読書日記blog

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2006.01.29
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カテゴリ: 教養・実用


光文社新書

下流社会

やはり意識のもち方は重要である。三浦氏が指摘する下流を要約して説明すると、人生への意欲が低く向上心のない人ということになる。

本書に疑問を呈する人は、今の社会はすでに階層化されており努力しても「上」にはいけないという諦めはやむをえない、との主張をするようである。
確かに努力が必ず実るわけではないのかもしれないが、努力せずに成功を勝ち得ることは絶対にありえない。下流であるから意欲を持てない、意欲が持てないから下流になる。これらはすでに表裏一体となってしまっている。しかし、どこかでこの悪循環を断ち切らなければいけない。意欲を持てない限り下流は下流のままで終わることは間違いないのである。

努力をしてその結果が出ずに意欲を失うというならばまだわかる。しかし、努力する気さえしないという忍耐力の欠如は問題である。私も、学習塾での講師の経験から、勉強の出来る奴出来ない奴の違いは勉強する意欲がある否かから生じている、ということを感じ取っている。これはやはり、勉強に限らずすべてのことに当てはまるようである。私も向上心を持って意欲的に物事に取り組まなければいけない。
しかし、すでに社会が豊かになってしまった先進国では怠けてもそれなりに生きていくことは出来るようになった。向上心が強くない人は、やはり安易な方向に流れてしまうだろう。これからの課題は、「怠けたい。現状でいいではないか」という甘えを如何に克服していくかとなるだろう。現状が維持できなくなってから、努力しておけばよかったと後悔したのでは、もう遅いのである。しかしどうも将来のことを考えないのが下流だそうだ。

コミュニケーションを苦手とし、人と交わるよりも一人でいることを好む。自分らしさを追求し、どこへも進めなくなる。本書で指摘されている下流像のうち印象的なものを挙げてみたが、いわれてみると確かにそのような人が増えているということはあちらこちらでよく聞く。
私の大学は、学力レベルはそう突出してよいわけではない中堅大学である。しかし、関西において企業からの受けはよいそうだ。実際、雑誌等に掲載されるランキングによると、大学の総合評価のランキングは偏差値の割にかなり上位にある。その結果はOB、OGの健闘によるところが大きいそうだが、我が大学の学生の特徴は、明るく元気で社交性がある。前向きに頑張ればそれなりに結果は出るのだろう。私も、前向きに頑張りたく思う。

第1章で提案される新たなビジネスモデルや、第2章で分析される階層化による消費者の分裂は、学生である私が読んでも非常に面白かった。
しかし、学生が本書を読む上での最大のポイントは、「下」にはなりたくない「上」を目指そう、と思わせるものを本書は秘めていることだ。大学の進路指導か何かで「フリーターやニートになっては駄目ですよ。いいところに就職しなさいね」といわれるよりも、本書を読んで価値観や生活スタイルに差がここまではっきりと存在するという事実をデータとして突きつけられたほうが、真面目に頑張ろうという意欲を持てるだろう。





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Last updated  2006.01.29 23:42:48
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