されているひこばえなら、ヒトは 動物が食べてもさほど気にならない。こういった 心のすき間に、動物達が忍び寄る のです。ちなみに 10ヘクタールの田んぼのヒコバエなら、 100頭のシカを ひと月養えるほどの餌となるというデータがあります〔1ヘクタールでは10頭・10aで1頭の割りになりますよ〕。つまり ひこばえの放置は、ある意味で動物の餌付けをしているもの と 考えなければなりません。そんなひこばえが生えてくるのを防止するには、収穫後のこまめな耕運が効果的です。田を起すことで、株を土中にすきこみ、ひこばえが生えてくるのを予防するわけですね。そうすることで 動物たちが集落に近づかないようにする。ということで今回は、獣害被害の多い集落では田の耕運といった農業の基本的な作業を部落をあげて励行することが、まずはなによりの獣害予防方法となり、それはまた結果的にヒトと動物との良い関係性を構築することになるというおはなしでした。 バインダーで刈られた長いままのワラの場合は、大雨などで 田から流出すれば、排水路を詰まらせることにもなりかねま せん。 水害を予防するという観点からも、田起しは重要になります。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jan 30, 2019

“ど根性アガヴェ”の おはなし。過去分ですが、そのど根性ぶりにあやかりたい・・・ということで、よろしかったら。。 ↓たとえば、ど根性ダイコンです。たとえば、ど根性スイカです。わずかなコンクリートやアスファルトのすき間から芽を出したケー ス、あるいは季節はずれなのにすくすくと育ってみを結んだケース など、その過酷とも思える環境のなかで、健気に生き抜く植物・・・ それが、 “ど根性○○” といわれて人気を集めているようです。あなたも取り上げられたニュースをお聞きになったり、また実際に ご覧になった経験をお持ちの方も、いらっしゃるかもしれませんね。そして今回ご紹介するのは、わたくしが〔たぶん〕第一発見者では ないかと考えられる “ど根性アガヴェ” のご紹介です。220号線の風景 アガヴェとは、前回お伝えしたような竜舌蘭/リュウゼツランのこ となのですが、たとえば ↓の写真のように、日本では宮崎県宮崎 市から日南市や鹿児島県鹿屋市を経由し鹿児島県霧島市に至る国道220号線の植栽に積極的に利用されてきました。 そんな国道220号の、美しい海岸線の、とある場所にあるのが、 こちらの “ど根性アガヴェ” なのです。 みたところ、軽自動車サイズの大きさの 普通の個体なのですが、やはり問題はその成育場所にありまして・・・ 地上数十メーター上の、護岸の途中に自生しているのです。 走ってくる自動車をいれた全体写真が ↓ こちらとなります。 ここ↓ 加えて気象もあります。そう 南九州といえば、台風の風です。しかもさえぎるものなど何もない海岸の崖の途中にあるわけですから、台風の強風に 数十時間晒さ れる事などはザラ、ときには 瞬間風速50メートル超を経験したことも、 二度や三度どころではないと 考えられるのです。よくぞこのような過酷な場所で、このサイズにまで生長したものだと感心せずにはおられません。・・・この“ど根性アガヴェ”には、小泉元首相の〔横綱貴乃花の優勝に対して発した〕「感動したっ! 」という名文句を送りたいです。ということで、南国の海岸線の崖の途中で、逆境ものともせずに成長し つづけているリュウゼツランのおはなしでした。 このアガヴェでテキーラを造ったら・・・。 そのテキーラもスーパーなものになりそうな気がします。 そんなカ ラスのマークのテキーラの話は こちら。「夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染」
Jan 27, 2019

農産物の質と量は反比例する。G質の高い収穫物を、できればたくさん、同じ時期に収穫すること、これが農業では大事になります。しかし農業の世界では、これがなかなかに難しいのです。一般的に ● 収穫される個数・量が少なければ、品質は上がる ● 収穫される個数・量が多くなれば、品質が下がるというのが、農業の常識となります〔ことのほか高品質を謳った農法において収穫量の説明があまりないのはこのよな理由によります〕。おコメを例にとれば、たとえばコシヒカリは 8表・・・480キログラム/10a 以上の収量を狙う栽培法をとれば、どうしてもおいしさがおちてくる傾向になります。ということで、ここが農業経営のねらい目。大規模農家でなくても、ハイテク農家でなくても、 質という一点にこだわって突き進んでいけば、勝ち残る可能性もでてくるわけです。なにせ、労力もありますからね。大規模にやればやるほど、作物1本当たりに対してかけられる労力は小さくなっていくわけですから。たとえば10アールに3000本植える作物は、 1ヘクタールだと30000本・10ヘクタールだと300000本にもなっていくわけですから。 土地の維持管理だってありますよね、考えてみてくださいよ、そんな30ヘクタールの土地に 均等に水を回すことや、その水路を維持・管理することが、いかにたいへんかを[さすがに水路の掃除をやってくれる機械はまだでていないかと]。土地の広さの話がでたところで・・・話がずれてはいきますが/笑農業機械の管理だってそうですよ、10アールを起こせばよいトラクターなら家の車庫にも入りますが、たとえば 大規模耕作用の1000万以上のトラクターなどではまずは専用の車庫をつくらねば・・といった話になってくるでしょうし、メンテだって、ちょっと自分で修理ってわけにもいかなくなりますし。[最近ではなぜだかあまり気かなくなってきましたが]物理的な問題でいえば、大型トラクターは自分の自重で土が締まってしまう なんて話も 一昔まえはけっこう議論されてましたし。おっと話をもとにもどして、今回は・・・労力をかけるほど品質は上がるし、手を抜いていくほど品質は下がるものであるのだから、 大規模化やハイテク化にすすまずとも いくべき道はある、というおはなしでした。いろいろな農家があって成り立つ農業集落の回は こちら。 昔は 大規模農業のことを、大規模粗放農業とも よんでいましたよね~。 この言葉もまたなぜか 聞かなくなってしまいましたけれど。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jan 20, 2019

作物の健全な生育に必要となる要素/ミネラル。K「土づくりには まずは 有機/たい肥に加えて ミネラル分」と考えられる方が多いと思います。また実際に そう発言される農家さんだって多い。しかし、ミネラルは 有機であろうはずはなく、無機成分なのだ というお話のつづきです。 前回の ミネラルは大切 からの続編になりますが、よろしかったら。 ↓ひとむかし前、「作物に必要な多量要素は チッソ・リンサン・カリの三要素だ」と、いわれてきました。しかし現在ではこの三要素に加えて「カルシウム・イオウ・マグネシウムも多量要素である」といわれるようになっています。 作物に必要な多量要素は、チッソ・リンサン・カリ・カルシウム・ イオウ・マグネシウム の 六要素であるというわけですね。この六要素は、その土地の土がもつ天然供給量と[天然供給量が不足したら]肥料という形で、作物が植えられる圃場に必要な分だけ供給されることになります。そしてもうひとつ、この6つの多量要素のほかに、六要素ほどには多量に必要とはされないのだが作物が順調にそだつのには欠かせない要素 があります。主として土の天然供給に頼っている、この微量に必要な要素が 鉄・マンガン・亜鉛・銅・モリブデン・塩素・コバルト・ホウ素などになります[微量要素とよばれていますよ]。ということで、これまでの説明を 水や空気から供給される 水素・炭素・酸素も加えて図示すると、のののののの こんなかんじになります。 実際の栽培において作物の生育状態が悪くなった場合は、その作物の症状から判断して欠乏状態が疑われる要素を、液肥の形などで補っていく方法などがとられていますよ。たとえば春先におこりやすいカルシウム欠乏についての回はこちら 。 文章にするとむづかしくなりますが、各作物の欠乏の状態の でる箇所や欠乏症状のでやすい時期などは、ある程度パターン 化していますので、慣れるとけっこう診断しやすいものです。 また、植物の具合が悪いようなら、試しにちょっとだけ液肥 など対応してみて、結果・具合がよいようだったらそれようの 固形の肥料を あげるのも手 ですよね。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jan 16, 2019

これから先の微量要素欠乏を予防するために。前回は 果実の形から作物の直面する樹勢への影響を推察したわけですが・・・今回は そのような状態をあらかじめ予測して予防する方法についての回となります。ということで、たとえば春先に乾燥するとどうしてもおこりやすい石灰欠乏などを事前に見越して、あらかじめ石灰などの資材を施しておくという話しになります。写真を使って説明すると、こんなかんじになりますよ。 マルチのかけられたトマトハウスの マルチをめくって かん水チューブのそばに 10アールあたり60キロ/3袋のカルシウム資材 を散布しておきます。この写真で、かん水チューブの脇に 黒っぽい粒状のみえるものが そのカルシウム資材で、 この資材は 追肥につかえるように 作物の根にもやさしい微酸性となっていますよ〔商品名はカルミタス といって、その成分は硫酸石灰+糖蜜系の有機+腐植となります〕。毎年春先の石灰欠乏に困っているのだが・・・といった質問を農家さんから受けた場合には、私は、まずはこの方法を〔おおむね30年近く〕おすすめしています。ちなみに ふつうは石灰といえばアルカリ性の強いもの ということになりますけれど、アルカリ性の強いものは 作物の根を痛める場合もありますので、価格が高くなりますけれど ここはやはり 微酸性が おすすめです[肥料の価格差って こういうところから発生してもくるんですよね]。 苦土石灰に消石灰に生石灰などといった、主として植え付け前の ほ場の酸度矯正につかう石灰資材とは別に、追肥用としての石灰 として、今回ご紹介した微酸性の硫酸石灰や 即効性の硝酸石灰 などがあります。・・・などとはいったものの初めて聞く場合は なかなか憶えにくいですよね。みんな石灰という言葉がつくので すから。 これってまるで 川崎市の武蔵中原・武蔵小杉・武蔵新城などの 駅の区別みたいな話ではあります/笑。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jan 11, 2019

果形から作物の生育状態を知る。 終盤にはいった今季のハウス施設栽培。ハウスキュウリ農家さんから生育状態判断についてのご質問いただきましたので、当ブログの関連回を再掲載してみました。 ↓ 『キュウリの果形から、作物の生育状態を知る』 キュウリは曲がっているのがあたりまえ、いえ曲がっているほうが良い・・・とさえ、思われている消費者さんもおられます。しかし、この考え方は、キュウリという植物の生育から見た場合には疑問符がつく考え方だといえるでしょう。 キュウリの定植から収穫終わりまでの生育全体を見た場合に、キュウリ果実の曲がりの発生が多くなるときは、キュウリの樹が疲れてきたとき に多くなることが統計上報告されています。 具体的には たとえば ● 葉が繁りすぎて、光が充分に葉にあたらないとき あるいは、 ● 病気や虫などの影響で葉の機能が落ちたとき、 ● 天候が悪いとき、 ● 一度にたくさんの果実をならしすぎたあと、 ● 肥料や水が不足して、樹にストレスがかかったとき といった状況で果実の曲がりが多くなることが判明しています。 せっかく読んでいただけているのですから、土壌栄養学的に特化して曲がり果が起きるときの土の状態を説明しますと、 ● 実の上部が細いもの肩こけ果は石灰欠乏 ● 尻が太いものは、下葉が枯れてきたとき ● 2本つながりや、実に葉の奇形果は、ホウ素欠乏 ● 果実が縦に割れる裂果は、根が弱っているとき、 ● 食べて苦い苦味果は、 乾燥が影響 している ということがわかっています。このようにキュウリ果実は なんらかのストレスが、作物にかかるときに曲がる のです。 したがって対処法は・・・作物にかかっているストレスを取り除いてやること。 その方法ですが、土壌栄養学的には 不足しているミネラル類を補うことで対処します。また、全体的には最初に述べた作物管理の適正化に努めることで、“曲がり”に対処していきます。 すっとまっすぐに育ったキュウリの樹から取れる、素直なキュウリの果実は、 ミネラルのバランスとれているので、とてもおいしいですよ。 よろしかったら、ご参考に。 良品を継続的に出荷できることが、農業経営におけるいち ばんの 経営安定策だとおもうんですよね。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jan 8, 2019

ミネラルにも派閥があって。Kひつづきミネラルのはなしです。 土壌検査をしてみると、圃場の土のなかに作物の成長に必要なはずの ミネラルの量は問題なく充分にあるはずなのに、いざ作物を栽培して みると それでも苦土やホウ素・石灰が効きにくいといった生育をしがちな作物のケースも、よくあります。さらに効き にくいといった程度ではなく 苦土欠乏やホウ素欠乏・石灰欠乏がおこる というケースが実際問題としてある。 土の中にミネラルはあるのに、なぜ効かないのだろう と思うのです が、こういった現象の原因のひとつとして考えられるのが各ミネラル のあいだの 拮抗作用 だといわれています。 拮抗作用とは・・・簡単にいうと「ミネラル同士の喧嘩」。たとえばカリの場合ですが、カリが土の中に多く存在すると、作物へ のマグネシウム/苦土の吸収を抑えるとされています。そのために土のなかにマグネシウム/苦土がたくさんあったとしても、作物の生育の過程でマグネシウム/苦土の欠乏症状がおこるばあいがあるという わけですね。また カリは[マグネシウム/苦土と同様に]作物へのカルシウムや ホウ素の吸収を阻害しやすいことも知られています。そんなミネラルのあいだの相互関係[要素の相互作用といわれていま すよ]を図示したものが こちら 。 ののののの 直線は 拮抗作用。そして点線は、作物に吸収れるのを助けあうとい う相助作用をあらわしています。そうなんです、ミネラルはお互いに喧嘩するばかりではなく、協力し あう場合もあるのですから、おもしろいものですよね[そんな相助効 果は、たとえばリンとマグネシウムの関係で知られています]。と、いうことで今回は、お互いのあいだに好き嫌いが存在するために土の中にたくさんあったとしても、特定のミネラルが作物に吸収され にくいこともある[逆に土のなかに少ない場合でもなぜか良く効くこ ともある]という・・・ 人間とおなじように、ミネラルにも派閥がある みたいな、そんな おはなしでした[カリや塩素が多くなってしまう原因については こちら]。 そして連想されませんでしたか、 旧約聖書のアダムのはなし を。 そう「アダムは、神によってその息吹と土から創造された」という あの一節です。・・・ひとに派閥があるのは、土のミネラルの作用 なのかも/笑。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jan 4, 2019
全7件 (7件中 1-7件目)
1

![]()
![]()