11月18日、明治神宮大会・決勝が行われ、早稲田大がスコア2-1で東海大に勝利。神宮大会の初優勝を決めた。早稲田大は 福井優也
- 大石達也
- 斎藤佑樹
の豪華「ドラ1」リレー。一方、東海大はエース・ 菅野智之
(3年、東海大相模高)が完投したものの惜敗した。 全日本大学野球選手権
に続き、東海大はなぜか「準優勝」に縁があるなぁ。
■以下、斎藤佑樹に関する日刊スポーツの記事。
もう、こらえ切れないほど、涙がこみ上げた。早大ファンで埋まったスタンドに、斎藤が両手を突き上げる。直後に、熱いものがあふれ出た。指で両目を押さえても止まらない。ウイニングボールを受け取ると、かつてハンカチを忍ばせたポケットに、そっとしまった。
優勝インタビューでは、異例のマイクパフォーマンスに乗り出した。「何を持っているか確信しました。それは仲間です」と自ら切り出した、今月3日の早慶優勝決定戦の再現を期待された。「アマチュア野球は野球界の原点。上のステージでもエンターテインメントできるように頑張ります」と決めた。
この瞬間を味わうために努力を続けた。「一生懸命やれば、神様がご褒美をくれると信じた」。苦しんだ3年時には1年間優勝から遠ざかった。「山あり谷あり。特に谷の方が大きかった」と言う。それでも1年春、日本一で始まった激動の4年間を、これ以上ない形で締めた。「持ってないと言ったらウソになります」とはにかんだ。
(以上、日刊スポーツより)
「エンターテイメント」。意訳すれば「プロ球界でも多くのファンに感動を与えたい」といったところだろうか。かつてそのエンターテイメントの頂点には 長嶋茂雄
さんがいた。ならば今はだれだろうか? 考えてみたけれど、残念ながら適当な選手名が思い当たらなかった。
■書籍 『昭和20年11月23日のプレイボール』
( 鈴木明
著、光人社刊)のプロローグには、長嶋さんの半生が凝縮して綴られていて、ボクはとても共感できた。それはこんな一文だった。
終戦直後、プロ野球復興のために 小西得郎
さんらの下で東奔西走した 川村俊作
さんという人がいる。日本中が空腹と飢餓に覆われていた時代、寝食を忘れてプロ野球復興に奇妙なまでにとり憑かれたような男だった。そして復興から30数年が経ち、プロ野球が国民的スポーツに定着したある日、川村さんは、著者の鈴木さんに突然、ポツンと聞いた。
「長嶋は好きですか?」
僕(鈴木)はとっさに 「ええ・・・」
と答えた。
すると川村さんが話し始めた。
「私ね、時々夢みたいに思うことがあるんですよ、昭和20年の敗戦のときに、わたしたちが夢中でプロ野球なんて、人が気狂い扱いするようなもののをやっていたときに、この日本のどこかに、まだボールを握ったこともない長嶋茂雄という少年が、たしかに存在していた。そして、その男が運命的な糸にあやつられて、いまテレビの前にいるということなんですね。神様だけがすべてをその時から知っていて、じっとそれを見てきた。それなのに、あとの人は誰も知らない。そんな妙な幻想に捕らわれることがあるんですよ。そして、長嶋という、この一人の男の夢を育てるために、何千、何万という同じようにプロ野球を目指した若者の夢が消えてゆくんです。ふしぎですね。年をとると、妙なことを考えるんですよ・・・」
(以上、『・・・のプレイボール』)
■長嶋さんは昭和11年生まれ。小西得郎さんや川村さんらが終戦直後(昭和20年)、プロ野球復興にかけずり回っていた頃、長嶋さんはまだ9歳だった。それがその後、野球の神様に導かれるように、野球というスポーツの花形選手に成長していった。
立教大に入学後は東京六大学リーグを人気絶頂に導いた(卒業後、六大学リーグは衰退を始めたが)。そして読売入団後は、プロ野球を国民的なエンターテイメントに仕立てもした(だが長嶋さんが引退後は、プロ野球も人気低迷に喘いでいるが)。
もし長嶋茂雄という人がこの世に生まれていなかったら? そう想像してみた。ひょっとしたら野球は国民的なスポーツ、いわゆるエンターテイメントになんかなってなかったかもしれない。そんな不吉なことさえ想像してしまうのだ。
プロ野球に限らず何か事業を興す時、綿密な計画や相応の資金、そして当事者たちの熱い思いが必要なのは言うまでもない。でもそれだけでは成功の保証はない。成功するためには時代の(追い)風というか、そういった自分だけではコントロールできない要素がどうしても必要だ。実感としてボクはそんな思いを持っている。そしてプロ野球の驚異的な発展の原因(風)が長嶋さんの出現だったと、川村さんは言いたかったのだとボクは思った。
■話を戻して斎藤佑樹のこと。斎藤も衰退していた大学野球に久々にスポットを当てさせた功労者だった。商業的にはマイナーなコンテンツである(失礼!)明治神宮大会の試合の模様が何度もテレビニュースに取り上げられるなんて、異常事態でさえあった。斎藤はプロに入団後、今度はプロ球界を盛り上げることができるのかな?
長嶋さんと比較するのはあまりに酷だけど、斎藤の言う「エンターテイメント」とやらに少しだけ期待してみたい。
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