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盲目の少女とその母の愛に満ち溢れたお話、と思いきや…… この先、どうやって生きていけばいいのだろう。 クロウタドリは歌うのをやめ、 とわの庭の友人たちも、完全に口を噤んでしまった。 それに母さんは、もう二度とここへは帰らないだろう。 あの揺れが、わたしにそのことを教えてくれた。 わたしは、決定的な事実を突きつけられた。(p.128)裸足のまま、扉を開けて、外へと出たとわは、自分の足で、ゆっくりと前へ歩き始める。児童養護施設に保護されてスズちゃんと出会い、自身の出自や母親、二人の兄、オットさんのことも明らかに。そして、田中十和子として、グループホームから1年間特別支援学校に通った後、自立支援ホームでの暮らしを経て自分の家へと戻ることに。そこでは盲導犬・ジョイとの生活が始まり、ピアニストのシミズマリや付き添いボランティアのリヒト、思い出の写真館の店主らとの出会いが待っていました。とっても小川糸さんらしい作品、でした。
2023.10.29
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「漢方薬局てんぐさ堂の事件簿」シリーズがスタート。 「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズ(4)に登場するやいなや、 圧倒的存在感を示した花織の元同僚・宇月啓介(36)がメインキャラを務めます。 爽太に当たるポジションを務めるのは、てんぐさ堂専務・天草奈津美(27)。 ***第1話「漢方薬入門」では、出版社に勤務し、編集の仕事に携わる加納有紀(32)が、男性作家から『大麻解禁が日本を救う・超高齢社会への処方箋』の企画を受け取った後、てんぐさ堂に立ち寄って、宇月から漢方薬に関する基本的な知識を指南してもらいます。しかし、彼女が手にした企画資料の中には、大麻が入った茶封筒がはさまれていました。 第2話「夏梅の実る頃」では、70歳を過ぎた箕輪京子がドングリが苦手な理由を宇月に吐露。それは、かつて祖父の病気に効くと手渡されたお菓子の空き箱の中に、大量のドングリと共に小さな黒い虫が入っていたからでしたが、彼女はそれが悪戯だったと言い切れないと言います。宇月は、それがドングリではなくマタタビであったことと共に、京子の記憶違いにも気付きます。第3話「ノーテイスト・ノーライフ」では、匂いと味を感じなくなった大久保友梨亜(23)が、てんぐさ堂で処方された漢方薬を飲み始めるも、リコリス菓子も食べるようになっていきます。そのことを本人から聞かされながら、宇月に指摘されるまで危険性に気付けなかった奈津美は、宇月と共に友梨亜の家へとタクシーで向かったのでした。第4話「長男の務め」は、宇月のカウンセリングを受けた川島浩一郎(57)が、実家で一人暮らしをする父親の介護や遺言状を巡って弟妹と対立するお話。父親から自身の認知機能が進んだ時には、長男の務めを果たすよう言われた川島に、宇月は、今の時代の長男の務めについて助言したのでした。 ***シリーズのスタートということもあって、今巻は、宇月が大学生の頃に同級生の恋人に毒を飲まされて体の一部に麻痺が残った経緯や、奈津美の祖父がてんぐさ堂を開局してから、現在に至るまでの紆余曲折も記されています。武史がてんぐさ堂に復帰、奈津美が薬剤師の国家試験にまた挑戦する日は訪れるのでしょうか?
2023.10.29
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今回も予告通り、前巻発行から半年での新刊発行。 今巻は、製薬会社工場での火災を契機とする医薬品供給不足を軸にお話が展開。 第51話「供給不足」では、羽倉がDI(医薬品情報)室のヘルプに入り、 そこで積極的に行動しながら、今後の自身の進路を見極めようとする。 第52話「信頼関係」では、IBS(過敏性腸症候群)で通院する名波が、 これまで処方されてきたメペンゾラートが欠品で、別の薬を処方されたことから体調が悪化。 さらに、交際する女性の両親からIBSを理由に結婚を反対されたことで救急搬送されてしまう。 担当医の本間は、元の薬を取り寄せられないかとDI室に相談するも、羽倉は不可能と返答。 そのやりとりを見た穂上は、プラセボ薬を提案すべく羽倉と共に本間のいる部屋へと出向く。 後日、退院する名波と本間の対話を目にした羽倉は、自身の視野の狭さに気付いたのだった。第53話「第二世代」では、供給不足でアレグラを2週間分しか処方してもらえなかった藤原が、それは薬局でも購入可能と聞かされ服用を続けるも、物忘れや仕事のミスが増えてしまう。検査を受けても、特に所見のつかなかった藤原だったが、葵は、それが抗ヒスタミン剤の影響による「インペアード・パフォーマンス」だと気付く。第54話「3年目の終わり」と第55話「反省」では、ITP(特発性血小板減少性紫斑症)の疑いで入院した10歳の黒沢美空が、周囲に気を使い、早く退院したくて「体調が良い」と噓をついていたことが判明。退院後も母親による行動制限や過干渉が懸念されるため、担当医は母親に行動の改善を促す。一方、葵は自身の行動を反省すると共に、「小児薬物療法認定薬剤師」応募を決意する。 ***来年4月に発売予定の第12巻では、在宅薬剤師となった小野塚が、以前勤務していたドラッグストアで見過ごしていた統合失調症の患者家族に遭遇することに。これが、第54話の予防接種講座打合せでの葵への八つ当たりに繋がったのでしょうか。その辺りが明らかになることを信じて、また半年待ちましょう。
2023.10.22
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数多くの文豪が代表作を発表してきた文芸一筋の老舗・鳳雛社(ほうすうしゃ)。 その編集者・岡田眞博から執筆依頼を受けた李奈は、純文学に挑戦することに。 しかし、提出した『十六夜月』の原稿は、物語の終盤を変更するよう求められる。 やり手の副編集長・宗武義男が、喪失を描く結末を望んでいると言うのだ。 鳳雛社はここ数年ミリオンセラーを連発していたが、 その大半が、主人公が死んで幕を閉じるお話。 あらゆる文学賞を総なめにした最新ミリオンセラー・飯星佑一の『涙よ海になれ』も同様で、 自作の結末変更について譲ることが出来ない李奈は、鳳雛社での出版を断念する。そんな李奈に、宗武は小説『インタラプト』の元原稿を渡し、続きを執筆するよう依頼。それは、鳳雛社文芸第一部を舞台とするノンフィクションで、岡田が暴走する様が記されていた。李奈は、宗武の依頼には乗り気でなかったものの、岡田と飯星の間に起こったことが気になり、関係者たちを訪ね、『インタラプト』に記されていた内容について取材を進めていく。やがて、飯星の新作原稿データを盗みだした岡田が警察に連行されたものの、PCは初期化され、李奈たちが見つけたSDカードやUSBメモリも破壊されてしまっていた。飯星がデータ復元会社にPCを持ち込む最中、警察からの電話を受けた宗武は車を走らせるが、ガードレールを突き破って河川敷へと転落してしまうのだった。 ***宗武の行方は不明のまま、そこに、ちびっこ速読会でのトラブルやアパートの賃貸問題等が絡んで、事件は混沌としていきます。しかし、最後には李奈が次々に事の真相を明らかにしていくことに。 「竹芝までは電車で2時間かかったんですよ。クルマでもそれより早くは着けません」 「じつはウイングスーツでムササビのように飛ぶ競技のアスリートではないですか? それなら竹芝まで時速300キロで8分……」(p.225)これは、自身のアリバイについて述べる飯星に対し、『インタラプト』の元原稿を書いた白濱瑠璃が問い返した場面。『高校事変Ⅱ』で、結衣が横浜ランドマークタワーからダイビングしたことを想起させる言葉に、松岡作品の愛読者なら、思わずにんまりしてしまうシーンでした。 「抵抗の意志は純文学以外のジャンルにひろがったんです。 人の死なないミステリが同時多発的に生まれました。 すべてが定石とは逆。どれも本業の探偵ではない、男性ではなく女性が主人公で、 犯罪捜査以外の知識を発揮し、誰ひとり命を落とさない世界での推理劇を描いた」(p.269)本著の副題は「人の死なないミステリ」。Qシリーズのキャッチフレーズは「面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ」。p.268から李奈が語る、平成10年代前半以降のブームについての言葉には、色々なことが思い出され、「そうだったのか」と納得させられました。
2023.10.22
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どんなお話か全く知らないまま読み始めました。 スタートは、タイトルに即したお話から始まりましたが、 しばらくすると、全く予想していなかった展開に。 主人公は小学校教員となり、やがて学級崩壊に苦悩する状況に陥ります。 校内の誰にも相談できず、気付いてもらえず(本当は気付いていたでしょう)、 高校教員である夫にも、相談できず、気付いてもらえず、まさに最悪のパターン。 夫が気付かなかった理由は、後半で明らかとなり、色々と納得させられますが、 主人公に対しては「よく踏みとどまった」と共に「何でそうなるの?」という思い。子供が生まれないこと、いないことに対し、家族や世間からプレッシャーを受けながら、夫婦が子供を産もうと努力を重ね、遂に断念していく過程は、本当に痛々しいもの。さらには、夫までも精神科へ通うこととなり、主人公は自らの体験を生かしそれを支えます。そんな中、母親の態度が穏やかになっていったことだけが救いでした。
2023.10.15
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『空気を読む脳』や『人は、なぜ他人を許せないのか?』とは明らかに違う。 何が違うかと言うと、中野信子さんの人となりがダイレクトに伝わって来る。 『なんで家族を続けるの?』や『不倫と正義』等の対談集と比べても、 本著は、それ以上に中野信子さんの人となりが伝わって来る。 こんなに自分の本性をさらけ出してもいいものかと心配になるほど、 本著からは、中野信子さんの人となりが伝わって来る。 メディアへの露出も半端ないので、放っておいてもそれは滲み出してしまうけれど、 本著を読んでイメージが変わったという人も、少なくないのではないかと思う。 *** こうして、人間は実際にはかなり限定的な情報源をもとに、 その小さな情報圏内で、確信的文脈を形成してしまう。 なんとも残念な脳であるとも見える。(p.66)とても示唆に富んだ文章。「限定的な情報源」「小さな情報圏内」であるにも関わらず、全てを知っている、分かっているような気になって「確信的文脈を形成」してしまう。そうなりがちだということを常に念頭に置いて、発言・行動したい。 人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人といった、分かりやすい攻撃対象を見つけ、 罰することに快感を覚えるようにできている。 他者に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、 快楽物質であるドーパミンが放出される。 この快楽にハマってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、 罰する対象を常に探し求め、決して人を許さないようになっていくのだ。 こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、 いわば「正義中毒」と呼んでいる。 この認知構造は、依存症とほとんど同じだからである。(p.106)まさに、情報化が進んだ現代社会の大きな課題。それはローカルな社会でも、ワールドワイドな社会でも同様。昨今、世の中を賑わせているトピックスに対するムーブメントの多くが、この「正義中毒」を背景にして形成されているような気がしてならない。
2023.10.15
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パリ8区にある小規模なオークション会社に勤務しながら ゴッホとゴーギャンを中心に19世紀のフランス絵画史研究を続ける高遠冴。 そこに50代の女性が現れ、ゴッホを撃ち抜いたという一丁の拳銃を持ち込むと、 その真贋を明らかにすべく、冴はゴッホに関わる場所を次々に訪れることに。 ***本作は、オーヴェールの畑で見つかったリボルバーとゴッホ他殺説を主軸に据え、ゴッホとゴーギャン、さらにゴッホの弟・テオとの交流の日々を丁寧に描きつつ、そこにタヒチの少女を絡めることで、極上のミステリーに仕上げています。最後に明かされる、このお話の鍵を握っていた人物には、誰もが驚かされることでしょう。ゴッホとテオの二人は、『たゆたえども沈まず』でも描かれていましたが、本作では、そこにゴーギャンが加わることで、より立体的な仕上がりになっています。
2023.10.15
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『TVアニメ放送開始! 2023年10月21日より日本テレビ系にてOA』 帯に踊る文字に、否が応でも期待が高まります。 しかしながら、放送開始時刻は何と25:05! さらに、初回3話一挙放送とのことですので、心してその時に備えましょう。 ***燕燕は、姚に趣味の悪い恋文をよこしてきた男に対し、迷惑行為をやめるよう直談判すべく猫猫を誘って、皇帝に一文字賜った一族同士が集う名持ちの会合へと向かいます。恋文の送り主は辰の一族の男で、その一族は40年ほど前に家宝がなくなったことにより、里樹元妃の実家・卯の一族と先代当主同士が大喧嘩をし、以来不仲となっていました。猫猫は、両家を仲直りさせ、卯の一族の力を回復させようと目論む羅半と共に密談部屋に入り、消えた家宝について説明する辰の一族の大奥様に、事の真相を吐露させることに成功します。すると、羅半の合図で卯の一族の当主が現れ、辰の大奥様に黄金の龍の置物を返却。遅れて宴会場に現れた恋文男は、羅半兄との決闘に敗れ、姚のことを諦めることになりました。一方、卯の一族の当主に馬閃を紹介したい麻美は、猫猫に里樹の後宮での様子を語らせた上で、当主に縁談を持ち掛けますが、当主は卯の一族の現在の苦境を仄めかせ、即答を避けたのでした。名持ちの会合を終えた猫猫を、次に待ち受けていたのは緑青館の強盗騒ぎ。女華の部屋にあった組木細工のからくり箱が盗まれましたが、翡翠牌は無事でした。猫猫は緑青館のあちこちを見て回り、盗人と共謀したのが梓琳姉だと見抜きます。そして、女華から預かった翡翠牌を壬氏に見せ、本来の持ち主を調べてもらうことに。猫猫が新たに配属された武官の修練場近くの医務室には、最近多くの怪我人が訪れるように。その背景には、皇后派と皇太后派の派閥争いがありました。猫猫は、恋文男・憂炎と決闘して怪我を負わせた馬閃に事情を聞くため修練場に行った後、新人官女・妤の求めで花街へと同行し、彼女に疱瘡の処置をした克用との再会に立ち会います。さらに、皇太后派の若者が集う狩猟場に、李医官、天祐と共に出向くと、そこで壬氏に遭遇。壬氏から翡翠牌が元皇族で伝説の医者である『華陀』の物だと考えられると知らされます。壬氏は、猫猫から天祐も華陀の末裔で、彼の故郷がこの周辺であると教えられると翡翠牌の半分を所持していた天祐の父を、賊として排除しようとしていた憂炎を一刀両断。その後、天祐の父が、翡翠牌が二つに割られた経緯や『華陀の書』の隠し場所について語ると、猫猫がその家宝の在処に見当をつけ、無事見つけ出すことに成功したのでした。一方、雀は今回の若い武官たちの一連の動きを誘導したのが卯純であると見抜き、修練場で本人にそのことを確認すると、自分の後継者になるよう持ち掛けたのでした。
2023.10.08
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2年前の2009年にリリースされた「スピラ」という名のSNS。 それを運営する株式会社スピラリンクスが、満を持して新卒総合職の採用を開始、 初任給50万円ということもあって、採用枠若干名に5000人超が応募。 最終選考のグループディスカッションは、1か月後の4月27日に行われることに。 九賀蒼汰(慶応大)、袴田亮(明治大)、矢代つばさ(お茶の水女子大)、 嶌衣織(早稲田大)、波多野祥吾(立教大)、そして森久保公彦(一橋大)の6人は、 当初、全員内定もあり得るので今後1カ月で最高のチームを作り上げるよう求められるが、 その後、議論の中で選出された1名だけに内定を出すことに変更になったと通知される。最終選考当日、6人は2時間30分のディスカッションの冒頭と以後30分ごとに計6回投票し、得票数合計が最多の者を内定者とすることで合意するが、途中で白い封筒の存在に気付く。封筒の中には、参加する6名が個々に用いることを指定した少し小さな封筒が入っていたが、その小さな封筒の中には、6名個々にとってそれぞれに不都合な情報が記されていた。他人に知られたくない過去の秘密が次々に暴露されていき、それは投票結果を大きく左右。そして2時間30分後、一人の内定者が選出されたのだった。2019年、スピラリンクスに勤務するその人物は、封筒の犯人を改めて捜し始める。その中で、思いもよらなかった事実が次第に明らかになっていくのだった。 ***巻末の瀧井朝世さんによる「解説」が秀逸。 他者の言動のひとつをピックアップして、 その表面だけを見てジャッジすることなんてできない、 ということを体感したのではないか。 翻って考えてみると、私たちは日々、たとえばSNSで偶然見かけた人に対し、 じっくりと検証することなく「どう評価するか」、 もっというならば、「その人を信頼するか」「その人を否定するか」を 決めてはいないだろうか。 しかし人間は、すべてが善良で正しい人と すべてが極悪で間違っている人に振り分けられるわけではないのだ。(p.356)映画化が決定したとのことですが、この作品は「叙述トリック」を用いた作品なので、そのあたりをどのようにするのかも見ものですね。
2023.10.07
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久し振りに亜樹凪が復学した日暮里高校2学期始業式に、爆破予告声明文が届く。 しかし、瑠那と凜香、蓮實により起爆は阻止され、故尾原文科大臣の画策は失敗。 これを受け、EL累次体の主要メンバーとなった藤蔭覚造新文科大臣は、 JAXAの国産ロケット打ち上げを利用し瑠那と凜香の抹殺を謀るが、これも失敗。 するとEL累次体は、産業スパイとみられる中国系正社員エンジニアの身柄を拘束。 中国連合参謀部参謀長ハン・シャウテンと共謀し、核爆弾搭載人工衛星の制御力奪取を目指す。 さらに、日暮里高校の防災訓練を利用して全生徒と教員、そして凜香と蓮實の拘束にも成功。 神社や自宅まで焼失させられてしまった瑠那の前に結衣が現れ、「究極の細菌兵器」を託す。 *** 瑠那は足をとめ振りかえった。 五十代前半、丸々と太った米熊亮平教諭が、メガネを曇らせながら駆けてきた。 用件なら見当がつく。瑠那は戸惑いがちに挨拶した。 「どうも。米熊先生……」 「こんな日に済まない。入部の件、考えてくれたかな」 「いえ……。きょうはいろいろ慌ただしかったので」 凜香が聞いた。 「米熊先生って、演劇部の顧問だろ?」(p.56)何気ない高校生活の一コマかと思われたこのシーンですが、実に重要な意味を持っていました。 教職員のひとりが女子生徒の死体に駆け寄った。 中年の男性教師は横たわる女子生徒の脈をとった。 血の気が引いた顔で教師がつぶやいた。 「ほんとうに死んでいる……」 ざわっとした驚きがひろがるなか、男性教師も発症した。 嘔吐のように濁った声を発し、肺に溜まった血を床に撒き散らした。(p.314)この瑠那の仕込みが、核戦争勃発阻止に繋がっていきます。もちろん、人工衛星のエンジニアと互角にやりとりする超人的能力あってのことですが。それにしても、結衣が活躍するシーンがだんだん増えてきましたね。これから、ますます楽しみです。
2023.10.07
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