《櫻井ジャーナル》

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2012.02.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 タイの首都 バンコクでひとりのイラン人が足に大けが

 この事件を受け、イスラエルのエーウド・バラク国防相は早速、イランが黒幕だと非難しているのだが、事件の背景はまだ不明。反射的に出た言葉に過ぎず、確たる根拠があるわけではないようだ。イランで科学者を連続して暗殺していると指摘されていたイスラエルとしては、敵のイランに人びとの関心を向けさせたいという程度のことだろう。イランは凶暴だという印象を強めれば、イランを攻撃しやすくなるということもある。

 インドやグルジアのケースとタイのケースは背景が違うと考える人が少なくない。インドで爆弾を仕掛けた人間が良く訓練されていたのに対し、タイの場合は素人だということが大きな理由のひとつ。事件に関係している3名が何らかの「テロ・グループ」に関係しているという話も今のところ聞こえてこない。

 ただ、インド、グルジア、タイと並べてみると、気になることもある。かつてイギリスの植民地でイスラエルとも浅からぬ関係のあるインド、イスラエルと緊密な関係を築いているグルジア、そしてイスラム武装勢力のひとつ、ジュマー・イスラミーヤとつながるタイ。焦臭いといえば焦臭い。

 ところで、イスラム武装勢力を作り上げたのはアメリカ。ズビグネフ・ブレジンスキーの戦略でソ連をアフガニスタンへ引きずり出した際、ソ連軍と戦う「自由の戦士」として組織したのだが、その思想的なバックボーンはサウジアラビアを支配しているワッハーブ派だ。湾岸の独裁産油国は全て、その影響を受けている。言うまでもなく、ワッハーブ派はリビア、シリア、そしてイランを攻撃している主要な勢力のひとつでもある。

 こうした独裁産油国では労働を他国に頼っている。見方を変えると、国民の人数を制限して事実上、労働者に国民としての権利を与えない体制だということだ。そうした労働者の供給源になっているのが東南アジアであり、「出稼ぎ」の労働者は仕事先の湾岸でワッハーブ派の思想を身につけることになる。

 こうした経済的な仕組みを利用して、東南アジアにイスラム武装勢力はネットワークを張り巡らせてきたという。そうしたネットワークが生み出したの結果のひとつがローマ教皇の暗殺や航空機の爆破を行うという「ボジンカ計画」。資金はオサマ・ビン・ラディンなどから出ていたという。1995年1月に実行する予定だったが、事前にフィリピン当局が察知して未遂に終わっている。

 その年の4月、アメリカのオクラホマ州で連邦ビルが爆破されるという事件があった。実行犯として逮捕されたティモシー・マクベインとテリー・ニコルスは1990年から95にかけてフィリピンを何度も訪れている。観光旅行だとは思われていない。



 サウジアラビアの影響という点では、ムスリム同胞団も忘れてはならないだろう。この結社は1928年、ハッサン・アル・バンナによって創設されているのだが、その際にスエズ運河会社から資金を提供されているという話がある。1953年にアメリカとイギリスの情報機関、つまりCIAとMI6(SIS)がイランの民族主義政権をクーデターで倒す際、ムスリム同胞団のアヤトラ・カシャニが協力したとも言われているのだが、創設時のことを考えると、これは必然だったと言うべきかもしれない。

 イランで民族主義政権が倒される直前、1952年にエジプトでは王制が倒されている。クーデターを指導したムハンマド・ナギブ将軍だが、ガマール・アブデル・ナセルが率いる自由将校団も中心的な役割を果たしている。ナギブの後ろ盾がムスリム同胞団。

 クーデター後、ナギブを担いでいたムスリム同胞団とナセルなどの自由将校団が対立し、1954年に同胞団はナセルの暗殺を試みて失敗する。その結果、ナギブ大統領は解任され、同胞団は非合法化された。その後も同胞団はナセル暗殺を試みている。

 同胞団の中心的な存在だったサイド・ラマダンは西ドイツ政府の支援でスイスへ逃れているが、その際に資金を提供していたのがサウジアラビア。その後、エジプトとサウジアラビアとの関係は険悪化する。このときに同胞団の少なからぬメンバーがサウジアラビアへ逃れているが、そこでワッハーブ派の教義を身につけていくことになったという。

 当時、アメリカ支配層はエジプト派とサウジアラビア派に分かれたようだが、ジョン・F・ケネディ大統領などはナセルに好意的だったという。つまり、サウジアラビアからは憎まれた。ケネディ大統領はイスラエルからも嫌われていたことが知られている。1963年11月にケネディ大統領は暗殺され、1970年9月にナセルは心臓発作のために52歳の若さで死んでいる。

 歴史を振り返ると、アメリカやイギリス、つまりアングロサクソンはサウジアラビアのワッハーブ派と深い関係にある。勿論、現在の米英両国はイスラエルの同盟国だ。湾岸の独裁産油国とイスラエルの関係はよくわからないが、少なくとも米英両国を介して結びついているとは言える。





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最終更新日  2012.02.15 20:09:30


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