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健康診断の結果表にある「AST」「ALT」「γ-GT」。
数字は見たものの、何を表しているのか分からないまま結果表をしまっていませんか?
今回は、健康診断で確認したい肝臓の3項目と、結果を見たあとに食生活で振り返りたいことを、管理栄養士の視点から分かりやすくまとめます。
健康診断の肝臓の数値、まず見るのはこの3項目
健康診断の結果表には、たくさんの検査項目が並んでいます。
その中で肝機能について、まず知っておきたいのが、
・AST(GOT)
・ALT(GPT)
・γ-GT(γ-GTP)
の3項目です。
厚生労働省の特定健康診査でも、AST・ALT・γ-GTは肝機能検査の項目とされています。
名前が似ていて分かりにくいので、まずは「何が違うの?」というところから整理していきましょう。
AST(GOT)は肝臓だけの数値ではありません
ASTは、肝臓だけではなく、心臓や筋肉などにも存在する酵素です。
肝細胞などが傷つくと、細胞内にあるASTが血液中へ出ることで数値が上昇することがあります。
そのため、
「ASTが高い=肝臓の病気」
とASTだけを見て判断することはできません。
ALTなど、ほかの検査項目と合わせて確認することが大切です。
ALT(GPT)は特に確認しておきたい項目
ALTも、細胞が傷ついたときに血液中へ出てくる酵素です。
ASTと比べると肝臓との関連が強く、肝臓の状態を考えるうえで重要な手がかりになります。
ここで一つ覚えておきたいのが、
ALT 30 U/L超
です。
日本肝臓学会は「奈良宣言2023」で、健康診断などでALTが30 U/Lを超えていた場合、まずかかりつけ医などを受診することを勧めています。
「少しだけだから」と自己判断で終わらせず、まず自分の健康診断結果を確認してみましょう。
γ-GT(γ-GTP)は「お酒を飲む人だけ」の項目ではありません
γ-GTは、肝臓や胆道などに関連する検査項目です。
「お酒を飲む人が見る数字」というイメージを持っている方もいるかもしれません。
確かに飲酒習慣との関連でも知られています。
ただし、
「私はお酒を飲まないから、肝臓の数値は気にしなくても大丈夫」
ということではありません。
ASTやALTなども含め、健康診断の結果全体を見ることが大切です。
📌保存用|AST・ALT・γ-GTの違い
健康診断の結果表を見返すときは、まず次のように整理しておくと分かりやすくなります。
AST(GOT)
肝臓だけでなく、心臓や筋肉などにも存在します。
ASTだけで判断せず、ALTなどほかの項目と合わせて確認します。
ALT(GPT)
肝臓との関連が強く、肝臓の状態を考える重要な手がかりになります。
日本肝臓学会では、ALTが30 U/Lを超えている場合、まずかかりつけ医などへの受診を勧めています。
γ-GT(γ-GTP)
肝臓や胆道などに関連する検査項目です。
飲酒との関連でも知られていますが、飲酒の有無だけで判断するものではありません。
そして、もう一つ大切なのが、
3項目の数字だけから自分で病気かどうかを判断しないこと。
健康診断の結果表に記載されている判定や受診案内まで確認してください。
数字だけでなく「判定」を見ていますか?
健康診断の結果を見ると、基準範囲に入っているかどうかだけが気になりやすいですよね。
でも、
「基準範囲なら絶対大丈夫」
「少し超えたら病気」
と単純に判断できるものではありません。
検査機関によって基準範囲や表示方法が異なる場合もあります。
まず、自分の結果表に書かれている
・基準範囲
・判定
・再検査の指示
・精密検査の指示
・医療機関への受診案内
まで確認してください。
特に「要受診」「要精密検査」などの指示がある場合は、食生活だけで何とかしようとせず、指示に従って医療機関へ相談することが大切です。
去年の健康診断結果も残っていますか?
今年の結果を確認したら、もう一つ見てほしいものがあります。
昨年の健康診断結果です。
健康診断の結果は、受け取ったときだけ確認して、そのまま引き出しへ……となりがちですよね。
昨年の結果が残っていたら、今年のものと並べて、
「ASTはどうだった?」
「ALTは?」
「γ-GTは?」
と確認してみてください。
もちろん、数値の変化だけから原因を自己判断することはできません。
それでも過去の健診結果を残しておけば、自分で経過を確認でき、医療機関へ相談するときにも以前の結果を伝えやすくなります。
健康診断は「今年は合格だった」と考えるものではなく、
自分の体を定期的に確認する機会
として活用してみましょう。
「お酒を飲まないから肝臓は大丈夫」とは限りません
肝臓というと、まず「お酒」を思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん、飲酒は肝臓と関係があります。
一方で、肝臓の病気には飲酒以外にもさまざまな原因があります。
日本肝臓学会では、慢性肝臓病の原因として、肝炎ウイルス、脂肪肝、アルコール、免疫異常などを挙げています。
そのため、
「ほとんどお酒を飲まないから私は関係ない」
と結果を見ずに終わらせないことも大切です。
肝臓の数値が気になったら、食生活ではここを振り返ろう
ここからは、管理栄養士として毎日の生活で確認してほしいポイントを紹介します。
ただし、ここで紹介する食生活の見直しは、医療機関での診断や治療の代わりではありません。
受診を勧められている場合は、まず受診を優先してください。
①最近、体重や腹囲が変わっていない?
「食べる量はそんなに変わっていない」と思っていても、生活環境が変わることで活動量が減っている場合があります。
たとえば、
在宅勤務が増えた。
車で移動する機会が増えた。
忙しくて歩く時間が減った。
夕食後のお菓子が習慣になった。
こうした小さな変化が続いていないか、一度振り返ってみましょう。
健康診断ではAST・ALT・γ-GTだけではなく、
体重、BMI、腹囲、血糖、脂質なども一緒に見る
と、自分の生活を振り返る材料が増えます。
②甘い飲み物やお菓子が毎日の習慣になっていない?
仕事中の甘いカフェラテ。
夕方のお菓子。
夕食後のデザート。
どれも「絶対に食べてはいけない」というものではありません。
まず確認してほしいのは、
量と頻度です。
たとえば、お菓子を袋のまま食べているなら、食べる分を小皿へ出す。
甘い飲み物をよく飲むなら、「週に何回くらい?」と振り返ってみる。
いきなり禁止するのではなく、
自分がどのくらい食べたり飲んだりしているのかを知る
ところから始めると取り組みやすくなります。
③昼食が少なくて、夜に食べすぎていない?
忙しい日は、
朝はコーヒーだけ
↓
昼も簡単に済ませる
↓
夕方に空腹
↓
お菓子を食べる
↓
夕食をたくさん食べる
という流れになることがあります。
健康診断の結果が気になると、
「夕食を減らそう」
と考えるかもしれません。
でも、夕食だけではなく1日全体の食事を見ることも大切です。
朝食なら、
ごはん+卵+みそ汁
パンなら、
パン+ヨーグルト+果物
など。
毎食完璧な献立にする必要はありません。
主食だけで終わりやすい食事に、卵、魚、肉、大豆製品、乳製品などのたんぱく質源や、野菜・果物を少し加えるところから始めてみましょう。
④お酒は「飲むかどうか」だけでなく量と頻度を見る
飲酒習慣がある場合も、
「お酒を飲んだからダメ」
と考えるのではなく、まず
何を、どのくらい、週に何日飲んでいるか
を確認してみましょう。
家でグラスに注いでいると、実際に飲んでいる量が分かりにくいことがあります。
缶なら容量とアルコール度数を見る。
ワインや日本酒なら、いつものグラスへどの程度注いでいるか確認する。
まず自分の飲酒量を把握することが、生活を振り返る第一歩になります。
医師から減酒や断酒について指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
忙しい日の食事は「少し足す」で考えてみよう
健康診断の結果を見て、
「明日から健康的な料理を毎日作らなきゃ」
と考えなくても大丈夫です。
仕事や家事で帰宅が遅くなった日は、料理に時間をかけられないこともありますよね。
そんな日は、
おにぎり+ゆで卵+野菜の入ったスープ
でもいい。
家にあるもので済ませるなら、
ごはん+冷ややっこ+冷凍野菜を加えたみそ汁
でもいい。
お惣菜を使うなら、
焼き魚+ごはん+カット野菜
という組み合わせもできます。
「健康のために特別な食品を買う」より、
今ある食事に足りないものを一つ足してみる。
そのほうが忙しい毎日では続けやすいこともあります。
管理栄養士ゆきなべの一言
健康診断で肝臓の数値を指摘されると、
「何を食べれば数値が下がるの?」
と考えたくなるかもしれません。
でも、AST・ALT・γ-GTを下げるための特定の食品を探すことから始める必要はありません。
検査値が変化する背景には、さまざまな原因があります。
「肝臓によい」と宣伝されている食品やサプリメントを自己判断で取り入れる前に、受診を勧められている場合は、まず医療機関へ相談してください。
そのうえで、
食事の量はどうだった?
間食や甘い飲み物が増えていない?
体重や腹囲は変わった?
飲酒量や頻度は?
以前より活動量が減っていない?
と、毎日の生活全体を振り返ってみることが大切です。
食生活を一日で全部変える必要はありません。
今の生活の中で続けられそうなことを、一つ選んでみましょう。
📌保存して見返したい|健診結果5つのチェック
健康診断の結果表を受け取ったら、この5つを確認してみてください。
① AST(GOT)を確認
② ALT(GPT)を確認
③ γ-GT(γ-GTP)を確認
④ 数値だけでなく判定・受診案内まで確認
⑤ 昨年の結果があれば並べて確認
特にALTについては、日本肝臓学会が30 U/Lを超えている場合、まずかかりつけ医などを受診することを勧めています。
「食事を変えて来年まで様子を見よう」と自己判断せず、必要な場合は受診につなげてください。
今日やることは「健康診断の結果を出す」だけ
この記事を読んだからといって、今日から食事も運動も全部変える必要はありません。
まずは健康診断の結果表を出して、
AST・ALT・γ-GT
の3か所を探してみてください。
そして、数字だけではなく判定欄まで見る。
昨年の結果が残っていたら、横に並べてみる。
今日やることは、まずこれだけでも十分です。
健康診断は、不安になるためだけのものではありません。
仕事や家族のことを優先して後回しになりやすい「自分の健康」を確認する機会として、結果表を活用してみてください。
健康診断はほかの項目も少しずつ確認
健康診断には肝機能以外にも、
・中性脂肪
・LDLコレステロール
・HDLコレステロール
・血糖
・HbA1c
など、日々の食生活と一緒に振り返っておきたい項目があります。
健康診断や食生活についての記事も紹介していますので、気になる項目から少しずつ確認してみてください。
今回覚えておきたいこと
健康診断で肝臓の数値を見るときは、
AST・ALT・γ-GTにはそれぞれ違いがあること。
そして、
数値だけではなく、結果表の判定や受診案内まで確認すること。
この2つをまず覚えておきましょう。
食生活については、特別な食品を探すより、
「最近の食事はどうだったかな?」
「間食が増えていなかったかな?」
「体重や活動量は変わっていないかな?」
と生活全体を振り返るところから始めてみてください。
今日の小さな行動は、
健康診断の結果表を出して、AST・ALT・γ-GTに印をつけること。
管理栄養士ゆきなべとして、これからも健康診断や栄養の話を、難しい言葉だけで終わらせず「毎日の食事ではどうすればいい?」までつなげて紹介していきます。
旬の食材、簡単レシピ、時短献立、食習慣についても、忙しい毎日に取り入れやすい形でお届けしていきます。
また気になるテーマから読んでいただけたらうれしいです。
最後にひとつだけ。
健康診断の結果表は「毎年残している」「見たら処分している」、どちらですか?
よかったらコメントで教えてください。
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