吟遊映人 【創作室 Y】

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2014.04.06
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【スルース】
20120412

「彼と会って二人で何をしたんだ?」
「ゲームをした。」
「ゲーム?」
「ナイフと銃のゲーム。」
「命懸けの?」
「ただの遊びだ。」
「(わかった)それがただの遊びだとして、彼が会いに来てゲームをした。ナイフと銃で銃声が3発、そして失踪・・・彼は今どこにいる!?」


冒頭から興味をそそられた。
そこかしこに取り付けられた監視カメラに映し出されるモニター画面。
玄関に入ると、無機質な現代アートで飾られたインテリア空間。
そこに独り住む初老の作家。
もうこの時点で英国の香りがプンプンして来る。
吟遊映人の眠っていたサスペンスに対する感性が、“ピクピク”とよみがえって来た。

このタッチは・・・そう、正にヒッチコック監督を彷彿とさせるものだった。
例えば「ロープ」では全編室内シーンで、犯罪が起こってそれを隠蔽し、さらにそれらを推理し暴いていく場面が全て同じ空間なのだ。
「バルカン超特急」ではそのタイトル通り、列車とサスペンスを結びつけた作品で、一部を除くほとんどのシーンが列車の中・・・という特殊な設定になっている。

バイオレンスとカーチェイスとFBIだけがサスペンスだと思ってはいけない。
閑話休題。
さて本作「スルース」は、ロンドン郊外の邸宅を舞台とし、出演者はわずか2人という動きの少ない空間の中でくり広げる、緻密で意外性のある設定となっている。

ロンドン郊外の豪邸に住む犯罪推理作家アンドリュー・ワイクのもとへ、妻の浮気相手マイロ・ティンドルが訪れる。
マイロはアンドリューに離婚するよう迫るが、アンドリューは首を縦に振らない。
そんな中、アンドリューはあることを提案する。
それは、100万ポンドの保険がかけられている高価なネックレスを、アンドリューの金庫から盗み出して欲しいと言うものだった。

イギリスの大物俳優二人が演技のバトルをくり広げるのだから、釘付けにならないわけがない!
ゲームを仕掛ける者、仕掛けられる者、甘い誘い、罠・・・それもこれも全て、引き金は“男の嫉妬”である。
マグマのようにどろどろとしたもの、つまり嫉妬が、感情を支配し続ける限り、ゲームセットはない。
カメラワーク、音楽、そしてセリフの言い回し、全てにおいて合格点である。


2008年公開
【監督】ケネス・ブラナー
【出演】マイケル・ケイン、ジュード・ロウ

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.04.06 06:18:14
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