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1年ほど前のことです。私がアレクサンダー・テクニークのティーチングを学び始めてからしばらくたった頃、石井ゆり子先生の「ブラスバンドへのアレクサンダー・テクニークのワークショップ」のお手伝いをさせていただきました。ワークショップは都内の某高校のブラスバンド部で、20数名の高校生の男女が参加してくれました。クラブの顧問の先生が石井ゆり子先生のレッスンに通われていて、その効果に驚かれ、ワークショップを計画されたそうです。ゆり子先生は多くの人数でそれぞれが学ぶために念入りに計画されていて、また新人の私にも大変気を使っていただいて、ワークショップは始まりました。私も高校時代、吹奏楽部でフルートを吹いていた経験があるのですが、何より驚いたのは高校生のエネルギッシュなことです。アレクサンダーの学校でのワークショップは、社会を経験してきた大人の方で行われるので、静かな、内面に向かうエネルギーに満ちていますが、高校生たちは内も外もエネルギーに溢れ、喜びも溢れているように感じました。大人はあの何でもない喜びを、どこに置いてきたのかしら、なんて思います。ゆり子先生は高校生たちの溢れるエネルギーを留まることなく発散させながら、ワークショップを進めていきました。後半、いよいよ楽器演奏をしながら、実際に高校生のひとりひとりにハンズオンをしていきました。先生は指揮台に上り、皆でカデンツのロングトーンをやりました。実際20数名を二人でハンズオンしていったので、ある程度の時間は必要でしたが、ひとりひとりの音が変化してゆくにつれ、全体の響きがどんどん豊かになってゆきました。高校生なので、からだの情報を手に入れるのも、大人より柔軟かもしれません。終わった後の顧問の先生の驚きといったら!「普段の練習とまるで違って、トランペットはすぐ音になったし…」などといろいろコメントをおっしゃっていました。そう言えば、私の覚えている限り、高校時代のブラスの演奏は、しょっちゅう音の立ち上がりが悪かったり、音がひっくり返ったり、演奏中にいろんな音が出ていました。本当に楽しい経験でした。それに難しい曲を演奏しなくたって、楽器って無理なく音を出すだけで、なんて素晴らしいのでしょう!無理なく出てきた音は、からだ全体に響いてとても気持ち良かったです。
2009年01月12日
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私は数年前から南浦和の小鳩保育園という所で、子供たちの前でピアノを弾くボランティアをやらせて頂いています。きっかけは、今の子供たちが生の音楽にあまり触れていないことを感じたからです。たとえばピアノを教えていて、「歌の嫌いな子」が多くなったこと、電子ピアノをピアノだと思っている親御さん、アコースティックピアノを持っている子が極端に少なくなったことに気がつくにつれ、今の子達は電子音ばかりの中で育っていて、生活の中に生きた音楽が少なくなっているように思いました。電車の中でヘッドホンで聴いている音楽もすべて録音された音。街中の音もほとんどが電気を通した音。音楽で溢れているけど、あまり豊かではない、そんな感じがします。ある日友人が、「『子犬のワルツ』を曲がわからないくらいゆっくり練習していたのに、コマーシャルで流れたら、子供が『ママの曲だ。』って言ったの。子供ってすごいね」と、素敵なエピソードを話してくれました。これだったら、私のピアノでも少しは役に立ちそうだと思い、ボランティアを始めました。おかげさまで面白い経験をたくさんさせていただいています。毎回弾くバッハのフーガを口ずさんだり、ベートーヴェンの悲愴ソナタの1楽章を弾いた時には、最初のテーマで泣き出す子がいました。曲のあまりの暗さに怖がったのかな。一時保育で来ていた子が、ショパンの練習曲Op.25-1を弾いた後に、目をキラキラさせて抱きついてきました。とても喜んでくれたようです。もちろん毎回そんな素敵なことは起こらないし、飽きちゃう子もいるし、私もボロボロになっちゃうときもあります。でもそれも生きた人間の弾く、生きた音楽。このような機会を与えてくれて、アコースティックピアノを用意してくださった理事長先生及び小鳩保育園の関係者の皆様、ありがとうございます。
2009年01月08日
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私は音楽が好きです。「ピアノを弾く大人になりたい」と、中学生の時にふと思って、ただそれだけで音楽大学に進みました。その頃の私にとって、ピアノは子供の弾くものでした。日常生活の中でピアノを楽しんでいる大人なんて、想像することも出来ませんでした。わからないながらも音楽からいろいろな感情の動きを知り、新しい経験を通して音楽を感じ、音楽と共に生きることはとても素敵なことだと思いました。そして、とても心に深く残る思い出があります。RちゃんとMちゃんという姉妹を教えていた時のことです。週に1度、私は彼女たちのお宅にピアノを教えに通っていました。そしてある日突然、彼女たちの家庭が崩壊してしまいました。彼女たちの間に男の子が一人いて、3人兄弟だったのですが、この子達を置いて、お母様がいなくなってしまいました。そして、しばらく経った頃、お父様とお腹の大きくなった、新しいお母様。新しいお母様はあまり家にはいらっしゃいませんでした。Rちゃんは小学校の高学年でしたが、泣き言を言わず、愚痴ひとつこぼさず、小さな弟と妹の面倒を良く見ていました。そしてそれと同時に以前にはほとんど練習しなかったピアノに、興味を持ち始めました。中学生になり、彼女のピアノの音はどんどん深みを増しました。曲は難しいものではありませんでしたが、音楽の中に彼女は何かを見つけたようでした。ある時、彼女にベートーヴェンの「月光ソナタ」の1楽章を与えたら、その変化は目覚しいものがありました。利口な子で、自分の置かれた立場に対して不必要な反抗をしたりせず、「月光」とともに自分の内面と会話をしていたのだと思います。この時ほど、音楽の素晴らしさを感じたことはありません。音楽は人を救うものなのだと。そして音楽は自分のために存在して良いのだと。残念だけど、人生の厳しさは、正面から受け入れれば、人を磨くのですね。Rちゃん、いろいろ教えてくれてありがとう。あなたの人生が実り多いものとなりますように。
2009年01月02日
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