《櫻井ジャーナル》

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2009.06.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 西松建設から民主党の小沢一郎代表(当時)へ「違法献金」が渡ったとされる事件を検証するため、同党は「第三者委員会」を設置していたが、その最終報告書が公表された。その中で検察の捜査を批判、マスコミの報道にも疑問を呈している。妥当な内容だと思うのだが、マスコミの中には気に入らない記者がいるようだ。

 国会議員は「公人」であり、「政治とカネ」に絡む問題を積極的に報じることが責務だという記者の主張に異論はないが、これまで大手のメディアは「政治とカネ」が絡む問題には腰が引け、まともに報道しようとしてこなかったのが実態だ。今回のケースでも、地検特捜部が取り上げた小沢一郎の「カネ」しか報じていない。少しでも気の利いた記者ならば、小沢事務所のような形で献金を受け取っている議員が多いことを熟知し、違法だとは見なされていないことを知っているはず。こうした金銭の流れにメスを入れたいならば、法律自体が抱える問題を「積極的に報じる」べきだった。

 勿論、自民党の議員も「公人」であり、彼らの「政治とカネ」に絡む問題も積極的に報じるべきなのだが、検察もマスコミも全くと言って良いほど手つかず。その理由を説明する責任が両者にはある。西松建設の件では、小沢一郎の「政治とカネ」について報道したかどうかという点ではなく、なぜ自民党の議員についての報道には消極的で、構造的な問題を調べ、分析しなかったのかという点が問題だ。

 改めて言うこともないだろうが、大手メディアの記者たちは東京地検特捜部、あるいはその周辺から流れてくる「情報」に群がるだけで、「政治とカネ」の問題を積極的に報道したわけではない。「検察関係者が情報源」だからではなく、検察側の意向に沿った話を確認しないまま伝え、明らかに間違った情報さえ報じていたことが問題なのである。

 最近、「足利事件」の冤罪が明確になったが、こうした刑事事件でもマスコミは警察や検察の情報を垂れ流すだけで、逮捕された時点で容疑者を犯人視していた。つまり、こうした「大本営発表」スタイルはマスコミの体質になっていて、「誤報」を訂正することもない。ジャーナリストとしての自覚がないのだ。「権威」の尻馬に乗れば安全であり、その覚えがめでたければ情報を貰えるという計算が働いている。

 もっとも、企業としてのマスコミに銀行を怒らすことのできない事情があり、銀行を動かすことのできる立場の人たちと対峙できないことは理解できる。何しろ、どんな優良企業でも融資を止められれば倒産であり、スポンサーに逆らうことも難しい。

 ここで個人的な経験をひとつ。1987年に株価が暴騰した国際航業株は、その年の初めから注目されていた。国際航業は額面総額100億円の転換社債を発行する予定で、野村證券系列の投資委信託がこの株式を買っていたので値上がりする可能性が高いと見られていたのだ。そして、7月になると急騰、「コーリン産業(後に光進へ名称変更)」という小谷光浩が率いる仕手グループが株式を買い占めているという話が流れた。同じ頃、永田町でも国際航業株は暴騰するという噂が駆け巡っていた。

 この「仕手戦」では野村證券が「種玉」を提供、「金主」として住友や三井の名前が早い段階から挙がっていた。こうした話に日本のマスコミは興味を示さず、やって来たのは後に『ザ・ハウス・オブ・ノムラ』を書くことになるアルバート・アレッツハウザーだけだった。

 もうひとつ別の体験談。日本の隠された戦後史に触れた『ヤクザ』やWACL(世界反共連盟)の事態を書いた『インサイド・ザ・リーグ』が国外で出版されたとき、有名記者の中には「日本では書けない」とか「書いた奴は殺されるぞ」と開き直る人もいた。






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最終更新日  2009.06.11 13:44:42


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