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春節(旧正月)のお休みを利用して、ほぼ7年ぶりにオーストラリアのシドニーに行ってきました。シドニーは私が北京に来る前の赴任地で、1997年のほぼ1年間をシドニーで過ごしたので、懐かしい土地です。街並みや風景はオリンピックを挟んでいるのに、7年前とあまり変わっていませんでした。もちろん、以前良く通ったレストランや日本風の居酒屋が店の名前を変えたり、無くなっていたりしていましたが。ただ、97年の頃と比べて街に活気が溢れているような感じを受けました。街を走る自動車は、以前はポンコツ車や良くてオーストラリア製のGMかトヨタが中心だったのに、ベンツやBMWなどの高級車を多く目にしました。シドニーに住むオーストラリア人ジャーナリストの友人に話を聞くと、いまオーストラリアは"プチ・バブル"になっている、との話。シドニーオリンピックを終え、2002年頃からこの2年間は"なんとなく"好景気が続いている、と言います。97年当時は、日本円で3,000万円も出せば、シドニー郊外に海の見えるプール付きの邸宅を手に入れることができる、ということで、私もリタイヤしたらシドニーに家を買ってのんびりしたいものだ、などと思っていました。ところが今では、同じくらいの一軒家を買うとすると日本円で1億円(120万オーストラリアドル)でも難しくなったと言います。そういえば、東京-シドニーのフライトは行きも帰りも満席状態でした。行きは中国の旧正月と言うこともあって、中国系の乗客もだいぶ多かったのですが、帰りは日系キャリアのフライトにもかかわらず、オーストラリア人と思われる乗客が7割を占めていました。ビジネス客と言うよりは、恋人同士或いは家族と言った感じの乗客が多かったのです。話を聞くと、ディストネーション(最終目的地)は日本。何しに行くかと言うと、温泉とスキーに行くらしいのです。以前からオーストラリアの金持ちは、クリスマスや建国記念日のバケーションに"避暑"のため、カナダやヨーロッパにスキーに出かけたりしていました。平均1ヶ月くらい休暇をとって、片道20時間近くかけてバケーションに繰り出していたわけです。ところが、最近増えた"プチ金持ち"はビジネスも忙しいので1ヶ月もの長い休暇は取れないらしく(それでも最低2週間は休むみたいですが)、カナダやヨーロッパの半分の時間で行ける日本で"避暑"を楽しむことが流行らしいのです。北海道のニセコは雪質も良いらしくスキー場としての名声が高いようで、日本式の温泉も楽しめるので、あまり長い休みを取れない"プチ金持ち"は、日本でヴァケーションを楽しむと言うわけです。家族4人で北海道に2週間滞在すると、軽く2~300万円かかってしまうのですが、ニセコには1年間で5万人のスキー客がオーストラリアからやってくると言います。どうしてそんなに景気がいいの?とオーストラリア人の友人に尋ねました。「確かに景気がいいんだけど、誰がどうやって儲けているか分からない」と彼女は言いました。いっぽうでクレジットカードの利用過剰が社会問題になりつつあるそうです。"プチ・バブル"の雰囲気に呑まれ、そんなに儲かっていない人たちまでクレジットカードやローンで、どんどん消費しているらしく、カード破産する人も出始めているらしいのです。確かに電車やフェリーの中の広告ポスターも住宅ローン関連が目に付きました。まさにちょっと前のアメリカの住宅景気みたいな感じでしょう。ただ、"金回り"が良いことだけは確かなようです。さてオーストラリアの"金回り"を支えているのは、何を隠そう中国だったのです。輸出産業などほとんど無かったオーストラリアですが、鉄鉱石、石炭という、経済発展中の中国が喉から手を出して欲しがるような天然資源が豊富にあるのです。一般的には、これらの輸出に支えられてオーストラリアの経済が伸長していると考えられています。シドニーには20世紀初頭からの中華系移民が多くいて例の如くチャイナ・タウンを形成していますが、現在"資源の買い付け役"として幅を利かせているのは、文革以降、特にここ20年でオーストラリアに移ってきた中国大陸出身者とのことです。確かにチャイナ・タウンのレストランでは相変わらず、福建語や広東語を耳にしますが、カジノで巨額なお金をかけて楽しんでいるアジア系の人たちは標準語(北京語)で話す人が圧倒的に多かったです。私はミニマム・ビット1ドルのテーブルでのちまちま楽しんでいたのですが、100ドルのテーブルでチップをでかでかと積み重ねていたのは、ほとんどが最近移民してきた中国人でした。中国マネーがオーストラリアを潤わせ、オーストラリア人が日本にスキーに出かけてお金を落とす。少し前までは想像もしなかったことが起きているのです。
2005.02.28
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中国の経済新聞「経済観察報」と北京大学企業管理案例中心が共同で発表した「2004年中国で"尊敬"される企業トップ100」の中に、日本企業は1社しか入りませんでした。この"企業番付"は、企業管理学を学ぶ大学院生や中国の経済関係有識者が、企業のイメージ、中国社会への貢献度、市場競争力、人的資源、管理システム、企業文化などを基準に選定しているものです。選定基準が数値化され明らかにされているものではありませんが、中国で暮らしている私にも「なるほど」と納得できる企業が名を連ねているので、多くの中国人民から実感として受け容れられる"番付"ではないかと思います。上位50社には中国企業だけではなく、多くの外国企業も登場します。電機・IT系では、HP、Intel、Siemens、Microsoft、GE、Samsung、NOKIA、Motorola、Dell、IBM。自動車系では、VW系2社、GM、食品・日用品系では、Coca Cola、P&G、流通系ではCarrefour、など。日系企業はHONDA(広州本田)が唯一トップ50に入ったのみで、HONDAのほかにトップ100を探しても、日本ではお馴染みの自動車や電機・IT系のブランドは姿を現しません。欧米系の企業が多いのですが、韓国のSamsungや香港のPhonenix TV Groupはトップ50にランクインしています。一般消費者が選んだ"企業番付"ではないのですが、選定には"ブランド力"が強く影響していると考えます。企業の社会貢献もそうですが、内的要素である人的資源、管理システム、企業文化などについては、企業が積極的に情報発信しコミュニケーションしていかないと、多くの人々が知るところにはなりません。企業内のほんとうの実態はどうであれ、「うちの会社はしっかりした管理システムに基づき、優秀な人材を確保し、こういうカルチャーでやっていますよ」と積極的にPRしていかなければ総合的な"ブランド力"は高まりはしないのです。そうした点で、日本企業はPR下手と言わざるを得ません。そもそも多くの日本人には「そこまで言わなくても、きっと分かってくれるだろう」という気持ちがあります。「優れた技術で良い製品を創れば、多くを語らなくても理解してもらえるはずだ」、「これだけたくさん中国に投資して、技術供与して、雇用を創出しているのだから、中国の人もきっと分かってくれる。何も企業側から積極的に発信する必要はないだろう....」などなど、謙虚さは日本民族の誇りであるとも感じます。しかし、こうした考えは中国では通用しないと考えたほうが良いでしょう。多くの日本企業が中国社会に貢献しつつ"尊敬"されていないのは、こうした努力が理解されていないからです。積極的に情報発信しないので、揚げ足を取られて批判に曝されたりすると防御に回らざるを得ず、いくら頑張っていても"尊敬"されずにいるのです。ただし、積極的な情報発信やコミュニケーションとは、広告をたくさん出すとか新製品の発表会を大々的にやる、と言うことだけではありません。企業の内面を理想的に伝わる方法で日常的に発信していくと言うことだと思います。"尊敬番付"の中で、一般に知られている企業イメージと企業管理の実態がとてつもなくかけ離れている中国企業を私は知っています。でもその企業は、アピールの仕方がたいへんお上手なので、批判に曝されることも少ないのです。"嘘も方便"とまでは言いませんが、中国では遠慮していてもあまり"尊敬"はされません。"日本企業が積極的に行動すると中国ではスグに批難の対象になる"と言う持論と矛盾するようですが、決してそうではありません。日本企業が中国で日常的なコミュニケーションやPR(パブリック・リレーション)を怠っているので、何か派手にコトを起こすと揚げ足を取られる、と言うことなのです。広告の大量出稿の見返りに、"提灯記事"を載せてくれるのは日本のマスコミくらいです。これは日本の企業に限ったことではありません。例のODAのことにしても、多くの中国人は知りません。施しを受けている中国政府が積極的に自国人民に伝えたりするわけが無いのですから、日本が積極的にコミュニケーションしていかなければ、"感謝"などされようが無いのです。日本の国家そのものについても、これはあてはまります。
2005.02.03
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日本のお役所絡みの独立法人の方が、日本に関わるある事業のPR用"マーク"のデザインについて、相談に来られました。その事業は既に世界各地で展開していて、中国でも始めることになったのですが、もともと世界共通でデザインされたその事業のPR用"マーク"が「日の丸」を連想させるかもしれない、とおっしゃいます。白地に真っ赤な丸をフィーチャーしたその"マーク"はどう見ても「日の丸」をアレンジしてデザインしたものでした。その独立法人の方は、中国の反日主義者の批判に曝されるのではないか、と心配しているご様子です。以前、趙薇という私の大好きな中国の女優が旭日旗をイメージさせる衣装をまとって登場し、中国で大顰蹙を買ったことがあります。最近では、イギリスの王子さまがナチスを連想させる仮装で遊びに出かけ、ヨーロッパを中心に批難に曝されました。国旗のように国体や主義を象徴するようなデザイン・モチーフは、トラブルメーカーであることは確かです。しかし、60年も70年も前の過去の、しかも現代史において既に”悪"と評価の固まった大日本帝国やナチスを象徴するものならまだしも、現状立派な独立国である日本国の国旗「日の丸」をフィーチャーしたデザインが、何で批判の対象になったりするのか、なぜそんな心配をしなければならないのか、ほんとに不思議です。しかし中国では、その独立法人の方のような心配は、決して過敏なものではありません。とは言え、その方は世界中で使用されているこの"マーク"をできることなら中国でも使用したいと願っていて、私の同調を期待しているようでした。「この丸が赤いか、『日の丸』に見えちゃうので、中国だけ別な色にすれば、大丈夫じゃないでしょうか..」「この事業は、元来日本に好感を持つ外国人向けですから、批判するような人はいないと思うんですが....」と、その方。でも私は、「懸念が少しでも残るのでしたら、その"マーク"は使わないほうがいいでしょう。」と同調しませんでした。その事業が親日派向けのものであっても、中国でその"マーク"を使ってPRしていく以上、反日派が目にする可能性があるわけです。親日派の支持を受けている日本ブランドの製品にケチをつけるのは、購入する気もない反日派の中国人だったりします。「日の丸」を赤から青に変えたくらいで、言いがかりをつける人はいるでしょう。この事業の場合、日本のことに"言いがかり"をつけたいと思っている中国人に、「これは日の丸だぁ」と思われたら時点でアウトです。反日派の批判に曝されるのではないか、と少しでも心配するのであれば、徹底的に対策を講じたほうが良いに決まっています。悪い予感は案外当たったりします。中国だけ、まるっきり別なモチーフからデザインし直せば、いいじゃありませんか。北京エリアで展開する牛丼の「吉野家」が、最近販促物に中国国旗の5つの黄色い星をモチーフとしたデザインを利用したとして、批難に曝されました。この会社自体、日本の本家とは資本関係が無いのですが、気の毒なことに日本ブランドということで、反日派の標的になってしまいました。そうそう、北京ではいまでも「吉野家」の牛丼が食べれます。日本から出張で来た同僚は、北京滞在中の全昼食を「吉牛」で済ませていました。中国では、中国の地図や国旗を広告や販促物に利用するのはご法度です。また、日本の国旗も十分注意が必要です。利用する側が十分アレンジして、「そんな風には見えないだろう」と思っていても、13億の中国人の誰かが「そう見える」と思ったら、反日世論に火をつけることになりかねません。そして、ブランドに傷がついてしまうのです。理不尽だと思っても、気をつけることに越したことはありません。
2005.02.02
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