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中国のヤフオクとも言えるC2Cサイト、つまり個人ユーザー同士の売り買いサイトに「淘宝網(Taobao.com)」があります。淘宝網は先日、Yahoo!中国などとともに香港市場に上場した中国発の世界的B2Bサイト・Alibaba.com(アリババ)の傘下にあります。そのせいもあってか、厳密に個人同士の取引ばかりを集めているのではなく、メーカーや販売店が出店したりもしているので、「楽天市場」のほうに近いのかもしれません。5,000万人のアクティブな登録ユーザー、取引成約金額が1日平均1.8億RMB(約27億円)と、中国ではもっとも影響力のあるECサイトだと言えます。とある日本企業から相談を受けました。並行輸入或いは個人輸入された自社製品が「淘宝網」に出品されていて正規販売ルートに悪影響をもたらしているので、何とか対応してもらえないか、とのことでした。その日本企業は、最近中国に拠点を設け、日本で製造した製品を輸入する方法で中国でも販売を始めたところでした。広大な中国ですから販路を広げていくのは時間がかかります。まずは上海、北京など需要が見込める大都市中心に正規代理店(卸問屋)を決めて、販売し始めたようです。ところが、正規ルート経由の販売量が思いのほか伸びません。当初その日本企業は原因を製品が並んでいる小売店が少ないことと、広告やプロモーションが行き届いていないためだと考えたそうです。ところが、いろいろ調べてみると「淘宝網」に並行輸入品や個人輸入品が大量に出品されていて、なんと正規ルート経由より売れていることが判明したのです。その日本企業は、非正規製品が「淘宝網」で売られているから、正規ルートで売れないのだと考えたのです。なんとか、「淘宝網」での販売を止めさせられないか....。そのように考えたのです。その製品はかさ張らないので、日本に旅行などで出かけた人たちが日本で大量に買ってきて「淘宝網」に出品するケースもたくさんありましたが、"闇"の輸入業者が日本から大量に"密輸"して「淘宝網」で売りさばいている様子も伺えました。いずれにしても、「淘宝網」で販売されている製品のほとんどが"ニセモノ"ではなく、日本で製造され日本で販売されている正規の製品のようでした。ただ価格は、というと、「淘宝網」の価格のほうが正規ルートで販売されている製品より2割ほど安いのです。日本からの輸入製品ですから、正規ルートだと関税がかかりますし、流通・物流コストも多めに乗っかってきますから、高くなっちゃうのですね....。「淘宝網」でその製品を購入した方に、なぜ正規ルートの製品を買わないのか聞いてみました。まず多かったのは、「日本製だから安心感がある」と言う答えでした。日本向けの製品ですからパッケージは当然、日本語で表示されています。でも、中国向け輸出品は、中国市場向けに簡体字で表示されデザインされています。「日本製造」と表示されていても、きっと中国で製造しているのだろう、という意見でした。あとは当然のことながら価格です。でも実は最も顕著だったのは、購入者の多くが正規販売網が行き届いていない上海や北京以外の地方の人たちだったのです。つまり、近くで売っていないからネットで買った、と言うことです。ここで不思議に思うのは、なぜ中国で広告もプロモーションもほとんど行っていない製品がネットで大量に売れているのか、と言うことです。調べてみると、この「淘宝網」の口コミ効果で売れ出したのです。つまり、正規ルートで販売される前に、個人輸入で出品された製品を購入した人が、その製品の良さをコメントして、どんどん広がって、個人出品が増えて、売れ行きがいいのを知った"闇"の輸入業者も"密輸品"の出品を始めた、と言うストーリーだったのです。そして、この製品はほとんどプロモーションをしていないにもかかわらず、大量に広告やプロモーションをしている他のブランドに並んで、そのカテゴリーにおける「淘宝網」の売上ランキングのトップ10に入るブランドになっていたのです。さて「淘宝網」から、こうした不正規ルートの製品を追い出すことができるでしょうか?中国では「水貨(シュイホウ)」と呼ばれる"密輸品"に関しては、労力を惜しまず中国当局に働きかければ、もしかしたら追放することはできるかもしれません。脱税と言う違法行為を犯しているわけですから。でも、個人輸入の製品は無理でしょう。日本のヤフオクや楽天市場ですら、並行輸入や個人輸入のブランド品などがどんどん出品されているのですから、いずれにしても「淘宝網」への出品を断ち切ることは不可能に近いはずです。私はむしろ「淘宝網」と組むべきだと思っています。正規ルートの製品を「淘宝網」で堂々と販売する。日本と違って、卸問屋など正規流通網に気兼ねなどする必要は無いのです。そもそも正規の販売ルートから製品が横流しされて「淘宝網」などで売られているようなお国柄なのですから。それでも残る"価格格差"の問題は、流通コストが浮いた分で"特典"を付けるなどして対応すれば良いと思いますし、正規ルート版の「信頼性」や「安全性」などを「淘宝網」を使って積極的にアピールしていけば良いでしょう。中国語のパッケージが気に食わないみたいな意見が多いようなら、日本で販売されているパッケージをベースにデザインし直せば良いと思います。既にネット上で口コミの評判が形成されているわけですから、それに乗った販売戦略で臨めばきっとうまく行くと思います。そして何よりも、中国全土に、少なくとも地方都市までにでも販路を拡大させていくのは、時間もかかりますし管理にも手間がかかります。「淘宝網」のようなネットを使えば、簡単に"全国区"に進出できるのです。何度か他のブログでも取り上げましたが、日本のコンテンツホルダーは"海賊版"対策ができていない中国で"正規版"のDVDやCDを販売しても商売にならない、と思って二の足を踏みました。でも実際のところ、"海賊版"は安価なプロモーションの役割を果たしています。"海賊版"の「ドラえもん」のDVDが5RMB(約75円)で売っているのに、その10倍も値段のする最新作の映画にはたくさんのお客さんが入るのです。"海賊版"で被っただろう損出と知名度ゼロから始めるプロモーションの費用とどちらが大きいかと想像すれば、後者のほうが高くつくのは目に見えています。"海賊版"や"非正規ルート製品"が売れているということこそ、口コミ効果が利いていることであって、"正規製品"にも大きなチャンスがある、と捉えるくらいで無いと、この国で商売するのは難しいと思うのです。自然発生的な口コミ、販路を一気に拡大できるインターネット、どちらをとってもこの製品は売れると確信しました。後ろ向きに法廷闘争などして、時間とお金を浪費するよりは、この際割り切って流れに乗ったほうが、儲けられると思うのですけどね.....。
2008.01.25
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むかし自分がこのブログでどんなことを書いていたのか、振り返っていました。2005年6月8日のエントリーは" [速報]上海株底値脱出!いよいよ上がり始める!?"でした。その翌日の産経新聞は「上海株下落止まらず 国有株放出、不安誘う 『国際市場』へ険しい道」と言う記事を掲載していたようです(当時の記事が阿修羅というサイトに引用されていました)。中国の代表的な株式指数の上海総合株式指数が六日午前、一時的に一〇〇〇の大台を下回った。一〇〇〇を割り込んだのは一九九七年二月以来だ。相次ぐ企業不祥事による市場不信感に加え、先月から始まった国有の「非流通株」の放出などによる需給関係の悪化懸念や不動産価格抑制政策、繊維貿易問題など不安材料が重なったためだが、歯止めのない長期低落傾向に、国際マーケットとしての地位を得るには、多くの時間がかかりそうとの見方も広がっている。[中略]日本の市場関係者は、中国の株式市場も徐々に対外開放に向かうとの認識では一致している。ただ、「開放政策が一気に進まず、行ったり来たりを繰り返している」(村上氏)現状では、中国株式市場が国際的マーケットに育つ道のりは、まだ遠いともみている。(スミマセン、福島さん....)共同通信も「上海株、一時1000割れ 8年4カ月ぶり安値」と言うニュースを配信していました(同じく阿修羅の引用による)。中国の株式市場では、非流通の国有株を市場に放出する改革が先月9日から始まり、投資家の間に需給悪化懸念が広がっている。[中略]総合指数は2001年6月13日に終値で2242.42と史上最高値をつけた後は下降基調で、約4年にわたり低迷が続いている。ご承知の通り、上海株価指数は2005年6月6日、一時1,000ポイントを割る998.23に下落しました。しかし、その後徐々に上昇に転じ、昨年10月には6,000ポイントを越えました。その後やや下げましたが、それでも05年6月当時の5.5倍の水準です(ちなみにこの間、日経平均は1.3倍くらいになっています)。10年スパンでみると、この05年6月6日がまさに"底値"をつけたその日だったのです。にもかかわらず、上述の通り日本での報道は、中国株式の先行きをより暗くみるものがほとんどだったようです。1,000ポイントを切った上海株価指数を底値とみるアナリストは、少なくとも日本ではほぼ皆無だったのではないでしょうか。当時のニュース検索ができないのですが、この時期、中国でも明るい見通しを伝えたメディアやアナリストはほとんど無かったように記憶しています。上のチャートで一目瞭然です。結果として、ドンぴしゃりと言い当ててしまったことを別に自慢しようと思って取り上げたわけではありません。むしろ、分かりきったこととは言え、ちょっとぞっとしてしまいました。この時のエントリーでは、一切触れなかったのですが、この情報は中国の知人から耳打ちされたものだったのです。当時の彼は株などやっていませんでした。私がお遊び程度に中国株をやっていて、株価が低迷していることを、彼に嘆いたりしたことはありました。その彼が、私のところにやってきて、「明日から上がるから心配するなよ」と伝えてくれたのです。必ず上がるから、と翌日から彼もぎこちなくネットトレードを開始したのでした.....。彼には、金融政策関係の朋友(おともだち)がいたのです。このことが何を意味するか、もうお分かりですよね....。中国の株価なんて、ほぼ当局の思うがままになる、と言うことです。不思議かもしれませんが、中国では当たり前のことなんです。上海に上場している中国企業の大半の株式は国家が持っています。つまり、株価が上がれば国家が儲かる仕組みになっています。市場で流通しているのはほんの一握りですから、資金の流れを作れれば、株価は操作しやすいですね。でも、こうした情報で大儲けした朋友(おともだち)もたくさん居たことでしょう。私のほうは.....儲けていたら、こんなこと書きやしません!!
2008.01.09
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1月1日から中国の"新労働法"が施行されました。これまでも「中華人民共和国労働法」はありましたが、その中の労働契約規定を改定させて独立した法律にしたものが、「中華人民共和国労働契約法」で、一般には"新労働法"と呼ばれています。主な改正ポイントを大雑把に挙げますと:(1)労働者と契約を結ばないで働かせると、2倍の賃金を支払わなければならない(2)いつまでも試用社員のままにしておいてはいけない(試用期間は1ヶ月以内)(3)就業規則は、労働者や労働組合と一緒に決めていかなければならない(4)労働契約期間中の解雇する場合は、必ず労働者に補償金を支払わなければならない(5)労働契約を2回更新すると(通常は3年以上働いていれば)、終身雇用扱いになれる(1)~(4)は、日系企業をはじめとする外資系企業の多くが、「そんなこと言われなくても既にやっているよ」という感じの内容です。労働者とは労働契約を結ぶでしょうし、1年契約の社員となら試用期間は1ヶ月と定めるでしょう。就業規則を、労働組合と詰めるかどうか別として、政府系の労務コンサルタントなどとは相談しているでしょう。会社都合で解雇する場合は、少なくとも勤続年数×1か月分の補償はしているでしょうし、"弱腰の"日本企業ならもっと支払っているはずです。ただ、労働者と終身雇用契約或いは1年以上の長期雇用契約を結んでいた企業は少なかったのではないでしょうか?既に対応していたことが多かったとは言え、日系企業の多くはこの"新労働法"施行に向けて、就業規則の見直しや"古株社員"への対応など、労務対策の準備を進めてきたに違いありません。少なくとも上場しているような日本企業はコンプライアンスが口癖になっていますから、"抜かりの無いように"頑張っているはずです。特に若手のホワイトカラーの間では、転職によるステップ・アップが当たり前の中国では、ひとつの会社に長期間(3年とか5年とか)勤めている労働者は多くありません。よほど会社にロイヤルティを持つ"スグレモノ"か、転職先の見つからないような"使えないクン"である場合が多いでしょう。ですから、「長年勤めている社員は終身雇用になる」という(5)のところが、この"新労働法"の肝だと感じていた企業も多かったはずです。さすがに、アメリカ系の企業は対応がドライでしたね。ウォルマートやP&Gなどは、"新労働法"により終身雇用の対象になってしまう"古株"のうち、いわゆる"使えないクン"を大量に解雇してしまいました。もちろん、"新労働法"施行前にです。中国系でも、政府のお膝元でいろいろと気遣いしている北京の清華大学付属の保育園の"古株"先生が終身雇用を目前に解雇された、ようなニュースが話題になっていました。ただ中国のローカル企業がすべてこの"新労働法"を守るか、と言うと、そんなことはあり得ません。この法律によって保護されるのは、中国の全労働者のせいぜい10%くらいなのでは無いでしょうか。農村部からの出稼ぎ労働力で成り立っている沿岸部の工場などがこの法律を守ったら、きっと一瞬にして中国は"世界の工場"の座を他の国に明け渡すことになってしまいます。中国の立場を悪くするような決まりを、当局が守りなさいとは言わないでしょう。ホワイトカラー系だってそうです。いまをときめく"ネット系"企業であっても、"新労働法"を完璧に遵守するのはごく少数派でしょう。NASDAQに上場しているような著名ネット企業で"働く"社員であっても、労働契約すら結んでいない場合だってあります。労働契約があっても、法律に準拠した社会保険制度を完備していないところだって多いです。上場企業ならばコンプライアンスが問われるだろうと思うでしょうが、上場しているのはたいてい海外の持ち株会社ですから、子会社、関連会社、孫会社の網の目を広げていけば、"足がつかない"ようになるのです。さて、労働者が訴えたらどうなるでしょう。その前に、訴えるような社員は要らない、と言われます。中国では優秀な人材が有り余っています。過酷な労働条件にも泣き寝入りして、働き続けなければならない人材がたくさんいるのです。もし、日系や外資企業が同じようなことをしたら、どうなるでしょう....。きっと労働者が訴えるでしょう。訴えると当局も見過ごすことはしないでしょう。きっと、労働仲裁委員会あたりに引きずり出されて、法外な賠償を求められることになるでしょう。同じような脱法行為が発覚して、賠償を問われる確率は、外資系企業のほうが中国企業の10,000倍くらい高いはずです。だから日系や欧米企業は、"新労働法"を遵守するほうに対応する必要があるのです。"新労働法"は外資と中国国内企業との労働コストの格差をさらに広げるでしょう。中国では、法律の上位概念として、国家を指導する"党"があることを忘れてはなりませんね。
2008.01.09
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