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2014.03.07
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【アンダーカヴァー】
20130226

「少しは眠れたか?」
「・・・父さんは?」
「(父さんの)遺体を確認した」
「(号泣)親父が死ぬのを見たよ・・・」
「大丈夫だ・・・大丈夫だから」


80年代というと、日本でもバブルに沸いていた時代である。
猫も杓子も浮かれ騒いでいた半狂乱の歴史が刻まれてしまった。
一体あのころは何だったのだろう・・・?
今はただ、古き良き時代として記憶の片隅に追いやるしかない。
本作「アンダーカヴァー」も80年代後半が舞台となっており、ナイトクラブのむやみやたらな浮かれ騒ぎの一方で、陰鬱なコカイン製造過程やら、胡散臭いマフィアの連中が登場する。
物事には全て表裏があり、光と影が存在するということの証しなのか。
そんな中、優秀な兄を持ち、劣等意識に苛む主人公の心理描写はこの時代にピタリと当てはまり、暗く憂鬱なムードを効果的に反映させていた。
この比較対照こそが作品の完成度を高いものにしたと言っても過言ではないだろう。

1988年のN.Y.が舞台。


裏社会で暮らすボビーに、兄のジョゼフがマフィアの麻薬取締の件で協力を求める。
だがボビーは、ナイトクラブのオーナーである人物に恩義を感じていて、警察のイヌになるのはイヤだと断わる。
そんな中、麻薬取締班の指揮官である兄が、マフィアから銃撃を受ける。
さらにその後、父親までも危機が迫るのであった。

主人公のボビー役に扮したホアキン・フェニックスは、今は亡きリバー・フェニックスの弟である。
人相風体からはすぐに兄弟とは判断しづらいものの、両者とも実に味のある役者なのだ。

本作ボビーというキャラクターについても、内面に抱えるコンプレックスに苦悩しつつも、どこかで家族を愛してやまない優しい男として描かれている。
この役どころをホアキン・フェニックスは実に見事に演じており、型通りのサスペンスモノに終わらせず、一段高いヒューマン・ドラマへと転向させている。
80年代のニューヨークの香りをプンプンと漂わせる、質の高い作品なのだ。

2007年(米)、2008年(日)公開
【監督】ジェームズ・グレイ


20130124aisatsu





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最終更新日  2014.03.07 05:33:38
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