《櫻井ジャーナル》

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2009.04.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 今日(20日)からジュネーブで開かれる国連主催の「人種差別反対世界会議」の再検討委員会にアメリカ政府は参加しない。イスラエルにとって都合の悪い議論に加わりたくないということのようだ。

 昨年、イスラエル軍はガザ地区に軍事侵攻、非武装のアラブ系住民を多数殺害しただけでなく、国連施設も破壊した。現在、世界的に戦争犯罪でイスラエル軍を裁くべきだとする意見も湧き起こっているのだが、そうした雰囲気が会議にも反映されることは避けられず、アメリカ政府としては逃げるしかなかったのだろう。

 言うまでもなく、軍事侵攻の前からイスラエル政府はアラブ系住民の居住地を「壁」で隔離し、生産活動を困難にしただけでなく食糧の流入を厳しく規制してきた。つまり、兵糧攻めしてきたのである。戦争で最も残虐な戦術はこの兵糧攻め。ミサイルや銃による殺戮だけが問題なのではない。こうしたイスラエルの政策をアメリカは擁護してきた。

 バラク・オバマ大統領は「ハード・ネオコン」の共和党候補や「ソフト・ネオコン」のヒラリー・クリントンに比べ、イスラエルとは距離があるのだが、それでもイスラエルから自由であるわけではない。実際、組閣を見ても親イスラエル派に配慮していることがわかる。

 オバマ大統領が大統領主席補佐官に任命したラーム・エマニュエル下院議員は大統領と同じでシカゴを基盤にしているのだが、イスラエル市民としての一面もある。彼の父親はメナヘム・ベギンのイルグンに加わっていたが、この組織はシオニストの武装グループであり、IZL(イルグン・ツバイ・レウミ)の通称である。筋金入りの親イスラエル派だということだ。クリントンを国務長官に据えたのも、イスラエルへの配慮かもしれない。

 ところで、イスラエルとはシオニストの国である。シオニストとは、シオニズムを信じる人々であり、シオニズムとはエルサレムにある丘「シオン」(ソロモンが神殿を建てたと言われている)へ戻ろう、つまりパレスチナに「ユダヤ人の国」を建設しようという運動を意味している。

 近代シオニズムは、ハンガリーのブダペストに生まれたセオドール・ヘルツルが1896年に始めたとされているのだが、その200年以上前、1620年にメイフラワー号でヨーロッパからアメリカ大陸へ渡った「ピルグリム(巡礼者)・ファーザーズ」の中にもシオニストはいた。勿論、ピルグリムとはプロテスタントの一派、つまりキリスト教徒である。

 ちなみに、このピルグリム・ファーザーズは自分たちこそがアメリカを開拓する使命を神から授かった人間だと信じ、先住民は野蛮で未開の「サタンの息子」だと考え、先住民を大量虐殺してアメリカの基盤を築いた。イスラエル建国の話とよく似ている。そう言えば、特定の集団をある地域に移住させ、先住民を追放するという手法はナチスも採用していた。

 ユダヤ系の学者ノーマン・フィンケルスタインも指摘しているように、現在、ガザ地区やヨルダン川西岸で武力衝突が続いている最大の原因はイスラエル建国の際、予定した土地を占領できなかったことにある。占領できなかった土地から住民を追い出せないと考えたのか、今では巨大な塀で隔離しているわけだ。ナチス方式から南アフリカ方式へ切り替えたとも言えるだろう。



 実際、このときに多くのアラブ系住民が逃げ出して難民化した。作戦が始まる前にアラブ系住民は約140万人いたのだが、そのうち42万3000人がガザやトランスヨルダンに移住、85万4000人が難民キャンプでの生活を始めている。この間、アラブ諸国は事実上、アラブ系住民を見殺しにしていた。アラブ諸国とイスラエルが軍事衝突するのはイスラエル建国の翌日、5月15日からである。

 こうした流れの中、国際連合調整官でスウェーデン人のフォルケ・ベルナドッテ伯は軍事衝突を終息させようと乗り出し、パレスチナ難民の帰還を認めようとした。そのベルナドッテ伯は9月17日、フランス人のアンドレ・セロー大佐とともに、エルサレムの近くでシオニストに暗殺された。最初からイスラエルは国連を尊重などしていない。イスラエルを放置した状態で「人権尊重」など空疎な言葉遊びである。アメリカはラテン・アメリカやアジアでも自分たちの利権にとって障害となる人々を虐殺してきた。

 実は、イスラエルが建国された当初、アラブ系住民はシオニストとユダヤ教徒を分けて考えていた。敵はユダヤ教徒でなくシオニストだと理解していたのである。が、アメリカなどがシオニストによる残虐行為を黙認、その一方でアラブ系住民の犠牲者が増え続けた結果、アラブ系住民の憎しみはユダヤ教徒全体に広がってしまった。問題を複雑化した責任が自国にもあるということをオバマ大統領は認識する必要がある。





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最終更新日  2009.04.20 20:04:18


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