《櫻井ジャーナル》

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2010.05.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 前原誠司国土交通相は7日の記者会見で、消費税の増税と法人税の減税を主張、所得税の累進率に関しては触れなかったようだ。庶民からカネを巻き上げ、巨大企業や富裕層のカネ儲けを助ける、要するに貧富の差を拡大させると宣言したわけである。すでに破綻している「理論」に執着している様子はカルト教団の狂信的な信者を彷彿とさせる。

 何もしなければ、システム上、社会的に優位な立場にある組織や個人、つまり巨大資本や支配層に富は集中することになっている。中小企業や労働者に適切な対価を支払わず、余ったカネは投機資金(博奕)として使うので、経済活動は破綻してしまう。だからこそ、大企業を野放しにするわけにはいかないとフランクリン・ルーズベルトやジョン・F・ケネディたちは考えたのだが、アメリカの支配層はそう考えない。そして、1980年代からの本格的な規制緩和が始まり、社会システムは崩壊しつつある。

 相場も新たな資金の流入が細れば頭打ちになって暴落するわけだが、その際、市場で主導的な位置にある人たちは暴落を仕掛け、損害を最小限に抑えることが可能だ。場合によっては儲けられる。そして、最終的な尻ぬぐいは庶民に押しつけ、貧富の差はますます拡大するということになる。

 しかし、こうした投機経済にも限界がある。欧米のエリート層の内部にもそうした限界を感じている人たちがいるようで、金融規制に本腰を入れ始めたようだ。その第一弾とも言えそうな出来事が、アメリカのSEC(証券取引委員会)によるゴールドマン・サックスの訴追だろう。

 さらに、5日には米上院で公的資金による金融機関の救済を禁じる金融規制改革法案修正条項を可決しているが、注目されているのは「CFPA(消費者金融保護庁)」の創設問題。巨大資本/富裕層が推進してきた「新自由主義経済」、要するに「遣らずぶったくり経済」に批判的なハーバード大学のエリザベス・ワレン教授の発案だが、この新しい官庁の創設にアメリカの金融界は反対している。すでに消費者は保護されているというのだ。

 日本でも銀行、証券会社、保険会社などは多くの「金融商品」を考え出し、リスクを隠して売りまくり、トラブルを起こしてきた。ゴールドマン・サックスが訴追されたサブプライム・ローンの問題でも基本的に同じことが行われていた。きわめて不適切なビジネスでウォール街は儲けてきたと非難されている。こうした問題を知りながら報道しなかったメディアも同罪だ。

 CFPAを発案したワレン教授とアメリカの金融界。 意見をぶつけ合う のも悪くないと思う人は少なくないのだが、実現しそうにない。JPモルガンのジェイミー・デイモンはワレン教授との討論を拒否、ほかの銀行幹部も逃げ回っている。理由は言うまでもないだろう。欧米の株式相場が動揺している理由は、ギリシアの問題よりも、金融規制の問題の方が大きいかもしれない。





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最終更新日  2010.05.09 12:57:26


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