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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2016.12.17
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カテゴリ: 経済・ビジネス
​ なぜ巨大組織の不祥事が続くのか。
 その謎に挑むのが本著である。
 第1部は「軋む巨体8つの失敗を解く」として、
 その実例が示される。

 理研、マクドナルド、代ゼミ、ベネッセ、
 東洋ゴム、ロッテ、三井不動産、化血研。
 いずれも、問題発生時には新聞の一面、
 TVでもトップニュースとなったものばかり。


とても分かりやすい。
リアルタイムでニュースを追っていた時には気付かなかったことも、
丁寧に解説してくれている。

   ***

東洋ゴム会長・信木明が、免震ゴム性能データ偽装事件に際し、
長野市長・加藤久雄の元に謝罪、説明にやって来た。
信木は「責任を持って対応する」と繰り返すばかりで、
原因や具体的な対策は出てこなかった。

かつて、地元建設会社の経営をしていた加藤は、
小学校の工事で、従業員がコンクリート材料を間違えて作業した際、
本人が夕刻にそのことに気づき、総出で工事をやり直した経験がある。


  「どんな組織でもミスは出てくる。
   トップはそれを吸い上げて、
   全員で助け合う雰囲気を作らなければならない。」(p.110)

加藤の言葉は、危機対応の基本を的確に述べている。

   ***


これまでに読んだ 関連書 では分からなかった背景を
本著によって知ることが出来た。
ただ、もう一歩踏み込んでくれれば、よりスッキリしたとは思う。

第2部は「失敗の系譜 巨体を蝕む6つの病」として、
巨大企業の失敗の要因を探っていく。
その膨張期には、肥満化・迷宮化・官僚化が、
そして、維持期にはムラ化・独善化・恐竜化があるとする。

こちらについても、
EIE、長銀、アムウェイ、そごう、雪印乳業、郵政、道路公団、
武富士、カネボウ、JR西日本、日本航空、GMを例に述べられていく。
第1部同様、読みごたえがある。

   ***

2001年にUSJがオープンした際、
JR西日本は、大阪駅からユニバーサルシティ駅へ直通列車を計画。
「10分運行」を目指して、途中駅の停車時間を20秒から15秒に短縮したり、
「ドアが閉まります」のアナウンス前のブザー音を省略したりする。

これらによって、運行時間はそれまでの12分から10分台にまで短縮される。
そんな限界への最後の砦は、現場社員の技量頼みとなった。
高速化と増便という戦術を推進するためには、とにかく予定ダイヤを順守。
現場は、技量ぎりぎりにまで追いつめられていく。

  「時速120キロで走っていって、短時間に50キロも速度を落とす。
   そんな離れ業は、ベテラン運転士ならともかく、
   経験11カ月の若手にできるはずがない」。
  ある私鉄の鉄道事業本部長は、事故の報道を聞き、驚愕したという。(p.246)

  「下の部分(線路や路線)が改良されていないのに、
   上の部分(車両)だけが高速化されてしまった」
   (元鉄道総合技術研究所主任研究員の芳賀繁・立教大学教授)(中略)
  「極端に言えば、F1マシンで田舎道を走るようなもの。
   高い性能を発揮すると危険な状態に陥る」(鉄道関係者)にもかかわらず、
  JR西日本は、ローカル線時代の貧弱なインフラに大きく手をつけず、
  高速化と増便を押し進めてきた。
  この転換なくして、事故は避けられない結末だった。(p.243)

   ***

20世紀型を極めた超高速調理や世界統一接客マネジメントが、
逆に足かせとなっている。
このマクドナルドに関する記述も、たいへん印象深いものだった。

  あまりにも完璧に作り上げられたシステムは、
  違うベクトルに調整することを許さない。(p.277)

著者が言うように、
「20世紀=大企業時代」は、このまま終焉を迎えてしまうのだろうか。





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Last updated  2016.12.17 12:13:34コメント(0) | コメントを書く


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