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2014.02.12
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【トレイター~大国の敵~】
20130110

「俺のひと声で50人は動く」
「お前のために? 命を賭けて? 誰が?・・・俺の同胞に手を出したら命はないと思え」


本作「トレイター」は、正直なところ娯楽性には欠けるかもしれない。
ドキドキハラハラするような刺激的アクションもなければ、謎解きらしいミステリアスな部分もさほどないからだ。
じゃあ一体何をテーマにしているのかと問われれば、これはあくまでも吟遊映人の独断と偏見だが、共存・共栄の精神を訴えかけているような気がしてならない。
なにしろアメリカという国は、多種多様な民族がひしめき合う国土であり、そのせいで信仰する宗教も思想も相応に異なるわけだ。
世の中には過激な思想を持っている族(やから)も少なからずいて、自らの信じる神以外の宗教を弾圧し、果ては抹殺を企てたりするのだから手に負えない。
正義のためなら多少の犠牲も厭わない、という大義名分の下にテロが横行したりする。

テロリストなりの正義というものが存在するのだから、一体何が正義なのか計り知れない。
そんな中、様々な主義と思想の統一を計るのではなく、お互いが独立したものとして捉えることにより、共存していこうではないかという主張、それこそが本作のテーマではなかろうか。

中東のイエメンにおいて、元軍人で爆弾技術者であるサミールは、投獄されていた。

ある日、刑務所内で爆弾が爆発し、そのどさくさに紛れてサミールらは脱獄を計る。
脱獄に成功したサミールは、オマールのテロ組織の一員となり、プラスチック爆弾を設計するのだった。

サミール役のドン・チードルは、「オーシャンズ」シリーズにも出演しており、その陽気で愉快な役柄のせいか、本作では余りのシリアスなキャスティングに驚いた。
そのギャップと言ったら天と地ほどの差があり、だがそれゆえに演じる役者さんにとってはやりがいのある仕事だったのではなかろうか。
真摯に取組むドン・チードルの演技は、見事であった。
作中、サミールとつかの間の友情に花を咲かせるオマール役のサイード・タグマウイは、どこからどう見てもイスラエル人(?)なのだが、実は列記としたフランス人である。
彼の巧みな英語は、日本人である吟遊映人には、フランス訛りかどうかなんて分かるはずもない。
本作は、主義・思想に囚われることなく、平凡な日常生活を送ることが何よりなのだと、改めて思い知らせてくれる。
そして、他者を理解しないまでも互いに並立し、共存するのが望ましいのだと訴えかけているのだ。

2009年(米)公開 ※日本では劇場未公開
【監督】ジェフリー・ナックマノフ


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最終更新日  2014.02.12 06:00:25
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