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「コレステロールが気になるから、油はできるだけ控えたほうがいい?」
「体重も気になるし、脂質は少ないほど健康的?」
そんなふうに、肉の脂だけでなく、魚や卵まで何となく避けていませんか?
最初に知っておきたいのは、脂質は少なければ少ないほどよい栄養素ではないということ。
大切なのは、極端に減らすのではなく、自分の食事量に合わせて適量を取り、さらに**「何から脂質を取っているか」**を見ることです。
今回は管理栄養士の視点から、
・脂質は1日にどのくらいが目安?
・コレステロールと食事の脂質はどう違う?
・どんな食品から脂質を取ればいい?
・忙しい日はどう食事を整える?
という疑問を、毎日の食事に置き換えてまとめます。
脂質は1日どのくらい?まず知っておきたい目安
最初に、検索している方がいちばん知りたい答えから。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の男女について、脂質の目標量は**1日の総エネルギー摂取量の20〜30%**とされています。
たとえば、1日に1,800kcalを取る場合。
計算すると脂質は、
約40〜60g/日
となります。
保存用|1日の脂質量の早見表
1,600kcalの場合
→ 約36〜53g
1,800kcalの場合
→ 約40〜60g
2,000kcalの場合
→ 約44〜67g
ただし、ここで勘違いしやすいポイントがあります。
「脂質40〜60g=調理油を40〜60g使う」ではありません。
脂質は、
・肉
・魚
・卵
・大豆製品
・乳製品
・ナッツ類
・調理油
など、さまざまな食品に含まれています。
必要なエネルギー量も、年齢や体格、身体活動量などによって変わります。
数字を毎日細かく計算するというより、自分の食事を振り返るための目安として考えてください。
コレステロール値と「食べる脂質」は同じではありません
「コレステロールが気になるから、脂質を減らそう」
一見分かりやすいのですが、ここは分けて考える必要があります。
コレステロールは脂質の一種です。
細胞膜の構成成分となるほか、ステロイドホルモンや胆汁酸などの材料としても使われる、体に必要な物質です。
そして、血液検査で測定されるLDLコレステロールやHDLコレステロールの値は、食事で脂質をどのくらい食べたかだけで決まるものではありません。
そのため、
「コレステロール値が低い=脂質不足」
と単純には判断できません。
反対に、
「コレステロール値が高い=脂質をできるだけ食べない」
と考えるのも適切ではありません。
健康診断などで数値の異常を指摘された場合は、自己判断で極端な食事制限をするのではなく、医療機関で相談することも大切です。
脂質にも大切な役割があります
脂質は、炭水化物・たんぱく質と並ぶエネルギー産生栄養素のひとつ。
1g当たり約9kcalとエネルギー量が多いため、体重管理では「取りすぎ」が注目されがちです。
でも、脂質には、
・エネルギー源になる
・細胞膜などの構成成分になる
・脂溶性ビタミンの吸収に関わる
といった役割があります。
脂肪酸の中には、体内で十分に作ることができず、食事から取る必要があるものもあります。
だからこそ、
「脂質=避けるもの」ではなく、取りすぎにも極端な制限にも偏らない
ことが大切です。
コレステロールが気になるなら「量」+「種類」を見る
脂質の目安量が分かったら、次に意識したいのが脂質の種類です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上について、飽和脂肪酸は総エネルギー摂取量の7%以下が目標量とされています。
飽和脂肪酸は、
・脂身の多い肉
・鶏肉の皮
・バター
・生クリーム
・ラード
・飽和脂肪酸の多い油脂を使った菓子類
などから多く取りやすい脂肪酸です。
一方、魚にはn-3系多価不飽和脂肪酸、大豆や植物油などにも不飽和脂肪酸が含まれています。
特にLDLコレステロールが高い場合は、脂質を全部避けるのではなく、飽和脂肪酸などに偏っていないかを見ることが大切です。
つまり、
「脂質を減らす」だけではなく、「何から取っているか」を見る。
ここが今回、いちばん覚えておいてほしいポイントです。
保存してチェック|脂質の取り方、偏っていませんか?
細かな栄養計算を毎日するのは大変ですよね。
そこで、普段の食生活を簡単に振り返ってみましょう。
□ ダイエット中なので油をほとんど使わない
□ 肉だけでなく魚まで避けている
□ 卵や大豆製品も「脂質があるから」と控えている
□ 主食や主菜まで減らし、食事量そのものが少なくなっている
□ 脂身の多い肉料理が続くことが多い
□ 揚げ物や洋菓子を食べる機会が多い
□ 魚料理をほとんど食べない
これは、当てはまった数で食生活の良し悪しを判定するものではありません。
「私は普段、何から脂質を取っている?」
と振り返るためのチェックリストです。
減らしすぎていないか。
反対に、特定の脂質源へ偏っていないか。
両方の視点から見てみてください。
忙しい女性は「油を足す」より、いつもの食事を整える
「脂質が必要なら、料理に油をもっと使えばいい?」
そういうことではありません。
普段食べている食品そのものにも脂質は含まれています。
忙しい毎日では脂質だけを単独で考えるより、主食・主菜・副菜をざっくりそろえるほうが食事全体を整えやすくなります。
朝食なら
ごはん+納豆+卵+具だくさんみそ汁。
納豆や卵を取り入れると、たんぱく質源も確保しやすくなります。
パン派なら、パンだけで終わらせず、卵料理やヨーグルト、野菜スープなどを組み合わせる方法もあります。
昼食なら
おにぎり+魚や大豆を使った主菜+野菜。
コンビニでも、おにぎりだけ、サラダだけにせず、魚、豆腐、納豆、卵などの主菜になる食品をひとつプラスすると食事を整えやすくなります。
夕食なら
ごはん+魚・肉・大豆製品などの主菜+野菜のおかず+汁物。
毎日魚にする必要はありません。
肉、魚、大豆製品などを順番に取り入れていくだけでも、特定の食品に偏りにくくなります。
魚料理が面倒な日は「フライパン蒸し」に
「魚も食べたいけれど、グリルを洗うのが面倒……」
忙しい日は、調理より後片付けが面倒に感じることもありますよね。
そんな日は、魚と野菜をフライパンに入れて一緒に蒸し焼きにするとラクです。
魚料理をフライパンでよく作る方なら、フライパン用の魚焼きシートなどがあると、食材がくっつきにくくなり、後片付けの負担を減らせる場合があります。
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もちろん、新しく買いそろえる必要はありません。
手持ちのフライパンで蒸し焼きにするだけでも十分。
「魚料理=グリル」と決めず、続けやすい調理方法を選んでみてください。
10〜15分で作れる「鮭ときのこのフライパン蒸し」
魚と野菜を一度に調理できる、平日の夕食に使いやすい主菜です。
【材料・2人分】
・生鮭 2切れ(約160g)
・しめじ 100g
・キャベツ 150g
・酒 大さじ1
・しょうゆ 小さじ2
・植物油 小さじ1
・こしょう 少々
【下準備】
キャベツは食べやすい大きさに切ります。
しめじは石づきを取り、ほぐします。
【作り方】
① フライパンに植物油を薄く広げます。
② キャベツ、しめじ、鮭をのせます。
③ 酒を回しかけ、ふたをして中火〜弱めの中火で蒸し焼きにします。
④ 鮭の中心まで十分に火が通ったら、しょうゆとこしょうで味を整えます。
【調理時間の目安】
約10〜15分
【失敗しにくくするポイント】
野菜から水分が出るため、途中で焦げそうな場合は火を弱めて調整してください。
鮭は中心までしっかり加熱します。
【おいしく仕上げるポイント】
鮭は火が通ったあとも長時間加熱すると身がかたくなりやすいため、加熱しすぎないようにします。
【時短ポイント】
カット済みキャベツや、ほぐしてあるきのこを使えば、包丁を使う時間をさらに減らせます。
【管理栄養士の栄養ポイント】
鮭を主菜にしながら、キャベツときのこも一緒に食べられる一皿です。
ごはんを添えれば主食もそろいます。
もう少し野菜を増やしたい日は、冷凍野菜を入れた汁物などをプラスする方法もあります。
【1人分・目安】
エネルギー:約190kcal
たんぱく質:約20g
脂質:約9g
炭水化物:約9g
食物繊維:約3g
食塩相当量:約1.0g
※鮭の種類や大きさ、使用する調味料などによって栄養価は変わります。
疲れた日はレンジで「豆腐と豚肉の蒸しもの」
「今日はフライパンも洗いたくない」
そんな日には、電子レンジを使った主菜も便利です。
【材料・2人分】
・木綿豆腐 300g
・豚もも薄切り肉 120g
・もやし 200g
・酒 大さじ1
・しょうゆ 小さじ2
・酢 小さじ2
・ごま油 小さじ1
・小ねぎ 適量
【下準備】
豆腐は軽く水気を切り、食べやすい大きさに切ります。
【作り方】
① 耐熱皿にもやしを広げます。
② 豆腐をのせ、その上に豚肉を重ならないように広げます。
③ 酒をかけ、ふんわりラップをして電子レンジで加熱します。
④ 豚肉の中心まで十分に火が通ったことを確認します。
⑤ しょうゆ、酢、ごま油を混ぜてかけ、小ねぎを散らします。
電子レンジの加熱時間は、機種や食材の温度、耐熱容器の形などによって変わります。
肉に赤い部分が残っている場合は、様子を見ながら追加加熱してください。
【調理時間の目安】
約10分
【失敗しにくくするポイント】
豚肉を重ねすぎないように広げると、加熱ムラを確認しやすくなります。
【おいしく仕上げるポイント】
加熱後に水分が多く出ていたら、たれをかける前に少し取り除くと味が薄まりにくくなります。
【時短ポイント】
もやしは下処理の手間が少なく、豆腐も大きめに切れば準備は数分。
包丁をほとんど使わず作ることもできます。
【管理栄養士の栄養ポイント】
豚肉だけでなく豆腐も組み合わせることで、大豆製品も普段の主菜へ取り入れられます。
ごはんと野菜入りの汁物を添えれば、忙しい日の夕食として組み立てやすくなります。
【1人分・目安】
エネルギー:約270kcal
たんぱく質:約24g
脂質:約16g
炭水化物:約9g
食物繊維:約2g
食塩相当量:約1.0g
※豚肉の脂身の量や豆腐、調味料の商品などによって栄養価は変わります。
レンジ蒸しをよく作るなら、少し深さのある電子レンジ対応の耐熱容器があると、野菜や豆腐から水分が出る料理にも使いやすくなります。
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ただし、専用の調理器具を新しく買う必要はありません。
電子レンジ対応と表示された手持ちの耐熱皿や耐熱容器があれば、まずはそれを使ってみてください。
道具を増やすことより、「疲れた日でも作れる料理をひとつ持っておく」ほうが毎日の食事では役立ちます。
「脂質を減らしたら疲れる」は、脂質だけで判断しないで
食事を変えてから、
「最近疲れやすい」
「食欲がない」
「便秘が気になる」
「肌の調子が気になる」
と感じることがあるかもしれません。
ただし、こうした不調にはさまざまな原因があります。
症状だけを見て「脂質不足が原因」と判断することはできません。
一方で、
脂質を控えるために肉を減らす。
魚も減らす。
卵や大豆製品も減らす。
さらに主食まで減らす。
という食生活になっている場合は、脂質だけではなく、エネルギーやたんぱく質などを含めた食事全体が十分かを振り返る必要があります。
まず確認してほしいのは、
朝・昼・夕食を無理なく食べられているか。
そして、
主食や主菜まで極端に減らしていないか。
です。
不調が続いている場合や、意図しない体重減少がある場合などは、食事だけで解決しようとせず医療機関へ相談してください。
健康診断でLDLコレステロールなどの異常を指摘されている場合も、自己判断だけで極端な食事制限をするのは避けましょう。
管理栄養士ゆきなべの一言|「減らす」だけでは食事は整わない
健康や体重が気になり始めると、
「脂質を減らそう」
「糖質を減らそう」
「塩分を減らそう」
と、「減らすこと」に目が向きやすくなります。
もちろん、取りすぎているものを適量へ近づけることは大切です。
でも、減らすことだけに集中すると、食べられる食品までどんどん少なくなってしまうことがあります。
毎日の食事では、
「何を減らすか」と同じくらい、「何を組み合わせるか」も大切。
肉料理が続いたら、次は魚にする。
忙しい日は、納豆や豆腐を使う。
野菜が少なかった日は、次の食事で汁物に野菜を足す。
一食ですべてを完璧にする必要はありません。
数日くらいの幅で、
「最近、肉料理が多かったかな」
「魚をしばらく食べていないな」
と調整していく方法なら、忙しい毎日にも取り入れやすくなります。
今日からは「脂質を減らす」前に、3つだけ確認
今回覚えておきたいポイントをまとめます。
・成人の脂質の目標量は、総エネルギー摂取量の20〜30%が目安
・コレステロール値と食事から取る脂質量を単純に同じものとして考えない
・脂質は「どのくらい」だけでなく「何から取っているか」も見る
毎日、脂質を1g単位で計算する必要はありません。
今日の夕食を見ながら、
「今日は何から脂質を取っているかな?」
と一度確認してみてください。
肉料理が続いていたら、次は魚。
魚をしばらく食べていなければ、次の買い物で一品選んでみる。
料理をする時間がなければ、納豆や豆腐を活用する。
今日から始めるなら、まずはこれくらいの小さな調整で十分です。
健康診断の数値が気になると、「食べないほうがいいもの」を探したくなることがあります。
でも、毎日の食事は、禁止する食品を増やすだけでなく、必要な食品を無理なく組み合わせることも大切です。
コレステロールが気になるときの食事は、脂質だけではなく、魚や大豆製品、野菜、海藻、食物繊維なども含めて食事全体を見ると考えやすくなります。
忙しい日の献立や、普段の食事へ魚・大豆製品を取り入れる方法についても、ほかの記事で紹介していきます。
管理栄養士ゆきなべとして、難しい栄養の話を「今日の食事でどうする?」まで落とし込みながら、簡単レシピや食習慣、旬の食材、体重管理に役立つ食事の考え方をこれからもお届けします。
最後にひとつ。
普段の夕食では、魚料理と肉料理、どちらを食べる日のほうが多いですか?
よかったらコメントで教えてください。
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