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2015.06.20
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カテゴリ: 読書案内
【杉山登志郎・岡南・小倉正義・共著/ギフテッド天才の育て方】
20150620

◆突出した認知能力の開花が天才を生む!
今年大学生となった息子が、クレペリン検査のような心理検査を受けた。(医療系の大学として特徴的なのは、一つでも多くのサンプルを必要とするらしく、全学部の新入生が受けた。)
GW明け、結果が下された。
息子が地雷を踏んだのだ。
心理検査に引っかかったのは息子だけではなかったが、大学に常駐の臨床心理士に呼ばれた。
そこで面談の結果、息子はいわゆる視覚優位型の発達凸凹ではないかと言うのだ。
*発達障害は、この発達凸凹に社会的適応障害がプラスされたものを言う。
よくよく話を聞いてみると、何とそれは、私自身にもあてはまるではないか!

私事で恐縮だが、私は幼いころ、絵本というものを読まずに、ただただ見ていた。
見るのが楽しくて仕方がなかったのだ。

また、複数の人々が話をすると、内容を即座に理解することができなかった。(一対一の会話なら問題ない。)
人の話が音楽かBGMのように聴こえてしまい、認知できなかったのである。
なので、度々人の話をまともに聞いていないという失態があった。
そういう失敗の連続は、自分を追いつめる原因にもなり、「私は人の話を理解する力が不足しているのだ」と、自己嫌悪に陥ることも多々あった。

その一方で、私はデザインや空間のレイアウトが得意で、ちょっとしたスケッチを描くのは朝飯前である。
自慢ではないが、中・高校時代、いくつもの絵画コンクールで入賞し、賞状やら記念品をたくさんもらった。
また、中学の時、英単語は見て覚えていたので、書いて覚えたことはない。
今になって考えると、単語を模様として認知していたからではないかと思う。
高校に入学し、几帳面な友人たちが単語を必死にノートに書いて覚えているのを見て、「ヤバイ!私の勉強のやり方は間違ってた!」と、あわててみんなのマネをした。
すると、英語の成績はみるみるうちに下がっていった。
今ならその原因が分かる。


今、息子の話から私と全く同じような経験をし、苦悩していたことを知った。
遺伝的要因が強いことから言っても、息子に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
だが、こういう問題がクローズアップされるようになったのは、90年代に入ってからなので、まだまだ日本では発展途上の精神医学の領域なのである。
私が学生時代のころは、視覚優位型とか発達凸凹、あるいはアスペルガーなどが話題になったことはなく、もちろん、テレビや雑誌などで取り上げられることもなかったので、そんな特異タイプがあることなどとうてい知る由もない。

この一か月間、私が心を整えるためにどれほど気を揉んだか、それは、同じような立場の方々ならお分かりだろう。

人は、“自分さがし”という漠然とした目的で旅に出る行為が、なによりの特効薬のように推奨される。
もちろん、それも一つの方法・手段には違いない。
だが、精神医学の見地から自分を分析してみるというのも、アリなのではなかろうか。
むしろ、その方が自分というものが明確になる。
私は今回のことで、ずいぶんと悩み、落ち込みもしたが、今は目の前の霧が晴れ、清々しささえ感じられる。

ここまで視覚優位型についてあれこれ語って来たが、反対に聴覚優位型というのもある。
これは、国語が得意で言語的論理で物事を考えるのが優れているタイプだ。
もっと突っ込んで言えば、絵を描いたり文字という視覚入力による提示は苦手とするが、音声からの認知が突出して優れている人間を言う。
この手のタイプは、会話からその筋を的確に捉え、相手が何を言おうとしているのかを先回りすることができる。
言葉を最大限に駆使し、自分の考えをだれかに話すことによって、認知機能が高まり、整理することができるのだ。
言葉に対する感受性が強いという特徴もある。

これら発達にかたよりのある特異タイプについて、これまでは十把一絡げに“発達障害”と診断されて来ていた。
ところが最近では、“発達凸凹”という枠組みと区別されるようになった。
なぜなら、もしも発達障害という括りだけで療育のパラダイムを片付けようとするのなら、かのアインシュタインも、マイクロソフト社のビル・ゲイツでさえもが発達障害になってしまうからだ。
このようなことを一つ一つ分かり易く、また臨床医としての立場から適切に解説しているのが『ギフテッド天才の育て方』である。
著者は杉山登志郎先生と、他2名の先生方の共著だが、とりわけ杉山先生は障害児教育の第一人者である。
現在は、浜松医科大学で教鞭を取っておられる。
この本は、能力の谷と峰を持つ子どもたちの才能の見つけ方や伸ばし方が、丁寧に解説されており、大変興味深い。

“自分とは何ぞや?”と、苦悩するあなた、旅に出る前にこの著書を読んで、新たな可能性を探っていただきたい。
最後に、息子にこの著書を読むことを勧めて下さった臨床心理士の某先生、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。

『ギフテッド天才の育て方』杉山登志郎・岡南・小倉正義・共著



コチラ から
★吟遊映人『読書案内』 第2弾は コチラ から



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最終更新日  2015.06.20 20:05:51
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