地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2008.03.08
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カテゴリ: スピノザ


「フッサール起源への哲学」
斎藤慶典 2002/5 講談社 全集・双書 302p
Vol.2 No.0010 ★★★☆☆

そしてご覧のとおり、この問いから彼が解放されることはなかった。すなわち、この問いに解答が与えられたわけではなかった。あえて言えば、この問いには答えがないこと、したがってそれは解体されねばならないこと、ただこのことを示すことにのみ、哲学者の一生は費やされるのである。それも、わずかひとつの問いに対して、である。だがそもそも、一人の人間が一生かけても付き合いきれない問いなど、あったとしてもせいぜいひとつが関の山ではないのか。たいていの場合、その「ひとつ」さえ出会うことなしに、無事に一生が経過するのである。幸いなことに、と言うべきか。あるいは私たちは、すでにどこかでそれに出会ってしまっているのだが、知らないふりしているのである。その方が楽だからである。しかもその方が有益ですらあるのだ。一生かけて付き合って、しかもそれは答えのない問いだったなんて、途方もない「無駄」ではないか。そんなもの付き合うエネルギーがあるのなら、もっと有益なことにそれを振り向けるべきではないのか。世界にはいくらでも、あなたのそうした有益な行ないを必要としている人たちがいるのだ。

 Oshoがどこかで言っていた、 「月のない夜に、窓のない家の中にいて、目の見えない人が、その部屋にいない、黒い猫を探している。」 という、現代哲学を評した言葉を思い出す。

 フッサール、という名前を通り過ぎることはできるし、通り過ぎて何年も来てしまっているのだ。10代でその名を聞いてからすでに30年以上の時間が経過している。このままこの人の哲学とやらを知らないでも、何の不足もなくこちらの人生はすぎるのだろう。しかし、やはり、なんだか、くやしい。フッサールや現象学、とやらを、なにはともあれ、一度は噛り付くことも必要なのではないだろうか。

正論である。だが、その正論が通じない一握りの人たちがいるのだ。通じるも通じるないも、その無益な「問い」の方が彼/彼女を捕まえて放さないのである。その「問い」に否応なしに向き合うことでしか生きていけない人たちが、本当に存在するのだ。ということは、この「問い」に向かい合うことの中から、彼ら/彼女らは生きる養分を得ているのである。すなわち、それを「享受」しているのである。そんな人生は、繰り返せば、たしかに途方もない「無駄」である。そんな生き方には何の価値もない。そのような人は、いてもいなくてもよい。いや、いない方がよっぽど清々する。ごもっとも、である。 p291

木田元 も、「そんなふうにわけの分らないものだと思いながら、哲学に関心がある、心惹かれる人は予想外に多い。それが百人に一人か千人に一人かはうまく言えないが、いつの時代にも哲学に関心をもつ人は必ずいるのである。」てなことを言っていた。

だが、ひょっとしてこの「無駄」は、そもそも私たちのこの現実が「現象する」ことの中に孕まれていた「余剰」と同じものではないのか。世界は現象することも、しないこともできたのではなかったか。別に、世界が現象することの方が、現象しなことよりも「有益」であったわけではなかったのではないか。そして、有益なことも、そうでないことも、すべてはこの「現象する」ことから始まっていたのではなかったか。すべてはこの「現象する」ことの「享受」だったのではないか。これが、私たちの世界の「起源」が「無い」ということ、なぜか世界はその根本において、現に在るとおりのものとしていつもすでに「受け取られて」しまっていることにほかならなかったはずである。そうであればこの「無駄」は、私たちの現実の隅々を充たし、それを成り立たせている態のものなのである。 p298

 老子の「無用の用」を思い出した。

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Last updated  2008.03.24 05:24:31
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