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終身雇用が常識の国なんて、日本くらいのものでしょう。日本が元気だった頃は、よその国でも見習おうとしたようですが、いまでは日本経済衰退の元凶のように言われてしまっています。市場経済導入前のごく一時期、中国でも国営企業は終身雇用が原則だったようですが、いまはもうそんなことを言ってられません。ウチの会社の場合、社員の平均在社期間は2年弱です。世界的に社員の出入りの激しい「転職天国」の業界とは言え、私が着任した8年前から残っている社員はたった2名、しかも経理部門のスタッフと運転手さんだけです。中国の人たちの多くは常に「発展の空間」つまり、自己実現ができる環境を求めています。そして、自分の能力を信じ、どんどん成り上がって、いずれは自分の会社を持つ、と考えている若者がたくさんいます。一つの会社に留まったまま、自己実現していくのは難しいので、職場を移ることでステップ・アップしていこうと考えている人が大多数です。大卒で入社した会社でそのまま出世して、いずれその会社の社長になるぞ、といったかつての日本のサラリーマン野心家とはワケが違うのです。「能力がある」「使える」と思っている社員ほど、突然辞表を提出したりするものです。真っ先に引き止めにかかりたいと思うのでしょうが、待ってください。辞表を出すくらいですから、彼(彼女)はもう既に別の環境の用意を整えてしまっているハズです。次の職場の目星も立たぬまま辞表を出してくるような輩もいますが、こういう人は論外です。ほとんどの人はもう次の職場から採用の連絡を受けているのです。引き止める、ということは、待遇や条件を良くしてあげる、ということになります。どうしても留まって欲しい社員には止むを得ないと思うかもしれません。それでも長くて1年で、彼(彼女)がいなくなる覚悟をしておくべきです。ゴネれば待遇が向上することを知った社員はきっとまた足元を見てくるでしょう。或いは同僚が彼(彼女)のゴネ得を知るところになり、冷淡に扱われ孤立していくか、或いは同僚も真似てゴネ始めるかもしれません。いずれにせよ、あまり良い結果は期待できません。待遇や条件を向上せずとも留まってくれるようでしたら、当人の甘えのパフォーマンスか、自分の当人に対する能力の過剰評価だったと割り切って、その社員には早めに見切りをつけたほうが良いかもしれません。もちろん、在社中頑張ってくれた社員には、労いの言葉と、次の職場での成功を願う気持ちは忘れずに。自分の傍に長く居て欲しい社員に辞表を叩きつけられたなら、まず冷静になって後任を探しましょう。長くて1ヶ月、有給などを行使されると1週間で彼(彼女)は居なくなってしまいます。できる限り滞りなく彼(彼女)の業務を引き継がせることが大切です。それから、自分自身を責めましょう。彼(彼女)が別の職場に移るのは、過去の待遇や条件や環境が当人にとって満足できるものではなかったからです。そうではない場合もあるかもしれませんが、去り行くものを責めても何ら得はありませんから。業務引継ぎで意地悪されない為にも、まず円満退社を演出してあげるべきです。中国北方の人たちは元々遊牧民族か騎馬民族です。遊牧民は羊が食む草が無くなれば別のところに移動します。旱魃にも洪水にも耐え、一つの地に留まり豊作を祈願する農耕民族とは、血が違うのです。現代中国では若年層のホワイトカラーほど、先祖の血が騒ぎ始めています。去る者は追わず。去られたくなければ、常に豊かな草原や飼葉を用意しておく必要があります。誰がいつ立ち去っても良いように体制を整えておく、というのが肝要ではあります。口で言うほど簡単ではありませんが...。
2004.12.28
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台湾の李登輝さんに日本政府がビザを発給したことに対して、中国側はトップ・アラートに近い反応を示しています。中国側が日本側に絶対譲歩できないのは「台湾」と「靖国(歴史)」問題でしょう。現体制の根幹に関わる問題だからです。日中どちらに道理があるかは、様々な意見があるので棚上げしますが、こうした両国間の関係悪化は、当然ながら中国ビジネスにも影響を及ぼすことになるでしょう。最近までは、「政治関係は冷めていても経済関係は熱い」つまり経済行為で両国ともメリットがあれば、いいんじゃないか、と言う経済論理優先の考え方が、両国ともに支配的でした。ところが最近になって、「政治関係の悪化が、経済関係をも冷やすことになるだろう」と言う警告めいた記事が中国マスコミに掲載されました(中国情報局)。それでは、日中間の政治的関係の悪化が、中国ビジネスにどのような影響を及ぼすのでしょうか?中国でビジネスを展開する日本企業の場合に絞って、直接的な影響を挙げてみたいと思います。第一に挙げられるのは、日本ブランド製品の不買、購買意欲の低下でしょう。新華社や人民網など中国では権威あるニュースサイトには、李登輝さんのビザ発給問題に関して読者の意見を問うBBSが開設されています(新華社ネット:中国語)。中国政府の対応の甘さを指摘する書き込みが削除されずに掲載されている中で、やはり目に付くのは「日本製品不買」という、具体的に消費者ができる行動を呼び掛けるものです。こうした書き込みをするのは、どの国でも過激な意見を持った一部の人ではありますが、こうした過激な人たちに先導されなくとも、政府間同士ギクシャクしている日本ブランド製品の購入は敬遠しようと思う気持ちが、「愛国心」の強い(!?)中国の消費者には出てくるのは確実でしょう。いくらお金をかけてブランド・ビルディングに躍起になっても、日本国籍というだけで、マイナスの印象を持たれてしまう事にもなりかねないのです。第二に、政府絡みの許認可がスムースさを一層失う、と言うことが考えられます。新製品を製造するにしても、それを販売するにしても、中央政府や地方政府の関連部門の許認可が必要です。広告表現や販売促進活動を行う場合も、厳密には許可を得なければなりません。元々こうした許認可プロセスが不透明であったり、スタンダードが曖昧だったりすることが、中国ビジネスの面倒なところなのですが、政治的関係の悪化によって、一層スムースで無くなっていくことが予測されます。政府上層部が「日本企業には厳しく対応しろ」と言うような「お触れ」を出すことは、まず無いと思います。もし、そんなことになったら両国間は一層危機的な情勢になるでしょう。ただ、人治国家と呼ばれる中国の許認可は担当者の腹積もりに影響される場合が多いのです。どこの国でもお役人さんは保守的な方が多いですから、反日感情が高まりから、日本企業には意地悪してやろう、と思う人も出てくるでしょう。新製品販売、資金調達などの許認可がなかなか当局から下りない、ことを覚悟しておいたほうが良さそうです。お役人関係で付け加えれば、昨年広東省の珠海で日本人の買春行動が取締りを受けたように、通常なら大目に見て見逃してもらえるような問題でも、こうした状況だから日本関係には厳しく対応しよう、と言う方向にもなることも予測されます。これは当然ビジネスの世界にも現れるでしょう。本来許認可が必要でも、日常的には許認可無しで実施してお咎めを受けないような経済行為でも、摘発を受けてしまうかもしれません。企業間取引きに対する影響は、比較的少ないのではないか、と私は思います。お金儲けの上手な中国人ほど、経済論理優先でコトを進めたがります。中央政府や共産党とよほど強いパイプを持った経営者がいる企業でしたら別でしょうが、政治的関係の悪化が、企業間取引きに直接的打撃を与えることは少ないのではないでしょうか。ただ逆に足元を見られる可能性は充分にあるわけで、商談にあたって一層の注意が必要になるでしょう。先日私が指摘した「中国ビジネスにおける」がちょっとだけ前倒しでやってきた、と言う感じでしょう。予測される最悪のケースを考慮しつつ、中国でのビジネスを進めていく必要があるでしょう。
2004.12.23
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3日間で深セン~西安~青島のハシゴ出張してきました。中国企業は12月決算が主流ですから、ビジネス上の契約更新も12月に行われることが多く、お得意さんに来年もよろしく頼みますわぁ、と言うお願いに行って来たのです。ローカルスタッフがお膳立てを済ませていますから、日本の会社の代表者として、先方の然るべき方とお会いして握手する、くらいで用は済むのですが、西安、青島では、久しぶりに中国流「乾杯」の洗礼を浴びてしまいました。中国ビジネス本などで、商談を成功させるためには欠かせない、などと紹介される「乾杯」ですが、いまどき中国の都市部で「乾杯」から始まるビジネスなんてむしろ少数派ではないでしょうか。もちろん、商談のため日本から出張で中国にやってきて、中国側に酒宴のお誘いを受けることはよくある話だと思います。おいしい中国料理を振舞ってもらい、お酒を勧められ、やがて「乾杯」が始まるでしょうが、こうした接待を得意とする相手に限って、日本側が思うように商談が進まないものです。むしろ、日本からわざわざ出向いて商談にやってきても、相手がやけに実務的で、食事や観光のお誘いも無く、「あとはメールかFAXで」のような場合のほうが、商談は着々と進むことが多い感じがします。お役所や国営企業系は別として、急成長している大企業では、ビジネス上の酒宴のあり方もドライに変わって来ていますし、若い世代では伝統の「乾杯」もオシャレじゃないということで、避ける傾向にあります。それでも、地方都市などに行けば、まだまだ「乾杯」は健在です。いざ「乾杯」の試練に遭うことになったときのために、私の経験上の心得を書き記してみます。一番大切なのは、飲めない人や酒量に自信が無い人は、始めっから「お酒が飲めない」と言うことにする、と言うことです。お酒が好きでもよほど自信がなければ、最初っから最後まで「お酒が飲めない」で通すことが重要です。つまり、初めての酒席で「飲めない」宣言をしたら、そのメンバーの前では一生「飲めない」で貫き通す、と言うことです。最初の一杯だけビールで乾杯、っていうのも無しです。おいしい中華料理に、ついビールの一杯でも、と言う気分になっても、お茶かジュースで堪えなければなりません。自発的にはお酒を飲むのに、「乾杯」には応じない、と言うのは、場を白けさせますし、信頼感すら失うことになりかねません。酒量に自信がある人は、できるだけ早めにイニシアティブを取る、ということが大切です。最初のうちは、中国側の取引き先が仕掛けてきます。受身でいると、日本人、特に主賓格ともなると、乾杯攻めのいい標的になります。同テーブルの中国側の人たちが一人一人次々と「乾杯」を求めてくるでしょうが、最初の一周目は仕方ないとしても、同テーブルの二周目からは、自分で乾杯を仕掛けてしまいましょう。他のテーブルからも「乾杯」を仕掛けられる前に、自らペースを作ってしまうのです。「乾杯」のイニシアティブを取ると、「休憩」も取れますし、「乾杯」(一気に飲み干す)ではなく、「半杯」(半分だけ飲み干す)や「随意」(飲める分だけ飲む)、「一口」(一口だけ飲む)に、徐々に持ち込むこともできます。飲むお酒も自分で選べるように持っていけますから、白酒(焼酎のようなもの)が苦手ならば、得意なビールで、相手に仕掛けることも不可能ではありません。もしあたなが「主賓格」であれば、相手側はたいへん喜ぶでしょうし、「主賓格」でなくとも「宴会係」として酒宴の盛り上げ役としての存在感を示すことができます。とは言え、泥酔してしまって醜態を曝してしまうと、せっかくの酒宴も台無しになってしまいますし、相手側に弱みを握られてしまうわけで、商談の上でも悪影響が出ると考えたほうがよろしいでしょう。ビールならビール、白酒なら白酒で貫き通し、チャンポンは避ける、と言うのも大切でし、これはヤバそうだ、となったときに、酒量や飲むペースの調整も大切ですから、早めにイニシアティブを取ることが大事になるのです。万一ヤバい、という状況になったら、目立たないように宴席を立ち去りましょう。酔いつぶれた姿を曝すよりは、酒宴の途中でいなくなるほうが、まだマシだからです。余裕があれば、日本側の同席者を通じて、「急用で先に失礼した」くらいの伝言を託すとよいでしょう。最近中国側取引先との「乾杯」が原因で命を失った北京駐在の日本人ビジネスマンがいます。「乾杯」はまさに命がけのビジネスですから、けっして無理をしてはいけません。「飲めない」で貫くか、「乾杯」に参加するのなら早めにイニシアティブを取るか、態度をはっきりさせることが重要です。特に地方では、白酒やウィスキーなど質の悪い模造品が出回っています。工業用のエチルアルコールに人工香料を加えた程度の粗悪品などは、身体にたいへん危険です。その点ビールは、各地域で銘柄が違っても、模造品はほとんどありませんから、宴席で出される酒瓶が疑わしい場合は、ビールでチャレンジすることをお勧めします。「ビールなら飲める」と言って、白酒を拒絶することは不可能ではありませんから。私は飲める口なので、いざ「乾杯」となったら、早めにイニシアティブを取って、相手に積極的に仕掛けるようにしています。本物の「五糧液」か「茅台」(どちらも白酒の名ブランド)がテーブルに供されていれば別ですが、通常はビールと決めています。おととい西安の宴席では「五糧液」が供されたので、その白酒で「乾杯」しました。ワイングラスで30杯は飲んだと思います。昨夜、青島ではビールにしました。コップで50杯以上は「乾杯」させられたと思います。さすがに、今日は死んじゃっていて、空港からオフィスに戻る意欲はありませんでした。死んでしまったら元も子もありませんから、無理をせず自己管理で「乾杯」に対応しましょう。
2004.12.21
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Good Jobを終えて仲間と飲むビールには格別なものがありますが、落ち込んだ日に一人寂しく部屋で飲むビールにも味があります。私は近所の小さな商店から「燕京ビール」の大瓶(約640mL)を1ダースごと買っています。空き瓶を持っていくと1本2.2元(30円弱)です。同じお店でペットボトル(500mL)のミネラルウォータが2元します。これが外国ブランドとなると話は別です。350mLの缶ビールが5元以上します。量が少ないのに大瓶の2倍以上の価格です。高級レストランや洒落たバーで飲む時は、こうした外国ブランドなのでしょうが、そういうお店で飲む中国人は、バドやハイネケンやコロナのほうが、日本ブランドよりカッコがつくと思っています。中国のビール市場にもプレミア市場があって、外国ブランドのビールの多くはここを目指しているのですが、日本の発泡酒とプレミア・ビール以上の価格差がありますから、出荷量ではビール市場全体の1%にも満たないニッチ・マーケットなのです。中国が世界一のビール消費国になった、と発表したのは日本のビール会社でした(日経Web)。それでも一人当たりの消費量(20L)はドイツ(130L)の6分の1、日本(51L)の4割程度なので、まだまだ成長の余地があるというわけです。しかし、そう発表した当の日本のビールの中国戦略には一貫性を感じません。傘下のオーストラリア会社経由で投資してきた中国第2位の華潤ビールから資本を引き上げてしまい(日経Web)、代わりに大連の地ビール会社の出資することにしたのです(日経BP Web)。華潤ビールは他の地ビール工場などを積極的に買収してきたのですが、華東エリアの競争激化で採算が立たないという判断で、「ミラー」を手がける世界第3位のビール資本に投売りしてしまったようです。この日本のビール会社は元々中国東北地方に地盤を持っていたので、今度はその地のビール会社に出資して、再起をかけようと言うことなのでしょう。90年代後半、日本のビール会社は前述のプレミア市場を狙っていましたが、市場自体が小さいことに気づき、大衆ビール市場に目を向け始めました。サントリーは上海地区にエリアを絞り成功し、このエリアでは揺ぎ無いトップシェアを誇る地ビールとして定着しています。とは言え、あくまでも上海と周辺エリアの話であって、広大な中国となるとそうは行きません。中国には500を越えるビールブランドがあると言われています。中国に行けばどこでも「チンタオビール」が飲めるかといったら間違いです。青島・華潤・燕京の上位3社合計の市場シェアは40%強で、トップ1社で40%を越えてしまう"特殊な"日本のビール市場とは大違いです。しかも、例えば「青島ビール」という一つの会社でも「チンタオ」「ハンス」「ラオシャン」「サンシュイ」などいくつかのブランドで売っていますから、日本人が中国を代表するビールだと思っている「チンタオビール」ですら、中国全体では一桁の市場シェアです。中国は地ビール天下です。いや中国に限らず、お酒系はそういうものでしょう。かつてシドニーで仕事をしてた頃、モータースポーツで良く広告を目にしオーストラリアを代表するビールだと思っていた"FOSTER"を探すのが大変でした。あのあたりは"TOOHEYS"というビールが幅を利かせていて、「"FOSTER"はメルボルンのあるヴィクトリア州の地ビールだから置いてない」と言われました。出張でメルボルンに言ったとき、こんどこそ"FOSTER"にありつけると楽しみにしていたら、"VB"というビールが主流でした。ブリスベンあたりでは"XXXX(Four X's)"と言う怪しげな名前のビールばかりです。日本でも「越の寒梅」の地元新潟に行って「松竹梅」を飲むなんて、野暮な話です。どこでも同じブランドのビールが飲める日本の市場が"特殊"なのです。中国に赴任してきて「チンタオビール」はオーストラリアにおける"FOSTER"なんだ、と妙に納得したものです。物流のことを考えたら消費地に近くで生産するのは理にかなっています。しかも中国の消費者はビールに鮮度を強く求めています。夏場の瓶ビールだと、製造年月日から10日過ぎたものは嫌がるくらいです。地元のブランドには地元の消費者の長年にわたる支持があります。日本のビール会社も、全中国を一つのブランドで展開するには無理があると、考えたのでしょうか。別の日本のビール会社は、北京の地ビールの会社を買い取って、商品とブランドのリニューアルを行いました。また、深センにある青島ビールの会社にも投資し、ここで日本へ輸出する「チンタオビール」の生産を行うことになりました(つまり、日本で飲まれている「チンタオビール」は青島産ではありません。しかも、日本のビール会社資本の工場で生産されているのです....内緒ですが)。しかし、北京では「燕京」と言う市場シェア80%の巨大ブランドの壁が厚く、日本主導のリニューアルも保守的な北京っ子にはあまり評判がよろしくないようです。サントリーを除く日本のビール会社は、中国における自社ブランドでの展開をもはや放棄したのではないか、と思ってしまいます。中国の有力なビール会社や地域で支持の厚い地ビール工場への資本参加という形で、世界最大のビール消費国でのビジネスに乗り遅れまいと必死な状況でしょう。しかし、中国第二のの華潤ビールは日本以外の外国のビール資本の手に譲ることになってしまいました。No.1の青島ビールには日本のビール資本も参画していますが、青島の本体にはバドワイザーのアンハイザー・ブッシュ(AB社)のほうが食い込んでいるように見えます。洛陽や西安など観光地で日本人も飲むことがある「金星ビール」も、黒龍江省を中心に北方市場で比較的強い「ハルビンビール」も、AB社が先に押さえてしまいました。"Fuji Sankei Business i"に「拡大する中国ビール市場、実情は利益なき繁忙」という記事(Wen版)が載っていますが、これは日本のビール会社だけの「愚痴」であって、中国の大手ビール会社は外国からの投資により中国国内のシェア争いにより積極的に打って出ることができる状況になっていますし、日本以外の外国ビール資本は収益性の見込める投資を積極的に続けているです。日本の"特殊な"市場で戦ってきた企業は、グローバルな市場では苦労します。そして、それは中国市場にもあてはまるのです。
2004.12.17
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北京の現地法人に居ると、様々なアンケート用紙が送られてきます。送付元は、新聞社や雑誌社であったり、日本政府の経済関連独立法人であったり、日本の商工会議所であったり、或いは日本や中国の大学の研究室、シンクタンクであったりします。質問の内容は、「オタクの商売儲かってまっか?」と言う中国ビジネスの業績についてであったり、「何がお困りですか」と言う中国ビジネスの問題点についてであったり、いろいろです。私も仕事柄こうした調査をお願いするほうの立場ですから、無回答のまま放っておくには相手が忍びないので、時間を見つけて、できるだけ丁寧に回答して返送するようにしています。こうした調査の中で多いのが、日系企業の現地社員の給与実態に関するものです。アンケートに答えた会社には、通常その調査結果のサマリーが届きますから、よその会社がどうか、他の企業と比べてウチの会社はどうなんだ、と言う比較ができます。しかし、こうした調査はほとんど日系企業だけを対象にしているのです。「中国ビジネスで困ること」などは、外資系企業、とりわけ日系企業であるがゆえの特殊な問題が多いでしょうから、「他の日系企業も同じように困ってるんだぁ」とお互いの傷を舐めあうくらいの役には立つのかも知れません。しかし、事社員の給与や待遇について、他の日系企業の状況が分かったからといって、実際にはあまり役に立ちません。今日とある日本の団体が実施した給与実態調査のサマリーが届きました。各業種、各役職ごとの平均月給、賞与の支給額や回数、昇給率や昇級回数などの数値が並んでいます。ただし、これは北京の日系企業だけの集計データなのです。このデータを使って、よその会社の平均給与よりウチは高い、とか、どこの会社も昇給は年に1回なんだ、などと納得していたら、それは日本村の「井の中の蛙」クンになってしまうのです。中国の人材が日系企業間だけで流通しているのであれば、役に立つでしょう。しかし、求職者には日系企業以外の選択肢もあるのです。就職や転職を考えている人材のほとんどは、日系企業間で比較するわけではないのです。中国にある企業すべてが検討対象になっているのです。そして、有能な人材ほど、こうした傾向は顕著です。ほとんどの日系企業の待遇は、中国において極めて特殊です。一般的に、中国の日系企業の給与は外資系や著名な中国企業よりも低めで、昇給率も小さく、昇給頻度も少ないのです。給与の額はともかく、ボーナスは1月と7月の年2回、昇給は年1回、昇給率は経済成長率と物価上昇率を考慮したベースアップ+昇格分、というような日本での給与システムを、そのまま中国に持ち込んでいる日系企業が多いのです。中国で良い人材を確保していくためには、こうした特殊例である日系企業間で比較していては無意味です。優秀な人材が集まる欧米企業や大学生の就職人気ランキングで上位になるような中国企業は、どのような人事制度を敷いているのか、どのような給与体系なのか、こういう役割の人材にはどのような待遇に処しているのか、などの情報をとることこそ大切なのではないでしょうか。ウチの業界の場合、欧米系企業が人材の宝庫ですから、人気の欧米企業並みの待遇にして有能な人材を獲得しようとしています。ところが、日本の本社のお偉いサンは「キミのところは、中国の割りに人件費が高すぎるんじゃない?他の日本の会社はこんなに給料出してないよ。」などとのたまったりします。中国の人材市場で有能な人材を捜し求めているのは、日系企業だけではないのですから、このあたりを冷静に考えて欲いものです。
2004.12.16
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コンピュータの2000年問題というのがありました。多額のコストをかけて対策を施し、何が起こるかドキドキしながら、1999年の大晦日を会社で過ごしたシステム担当者も多かったのではないかと思います。結果としては、世界中が大混乱するようなことにはなりませんでした。あれだけ騒いでお金もつぎ込んだのに、と拍子抜けした方もいらっしゃるかもしれません。2000年問題は、事前に問題が生じる可能性を分かっていたからこそ、対策も練れたし、警戒もできたのです。災難と言うものは予測できないから被害も大きくなるのですから、こんなお人好しの災難はめったにありません。こうした意味でも、中国における「2005年問題」は、既に問題が生じる可能性を把握できるのですから、対策を講じておいたほうが良いに決まっているわけです。さて、中国における2005年がどんな年かと申しますと、対日戦勝60周年にあたる年なのです。抗日戦線で活躍した共産党を持ち上げることで、13億の民をまとめて行こうとしている中国の現政権にとっては、記念すべきアニバーサリーなのです。では、もっと切りが良い50周年であった1995年に何か問題が生じたか、と言うと、特筆すべき日中間の問題は起こっていないようです。でも、1995年と2005年では何となく中国の状況が違います。「反日教育」は90年代、江沢民さんの時代になって、一層顕著になりました。日本における歴史教科書の記述や閣僚や首相の靖国神社参拝について中国メディアで大きく取り上げられるようになったのも1995年以降のことです。10年前と比べて中国における日本の印象は悪い方向に傾いていますから、中途半端な60周年ではあっても、2005年に問題が発生する可能性は大きいと考えておくべきでしょう。今年の9月にはこんな騒ぎもあったそうです。日本のBBSなどでも話題になっていましたが、私は北京に居ながらもこの事実を確認したわけではありませんので、記事の引用に留めておきます。なお、この記事のオリジナルをネット上で検索したのですが、既に削除されているようです。【北京25日時事】満州事変の発端となった柳条湖事件73周年に当たる今月18日、キヤノンが日本国内を対象に新型デジタルカメラを発売したことに対し、中国国内でクレームが相次ぎ、北京の日系企業に困惑が広がっている。中国の日系企業は柳条湖事件のほか、8月の終戦記念日(抗日戦勝記念日)や7月の盧溝橋事件の発生日など「反日感情」が高まる日に中国国内で大規模なセールスなどを行うことを控えているが、「日本国内の動きにまで細心の注意が必要になった」との懸念が出ている。キヤノンのケースではインターネット上で「こんな日に発売するな」と中止を求める書き込みが相次いだ。現地法人「キヤノン中国」(北京)にも電話の問い合わせが2件あったという。 (時事通信)この報道が事実だとすれば、2005年問題は一層深刻に捉えるべきでしょう。記事にもあるとおり、8月15日や9月18日をはじめ、5月4日(列強排斥を目指した五四運動が始まった日)、7月7日(盧溝橋事件発生の日)など、列強侵攻や日中戦争に所縁のある日には、常識的な日系企業は中国で派手なイベントを差し控えるようにしていますし、中国在住の心ある(?)日本人も夜遊びを控えたりしています。73年前に柳条湖事件があった日に、日本で新製品の発売を開始しただけでも、中国のバッシングを受けてしまうような酷い状態だとすれば、対日戦勝の年からちょうど60年の2005年は丸一年間、日本企業や日本人は中国に叩かれ続けることになってしまうかもしれないのです。中国における派手な企業活動や夜遊びも丸一年間お預け、かもしれません。とは言え、中国で展開する日本企業や中国で働く日本人が、丸一年お休みするわけにもいかないでしょう。リスクを見越した対策を練っておけば良いのです。中国の2005年の経済成長率と同じくらい日本ブランドの製品の売上が伸びるという予測は差し控えたほうが良いかもしれません。念のため、日本ブランド不買運動の可能性まで見込んで、来年の営業計画を立てておいたほうが懸命です。自分の会社が「反日」の槍玉にあげられた場合のことも想定しておきましょう。反日運動が過激化して在住の日本人が危険に曝される場合のことも想定して、中国脱出計画を練り上げておくことも大切です....もちろん、こんなことは無いに越したことは無いのですが、コンピュータの2000年問題にはどの企業も熱心に対策を講じてきたではありませんか。中国ビジネスにおける2005年問題は、予測可能な災難なのです。
2004.12.14
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いまから3~4年前、中国で日本企業はバッシングの矢面に立たされていました。最近は、日本企業もだいぶ心得てきているのか、トヨタや日本ペイントの広告に対するイチャモン事件くらいで、随分少なくなりました。消費者訴訟を起こされ、中国で大きな話題となった4例を紹介します。[東芝ノートPC事件](萬晩報の論評)2000年初頭、東芝のノートPCは中国で2割を超えるシェアを誇っていた、今は昔のお話です。中国で販売されていたノートPCと同タイプのディスクドライブを装備していた東芝のノートPCに不都合があるということで、1999年アメリカで集団訴訟を起こされていたのです。東芝はアメリカで10億ドル以上の和解金を支払ったと言われています。この話が中国にも伝わり、同タイプのノートPCを購入した中国の消費者が、「我々にも賠償金を支払え」と騒ぎ始めました。東芝としては、「訴訟王国のアメリカは特殊例であって、実際に起こるエラーは極めて稀なので、中国では賠償金は支払わない」、と言う姿勢で臨んだのです。中国のマスコミは「中国人を騙している」と一斉に反発して大ごとになりました。東芝は北京で記者会見を開き、冷静に説明しようとしましたが、これが逆効果になってしまい、各地で訴訟沙汰になってしまったのです。[キヤノン趙薇事件]同じく2000年、東芝が火をつけた日本企業への不信感が、キヤノンへと飛び火してしまいました。しかも今度は販売した製品に対してではなく、無料で配布した販促用CD-ROMに対して、バッシングが始まったのです。このCD-ROMにはキヤノンが当時広告で起用していた大陸のビッグ・スター趙薇(ヴィッキー・チャオ。当時は駆け出しの新人でした)が登場するのですが、彼女のプロフィールに「いままで訪れたことのある国家」という項目があって、そこに「台湾」と書いてあったのです。ご存知の通り、中国では台湾は国家としては認めていませんから、「中国人民の感情と愛国心を著しく傷つけられた」消費者の一人が10億円強の慰謝料を求める損害賠償を起こしたのです。この事件もネット上だけではなく、中国のテレビや新聞で大々的に取り上げられました。[三菱パジェロ事件](GoldNetの記事)これについては日本でも言えちゃうかもしれませんが、ブレーキ等の欠陥で発生したと思われる事故に対して、三菱側が誠意を持って応えなかった、という事で、2001年2月中国当局はパジェロの輸入を禁止にしました。「また日本企業」ということで、マスコミとネット上で格好のネタにされたことは、言うまでもありません。[日本航空782便事件](GoldNetの記事)日系の航空会社は、中国から日本経由で米大陸に行く顧客の取り込みを図っているので、北京-成田便には結構トランジット客が多く乗っています。2001年1月北京から成田経由で米大陸に向かう中国人乗客を乗せた日本航空782便は、天候不良のため関西空港に着陸するハメになってしまいました。成田では当日トランジットができないので、成田以東に向かう乗客には成田での食事と宿泊がつく予定になっていました。ところが、不本意に関西空港に着陸してしまったため、そうした準備が整わなかったようです。それでも東京方面に向かう予定の日本人乗客には交通費を支払い、米大陸へのトランジット客のために、なんとかホテルを確保することもできました。ところが、中国人(中国のパスポートを持っている)乗客のみ、空港施設から出ることを許してもらえなかったのです。入国管理上の問題だったようですが、欧米人には遅ればせながらホテルと食事が用意されているのに、同じお金を払っている中国人乗客は、空港施設でろくな食事も与えられないまま一晩過ごすことになったのです。用事を済ませ中国に戻った中国人乗客が、「人種差別」として日本航空を訴えたのは言うまでもありません。この問題は翌2002年春まで解決を待つことになります。当該便の中国人乗客に相当額の和解金を支払い、乗客とマスコミを人民大会堂に招き、和解式を執り行って、一応シャンシャンとなりました。キヤノン趙薇事件は、NIKIやトヨタの広告問題に近い話だと思います。中国のビジネスに関わる以上、「国家」は「国家または地域」と「台湾」「香港」は「中国台湾」「中国香港」と言い換えるくらいの癖を日頃からつけておく必要があります。社内利用と思っても、統計データや地図などの類には、注意を怠らないほうがよろしいでしょう。しかし、これ以外の3事件は、いずれも「サービス」絡みが原因の事件です。かつて、日本ブランドの製品は品質が高く、日本企業はサービスが良い、と言われていました。しかし、ここ数年の間に、韓国や中国ブランドの製品も、値段の割りに品質が高くなりました。競争の激しい業界・業種では中国企業のサービスの質も格段に向上しています。パソコンを購入すれば、無期限・無制限の無料オンサイトサポートは当たり前、と言う状況になっているのに、日本ブランドは「持ち込み修理」だったりします。しかも、そうした故障品を持ち込まなければならないサービス・センターの数も少ないのです。大都市に1箇所くらいずつしかなかったりします。中国の大手ブランドの家電製品を買うと、同梱される一覧表に掲げられたサービス網の極め細やかさに唖然としてしまいます。劣悪な品質の製品に悩まされてきた中国の消費者にとって、「壊れるのは当たり前」と言う意識が残っています。ですから、「壊れた時どうしてくれるの」と言うのが重要なのです。品質が向上し、容易く壊れることが無くなった家電やIT製品かもしれませんが、いざと言うときにしっかりしたサービスが提供できないと、確実に評判を落とす結果になります。もちろん、運悪くこうした消費者問題が発生した場合のへの対応、特に初動は極めて大切なのは言うまでもありませんが、またの機会にと言うことにしておきましょう。
2004.12.13
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NIKEのテレビCMが中国で放送禁止になってしまいました(産経Web)。例の如く気合いの入ったNIKEのブランド広告で、わざわざアジア市場向けに制作されたものです。NBA選手が、「龍」に向かって何か誓いを立てます。そして、「仙人」を思わせる相手選手のディフェンスを軽やかにかわし、高々とジャンプしシュートするときには、女神か天女のような女性が祝福している、こんなコマーシャルだと私には見えました。ところが、中国人にとっては、いずれも中国民族と文化を象徴する、「龍」に対して戦いを挑み、「仙人」を打ち負かし、民族衣装をまとった「中国女性」を投げつけている、ように見えるらしいのです。つまり、この外国企業は中国の民族と文化を侮辱している、ということになってしまったのです。放送行政を統括する国家ラジオ・テレビ・映画総局は、中国のテレビ放送管理規則第6条の「祖国の伝統文化を尊重しなければならない」と第7条の「民族習慣を馬鹿にしてはならない」に抵触するとして、中国のテレビ局に対して、このテレビ広告の放送禁止を通達したそうです(商都信息港・中国語)。この処分を受けて、NIKIはPR会社と中国の報道機関を通じ、中国人民に謝罪しました(新華社Web・中国語)。ちょうど去年の今頃、トヨタのPRADOの広告が、中国を「侮辱」した広告として槍玉に挙げられました。中国では屋敷の門などに飾られている「獅子」像さえもトヨタのPRADOに畏敬の念を抱くと言う雑誌広告です。キャッチコピーも「PRADO、あなたを尊敬せざるを得ない」ですから、明らかに「獅子」像の尊厳を使ってトヨタのクルマの凄さを表現すると言うコンセプトで制作されたものでしょう。テレビと比べると影響力の小さい自動車雑誌に掲載された広告ですが、ネット等を通じて瞬く間に批難の嵐となってしまい、PRADOが「獅子」に踏みつけられてしまうコラージュ広告がネット上で大人気になってしまいました。トヨタはこの広告を掲載した雑誌に謝罪コメントを掲載するとともに、記者会見を開き謝罪しました(中国情報局)。さすがトヨタ、収拾まで2ヶ月ほどという、日本企業にしては早業の対応でしたが、その後も日本関係のイヤなニュースなど機会あるごとに中国では取り沙汰されています。最近では日本ペイントが「国際広告」という広告の業界誌に掲載したブランド広告が、「龍」を使ったことで批判を浴びています。日本企業であるトヨタや日本ペイントの広告は、いずれも雑誌への掲載で、本来影響力が大きくない割には、中国人民の間で随分話題となりましたし、大きく報道もされました。しかも中国当局が正式に違法性や不適切さを認めて処分したものではありません。ネットやマスコミで展開される批難に苦慮して、広告主が自ら取り下げたのです。一方、今回のNIKIの場合は、影響力の大きなテレビで放映された広告で、中国当局が正式に「放送禁止」という行政処分を行いました。オンエアされて1ヶ月足らずほどで、謝罪して収拾に向かう、という手際の良さもあり、こちらのほうは恐らく長く尾を引かず済みそうですし、ブランドヘ影響力も小さくて済みそうな感じが個人的にはしています。NIKIの広告は、日本のユニクロなども手がけるアメリカのクリエイティブ・ブティックが手がけているはずです(現時点では未確認ですが)。問題になったトヨタの広告も、実は日本の広告会社が制作したのではなく、イギリス系のメガ・エージェンシーの北京法人が手がけたものです。恐らくどちらのクリエイティブ・アイディアも、欧米人とシンガポールや台湾を含む中国系人のコラボレーションではないかと思います。「龍」や「獅子」や「仙人」は東洋的神秘として欧米人は興味を持ちそうですし、中国系人も広告表現に自国の文化的なものを使いたいがります。日本人クリエイターでこんな発想をする人は稀です。きっと中国人民の共感を得られると思い、良かれと思って選び出したモチーフなのでしょうが、結局はアダとなってしまいました。外国企業は、「龍」や「獅子」のような中国の民族や文化に絡む題材の広告での利用を、中国では止めておいたほうが良さそうです。
2004.12.12
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IBMパソコン部門の買収を発表した「聯想(LENOVO)」ですが、マスコミを含め北京の人たちのウケはあまり芳しくないようです(毎日Web)。マスコミの論調は:(1)IBMの不採算事業を不合理な金額で買い取ることになった聯想の将来に悲観的(2)聯想がIBM並みのコンシュマ・サポートを提供できるかという疑問(3)利ざやの大きな企業向けソリューション・サービスに特化したとしてもIT業界のキングである続けるであろうIBMのしたたかさなどクールなもので、聯想による企業買収を手放しに褒め称えたり祝福する論調はあまり見受けられません。ポータルサイトSOHUの評論(中国語)は、この二つの企業のカルチャー・ギャップを「北京-ニューヨーク間6,800マイルの距離」と表し、そう簡単には縮まるはずが無い、と酷評しています。とかく中国は、アメリカや日本などに対する優越性を重視していますから、アメリカの一流企業を中国企業が買い取る、というニュースは、国家挙げて祝福され、歓迎されるものだと思っていました。発表のあった日のNHKでは、インタビューに答える北京市民は皆大喜びしていましたが、私同様に中国の反応を見誤ったNHKの早とちりで、少数意見をオンエアしてしまったようです。私の周りの北京の人たちも、このニュースには思いのほかクールな反応でした。聯想の本社は北京にあります。排他的な北京っ子であっても、この地場企業の「快挙」には誇りを持っても良さそうなものですが。いろいろ理由を聞くと:(1)今回の買収はあまりにも「儲からない買い物」だと思われているようです。中国人の商売感覚では、話題性があろうと儲かりそうの無い投資をする奴はあまり賢くないらしいのです。(2)この買収発表後に就任した聯想の新しいCEOがアメリカ人なのも気に入らないようです(中国青年報ウェブ・中国語)。元々IBMでThinkPad事業を統括してきた人材ですから、「北京-ニューヨーク間6,800マイルの距離」を縮めるために、当たり前と言えば当たり前の人事なのですが、中国を代表する企業だったら中国人にやらせぇ、と言う感情が、中国人にはあるようです。(3)聯想(LENOVO)の日頃のサービスに対する不満があるようです。他の国産パソコン・ベンダーと比較するとLENOVOのサポートはあまり良くないらしいのです。北京の人が「北京っぽい」と言う位ですから、かなり官僚的なのでしょうか。そう言えばウチのオフィスのデスクトップもいつの間にかLENOVO(旧LEGEND)からFortune(方正)に変わっていきました。IT担当の社員に聞いたら「頭にきたから」だそうです。実はこの「サービス」と言うのが、中国におけるブランド・イメージの重要な構成要素にもなっているのです。中国のグローバル企業と言えば、まずはHAIER(ハイアール・海爾)を思い浮かべます。次あたりが聯想(LENOVO)って感じでしょうか。ハイアールのほうは山東省の青島の企業なのですが、田舎者を馬鹿にしがちな北京っ子にあっても、比較的ウケが良いのです。北米では小型冷蔵庫、中東やヨーロッパではエアコン・洗濯機のマーケット・シェアがトップクラスという実績を、既に確立している中国ブランドだから、中国の人たちが誇りに思っているかと言うと、そうでもないようです。ハイアールは、どちらかと言うと中国にしては控えめで実直な会社なので、こうした海外での成功を大々的にPRしてませんから、フツーの中国人はハイアールの海外での実績をあまり詳しくは知らないようです。いろいろ聞いてみると、ハイアールはサービスが良いらしいのです。ハイアールはCRMに力を注いでいて、そのサポートの緻密さは日本のテレビ番組などでも取り上げられているくらいですが、相変わらず丁寧なサービスを維持しているのでしょう。私自身、この二つの企業を訪問したことがあります。ハイアールには暖か味を感じましたが、聯想のほうは「北京っぽい」感じ、つまりクールな感じがしました。こうした感じがコンシュマに対するサービスにも現われているのかも知れません。聯想(LENOVO)とハイアール。中国を代表するグローバル企業と言えるのでしょうが、北京では、ハイアールの好感度のほうが高いようです。IBMパソコン部門の買収を、華々しくお祝いしてもらえなかった聯想との決定的な違いは、サービス、CSにあるような気がします。中国の消費者はアフタ・サービスやサポート体制をほんとに重視しますから、中国で事業展開する日本企業もほんとに気をつけなければなりません。
2004.12.11
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ウチの業界は半分金融会社のようなものです。仕入れ代金の大半はニコニコ現金前払いで、クライアントからのご入金はサービスの実行が確認されてから平均2ヶ月ほど待たなければなりません。平均すると3ヶ月間ほど代金を「立替」しているのと同じことですから、ある程度余裕を持った資金繰りのためには、毎月の平均売上の4~5か月分くらいの運転資金が必要になります。日本の本社が資本金を低く抑えているので、売上規模の拡大に応じて資金調達をしていかなければなりません。日本の親会社から貸してもらえるか、と言うと、そう簡単にはいきません。いわゆる「親子ローン」には総投資額の何%以内と言う上限が設定されているからです。ウチのような設備投資のほとんどいらないサービス業では、何の足しにもなりません。社債や株式なんていうのは、中国政府の外資系企業に対するハードルが高すぎて、今のところ非現実的です。結局は、銀行からの借入金に頼らなければならないのです。借入にしても担保物件など無いに等しいので、日本の本社から債務保証をしてもらいます。成長著しい中国のことですから、日本の親会社も債務保証には前向きなのですが、額が大きくなっていくと取締役会決裁が必要になってしまい、親会社のオジサマたちに説明するための資料作りに追われることになります。手続きはすっご~く面倒ではありますが、銀行がお金を貸してくれるのだから、ありがたいことです。さてウチの会社の場合、仕入れ元はほとんど中国ですし、クライアントからの入金も大部分中国国内からになるので、当然のことながら、必要な資金は人民元です。ところが、人民元の金利と言うのは驚くほど高いのです。お金持ちが貯金するには有利ですが、お金を借りる側からすると困ったものです。1年の短期借入の金利は5.31%から、この10月には更にアップして5.83%になってしまいました。ウチの会社を含め、中国のこの業界で営業利益率5%台の会社なんて、まずあり得ないハズですから、こんな高金利で資金調達してしまったら、商売が成り立ちません。そこで、これまでは外貨建てで借り入れて、人民元に両替して、資金に組み込んでいたのです。日本の預金金利が驚くほど低いのはご存知の通りでしょうが、お金を借りるときだって年利0.何%かです。人民元の金利と比べるとタダみたいなモノです。でも昨年、調子に乗って日本円建ての借入比率を増やしてしまったら、ヒドイ目に遭ってしまいました。03年の上半期は1ドル=110円台後半だった為替レートが年末の決算時期には107円と円高になってしまったのです。米ドルと人民元はほぼ固定レートですから、人民元に対しても円高になってしまったわけです。具体的には、1人民元=14.5円くらいだったのに、年末には1人民元=13円弱になってしまいました。11%以上アップです。これがどういうことかと言うと、日本円建ての借入残高に変わりが無くとも、人民元建てにすると11%以上も借金の額が増えてしまう、と言うことになるのです。つまり、1人民元=14.5円の時に、5億円借り入れると、約3,450万人民元に両替できるのですが、12月末に1人民元=13円になってしまったので、5億円の借金が会社の帳簿上は約3,850万人民元に膨らんでしまうことになるのです。実際に調達した資金より400万人民元も多く借金していることになってしまうのです。為替リスクについては、もちろん考慮はしたつもりですし、12月の決算時という瞬間の出来事ですから、中長期には何とかつじつまが合うだろう、と思ったものの、ショックはデカかったです。そこで、今年は米ドル建ての借入比率を一気に増やしました。日本円と比べれば高い米ドルの金利ですが、人民元の金利を考えれば、割安感があります。年初は短期借入で1%台でしたから。しかも、前述の通り、人民元レートは米ドルにほぼ固定されていますから、為替リスクの心配もほとんどありません。5月に円安に振れたときに、日本円建ての借金の大部分も米ドルに移行しました。そんな折、6月になって中国の通貨当局は、「外貨建て借入金の人民元への両替を禁止する」と言う措置を急に発表したのです。実質的に人民元建ての借入しかできないようにしたのです。理由はいろいろ取り沙汰されていますが、直感的に「人民元の対米ドル切り上げが近い」と考えたのは私だけではないはずです。人民元が米ドルに対して高くなれば、米ドル建ての借金に関して、さっき述べたことと逆のことが起こるのです。1ドル=8.28人民元の時点で500万ドルを借り入れ両替すると4,140万RMBになるのですが、仮に5%人民元が切り上げになって1ドル=7.87人民元になると借金は3,835万RMBに減ってしまうのです。通貨当局の規制が実施される直前に、ウチの会社では駆け込みで、向こう2年間必要と見込まれる資金をまとめて米ドルで借り入れてしまいました。はっきり言うと、金利のかかる余剰資金を抱え込んでしまったことになります。それでも、金利は年1%台だし、人民元が切り上げされれば、借金してお金が儲かることになるので、人民元の切り上げをまだかまだかと、ウキウキしながら待っていたのです。中国高官の「為替制度の現状維持」発言や「人民元の切り上げ近し」のニュースに一喜一憂しながら...10月のG7会議では各国が中国にがんがん圧力をかけてくれるだろう、と期待していました。ところが、その後も人民元の対ドルレートには何の動きもありません。それどころか、米国の金利がどんどん上昇していくではありませんか。6月時点と比較すると1%アップ、2倍です。これでは余剰資金の金利負担だけ増えてしまって、為替差益は「捕らぬ狸」です....幸いなことに最近、中国の市中金利も上昇しました。余剰資金を1年物の定期にしておけば、何とか米ドル借入分の金利はチャラになりそうですが、そうは言ってもやはり人民元の対米ドル上昇を心待ちにしている今日この頃です。
2004.12.10
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部門責任者(「総監(ディレクター)」や「経理(マネージャー)」という肩書きが多い)に初めてお目にかかろうと、中国の大企業を訪問すると、日本のビジネスマンにすれば「こむすめ」みたいな女の子が出て来たりします。秘書か助手だろう、甘く見ていると、ご当人だったりします。その横に同席する「おっちゃん」が彼女の部下だったりします。部門責任者(「主任」という肩書きが多い)に頭を下げるため、中国のお役所を訪問すると、「おばちゃん」みたいな女性が出て来たりします。話のわかる「おばちゃん」も居れば、話のわからない「おばちゃん」も居ます。中国のビジネスシーンにはジェンダーがありません。男性も女性も、ほぼ同等の機会が与えられています。ですから、日本と比べると女性の管理職がたくさん登場します。アメリカやヨーロッパと比べても、意欲と能力のある女性にとってのビジネス・フィールドが広い、と言える感じがしますす。兎角日本ではビジネスにおける女性の役割はあまり大きくありませんし、地位も高くありません。女性の役員や管理職が誕生するとニュースになるくらいです。第一線で頑張る女性もたくさん居るのですが、ちょっと特別な視線で見られがちです。多くの企業ではアシスタント止まりだったりします。私も北京に着任したばかりの頃は、日本企業における女性に対する先入観バリバリな状況でした。大事な仕事を委ねられないのではないか、どうせ結婚したり子どもができると辞めてしまうのではないか、感情の起伏が激しくて扱いにくいのではないか、そんな目で女性スタッフを見ていた時期がありました。でも、そのような先入観は1年ほどで完全に払拭されます。同等の能力を持った男性スタッフと比べるしかないのですが、大事な仕事も充分任せられますし、結婚や出産を理由に仕事を辞めていくこともほとんどありませんし、感情の起伏が激しいのは、北方中国の場合、むしろ男性のような気がしてしまうくらいです。中国と日本は社会構造が違います。この数十年間の中国は「労働者の国家」だったわけで、女性も外で働くのは当たり前と言う意識が植え付けられたのでしょう。多くの女性は、生涯働くことを前提に人生設計をしています。ですから、例えば将来、会社を興すとか、大企業の役員になるとか、ビジネスにおける自分自身の目標を持っている女性がたくさんいるのです。もちろんいろんな考えを持った人が居るのは、日本も中国も変わりないですから、お金持ちと結婚して仕事辞めて優雅な生活を、と願っている女性だって居ます。ただ、ビジネスで頑張ろうと考えている女性にとっては、良い環境であることは確かでしょう。こうした女性たちを政策でしっかりバックアップしているか、というと実はそうでも無いのです。女性の生理、出産、育児などの休暇に関する法制度は日本のほうが充実しているのではないか、と思うくらいです。では、なぜ結婚しても、子どもがいても、仕事を続けていけるのかと言うと、周りの人たちの協力があるからでしょう。夫も家事をする、父母義父母が子どもの面倒を看る、或いは地域社会、親戚が働く女性をバックアップする。つまり、周りの人たちの協力で女性は働くことができて、周りの人たちも働く女性から経済的な恩恵を受けることができる ---例えば、共稼ぎしないと豊かな生活が送れない、或いは早期退職した父母を経済的に面倒を看なければならない、と言った消極的な理由かもしれませんが---と言った社会構造があるからです。ウチの会社のスタッフの6割は女性です。マネージャークラスの7割が女性です。社長(総経理)も女性です。私がフェミニストで女性に囲まれて仕事をしたいから、こうなったのではありません。経験と能力と実績重視のシビアな採用と考課でこうなっただけです。女性スタッフの誰が結婚していて、誰に子どもがいるか、などと言うことは、ほとんど知りません。北京に着任したての頃は、スタッフの採用面接で既婚の女性応募者に「子どもができたら仕事はどうするの?」なんて質問してた自分が恥ずかしいくらいです。いまはもうそんな質問をしません。出張で日本の本社に戻るたびに、なんて男社会なんだろう、と思うようになってしまいました。どちらかと言うとウチの業界では、女性が活躍しているほうなのですが、女性社員の比率は少ないし、任されている仕事も....何だか気の毒に思うくらいです。
2004.12.09
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中国最大のITベンダーの聯想グループ(LENOVO)によるIBMのパソコン事業の買収が発表されました。日本列島を飛び越えて、中国とアメリカで繰り広げられるビッグ・ディールに、何だか日本だけが取り残されて行く、という気分になってしまったのは、私だけでしょうか。日本の多くの企業が、中国への投資とか合弁事業の設立とか、或いは技術供与だとか資金援助だとか言っているのに、天下のIBMは中国企業への売却を望んだのです。80年代の日本企業はアメリカの魂やシンボルまで買い漁った、と言われたことがありました。いまや、ロックフェラーセンターやMGMは既に日本企業の手を離れましたし、コロンビア映画はスパイダーマンに支えられて何とかソニーの手の中に残っている、という状況でしょう。いまや欧米の眼差しは、日本を通り越して、中国に注がれているわけです。こうした商談も決定までにあれこれと時間がかかり政府も協力的でない日本企業よりは、トップ判断で即決し政治的にもメリットの大きい中国企業と行っていく、と言うトレンドが一層強くなるでしょう。日本も中国、中国、なんだから、同じじゃないか、と言われるかもしれません。しかし、「世界最大のマーケット」と言われている中国で、世界第二の経済大国である日本の存在感は、思いのほか希薄です。例えば消費市場のトレンドで言えば、クルマはドイツかフランスの合弁、スーパーはフランスかアメリカ、ケータイはフィンランドか韓国ブランド、家電やパソコンは中国ブランドで充分です。日本ブランドが幅を利かせているのはデジカメくらいでしょう。ある程度見識を持った中国の消費者にとって、日本の中国における経済活動は、ドイツやフランスやフィンランドや韓国やロシアと大きな差が無いように見えているのです。ご存知の通り、日本のODAについては多くの人民が知らされていません。企業活動を考えた場合、日本はアメリカに次ぐ経済大国と言えるだけの活動を中国で展開しているように感じられないのです。2003年の中国の輸出入総額は日本がNo.1、次いでアメリカ、EUの順なのに、です。これは、日本の暗黒の90年代に中国ビジネスが停滞したこと、日本企業のビジネスに対する姿勢、日本のPR下手、そして政策によって創られる日本に対するイメージ、が大きく影響しているのだと思います。経済分野のみならず、政治分野においても、日本が取り残されつつあるのではないか、と私は危惧しています。クリントンが大統領だった頃、日本を飛び越えて中国にやってきました。中国とアメリカは、実は相思相愛の間柄にあると私は考えています。共和党政権になっても、その核心は変わらないでしょう(学生時代私と劇団をやっていた田中宇の「米中論 何も知らない日本」の受け売りですが)。そうした米中の蜜月関係を日本の政治家はどの程度押さえているのでしょうか。ユーロと言う基軸通貨を媒介に関係が深まりつつあるヨーロッパのほうも、フランスは武器の売り込み、ドイツは国連安保理常任国入り工作、といろいろ狙いはあるにせよ、中国との外交により力を注いできています。日本のリーダーがアメリカ、アメリカ、と叫べば叫ぶほど、ヨーロッパも日本を相手にしたくなくなるでしょう。以前、中国各地とアメリカ各地を結ぶフライトのほとんどは日本経由でした。でも今では日本に立ち寄るのはUA便くらいのもので、日本を飛び越えて(ホントは北極圏を通っているので、日本上空は通過しないハズですが)、中国とアメリカで直接行き来しているのです....
2004.12.08
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以前中国におけるスタッフの「私益」(バックマージン)について書いたことがありましたが、北京でコンサルタント会社にお勤めの方が日経BPのウェブに興味深い記事を投稿されていました。「優秀な営業担当者ほど、バックマージンに関わっている」と言う点では、私と同意見です。先日中国市場視察と現地での情報収集のため、日本からお越しになった大手企業の役員の方に、いきなりローカルスタッフのバックマージンについて尋ねられました。中国の現状をお知りになるためにいらっしゃったクライアントさんですから、私も正直に「ある」とお答えしました。その途端にその方は表情を硬くされ、「そうした不正行為を黙認する日系企業とは付き合えない」ような論調に変わってしまいました。グローバル・スタンダードを自負するアメリカの大企業の経理不正操作に端を発したコンプライアンス重視のトレンドは、かの国に右習えの日本企業にも浸透しました。とは言え、西武や読売にみられるような問題の発覚は、外部からの指摘によるもので、コンプライアンス、コンプライアンスと言いつつ、日本企業が果たしてどこまで遵法精神に乗っ取り、透明性の高い経営をしているのかは、甚だ疑問です。それなのに、日本企業は、ことさら中国ビジネスに関して、コンプライアンスを求めたがっているようです。中国でビジネスを展開している日系企業の多くも、コンプライアンスを重視するあまり、当地の商習慣になっているバックマージンに関して、思いのほか目くじらを立てます。バックマージンなど「不正」の温床にならないから、と敢えてコスト高の日系企業との取引を選択することさえあります。そうした「信頼のおける」日系企業が、中国人スタッフのバックマージンに対して寛容だったりすれば、取引先の日系企業は態度を硬化させたりするでしょう。とある日系企業で、中国人スタッフのバックマージンについて暴いた日本からの駐在員がいらっしゃいました。彼は正義感から「不正」を正そうとしたのですが、「不正」を暴かれた当人のみならず中国人スタッフに総スカンを喰らってしまい、ご本人の些細なスキャンダルを日本の本社に脚色入りで告げ口される、と言う仕返しまで受けてしまい、任期半ばで帰国してしまいました。この種の問題に、日本人が絡むとロクなことはありません。日系企業と言えども、ビジネスのフィールドは中国なのです。「郷に入れば郷に従え」で現地の商習慣というものを無視するわけには行かないと思います。中国人スタッフの「私益」(バックマージン)に関しては、先に述べたとおり、「私益が他益に、そして公益に繋がっている」構造が認められますし、有能なスタッフほどバックマージンに関わっているわけです。ただ、長く異なる商習慣の中でビジネスをしてきた日本人にはなかなか理解しがたいシステムですから、日本人がコントロールするのは困難だと思います。こんなことに日本人が絡むとロクなことはありません。中国で働く日本人は、あくまでも「潔白」であれば良いと思うのです。もちろん、こうした「私益」が会社経営上有効に機能しているかどうか、しっかり管理する必要はあります。有能で信頼のおける中国人マネージャーにコントロールしてもらえば良いのです。バックマージンのみならず、中国における現地法人の設立や会計処理についても、日本企業はコンプライアンスという名のもとで「カタブツ」とも言える対応をしているケースが多いようです。でも、中国にはいろんな「抜け道」があるわけで、他の企業はそうした「抜け道」をうまく活用していると考えるべきです。コンプライアンス重視で臨めば、ライバル会社と比べてより時間を費やしたり、決算が悪くなったりしてしまいます。欧米系の大企業は案外この「抜け道」を利用して、危ない橋を渡りながら日系企業を引き離しにかけたりしているのです。中国トップクラスの外資系量販チェーンが「名義借り」で店舗数を拡大してきたことは多くの人の知るところですし、メガ・エージェンシーと言われる欧米の広告会社の中国法人の設立方法や税務処理などを日系企業に真似できないでしょう。そうした世界中のライバル会社と、遵法精神と透明性を建前とする日本企業が、中国市場で遣り合っていくのですから、いろいろと大変なわけです。私は、違法行為をお勧めしているのではありません。合法と違法の間にいろんな仕組みがあるのが、中国です。日本人は、善悪、合法・違法というマルかバツかの思考で判断しないほうが良いと思うのです。
2004.12.07
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アメリカのIBMがパソコン事業を中国のLENOVO(聯想)に売却すべく交渉している、との話。売却価格が10~20億US$になると言うから驚愕です。確かにIBMにとってパソコン事業はある意味でお荷物だったのでしょう。世界的にはDELLやHPに水を空けられてしまいましたし、利ざやも大きくない。コンソールやソフトウェアは他社頼みだから、IBMとしてはアッセンブルをやっているだけの気分なのでしょう。独自技術を発揮できる分野では無いと思っているのかもしれません。でも、VAIOに一時期浮気した私も、結局戻る鞘はIBMのノートブックでした。耐久性と操作性というビジネス・ユースには不可欠な二つのスペックにおいて、IBMにかなうモノはいないと思っていました。IBMにとってパソコン事業など、子供相手におもちゃを売っているようなものなのかもしれません。BtoBのSolution領域のほうがシェアも利ざやも大きいので、この分野で他社を引き離すほうが効率的なのでしょう。でもまさか本気で事業売却を考えているなんて思いもしませんでした。こんなニュースを耳にすると、NECや富士通は別として、Panasonicや日立やSHARPやJVCのパソコンまでが秋葉原に並んでいることが思い出され、なんだか日本企業って、ホントお人好しというか商売ベタなんだな、って思ってしまいます。しかも、交渉相手は中国のPCメーカー&ディストリビュータのLENOVO(聯想)という話。私はこの会社の本社ビルに行った事があります。10年ほどで東アジアのPCトップメーカーに成長した企業だけあって、若い社員が皆自信に満ち溢れていました。ビジネス交渉は常に強気で、礼に欠くような姿勢すら感じました。東芝のパソコンのディストリビュータとして頭角を著しつつ、自社ブランドの力が増すと、こんどは東芝に対して相当厳しい条件を突きつけてきた、という話も聞いたことがあります。個人的には「成り上がり」企業と言う雰囲気をすごく感じています。バブルが弾け始めた10年ほど前、私は日本IBMのコンシュマ部門に出入りしていましたが、あの頃の日本IBMを考えると、いまのLENOVOには相容れないものを感じてしまいます。そもそも、LENOVOに10億~20億と言われる売却費を調達するだけの資金力があるのかどうかも疑ってしまいたくなります...報道によると、IBMは当初、東芝に売却話を持ちかけていたとのこと。ま、お断りするにはそれなりの理由があったのでしょうが、IBMが次の交渉相手に選んだのがこの東芝と因縁のあるLENOVO(聯想)だとは、IBMも何を考えているのか...東芝にも、LENOVOにも、もう自社ブランドによるパソコン事業は止めたほうがよい、とでも言っている気がしてなりません。LENOVO(聯想)本社のロビー
2004.12.03
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中国には「愛国者」というITブランドがあることを前回書きました。でも考えてみると、日本の松下電器が使ってた"National"というコミュニケーション・ネームは、ある意味で「愛国者」と似ているような気がします。"national"という英単語には、「国民の」「国家の」「国を象徴する」という意味がありますが、"nationalism"に派生するように「国粋主義的」「国家主義的」強いては「愛国主義的」という意味を背景に持っています。中国の「愛国者」というブランドに、私たち日本人はドキっとされられますが、松下電器がコミュニケーション・ネームを"National"と呼んでいたとき、英語のネイティブスピーカはどんな想いを抱いていたのでしょうか....松下電器は白物家電も含め、ブランドを"Panasonic"に統一し、"National"は松下電工が日本国内のみで利用するローカル・ブランドになったようですが....中国の大手PCメーカー/ディストリビュータである「聯想」は、かつて英文表記に"LEGEND"を使っていました。と言うより、ここの創業者は「伝説」を創るべく、英語の"legend"を会社名にし、その中国語の音訳として「聯想(レン・シァン)」の文字をあてた、と聞いたことがあります。「聯想」が中国から英語圏に羽ばたこうとした際、この"LEGEND"というコミュニケーション・ネームが使えないことがわかったのです。この種の普通名詞は、どこの国でも既に商標として登録済みだからです。そこで、"LENOVO"というブランド名を開発して、世界のブランドを目指すことになったのです。家電メーカーの「海爾(ハイアール)」は、元々会社名ではありませんでした。ドイツの家電メーカーの協力で製造した冷蔵庫に、その会社名の一部を中国語表記にして「海爾」と付けたのが始まりだったそうです。その後、ハイアールのCEOが世界に打って出るためのブランドとして「海爾」を定着させ、社名にもしていったのです。「海爾」の英文表記は"Haier"で、例のドイツメーカーのスペリングとは異なります。"Haier"は「海爾」の中国読み(ピンイン)そのものです。アメリカに進出したとき、多くのアメリカ人が"Haier"をどう発音するかわからなかったそうです。そこでアメリカでの広告に、"Haier, Higher"と言うコピーをつけることにしました。"higher"は"high"の比較級。「より高い(崇高、上等)」の意味を付加したかったのでしょう。しかも英語の"higher"の発音は、「海爾」の中国語の発音に極めて近いのです。このコピーが浸透して行き、アメリカ人も"Haier"をハイアール、つまり"higher"の発音で呼ぶようになり、ブランドとして定着していったのです。グローバル企業を目指すローカルの新興企業にとって、ブランド・ネームは極めて重要になります。韓国のLGグループは、グローバル化を推進し始めた数年前に大規模なCIを実施し、"LG"にしたのです。その前は"Lucky Gold"でした。いかにも英語を母国語としない国の企業がつけそうな英語の名前です。"LG"のような短い文字の羅列は覚えやすいのかもしれませんが、商標登録できません。それを逆手に取り、必ずあのニコちゃんマークのようなロゴ・マークとともに企業名を打ち出すことによって、ブランド浸透を見事に成功させました。中国で言うと、TCLやMidea(美的)あたりが、グローバル展開を目指したブランド・ネームを採用していると思われます。そうそう、"National"で思い出したのですが、中国の大手家電量販店である「国美電器」の昔のブランド・マークは、昔の"National"のブランド・マークそっくりでした。数年前、この「国美電器」もようやくロゴマークを新しくしています。懐かしいNationalマークと昔と今の国美電器ロゴ(昔のは復刻版)
2004.12.02
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