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2008.06.24
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カテゴリ: 映画/時代劇

「ギラギラ?」
「そう、抜き身みたいに。」
「抜き身?」
「あなたは鞘のない刀みたいな人。よく斬れます。でも本当にいい刀は鞘に入ってるもんですよ。」

やっぱり黒澤映画は文句なしにすばらしい。
観ていて全く飽きないし、時代劇にもかかわらず古臭さが感じられないから不思議だ。

バッサバッサと人を斬り殺していくシーンは、ややもすれば殺伐として味気ないものになってしまいがちなのに、途中、妙に育ちの良い城代家老の奥方やその娘などの穏やかな物言いが、作品をやわらかく上品なものに仕上げている。
入江たか子の格調高い雰囲気は、後光さえ射している。

そんなふうにたしなめられたら、どんな剣術士でもひるんでしまうに違いない。
椿三十郎も例外でなく、一騎当千の豪の者でありながら、城代家老の奥方には全く逆らえないから不思議だ。

深夜、朽ちた神社の社殿において、若き侍たちが人目を避けるようにして密談を交わしている。
そこへ、奥の部屋から大あくびをしながらのっそりと現れる浪人、椿三十郎。
若者たちは、自分たちの謀議を盗み聞きされたと、思わず息を呑む。
だが三十郎はそんな緊張感などどこ吹く風とばかりに、若者たちにボヤくようにしてアドバイスをする。
「菊井のほうこそ危ない」と。
若き侍たちは、次席家老の汚職を城代家老に相談したところ、全く相手にされず、対して大目付の菊井に話してみると、「共に立とう」との返答を受けていた。
しかし三十郎は言う。
物事は客観的に捉えていると、その本筋が見えてくるものだと。
若者たちは、三十郎をうさんくさく思いながらも、彼の手助けを受け、命がけで悪党に立ち向かってゆく。


主役然として媚がなく、へつらいもない。
堂々としていて、スター性に満ち溢れている。
また、この限られたスクリーンの中で、役者を多いに生かして撮影に臨んだ黒澤監督の見事な演出。
そして無駄のないセリフ。
「世界の黒澤」たるを見せつけられた、すばらしい日本映画なのだ。


【監督】黒澤明
【出演】三船敏郎、仲代達矢

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.06.24 19:42:39 コメントを書く
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