「ザ・サーチ ― グーグルが世界を変えた」 ジョン・バッテル,中谷和男訳 2005-11-28 日経BP社;日経BP出版センター 437p
ちょっと
気になっていた本
ではあった
437Pになんなんとする本著を読んでいて、途中からふと気がついたことがある。Linuxという単語がでてこないのである。「ウェブ進化論」を読んでいた時、「これからの本当の大変化」の大要素のひとつはLinuxなどのもたらしたチープ革命である、と確信した。だから本著においてもLinuxが主要な部分に登場するものと思っていたら、アテがはずれた。結局400pを超えたところで、一回だけその単語はでてきた。
「ウェブ進化論」を読んでいた時に、その著者の「楽天主義」に対して、私は「ペシミズム」をあえて対峙させてみたが、この「ザ・サーチ」を読むと、漫然とした私のペシミズムにも、決して妥当性がないわけでもないことがわかった。
たしかに時代はGoogleの優位性に目を奪われている。そしてまたGoogleだからこそできている部分も多い。しかし、その光と影から、目を離すわけには行かない。
本著の著者は、かつてWYSIWYG(ウィジウィグ)などの開発に関わったこともあり、しかも、そのビジネスは必ずしも「成功」したものではなかった。だから、「ウェブ進化論」の梅田望夫氏のような、極端な「楽天主義」をとらない。影を影として見つめる。
プライバシーや個人情報の取り扱いについては、わが保険業界でも相当にうるさく喧伝され、慎重のうえにも慎重な対応を迫られている。数年内(07年10月より)にはわが業務のコンピュータ・システムも、ついに「あっち側」で管理されそうな勢いである。時代の流れは激しい。
GoogleやSNSとしてのOrkut、Gmailなどは、かなり横紙破り的に未開地を突き進んでいるようだ。「邪悪なことはしない」というのがGoogleのモットーだとしても、いずれ邪悪なものの手に、その情報が渡らないとも限らない。
そのような危険性とうらはらながら、やはり時代の寵児であるGoogleには、まだ限りない夢と希望がある。
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