《櫻井ジャーナル》

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口座名:櫻井春彦

2009.11.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 犯罪にしろ謀略にしろ、「手口」というものがある。「小泉劇場」が開幕してから、警察や検察は「政治資金」に関する問題を利用して「ある種の政治家」を側面から支援してきた。「ある種の政治家」と対立するライバル、あるいは潜在的ライバルである政治家を攻撃してきた、つまり日本を支配する暴力装置として機能しているということだ。

 加藤紘一たちの「反乱」を鎮圧した際の功労者、小泉純一郎が内閣総理大臣に選ばれたのは2001年4月、アメリカでジョージ・W・ブッシュが大統領に就任した3カ月後のことである。ブッシュ・ジュニアの周辺を固めていた勢力は、ネオコン(新保守)とシアコン(神保守)の親イスラエル派、そしてリチャード・チェイニー副大統領夫妻に象徴される戦争ビジネスの人脈だった。

 この勢力は、軍事力による世界制覇を目指し、潜在的ライバルを叩くと1990年代の初頭に宣言している。中東問題ではパレスチナ和平を否定し、イラクからサダム・フセインを排除すべきだとも主張、そのプランは実現した。

 逆に言うと、中東問題以外の分野では、新保守/神保守は旧保守と政策に大差はない。社会システムを無視した強者総取りの強欲なレッセフェール的な経済政策を推進するということだ。日本の一部エリートも1990年代からアメリカのエリートとこのシステムを広める下準備をしている。その象徴的な存在は「日米21世紀委員会」だ。

 さて、小泉政権は強者総取りの経済政策を一気に進めた。資本主義とは本質的に強欲なものであり、小泉という一個人が日本に持ち込んだわけではないが、それまではある程度、自制が機能していた。その自制がはずれたのである。

 さて、小泉首相は総裁選で助けられた田中真紀子を外相に据えるが、小泉の背景を考えれば両者のつながりは不自然。案の定、鈴木宗男との対立を利用さして2002年2月に解任されてしまう。田中と鈴木のふたりが排除されることは、小泉の背景を考えると自然な流れである。

 鈴木との対立で排除された政治家には社民党の辻元清美もいる。国会で鈴木を「疑惑のデパート」だと追及していたが、2002年4月には「秘書給与疑惑」で辞職している。似たような資金調達の手口は永田町に蔓延していたと言われ、辻元だけが槍玉に挙がったことに不自然さを感じる人は多かったはずだ。加藤は政治資金流用疑惑で4月に辞職、田中や辻元と対立していた鈴木も2002年6月に収賄容疑で逮捕されている。

 9月になると小泉は朝鮮を訪問して金正日総書記と会談、日朝平壌宣言に調印する。この行動をアメリカ政府は怒ったというのだが、そのアメリカの権力層と朝鮮との関係は深い。ジョージ・H・W・ブッシュ、つまりブッシュ・シニアの有力スポンサーである統一協会は、1990年代に莫大な資金を朝鮮に提供している。アメリカの情報機関、DIA(国防情報局)によると、1991年11月末から翌月上旬にかけて統一協会の文鮮明教祖が朝鮮を訪問、その際に「4500億円」を寄付、1993年にはアメリカのペンシルベニア州に保有していた不動産を売却して得た資金300万ドルを香港の韓国系企業を介して朝鮮に送っているのだ。

 1980年代には、アメリカの情報機関系企業、GMT(ジオミリテック)はイランからカチューシャ・ロケット弾の注文を受けてイスラエルに武器の調達を依頼、イスラエルの情報機関員は朝鮮で約20万発とも言われる大量のロケット弾を調達しようとした。平壌から直接イランへ相当数のロケット弾が送られたとイスラエルの元情報機関幹部は証言している。



 言うまでもなく、小泉も岸派の流れに属している。1952年に岸信介に近い政治家たちは「新日本政治経済調査会」を結成しているが、このグループに小泉純一郎の父、純也も参加していた。純一郎自身は純也の死後、福田赳夫の書生を務めている。要するに岸派。

 岸は「A級戦犯」として巣鴨刑務所に収監されていた時期があるのだが、その刑務所仲間のひとりが児玉誉士夫。1948年12月に岸は児玉たちと一緒に釈放されるが、このふたりにCIAの資金が流れていたとアメリカのメディアは報道している。アメリカの権力者にとって役に立つと判断されたので巣鴨から出られたわけで、CIAの紐付きになった可能性は高いと言えるだろう。その岸の下に集まった政治家もアメリカから好意的に見られてきたはずだ。

 警察や検察が政治に介入するのは昨日今日に始まった話ではない。戦前はともかく、戦後になっても当局が「政治的に中立」ということはなかった。(どの国でもそうだが)

 まず、占領時代に起こった「昭電事件」では、アメリカの軍事強硬派(ウォール街の親ナチス/反コミュニスト派)の意向を受け、ニューディール派の影響下にあるGS(民政局)を攻撃している。

 まず、社会党の稲村順三議員が1947年に商工省の役人と昭電関係者との関係について質問、同じ時期に警視庁捜査二課は捜査に着手している。翌年には、民主自由党(吉田茂の自由党と民主党の反芦田派で結成)の高橋英吉代議士が「昭電問題調査要求書」を提出して不当財産取引調査特別委員会で採択され、その翌月に捜査二課は昭和電工の本社を捜索しているが、捜査を指揮していた藤田刑事部長と秦野章捜査二課長が更迭されると、検察の特捜部が登場してくる。警察から検察へバトンタッチされたわけだ。そして12月にはGSが高く評価していた芦田均が逮捕、起訴された。10年後に無罪判決が出ているが。

 ところで、このところ問題になっている民主党幹部の献金問題も不可解な面があることは間違いない。小沢一郎のケースでは地検特捜部の行動を元検察官の郷原信郎が批判しているので、その主張を見てもらうとして、鳩山由紀夫のケースも奇怪だ。勿論、決して褒められたことをしているわけではないが、ほかの政治家に比べて悪質だと言うことは決して言えない。自腹を切って政治活動している政治家と、企業献金を受け取って大企業のために政治活動し、日本社会を破壊した政治家のどちらが日本という国にとって良くないのか、言うまでもないだろう。占領時代にアメリカの権力者が警察や検察の内部に築いた支配システムは今でも生きているとしか考えられない。





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最終更新日  2009.11.26 19:18:31


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