吟遊映人 【創作室 Y】

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2015.01.17
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【プレステージ】
20150117

「不可能を可能にしたいんだ」
「人は言う。“現実は想像に及ばない”とね。だが違う。“人間は想像を超える”んだ。ところが世間というものは急な変化を好まない。最初に世界を変えたとき、私は先見者だと賞賛されたものだ。そして次のときは、、、引退を勧められたよ。でも今は引退を楽しんでいるがね」


ストーリーは全体を通して、暗く、憂鬱なものだ。
『奇術師』という小説を映画化したものとのことなので、オリジナルの方は分からないけれど、サスペンスというより男の嫉妬みたいなものをあぶり出しているように感じた。
二人のマジシャンが良きライバルとして高め合う存在なら良かったのだが、お互いを意識するあまり憎しみやら復讐心やら、負のエネルギーで満ちているのだ。

久しぶりに目を見張ったのは、デヴィッド・ボウイの登場である。
ビジュアル系ロック・ミュージシャンの先駆けとして旋風を巻き起こしたデヴィッド・ボウイも、今は気取りのない真摯な演技を見せてくれる、良き役者さんとなった。
そのデヴィッド・ボウイが演じたのは、ニコラ・テスラという科学者の役である。
この人物、実在した人である。
発明家エジソンとは宿敵でもあった。
エジソンとの確執は有名な話のようであるが、私はこの作品を見るまでテスラの名前さえ知らなかった。


19世紀末のロンドンが舞台。
若きアンジャーとボーデンはマジシャンを目指して、ミルトンのもとで修業をしていた。
ある時、ミルトンのマジックの助手をしていたアンジャーの妻は、水槽から脱出するマジックに失敗し、溺死してしまう。
その原因は、ボーデンがいつもとは異なる結び方でロープを縛ったからであった。
愛する妻を失ったアンジャーは、ボーデンに対して憎悪を抱き、復讐を誓う。
やがてアンジャーは、ボーデンのマジックを失敗させ、ボーデンの指2本を欠損させる大ケガを負わせることに成功した。
そんなめに遭ったボーデンは、アンジャーに対して激しい憎しみを抱き、アンジャーに仕返しするのだった。
こうして二人は互いに邪魔をしながら、復讐を繰り返していくのだった。

私が注目したのは、二人の主人公の生い立ちである。
アンジャーは育ちが良く、貴族の出身。エンターテイナー性に優れるものの、マジックの発想や独創性に欠ける。
一方、ボーデンは孤児として育ち、出自が明らかとなっていない。

もともと水と油のような関係の二人だったことから、貧しいボーデンがお坊ちゃん育ちのアンジャーに嫉妬心がなかったとは言えまい。
下積み時代、すでに可愛らしい妻を持っていたアンジャーを、何とかして貶めてやりたいと思っていたかもしれない。
そしてアンジャーの妻を意識的か無意識のうちか、水槽の脱出マジックで溺死させてしまうのだ。

アンジャーが瞬間移動のトリックを成功させるために、天才科学者であるテスラにその装置の製作を依頼する件がある。
私は正に、アンジャーとボーデンの関係を、テスラとエジソンにかけようとしている製作者サイドの意図に気付いた。

あるいは、二人の男の醜い嫉妬の行き着く先を表現した物語のようにも思えた。

2006年(米)、2007年(日)公開
【監督】クリストファー・ノーラン
【出演】ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソン


20130124aisatsu





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最終更新日  2015.01.17 05:47:39
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