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2014.09.14
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【シャッターアイランド】
20140914

「ここにいると考えるんだ」
「どんなことを?」
「どっちがマシだと思う? モンスターのまま生きるか、それとも善人として死ぬか、、、」


この作品が公開されたのは2010年のことなので、すでに4年も前の話である。
それにしても当時は、テレビCMでもバンバン放送されていたし、心理的に煽るような触れ込みでかなり話題になった。
私も気になって、一刻も早く見てみたかったのに、結局は今ごろとなってしまった。
巨匠マーティン・スコセッシ監督がメガホンを取ったというだけでも、期待外れなわけはありえないし、タッグを組んだのがレオナルド・ディカプリオということで、これはもう傑作に決まっている。
そしてその予想は、正に当たった。
この完成度の高さと言ったらない!
原作を読んでいないので、映画化に際して、どこが忠実でどこが脚色されているのか分からない。
だがこの作品にこのシナリオは全く申し分のない出来映えだと思った。

『シャッターアイランド』は、カテゴリ的にはスリラーサスペンス映画であろう。

スコセッシ監督作品の、これまでのテーマを覚えているだろうか?

テーマはズバリ、“罪深き人々の魂の救済”である。

『シャッターアイランド』についても、同様のテーマを感じ取ることができる。

ストーリーはこうだ。
1954年。連邦保安官のテディは、相棒のチャックとともにボストン沖の孤島にある、精神を病んだ犯罪者を収容する病院に捜査のためやって来た。
この病院からレイチェル・ソランドという女性患者が、隔離された病室からこつ然と姿を消してしまったため、その行方を追うためであった。
だがテディには、この収容施設に来た目的が他にもあった。
テディの妻は、放火犯による火災で亡くなっていたのだが、その放火犯レディスが、この病院に収容されていたので、亡き妻の復讐を遂げたいと企んでいた。
そんな中、失踪中のレイチェルが発見されたという知らせがあり、すぐに面会するものの、事件の真相にたどりつくことができず、テディは苛立ちを隠せないのだった。

◇ここからは、テーマに関する私なりの感想を述べて行くため、ラストにも触れさせて頂きます。

主人公のテディは、テディであってテディではない。

というのも、彼は過去に様々な罪を犯していた。
そんな自分を赦すことができず、架空のもう一人の自分を作り上げ、まじめで立派なテディという人物になりきっている。
彼こそ、このシャッターアイランドにおける患者で、二度とは島から出られることのない精神疾患者であった。

だが、ようやく狂気から目覚め、現実という壁に直面した時、改めて絶望の淵に追いやられてしまう。
たとえ正常な精神に戻ったとしても、常に過去の罪に苛まれ、苦悩し続けていかなければならないという現実。

それよりは、人が畏れて拒絶するロボトミー手術を受け入れることで、自分というものを完全に消し去ってしまいたい。
これこそが名俳優レオナルド・ディカプリオが、タバコをふかしながらさりげなく言ったセリフ、

「モンスターのまま生きるか、それとも善人として死ぬか」

の意味につながっていくものだと確信する。
映画のラストで、ロボトミー手術の行われるという灯台が映し出されてエンディングとなるのだが、これはおそらく、永遠から永遠に渡る人間の魂の救済を表現しているのかもしれない。
『シャッターアイランド』は、マーティン・スコセッシ監督の最高傑作と言っても過言ではない、見事な作品である。

2010年公開
【監督】マーティン・スコセッシ
【出演】レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ

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最終更新日  2014.09.14 05:59:33
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