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昨夜、0時時点で37.8℃だったのだが、朝には36.8℃に下がっていた。腋下で測定した体温なので、本当は38.2℃、37.2℃くらいであったと予測できる。虫けらは、口中で計ると0.3℃は高くなる。こちらが本当の数値だと認識しているのだ。深夜に体温を測った理由は、38℃以上出ていたら、解熱剤をもらおうと思ったから。あいにく、38℃を超えていなかったので、様子見ということにした。朝、主治医が病室に訪ねてきた。主「熱が出ましたね」開口一番の主治医の言葉に、夜中、体温を計らなければよかったと後悔した。虫「はい。原因がわからないのが気持ち悪いですが」主「血液検査は問題なかったんですが」「が」に嫌な予感。主「熱がどうなるかわかりませんので、 きょうの退院は見送りですね」虫けらは言葉を出さずに両手で顔を覆った。主治医は「ふふ」っと笑った。なぜ笑う?サドか?主「また熱が上がったり、痛みが出たら考えないといけないですが、 このまま推移したら、あす退院ということにしましょうか」虫「はい」退院できなかった。……😢😢😢😢😢😢😢いや、あす退院できたら、自宅に戻って1時間ほどで現場に向かえば間に合う!入院道具の片付けは後にして、とにかく番組観覧に向かおう!GW中の店の予約もちらほら入っている。元気になって、日常生活を取り戻さないと。夕方、師長さんが病室を訪ねてくれた。師「どうですか? 痛みとか、吐き気とかありませんか?」虫「はい。大丈夫です」師「あす、予定通り退院となります。10時には 請求書等をお持ちしますので、よろしくお願いします」虫「ありがとうございます」よかった。あすの主治医の訪問はないのかな。実はまだ熱が下がり切っていない。37℃以上出ているのではないか、というタイミングがある。というか、36℃台になっている時間の方が短い。何かあるのはわかっているが、意外と日常生活に戻ったら、体温が下がるような気もする。というわけで、あす退院である。……今夜、異常が出なければ……。 恐 怖
2026.04.30
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昨夜(28日)は一睡もできなかった。明けて29日は祝日ゆえ、「病室を訪問する人も少なかろう。昼間に眠ればいい」と考えた。しかし!やはりそうは問屋が卸さない。朝食の8時までに、少し眠りたい。6時までは全く眠くなかったのに、7時に近づくと気持ちよい睡魔が襲った。チャンス!と、眠ったのも束の間、看「虫けらさーん、体重測定します」とやおら看護師が入ってきた。体重測定は、入院時にしなければならないもの。病院側が忘れていたのだ。ナースステーションの前にある体重計に乗るのが通常だが、ポータブルの体重計を持ってきた。せっかく眠れたのに…。10分ほどの睡眠だった。10時過ぎ。また、気持ちのよい睡魔が。。眠りに落ちた瞬間、看「テーブルをお拭きしますね〜」ベーッドの横のテーブルや収納家具などを拭き始めた。せっかく眠れたのに…。これまた10分足らずの睡眠。眠ろうとすると看護師が入ってくる。祝日とてこの有様。平日ならもっと頻繁に病室に出入りされる。着替えすらタイミングを図らねばならない。下着なら、トイレに入ってすることになる。不自由である。そうして過ごした祝日。早めに眠ろうと、PCもスマホもイヤホンもはずし、22時には就寝体制に入った。???熱い。体温が上がっているようだ。なぜに?夕方、くしゃみを連発した。体が冷えているのだろうか。そうしていると、徐々に体温が上がるのがわかる。個室には、夜間の見回りは来ないのだが、この時期である。新人の研修なのかわからないが、0時頃にスーッとドアが開いた。随分長い間開けているが、何を確認しているのだろう。入り口からは、虫けらの様子はほぼわからない。部屋に足を5歩ほど踏み入れると、虫けらの上半身が見えるはずである。看護師が入ってきたタイミングで、虫「すみません」と突然起き上がった。驚いたように看護師が看「起こしてしまいましたか?」虫「いえ。体温計を貸していただけませんか? 熱が出ているようです」体温計を持ってきてくれた。右脇に差し込む。看「37.8℃です。どうしましょう」自宅では、虫けらは腋下で体温を計らない。必ず口中である。腋下と口中の体温の差は0.3℃以上あるからだ。多分、実際は38℃を超えているはずだ。虫「このまま様子見ます。もし下がらなければ、 ロキソニンをいただけますか? 明朝は検査なので、下げておきたいんです」看「しんどくないですか?」虫「38℃くらいなら大丈夫です」看「強いんですね」そう。虫けらは熱に強い。というか、熱をよく出すので、耐性ができたのかもしれない。39℃になると、そうも言っていられないが、38℃くらいなら、平気で仕事をしていた。しかし…原因がわからない。体が冷えたと言っても、風邪のような症状は一切ない。まさか、胆管のチューブが悪さしているとか?考えても仕方ない。明朝の検査次第で、退院か入院継続かが決まる。とりあえず自力で熱を下げる努力をしよう(どんな努力なのか…)一向に眠れないまま、寝返りを繰り返すこと3時間ほど。汗が出てきた。おっ! 熱が下がり始めたな。1時間ほどそのままにしていたら、随分楽になってきた。しかし、パジャマは汗でずくずくである。体を拭いて着替えた。で、ブログを書いているという状況である。7時前には採血がある。この結果で退院か否かが決まる。少しゆっくりしておこう。番組閲覧!絶対に行きたい。誘ってくれた知人と会うのは最後になるだろうから、それも重要なイベントである。ん?おなかがすいている。熱発で体力を使ったからな。朝食まで3時間。辛いのぉ〜。 不 安
2026.04.30
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忘れかけてた愛が蘇ることはないが、とにかく焦る。眠れないと、体に悪い。よく晴れて気持ちいい日だったのに、夜になったら気分が重苦しくなる。考えてみると、湯治旅行をした初日、姪一家と楽しんだ市内のホテル宿泊時、昨年末の旧友との旅行時、入院した初日(手術などの特殊な日を除いて)、全く眠れなかった。これは、病気をしてからのことで、仕事で全国を回っていたときは、「もう朝?」とがっかりするほどよく眠っていた。仕事が終わってホテルに到着し、シャワーを浴びて缶ビールをグビッとやったらコテッと寝てしまい、目が覚めたら起きるべき時間。本当に寝るだけのホテル宿泊だった。ところが、病気をしてからは……。考えることが多過ぎるのだと思う。寝る間際まではもちろん、起きた瞬間からもう何かを思案しているのだ。「あしたは祝日か」と思ったら、もう思考が始まる。もし祝日でなかったら、検査結果によっては退院できるのに、と思いつつ、店の家賃の振込やシロアリ出現の確認はいつにするか、テレビ観覧の後はどうするか、GWはどのように過ごせばいいか、途中になっている死後ファイルは、公正証書遺言は、不動産の売却のお願いは……と、果てしなく展開していく。今回は短期の入院なので、2着のみ持参したが、洗濯できない状況になったら、4着くらいは必要か、と、パジャマのことを考え、自分の枕を持参するとしたら、と、枕のことを考え、院内で使いやすい、脱ぎ着しやすいのがいいな、と、靴のことを考え、スキンケア用品のことや、グルーミングの道具のことや、PCやスマホのことや、荷物を入れるバッグのことや、なんやかやが脳裏に浮かんでくる。何度もPCを閉じ、スマホを閉じ、イヤホンを外し、寝る体制を作るのだが、一向に眠れない。一番いけないのは枕だ。高くて硬くてどうもいけない。プラスチックのビーズが入ってるっぽいが、仰向けで枕を頭の下に敷くと後頭部が痛くなってくる。横を向くいて、枕の下端を首の付け根まで上げると高さはよくなるのだが、耳や頭が痛い。適当に敷くと首が痛くなる。そうこうしているうちに、もう5時である。ご老人たちが起き出す時間だ。眠るのは諦めることにする。外が白んできた。起きておこう。祝日なので、病室に訪ねてくる職員さんも少なかろう。主治医は来ないし、看護師さん以外の人々(栄養士、薬剤師、掃除の人、ベッドメイクの人など)もオール休みである。いくら忙しい入院生活でも少しくらい眠れるだろう。きのうとおととい、入院のことを書いたが、がんの現在を長く書いていないので、近く書こうと思う。…それにしても、去年の入院(脚の骨折)をなぜか思い出す。病棟の看護師さんが若くて明るかったことや、担当医が背の高いシュッとした男性医師だったこと、脚は折れていても体が元気だったこともだが、何より、怖い主治医がよく病室を訪ねてくれたので、思い出がたくさんあるのだ。入院が楽しいなどということは決してないが、痛い、苦しいばかりではなかったと思う。最期の入院(緩和ケア病棟)に備えて準備しないといけないこともたくさんあると確認できた。そんなことを思いつつ、アップすることにする。 不 眠
2026.04.29
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昨日午前、入院した。15時には簡単な手術をして、病室に戻ってからは、随分長い間寝続けた。9時間眠って深夜0時にようやく目覚めたが、スマホを取り出してメールチェックした後YouTubeを視聴しようかと思った刹那、また眠気が襲ってきて眠った。5時前に目覚めたが、何かをしようとすると、点滴や心電計の配線が邪魔で動く気になれず、しばらくじっとしていた。右腕に点滴をしているのに、スタンドはベッドの左側、心電計は線が短くて、計器を持たないと動けない(手術着は右上の着物型なので、配線は右側に出ている)。デジタル化の世の中である。体に貼り付けた端末からデータを飛ばし、ナースステーションの計器で受信する心電計、あるだろう。指先につける酸素濃度計もややこしい。右手についていたのだが、スマホ操作がしづらいので左につけ替えたら、右も左も不自由になった。手前に写っているのが酸素濃度計の指クリップ7時に採血、8時半に主治医の訪問で、主「経過は良好です。膵炎の疑いもないし、 きょうのお昼から、食事を食べられます」虫「ありがとうございます。 となると、退院は……」主「あすが祝日ですから、休み明けに検査、 問題なければ退院ですね」虫「よかった。よろしくお願いします」何をお願いしたのかわからなかったが、思わず出た言葉である。実は、5月1日はにはずせない予定がある。某番組の観覧に行けるのだ。旧知の知人が誘ってくれて、二つ返事を返した身としては、「入院したのでキャンセルで」とは言いづらい。テレビ局には仕事でよく出入りしていたし、番組も見せてもらったことがある。何より、生番組のコマーシャルのディレクターをやっていたので、裏側から番組を見るのは初めてではない。が、一視聴者として観覧するのとは訳が違うし、当該番組は虫けらがよく観ていたものだ。ここ7〜8年はテレビを見ていないので、その番組もトータルに見たのはそれ以前のことだが、YouTubeに上がっている切り取りをちょくちょく観る。生で観られるまたとない機会。退院したその足でも行きたいと思っている。この手術で取り替えたチューブが持つのは3ヵ月。次の取り替えは拒否してもいいくらい準備を進めたい。というわけで、間もなく昼食である。粥が出てこないことを祈って、配膳を待つことにする。今回は48時間の絶飲食で済んだ。幸せだ〜。 感 謝
2026.04.28
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昨夕〜夜にかけては、原因不明の熱発があった。最高は38.3℃。検温後、すぐに眠ってしまったので、本来ならもう少し上がっていたのかもしれない。4時間ほど経って目覚めたら、37.3℃に下がっていた。睡眠は偉大である。さて、熱発の原因は?どこかで炎症が起こっているのだろうと思ったが、皆目見当がつかない。いつものようにゲリリンを起こしていたので(熱発のときは、大抵セット)、トイレに立つたびに鏡を見ていたが、表情もさほど疲れていないし、眼光もいつもどおり。黄疸も認められない。しかし!今朝までに6回ほどトイレに入ったが、都度、便の色が薄くなっているのに気づいていた。『黄疸が出るな』最終は今朝4時くらいだったが、そのときの便は、ほんの少しグレーと黄色を混ぜた紙粘土のような色だった。明るくなって、太陽光で顔を見たら、!!!結構な程度の黄疸が出ている(顔)。不思議と白目は白かった。急過ぎる。一晩で黄疸がここまで進むとは。多分、ひどい炎症が起こっているのだろう。幸いというか、ジャストタイミングというか、きょうは診察日である。問題がなければ抗がん剤治療、となるはずだが、これでは無理だろう。検尿があるので、飲まず、というわけにはいかないが、胆管にカテーテルを挿入する手術があるだろうから、食わずに家を出た。術前のCT撮影もあると予想し、金属を排した服装で。診察室にて。主「どうですか?」虫「黄疸が出ています」主「そうですね。7まで上がってますね。 きょう、入院できますか?」虫「はい」というわけで、入院した。間もなく手術である。きのうは昼までは飲食できたが、夜はゼリー飲料二つのみ。今朝は絶食。術後は、最低丸一日は食べられない。場合によっては、あと何食か禁止されるかもしれない。体重がまた減るだろう。虫けらは、絶飲食に慣れているし、1週間程度の絶食は苦もなくできる。が、健康なときとは違って、いまは体重を落としたら命取りになる状況だ。さて、どうしたものか。この手術を受けなかったら、1週間ほどで死ぬらしいので、準備が整っていたら、虫「もういいです」と言えたのだが、現在公正証書遺言作成中である。依頼した司法書士が慣れていないらしく、レスポンスが大変悪い。こちらから問い合わせするたびに手順や準備するものが変わる。虫「これからは、遺言関係が儲かりますよ」司「え、そうなんですか?」虫「子供がいない人が多いし、ご夫婦でも悩まれている人も多い。 建物の登記なんかだと書類作成は一度きりですが、 遺言の場合は、時期が来たら書き換えたり、 相続人が変わったりするから、その都度費用が発生します。 立会人になったら、それこそ数十万の手数料が入りますからね」司「ほ、ほんとですね! ハハハハハ」大笑いである。変なところに笑いのツボがあるおっさんだ。司「人の死に関することなのに……、笑ったらいけませんが、 ハハハハハ」よほどハマったのだろう。というわけで、後少し時間が必要である。この手術で膵炎を起こす確率が低くない。膵炎は怖い。そのまま死に至ることもある。それを見越して、「死後ファイル」と当面必要な現金を病院に持参した。ファイルの見方はすでに後を託す姪に説明済みである。今回はPCを持参した。が! スマホのサブ機を忘れた。最短で4日、長くて1週間ほどの入院なので、なんとかなるだろう。甘いか?てなわけで、術後にブログを更新することを目標に、生きて病室に帰れるよう頑張りたい。 切 迫
2026.04.27
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この週末(金曜と土曜)は、ショコラだった。何のこと?25年前に製作されたアメリカ映画?そうそう、あの映画のジョニーデップはよかった。虫けらのスマホの待ち受けになっている。「彼氏?」待ち受けを見て、そう言った人も幾人かいたが、どう見ても日本人じゃないし、年齢も…いや、ジョニーデップと虫けらは同年代だ。いつから…多分、10年ほどは待ち受けになっているので、ギリセーフの問いか(なわけないがな!)ジョニーは関係ない。近くの製菓会社がチョコレートの直売イベントをするというチラシがマンションの郵便受けに入っていた。1kmほどの距離。「行ってみるか」と珍しく考えて、チラシを取っておいた。金曜日。お腹の調子が悪く、落ち着いてから出かけたら、到着が15時近くになってしまった。「本日の販売分は完売しました」との立て看板。仕方ない。10〜16時の開催だが、さすがにチョコレートは人気なのだな。それもそのはず。最近、チョコレートの値上げは驚くべきもので、去年の価格の1.5〜2倍になっている。値上げ幅が小さくても、量が減っているとか、小さくなっているとか、何かの残念ポイントがついてくる。実は、虫けらは甘いものが好きではなかった。これは虫けらの生態を知る者はおしなべて知る事実である。病気になるまでは、甘い飲み物からスイーツまで甘味料の入っているものはほとんど口にしなかった。しかし、「体重を落としてはいけない」という命題があり、手っ取り早くカロリーが摂取できる甘い物は常備しておくべきアイテムとなった。中でもチョコレートは嫌いではない甘い物の一つなので、冷蔵庫(チルドルーム)に常に入っている。「チョコレート効果 72%」と「キットカット」の何か。どうせなら、ポリフェノール効果を期待したいので、カカオの入っているものを選んでいる(というか、ホワイトチョコベースのチョコをチョコレートと呼ぶ意味がわからずにいる)。で、暑い中足を運んだわけだが(ウオーキングを兼ねて)、不発に終わった。土曜日は寝坊をしてしまい、10時に到着、の目算はかなわなかったが、12時過ぎというか、13時前には到着した。が、またしても「本日の販売分は終了しました」との立て看板。諦めて帰ろうかと思ったら、販売会場の向かいの会社ビルからダンボールを抱えた男性が。虫「チョコレートはもうないんですね」男「はい」虫「人気ですね。きのうも来たんですが売り切れで」男「きのうも午前中に売り切れまして」仕方ない。帰るとするか。と、そのとき、男「チョコレートはないんですが、おまけのお菓子の つかみ取りがありますので、よろしければ」チラシにも、「1000円以上お買い上げの方〜お菓子のつかみ取りがあります」と記載されていた。虫「え…」と躊躇していたら、男「無料ですから、ぜひ」と促され、会場へ。小学中学年くらいの女の子と男の子が係をしている。女「片手で掴んでください」虫けらが箱の上部に開いている穴に手を突っ込み、大量のお菓子を掴んで引き上げた。虫けらは手が大きい。こういうときには大変役に立つ。小さなショッピングバックで受けてくれる。少しお菓子が落ちる。すると、男の子が穴に手を突っ込み、たくさんのお菓子を掴んで、横からショッピングバッグに入れてくれる。パンパンになった袋を手渡してくれた。女「おい! 来年もやるんやな」と女の子が男性に向かって聞いている。多分お父さんだな(しかもイベントの責任者か)。父「いや、わからん」女「やれ」父「うん…、やろか」女「来年も来てください」虫けらは「ありがとう」と言いながら受け取り、『来年はないわい』と思いながら会場を後にした。自宅に戻って袋をひっくり返したら、こんなにたくさんのクランチチョコが入っていた。金額に直したら、500円ではきかない量。何も買わずにもらってしまっていいものか。これぞ「残り福」ということにして、大切にいただくことにする。多分小麦だと思うがパフが入っているクランチチョコで、酒のアテにもいい。きょう(日曜日)は、これらをポリポリしながらのんびり過ごそうと思う。あー、幸せだ。 呑 気
2026.04.19
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人が「幸せだ」と感じる瞬間は千差万別。年齢、生きている環境、仕事、趣味、体調……さまざまな要因によって、同じ人生でも折々に違った幸福感が出現するものだ。若い頃なら、目標を達成した瞬間、推しのコンサートに参加できた瞬間、好きなものを食べた瞬間、新しい光景に出会えた瞬間、好きな人から言葉をかけられた瞬間…。どんなことにも幸福感を感じることができる。しかし、年を重ねるとその機会が激減する。一度経験したことのある感動の瞬間には、あまり幸福感を得られないからだろうか。それとも、感性が鈍るからだろうか。はたまた、幸福とは流動的であり、実に儚いものだと悟るからだろうか。虫けらは、最近とても幸福だと感じる瞬間がある。それは湯船に体を沈めたときだ。大きな病気をした人なら実感できるかもしれない。「風呂に入る」というのは、人間の体にとって、とても負担のかかる行為なのだ。虫けらは、若いときに無理をし過ぎて体を壊したことがある。入院当初、「2〜3日が峠」と父が医師から告げられるほど大変な状態だったようだ(そのことは後で知った)。とはいえ、虫けらも覚悟はできていた。万が一死んでも家族が困らないように、会社の登記簿や賃貸契約書、預金通帳等をまとめて病院に持参していた。それを告げたときの父の表情は未だに忘れることができない。申し訳ないことをしたものだ。そのときに医師に告げられたことの一つに「入浴禁止」というものがあった。若い虫けらにとって、入浴禁止の意味がよくわからなかった。が、従うより仕方ないので、自分で体を拭くだけの日々を1週間ほど過ごしたとき、頭髪の気持ち悪さに耐えられなくなった。折しも、祝日で看護師や医師が手薄になるのをいいことに、病院を抜け出し、美容室に駆け込んでシャンプーをしてもらった。そのころは長髪だったので、きれいにブローしてもらってさっぱりし、病院に戻った。すると、みるみる体温が上がり、39℃近くになった。検温に来た看護師に理由を聞かれたので、「祝日で見舞客が多かったから、疲れたのかも」と嘘を言った。このときは、大ごとにならなかったが、もっと熱が出たり、ほかの症状が出ていたら、緊急の処置が必要になったかもしれない。髪を洗っただけなのに。。その病院は一時入院(診察を受けた病院が満床だったので)した小さな病院だったのだが、転院した大きな病院では、厳格な指示が出た。「1ヵ月の入浴禁止」である。ひと月間風呂に入らないなど、かつての人生で経験したことがない。どうなるのか全くわからなかった。日を重ねるごとに足(主にかかとからくるぶし)は乾燥でひび割れしてくるし、体は乾燥で粉が吹く。髪は1週間に一度程度看護師さんが洗ってくれたが、長髪の洗髪に四苦八苦し、洗い上がりはいつも鳥の巣状態で、梳かすのに苦労した。ようやく喪が明けて入浴許可が出て、初めて風呂に入ったときは驚いた。乾燥してひび割れていた足に湯をかけると、もろもろと皮膚が剥がれる。体も同じで、湯をかけたところをこすると大きな消しゴムのカスが出る。全て厚くなった角質だったのだ。その量は、驚くべきものだった。一緒に入浴している患者に気づかれぬようそっと処理し、浴室を出るのに30分ほどかかっただろうか。やはりその日の夜は熱が出た。ことほどさように、入浴は体力を使う。病人にはご法度の行為なのだ。寒さが和らぎ、体を温めるという入浴の一つの目的は薄れてきているのだが、「入浴できる」ということにこの上ない幸せを感じるので、しばらくの間はシャワーに切り替えずに湯を溜めたいと思う。病院には湯船はない。事故があったのか、どうかはわからないが、浴室の中に浴槽があるものの、使用不可でシャワーのみとなっているので、緩和ケア病棟に入院をしてしまったら、もう湯船に身を沈めることができない。あと少しの間、自宅で風呂を楽しめることに幸福感を噛み締めよう。小さな幸せである。しかし、間もなく霧消する幸せに執着することもまた、人間らしい感情だと思う。しかし……酒も飲んでいるし、食べ物をおいしいと思う。ちょっとした運動をして筋肉を維持し、桜の下を歩くこともできる。そうした贅沢な状況を顧みず、湯船のみに幸せを感じるとは、げにわがままな。これから仕事である。お客さんと楽しく話して酒を飲み、歩いて帰路につける元気さにもまた幸福を感じるべきことである。あー、幸せだ。 感 涙
2026.04.10
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