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2014.09.21
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【THE GREY 凍える太陽】
20140921

「もう一度闘って 最強の敵を倒せたら その日に死んで 悔いはない。 その日に死んで 悔いはない」

久しぶりに文学の香りが漂う作品に出合った気がする。
一見、パニック・ホラーと見紛う内容だが、この作品は、生と死の狭間を表現したヒューマン・ドラマである。
生きるということは、死に直面するその瞬間まで生をあきらめない、それこそが実は美しい死に際であると、作品は訴えている。
というのも、吹雪のアラスカ山中に飛行機が墜落したところ、せっかく生き残った6人だったが、一人また一人と死んでゆく。
そのシーンは、自然との闘いに敗れて無様な姿をさらすのが目的ではなく、燃え尽きる命の崇高な輝きを見せるのがテーマとなっているのだ。

私は、主演のリーアム・ニーソン以外の役者さんは全く知らない顔ぶれだったけれど、むしろこの作品に有名無名は関係ないと思った。
タイトルは『THE GREY』だが、おそらく一面の灰色の雪山、灰色の極限状態(マイナス20℃の過酷な状況)などを意識し、総称したものかもしれない。

ストーリーはこうだ。
石油採掘現場で働く作業員らが、休暇で現場を離れることになった。

オットウェイは、最愛の妻を亡くしたあと惰性で暮らしていた。
仕事といえば、この現場の作業員らがオオカミに襲われることがないように雇われたスナイパーだった。
休暇と言ってもオットウェイには帰りを待つ家族もなく、常に死にたいと望んでいた。
そんな中、オットウェイや荒くれの作業員らの乗る飛行機が、アラスカ山中に墜落してしまった。
どうにか生き残ったオットウェイが見たものは、雪に覆われた山にバラバラとなってしまった機体、それに顔の判別すらつかない死体の数々だった。
それでもオットウェイの他にも生存者がいて、とにかく暖を取るために火を起こした。
激しい吹雪に見舞われた極寒の地には、獲物を狙うオオカミの群れがオットウェイたちを取り囲んでいた。
救助の望みも薄く、このままではオオカミの餌食になってしまうと考えたオットウェイは、南を目指して森の方に移動することを提案。
だが、皆の体力の消耗は著しく、一瞬の油断が死へと直結していた。
一人また一人と息絶えてゆくのだった。

主人公を演じたリーアム・ニーソンが実に良かった!

そこから主人公は再生する。
天から与えられた生をまっとうするのだ。

私が感動したのはラストである。
確実な死を目前にしながらも、あきらめないのだ。
その鮮烈な生き様は、見事としか言いようがない。

でき得る限りの努力を果たした後、自らの限界を知り、死を選択する。
これは決して、決して闘うことを放棄しているのではない。
燃え尽きる命の気高さ、崇高な生き様なのである。

『THE GREY』生と死の狭間を見つめさせてくれる、秀逸な映画なのだ。

2012年公開 【監督】ジョー・カーナハン 【出演】リーアム・ニーソン

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.09.21 05:48:39
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