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2009.07.28
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カテゴリ: 映画/青春

「慶應義塾の小泉信三です」
「どういう・・・ご用件でしょうか?」
「実は、折り入ってのお願いなんです。ぜひとも飛田さんのお力をお借りしたいのです」

「なんでしょうか?」
「早慶戦をやりませんか?」

我々が当たり前のように観戦する野球は、その昔、敵国の国技であるとされ様々な場面で制限された。
利潤目的ではない大学野球でさえ、人ごみは敵の標的になりやすいという理由から、つかの間の楽しみは奪われていたのだ。
吟遊映人も含めてのことだが、戦後生まれの我々は、戦時下における言論統制や思想弾圧なんて、頭の片隅でちょこちょこっと想像してみる程度が関の山だ。

本作は、そんな厳しい社会情勢の中、学徒出陣を目前に控えた学生たちを慮り、“出陣学徒壮行早慶戦”と銘打って行なわれた最後の試合をモチーフにした作品なのだ。

太平洋戦争中、野球は敵国の国技だという理由で六大学野球は解散の憂き目に遭う。
戦争が激化する中、いよいよ学生たちも戦争に駆り出されることになった。
そんな折、学徒出陣を控える学生たちの思い出作りにと、慶應義塾大学学長の小泉信三が早稲田大学野球部顧問の飛田のもとに、「早慶戦をやりましょう」と申し込みにやって来るのだった。

早稲田と慶應、両大学の試合の何がそれほどまでに心を揺さぶられるのかと言えば、「もう二度と生きて野球をやれまい」とする学生たちの悲壮なる想いが込められているからだ。
好きな時に好きなだけスポーツを楽しめる現代では想像もつかない心情に駆られての試合であった。
戸塚球場において、慶應の小泉学長が座布団代わりに新聞紙をさりげなく敷くシーンが、なんとも紳士的であった。
さらに、試合後、両大学の応援団による力強いエール合戦はすばらしかった。
それを目にし、耳にした選手、そして聴衆は人目も憚らず滂沱として涙を流すのである。

この作品は、巷にあふれる単なる青春ドラマとは一線を画し、二度と繰り返してはならない戦争を糾弾した、最高の反戦映画なのだ。

2008年公開

【出演】渡辺大、柄本明、石坂浩二

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2009.07.28 06:47:59 コメントを書く
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