《櫻井ジャーナル》

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2012.02.28
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 2月28日、「福島原発事故独立検証委員会」なるグループが日本記者クラブで会見を開いた。ここはフリーランスの記者や雑誌記者は加盟できない閉鎖的な場所だそうで、この一点だけでも委員会の性格が推測できる。公正さなどは期待できないということだ。

 東電福島第一原発事故を「独立」して「検証」するという委員会のメンバーは、委員長が北澤公一・前科学技術振興機構理事長、委員は遠藤哲也・元IAEA(国際原子力機関)理事会議長、但木敬一・弁護士、野中郁次郎・一橋大学名誉教授、藤井眞理子・東京大学先端科学技術研究センター教授、山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長。

 北澤委員長は1966年に東京大学理学部化学科を卒業して以来、化学の分野を歩いてきた人物。遠藤委員はIAEAの理事会議長を経験した人物で、原子力の専門家のように見えるのだが、東京大学では法学部に在籍、1958年に外務省へ入っている。

 次の但木委員は東大法学部卒の元検事総長(2006年から08年)。原田明夫(2001年から04年まで検事総長)と「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(盗聴法)」の法制化を推進したことで知られている。原発に反対する人びとは監視の対象になっているだろう。

 原田が国民監視システムにかかわるのは1970年代の後半。駐米日本大使館に一等書記官として勤務していた当時、アメリカの個人情報追跡/分析システムを調べている。その時、原田の下で実際に動いていたのが敷田稔(後の名古屋高検検事長)だ。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を)

 野中委員は1958年に早稲田大学政治経済学部を卒業した経営学者で、防衛大学の教授を務めていたこともある。2002年まで雪印乳業の監査役だったが、この会社、2000年には集団食中毒事件を起こしている。その際、会社側の対応は無責任きわまりないもので、雪印グループ解体の一因になった。

 藤井委員は1977年に東大経済学部を卒業して大蔵省へ入った「元キャリア官僚」。東大の先端科学技術研究センターへ移ったのは1999年のことである。現在、政府が東電を必死に擁護している一因は、融資や投資で深く結びついた金融機関を守ることにあるとも言われている。そうした意味で、藤井委員は「適任者」なのかもしれない・・・「原子力ムラ」の住民にとっては。

 そして山路委員。今は地球環境産業技術研究機構の研究所長らしいが、学部で専攻していたのは原子力工学。1972年に学部を卒業、77年に博士課程を修了して入ったところが電力中央研究所だ。原子力ムラの住人ということだ。

 独立検証委員会・・・原子力ムラの委員会としか言いようがない。よくこんなメンバーで委員会を作ったものである。人選した人間も、受けた人間も、正気とは思えない。



 事故後、 原発の周辺には10年から20年の間、人は住めなくなることを菅首相は理解していたと松本健一元内閣官房参与はオーストラリアのテレビ局ABCの取材に語っている 。東京の住民を避難させなければならないかもしれないと菅首相は考えていたとも松本元参与は話している。3号機が爆発した後、 原発の敷地内では放射線の値が一時、1000ミリシーベルト(マイクロではない)まで上昇 したという。

 NRC(原子力規制委員会)によると、福島第1原発の建屋の外で核燃料棒の破片が見つかっているのだが、 委員会のゲイリー・ホラハン新原子炉局副局長はその破片が圧力容器の内部にあった燃料棒のものだと推測 している。3号機の使用済み燃料プール内で核反応(核暴走)が起こり、プールが大砲のような役割を果たして煙や瓦礫が噴出、その際に燃料棒の破片も飛び散ったという見方もあるが、いずれにしろ深刻な事態だ。

 この時期、政府も東電もマスコミも「安全デマ」を広めることに熱心で、原発近くの人間は勿論、全ての日本人を危険にさらしていた。当時の状況を的確に理解していたフランスは3月13日、事故の2日後には首都圏にいる自国人に対し、関東を離れるよう同大使館のウェブサイトで勧告、日本への旅行は延期するように呼び掛けた。

 16日になるとドイツ外務省も自国民を避難させようとする。東京や横浜に住むドイツ国民に対し大阪や海外などへ避難するよう勧告、大使館機能の一部も東京から大阪へ移したと言われている。アメリカでさえ50マイル(80キロメートル)圏内からの避難を勧告している。

 ところが、委員会は首相官邸の現場への過剰な介入を「評価できない」と述べた。意味不明である。事態を正確に把握、国家存亡の危機だということを理解した上で東電は混乱し、逃げようとしたのである。孫崎享氏も指摘しているように、東電は「事故処理能力を完全に失っていた」。

 撤退を認めなかったのでかろうじて日本は存続できていることを委員会も認めざるを得ないのだが、やはり自分たちの「ムラ」に介入したことが許せないのだろう。政府の責任は国民よりも東電を軸にした利権システムを守ろうとしたことにある。そうした状況は今でも続き、日本人は地獄へ引きずり込まれようとしているのだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012.02.29 04:39:24


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: